9月定例月議会質問報告

9月定例月議会一般質問 2019.9.12

                    森 一敏

1.自衛官募集に係る対象者情報の提供について
(1)自衛隊法ならびに同施行令の規定について
(2)根拠法令について
(3)個人情報保護の責務に立って
2.会計年度任用職員制度の導入について
(1)金沢市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例案について
(2)「再度の任用」の考え方に関して
3.市民のつぶやきから 
   路傍の石のような道路元標を消さないで

◆一問一答 全文  ー議会映像はこちらからー

1.自衛官募集に係る対象者情報の提供について

森議員:みらい金沢の一員としまして、以下、早速御質問させていただきます。今質問ではパネルを使わせていただくこと
を御了解いただいておりますので、補助者がちょっと出入りをいたしますが、よろしくお願いいたします。それでは、まず第1点目、自衛官募集に係る対象者情報の提供についてお伺いします。

 本年6月定例月議会において、自衛官募集に係る対象者情報の提供を求められた場合の対応について山野市長は、対象者情報の提供について、今年度、防衛大臣から紙媒体・電子媒体での提供依頼が初めてあり、自衛隊石川地方協力本部より電子媒体での提供を求められたら応じていくつもりでいると答弁されました。この18歳年齢、4,000人を超える対象者の個人情報提供の意思表示は、子や孫を持つ保護者や家族には驚きをもって受けとめられたようです。
 特定の国家機関との間で個人情報を取り扱う重要な事案に係る法令の解釈と運用は厳密かつ慎重でなければなりません。よって御質問いたします。           *末尾に参考資料として関係法令掲載

(1)自衛隊法ならびに同施行令の規定について
 まず第1ですが、自衛隊法並びに同施行令の規定について伺います。市長の答弁が政府見解を前提としているなら、防衛大臣が市町村の長に対し提出を求めることができるとしている自衛隊法第97条第1項及び同施行令第120条のどの規定をもって対象者名簿の提出を適法と根拠づけておられるのか、まずお答えください。

山野市長:自衛隊法第97条第1項の規定により、市町村長は、自衛官等の募集に関する事務の一部を行うこととなっています。さらに、対象者名簿の提供につきましては、この規定を受けた自衛隊法施行令第120条に、防衛大臣は、自衛官または自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事または市町村長に対し、必要な報告または資料の提出を求めることができるとの規定があります。その規定が根拠であります。

森議員:今の御答弁を確認させていただきたいと思うのですが、これが今御答弁をされました自衛隊法第97条第1項、それから自衛隊法施行令第120条、この2つです。 
 それで、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部、この一部というのは非常に曖昧な表現ですから、どこまでの事務を行うか。法定受託事務と思いますけれども、ここが私は曖昧ではないかなと思っているんです。自衛隊法施行令第120条で、今、最後の部分ですね、赤にしましたが、報告または資料の提出を求めることができる。これが根拠だという御答弁でありました。私、この報告または資料の提出というこの文言が個人情報にまで及ぶのかどうなのか、この御判断が私には腑に落ちない部分があるんです。これに関する、個人情報まで含んでいるんだという根拠規定というのはあるんでしょうかね。

山野市長:国会におきまして、これは平成15年の国会ですけれども、適齢者情報の提供は自衛隊法に基づく情報提供として違法となるものではない。住民基本台帳法上の趣旨に反するものではないという答弁がなされているところであります。

(2)根拠法令について
森議員:そういう答弁に基づく判断と。法律に対する判断ですよね。それが御答弁。
 今お話があった住民基本台帳法をちょっと見たいと思うのです。これは2番目の御質問になります。根拠法令についてです。対象者情報の閲覧を認める根拠としてきた住民基本台帳法です。第11条第1項、法令で定める事務の遂行のために必要である場合には、住民基本台帳の一部の写しの閲覧を請求することができると定められております。確かに書かれております。しかし閲覧を超えて提供までを請求できる根拠として、この法律にどんな規定があるんでしょうか。

山野市長:住民基本台帳法上、住民基本台帳の一部の写しの閲覧の規定があり、その資料の提供はその趣旨に反するものではありません。閲覧は転写させることで、その写しを提供することが前提であるというふうに理解をしております。

