2018年9月定例月議会本会議質問報告

2018年9月定例月議会一般質問                    森 一敏

 【質問事項】
1.本市の雇用者責任に関して
(1)障害者雇用における水増し問題について
(2)「通算任用期間の上限設定に伴う任用終了時期のお知らせ」その 後について
(3)非常勤職員等の任用について

IMG_8379 2.宿泊税の導入に関して
(1)特別徴収義務者に科される罰則等について
(2)地方税法第733条の15求償権について
(3)「丁寧な説明をもって事業者のご理解を得たい」について
(4)真の意味での市民参画を求めて

 3.市民のつぶやきから 本市の街路緑化について
(1)剪定に関して
(2)街路樹の枯死に関して

【一問一答議事録】  ー動画配信はこちらから
森:それでは、会派みらいの一員としまして、以下、御質問させていただきます。
 まず、質問に先立ちまして、今ほどの黒沢議員からも表明がありましたけれども、度重なる大変大きな自然災害が続いておりまして、広範にわたってとうとい人命が失われまして、私のほうからも謹んで哀悼の気持ちを表明させていただきたいと思います。また、多くの方が現在、被災生活を送っていらっしゃいますので、一日も早い平穏な暮らしが戻られますように切に祈念を申し上げたいと思っております。

 それでは、まず本市の雇用責任に関して御質問を始めさせていただきます。

1.本市の雇用者責任に関して
(1)障害者雇用における水増し問題について
 森:まず第1は、障害者雇用における水増し問題についてであります。8月28日に公表されました中央省庁の再点検結果では、厚労省の障害者の把握・確認ガイドラインに基づかない算入数が3,460人と、半分を超える、そうした数に当たる人数が水増しであったと判明をしました。そのことによって、法定雇用率は1.19%と半減をしました。長年にわたるこうした水増しに対して、障害のある方や関係団体からは、障害者雇用に対する公的な信用の失墜であるとともに、本来雇用されるべき障害のある方の雇用機会を奪う背信行為であるとの厳しい憤りの声が上がっております。私たちみらい金沢は、問題が自治体にも及んでいる事態を重く見まして、市長宛てに申し入れを行った次第です。改めて、以下お尋ねいたします。

 まず、金沢市及び全ての関係機関における障害者雇用の実態調査の結果と市長の受けとめを明らかにしてください。

 41505189_1149530861865610_5801813738092756992_n[1]太田総務局長まず、実態調査の結果についてお話をさせていただきます。先般、国のガイドラインに沿いまして、職員に対する緊急の調査を実施いたしました。同意書、また、手帳の写しの提出を求めまして、取りまとめを行いましたところ、ことし6月1日現在の雇用率は、市長部局では法定雇用率の2.5%に対し1.29%、同じく企業局では2.14%、教育委員会では法定雇用率の2.4%に対し2.74%となりました。企業局と教育委員会におきましては、端数処理の関係から法定雇用率で求められる人数を満たしておりますけれども、市長部局におきましては、雇用率で1.21ポイント、人数にして27人不足する結果となりました。以上です。

 41558952_1149828068502556_5996177466551435264_n[2]山野之義市長:私の受けとめ方ということでありました。国のガイドラインから、取り扱いが難しい指定医による診断書を持った者を除き、手帳保持者のみを障害者雇用率の算定に用い、調査を実施した結果、同意書と手帳の写しの提出について、本人から同意が得られなかったケースなどもあり、市長部局において法定雇用率を大きく下回ることになりました。 
IMG_8350 そのことにつきまして、森議員御指摘ありましたように、結果として、障害のある方の雇用の機会を奪ったことにもなります。障害のある方、また、関係機関の皆さんに心からおわびを申し上げたいというふうに思っています。あわせて、国のガイドラインどおりに報告できていなかったことにつきましてもおわびを申し上げるとともに、市民の皆様にもおわびをしなければいけないというふうに思っています。申しわけございませんでした。

森:今の御答弁で、特に市長部局でかなり法定雇用率が下がってしまうという実態が判明をしたということが明らかになったかと思います。大変残念に思います。今の御答弁の中で原因についても言及されたかもしれませんが、改めて、こうした状況になったことの原因をどのように把握していらっしゃるんでしょうか。

