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森一敏
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 2010年3月定例当初議会 代表質問・答弁の要旨

3月10日質問全文はここをクリック

 連立政権が、2010年度当初予算案を国会審議する中、本市3月定例当初議会も開催されました。地方に於いて改善が見えない深刻な雇用危機、経済不況下で、いかにして市民の生活と社会の公共性を守っていくのか、市行政の責任は重大です。会派社民としても、年明けすぐに108項目の政策提言を行ってきました。それらを踏まえ、私も代表質問、市民福祉常任委員会で、本市の新年度当初予算・事業案に対する論戦に参画しました。
 今議会を経て、一般会計1600億円余、特別会計、公営企業会計と合わせると総額3040億円余の拡大型予算が可決成立しました。 地域経済と雇用を確保するための積極予算です。私たちが一貫して求めてきた地域中小零細企業支援と雇用の確保については、中小企業雇用促進助成金制度が新設されました。緊急雇用安定助成金制度制度に新規雇用へのインセンティブを与えます。昨年度当初の助成金予算が750万円、今当初予算規模は4億1千万円。56倍です。会派社民の政策提言が具現化した形です。労働政策課長はがんばりました。財政課を説き伏せてゴーサインを出した山出市長の英断でもあります。
 ただ、増額された国からの地方交付税を含め、起債による財源補填に依っているため、国地方通じた財政構造の強化、地方への税源移譲がさらに喫緊の課題となっています。

 私は、この財政課題と生活困窮者を支える行政の機能、新しい公共と呼ばれる連帯経済構築の認識、また、社会の公共性財である鉄道線の存続問題、さらには開発と安全の問題等々を中心に26回目の本会議質問を代表質問として行いました。
 久しぶりに教育問題も採り上げました。悉皆調査に変更された全国学力テストに、県内自治体はすべて希望参加します。先鞭をつけた金沢市教委に学テ体制の弊害を訴え、共に学び合うつながりの教育への転換を求めました。
 恒例の市民のつぶやきは、今回お休みしましたが、各質問の中で、直接受けてきた市民の思いを盛り込みました。とりわけ災害からの教訓では、再質問も含め、行政責任を問いました。詳細については、この後の報告をご覧頂きますが、答弁には70%程度の満足度です。

 さて、議会議案である意見書の動向ですが、私たちが提出していた「民法改正を求める意見書」は、自民党系会派の執拗な取り下げ要請がありましたが、過半数を確保し、採択にこぎ着けました。新政権が家父長的な男系制度から男女平等へ歩みをすすめるために、選択的夫婦別姓制度を盛り込む民法改正を目指しています。地方から連携する動きをつくることが出来ました。しかしながら、共産党と一本化した「普天間飛行場の閉鎖・全面返還と名護新基地建設の中止を求める意見書」は議場採決で少数否決されました。国政で連立政権を組み、三党合意に盛り込まれた普天間をはじめ基地負担軽減、米軍基地の整理縮小ですが、これには民主系会派も否決に回ったのが残念でした。また、「原子力政策の転換を求める意見書」も民主系の賛成が得られず、最終的に取り下げを判断しました。基本政策の違いを地方議会に於いても乗り越えられませんでした。
 また、野党となった自民党系会派から、この間、連立政権の政策にことごとく反対し、旧政権の施策の継続をもとめる意見書案が乱発されています。その中で、教員免許更新制の存続を求める意見書案がありました。私は、国際機関からの勧告を引きながら、反対討論を行いました。くるま座の半沢英一さんから情報提供を受けました。感謝しています。しかし、自民系、公明の賛成多数で意見書は採択されました。

             
(2010.5.11 記)