森議員:閲覧というものが閲覧をした人が事務をとって転写をするということと、この台帳法に基づいて個人情報を行政側が提供するということとの間に溝があるんじゃないですか。なぜならば、住民基本台帳法は原則非公開に法改正されて至っていますよね。私は、その判断というのは無理があるんじゃないか、このように思います。いかがでしょうか。

山野市長:閲覧をさせるということは転写させることで、その写しの提供をするということが前提であります。私は、そごがないというふうに理解をしています。

森議員:この御答弁がありましてから、所管の責任者の方にいろいろと関係する考え方、あるいは法的な問題についてお話を伺っておるんですけれども、その際には、住民基本台帳法だけではその判断は難しいという見解を聞いているんですね。だから、行政が保有する個人情報の保護に関する法律、これは別の法律になりますが、この法律を引用しなきゃいけないんじゃないかと、もしそういう場面になりましたらというふうに私は伺っておるんです。
 個人情報、行政が保有する個人情報保護、それに対応する本市の条例は個人情報保護条例第24条ということになるわけです。これの大原則は、目的外利用、目的外に提供する、これは原則バツですね。ただし、法令に基づく場合は例外なんです。だから、今回、自衛隊法があるから、それから施行令があるから法令に基づくんだということで、このバツの中の例外という位置づけになる。ここまではそういうたてつけだなと私は理解するんです。問題はその後なんです。目的外利用、提供できる場合について条件を付しておりますね。1つは本人が求める場合です。それから、この後問題になりますが、相当な理由があるとき。もう1つ、3点目は統計調査とか学術研究。しかも、この中には、そのことによって個人に利益がもたらされる、そういう場合に限定してこの目的外利用というものを設定しているんです。これは法も条例も同様な書かれ方をしております。そうしますと、ここで必要とされている相当な理由、これはいかなるものとお考えになっているのか。それもお聞かせください。

長谷市民局長:本市条例におきましては、目的外利用、あるいは外部提供できる場合は、条例上、次の各号のいずれかに該当すると認めるときはできるわけでございまして、対象者名簿の提供は、この条例第24条第1項第2号に定める、法令等に定めがあるとき、この規定に基づき行うものでございまして、相当な理由を必要とする、第6号でございますか、これに基づくものではございません。

森議員:相当な理由というものが認められない中で、その上位の規定を適用するということは法の構成からして間違いではないでしょうか。

長谷市民局長:本市条例のたてつけ、先ほど御理解していただいておるとおっしゃられたように、各号のいずれかに該当するものであれば外部提供できるわけでございまして、今回の件については法令の規定があるということでございまして、繰り返し申し上げますが、相当な理由があるときというものは要件とされておらぬわけでございます。

森議員:法律は後ろ側に書かれている条項が上書きしていくというふうに法の専門家は指摘をしておりますから、相当の理由というものが極めて大きなファクターであるということを私は申し上げておきます。
 もう1点、この行政保有個人情報保護法、個人情報保護条例、それぞれ本人または第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合はだめだと、こういうふうに規定しております。本人または第三者の権利利益を不当に侵害するおそれ、ありませんか。どういう認識でしょうか。

長谷市民局長:そもそも自衛官の募集に関する事務は、自衛隊法第97条第1項の規定により、市町村長がその事務の一部を行うこととなっているところでございまして、対象者名簿の提供は法令に基づき行うものであり、提供する情報は自衛官募集事務に限って使用されることでありますから、名簿に記載された本人または第三者の権利利益を不当に侵害するものではないと考えております。

森議員:自衛隊法の規定、そして住民基本台帳法の規定、あるいは個人情報を保護する法の規定、これらはどちらかに優位性があるとかそういうことではなくて、並列関係でなきゃいけないんじゃないか、憲法の考え方からすれば。私はそのように考えます。ですから、個人情報を保有している本人あるいは第三者の権利をどう考えるかということが今問われてくるんじゃないかと、今の御答弁を聞いて私はそのように感じております。

