2025年9月定例月議会 報告

2025年9月定例月議会 報告

◪一般質問骨子(2025年9月12日)
1.公立学校等の教育職員の給特法等の一部改正について
(1)主な改正内容とその評価について
(2)附則の付加修正と受け止めについて
(3)業務改善計画策定の義務づけについて
2.高尾城跡の史跡指定と中世からの歴史を生かしたまちづくりについて
(1)調査結果の意義と市史跡指定への道筋について
(2)中世からの歴史を生かしたまちづくりについて
(3)金沢の重層的な歴史意識の醸成と自治意識の高揚
3.最低賃金の引き上げと中小企業・小規模企業支援の課題に関して
4.市民のつぶやきから     
   伏見川水系等でのPFAS汚染の不安への対応を求める声

◪一般質問と答弁の全文(一問一答方式)
   議席番号32番 森 一敏(みらい金沢)

1.公立学校等の教育職員の給特法等の一部改正について
(1)主な改正内容とその評価について
森 一敏議員:みらい金沢の一員として、以下ご質問いたします。まず1番目は、公立学校等の教育職員の給与法等の一部改正について伺います。そのまず第一です。主な法改正内容とその評価についてお伺いします。
 本改正法は、6月11日に可決をされました。学校崩壊とまで報じられ、長時間勤務が社会問題となる中、制定から54年を経ての今改正で、教職調整額が4%から10%へと、来年度から1%ずつ引き上げられます。ただ、この教育調整額は、定額働かせ放題制度と揶揄され、これを廃止して、時間外勤務手当の導入を求める声、より大幅な調整額の引き上げを望む声もあっただけに、失望も聞こえてまいります。この教職調整額の改定を教育長はどう評価されますか。

野口弘教育長:お答えいたします。子どもの未来を守るために、教師を取り巻く環境を整備して、優れた人材を教師として確保する必要があります。このたび、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部改正が行われまして、教師の処遇改善の一つとして、教職調整手当が引き上げがることになりました。多くの優れた人材が、他の仕事に流出している現状を考えれば、教師の処遇を改善していくことは、教師を確保する一助になるものと考えておりまして、時間外、在校等時間の削減を条件付けすることなく、確実に引き上げるとする今回の教職調整額の引き上げについては、一定の評価をいたしております。
 しかし、優れた教師を確保するには、処遇改善を行うことだけではダメだと思っています。現在、国において議論されている、または、これまで議論されてきた教師の業務量の低減に向けての新たな道筋や、実効性のあるものになる必要があると考えています。そのためにも、これから学校現場等の要望等を聞きながら、必要に応じて、全国都市教育長協議会や中核市教育長会を通して国に伝えていきたいと思っております。

森 一敏議員:新たに創設される主務教諭の設置や、学級担任手当の導入は、チーム学校としての協働性が分断される懸念がある。導入の判断は、地方自治体です。県教委どもども職員団体との真摯な協議も必要です。教育長のお考えを伺っておきます。

野口弘教育長:新たな職として創設されます「主務教諭」につきましては、教職員間の総合的な調整を行う職務として、学校内外と連絡や調整を行うほか、若手教師をサポートするなど、学校全体の教育活動に関わる役割を担うこととなり、今後、主務教委が配置されることになれば、防災・安全教育や情報教育などにおける諸準備や、職員間の調整に関わる業務の負担軽減が図られるものと思っております。
 よく役員として東京へ行って、いろいろな方とお話しする中で、この主務教諭についてお話を聞くことがありますけれども、この主務教諭につきましては、置くことができるということにされておりまして、そしてそのために任命権者の教育委員会が判断する任意の配置であるという考えをしております。その際にお伺いしたことはもう一つありまして、主務教諭と教諭、主務教諭と事務職員等の関係に上下関係はなく、職場の同僚関係によるものと捉えればいいという考えをしてきました。この主務教諭や学級担任制度等の導入につきましては、県費負担教職員の任命権者であります石川県教育委員会が検討していくことになりますので、県の動向を注視してまいりたいと思っています。