3月当初議会は、26回目の本会議質問で、4項目を質問しました。
 通算26回目の本会議質問(代表質問)の項目

1.新年度予算ならびに事業案に関して
・この一年半を振り返り、本市としてとりくんできた緊急経済対策や雇用対策、さらには生活支援対策の効果についていかなる所感をもつか。
・困難な歳入予算編成をどう自己評価されているのか、国の地方財政計画の構造をどのように受け止めているのか伺う。
・従来から地方が求めてきた地方共有税の構想とも併せ、地域主権の財政的基礎である税源移譲の今後のあり方について、市長の所見を伺う。
・「コンクリートから人へ」を具現化する国の予算の組み替えに地方から呼応する本市の歳出予算では、全体構造にどのような独自性を盛り込んだのか。
・新設の中小企業雇用促進助成金制度が新規採用拡大に寄与するには、就労支援事業との有機的結合の必要がある。制度運用に対する考えを聞く。
・石川労働局が昨年末にこのワンストップサービスを試行した際に、どのような課題を持ち帰ったのか。また、本庁における年末相談事業で、ワンストップサービス努力の評価を聞く。
 新年度も年間通したワンストップ相談体制を構築せよ。
・是非とも水道料金の引き下げを実現せよ。市長の決意を改めて尋ねる。供給単価引き下げが本市上水道会計に及ぼす影響額がどれほどに見積もられるのか。
・日仏自治体交流会議に伴い、音楽分野での交流も今後企画してはいかがか。また、観光交流都市交流では、小澤征爾氏率いるサイトウ・キネン・オーケストラと井上道義氏率いるオーケストラアンサンブル金沢との協演もどうか。所感を聞く。
・11億円余りを投じて行われる金沢歌劇座の改良改修によって、どのような舞台機能の向上が実現するのか、設計に意見集約は反映されているのか聞く。さらには、三施設の一体運営を規定する金沢市芸術文化ホール条例の制定によって、施設運営がどのように高められるのか。
・ヒロシマ原爆展企画の端緒になった平和市長会議への加盟と本市での原爆展開催に込められた山出市長の思いを聞く。また、ユネスコスクールを推進する浅香教育長には、ヒロシマ原爆展に連動した学校現場の平和教育実践へのエールも送って頂きたい。

2.連帯経済について
・こうした地域の連帯経済の考え方について所見を伺う。
・NPOバンクが成長し、地域の連帯経済の一翼を担うために、本市行政としても施策との連携を通じた協働について見解を聞く。

3.北陸鉄道鉄道線存続に関して
・石川線・浅野川線存続に関わる真意を聞きたい。法定協議会参加の道筋を明確にせよ。
4.災害からの教訓について
(1)主計町浸水被害の検証と再発防止策について
・主計町周辺地域を対象にする浸水対策基本調査は、いかなる目的にもとづき、どのような方法で行われるのか。また、その中で地元が求める逆流による被害検証は行われるのか。
 実効性ある再発防止のために、被災地住民には説明責任を尽くし、信頼関係の醸成に努めよ。

(2)上山町土砂崩れの検証と再発防止策について
・森林法にもとづく林地開発許可とその更新時、県にあっていかなる調査実態にあったのか。さらには、その際に本市としてどのような意見を述べてきているのか明らかにせよ。
 その上で、現在稼働を停止している採石場の今後について、慎重なる対応を求めておく。

5.全国学力到達度抽出調査に関して
・本市において国調査の抽出率はどれほどになるのか、国が求めないデータについてどのように扱われるのか答えよ。併せて、この抽出調査への切り替えは、どのような意図の下で行われたと受けとめているのか、教育長の認識を尋ねる。
・教育固有の営みに、行政調査を教育の一環として援用することで、教育活動との不整合を起こしているのではないか、教育長の考えを聞く。
・大胆なスクラップアンドビルドを敢行せよ。移行的措置であり、学校教育金沢モデルの再検討を通じ、少なくとも、次年度調査問題の希望利用が残ったとしても、参加は見合わせるべきだ。教育長の所見を聞く

6.公立大学法人金沢美術工芸大学中期目標について
・中期目標の設定とそれに対応する法人初年度歳入予算編成に当たって、財務の基本とした考え方は何であったのを聞く。
・公立大学法人金沢美大にあって、譲れないものは一体何か、そして大学の明日にかける思いを学長から聞きたい。
・市民共有財産である金沢美大を公立大学法人として独立させる側に立つ山出市長に、新生美大に対するはなむけの言葉を尋ねる。