(3)個人情報保護の責務に立って
 3点目、関係法令を通して言えるのは、自衛官募集に係る対象者情報の提供は自治体の責務ではなくて、自治体ごとの判断であるということだと思います。今年度、シールによる情報提供を決めた京都市は、条例に基づく個人情報の利用停止請求が行われた場合、宛て名シールからその方を除外するという対応を行っております。だからシールを出していいという立場では私はありませんけれども、京都市が個人情報、これは自己情報コントロール権というふうに最近は言われると思いますけれども、これにやはり目を向けて対応されているという点では学ぶべき必要があると私は思って今御案内をしました。

 情報学者や弁護士等法律専門家から、個人情報保護という自治体責務に照らして、対象者情報の提供が違法な措置となるおそれがあると指摘されているんです。電子媒体による対象者情報の提供に応じていくとの答弁は撤回されて、本市条例に基づく金沢市情報公開及び個人情報保護審議会における審議を初め、広く市民の意見を聴取し、個人情報保護の趣旨に沿って対応することを求めますが、市長の御所見を伺います。

山野市長:対象者情報の提供は、先ほど来、局長も申し上げましたけれども、金沢市情報公開及び個人情報保護に関する条例第24条第1項第2号の、法令等の定めがあるときに該当するものとして行うところであります。その法令等は先ほど申し上げましたとおりであります。同条例に基づく適正な取り扱いでありますことから、私は答弁を撤回するつもりはありませんし、個人情報保護の趣旨に沿った対応であることを御理解いただければというふうに思います。

森議員:撤回をなさるつもりはないと、適正であるということをおっしゃられましたけれども、京都市の例にありますように、プライバシー、自己情報コントロールの権利を保障するということは極めて重いテーマだと思うのです。それから、相当の理由について先ほど伺いましたが、どうもちょっとその相当の理由という位置づけについて、ちょっと御都合主義的な解釈じゃないんだろうかという気がいたしました、はっきり申し上げますと。それから、報告資料の中に個人情報まで本当に含めることが適法なのかどうなのか。これについても疑義があると思うのです。
 ですから、自治体によって相当対応にばらつきがあって、個人情報まで提供するのは36%ぐらいでしたかね。閲覧にとどめている自治体が53~54%、閲覧そのものに規制をかけている自治体が10%ほどあるという、こういう大きなばらつきがあるんですね。ですから、私はこの法の適用の仕方、当てはめ方、その結論を出すに至るまでに、もっと専門的な精緻な議論が私は必要だ。そうしないと自治体の責務である個人情報の保護ということができないという間違いを犯しかねないということを大変危惧するんです。ですから、改めて審議会等を含めた慎重な対応を検討していただきたいということをもう一度求めますが、いかがですか。

山野市長:先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、法令、条例を遵守した、適正にのっとった対応であります。先ほど幾つかの自治体の事例もお話しになられました。私も参考にさせていただきながら判断をさせていただいたものであります。適切な判断であるというふうに思っています。

森議員:来年の募集説明会に向けて、いわゆる個人情報の提供を求めてこられる時期というのが11月か12月ぐらいになるんじゃないかと、このようにみられておりますので、それまで私が疑念として申し上げた点について、くどいようですけれども再検討をしていただくことを求めて、次の質問に移ります。

2.会計年度任用職員制度の導入について
(1)金沢市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例案について
森議員:質問の第2は、会計年度任用職員制度の導入についてです。 
 まず、金沢市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例案についてお伺いをします。その中の1番目として、今定例月議会に金沢市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例案が提出されました。そこで、まず、本条例制定の趣旨としている地方自治法、地方公務員法等の改正の目的について、改めて本市の認識を伺います。

山野市長:今回の改正は、地方行政の重要な担い手となっています非常勤・臨時職員の適正な任用、勤務条件を確保するため、新たに一般職の会計年度任用職員制度を創設し、任用、服務規程等の整備を図るとともに特別職非常勤職員及び臨時的任用職員の任用要件の厳格化を目的としたものであると認識をしています。

森議員:私、一昨年だったかもしれませんが、この非常勤あるいは短時間勤務の、しかし現場では大変重要な仕事をなさっておられる方々の処遇が十分ではないんじゃないかと、こういうことを御質問したことがあります。その際、この会計年度任用職員制度が導入される見通しだという答弁をいただきましたから、今、この法改正の趣旨、具体的に御答弁をいただいたわけですけれども、私は、その中で任用のこととそれから条件、処遇、これがよりよいものに、そして、はっきりとしたものになっているということが今回の法改正の趣旨ではないかというふうに理解しております。
 そこで次ですが、本条例において会計年度任用職員の給与等の処遇に関して、制度導入の趣旨をどのように担保しているかお答えください。

