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森一敏
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 2009年3月定例当初議会 質問・答弁の要旨

3月9日 質問全文はここをクリック

 3月当初議会は、昨年末からの急激な経済の悪化を受けて、有効な雇用と中小企業支援策が問われる重要な議会となりました。
 世論の不評をかこつ定額給付金を含む3月補正予算案、そして、緊急雇用対策を含む09年度予算案について、様々な角度から質疑討議が行われ、市長提出議案はすべて可決されました。私が賛成するに当たって問題提起したことは、下記の代表質問要旨で報告します。

 一方、条例では、今後の金沢市が、バブル経済に依存するのではなく、堅実な実体経済を形成する基礎として、改めてものづくりを充実させようと「金沢市ものづくり条例」が制定されました。また、国際ネットワークであるユネスコ創造都市ネットワークに登録をめざすクラフト(工芸)分野の奨励策が事業に盛り込まれました。
 また、金沢市自転車等駐車場条例が一部改正され、自動二輪の駐車スペースが駅周辺の駐輪場に確保されることになりました。これは、市民のつぶやきの実現です。
 さらには、来年の市長選に向けて、選挙管理委員会が点訳版選挙のお知らせ(点訳版選挙広報)を発行することが、確実になりました。権利保障の前進がようやく図られます。

 さて、教育環境常任委員会では、浅香新教育長の色が加わった「絆教育」が現場で実践されます。絆教育と学力テスト中心の教育は矛盾し、学校選択制度は地域の絆を阻害します。また、環境分野では、官製談合が疑われた新西部クリーンセンター工場が着工になります。そして市内周辺でレジ袋有料化がスタートします。金沢美大の地方独立法人化が制度設計を完了します。これらの問題意識を私なりに含意させ、本会議採決前に議場で報告した委員長報告をご覧下さい。

 ところで、少数会派から二期目で委員長。それが教育環境だったことは、奇遇でした。金沢の顔と言われた石原教育長の突然の退任、浅香新教育長の就任、度重なる校舎破損事件、中学生による殺害事件、未だに究明されない給食パン楊枝混入事件・・・数え切れない事件事故の発生に、何度携帯電話が鳴ったことか。他の委員からは委員長が事件を連れてきたと冗談を言われました。
 私は「口封じ」にも似た立場でしたが、これまでとはひと味違った舞台裏で、教育と環境に関わる問題点の克服を当局に申し上げてきました。浅香教育長ともかなりの時間意見を交わしました。これが何らかの変容につながっていくことを期待しています。ただ、これで、4月からは、編成替えの新たな委員会に所属し、教育については一人の議員として、遠慮無く議論に参加できると思っていた矢先に、議長人事をめぐる混乱から、常任委員会改組も、休会中の継続審査も議決できず自然閉会するという前代未聞の事態となりました。報道で関心をもたれた方何人からも、何があったのかと問われる一日でした。繰り返す必要もありませんが、議長の交代を求める自公と拒否する会派市民との紛糾によって、議長人事はもとより、常任委員会の改組、特別委員会の改組ができず、しかも、休会中の継続審査案件の承認もできずに、23日24:00をもって3月議会は以下のように自然閉会になったわけです。
 市長提出議案の議決、意見書案の採択を終えたところで暫時休憩。そのまま、議会運営委員会で議長人事案件が議題になることなく押し問答が続きました。自公は、議長不信任決議案の動議を腹に忍ばせて、本会議の再開を迫りましたが、議長の議事主宰権を盾に会派市民は応じません。時間切れが近づき、平田議運委員長の日付超えの延会手続き斡旋も、会派持ち帰りとなり、そのまま議運も動かなくなりました。結局、22人の議員署名による本会議再開請求も効力なく、私も本会議場で流会を宣告されたものです。
 この紛糾の理由が、議長の人事に端を発するわけですから、市民に説明がつきません。ルールに則って本会議を再開し、ルールに則って討議を尽くすことが原則です。その意味で私たちは、友好会派市民にとって歓迎できない本会議再開であっても、議事進行に賛同する方向で行動したわけです。
 このままでは、正当性無き継続所属のまま、委員長の役を続けなければなりません・・・。
 この不正常な事態は、市民の付託に鑑みて
打開されなければなりません。

 最後に、議会議案である意見書ですが、私たちが提出していた意見書「緊急雇用と労働法制に関する意見書」、共産が提出し、私が修正提案と会派間を仲介して全会一致採択にこぎ着けた「高校等授業料の支援措置に関する意見書」を報告します。総選挙を控え、会派間の対決要素も強まったいますが、未曾有の経済と生活の危機を前にして、議会として責任を果たす意味で、こうした意見書が全会一致採択できたことは、評価されて良いと思います。
 