41520567_1149828061835890_538175585625571328_n[1] 太田総務局長:国のガイドラインにおきましては、職員全員に照会を行い、本人の同意に加えて、障害者手帳や指定医による診断書等による確認ができた者に限り算定することとされております。職員の中には、同意書、また、手帳の写しの提出をためらう者もいると思われる一方、プライバシーにかかわる問題でもありますことから、強制することも認められておりません。こういったことから、正確な状況の把握が難しい面があったと思っておりまして、本人から提出されます現況報告書の記載に基づくことが、より正確な障害者数の把握につながるとこれまで判断をして、その数で報告をしてきたものでございます。ただ、理由はどうあれ、ガイドラインどおりに報告できていなかったことは事実でございます。今後は、国の方針も見きわめながら、ガイドラインに沿いました対象人数の把握に努めてまいります。以上です。

 森:障害者の雇用の促進等に関する法律、何度か法律改正が繰り返されていまして、2006年ですかね、精神に障害のある方もその対象になる、それから2018年になりましたら、法定雇用率の算定基礎に加えると、こういう改正が行われてきましたので、私もプライバシーに配慮をした実態把握というものが不可欠だということはよく理解をいたします。今回は、それに配慮をした形で実態調査を行って結果がわかったということですから、ちょっと言い方は厳しいかもしれませんが、これまでにも、そうした手法をとれば実態把握がきちっとできていたはずだと、こういうふうに思うわけですね。そのことについてどのように受けとめておられますか。

 山野市長:プライバシーに配慮をして取り組んできたつもりではありましたけれども、結果として、ガイドラインに沿わない形での報告になりましたことにつきましては、繰り返しになりますけれども、障害のある方、また、その関係団体の皆様方に対しまして心からおわびをしなければいけないというふうに思いますし、局長、今、申し上げましたように、いま一度、国の方針をきちんと見きわめながら、信頼をしていただけるような形での報告に努めてまいります。

 森:プライバシーに配慮しなきゃいけないということは、これは当然のことなんですけれども、一方で、いかなる障害であろうと、障害があるということは、全ての方々の特性とか個性に属するものであるということを、このインクルーシブ社会はそこに価値観を置くということだと思いますから、これが自己申告なかなかしづらいというような空気とか意識が仮にあるようであれば、その払拭というのは、市役所としてまず第一義的にやっていかなきゃならない、そういう課題ではないかと思いますので、これはその旨申し上げておきたいと思います。その上で、今ほどもちょっと言葉としてありましたが、官民、官高民低ではないかという、こういう厳しい指摘が寄せられています。
 それはどういうことかといいますと、民間企業は、障害者雇用の実態を厚労省に報告する義務がある、虚偽報告があった場合は罰則もあるわけです。法定雇用率を下回れば、逆に納付金を納めなきゃならない。中央省庁や地方公共団体は、厚労省に自主的に通報するだけで済んで、罰則もないと。官高民低そのものだとの厳しい声です、これが。本市として、改めて、障害者雇用に対する信頼回復のためにいかなる姿勢で臨んでいくかお伺いします。

 山野市長:今後は、障害者職員採用試験を当然、引き続き継続して実施いたしますほか、職員全員に制度の趣旨を伝え、対象者の同意を得るように努めていきたいというふうに思っています。ただ、その大前提として、森議員がおっしゃったように、そういうことを同意を得ることにちゅうちょするような空気があるとするならば、その空気の払拭にも努めていかなければいけないというふうに思っています。国の方針等を待って、適切に対応していきたいと思っています。あわせて、雇用率はもちろんしっかりと守っていくことは当然のことではありますけれども、これも森議員、同様の趣旨のことでおっしゃったと思うのですけれども、障害者の能力を生かすことができる業務の精査など、障害のある職員の働く環境の整備等にも意を用いていかなければいけない、そんなことも強く感じているところであります。

