ようやくにして、6月定例月議会での一問一答報告

 6月定例月議会閉会直後に参院選。そして母の死去が続き、着手できなかった上記報告を以下に掲載する。

◆2016年6月定例月議会 本会議一般質問・答弁記録  2016.6.15 森 一敏

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6-11.志賀原発の活断層問題について
(1)原子力規制委員会有識者会合の最終評価書に関して
:4月27日、「志賀原発の敷地内破砕体の調査に関する有識者会合」が、最終評価書を原子力規制委員会に提出し、これが受理されました。「1号機直下を走るS1断層と2号機の重要施設下を走るS2・S6断層はいずれも将来活動する可能性を否定できない。」即ち、5人の有識者が活断層であることが否定できないとの結論に至ったのです。
 繰り返しますが、原子力規制委員会の新規制基準の取り扱いでは、「可能性を否定できないものは活断層と見なす」としているので、適合性審査によって不適合とされ、志賀原発は許可取り消し、廃炉が決定づけられることになります。3月定例月議会でも、「科学的知見に基づき判断されるべき」との答弁をくりかえされた山野市長に、この有識者会合の最終評価書が出された事実をどう受け止めておられるかまず伺います。

山野市長:北陸電力志賀原発の敷地内断層に係る有識者会合の評価書が原子力規制委員会に報告されたことは承知しています。有識者会合からの報告は、原子力規制委員会の手続きの途中段階のひとつだとお聞きしているところでもありますし、法的にもそういう位置づけであると認識しています。今後その知見のひとつとして、権限と責任を持つ原子力規制委員会が、事業者である北陸電力の意見も聞きながら、最終的な判断をなされるものと理解しています。

:手続き的には、まだ途中経過にあるというのは事実です。しかし、市長がおっしゃいましたように、この最終評価書は最高の現時点での科学的知見が集約されていると見なさなければならないと私は思っているんですね。その認識は共有できるんではないかなと思っています。実は、先日5月の最終日に、規制委員会に直接関係者と一緒に要請行動に私も参加をしまして、この最終評価書が規制委員会の審査の中でどんなふうにに扱われるのかについて、かなりやりとりをしてきました。本当に規制委員会、これを上回るような科学的知見でもって果たして審査ができるんだろうかを問いました。それはなぜかと言いますと、この五人の有識者の方々は、それぞれの断層、地層、地震これらの学会から推薦を受け、そして一号機の審査に全く関与していなかったという中立性が期待できるそういう方々が集まって、2年余に亘って議論をし、北電は何度か追加資料を出して説明を試みましたが、それは認められなかったという最終的な評価であるわけです。ですから、この規制委員会で適合性審査が行われていきますが、決して先延ばしになることがないように、審査を迅速に進めて頂かなければならないと考えております。この審査について、市長はどうお考えですか。

山野市長:規制委員会は、原子力規制委員会設置法に基づいてつくられたものであります。
有識者会合はその元において議論を重ねてきたと認識しています。そして規制委員会は、有識者会合から提出された報告書も知見のひとつとして議論をしていくんだとお聞きしておりますし、法的にもその手続きで正しいんだと思っています。私の立場からすれば、その規制委員会の議論を見守っていきたいと思います。森議員のおっしゃるように、速やかに丁寧に、ただし拙速は避けなければいけないと思っていますし、科学的知見に基づいた議論がなされることを期待しています。

:最終評価書が「活断層であることが否定できない」と言い切った結論を出しました。規制委員会がまさに重要な知見とし取り扱うわけですが、一方北陸電力は、この最終評価書の内容を認めていらっしゃらないわけで、これからいくつかの追加調査を行う、こういう風な状況に今なっています。これから審査されていくわけですが、私が申し上げたいのは、いずれも六つの改題と言われていまして、これはすでにこの間相当議論になって、これに答え得るようなデータが出せずにきた、こういうものが残されている訳ですね。ですから、この最終評価の結論が本当に覆せるのかどうかきわめて厳しいと言われています。これ状況認識ですね。で、私どもは一体いつまで待つのかと規制委員会の担当者に質問しましたら、その期限に定めはないと言ってるんです。そうすると、ずるずるずると先延ばしになってしまう恐れがあって、その間に無用の経費までかかる。こういうことは、私は望ましいことではないし、市民の期待するところではないんじゃないかと思っています。こういう先延ばしにならないようにしなきゃいけない。このことについて、市長はどう思われるかもう一度お願いします。