                (09.4.7 記)

3月当初議会は、22回目の本会議質問で、会派を代表した代表質問でした。6項目7事項について質問しました。
 通算22回目の本会議質問
の項目

1.経済危機下の経済、雇用対策について
・12月補正による緊急支援事業は、どのような効果を発揮してきたのか、その成果と課題は。併せて、生活保護申請への対応と、ホームレスへの状況把握と対応はどうであったのか。
・53事業で新たに創出する雇用478人は、将来への安定雇用を求める失業者のニーズとのすれ違いが生じないか、また、想定を越えるさらに厳しい雇用情勢となった場合への対応はどうか。
・企業主、失業者への情報提供の徹底、助成金や奨励金が確実に雇用確保に結びつくための効果的な運用手だてに遺漏はないか。多様な事業メニューも返済の見通しが厳しい事業者ほど制度利用を手控えないか。真に応援を必要としている方々に施策が届くよう、事業の展開に当たって市長の決意を聞く。
・最も厳しいところに立たされる障害者の授産や就労支援の事業所に対し、本市事務作業の委託や緊急支援措置など、支援の手だてを講じる必要があると考えるがどうか。

2.3月補正並びに09年度予算案から
ー歳入ー
・住民の暮らしを支える一般行政経費などの基礎的住民サービスの財源保障を充実させ、恒久化させていく地方における固有財源の確保について、市長の決意を伺う。
ー歳出ー
(1)公共工事の大幅増額
・財政指標悪化のリスクを承知の上で18%以上の大幅増額を計上した総額57億円余りの各事業は、地場の建設や建築関係事業者をはじめ域内経済への波及効果をどのように見積もっているのか。
(2)ものづくりと創造都市ネットワーク登録推進事業
・創造都市ネットワーク登録とものづくりによるまちづくりを結んだ金沢の都市構想にい かなる可能性を見いだしているのか、その高邁な理念を開陳して頂きたい。
・関係施策が、一部の学識経験者や芸術家、専門事業者に囲い込まれるのではなく、在野 の一般的市民にも門戸が開かれ、ボトムアップ型のものとなってほしい。所見を聞く。

(3)第一次産業と福祉分野を支える
・農林業や介護福祉に関わる関係事業は、新規就業者を新たな担い手として定着させていくビジョンを示せ。
・今回の介護報酬の改定が、介護福祉の現場従事者の待遇改善に確実に結びつくための労働分配の手だては、どう講じられるのか。
・かなざわ子育て夢プラン2010の策定に当たって、次期プランに生かすべき成果と課題を明らかにする現行プランの評価をどのような手法で行っていくのか。
・金沢駅こどもらんどの評価は。
・新幹線駅が設置された暁も、リニューアルされたこどもらんどにJRはスペースを提供することになっているのか。

(4)児童相談所一時保護所の開設
・一時保護所開設までの連携機関とのとりくみと開設に当たっての決意を改めて聞く。
(5)障害者の就労支援と義肢装具給付事業改善施策
・今年度当初から知的、精神それぞれに設置され就労支援検討会の進捗と成果について答えよ。また、義士装具のあり方検討懇話会報告を具体化した事業の趣旨を聞く。
(6)新規事業地域商店街若手リーダー活動推進費
・地域商店街若手リーダー活動推進費について、その概要とその進め方は。

3.官製ワーキングプア解消と公契約条例について
・本市において、非正規公務員の採用状況はどうなっているのか、その推移と現況を伺うと共に、官製ワーキングプアの問題への所見を聞く。
・社会の範たるべき自治体として、さらに踏み込んだ公契約条例について所見を伺う。

4.浅野川水害の教訓から
(1)県第三者委員会報告への疑問
・第三者委員会は責任回避のお手盛り委員会と失望されている。9月議会で第三者委員会で市の立場を申し上げると言い切った本市は、そこで何を主張し、何を求めたのかを明らかにすると共に、第三者委員会での検証総体をどのように受け止めているのか答えよ。
(2)再発防止対策
・今後も継続的計画的な河道の浚渫が行われる必要、また、上流域山間地の開発への規制強化、森林保全、下流域堤防の実態調査と必要な補強、さらには、浅野川の大野川との合流地点の浚渫、犀川では、放置されたままの左岸本江町付近の明らかな堤防高不足への対策が必要。こうした広域的な対策について、国、県、内灘町への働きかけも併せてどう取り組んでいくのか。
(3)総合治水対策
・本市が策定する総合治水対策事業の成功を握る鍵はどこにあるのか、55年ぶりの大水害を経験した市民へのメッセージとして聞きたい。
5.点訳版選挙広報の発行
・発行決定の基本方針と共に、実施に向けた課題がどこにあるのか聞く。
・市長選挙の翌年に行われる市議会議員選挙への対応はどのように考えるのか。
・点訳版選挙公報発行のネックとなっている公職選挙法の改正に向けては、どのような動きがあるのか。