1.新年度予算ならびに事業案に関して
  リーマンショックから早一年半。ここに来て、景気回復の兆しや雇用情勢の若干の改善傾向が見られるとの報道に接する。この一年半とは、新自由主義という我が世の春を謳歌して二百数十兆円を超える内部留保をため込んだ大企業が社会的責任に頬被りするなか、全国の行政と勤労市民が地域経済と雇用の破局を必死に食い止めようと奮闘してきた期間ではなかったかと思われる。そこで、
森議員 この一年半を振り返り、本市としてとりくんできた緊急経済対策や雇用対策、さらには生活支援対策の効果についていかなる所感を持っているか。
山出市長 効果については、励んだということを評価してほしい。仕事出しの方法、確保に心した。中小企業の資金繰り、緊急雇用安定助成金制度を国の交付金も活用して実施してきた。市民生活では、公共料金の抑制に努力した。にぎわいをつくり、街を元気にしたい。多面的重層的にとりくんできた。
森議員 困難な歳入予算編成をどう自己評価されているのか。国の地方財政計画の構造をどのように受け止めているかも伺う。
山出市長 地方交付税、臨時財政対策債の増額が図られたが、減収分すべてではない。歳入にあたっては、特定目的基金の取り崩し、交付税措置のある起債に限定して不足分を補った。さらに、起債の繰り上げ償還、特定目的基金の積み立てを行うなど知恵を絞った。 
国の地財計画については、交付税の増額は一定評価できるが、次年度以降の財政が心配される。国には、中長期的な制度設計を求めたい。地方の税財源を強化することは避けられない課題だ。
森議員 連立政権では、原則使途が自由な一括交付金制度の創設が検討されている。従来から地方が求めてきた地方共有税の構想とも併せ、地域主権の財政的基礎である税源移譲の今後のあり方について、市長の所見を伺っておく。
山出市長 一括交付金では、いささか自由度が高まったが、国からの配分、すなわち依存財源であることには変わりはない。税源そのものを移すこと、交付税機能を強化すること、さらには、地方共有税の創設など地方財政基盤の強化を訴え続けたい。
森議員 「コンクリートから人へ」を具現化する国の予算の組み替えに地方から呼応する本市の歳出予算では、全体構造にどのような独自性を盛り込んだのか。
山出市長 公共事業のあり方、公共料金のあり方にも配慮した。加えて子どもと教育への投資を重点に据えた。そのほかに、福祉と環境の分野にも力を入れた。若い人、仕事がない人の雇用確保にとりわけ意を用いた。
森議員 中小企業雇用促進助成金制度が新規採用拡大に寄与するには、就労支援事業との有機的結合の必要も感じる。制度運用をどう考えているのか。
山出市長 助成制度を雇用の継続から雇用の創出へと焦点を移した。新たに雇用した企業には手厚く助成金を配分する。インターネット上で新規の就労支援サイト事業を行う。このことで、有機的結合に資すればと思う。
森議員 市職員も派遣した石川労働局のワンストップサービス試行から、どのような課題を持ち帰ったのか。また、本庁における年末相談事業におけるワンストップサービスをどう評価しているか。新年度も年間通したワンストップ相談体制の構築に一層の努力を求める。
梶原福祉健康局長 求職者のニーズに合わせ、適切な情報や必要なサービスを把握した上で、関係機関へとつなぐことが必要だ。本市においても年末相談で関係機関が協力連携し、適切な対応がとられたと思う。各都道府県毎にワンストップサービスについて検討する生活福祉就労支援協議会に参加し、関係機関との連携を深め、相談体制の強化を図りたい。
森議員 社民党が谷本知事との政策協議で引き下げの合意に至った経緯からして、是非とも水道料金の引き下げを実現させて頂きたい。市長の決意を改めて尋ねるとともに、供給単価引き下げが本市上水道会計に及ぼす影響額がどれほどと見積もるのかを伺う。
山出市長 県水単価が20円引き下げられるならば、金沢市の受水費用は年間6億円削減されることになる。家計への負担をできるだけ少なくしたいので、市としての経営努力も行った上で、時期以降の議会で諮りたいと思っている。