森 一敏議員:地方の教育委員会判断ということになります。県費教職員ですから、県教委が最終的に判断するということもそうだと思います。ただ、金沢市教委も服務監督ということですから、今お話があった学校の中の共同性です、これが阻害されないような職務創設や手当というものについて、やはり慎重な判断は市教委としても必要になると思うし、それから、県教委は県教組、市教委は県教組金沢支部というところが職員団体です。いわゆる、管理運営事項というふうにパンと木で鼻をくくったようなことでなく、十分に協議をして、それで現場にプラスの効果が本当に多いのかということについての納得、これを丁寧に積み上げていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

野口弘教育長:今のお話、承りました。いわゆる教育委員会は、市町、そうした、それぞれの19の市町の教育委員会とよく話することもありますので、そんな部分、少し話をさせていただきながら、今、森議員がお触れになられたことについて、十分留意してまいりたいと思います。

森 一敏議員:昔のことを言ってもせんないことかもしれませんが、私が学校現場にいた頃は、学校は鍋蓋でなきゃいけないという言葉がありました。教育長もご存知のことと思います。管理職は、当時は校長教頭のみ。あとは年長者であろうと新採であろうと、それぞれが子どもに平等の責任を負って、それらが協力をしてカバーし合って、子どもの教育を担っていこうと、そういう意味を込めた鍋蓋でなきゃいけない。それは現在は、校種により違いますが、副校長であるとか、あるいは主幹教諭というものが入りました。それから主任手当、今度は担任手当と、こうなってきました。鍋蓋というものに込められた精神が、いつの間にかヒエラルキーにとって変わっていくとか、あるいは処遇の違いがチームの中の違和感を作り出しているとか、こういうことを懸念するんです。これらが払拭できるような対応というものをぜひ求めておきたいと思います。これは私の意見と申し上げます。

(2)附則の付加修正と受け止めについて
森 一敏議員:第二は、附則が今回の法案で付加修正ということで可決に至りました。この附則の付加修正と受け止めについてお伺いをします。この附則、次の質問に関わりますけれども、国会の附帯決議、この2つの資料につきましては、モアノートに搭載させていただきましたので、それも併せてご覧いただければありがたいと思います。

野口弘教育長:まず、附則に加えられました内容につきましてですが、学校を回りますと、いろんな声をお伺いします。例えば、現場の業務が多すぎる、業務量を減らしてほしいという声。それから、健康に働くことができる職場環境を整えてほしいという声。また、対応すべき多様な業務が増加しており、業務に対応するために人が足りない。そうした切実な声をお伺いしています。こうした学校現場からの要望と、子どもたちへのより良い教育を実現するためには、やはり働き方改革をさらに推進をして、長時間勤務を是正し、教師の健康を守る。また、日々の生活の質や教職人生を豊かにして、自らの人間性や創造性を高める。そして、教師として学ぶ時間を確保し、自らの授業を磨く。そうしたことなどによって、教師の魅力を向上させ、優れた人材を確保する必要があると考えております。
 そのためにも、今回の給特法等の改正にあたり、修正された附則を着実に推し進めていくことが重要であると考えています。蛇足でありますけども、今、森議員が資料として提示されている内容があるかと思いますが、その中にも、この修正された附則がちゃんと載せられております。そうした内容を踏まえますと、私はこれ見ていると、3つに分けられると思っています。一つは国じゃないとできないこと。もう一つは、地方の地方公共団体が力を貸していただかないと実現できない内容。そして、今すぐにでもひょっとすると頑張れば学校や教育委員会で実現に向かって歩み出すことができる内容があるのではないかなと思っています。そうしたことについて、やはり分業しながらになりますけども、まずは学校や教育委員会が頑張ればなんとか少し前進するのではないのかなという内容についてしっかり頑張っていければいいのではないかなと思っています。
 そのため具体的に言います。具体的には、学校や教師が担う業務に係る3分類、これあります。この3分類というものを、やはり推し進めながら、業務の負担軽減を一層推進する必要があるかなと思います。ただ、この3分類は非常に評判悪いです。なかなか定着が悪い状況があります。これをさらに一歩改善する必要があろうかと思っていますので、ここはもう少し条件変えて整備しながら頑張っていければと思います。
 もう一つは、あの教育課程の編成を見直しながら、あの予定事業時間数が結構、予定よりも定められているよりも多い状況がありますので、ここをどうするかということの議論が必要になってくると思います。そしてもう一つは、1日の教職員の日課。ここを触りながら、もう少しゆとりのあるような1日を作ることができないか。そんなようなことをやはりやっていくことができないかと考えておりますので、ここはしっかりと自分として取り組みできればなと思っています。