6.市民のつぶやきから 
(1)市民生活上の不利益変更の事前周知の徹底を
・国民健康保険の保険料が大きく上がって請求されるなど、こうした負担増や不利益変更には、事前通知や丁寧な説明があってしかるべきだ。市民の立場に立った対応は十分であるのか。
(2)地域間格差のない市民の足を
・郊外部に居住する住民からは、むしろ不便さが増し、不公平感が募るとの声を聞く。と りわけ郊外部の利便性向上について、現段階のとりくみの進捗と課題について伺う
1.経済情勢を受けて
  山出市長は提案理由説明で、この経済の崩壊状況についてやや抑制的な表現ながら、「医療の混乱、地域商店の衰退、さらには労働の商品化とも言うべき状況を見るにつけ、徒な効率優先、極端な市場原理主義を省み、人間性を伴う経済政策への修正が求められている。」と述べた。私ども会派社民もまったく同様の状況認識だ。しかしながら、福島党首が再三足を運んだ年越し派遣村では、人の情けに涙し、今度は自分が他人を助ける側に立ちたいと前を向いた青年失業者や全国から駆けつけたボランティアの存在があった。また、定額給付金より未来につながる政策を求める7割以上の国民の存在は、市民の良識の証だ。これらは困難な中に芽生えた希望ではないか。私たちは、自己中心の新自由主義による競争至上社会に決別し、富を再配分し、分かち合いと支え合いの社会を地域に再構築する転換点にあることを自覚し、金沢を社会民主主義にもとづくヒューマンニューディールのまちとすべく、以下質問する。
森議員 12月補正による緊急支援事業は、どのような効果を発揮してきたのか、その成果と課題について、併せて、生活保護申請への対応と、ホームレスへの状況把握と対応はどうであったのか聞く。
羽場産業局長 12月11日から受付を始めた相談窓口には、2月末までに雇用相談が639件、金融相談には1718件の相談があった。直接臨時雇用には、111人の応募があり、その内40人を雇用している。利子補給制度には162件28億3千万円の融資を行った。市営住宅空き室20戸分を用意したうち3戸を提供した。一定の効果があったものと考えている。今後情勢の悪化が見込まれるので、状況を見ながらしっかり対応したい。
横山福祉健康局長:昨年10月から今年2月までに、生活保護に認定したのは196件で、前年同期に比べて57件、37%増加している。この中の18件、9%は居住地が無い方も含まれる。
森議員 53事業で新たに創出する雇用478人は、将来への安定雇用を求める失業者のニーズ とのすれ違いが生じないか、また、想定を越える厳しい雇用情勢となった場合への対応はどう考えられているのか。
羽場産業局長 失業者のニーズとのすれ違いが起きないよう、失業者への資格取得を積極的に支援する制度を創設した。収益悪化でやむを得ず労働者を休業させる場合、その賃金の一部を助成する国の制度を補完し、事業主負担を実質ゼロにする。今後、想定を超える情勢の悪化があった場合、関係機関と連携し、あらゆる情報提供に努め、離職者の再就職を支援していきたい。
森議員 企業主、失業者への情報提供の徹底、助成金や奨励金が確実に雇用確保に結びつくため の効果的な運用手だてに遺漏はないか。多様な事業メニューも返済の見通しが厳しい事 業者ほど制度利用を手控えないか。真に応援を必要としている方々に施策が届くよう、 事業の展開に当たって市長の決意を聞く。
山出市長 事業者への助成金についてもより効果的な実施のために、説明会を開催したり、ハローワーク等とも連携して周知を図っていく。真に支援が必要な事業者が融資を受けやすくするために、信用保証協会が100%保証する緊急経営安定特別資金制度がつくられた。さらに市独自に0.8%利率を下げ、借り入れ元金軽減の借り換えに緊急経営安定特別資金を融資できるようにした。事業者の経営安定に役立っているものと考えている。資金繰りの円滑化には、引き続き努力していく。
森議員 最も厳しいところに立たされる障害者の授産や就労支援の事業所に対し、本市事務作業の委託や緊急支援措置など、支援の手だてを講じる必要があると考えるがどうか。
横山福祉健康局 市の施設の清掃、公園の除草清掃の業務を授産施設に委託しているほか、友愛ショップの拡充や近江町交流プラザに授産品販売コーナーを設置する。新たな施設の設置の際には、就労の場を提供していきたい。
2.3月補正並びに09年度予算案から
