昨日は三年ぶりの本会議質問を一問一答で

    昨日は三年ぶりの本会議質問を一問一答で

CIMG9391    議会日程を終えて、夕刻から憲法を守る会定例凱旋を武蔵が辻で。そして、夜は里見町住民への第二庁舎建設に関する説明会に同席。隙間のない一日が続いてきたので、帰宅後はさすがにすぐに沈没状態だった。(苦笑)
 今朝は、5時すぎから机の前に座って事務仕事をしている。

 昨日の本会議質問、再び質問に立たせて頂き、市民の皆様には深く感謝を申し上げたい。
 制限時間付き一問一答方式なので、準備段階で答弁時間を折りこんでスリム化に努めたが、それでも質問・答弁に想定以上の時間がかかり、途中から時間との闘いになってしまった。(苦笑)自己採点すると50点かな・・。また反省点が残ったと振り返っている。

 発言はこの通りではないが、質問内容を以下に転載する。答弁メモの精査までできないので、とりあえず質問のみ。なお、3の(2)(3)は、時間切れになったので、17日の教育消防常任委員会での質問とする。

2015年12月定例月議会 質問 みらい金沢 森 一敏

 みらい金沢の一員として質問致します。議会の外にあって、世情激動の中、巷には市民の声なき声があるものだと改めて感じたものです。原点に立ち返って議論させて頂きます。

1.市政を市民自治、市民のつぶやきから見つめて
(1)まず、議会再開時に宣言書が公表された「連携中枢都市」を含む「金沢版総合戦略」です。本市には「世界の交流拠点都市金沢」に基づく「重点戦略計画」が既にあるわけです。戦略的計画がまた出てくる。いかにもめまぐるしい。
 因みに、地方制度調査会において連携中枢都市圏構想の前身が議論されてから、わずか一年足らずで制度化。さらに昨年12月、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で連携中枢都市圏に概念を統一。本年1月、名称を変更し、財政措置の概要を公表です。ここでも石川中央都市圏連携が先行してある。地方創生に振り回されているとの印象です。これは、屋上屋を架すことになりませんか。
 (「金沢版総合戦略」にどんな意義があるのか)

 まち・ひと・しごと創生法第四条は、地方公共団体は、国との適切な役割分担の下、区域の実情に応じた自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有するとしています。努力義務の地方版総合戦略策定は、国県の総合戦略の勘案を謳っていることから、自治事務としての自立性は担保できるのか私には懸念があります。また、創設されるという新型交付金に安定性があるのか、新たな紐付きにならないのかについても見通しをお示し下さい。  
 (年次計画、進捗管理、新評価手法、交付金の集約化)

 先日会派で参加した議長会研究フォーラムでは、地方創生に絡んで復興競争が強いられているとの指摘、職員を派遣している名取市では、国メニューの選択と住民の意向がずれ、復興事業に遅れが出ているとの悩みも聞きました。人口減の危機意識をてこにして、地方創生が再び中央集権を回帰させるならば、時代の逆行です。権限と税源の委譲こそ地方は求めるべきです。分権改革の現況についても伺っておきます。
 (金沢市固有の重点戦略計画が、国の地方版戦略に変質しないのか 権限委譲の後退)

CIMG9324(2)次に、新幹線開業に伴う課題です。新幹線開業以降の想像を越える賑わいに、市長が仰ったように、金沢の街の魅力を培ってこられた先達の先見と努力に深い敬意を感じます。しかし、他方には、市長の言われる「いくつかの課題」です。地元紙に、近江町で長年親しまれた花屋さんが店を閉めるという記事が載りました。「来街者の増加と市民生活」その望まない衝突も起こっている。市長は「いくつかの課題」をどう認識していますか。

 今夏、高松市のさぬきまつりに招かれた際、注目を集める丸亀町商店街を視察する機会を得ました。二度目の今回は、リーダーの古川商店街振興組合理事長に直接お話を伺えました。強く印象に残っているのは、瀬戸大橋開通で賑わい絶頂時に、その後の衰退を予見し、住民主導で再開発手法を研究実践して今日に至っていることでした。「市民よ浮き足だってはいないか?」このメッセージを発するのは誰なのか、市長の認識を伺います。