山野市長:私は、規制委員会の方々は先延ばしという認識はないというふうに思っています。慎重に慎重に調査をされていらっしゃると理解しています。

:慎重ということが、ひとつの口実になって、先延ばしという結果になることばないように、注視をしていただきたい。

(2)株主自治体としての責任について
:ところで、6月28日に北陸電力の株主総会が行われます。総会に対し、北陸電力と共に脱原発を進める株主の会が、廃炉措置、停止中原発と使用済み核燃料の安全管理、プルトニウムの分離、利用の禁止を求める提案を行っています。同会からは、昨年に引き続き株主としての金沢市に、株主総会への出席と株主提案への賛成を要請されています。これに関わってまず、昨年の北陸電力株主総会には、どのように金沢市としての意思表示されましたんでしょうか。
                 
山野市長:昨年の株主総会におきましては、欠席をさせていただきまして、インターネットによる議決権の行使をしたところであります。株主提案に対しては、いずれも反対したところであります。

:株主提案に反対され、北陸電力の議案に賛成されたと理解してよろしいですね。その理由を簡単にご答弁いただけますか。

山野市長:私は、この議場でも何度か申し上げてきておりますけれども、株主といたしましては、安全が確保されるということ、これは原子力だけではありません。水力発電であったり、火力発電を含めて安全を確保されるということ。もう一点は、良質な電気の安定供給がなされること。この二つを株主として最大限に尊重しながら、これまで議論を重ねてきました。その考え方にもとづいての対応をさせて頂いたところです。

6-4:今市長が理由をご説明されましたが、その趣旨に反対するものは多分誰もいないだろうと思います。その考えの結果が株主提案に反対に回り、北陸電力のあくまでも再稼働するんだという強い決意を示した議案に賛成するという結果は、ストレートではないような気がする。受け取り方によっては、これは北陸電力の再稼働方針を市として容認していると取られかねない面がある。どうですか。

山野市長:先程来の繰り返しになりますが、今規制委員会で議論されているところでありますので、私は規制委員会のその議論を待った上で、原発についての態度というものに出てくるものだと思っています。そうでない限りにおきましては、私はこれまで通りの対応をまずは粛々とさせていただければと考えています。

:それは現段階では、再稼働容認ではないとおっしゃったと理解しなければならないのでしょうか。

山野市長:再稼働容認云々ということは、まずは規制委員会で科学的知見にたって議論を頂いているところであります。北陸電力からの意見も参考にしながら議論をしているところでもありますので、今はその議論を注視しているところであります

:まあ、これは平行線であります。今市長がおっしゃったように「安全が一番、そして同じように良質な電気の安定供給」まさに、そのために株主自治体として脱原発を提案し、他の株主に賛同要請まで行ってきた京都市などという先例があるんですね。ここに、京都市長の門川大作市長が、関西電力株式会社の株主の皆様へという要請文書があります。これかいつまんで紹介します。門川市長はこう言っている。「原子力災害による傷跡は深く、甚大」「未曾有の大災害からの教訓を風化させないために、原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会」「この実現を目指し、取り組みを進めている。」「関西電力株式会社に対し、中長期的な経営方針として脱原発依存を位置づけるとともに、再生可能エネルギーの積極的な導入はもとより、市民の皆様、事業者の皆様の省エネがさらに促進されるようしっかりととりくんでいくことを求める必要がある。」「株主総会において、脱原発と安全性確保、電力需要の抑制と新たなサービスの展開など6項目の議案を提案しております。」と。「京都市の提案についてご理解並びにご賛同を賜りますようお願い申し上げます。」これ、昨年のものですが、3.11を経験して、今日どういう方法でエネルギー事業者としても展開されなければいけないか、それから市民の命を預かる行政としてどういう姿勢で臨まなければならないか非常に明確に示されていると私は考えますが、この京都市長の要請書をどのようにお考えですか。

山野市長:京都市であったり、他の自治体であったりそれぞれの施策につきましては、それぞれの自治体の中で真摯にご議論をされて、市長の決断で発表されたものだと私は理解をしていますので、私の立場でそのことにもの申すべきではないと思っています。