 前年比40億円余の市税の減収を予測する中、本市が、8年ぶりに一般会計の増額予算を編成し得たのは、歳入において、臨時財政対策債を含む実質地方交付税の増配と市債の増発によるものだ。しかし、今回の交付税の増額は、財政投融資特別会計積立金を財源とする一兆円の特別加算など経済状況を配慮した一時的な政策的膨張であると共に、臨時財政対策債への依存が強まっていることを踏まえておかねばならない。国の財政再建路線にもとづく地財計画圧縮の基調が将来に貫かれるならば、地方交付税の削減が再現し、景気回復の遅れの中での歳入不足、中期財政計画によって落ち着いてきていた実質公債費比率や起債制限比率の上昇という危うい財政状況を招かないとも限らない。
 そこで、まず歳入について伺う。
森議員 第2次分権改革が正念場を迎え、第3次勧告も近く予定されるという今日、改めて住民の暮らしを支える一般行政経費などの基礎的住民サービスの財源保障を充実させ、恒久化させていくことが重要だ。地方における固有財源の確保について、改めて市長に決意を伺っておく。
山出市長 地方分権改革推進委員会第3次勧告に向けて、国と地方の財源配分はフィフティフィフティにすること、地方固有の財源として、地方交付税を地方共有税とする仕組みと考え方、地方消費税の市町村への傾斜配分を強めることを政府に求めていきたい。
ー歳出ー
(1)公共工事の大幅増額について
森議員 財政指標悪化のリスクを承知の上で18%以上の大幅増額を計上した総額57億円余り の各事業は、地場の建設や建築関係事業者をはじめ域内経済への波及効果をどのように 見積もっているのか。
山出市長 実施する公共工事は、計画してきたものの実施も含まれるが、大型の事業より、市民生活に身近な生活資本、学校の耐震化、河川の浚渫、道路の整備の関係に配慮した。早期発注に努めたい。水害による災害復旧工事は発注をほとんど終えている。少しでも、地域、地場産業が元気になるようとりくむ。
(2)ものづくりと創造都市ネットワーク登録推進事業
 本条例案の基本にあるものづくりが文化と経済の源であると同時に人々の協働により社会を存立させ、世界をつなぐとする考え方に賛同する。現下の経済危機と社会の劣化が、地道な生産をなおざりにし、安直な利潤を求めて金融と投機に走った見かけ倒しの経済システムの結果であることを省みれば、当を得た方向だ。そしてこの底流にユネスコの創造都市ネットワーク登録が通じている。
 「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない。」この有名な一節ではじまるユネスコ憲章は、恐ろしい大戦を教訓に、失われない平和は人類の知的及び精神的連帯の上に築かねばならないと、ユネスコ創設の意思を高らかに宣言しています。さらに、大阪市立大学に創造都市研究科を主宰する佐々木雅幸教授は、21世紀の地球社会は「国民国家から都市へのパラダイム転換を迎え「都市の世紀」が始まるとし、独自の芸術文化を育て、革新的な経済基盤をもつ「創造都市」に世界の人々の関心が集まっていると論じている。
森議員 創造都市ネットワーク登録とものづくりによるまちづくりを結んだ金沢の都市構想にいかなる可能性を見いだしているのか、その高邁な理念を開陳して頂きたい。
山出市長 ものづくりの姿は、拝金主義とは根本的に違う。働くことの原点に関わる仕事を大事にしていきたい。創造都市の定義は特にない。革新的産業活動、創造的な文化活動の根底にある学術文化を大切にすることで、産学連携が進む。ユネスコ創造都市ネットワークは、元気になった都市がネットワークを組み、平和の実現に貢献する。金沢は、東洋のチューリッヒとも言われる。日本の中で創造都市としての有資格者であると思っている。
森議員
関係施策が、一部の学識経験者や芸術家、専門事業者に囲い込まれるのではなく、在野の一般的市民にも門戸が開かれ、ボトムアップ型のものとなってほしい。所見を聞く。
山出市長 発言のご趣旨の方向で努力したい。具体的には、若い人の知恵、感性を呼び込みたい。伝統工芸に意欲を持つ人に奨励金制度を創設する。これを進めることがボトムアップによる産業振興につながると思う。
(3)第一次産業と福祉分野を支える
 日本はかつて、ケインズ主義経済政策が市場を制御し、コントロールされた成長社会を実現した時代を経験している。しかし、その一方で投資が建設公共事業に偏り、環境破壊と政官財の利権構造という歪みをもたらした。これからの時代は、人間の命と尊厳を支える分野への投資こそが必要だ。それは、食を生みだし環境を守り育てる農林漁業であり、人間の尊厳ある暮らしを生涯にわたって支える福祉や教育の領域だ。本県、本市においても緊急雇用の受け皿として恒常的な人手不足産業である農林畜産業や介護福祉の現場が注目されているが、一時的な緊急避難先ではなく、一生の仕事としてやりがいを持って担い、安定した生活が送れる産業としての条件整備が必要なことは、全国共通の課題だ。