森議員 自治体交流会議に伴い、音楽分野での交流も企画してはいかが。小澤征爾氏率いるサイトウ・キネン・オーケストラと井上道義氏率いるオーケストラアンサンブル金沢との協演も、大きな関心を呼ぶだろう。所感を聞く。
山出市長 今回の会議では、文化の分科会を設ける。その中で音楽交流をテーマとし、提案のオーケストラ・アンサンブル金沢による音楽交流を検討していきたい。
 松本のサイトウキネンフェスティバルについては、昨年私も小沢征爾のタクトに触れる機会があり、大編成で迫力があり、たいへん素晴らしいものだと感動した。オーケストラ・アンサンブル金沢との協演は、松本市との交流を進める中で、提案として研究させてほしい。
森議員 今年度執行分と併せ、11億円余りを投じて行われる改良改修によって、どのような舞台機能の向上が実現するのか。また、意見集約がどのように行われて設計に至っているのか、そのプロセスを聞く。さらには、三施設の一体運営を規定する金沢市芸術文化ホール条例の制定によって、施設運営がどのように高められるのか答えよ。
立岩都市政策局長 ホール、舞台のはり、床スラグを撤去することで舞台空間が拡がり、幅が広く高さのある舞台セットが搬入できるようになる。同時に舞台照明設備の更新、楽屋の増設も行う。こうしたことにより、グランドオペラの上演をはじめ、本格的でダイナミックな舞台芸術の展開も可能になる。
 改修に当たっては、基本設計の段階で、設計業者や本市技術者等がオペラの専用劇場である新国立劇場などの先進事例を調査し、案をまとめた。さらに実施設計では、舞台制作者、演出家、音楽監督、オペラ歌手などの幅広い専門家の意見やアドヴァイスを反映させている。
 金沢市芸術文化ホール条例によって、金沢歌劇座、文化ホール、アートホールの大中小三つのホールの役割分担を明確にし、その元で一体運営することにより、公演規模による施設選択、芸術文化振興の人材育成、練習機能の拡充といった運営の高度化が図られる。
森議員 ヒロシマ原爆展企画の端緒になった平和市長会議への加盟と本市での原爆展開催に込められた山出市長の思いを聞く。また、ユネスコスクールを推進する浅香教育長には、ヒロシマ原爆展に連動した学校現場の平和教育実践へのエールも送って頂きたい。
山出市長 明年度は、昭和60年に平和都市宣言が採択されてから25周年になる。そういう思いを新たにしなければならないとうことで、平和市長会議に加盟したことを機会に広島原爆展の開催を予定している。昨年8月、パレスティナ、イスラエル双方の戦争遺児を金沢に招いて、ひとりひとり組になってホームステイしてもらった。この中東和平プロジェクトでは市内の子どもたちとのミーティングもあって、すべての面で感動的だった。 世界の各都市との交流、外国人客へのおもてなしを通じて、市民となし得る取り組みを地道に続けていきたい。ひとりひとりの力は小さいが、平和に貢献していきたい。
浅香教育長 昨年夏の中東和平プロジェクトで子どもたちが国境を越えて交流する姿を見て、改めて国際的視野に立って、世界の平和と人類の幸福に貢献することの大切さを学ぶことの大切さを感じた。今年の原爆展が、児童生徒が平和への理解を深める機会となることを期待している。
2.連帯経済について
 未曾有の経済危機に直面した世界は、市場での自由な競争を通じた飽くなき利潤追求が、より加速度を持って地域社会を壊し、人間存在そのものをも脅威に晒すという現実にまたしても遭遇した。しかしその中で、別のあり方、すなわちオルタナティブとして地域住民のための地域住民による草の根の経済活動が模索されてきた。これらは総称し、連帯経済と呼ばれている。国際的には国際連帯税の導入に向けた合意形成が進められ、金融取引税、多国籍企業税、武器輸出税などが構想されている。非人間的な富の流動を妨げ、貧困対策や環境対策を通じて富を地域に環流させる試みだ。