 森:ぜひ、課題意識を共有して全庁的に取り組んでいただきたいなということを重ねて申し上げます。

(2)「通算任用期間の上限設定に伴う任用終了時期のお知らせ」その後について
IMG_8387森:それでは、2番目なんですけれども、通算任用期間の上限設定に伴う任用終了時期のお知らせ、この問題について、6月の定例月で私のほうから御質問をさせていただいた経緯があります。その後についてお尋ねをします。2020年度からの会計年度任用職員制度への移行に備え、今年度当初、本市学校現場等で働く短時間パート職員にも通算任用上限5年を当てはめ、雇いどめの予告通知が出されました。そのために、当事者及び学校現場に混乱が生じました。6月定例月議会で、同僚議員とも連携し、再度の任用機会の検討を求めてきましたが、その後の対応についてお伺いするとともに、現在の任用条件についてもお答え願います。

 太田総務局長:まず、私のほうからは、その後の対応について御説明をさせていただきます。短時間勤務パート職員の再度の任用につきましては、これまでの経緯、または勤務実態等を踏まえまして、改めて検討いたしました。その結果、原則5年の雇用の上限は変更はできませんものの、再度の任用を認めることにより、実質的な雇用の上限を10年とすることといたしました。また、既に通知を行いました短時間勤務パート職員の方々につきましても、再度の任用により雇用の上限を10年までといたしますほか、激変緩和を図るために、現在、既に10年を超えて任用している職員についても、改正地方公務員法が施行される来年度末まで雇用を延長いたしますなど、経過措置を講ずることといたしまして、教育委員会において、7月下旬に再度、説明会を開催し、内容を周知いたしましたところでございます。

 野口教育長:私のほうからは、任用状況について答弁させていただきます。現在、学校給食調理パート職員は110人、配膳パート職員は108人、特別支援教育支援員は132人、心と学びの支援員は32人を任用しております。

 森:この課題につきましては、学校の教育活動に不可欠なスタッフだということで、大変な思いのこもったいろんな御意見等、私も頂戴しましたし、お伝えさせていただいてきたと思います。聞くところによりますと、この通知の後で、残念ながら退職を希望されて、次の道を探されるという方がかなり出られたということも聞いていますし、それから現時点でも、まだ若干ながら充足していないという職場もあるやに聞いておるわけですね。キャリアを積んで学校を支えてくださる、そういうスタッフの任用のあり方というものに私はやはりまだ課題が残されているんじゃないかと、このように問題意識を持っております。これは、ともにまた考えていただきたいなというふうに思っているところです。

(3)非常勤職員等の任用について
IMG_8415森:そこで、3点目の質問ですけれども、非常勤職員等の任用についてお尋ねをします。ところで、本市関係機関の非常勤並びに臨時的任用職員、派遣職員数を人事課に伺いましたら、4月1日現在で、非常勤職員866人、臨時職員460人、派遣職員は4人と、合わせて1,350人との回答が出まして、大変驚きました。実に、全職員中、約3割に及ぶんじゃないかと思われるこうした非常勤等の任用は、どのような判断で実施されているんでしょうか。

 太田総務局長:非常勤職員等の任用につきましては、相談業務などの専門的な分野のほか、欠員補充や補助的な業務などのために配置をいたしておりますところであります。面接等を経まして、適任者を任用しているところでございます。以上です。

 森:相談業務、あるいは欠員補充ということですが、欠員補充というのは恐らく臨時的任用ということではなかろうかと思うのですけれども、それにしても、この1,350という数はちょっと理解がすぐにはできない、その今の判断をお伺いしましてもね。これはそうであってはいけないと思いながらお伺いしますが、本来、正規職として任用すべきような、そういう職にこういう形で充てられていると、そういうことはありませんでしょうか。

 太田総務局長:正規の職員につきましては、定数管理も行いました上で、必要な職を採用等で埋めております。非常勤職員等につきましては、臨時職員も含めまして、正規がしております仕事の補助、あるいは先ほど申し上げましたような専門的な分野について資格者を採用するなどをして、その対応に当たっているところでございます。

 森:民間に適用される労働契約法では、この4月より、有期雇用を5年間繰り返した労働者に無期転換の申込権を保障するようになりました。既に、これは施行されています。安心して働き続けられる社会を実現しようとする意思が法律改正に込められたと思います。これとは逆に、本市でも地公法の趣旨、これは前回質問に対する御答弁の中でこういう言葉があったかと思いますが、これを盾に、非常勤職員の通算任用上限を5年として、事実、雇いどめを行っていると思います。無期転換ルールを率先するのは自治体の責務ではないかと私は思いますが、会計年度任用職員制度の設計に当たって、通算任用上限を撤廃し、無期転換の任用ルールを取り入れる独自の設計を検討してはどうかと思いますが、見解をお聞かせください。