森議員 本市においても、多くの関係事業が計上されているが、第一に、新規就業者をそうした分野に新たな担い手として定着させていく戦略に位置づけられているのか、また課題をどう意識しているのか、そのビジョンを示せ。
山出市長 そのように思っている。林業、農業への就労支援事業を計上している。介護者定着のための講座受講料の助成制度も開設する。若い広範な市民に呼びかけていきたい。
森議員 今回の介護報酬の改定が、介護福祉の現場従事者の待遇改善に確実に結びつくための労働分配の手だては、どう講じられるのか。
山出市長 国でも雇用と処遇改善にとりくむ事業所への支援を予算化した。事業所に趣旨を周知することはもちろん、その結果を注視していきたい。
森議員 かなざわ子育て夢プラン2010の策定に当たって、次期プランに生かすべき成果と課題を明らかにする現行プランの評価をどのような手法で行っていくのか。
横山福祉健康局 金沢市少子化対策推進会議において、プラン2005について定期的に評価し、結果を公表してきた。市民アンケートや市民フォーラムなどを通じ市民の意見を聞いていきたい。
森議員 子育てひろばとは、「安心して生活を共にする場であり、親子の出会いや交流を大切にしながら、親として自然と子育ての力を発揮できる土台を支援する場、大きく変化する親の生活環境や不安感に寄り添いながら、子育て家庭と地域をつなぐ役割を持つ」と定義されている。その一つが金沢駅こどもらんどだ。駅という人々が行き交い出会う場に立地し、自主的な子育て支援グループの市民ネットワークが独創性を持って運営する先駆的な子育てひろばとして、利用者はもとより、全国から多くの視察も受け、高い評価を受けてきた。本市としての評価も伺っておく。
横山福祉健康局 駅周辺の商業施設等利用者のニーズに応える施設として、他の施設とは異なる役割を果たしている。今後とも利用者の増加に向け、周知に万全を期す。
森議員 私が危惧するのは、改修費を含め総事業費3000万円を越える予算によって、今年度リニューアル運営される金沢駅こどもらんどの上に、5年後までには新幹線駅がつくられることだ。新幹線駅が設置された暁も、JRはこのスペースを提供することになっているのか。
横山福祉健康局 新幹線駅設置後も引き続き駅構内でスペースが確保できるよう、関係機関に働きかける。
(4)児童相談所一時保護所の開設
 当初予算では、その増員6人分が計上されている。「一時保護所というのは、一歩間違うと殺人事件が起こりかねない厳しいところだ。児童福祉士をはじめスタッフの情熱と自己省察に経験の蓄積が重要だ。児童相談所の職員には、児童養護施設に泊まり込んででも、子どもたちとつきあう姿勢を求めたい。」 これは、永年の経験をもつ児童養護施設長がかつて私に語られた言葉だ。
森議員 児童相談所設置から3年。児童養護施設をはじめ連携機関との情報共有や合同研修について、これまでのとりくみと開設に当たっての決意を改めて聞く。
山出市長 県の一時保護所に交代で4人の職員を派遣してきたほか、他都市の保護所の研究も行ってきた。肝心なことは、職員が愛情を持って接することだ。心が通う一時保護所にしていきたい。
(5)障害者の就労支援と義肢装具給付事業改善施策
森議員 障害者の就労支援に関しては、今年度当初から知的、精神それぞれに設置され検討会の進捗と成果についてお答え下さい。また、義士装具のあり方検討懇話会報告を本市として具体化した事業について、その事業趣旨をお聞かせ下さい。
横山福祉健康局 横山福祉健康局長:知的に障害がある方については、就労支援施策検討会でジョブコーチの処遇改善が必要との提言を受けて、処遇改善を図った。精神に障害がある方については、障害福祉サービス事業所、ハローワーク等とネットワークを構築し、事例検討会、研修会を通じて課題を整理しているところだ。
 義肢装具利用者への支援としては、福祉用具情報プラザでの相談会の開催、義肢装具情報提供の充実を図る。また、義肢装具士の技術向上の一助として、研修費への助成制度を創設した。関係機関と連携して、利用者の安全安心で快適な生活に寄与していく。
(6)地域商店街若手リーダー活動推進費
森議員 地域商店街若手リーダー活動推進費について、その概要とその進め方について聞く。
羽場産業局長 商店街連盟に所属する若手経営者が、菓子どころ金沢をモチーフにしたパスを作成した。このパスの市内商店街での利用方法を検討している。このような事業のビジネス化へのとりくみが若手事業者の共同意識を高めるものと思う。