森議員 地域の連帯経済の考え方についてご所見を伺う。このNPOバンクが成長し、地域の連帯経済の一翼を担うために、本市行政としても情報交換や持続可能なまちづくりなどの施策との連携を通じ、協働していくことが期待される。連帯経済の担い手としてのNPOバンクとの協働について見解を聞く。
山出市長 金沢では、古くから市民に善隣思想が宿っている。この思想があって善隣館が存在し、消防団、公民館、町会組織などが地域経済の前提としてある。だからこそ、金沢の地域コミュニティは大切にしていかなければいけない。連帯経済というものについては、それほど定着はしていないと感じている。強いて成功例をあげれば生活協同組合かなと思う。地域通貨なども機能し定着しているとは思えない。だとすると、地域経済システムの前提とは何かを研究する必要がある。ピースバンクいしかわが今年設立すると聞いている。古くは頼母子講に由来すると考えても良いのかと思っているが、この仕組みが持続する条件は何か、その整備はどのようにあるべきか、既存の金融機関との共存の問題もある。十分研究したいし、十分研究に値するとも思っている。
3.北陸鉄道鉄道線存続に関して
 昨年11月1日をもって北陸鉄道石川線の鶴来・加賀一の宮間が廃止されたことにより、浅野川線を含めた鉄道全線の存続問題がクローズアップされています。9月議会では、他会派の下沢議員がこの問題を採り上げ、法定協議会参加をはじめとする本市の対応を市長に質問されたことは記憶に新しいところです。この地域公共交通再生活性化法にもとづく法定協議会設置は不調に終わり、時間切れで廃止が決定となりました。利用促進にとりくんだ地域住民団体やエコ公共交通手段として存続を求めた市民団体からの落胆の声が私どもにも寄せられています。利用者や市民団体の間では、今回の廃止により、さらに残された営業路線20.6キロメートルの全線廃止への懸念が生じています。会派社民としても、同線は乗客減少傾向にあるとは言え、年間120万人を輸送する住民の足であり、環境に負荷が少ない交通手段として世界的に見直されている鉄道路線は、存続・活性化させなければならないと考えております。
 こうした経過の中で、法定協議会参加に慎重な本市の対応が冷たく、後ろ向きであるとの印象を与えていることは、残念であります。
森議員 山出市長には、石川線・浅野川線存続に関わる真意を聞きたい。法定協議会参加の道筋を明確にせよ。
山出市長 複数の沿線自治体にまたがる鉄道線だ。その存在は金沢市にとってもたいへん重要なものと認識する。そのため、北陸鉄道が設けた協議会において、県や沿線市町とともに利用者の推移や収支状況について聞き、今後のとりくみについて協議を進めている。鉄道に対する支援に必ずしも法定協議会は求められてはいない。従ってまず、関係者の間で協議を進めていくことが大切だ。
森議員 答弁から、鉄道が大切な資源であるということが共通したと理解する。確かにインフラについては、国の補助の枠組みがある。さらに鉄道事業全体として活性化していくためのとりくみまで踏み込んでいく、法定協議会の中でその計画策定から国の助成が受けられるというのが、この「再生活性化法」の新しい部分だと私は認識している。その枠組みは、どうしても将来展望が描けないとなったときには解消できるものだ。制度に対する認識にずれがあるならば、任意の協議会の中で検討して欲しい。事業者に対して求めるべきは求めて頂けばよろしい。法定協議会をつくって支えなければならない状況になったときに、手遅れになっていたということだけは、させないでもらいたい。市長の判断を伺う。
山出市長 協議会に入る前提が整っていなければならないと考えている。その努力をしていきたい。このことによって、手遅れにならないよう気をつけていく。協議会に入る前提が整っていなければならないと考えている。その努力をしていきたい。このことによって、手遅れにならないよう気をつけていく。
4.災害からの教訓について
(1)主計町浸水被害の検証と再発防止策について
 