 ところで、ある金沢びいきの文化人から、「金沢の魅力は歴史から醸し出される重厚な文化・景観にある。果たして、プロジェクトマッピングのような夜間景観演出が合っているのか。」と問われたことがあります。薪能が舞われる城の石垣を観て、築城に当たった匠の技や百万石を支えた民百姓の汗と涙を静かに想う。一向一揆の叫びを北部山間地の城跡群や一揆衆対策に集められた寺町寺院群に聞く。そんな金沢の歴史との出会いを私も描いてみました。多様な都市観光施策を企画し、本市職員が観光プロモーションに奔走してきた成果を評価しつつ、敢えて、金沢の文化観光施策の次なるステージはどのようなものであるべきかを「市長はトップセールスマン」を自認される山野市長に伺います。
 
(3)さて、金沢マラソンです。1万2千人が金沢の街を駆け抜け、沿道は市民の献身的な応援で温かな交流の輪が広がりました。費用対効果もすこぶる高い。関係者の労をねぎらいます。しかしながら、他方では、市民の本音も聞こえてくるのです。半日に渡った交通規制の多方面への影響、学校の子どもたちや地域住民の応援参加は自発的であったのか。
 富山マラソンを完走したというランニング愛好者は、正直言うと、そっとしておいて欲しいというのが本音ですね。沿道の応援があれだけ続くとこれはもう強制です。自分の趣味にこんなに多くの市民をつきあわせていいものかとも思います。でもこれ美談ですから、異議を唱えにくいですね。こう漏らしました。
 来年開催日を前倒しするとの検討が報じられたばかりですが、市民の本音はどこにあるのか。いつまで、どこまでを市民は望み、受け入れるのか、真摯な検証と丁寧な検討が必要ではないかと思うのです。市長、いかがですか。

(4)この項の最後に家庭ごみの有料化問題です。ごみの排出抑制と資源化率の向上については、市民に何ら異論はない。しかし、分別や資源化に問題の多い事業系ごみ対策が不徹底なまま、家庭ごみの有料化に対策を求めることには納得しかねる。家庭ごみ有料化ありきの進め方には市民の意見を軽視する姿勢を感じる。このように、地域で分別収集に協力してきた市民には、裏切られたとの感情があると思います。
 本来、個人・家庭のライフスタイルばかりではなく、産業戦略など社会構造と不可分なごみ問題を家庭への経済的インセンティブに頼って解決しようとすることが、市の無責任と映っているのではないですか。拙速な有料化は、くらしの見直しとごみ減量化への参画意識を却って損なうことにならないか懸念します。導入ありきではなく、説明と意見聴取を丁寧に行い、市民のコンセンサスを見極める市長の姿勢を求めます。ご所見を伺います。

(5)このあたりで、出直し市長選で圧勝した山野市長に、単刀直入に伺います。「市政とは何か」をワンフレーズで言い表すとしたらどうなりますか。

2.歴史に責任を持つということについて
 敗戦から70年。私は、今年1月31日に94歳で亡くなったヴァイツゼッカー元西独大統領が1985年5月の敗戦記念日に行った演説「荒れ野の40年」を思い起こします。
 「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。」
 この広く知られる演説では、「強制収容所で命を奪われた600万人のユダヤ人」、「虐殺されたロマ」、「殺害された精神病患者」などナチスドイツの戦争犯罪による犠牲者を具体的に挙げ、人種と国の違いを問わず思いをはせる。さらに、レジスタンスに倒れた犠牲者の勇気を称え思いをはせる。若い世代にも、そこから生じてきたことには責任があると述べ、敵対ではなく、手をとり合って生きるために真実の直視を呼びかけるのです。
 どこか言い訳めいて他人事のような感がある安倍首相談話でも、こうした課題を「世代を超えて過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。」と述べているのです。
 まさに、世代を超えて歴史の教訓を継承するのが教育であり、その基本が教科書です。 世代を超えて歴史の教訓を継承するのが教育であり、その基本が教科書です。
 私は、学校現場に在籍していた者として、本市の中学校歴史教科書採択の結果を子どもたちに本当に申し訳なく思うんです。市教委の教育的良識への期待が裏切られた思いでもあります。
 育鵬社の中学校歴史教科書採択については、採択を決した教育委員会議事録を読むにつけ疑問が深まっています。生徒が「真実を直視する」、「歴史に向き合う」ために教科書にいかなる内容が必要なのかがほとんど議論できていないのです。採択を決する議論としてはちょっとお粗末に過ぎる。田辺教育委員長はどう振り返っておられますか。
 (多面的な教科書評価、現場専門家である教職員の教科書評価を尊重する真摯な討議)