3.官製ワーキングプア解消と公契約条例について
 急速な所得格差は、大量の非正規雇用労働者の拡大なくして語れない。我が国でも、昨年前半までの「いざなぎ越え景気」の過程で、全産業分野で正規雇用が削減され、臨採や派遣といった不安定な非正規労働者に替えられてきた。今やその数全就業者中四割に迫る1800万人、その大半は月収10万円代前半、年収200万円に満たない所得となっている。称して「ワーキングプア」、日本の労働市場の荒廃を象徴する言葉だ。
 このワーキングプアを他でもない国、自治体など行政がつくり出している。称して「官製ワーキングプア」は、行政の雇用では、非常勤や臨時職員への転換、近年では派遣労働者の受け入れによってもたらされ、行政改革の進行に過剰に反応するかのように全国の行政職場で拡大してきた。基本的には一年の有期雇用で、連続雇用があっても昇進はおろか昇給もない。全国統計によれば、この非正規公務員の7割がワーキングプアにある。

 また、官製ワーキングプアの概念を広げれば、行政が発注する公共事業や役務の委託、今日では公共施設の指定管理者制度によっても生み出される。驚くべきことに、格差の国の代表格と見られるアメリカにあって、140もの自治体で生存賃金という意味の「リビングウェイジ」が制定され、民間企業と契約を結ぶときに自治体が取り決めたリビングウェイジ以上の賃金を支払うことを義務づけている。
 昨年末、尼崎市議会において、法定最低賃金を上回る生活保障賃金の水準を入札条件に加えた公契約に関する条例案が、超党派の議員提案条例として上程された。我が金沢市議会も、12月議会に於いて、国に公契約に関する基本法の制定を求める意見書を全会一致で採択したところだ。
森議員 本市において、非正規公務員の採用状況はどうなっているのか、その推移と現況を伺う と共に官製ワーキングプアの問題への所見を聞く。
武村総務局長 平成20年度当初の非正規職員は840人で、昨年比33人の増だが、正規職員の振り替えではない。交通指導員や英語インストラクターなどの非常勤職員を増員したものだ。非常勤職員は、教育相談、市民相談などの限られた時間に勤務する業務に、また臨時職員は一時的に多忙となる業務に任用している。従って、本市においては、行革による正規職員の非正規職員への転換は生じていない。
森議員 入札改革でも先駆的に取り組んでこられた本市にも、社会的価値を入札条件に取り込んだ部分があると思うが、構造改革路線の破綻に直面し、人間味ある連帯の社会が求められる今、社会の範たるべき自治体として、さらに踏み込んだ公契約条例について所見を伺う。
武村総務局長 労働者の保護、雇用の安定は重要だ。従って、本市は入札制度の中で、最低制限価格制度や低入札価格調査制度を導入している。また一部の委託契約には、長期継続契約制度を採り入れている。労働者の雇用条件などについては、国で労基準法や最低賃法が定められている。国の法令遵守が基本だ。公契約条例については、まずは国の公契約法の整備がなされるものと考えている。動向を注視していきたい。
森議員
(再質問)
振り替えではないと言うが、現にこれだけの不安定な身分で公務労働を担っている方々がいるのだ。ワーキングプアとは不名誉な言葉だ。今後の行革のあり方を検討される際に、正規化の方向で検討するべきではないか。また日本の最低賃金は安すぎると言われる。公契約条例は、より人間的な生活が送れるような賃金水準を入札条件に加えようという考え方だ。直ぐに導入せよとまでは言わないが、情報を集めたり、研究する姿勢は示してもいいのではないか。
山出市長 ワーキングプアについては、相手方との間には、無理をしているとは思っていないが、指摘があるので気をつけ、契約、計画の際にはこのことも念を入れたいと思う。また公契約条例については、これからの課題として、調査の必要があるということなので、研究はやぶさかではない。大きい関心を寄せていきたい。
4.浅野川水害の教訓から
(1)県第三者委員会報告への疑問
 注目されていた第三者委員会の結論は、200年確率の想定外の局所的短時間豪雨による急速な水位上昇によって、氾濫を防げなかった、よって、今後の河川管理は堤防の老朽化対策と除草等の堤防管理、堆積土砂の除去、水防施設の適切管理に留意せよというものだ。浚渫を行っておれば、越水はなかった、つまり計画通りの流下能力の範囲内の出水であったことを認めているに等しい。
 仮に、想定外の出水であるならば、私が申し上げた山間地の乱開発、森林荒廃の影響、犀川との一体治水管理の鍵を握る浅野川放水路の放水量を実地検分しながら根拠立てる検証も必要だが、それらは行われたふしがない。
 地域住民が求める切り欠け閉鎖が遅れたことに対する行政責任の検証については、「想定外豪雨」による水害との結論ありきで、県の河川管理責任を免罪するお手盛り委員会ではなかったかと多くのサイレントマジョリティが失望したはずだ。 また、こうした過程で、水害直後の対応を評価する住民の一部にも本市に対する不信感が芽生えたとも聞く。再発防止は、原因の究明と責任の明確化が前提だ。自らの使命を放棄した同報告には説得力がなく、今後の対応にも信頼が置けないことは自明だ。犀川城南一丁目地点の切り欠け付近にある角落とし格納庫が河川側に設置されているのは不適切との付近住民の提言も未だに顧みられないままと聞く。
森議員
  