 2008年7月28日に発生した浅野川氾濫による浸水被害は、広範な地域において、本県ならびに本市の治水対策に多くの教訓を残した。記憶に刻まれた不安は消えるものではなく、事実究明による検証と信頼のおける再発防止対策を求める声が未だに届いています。被災地域である主計町でも、想定外の洪水が堤防を越水したとする県の説明に納得せず、目撃証言と九人橋川沿線の家屋に残る痕跡などから、浅野川大橋直下の逆水門やさらに下流の中の橋付近の逆水門からの逆流が浸水被害を助長したのではないかとの指摘がなされています。ました。そこから逆流が起こったであろうことは想像に難くありません。
森議員 新年度予算に、主計町周辺地域を対象に浸水対策基本調査費が計上されていると聞く。この基本調査は、いかなる目的にもとづき、どのような方法で行われるの。また、その中で地元が求める逆流による被害検証は行われるのか。実効性ある再発防止対策を講じるために、被災地住民には説明責任を尽くし、信頼関係の醸成に努めるよう求めておく。
前多土木部長 本調査は浅野川水害とは関わりはないが、緑水苑や西内惣構堀に流入する流域での局所的な浸水に対処するために、現地調査を行い、実態を把握し、基準降雨量に対する水路の流下能力を検証するためのものだ。
 浅野川水害は、越流によるもので、逆流による被害の検証は行う予定はない。しかしながら、当時水門閉鎖を行ったが完全な水密構造ではなく、この対策のために主計町にある二基の水門の内一基は改良を済ませたところだ。引き続きもう一基についても改良を行う。
 主計町地内では、これまで水門改良工事などを通じて詳細な説明を行ってきていて、地元とは信頼関係は構築されてきていると考えている。今後とも、地元との連携を密にし、浸水被害防止に努める。。
森議員
(再質問)
基本調査が行われることに私は期待している。建前としての目的論についてはこれ以上は言わないが、浸水被害が起こったときに生じた様々な事実・事柄について、細かく調査をして頂きたい。その調査によって、新しいものが見えてくると思っている。それを率直に説明し、再び招かないために手を打つ。原因と結果がしっかりと統一されて納得がいくような施策を進めていく。これが地元住民の安心につながっていく。今度の基本調査は是非ともそういうことに留意をして実施して頂きたい。再度見解を求める。
山出市長 調査は惣構堀のための調査であるとして、それはそれとして地元に丁寧に説明することを約束する。
(2)上山町土砂崩れの検証と再発防止策について
 今回の土砂崩れが、箇所こそ違え、2008年7月豪雨の際に芝原町を襲った土砂崩れと同じ山の麓で発生したことに強い関心を持つ。山頂部分に開発された戸室石の採石場が土砂災害を誘発させるのではないかとの懸念が、採石場開設をめぐる頃から地域にあったことを聞いている。会派議員団で採石場を含む現地を視察した際には、直接の因果関係で結びつけられないとする県側の説明を受けましたが、疑いを払拭することは出来なかった。
森議員 森林法にもとづく林地開発許可とその更新時には、土砂災害発生のおそれの有無を調査することになっている。県にあっていかなる調査実態にあったのか。さらには、その際に本市としてどのような意見を述べてきているのか。検証なき復旧は災害の再発を招きかねない。その上で、現在稼働を停止している採石場の今後について、慎重なる対応を求めておく。
前多土木部長 石川県からは、災害規模などが明らかになった時点で亀裂箇所から十分な距離を確保するために事業区域を縮小するなど、採取計画の変更を行うよう指導すると聞いている。本市としては、岩石採取の変更認可に際しては、現地及び計画を十分確認すると共に、県に対しては適切な意見を述べ、情報共有など緊密な連携を図っていく。
森議員
(再質問
答弁頂いたが、一義的に県の所管だから、服の上から背中をかいているような感がある。ただ、市として意見を申し述べるしくみになっているのだから、市として誤り無き意見表明をするには、県がどういう実態把握をして、安全の保証が明らかになったのか市民に説明があってしかるべきだ。法律では土砂崩れや水害を招かないようにしなさいとなっている。残念ながらそういう手続きが十分ではなかったのではないか。それが、公言は出来ないが地域の中で十数年間ささやかれ続けてきた。そのことが二年前に起こった。事業縮小の指導を行うということは、県としても何らかの関連性を否定できないのではないか。事業継続期間があと二、三年あるやに聞いているが、であるなら、再開に当たっては十分な検証をやって説明がなされて、判断されていく厳しい対応を県にも求めて頂きたいし、市としても説明を受けて、住民に説明責任を果たして欲しい。
山出市長 市としての考えを県と事業者にしっかりと言うべきことは言う、それを地元の方々にも丁寧に説明したい。了承して欲しい。
5.全国学力到達度抽出調査に関して
 新連立政権が発足し、全国一斉学力到達度調査が全員参加の悉皆から学校単位の抽出調査に変更された。全国平均約30%の抽出率は、統計上の有意数としてはまだ過大だ。それでも、ともかくも抽出調査となったことは、政権の賢明なる判断だと評価していたところ、調査用紙の希望利用に、県内では各市町教育委員会横並びとは言え、金沢市教委がこれに希望したことは、率直に言って失望の念を禁じ得ない。