:この他にも、函館市のように、対岸の原発建設を差し止める裁判の原告になっているケースなど、全国的にやはり様々な動きが起こっている。そのことは是非何らかの形で踏まえて、対処していただきたい。これは要望としておきます。で繰り返すようですが、今年の株主総会で株主提案への賛成と出席の要請が出ておりますから、これについてはどう対応なさいますか。

山野市長:確か28日だったかと思います。私自身は先般代表者会議でお話しさせていただきましたが、金沢を離れております。担当部署等々と相談をしながら、今後の対応を決めていきたいと考えています。

:是非今回については、出席をどなたかがしてくださって、そしてきちっと意思表示をしていただきたいと思いますが、それに際して、時期はともかくとして、金沢市としてどういう対応をしたかということを公表できるような対応をして頂きたいと思っているんですが、これいかがですか

山野市長:私自身は先ほど申したように金沢を離れておりますので、出席することは叶いません。で、まずはご意見としては承りますけれども、我々の仕事というのは、様々な要望や意見というものに対しては、予算であったり、条例であったり、また一義的には報道でと思っていますので、今のところ、このことについて公表云々は考えていません。

:市民協働、市民参画に熱心に取り組んでこられた山野市長の答弁としては、ちょっと残念だと率直に思います。是非市民の立場に立って、対応を決定していただきたい。

2.共に育つ保育・教育システムの構築について
(1)学校校舎へのエレベーター設置について
:次に、共に育つ保育・教育システムの構築について質問いたします。
 まず、学校校舎へのエレベーター設置についてですが、昨年9月の補正予算での兼六中学校に続き、今補正予算案に額中学校校舎へのエレベーター設置予算が計上されました。これに賛同し、第2号が額中学校になった経緯をお尋ねすると共に今後の設置に対する考え方を伺います。
                 
野口教育長:額中学校のエレベーター設置につきましては、個々の生徒の状況やまた必要性を勘案したうえで、国庫補助の採択が得られましたことから、今回の補正予算の中で設置にかかる経費を盛り込んだものであります。学校施設へのエレベーターの設置につきましては、今後も施設の新築や大規模改修に合わせて、可能な限り進めてまいりたいと考えております。

:今回の判断、子どもの状況も勘案されているというお答えですので、是非今後も、基本の設置の考え方に加えて実情をできるだけ早く把握して優先順位、必要性の高いところにエレベーターが設置されていくよう対応をお願いしたい。

(2)学校看護師の導入について
6-5:次に、学校看護師の導入に関して、この一年間にわたり、保護者の団体より、呼吸器を装着して地域の学校に通う子どもに親の付き添いを求めないでほしい。主治医の指示書に基づき学校で医療行為が行える看護師を配置するよう要望が続けられてきております。しかしながら、本市に学校看護師制度がないため、付き添いの保護者や資格を持つボランティアがサポートに当たってきたという事実経過があります。折しも、文科省がインクルーシヴ教育推進事業の一環として、医療的ケアのための看護師を地域の小中学校にも配置できる予算措置を講じたところです。本市において一日も早く必要な学校に看護師が配置されるよう、学校看護師の導入に向けての基本的な方針を伺うと共に、導入への具体的なプロセスについてお尋ねします。

野口教育長:学校におきまして、人工呼吸器の装着や管理等を行うことにつきましては、安全性の担保をはじめ、また医療環境の整備や看護師の確保、また、校長の管理責任や緊急時の対応などの面でやはり課題が多いのではないかなと考えております。従いまして、現時点におきましては、医療的ケアのために学校に看護師を配置することにつきましては、慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。

:重要な課題がいくつかあるということについては、その通りだと思われますけれども、その上で文科省が、インクルーシヴ教育を推進するためには必要なんだという大局に立って、予算措置を行う事業を拡充したということですから、これを受け止めていただかなければいけない。今の答弁では、この間のそうした経緯がもう一つ踏まえられていないような気が私には個人的にはしますので、そこのところもう一度、基本的な方向性について伺います。

野口教育長:これまでに引っかかっているところは、文部科学省は確かにインクルーシヴ教育を推進する立場で学校看護師を事業として入れるようにしていることは良く存じ上げております。もう一つは、今国が進めておりますチーム学校にも専門的スタッフという位置づけで学校看護師が位置づけられております。その中で、文科省も言っておりますが学校看護師つきましては行える行為がやはり吸痰とか経管栄養、こういったもの等という表現がなされておりまして、ここにある人工呼吸器の装着が明示されておりません。もう一つは、厚生労働省につきましては、人工呼吸器の装着管理は医行為であると明示されておりますので、そうしたことから我々は慎重であらねばならないのではないかと今考えている次第です。