9月議会で第三者委員会 で市の立場を申し上げると言い切った本市は、そこで何を主張し、何を求めたのかを明 らかにすると共に、第三者委員会での検証総体をどのように受け止めているのか答えよ。
山出市長 県は本川、市は内水、それぞれが持ち分がある。それをわきまえて互いに仕事をしていかねばならない。本川も市民生活と関わるので、市として、県にいろいろと改善を申し上げていきたい。昨年10月、河川改修、維持管理について開発協議会で特別に採り上げ、県に要望したところだ。今後も改修とか浚渫の実施状況を見ながら、皆さんと要望すべきは要望していきたい・
 県と住民との関わりの問題については、県の状況を見ていくというのが私の立場だ。
出口土木部長 県の第三者委員会では、委員が個別に現地を確認し、県から提出されたデーターをもとに検証を行ってきた。逆流水門を閉じられなかったのは、陸閘(切り欠け)からの急激な流入のためであったことを主張し、シミュレーションを求め、その結果に質問し、様々なシミュレーションを求めた。さらに、浅野川の流下能力がどれだけあったのか、計画河床まで掘り下げられていたのか質問し、危険箇所の流域のかさ上げや流域の貯留対策の実施について意見を述べた。第三者委員会の目的は、7.28豪雨災害の検証、課題抽出をふまえ、新たな河川管理や水防体制のあり方を検証するものだ。第三者委員会の提言にもとづき、河川管理が強化されるものと思うが、内水管理の立場から、必要があれば県に意見を述べていきたい。
(2)再発防止策
 唯一県が認めたのは、土砂堆積による河床の上昇だ。そのため、河道の浚渫は水害後浅野川、犀川で実施されてきたが・・。
森議員 川は生き物だ。今後も継続的計画的な河道の浚渫が必要だ。
また、上流域山間地の開発規制の強化、森林保全、下流域堤防の実態調査と補強、さらには、浅野川と大野川との合流地点の浚渫、犀川では、放置されたままの左岸本江町付近の明らかな堤防高不足への対策が必要だ。こうした広域的な対策について、国、県、内灘町への働きかけも併せてどう取り組んで行かれるのか答えよ。
出口土木部長 国県には、犀川、浅野川、大野川の浚渫をはじめ堤防かさ上げなどの河川改修の促進を求め、これまでも金沢開発協議会の場で要望をしてきた。今後も引き続き要望する。また大野川の浚渫や河川改修については、内灘町と緊密に連携して国県に働きかけていきたい。
(3)総合治水対策
 昨年後半から、再び脱ダム宣言が続きました。そこで掲げられたのはダムに依存しない総合的な治水対策だ。本市では、守備範囲である内水管理の強化事業が総合治水対策として本格化する。
森議員 この項の最後に、本市総合治水対策事業の成功を握る鍵はどこにあるのか、55年ぶりの大水害を経験した市民へのメッセージとして聞きたい。
山出市長 河川、幹線水路の整備、雨水貯留や浸透施設の設置といった流域対策が必要だ。他にも、森林農地の保全等の土地利用、水防活動や情報伝達の強化による総合的一体的な水防実施計画の推進が必要だ。市民、行政、事業者が連携し、協働して努力していきたい。
森議員
(再質問)
9月議会でも、検証についてこだわった。検証無くして真の対策はないからだ。その検証が不鮮明なままま終わってしまうのではないかと危惧している。住民の中にそのような思いがくすぶっている。第三者委員会の中で県は逆流水門の閉め遅れも被害につながっていると述べたことから、行政間で責任の押し付け合いと映り、住民へ矛先が向くのではとの不安が出ている。本市として本音のところで第三者委員会の検証をどう受け止めているのか再度聞きたい。
山出市長 県と住民との関わりがあるから、深い部分は極々専門的な分野でもあるので、私は軽々には判断できない。専門家の判断に委ねなければならないこともあり、今後の推移をずっと見ていきたい。何はともあれ、職員の住民との関わり、信頼関係について十分職員共々気をつけていきたい。金沢市の職員は、住民への配慮については訓練されているし、真摯な対応をしていと思う。これからもその方向を欠いてはいけない。市長として責任もある。現場対応には十分気をつけていきたい。
5.点訳版選挙広報の発行
 本市選挙管理委員会が、関係者十数年越しの悲願であった点訳版選挙公報を選挙のお知らせとして次期市長選を目途に発行する方針を決定されたことが報じられ。若杉新委員長の下で、鋭意調査検討された選挙管理委員会に敬意を表する。
森議員 二度の質問を行ってきた者として、その基本方針と共に、実施に向けた課題がどこにあるのかをお聞かせ願いたい。
西田選挙管理委員会書記長 選挙公報の機能を補完する点訳版による選挙のお知らせを次期市長選挙に実施することを決定した。原稿の編集から印刷、配布までを7日間という短期間に行わねばならないこと、できるだけ多くの選挙公報の情報を誤り無く点字化し、公平に配布することが課題だ。そのため、当事者への周知、候補者に目的や手続きを説明し、協力を求めていく。今後、発行に向け、視覚障害者協会など関係団体と協議を進める。
森議員 市長選挙の翌年に行われる市議会議員選挙への対応はどのように考えているか。
西田選挙管理委員会書記長 市議会議員選挙でも、配布まで7日間、しかも立候補者数が40人を超えることから、現時点では技術的に困難と判断している。市長選の結果を検証し、検討していきたい。
森議員 「点訳版選挙公報」発行のネックとなっている公職選挙法の改正に向けては、どのような動きがあるのかについても伺っておく。
西田選挙管理委員会書記長 国に於いては、やはり限られた期間内に誤り無く点訳し、公平に配布することには技術的に困難な面があり、点訳版選挙公報の制度化は困難との見解であり、今のところ、公職選挙法改正の動きはないと聞いている。
6.市民のつぶやきから
(1)市民生活上の不利益変更の事前周知の徹底を
森議員
  
