「私たちの経済」二つの学習会から
28日
金沢大学市原あかね教授ゼミ公開講座「公営サービス民営化を考える」
・学生レポート報告
金沢市のガス・発電民営化について
・尾林芳匡弁護士オンライン講演と質疑
29日
市民の政策研究会「くるま座」
澤信俊の実践地域経済論連続講座第一回
「『国富論』それとも『民富論』」
〜私益を求めずして公益を図る〜
【28日】安倍首相が持病の悪化を理由に辞意を表明した。首相自ら新自由主義の旗を振り、公益から私益尊重への転換を「世界で最も企業が活動しやすい国」と表現した。その結果が、今日の日本社会の姿だ。惨憺たる結果だ。政治的責任は極めて重い。
首相交代で世の仕組みが自動的にリセットするわけではない。私たちの地域が直面している問題に、さらに力を入れて抵抗し、市民の力で新しいあり方をかたちにしていくしかない。
市原あかねゼミ公開講座で、尾林弁護士は、国内外の民営化の経験から、金沢市のガス事業・発電事業株式会社譲渡を、公共サービスが市民の手から離れ、儲け主義に投げ出されることと問題整理した。
政府肝煎の民営化事業の失敗事例は、地方で数えて余りある。その本質は、営利企業化だ。低価格競争しつつ株主配当を出すには、労働者賃金コストの3分の1化を不可避とする。非正規化、整備投資控え、そして撤退である。その尻拭いは結局は自治体となる。なぜなら、暮らすのに欠くことのできない社会インフラだから。
【29日】澤信俊さんの提示する経済の世界観は、経済は、私欲の野放しではなく、人間の知恵によるコントロールである。
第4回以降で詳しく述べられる珠洲での実践は、生きることは遊びである珠洲の人々の自然人としての暮らしに触発されたものだ。余剰が出たら貨幣に換えるのであって、最初から金を求めるのではない生業の姿だ。
ところが、強欲資本主義の台頭を許した現代経済学は、経済史と経済哲学をないがしろにした。
澤信俊さんのロマンともいうべき経済思想には、マルクーゼの『理性と革命』、モリスのギルド、ラスキンの「労働の細分化は人間性の細分化である」に影響されたという。
小泉・アベノミクスの権化である竹中平蔵氏は、民富論を唱え、社会資本の充実、日本型企業システムの打破、新しい日米関係の構築を提言した。だが、そんな美名のもとで、真逆の私欲資本主義の醜態を晒す、人材派遣大手パソナ会長である。
私たちの時代の責務は、日本経済では、アベノミクスに代わる「経世済民」の経済政策を。金沢においては、社会的共通資本であるガス・発電事業民間譲渡を止め、市民参加による市民のエネルギー自治をつくりだすことだ。
第2回 9月26日(土)14:00~16:00 会場:尾山町文教会館