 「我が国の歴史、伝統文化への理解と愛情、日本人の自覚」をほとんどワンイッシューとして、育鵬社版、自由社版の採択を促すパンフレットが某政党から発行されています。また、育鵬社版を執筆した研究者が理事長を務める日本教育再生機構なる団体も同じような主張から育鵬社版の普及運動を担っていることを育鵬社の編集人自らが育鵬社通信教科書案内号で表明しています。これは政治的な意図を持った全国展開の教科書採択運動ではないですか。 
 山野市長に伺います。市長の個人的な歴史認識と歴史教育観に親和性が強いこうした採択運動が、教育委員の判断に作用したのではないかとの批判は当たりませんか。
 (教育内容の政治的独立性の確保)

CIMG9339 教育委員の意見は、南京大虐殺の記述への嫌悪感とか、神話の扱い、天皇に関する記述、「我が国の歴史に対する理解と愛情」に関する内容の評価にほぼ集中しています。学習指導要領の歴史的分野の目標には、「我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深く関わっていること」「国際強調の精神を養うこと」が、また学ぶべき内容、取り扱いでも、「東アジアの文明の影響」「中国の文明を中心に諸文明の特色を取り扱い」、「鎖国下の対外関係」や「中国などアジア諸国との関係を通し・・大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたこと」等も示されているのです。これら関係史の観点から果たして育鵬社版が最も望ましいのかの客観的な検討がほとんどなされていません。田辺教育委員長に再度所感を伺います。

 教育委員長ご自身も推された帝国書院や東京書籍は、採択委員会答申までは最も評価が高いのです。教科書としての豊かさ、即ち学びへと誘う工夫と配慮に加え、歴史学上の成果を踏まえた的確性に優れているということでしょう。日本も加盟する国連機関が指摘する問題を踏まえ、現場の専門家である教職員が与えた教科書評価が文字通り尊重される透明な教科書採択手続きを求めます。

3.差別なき金沢に向かって
 いよいよ、来春から障害者差別解消法が施行されます。法制定の核心的趣旨は、障がいの捉え方を「自身が克服すべきもの」から、「障がいのある人が共に生きられるよう社会的障壁を除去する」即ち社会の側が変わることへと転換することにあると思います。大原則は、当事者参加と選択・自己決定の保障です。 
 法の本格的施行を控え、当初、差別禁止法を求めた当事者の悲願を受け止めれば、自治体に義務づけられた差別の禁止への対応と「合理的配慮」の具体化は喫緊の課題です。
(1)そこで、差別の解消に向けた本市の課題と実施体制、加えて当事者の意見を反映させるしくみを市長はどのように考えておられるか、お答え下さい。
 (全庁横断連携で解決を目指す課題について)
(2)次に、本市職員の対応要領の策定、また国が策定する事業者のための対応指針はどこまで進んでいるのかお聞かせ下さい。
(3)また、教育委員会は、特別支援教育サポートセンター構想の策定に入っていると伺っています。差別解消法施行後は、当然、これまで以上にインクルーシヴ教育を前提とするサポートセンター構想とならねばなりませんが、そうした議論は進んでいるのでしょうか。さらには、教育行政大綱に掲げられている教育と福祉の連携を拡充するという課題から、このサポートセンター構想を市長はどのように受け止めておられますか。
(修学前の療育、保育、幼児教育と修学の連続性、教育における福祉人材の活用)

=関連資料=

2010年国連子どもの権利委員会の日本に対する政府報告書最審査最終所見
 アジア・太平洋地域における歴史的事実についてのバランスの取れた見方が教科書に反映されること

2013年第68回国連総会における文化的権利に関する特別報告者の指摘
 歴史教育は、愛国心を強めたり、民族的な同一性を強化したり、公的なイデオロギーに従う若者を育成することを目的とすべきではない。幅広い教科書が採択されて教師が教科書を選択できることを可能にすること、教科書の選択は、特定のイデオロギーに基づいたり、政治的な必要性に基づくべきではない。
 
 自国の歴史といえども、諸外国との関係史から成り立っている。故にナショナリズムに傾斜した独善的な歴史教育は、民族間、国家間の衝突を招きかねないとの教訓が背景にある。