森 一敏議員:これは附則修正として可決ですから、与野党合意、そして法に書き込まれている、こういう内容になります。今、教育長が強調されたそれぞれの現場、そして自治体の教育委員会、ここがすぐにでも着手できる内容が法に書かれた。このことは非常に重いと思っております。当然、財政面にも関わってまいりますので、市当局の方におかれても、この附則、加筆された内容について、十分に斟酌していただかなきゃならない。

(3)業務改善計画の義務づけについて
 3点目ですが、業務改善計画、この策定が義務付けになりました。地方自治体の教育委員会に、時間外勤務時間削減の具体的数値目標を盛り込んだ業務改善計画の策定が義務となりました。確か本市小中学校では、年々時間数、月80時間超え教職員の割合は減少傾向にありますが、全国的にも、いわゆる時短ハラスメント、とにかく帰れとこの一辺倒。これに非常に心理的なダメージを受ける。こういう時短ハラスメント、過少申告、こうした実態を指摘する声が絶えません。それゆえに、具体的に踏み込んだ付帯決議が採択されました。こういうところまで付帯決議になるんだということを私は正直驚いたんですけど、この附帯決議の内容を踏まえた教育長の所感を伺います。

野口弘教育長:本市におきましては、時間外在校等時間の過少申告等がないように、これまでも管理職へ指導し、そして管理職への聞き取りや学校訪問等で実態把握に努めながら、改善が必要な学校に対しましては、適切な業務量の設定と校務分掌の平準化を図るよう指導をさせていただいております。今回の法改正の附帯決議では、時間外在校等時間の過少申告を行わせないこと、これはもし虚偽記載があった場合には、校長が信用失墜行為として懲戒処分等の対象になり得るということがしっかりと書かれております。また、自宅等への持ち帰り業務を増加させないことなどで、こういうことが21項目にわたって内容が示されております。あの、この付帯決議の趣旨を踏まえて、今後示される国の指針を参酌いたしますとともに、県の指導助言などに基づきながら、本市における業務量管理、健康確保実施計画を策定するなどして、教職員の働き方改革を着実に推進してまいります。

森 一敏議員:私が紹介しなければいけないかなと思っていた内容もそうですね。おっしゃっていただきましたので。ぜひ、現場を預かる校長、管理職、皆様に重々、このことの徹底をしていただくようにお願いをしたいと思っております。
 先だって、労働安全衛生委員会が金沢市で開かれたようですね。そこでやはり依然として、精神疾患による病休者の増大とか、休職とか、そういう数字がやはり深刻な状況にあるということも伺っているところです。ここは大変重要ですので、ぜひお願いしたいと思っております。
 ここで、教育職員の時間外勤務を規定する限定4項目に対する教育書の認識を確認したいと思います。

野口弘教育長:限定4項目、この法令によって時間外勤務を命じることができるのは、校外学習等の生徒の実習に関する業務、修学旅行等の学校行事に関する業務、職員会議に関する業務、そして、市場災害や児童生徒の市場に緊急を要する業務の4項目に限定をされています。しかし、では、学校の今の様子はどうなのかと問われれば、現在の学校における業務は多岐にわたっています。そのために、時間外の在校等時間に限定4項目に加えまして、授業準備や保護者の対応、校務文章等に関わる業務を行うことが多いことから、ここからですが、教師が教師でならなければできない業務に集中できる環境整備、そして、教育課程を見直し、授業後の勤務時間を有効に活用できるようにするなど、工夫ある取り組みを行っていく必要があると考えています。これ、あくまでも自分の思いでありますけども、こんな状況下でも、この働き方改革等で、教職員の勤務、時間外在校時間が減少していくことになれば、この限定4項目で済ますことができれば、それに越したことはないなと思っています。そうなるように努力しないといけないと思っています。

