議会復帰後初の行政視察 春日市、別府市

学校が変わる 地域が変わる 春日市のコミュニティスクール

ちょっと長いが読んでいただければ幸いだ。
11825153_530019813816721_1284804235004109631_n[1] 7月29日。議員に復帰して初めての行政視察に春日市に来た。春日市は、コミュニティスクールを導入して10年目を迎え、その成果が注目されている。コミュニティスクールとは、「地方教育行政の組織と運営に関する法律」に規定され、学校に置くことができる学校運営協議会を核に、学校と地域、家庭の三者が連携共同する学校のことだ。

 一般的には、学校評議員制度で学校が評議員に説明し、意見を聞くことや、地域支援本部がPTAに置かれているところでとどまっているが、春日市は、これでは形骸化だと批判的に評価している。春日市の進んでいるところは、学校づくりはまちづくりであるとの位置づけから、自治会と深く連携して、共同参画の体系的取り組みを推進しているところだ。
 そのために、市長部局の地域づくり課に社会教育を移管し、自治会に公民館運営を委託して公民館長を廃止した。こうして名実共に自治コミュニティと社会教育を一体化させ、それらの担い手が校長、教職員、PTA役員や教育委員会事務職員と共に学校運営協議会を構成している。その基本理念は、学校監督ではなく、学校支援と地域活性化という互恵のパートナーシップにある。
11811504_530019870483382_5308688383019583940_n[2] その考えに立って、教育委員会も機構と意識改革を進め、学校管理型の学校訪問と研究指定をやめ、学校の自立性と主体性を尊重し、教育長の出前トークで要望も吸収する双方向の対話関係に転換してきた。
 各学校では、運営協議会の元に実働組織を設置し、校務分掌も地域連携に対応した再編成を行ってきた。報告書類の削減、地域住民による丸つけボランティアや6年生への30人以下学級独自導入など多忙化軽減の条件整備により、地域連携の教育活動に無理なく専念できるようになっている。
 また、スチューデントコミュニティと名付け、中学校ブロックでの小中連携共同実践の中で、地域に参加する児童生徒の主体性を育てている。
11825730_530019923816710_7710017022661540456_n[1] こうして、地域人材活用型教育、地域題材活用型教育、地域貢献型教育、地域共学型教育など体系的で多様な切り口で教育活動が展開されている。具体的な教育実践をここでは紹介できないが、春日市教育委員会のホームページに詳しく報告されている。

 この10年の歩みは、市長と教育長の強い共同意思による行政主導の面は否めない。現場での深刻な対立やトラブルもあった。しかし、時間をかけた対話と試行錯誤を通じたやりがいの実感、子どもと保護者、地域の変容が、夫々の関係者を深く納得させてきた結果だと振り返られた。
 私は、大胆な発想と体型的な改革に敬意を評しながら、チャータースクール・学校の公設民営化への志向はないのかを尋ねた。春日市のコミュニティスクール施策を牽引してきた南指導主幹は、春日市にはチャータースクールの考えはなく、学校教育の公共性を地域コミュニティでの共同性を活性化することから高め、教育力を発展させることにあるとの主旨で回答された。
 

11824994_530019837150052_253790391377912405_n[1] 春日市のコミュニティスクール施策に関わってきた九州大学院法学研究院五十川教授は、春日市教育委員会編『コミュニティスクールの底力』でこう述べている。
 
「これらの『相互の視線の交流』の高まりこそが、次代を担う子どもたちに、自然なかたちで、『社会  性・市民性』や『人間性』を涵養する機会となることが期待されます」

 ここには、競争による学力向上など一言もない。社民主義的なコミュニティの共同性と市民教育から生まれる生きる力に価値を置く。むしろ市民社会における教育の原点再発見とすら思わせる新鮮さと真剣さに目を見張らされた。
 金沢では、中学校学校選択制を廃止し、小中連携強化としての小中一貫教育を本格化させる。春日市のコミュニティスクールの思想と組織化から学ぶべき点は多い。

広範囲に防災対策

11800315_530377880447581_5110050220997980002_n[1] 翌29日は、別府市の災害対策施策を視察した。

11817046_530377807114255_5552730989042489043_n[1] 活断層が複数走る別府湾、鶴見岳、伽藍岳は活火山。傾斜が続く扇状地。南海トラフ大地震の被害想定、津波浸水ハザード。対岸に伊方原発。こうした多様な災害への備えが必要。危機管理課は、ハザードマップを全戸配布し、避難指示表示板、津波避難ビルの協定設置を進めてきた。これに、自治会単位の自主防災会が避難訓練等を積み上げている。
11811576_530377787114257_7626324159191591891_n[1] 要支援者対策が課題で、現在は、対象者に情報提供の承諾個別交渉を行っている。また、観光客、留学生などの避難対策では、情報伝達、多言語表示が課題とされた。

 富樫森本断層が走る金沢は、浅野川水害が記憶に新しいが、全般的な防災危機意識が高いとは言えない。施策は、多面的に進められているが、行動を伴う意識醸成をいかに進めていくかが大切だて改めて感じた。
11796301_530377830447586_6757867996762640005_n[1] 11824970_530377850447584_6152401733042283044_n[1]