山野市長:会計年度任用職員は一般職となりますことから、職務給の原則、均衡の原則等を定めた地方公務員法の適用を受けることになります。したがって、従事する職務の内容や責任の程度、職務経験等の要素を考慮し、総務省から示されたマニュアルに沿って報酬額を決定するほか、常勤的な会計年度任用職員には期末手当を支給することとしています。

森議員:3番目、来年4月の制度導入により、対象となる会計年度任用職員の部局ごとの総人数をお伺いするとともに、給与等に係る経費の変動をどう見込んでいるのか。加えて、財源に対する考え方についてもお聞かせください。

太田総務局長:部局ごとの総人数でございますが、ことし4月1日現在の職員でみますと市長部局482名、教育委員会748名、その他の部局90名を合わせ、全体で1,320人でございます。給与等に係る経費につきましては、新たに期末手当を支給することなどにより、今年度と比較して導入初年度は約1億7,000万円、その翌年度以降は約2億6,000万円の増額を見込んでおります。財源につきましては、自治体の過度な負担となることのないよう、国において地方財政措置を検討されているということでございますので、その確実な実施につきまして全国市長会を通じて要望しているところでございます。

森議員:金沢市として、より人件費を支出をしてこの会計年度任用職員制度というものを支えていくんだという、そういう御答弁としてお受け取りをいたしました。財政措置について、国にしっかり求めていただきたいということもあわせて申し上げておきたいと思います。

(2)「再度の任用」の考え方に関して
 ところで、再度の任用の考え方についてお伺いいたします。まず、私は昨年6月の定例月議会よりたびたび再度の任用の上限設定に対して異を唱えてまいりました。今年度末で上限に達し再度の任用を受けられなくなる職員の総数、その補充となる新規任用の見通しを伺います。

太田総務局長:今年度末で上限に達し任用を終了する職員数は市長部局で61名、教育委員会では103名、その他部局6名を合わせまして全体で170人となっております。職員の募集につきましては、ハローワークや新聞広報、また、ホームページなどで広く周知をしておりますけれども、募集する職種、また人数が多いことから、できるだけ早期の募集に心がけ、確実な人材確保に努めてまいります。

森議員:やはり多いという認識はお持ちのようですね。ということは、必要となる多い新たな任用者を確保しなきゃならないと。これ大変問題だと思いますね。
 その前提で以下伺いますけれども、この件に関して各自治体が制度設計を行うに当たり、総務省は多岐にわたり基本となる設計を、指針を事務処理マニュアルとして示してきました。そして、そのマニュアルに基づいて進捗を調査し、その結果を3月28日に各自治体に通知し、改善を促しております。通知によれば、これらは特に留意すべき事項とされて、遺漏のないよう必要な対応を求めております。まず、この総務省通知の認識を伺います。

山野市長:各自治体に改善を促した総務省通知にありますように、地方自治法等に定められた技術的助言であるというふうに認識をしています。

森議員:助言というふうにお答えになりました。このマニュアルの中で再度の任用の応募制限というものについて記載があります。適正化に向けた検討状況まで示されておるんです。回答した市区794団体あります。制限の設定なし、任用の応募条件に制限の設定がない、これが78.8%もあるんですね。それから、設定があると答えたのは21.2%です。そして、この通知のやりとりの中で17.8%、つまり21.2%の制限があると答えた自治体の8割以上が見直す予定。条例がスタートするまで、それから条例スタート後を含めて見直す予定と回答しているんですよ、8割以上が。この再度の任用の応募制限について、本市として見直すおつもりはありませんか。改めてお伺いします。

山野市長:本市の非常勤・臨時職員につきましては、職員本人に対しあらかじめ任用期間を示し、その了解を得た上で任用をさせていただいているものでありますし、また、定型的・補助的な業務が多く、就労の機会を広く提供する必要があることなどから、見直しは今のところは考えてはおりません。