森 一敏議員:この限定4項目は、それ以外に命じてはならないということで、4つの項目は、今、教育長の答弁をなさいましたが、あえて申し上げますとね、教育職員については、正規の勤務時間の割り振りを適正に行い、原則として時間外勤務を命じないものとするということなので、学校の教職員の皆さんは、自らの意思でね、今、いわば自発的に子どもの教育のために時間外勤務を強いられているという状況ですね。これを今、小学校で33時間とか、中学校で42時間ですか、これはあくまでも月平均というところまで徐々に減ってはきておりますが、80時間や100時間というような方も中にはいらっしゃいます。これらほとんどは命ずることのできない業務を、それによって成り立っているということでありますので、命じることができない時間外業務によって学校が成り立っているという、これは無法状態、きつい言葉かもしれませんが、このような状態を変えるのは、教育行政の責任であります。業務改善計画策定に臨むとともに、教員のなり手不足対策をあり、学校崩壊を食い止め、明るい展望を開く、学校改革にかける教育長の決意を改めてお願いします。

野口弘教育長:減少したとは言っても、まだまだ時間外、在校等時間は長いという現状があります。また、欲しいな、いて欲しいなと思うような教員がそれでも不足をしているという現状があります。また、教師のメンタルヘルスをしっかりと考えていかなくちゃいけないという、そういう現状もあります。現在、教師を取り巻く環境というのは、学校崩壊という言葉を違う言葉で表現するとすれば、私は我が国の未来を左右しかねない危機的な状況があると思っています。教師を取り巻く環境の改革が改めて今必要であると考えています。まずは、今ほど述べましたが、今後国から示される指針をもとにしながら、教師が教師でなければできない業務に専念できるように、学校や教師が担う業務の見直し、適正化を踏まえて、業務量管理、健康確保実施計画の策定を行っていきたいと考えます。
 そして、子どもたちの成長に関わり、未来をつくるという価値ある仕事に取り組んでいるすべての教師や、これから希望を持って教師になろうとする方々が、教師としての職務に誇りを持ち、明るく元気に子どもたちと向き合うことができる魅力ある仕事となるように、行政と学校が一丸となって全力で取り組んでいきたいと思っています。最後にこの教職に就いた者が、人生を全うして最後に、この仕事について本当に良かったなって実感できるような、そんな思いになれるような仕事を私も作り上げていきたいと思っています。以上です。

森 一敏議員:私も学校からこの世界へ出てきた人間の一人です。本当に胸躍る、そういう素晴らしい学校の教員の仕事。そして、学校チームとしては、事務職員の方も、養護教諭の方も、様々なサポートスタッフも、皆さんも、支援員の皆さんも、みんなでその喜びを分かち合う、そのための環境づくり、今がチャンス到来ということですので、ぜひとも粉骨砕身して頑張っていきたいと、そのように思います。

2.高尾城跡の史跡指定と中世からの歴史を生かしたまちづくりについて
(1)調査結果の意義と市史跡指定への道筋について
森 一敏議員:では質問の2点目、高尾城跡の史跡指定と中世からの歴史を生かしたまちづくりについて質問いたします。その第1です。調査結果の意義と、市史跡指定の道筋について伺います。市埋蔵文化財センターが実施した高尾城跡、コジョウ地区での測量発掘調査結果がまとまりました。私も7月に成果報告を拝聴し、出土品を直に見て、往事を偲びました。高尾城跡は、1488年の長享2年の一向一揆により、高尾城に立て籠もった加賀の国守護・富樫政親が滅ぼされ、加賀の国が歴史上稀な、百姓の持ちたるような国となる契機となった重要な場所です。遺構の保存については、紆余曲折を経て今日、本市として今次調査で明らかにできたこと、その意義をどう評価しているか伺います。

村山卓市長:今回の調査によりまして、往時の堀切の規模が確認されましたほか、おおむね14世紀後半から15世紀代と考えられる多くの出土品が発見をされました。調査の対象としたコジョウ地区の遺構につきましては、今まで造営年代に関する評価が定まっておりませんでしたが、富樫氏が守護であった時代には、すでに城郭として使用されていたことが裏付けられるなど、より具体的な史実の実測に近づくことができた点で、意義深いものであったと評価しています。

森 一敏議員:高尾城跡史跡指定がこの後の手続きになりますが、今後の手続き、それにかかる課題、またその見通しをお伺いします。

村山卓市長:高尾城跡の市史跡指定に向けましては、土地の利用に一定の制限を課すことになりますので、地権者の方々からの史跡指定に向けた理解と同意が必要になります。このため、今月末、地権者の方々に対して説明会を開催することとしております。その後、地権者からの同意書が整い次第、本年度中にも文化財保護審議会を開催して、市史跡指定に向けた事前審議を実施したいと考えております。これらの手続きを着実に進めて、明年度のなるべく早い時期の市史跡指定を目指してまいります。