ある高齢市民からの訴えだ。別世帯だった息子さんが住民票を移し、同一生計家族となったために、世帯所得の区分が変わり、いきなり国民健康保険の保険料が大きく上がって請求された。こうした負担増や不利益変更には、事前通知や丁寧な説明があってしかるべきとお怒りだ。市民の立場に立った対応は十分であるのか、見解を求める。
山出市長 市民の立場に立って、親切丁寧を旨としなければならないことは当然だ。自らを含めて注意していきたい。
(2)地域間格差のない市民の足を
森議員 ふらっとバスの新路線、まちバスから兼六園周遊バスと、まちなかでの公共交通の利便性は急速に向上しているが、それにつれて、市郊外部に居住する住民からは、むしろ不便さが増し、不公平感が募るとの声を聞くようになっている。行政、交通事業者、住民の三者協働による公共交通優先のまちを目指す本市は、とりわけ郊外部の利便性向上について、さらに住民との認識共有が必要だ。現段階の利便性向上のとりくみの進捗と課題について改めて伺う。
山出市長 パークアンドバスライド、環状方向のバス運行実験、またオン・デマンドバスの導入などを試みてきた。さらに来年度は、採算が厳しい山間地郊外バス路線に新たに支援することにしている。いずれにしても、需要と採算性が大きい課題だ。まずは、地域の皆さんに使って欲しいし、バス事業者とよく話し合って利用促進のとりくみを強めたい。






金沢市議会HPで、詳細と本会議映像が見られます。

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