:医行為は、資格を持った看護師が主治医の指示書に基づけば医療機関以外の場、すなわち学校であっても可能である。これが厚生労働省も文部科学省も両方の法的見解です。そこのところを十分に踏まえて是非前向きに対応していただきたい。時間がないので、申し訳ありませんが先に進みます。
 もう一点、金沢教育委員会は、就学指導委員会を教育支援委員会と名を替えまして、特に障がいのある子どもの保護者の意向を十分に配慮尊重して就学先が決まっていくようにする。こういう取り組みを進められているわけですが、ただ、市教委が発行された「特別支援教育」というパンフレットがあるんですけれども、この中に地域の学校の通常学校に就学するということについて、ほとんど触れられていない。これでは、事実上、特別支援学校や支援学級への就学に誘導しているように見受けられると思う。教育長の見解を伺います。

野口教育長:本市におきましては、就学相談等につきまして、その場で地域の学校の通常学級への就学と支援制度につきまして丁寧に説明しているところであり、就学先の決定につきましては、あくまでも児童生徒とその保護者の自己決定を尊重するのが基本であると考えております。

:はい、私もそう思っております。それに資する資料提供、情報提供に是非改善していただきたいと思います。

(3)統合保育と就学相談について
:統合保育に関して若干伺います。「金沢市統合保育事業実施要綱」これ、昨年3月に改定されましたが、改定にあたっての考え方と改定内容についてお聞かせ下さい。

山野市長:心身の発達について、ちょっと気になるお子さんに、早い段階から統合保育を実施することが、適切な育ちにつながるということは、多くの関係者がおっしゃっているところでもあります。昨年スタートいたしました子ども子育て支援制度に合わせ、実施要綱を改定いたしました。これまで三歳児以上を対象としていた統合保育を二歳児までに拡大したものであります。

:統合保育を行う場合に、加配の保育士を配置するというのが具体的な内容ですね。これが二歳からに前倒しになるということについては前進だと評価しています。ただ、気になるところがありまして、この要綱の文言の中に、「発達の助長」、「社会への適応性高める」そして私がもっと注目するのは、「軽度、中度」に限定している点。で、この統合保育の対象にするかどうかは審査をする。つまりは子どもが審査の対象になるという点。これらが現在のインクルーシヴの考え方からすると、まだ立ち遅れている面があるんではないかと問題意識を持っているんです。この統合保育の対象にするかどうかの決定はどなたがすることになっているんでしょうか。

山野市長:実施要綱に基づきまして、それぞれの児童のケースを統合保育指導委員会に諮らさしていただき、専門医の所見、保育関係者の意見をいただきながら、その審査結果に基づいて市長が利用を決定するものであります。

:この統合保育は、入所に直接かかわることではないと理解しているんですが、この市長が決定されるということに保護者側の意向がどの程度反映できるのか、それからあらかじめ重度を対象としていませんので、重度の子どもさんは、統合保育を前提にして入所する道が事実上閉ざされてしまっているのじゃないのかと。この辺は、インクルーシヴな子育て支援ということについては、課題ではないのかなと思うんですが、市長いかがですか。

山野市長:森議員のお気持ち、よく理解できるところではありますが、ただ、現実にすべての子どもを受け入れるとなると、人的設備的な体制、保育士の専門性の確保、小学校へのつなぎの問題、専門機関との連携等解決すべき課題もなかなか多いのではないかと思います。もちろんそういう課題を一つ一つ解決していくことによって、障がいのある子どもを少しでも受け入れやすい環境づくりをしていかなければいけないと思っています。

:市長の前向きな答弁として受け止めておきたいと思います。これは社会に子どもが出ていく一番最初の入口なんですね。ここで統合保育の対象にならないと療育コースといわれるところにどうしても子どもが進むことになって、学校にエレベーターをつけても、対象となる子どもさんが地域の学校になかなか入ってこられないというコースになってしまうという機能が、結果的にであったにせよ起こってくるので、様々な課題があることももちろん理解できますから、さらに十分検討されて、統合保育事業実施要綱の再改定も視野に入れて是非鋭意検討を進めていただきたい。