(2)中世からの歴史を生かしたまちづくりについて
森 一敏議員:中世からの歴史を生かしたまちづくりについて質問をいたします。2009年度市議会新幹線金沢魅力発信特別委員会は、加賀一向一揆を取り上げました。その歴史的再評価を踏まえ、歴史都市金沢の魅力向上策を提言しています。文化財指定の推進と地域住民・民間の力を生かした整備保存方法の検討、地域に散在する加賀一向一揆ゆかりの地と、中心部の城下町を組み合わせた観光コースの創出と整備、これらを提案しております。高尾城跡は富樫丘陵に位置し、平野部には野々市にまたがって富樫市の居所跡、山科町市内には別荘があったと言われています。富樫攻めの精強部隊であった「山王林衆」は、山科町葵が丘団地あたりに陣取ったとみられるなど、ゆかりの地が点在しています。これに大乗寺丘陵公園内の「摂政宮御埜立ちの地」を加えれば、南部丘陵は中世から近代に至る歴史回廊となります。その整備の検討について、市長のご所見を伺います。

村山卓市長:大乗寺丘陵公園を含む南部丘陵一帯については、守護富樫氏の累代の母祖と伝えられる御廟谷や、真宗寺院である四十万善性寺など、中世以降の歴史遺産が数多く集積しておりますので、本市ではそれらの遺産を巡りながら地域の歴史を学べるよう平成28年に金沢南部丘陵歴史夢街道散策マップを作成いたしましたほか、案内看板等を整備してきたところであります。今後、高尾城跡を地域史跡に指定した際には、野口市の富樫館など南部丘陵周辺にある歴史遺産も含めて、新たな散策マップの作成等を検討していきたいと考えています。

森 一敏議員:他方、勢力を伸張させた一向一揆の主力は、湯涌谷衆でありまして、その後背地で彼らを支えたのは、五箇山の門徒衆であったということです。道場、寺院、金沢御堂から五箇山の称名寺へ護り移したとの縁起を持つ親鸞聖人坐像などの一級の文化財、歴史的遺物、合戦場などが存在しているのが南砺市です。五箇山で製造された塩硝は、加賀藩塩硝の道で国史跡となりました土清水の塩硝蔵へ運ばれました。本市は湯涌・福光線の整備を軸に、南砺市との広域連携を進めていますが、一向一揆の歴史を仲立ちに、広域観光の活性化を図ってはどうでしょうか。ご所見を伺います。

村山卓市長:南砺市との間では、北陸飛騨信州三ツ星街道や加賀藩をゆかりとした金沢富山県西部広域観光推進協議会など、これまでも官民一体となって広域観光に連携して取り組み、国の内外の旅行者の誘客と周遊観光に成果を上げてきたと承知しております。また、本市の歴史と関連が深い井波別院瑞泉寺などの魅力的な観光資源が数多くございます。一向一揆の歴史に基づいた広域観光について、どういった取り組みができるのか、南砺市と協議してまいりたいと考えています。

(3)金沢の重層的な歴史意識の醸成と自治意識の高揚
森 一敏議員:私たちが気づかないところに、思わぬところに、そうした歴史とゆかりのある地がほかにもございますので、それらが市民から見ても、あるいは来街者からもより可視化されるような取り組みをぜひ進めていただきたいと思います。
 3点目ですが、金沢の重層的な歴史意識の醸成と自治意識の高揚について伺います。2013年に制定した金沢市議会基本条例の前文では、金沢には500有余年にわたり独自の自治の精神が受け継がれていると謳われております。
 先ほどの特別委員会提言では、加賀一向一揆の歴史を紐解くことは、金沢の歴史に重層性を持たせる上で重要であります。兵農未分離の百姓などが、富樫一族と結んで加賀の国を支配した史実。市民が自分たちの暮らす町の歴史を意識していくことが、歴史都市金沢にとり重要であります。住民自治の基礎となる市民の歴史意識の醸成に向けた取り組みが求められると結んでおります。ややもすると、金沢は加賀百万石と思考が止まる傾向があるように思います。本市の歴史都市としてのさらなる展開に、高尾城跡の史跡指定を位置づけ、重層的な歴史意識の醸成と、自治意識の高揚に向けて、市民に見える具体的施策を推進するよう私からも提案します。併せてご所見を伺います。