 太田総務局長:地方公務員におきましては、労働契約法の適用除外となっております。したがいまして、無期転換ルールを導入することは自治体の責務とは考えておりません。地方公務員法の趣旨からも、非常勤職員はあくまで短期の任用が前提となっており、国におけます上限が3年となっていることなどからも、市の対応は適切なものと考えています。会計年度任用職員制度に移行した際にも、一定の上限を定める措置は引き続き必要でありまして、無期転換ルールを取り入れることは考えておりません。

 森:これは変わらない御答弁というふうに理解をしますけれども、その6月に私が質問をさせていただいたときに、まさに総務局長が御答弁をされましたが、時を同じくして行われた労働契約法の改正により、5年を超えた職員等について無期限に雇用を継続しなければならないとされたことを受けて、上限5年を、これは適用対象でなかった短時間パート勤務者にもこれを適用せざるを得ないと判断をしたと、こういう御答弁がありました。今の御答弁のとおり、まだ法的な意味合いで、私は、これはわかったとおっしゃっていただかなきゃならないという意味では申し上げていないんですけれども、雇いどめ、この雇いどめの法理、繰り返し任用を受けてきた方には継続雇用の期待感が生まれる、これを権利として保障するというふうに労働契約法は改正になったんですね。労働契約法です。これは公務員にはまだ適用されていません。けれども、私が申し上げているのは、社会の方向性として、そういう考え方をこれからはとっていくべきだと、それが安心して働き続けられる安心社会につながる、経済にも好循環が生まれると、こういう考え方が背景ではないかと思うのですね。そういう意味では、今の御答弁は雇いどめを正当化するという、こういう意味合いになりませんか。

 太田総務局長:議員おっしゃいます雇用の期待権といいますか、そういったものはこれまでの判例でも出ていることは承知をいたしております。ただ、私どもが採用をして、雇用させていただく場合には、基本的には1年の任期、そしてポスト、仕事等があった場合に、そして勤務成績がいい場合に、引き続き任用させていただくといった条件で当初から採用させていただいておりまして、任期は1年ごとの任期というふうになっております。非常勤職員等につきましては、5年で雇いどめとおっしゃいますけれども、そういった意味で我々は雇いどめというふうな考えは持っておりませんし、先ほどお話にありました非常勤パート等の短時間勤務職員につきましては、一度4月、5月に通知を出して混乱を招きましたけれども、その後、内部で対応を考えまして、今10年ということで従来と変わらぬ取り扱い、それからこの間、国のほうで会計年度任用職員の制度設計が並行して進んでおります。それがある程度固まってまいりましたので、今回そういった対応をとらせていただくというふうにした次第でございます。以上です。

 森:これから、公務員の任用制度についてもさらに改正が積み重ねられていかなきゃならない、そういう課題があるんだろうというように私は受けとめています。今回、会計年度任用職員制度に移行していくということに当たって総務省がマニュアルを出していて、そのマニュアルは、任用回数、年数が一定数に達しているからといって、一律に募集要件に制限を加えることは、平等取扱原則、成績主義の観点から避けるべきであると、こういうことが言われているわけですね。ですから、同一人物であっても、有期雇用を繰り返していく、その上限を必ずしも定めなくてもいいというふうに、私はこれ読めるんですね。ここは解釈の違いがあるかもしれませんので、ぜひ、この公務員分野でも無期転換のルールというものを導入できないのかどうなのか、私はやはり検討を加えていっていただきたいということを思っています。これは答弁は求めません。

 2.宿泊税の導入に関して
(1)特別徴収義務者に科される罰則等について
森:質問の第2項目に移ります。宿泊税の導入に関してです。
IMG_8365 来年4月から導入を予定している宿泊税に対して、宿泊事業者の中からの懸念の声が鳴りやみません。金沢市の宿泊税を考える会が7月22日に、市長宛てに公開質問状を提出しましたが、質問が求める趣旨と回答がことごとくずれておりました。特別徴収義務者となり、徴税を代行する方々に納得がないということは、制度の運用にとってもゆゆしき問題ではないかと思います。まず、特別徴収義務者に科される罰則等についてお伺いします。本条例並びに地方税法第733条に基づいて、特別徴収義務者に罰則等が科せられるのは、どのような場合に、いかなるものが科せられるのかお答えください。
 次に、あわせて、この罰則等について事業者側に、いつ、どのように説明をなさったのかもお答えください。