森議員:この総務省のマニュアルの中にこう書いてあるんですね。募集に当たって、任用の回数や年数が一定数に達していることのみを捉えて一律に募集要件に制限を加えることは、平等取り扱い原則や成績主義の観点から避けるべきである。この考え方を理解した自治体が、それぞれ内規で再度の任用の条件を定めていたと思うのですけれども、これの見直しに多くの自治体が入ったということなんですね。この考え方に私は、今のところという御答弁でありましたけれども、今のところこの考え方に逸脱しているんではないか。このことを申し上げて次の質問に移りたいと思います。ぜひさらなる御検討をお願いしたいと思います。

3.市民のつぶやきから 路傍の石のような道路元標を消さないで
森議員:それでは3番目、市民のつぶやきから、路傍の石のような道路元標を消さないでほしいという声に関して御質問をいたします。
 7月末の炎天下、地域住民の方から呼びかけがありまして、富樫小学校運動場の際にこれは建っているんですが、この石柱を視察しました。風化した刻字が若干読み取れるんですけれども、これは富樫村と彫り込まれております。それから、これは裏なんですが、道路元標というふうに刻まれております。行政職の方ですから、道路元標、ああとおわかりになる方いらっしゃるんじゃないかなと思いますけれども、道路元標とは、道路の起点・終点・経過地を標示するための標示物のこと。明治時代の里程元標というものが前身でありまして、1919年、これは大正8年、旧道路法によって各市町村に1個設置をすることとされたものです。石でつくりなさい、あるいはその他の耐久性のあるものを使用してつくりなさいと。全国で1万2,000カ所以上の市町村の中心地に設置が始まったとされております。東京日本橋に、まさに国道の起点として日本国道路元標が設置されていることは知られております。ちなみに金沢市には尾張町に石川県道路里程元標が建っております。ちょうど文学館の隣に写真屋さんがありますが、その真ん前に、当時のものではありませんが記念碑的にきれいなものが建っております。森本まで何里、野々市まで何里という、その石面の方角にそのように刻まれているものがあります。金沢市道路元標を探したんですが見つかりませんでした。武蔵ヶ辻に設置されていたようです。まずは、この道路元標を本市としてどのように認識しておられるのか伺います。

山野市長:私も見た覚えあります、先ほどのものは。この富樫小学校敷地内にあります道路元標につきましては、1952年(昭和27年)、現行道路法上の施行により、大正時代の旧道路法で規定されていたものであります。ただ、その役割については失われているものであります。現在は旧富樫村の歴史を物語るものであるというふうに考えています。私は、その役割、機能的なものはないかもしれませんけれども、今ほど申し上げましたように、旧富樫村の歴史を語るものとして、私は日常生活に差しさわらない限り大切にしていきたいというふうに思っています。

森議員:富樫小学校敷地に建つ富樫村道路元標ですけれども、私自身も4年間教員として富樫小学校に赴任しておったんです。しかし、不覚にもこの道路元標には気がつきませんでした。この地に建ち続けているとしたら、その当時ここに村役場があったのかなとか、地域がどのように成り立ち、変遷してきたのかなとか、子どもたちと学ぶ歴史への興味が湧いてくるわけです。大変惜しいことをしました。主体的で深い学び、これにも大きく寄与するんじゃないかと、このように今にして思うわけです。
 こうした今となっては路傍の石のような存在も、地域の歴史を今に伝える生き証人ともいえる文化的価値を有するのではないかと思います。現存する道路元標は全国で2,000カ所を下回っていると推計されていますが、関心を寄せる地元住民の方は、校舎改築などで失われてしまわないか、この保存や活用を強く望んでおられます。本市としてこの思いにどう応えていかれるのかお聞かせください。

山野市長:先ほども申し上げましたけれども、いろんな事情で、例えば子どもの何かに不都合があるとかですね、さまざまな不都合がない限り、私はできる限り残していかなければいけないものだというふうに思いますし、その元標を通して、今まさに森議員がおっしゃったように、そこで働く方、そこで住まいをされる方、学校に通う子どもたちが地域の歴史に思いをはせる。そんな場であってほしいというふうに思っています。可能な限り残してほしいというふうに思っていますし、行政としてできる限りの対応をしていきたいと思っています。