村山卓市長:百姓の持ちたる国のようと称される約100年間については、その時代において国内で唯一、武士以外の人々を主体とする自治的な政治が行われました。これは本市のみならず、我が国においても特筆されるべき史実だというように捉えております。高尾城跡はその象徴となる史跡と位置づけられますことから、先般、調査結果を踏まえた地域住民への説明会を開催したほか、「百姓の持ちたる国」をテーマとして、今月14日、15日には、白山市で開催される全国山城サミットにおきましても、高尾城跡を広く発信することとしております。今後、市史跡指定に向けた取組に合わせまして、そうした本市の重層的な歴史や文化遺産につきまして、金沢かがやき発信講座などを通じまして広く発信することで、さらなる市民意識の醸成などを図っていきたいと考えています。

3.最低賃金の引き上げと中小企業・小規模企業支援の課題に関して
森 一敏議員:質問の3に移ります。最低賃金の引き上げと中小企業・小規模企業支援の課題に関してです。石川労働局の公示により、石川県の最低賃金は10月8日から70円引き上げの1,054円となります。これに際し、県内の政労使の会議で、中小・小規模企業でも最低賃金を支払えるよう、公的支援を求める声があがりました。石川県はこれを踏まえ、本県議会に最低賃金の引き上げを支援するため、総額10億5千万円の補正予算を提示しています。
 一方、村山市長は提案理由説明の中で、過去最高の引上げ額による中小企業への懸念、影響が危惧されると述べておりますが、この発言の真意を伺うとともに、中小・小規模企業の賃上げ支援はどのように考えられているのか伺います。

村山卓市長:提案理由説明の表現でございますけれども、依然としてエネルギー価格をはじめとする物価高騰が企業活動に影響を及ぼす中で、過去最高の最低賃金の引き上げが中小企業や小規模企業の経営基盤の弱体化につながらないかということを危惧したものであります。そのため、本市におきましても、先端設備を導入し、生産性の向上と従業員の賃上げに取り組む中小企業者、小規模企業者に対して200万円を限度に支援する制度を創設しております。特に、この中で小規模企業者に対する補助率を引き上げております。併せまして、国や県における賃金引き上げへの支援制度につきましても、今後、本市のホームページを通して周知を図ることで、企業の利用を促していきたいと考えます。

森 一敏議員:生産性が高まることによって、賃金の原資をしっかりと確保できるようにすると、そういう意図が込められているかと思いますが、先ほどの質疑の中にもありますが、直接支援はしないんだと、こう言い切ってしまいましたね。金沢市冷たいなと、こういう印象になりかねませんので、そのものをしっかり取り組んでいっていただかなければと思っております。
 こうした経済環境の中で制定が待たれていた。金沢市中小企業小規模企業振興基本条例案が提出され、本条例に基づく施策推進のため、中小企業・小規模企業振興計画策定費が計上されております。条例案に込められた本市の独自性と見込まれる効果について伺うとともに、振興計画策定に当たって、特段に留意する点は何か、ご説明をお願いします。

村山卓市長:ええ。今回お諮りしている条例の前文におきまして、中小企業者、小規模企業者が原動力となり、本市の産業や地域の発展に重要な役割を果たしていること、また、本市を個性ある都市へ高めていくことに加え、ええ中小企業者等や企業支援団体などの各々がその役割を果たすよう努めることで、金沢がさらなる飛躍を遂げ、将来にわたり希望と活力に満ちた魅力あふれるまちとなることを思いとして明記しております。また、本市固有の自然・歴史・文化等の土壌、ものづくり産業や高等教育機関の集積など、特色ある地域資源の活用が重要である等の基本理念を定めるほか、地域コミュニティに根付いた商店街への支援、小規模企業者への配慮、自然災害時の事業継続支援など、基本的施策等を定める中で、金沢らしさや独自性を盛り込みました。
 なお、本条例をお認めいただければ、これに基づき、中小企業・小規模企業振興計画を作成することで、総合的かつ計画的な施策の推進を担保できる効果があると考えております。当該計画には、中小企業、小規模企業の課題である人材育成確保をはじめ、経営の革新等の促進、事業承継の円滑化、販路の開拓などを盛り込むこととしております。策定に当たりましては、条例で定めた基本的な施策に関する調査や課題の整理を行うとともに、有識者、関係団体の代表等で構成する検討会を立ち上げまして、幅広く意見をいただくことで、中小企業者、小規模企業者のニーズにできる限り寄り添った計画にしたいと考えております。