 太田総務局長:まず、罰則等の内容でございますが、他の市税と同様、宿泊税に関しましても、地方税法、また、宿泊税条例等におきまして、虚偽の申告、検査の拒否等に対して、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることなどが規定をされております。また、申告すべき納税管理人に関して、正当な理由がなく申告しなかった場合におきましては、10万円以下の科料を科すこととされています。さらに、納期限後に納付した場合に延滞金が加算されますほか、他の申告納税による税目と同様、過少申告や不申告に対する加算金を徴収することとされております。     次に、事業者の方々に対する説明の件でございます。特別徴収義務者に科される罰則等につきましては、宿泊税を導入した先行自治体を参考に、来月開催をいたします宿泊事業者を対象とした説明会において説明を行うとともに、ホームページに掲載するなど、周知を図ることとしています。さらには、説明会が終わりました後も、宿泊事業者からの問い合わせ、また、相談等には丁寧に対応をさせていただきます。罰則等を適用する事態が生じないよう努めてまいります。以上です。

 森:そうしますと、罰則等の説明はこれからだということですから、これまでのところは、その部分の説明はなされてこなかったということですね。これがわかりました。今、答弁していただきましたように、罰則、大変重いです。この罰則が適用されるようなケース、これ至らないようにしなければなりません。かつ、この税金は事業者が市にかわって徴収、徴収といいますか、代行でお預かりして、それを納付するというようなたぐいのものですから、私は、これは個々の事業者に敬意を払って、説明の機会を設けられていた段階で、あわせてしっかりとお伝えをして、そしてトータルで御意見を伺うという対応をしなければならなかったんじゃないかなと、こう思うのですね。このことについて、事業者の中からは、リスペクト、我々に対する敬意が感じられないと、こういう厳しい御意見となって伝えられてきておるわけです。このことについて、今どのように振り返られますか。

 山野市長:宿泊税も市税であります。他の市税を初め、国税、県税においても、同様に罰則等が設けられているところであります。税の公平性を担保、確保するという点からいっても、法令に規定されているものでありますので、御理解をいただければと思います。ただ、罰則をすることが目的では全くありませんし、ないようにしなければいけません。適用がされることはないようにしなければいけませんので、宿泊税に関する課税・徴収事務につきましては、しっかりと周知に努めていかなければいけないと思っています。

 森:私は、もっと早い段階でこの問題について説明をしておくべきだったと意見を持っているのは、このことがおおむね理解というものの内容にもかかわってくるだろうと、そのように思うからです。今、そういうことがないようにしなきゃならないということをおっしゃいました。私もそのように思います。しかし、やんごとなき事情でそのような状況に直面をしてしまうのではないかということを事業者さんはやはり心配をしているわけです。そのことはお伝えしておかなきゃいかんと思います。

(2)地方税法第733条の15求償権について

IMG_8396森:その上で、次の質問ですけれども、地方税法第733条の15に求償権という規定があります。この条項では、宿泊者が宿泊施設に宿泊税を支払わなかった場合に、宿泊事業者が宿泊客を訴える権利を規定しています。その際に、地方自治体の徴税吏員は必要な援助を行わねばならないとありますが、本市はどのような援助を想定していらっしゃいますか。

 太田総務局長:既に宿泊税を導入しております先行自治体におきましては、特別徴収義務者が求償権に基づき訴えを提起した事例はないと聞いております。現時点で、具体的な事例は特に想定はしておりませんけれども、本市において特別徴収義務者が訴えの提起を行った場合には、訴訟に必要とされる証拠の提供など、法令に基づく援助を行ってまいりたいと思います。以上です。