森議員:恐らく本市にそのほかにも点在をしているのではないかと考えられます、こうした地域の歴史に触れるよすがとなる遺物の政策的な位置づけ、保存と利活用、また地域住民との連携についても、あわせて市長並びに教育長のお考えをお伺いしたいと思います。

山野市長:きちんとその価値がわかっているものもあれば、そうでないものもあるかというふうに思います。いま一度整理をすることが大切だというふうに思っています。文化財保護の基本的なアクションプランとなります文化財保存活用地域計画の策定に係る補正予算を計上もさせていただいたところでありまして、ぜひ有効に、御理解をいただければ有効に使っていきたいというふうに思っています。また、文化庁からも計画作成指針が出されているところでありまして、この地域計画に、地域に残る未指定の文化財や文化的な所産についても地域計画の中に位置づけることは可能だというふうにされておりますので、これらを地域計画に盛り込むということを進めていきたいというふうに考えています。

野口教育長:とても懐かしい写真が出てきたなというふうにして思っています。私は富樫小学校の卒業生でありまして、昔、木造校舎があって、そこに通っていたんですが、道路から入って入り口で、農協が横にあったんですけれども、その近くにこれがあったことをはっきり覚えています。
 それで、答弁でございますが、本市におきましては、主に総合的な学習の時間の中で、金沢の持つ伝統や文化、また自然・歴史・食などについて、多様な素材とか人材を活用しながら金沢ふるさと学習というもので勉強をさせていただいております。また、各小学校の社会科におきましては、地域に残る用水または石柱、そして銅像、古い建物などから地域の発展に尽くした先人の働きを考えて、そして地域に愛着と誇りを持つ学習も行っております。今後とも、各教科等の学習を通しながら、地域の住民の思いに心を寄せながら、地域に残る建造物等に愛着と誇りを持ち、それらを大切にしようとする心情を育んでいきたい、そのように考えております。

森議員:富樫村道路元標について不明であったのは私一人だったということが今認識をいたしました。(笑)
 この地域には、今も田畑を潤している山科用水という、一番最初の隧道の大きな洞穴が下から見ることができる状態でまだ残されておりますし、田んぼの水をずっとさかのぼっていったらそこへ行き着くんですね。そういう探検学習をした記憶はあるんですけれども、さまざまな学習に生かすことのできるそういう地域の遺物、あるいは現在も現役で稼働しているさまざまな施設、それにかかわった方々、さまざまな人々から子どもたちが豊かに学んでいる。学力テスト体質よりは、こういう教育に重点を移して、ぜひこの金沢の教育を深めていただけたらというふうにちょっと付言をして、少し時間が残りましたが、これで質問を終わります。

  

*関係法令

【自衛隊法】

第97条
1 都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う。
2 防衛大臣は、警察庁及び都道府県警察に対し、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部について協力を求めることができる。

3 第一項の規定により都道府県知事及び市町村長の行う事務並びに前項の規定により都道府県警察の行う協力に要する経費は、国庫の負担とする。

 

【自衛隊法施行令】

第120条 報告又は資料の提出

防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

 

【住民基本台帳法】

第11条(国又は地方公共団体の機関の請求による住民基本台帳の一部の写しの閲覧)

1 国又は地方公共団体の機関は、法令で定める事務の遂行のために必要である場合には、市町村長に対し、当該市町村が備える住民基本台帳のうち第7条第1号から第3号まで及び第7号に掲げる事項(同号に掲げる事項については、住所とする。以下この項において同じ。)に係る部分の写し(第6条第3項の規定により磁気ディスクをもつて住民票を調製することにより住民基本台帳を作成している市町村にあつては、当該住民基本台帳に記録されている事項のうち第7条第1号から第3号まで及び第7号に掲げる事項を記載した書類。以下この条、次条及び第50条において「住民基本台帳の一部の写し」という。)を当該国又は地方公共団体の機関の職員で当該国又は地方公共団体の機関が指定するものに閲覧させることを請求することができる。

 

【行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律】

第8条(利用及び提供の制限)

1 行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。

2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、 利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、 保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

三 他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。