4.市民のつぶやきから 伏見川水系等でのPFAS汚染の不安への対応を求める声
森 一敏議員:時間がありませんので、次へまいります。市民のつぶやきから、市民の推計等でのPFAS汚染の不安への対応を求めることについて伺います。本年5月、6月の伏見川水系における追加調査では、発がん性などが指摘される有機フッ素化合物PFASのうち、代表的なPFOSとPFOAの合計値が、国の指針値1リットル当たり50ナノグラムを11地点で大きく超え、最大値で200倍も検出された地点があったことから、伏見川支線・沿線で営業する民間産業廃棄物処理施設が排源と突き止められることになりました。汚染を止めるには、排出源の事業者の速やかな汚染防止対策が肝要です。本市はそのために当該事業者にどのような対応を行ってきたか、汚染防止の見通しは得られているか、本補正でPFAS調査費を追加する本市の今後の対応とも併せてお答えください。

越山充環境局長:市から排出源である産業廃棄物処理施設の運営事業者に対し、排出水の行政検査への協力や自主検査結果の提供、それからPFOS及びPFOA含有廃棄物の搬入状況について聞き取り調査などの協力要請を行うとともに、早急な濃度低減策の実施を要請したところでございます。事業者からは、埋め立て場の一部に遮水シートなどを敷設し、雨水の浸透を防止する対策工事を本年8月中旬から行い、施工後の濃度低減の効果を確認しながら、さらなる対策を検討したいと聞いておりました。しかし、8月7日の大雨により事業場への道路が崩落し、現在通行止めとなっているため、事業者は他のルートで資材の搬入などができないか検討しており、市としても早急に対応が図られるよう、事業者と協議を進めているところでございます。
 補正予算につきましては。伏見川上流の高濃度のPFOSおよびPFOAが検出された地点において、定期的に水質検査を実施し、濃度を監視するとともに、飲用によるばく露防止を徹底するため、河川区域周辺の飲用井戸の水質調査を実施することとしており、今般、その調査費用に係る予算をお諮りした次第でございます。

森 一敏議員:飲用ではないとはいえ、伏見川の河川水は山科用水、十貫川、有松用水へと通じております。米や農産物を通じた間接的な体内摂取が気になります。専門家によれば、PFASは1万種とも700万種とも言われ、分かっているのは氷山の一角とのことです。その全体像や健康影響の解明や法規制、被害防止対策は国が責任を持つべきです。欧米に比べて規制は緩く、立ち遅れを指摘されておりまして、自治体として国に求めるべき点も少なくないと思われます。今日までの国による対応策の進捗と今後の課題について、市長の見解を伺います。

村山卓市長:国では、本年6月に水道水におけるPFOS及びPFOAを明年4月から水質基準項目に引き上げ、規制を強化することとしたものの、河川水や地下水等については、引き続き要監視項目としたままであります。本市といたしましては、PFASに関する科学的な知見の集積のほか、健康などへの影響の解明、また、PFOS及びPFOAが指針値を超過した際の具体的な対応策の明示、また、自治体への技術的、財政的な支援などについて、国に対して積極的に要望したいと考えております。

◪議会議案の動向 -2025.9月定例月議会議会議案採択状況(PDF)-
 今定例月議会では、各会派から合計11本の決議案、意見書案が提出されました。私たちみらい金沢からは、自民党鶴保参議院議員の発言への抗議決議案、さらなる少人数学級の推進及び教職員定数の改善を求める意見書案、子どもに係る国民健康保険料の均等割の負担軽減等を求める意見書案の3本を提出しました。
 掲載したPDFで、意見書案等の内容と採択の結果をお示ししています。

 なお、私たち会派は、根拠が事実と異なる外国人の国民健康保険料及び住民税に係る未納対策を求める意見書には、反対いたしました。鶴保参議院議員の発言への抗議は、議会による決議が市民の声を代弁するものであったので、提案理由説明を行いましたが、自民党、公明党、自民系会派の不賛同で不採択となったのは残念でした。

 私自身は、喜成清恵議員の辞職勧告決議案には引き続き退席。生活保護に関する2本の意見書案には賛成しました。

以上、ご報告とします。