 森:この求償権に対して、当局が支援をする、援助する、その担保感、安心感、そういうものがやっぱりどうしても必要だろうと思います。なぜならば、特に規模の小さい宿泊事業者さんが言っておられるのは、100円、200円で価格競争をしているんだと、この200円といえども、これを宿泊者からいただくということは、そんなにたやすいことじゃないんだと、場合によってはいただけない場合もあると。あるいは、価格に吸収して、そして持ち出しですね、事実上、そして行政に納めなきゃならない、そういうことも想定されるんだと、そういう厳しい環境の中で我々はなりわいをやっておりますと。
 ですから、お客さんとの関係で、どのような事態が実際に発生してくるかということはわからない。そして、経営的にも打撃を受けるというような事態に置かれるかもしれないということですから、そうした特別徴収義務者の事情というものに対して、市が深い理解を持っているということをこういう形ででもお示しをするということはどうしても必要だろうと思いますので、このことについてはぜひ留意をしていただきたいということを思います。

(3)「丁寧な説明をもって事業者のご理解を得たい」について
森:その上で、3点目ですけれども、丁寧な説明をもって事業者の御理解を得たいという、このことについて御質問します。6月定例月議会での私の質問に対し、市長は、御指摘のように、精緻な調査が必要だと、私はそこは全く同感だと、関係者と意見交換しながら丁寧な説明を重ねて、御理解をいただける施策に取り組んでいくとお答えになっております。では、宿泊税を考える会が求めた公開の意見交換の場を拒んだ本市として、この間に行った取り組みは何でしょうか。

 山野市長:6月定例月議会後、宿泊事業者から御意見や事務手続に関する問い合わせをいただいた際には、その都度、丁寧に説明を行うとともに、また、宿泊税を考える会の皆さんから公開討論会の実施要望や御質問等につきましては、文書等で丁寧に回答をしてきたところであります。

 森:文書で回答されたということは事実です。ただ、先ほども言いましたように、その回答と質問者の質問の趣旨というものがかなりずれていると。ですから、対話が必要だということなんですが、今のところ、まだ対話の機会は持たれてはいないんではないかと私も認識をしております。そこで、10月から予定されている説明会ですが、事業者の根本的な疑問や思いに答えられるような、関係者と意見交換しながら丁寧な説明を重ねる、そういう場となるのでしょうか。

 山野市長:来月開催いたします説明会は、明年4月からの実施に向けての特別徴収義務者となる宿泊事業者を対象に、事務手続を説明するものであります。ただ、その中でいろんな御意見も出てくるかと思いますし、その都度、丁寧にお答えをさせていただくという、そういう会にしていかなければいけないと思っています。

(4)真の意味での市民参画を求めて
森:この問題は、宿泊税、あるいは観光施策全般に対して、真の意味で市民が参画するということにかかわっておると思うのですね。その意味で、これは4番目の質問に移りますけれども、京都市での説明会の実態は、参加事業者が少なく、極めて低調だという報道がなされております。その背後にある事業者の思いをどう推しはかっておられますでしょうか。

 山野市長:私は、京都の人間でもありません。事業者に意見交換をしたわけでもありません。京都市の説明会のことにつきまして、詳細を把握をしているわけでもありません。ですので、その事業者の思いを推しはかる立場にはないというふうに思っています。軽々に無責任なことを申し上げることはできないと思っています。

 森:京都の事業者さんの中からは、負担感が大きくて、わざわざ説明を聞く気になれないと、そういう声も実は伝えられてきておるわけです。これは推しはかることですから、立場にあるのかないのか、そこは私はわかりませんが、推しはかるということは非常に大切ではないかと思います。来年4月のスタートにこだわらずに、対話的な取り組みを重ねていくこと、これ繰り返し申し上げていますけれども、このことが非常に大切だと思います。改めて、そのことを提案をさせていただきたいと思いますが、市長の御所見を伺います。

 山野市長:本市は、条例案を議会へ提出する前に、先行自治体では実施していないようではありましたけれども、市内全ての宿泊施設を対象とした説明会を開催もいたしました。参加することができないという方からも、事前に質問等もお聞きをし、その結果を市のホームページにも掲載するなど、でき得る限り丁寧な対応を重ねてきたところでもあります。
 来年4月のスタートのことについて御意見がございました。議会の皆さんと議論を重ねた結果、議決をいただいたところであります。大変重たいものだというふうに思っています。現在、これまでにいただいた御意見等も踏まえ、明年度予算編成に向けて、使途の詳細について検討をしているところでありまして、明年4月からの導入に遺漏のないように取り組んでまいりたいと考えています。