森議員 まず、本市において国調査の抽出率はどれほどになるのか、国が求めないデータについてどのように扱われるのか。併せて、この抽出調査という全員参加からの切り替えは、どのような意図の下で行われたと受けとめているのか、浅香教育長の認識を尋ねる。
浅香教育長 本市全体の抽出率は約35%となっている。本市及び学校毎の状況については本市独自に集計を行い、教育施策や指導改善に活用したい。
 国が抽出方式や希望方式に切り替えたことは、国、地方がそれぞれの目的で調査することが出来るようにしたものと考えている。
森議員 今や、教育の固有の営みに、全国学力調査が割って入り、時間と思考が占有され、本来の教育活動が隅に追いやられていると嘆く声が聞こえる。行政調査を教育の一環として援用することで、教育活動との不整合を起こしている。教育長はいかがお考えか。
 大胆なスクラップアンドビルドを敢行すべきだ。文科省自身が今回の調査は移行的措置であり、来年度に向け抜本的に見直すことを表明している。学校教育金沢モデルの再検討を通じ、学力調査に関しては、少なくとも、調査問題の希望利用が残ったとしても、参加は見合わせるべきだ。教育長の所見を伺う。
浅香教育長 学力調査は、児童生徒の学力状況を捉えるのに有効な手だてだと捉えている。本市では今年度から金沢絆教育を取り入れた第二次学校教育金沢モデルを実施している。学力調査の結果も参考にしながら、知徳体の調和のとれた教育の充実を図っていきたい。
6.公立大学法人金沢美術工芸大学中期目標について
 2010年4月1日をもって公立大学法人に移行する金沢美術工芸大学にとって、当初6年間の中期目標と、初年度を支える予算案が本議会に提出されている。私は、9月議会で、大学の自治の確保、教育研究の独立性、市の財政的責任のあり方について市長ならびに大学当局のお考えをお尋ねした。今、歴史的な転換点に立つ金沢美大の新たなスタートを前に、その誤りなき航路を確認するため、以下質問する。
森議員 中期目標の設定とそれに対応する法人初年度歳入予算編成に当たって、財務の基本とした考え方は何であったのか。
山出市長 法人初年度の歳入予算編成に当たっては、運営費交付金にだけに依存するのではなく、多様な財源を確保して財政基盤の強化に努めることにより、教育研究の一層の充実を図ることが大切だ。この考え方から、寄附金収入を計上し、新規事業の財源にした。
 しかし、こうした考え方によって、教育研究をおろそかにすることになってはいけないのは当然だ。それで、市として必要な財源を応分の負担をすることを基本に予算編成した。
森議員 公立大学法人金沢美大にあって、譲れないものは一体何か、そして大学の明日にかける思いを学長にお聞かせ願いたい。
久世学長 まず、大学の法人化は、今まで以上に魅力ある大学をつくる、教育研究活動の活性化など大学改革を目的に行われる。このことによって、学問の自由、表現の自由、大学の自治を歪めてはならない。一方では、金沢市民に支えられている大学として、限られた経費の中で最大の効果を上げる努力が必要で、より効率的な大学運営に努める。
 法人化のための初期の準備作業の中で、全教職員が大学の将来像を描くことで、進むべき方向が定まったこともたいへん印象的だった。また、地域連携、産学連携の諸事業についても、三年前より先行して経験を積み上げた。今後も積極的に推進していく。
 法人化後にあっては、高度な技を磨き、素材や道具と対話してより良きものづくりをせよとの先人が築いたキーワード「手で考え心でつくる」というものづくりの精神を継承発展させ、より大きな自主性と自立性の下、教職員が一丸となって創意工夫を凝らし、教育と研究の高度化や個性豊かな大学づくりにとりくむ。創造都市金沢の一翼を担い、知と創造の拠点に相応しい大学を目指す。創造とは、新しい概念を生み出す大切な要素のひとつだ。今後金沢美術工芸大学から既成概念を破って、新たな芸術やイズムを世界に向けてダイナミックに発信していくつもりだ。
 これまでの金沢市民のご理解とご支援に感謝し、新生公立大学法人金沢美術工芸大学を温かく見守って下さるようお願いする。
森議員 最後に、市民共有財産である金沢美大を公立大学法人として独立させる側に立つ山出市長に、新生美大に対するはなむけの言葉を尋ねる。
山出市長 ご案内のように、美大は戦後の荒廃の中から市民の熱意で誕生した大学だ。法人化後も伝統を受け継いで、新しい芸術を世界に発信する知と創造の拠点として発展していかねばならないと考えている。法人化を契機として、まちと市民のために大学があり、大学は市民に支えられていることを自覚して、魅力ある大学づくり、教育研究に積極的にとりくんで、市民に開かれた大学として、また創造都市金沢にふさわしい大学として発展していくことを期待している。





金沢市議会HPで、詳細と本会議映像が見られます。

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