 森:誤解がないように申し上げたいと思うのですけれども、異議を申し立てている宿泊事業者の思いには、経営に及びかねない危機意識、これはあります。けれども、それだけではありません。金沢市の観光施策の構築が一部の代表者だけに委ねられるのではなく、そのように感じていらっしゃるということですけれども、宿泊事業の現場を担う事業者や市民が参画し、それぞれの立場から担い合える施策と納得できるのであれば、負担はいとわないという点で御意見は一致しているわけです。せいては事をし損じる、このことをぜひ心に置いていただけないかなということを思っております。それでは、3つ目の市民のつぶやきからに移ります。

 3.市民のつぶやきから 本市の街路緑化について
IMG_8369 森:本市の街路緑化についてです。この夏ほど、緑陰のありがたさを感じたことはなかったと思います。本市の緑の基本計画は「ひと・まち・文化・歴史が織りなす緑あふれる都市(まち)づくり」を標榜し、主要な幹線道路における街路緑化推進、沿道部の緑地整備、緑のネットワークの軸づくりを掲げています。この街路緑化に関して、市民のつぶやきを聞いてきました。

(1)剪定に関して
森:まず、剪定に関してです。「『真夏の剪定、木陰が欲しいのに』との新聞投稿があったが、街路樹の剪定には疑問が多い。剪定は、樹木の都合より、管理する人間の都合が優先されているのではないか。街路によって、樹形を残し伸びやかな剪定が行われているかと思えば、丸坊主の剪定箇所も見られる。季節柄、木は葉を茂らせたがっているのに。」
 自然形剪定を重視する御意見だと思います。本市の街路樹剪定の方針はどうなっているのか、また、剪定作業に当たる業者との意思疎通はどのように図られているのかお伺いします。

 木谷都市整備局長:街路樹の剪定につきましては、樹形や成長の速度、病害虫のつきやすさなど、樹木の特性や植栽場所に応じた剪定時期を選ぶとともに、剪定にも強弱をつけるなど、路線ごとに詳細な方針を定めております。加えて、街路樹は道路の附属物でもあることから、自動車や歩行者などの通行に支障が生じないよう、交通安全面からの配慮も行っているところであります。
 委託業者に対しましては、毎年、請負路線ごとに方針の周知を図りますとともに、造園業界と連携した実地講習会を開くなど、剪定技術の向上に向けた意思疎通に努めているところでございます。

(2)街路樹の枯死に関して
森:2点目、街路樹の枯死に関してお伺いします。緑に関心の深い市民から、街路樹の植栽後の枯死には課題があると聞きます。私自身も何度か目にしたことがあります。植栽後の街路樹の枯死がどのような要因で発生してしまうのか、本市としてどのように把握をしていらっしゃいますか。

 木谷都市整備局長:街路樹が枯れる要因はさまざまでございますが、主な要因は街路樹の周辺環境にあると考えております。特に近接地の新築などに伴います日当たりや風当たりの悪化、歩道部の車の出入りによります根の損傷などが要因となるケースが多いと考えております。以上です。

 森:御専門の見地から、要因について分析をなさっているだろうと思いますので、そのように受けとめたいと思いますけれども、素人である私の考え方を若干申し上げますが、植栽場所の土壌の養生に課題はないかということなんです。幼木が根を張り、成長していくための土壌の改良にどのような配慮がなされているのか、この場でお答えいただければと思います。

 木谷都市整備局長:樹木が健全に育ちますためには、何よりも土壌の質が大切でございます。植栽時には、腐葉土や改良剤をまぜますことで、根を張り、生育しやすい土壌環境を整えているところではございます。今後とも、土壌改良技術の向上を目指しまして、さらなる研究を重ねながら、良好な樹木管理に努めてまいりたいと考えております。以上です。

 森:剪定枝葉の肥料化の再利用等々、今日的な里山の保全ですとか、そういったものと連携して土壌を豊かにして、枯死が少しでも少なくなるように、そうしたあり方についてぜひ御検討を加えていっていただければと思います。

 以上、終わります。

請願、議会議案(意見書)の採択結果について
42111751_1153694678115895_5455583543755276288_n[1] 41943678_1153694694782560_3980361585813094400_n[1]