(4)特別支援教育サポートセンター構想について
:四番目は特別支援教育サポートセンター構想です。これについては、昨年、常任委員会でいくつか発言させて頂いてきたんですが、現在の検討が今年中に終わるということを聞いております。これがインクーシブ教育のセンターの役割を果たせるようにすべきだというのが私の意見の趣旨です。そのための議論がどの程度進捗しているのか、また、さらにインクーシブの知見や経験豊富な有識者から意見を吸収するしくみも求めてきたわけですが、運営がどのようになされていくのかお伺いしたいと思います。

野口教育長:まず懇話会の方からは、障がいのある児童生徒と障がいのない児童生徒とが共に学び合えるインクルーシヴ教育を進めることが大切であり、サポートセンターにつきましては、児童生徒やその保護者および教員の支援、特別支援教育における教職員の研修、また就学および進路相談などの機能を備えた本市特別支援教育の拠点となるよう整備すべきとのご意見を頂いております。今後は、そうした意見をふまえながら、どのような施設や機能を整備していくかということにつきまして、検討を深めて参りたいと思っています。
 また、この懇話会につきましては、大学の教授など有識者3名、また中央小学校芳斉分校および小将町中学校特学分校の校長2名とその保護者代表2名、また支援を必要とする子どもに関係する団体から3名、合計10名で構成しておりまして、懇話会の各委員からは、インクルーシヴ教育に対する知見や経験の豊富な方々でありますことから、サポートセンターの整備構想の策定に貴重なご意見を頂いていると認識しております。

:これから構想をとりまとめに入って行かれると思いますので、金沢市の事業を委託している例えばひまわり教室のような、重度の子どもさんを受け入れて、地域の学校につなごうと努力をしてきた、そういう経験を積んだ専門家がいらっしゃいますので、決めるのは行政当局として判断されることではありますが、ぜひそういった方々の知見というものを吸収できるようにして頂きたい。そう要望しておきます。

3.全国学力学習状況調査について
(1)文科省通知
6-6:では、三番目に全国学力学習状況調査についてご質問致します。文科省から通知が出ましたね。「『成績を上げるため、教育委員会の内々の指示で2、3月から過去問題をやっている。おかしい。こんなことをやるために教員になったのではない。』私のもとにこんな連絡を頂いた。成績を上げるために過去問題の練習を授業時間にやっていたなら本末転倒だ。全国各地であるとしたら、大問題で本質を揺るがす。・・・」これは馳文科大臣の4月20日の記者会見です。この後一週間後に文科省通知が出たと聞いております。この通知内容を伺います。そして、教育長は大臣発言と通知内容をどう受け止めておられるの併せて端的にお答え下さい。

野口教育長:確かに届いております。全国学力調査の目的を義務教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握し、分析することによって、教育施策及び教育指導の成果と課題の検証やその改善に役立てることにあり、調査の趣旨を見失わず、本来の目的に沿って実施する、そのような内容であったと承知しております。
 馳文科大臣の発言と通知の内容を踏まえ、金沢市教育委員会としては、今後も本来の趣旨目的を損なうことのないように留意しながら、実施要綱に基づいて調査を実施して参りたいと考えております。

(2)市教委の指導と学校現場の実態
:それはこの間、学力テストに関する教育長の答弁として示された内容に底通していると思うわけです。こういった馳文科大臣に直訴があったということなんですが、これ一体どこの地域から直訴があったんだろうか、馳さんの選出からすると金沢かなと、こういうことが取りざたされているんです。まあ、真偽のほどはわかりませんが。で、同種の現場からの訴えというのは私も度々耳にしてきたわけです。
 この間の過去問題の実施について、市教委はどんな指導を行ってきたんでしょうか。

野口教育長:各学校におきましては、学力調査結果の分析を元に、授業で行う取り組みと授業以外で行うとりくみを設定し、年間を通して計画的かつ組織的に学力向上に取り組んでおります。国の方は過去問を活用する際の取り扱いの例と致しまして、授業時間内の場面では、調査によって明らかになった課題を翌年度の年間計画に位置づけて、改善を図るためのひとつの方策として活用することと示しておりますし、また放課後や長期休業中の場面では、年間の授業計画と関連づけた家庭教育に位置づけて、改善定着を図るための教材の一つとして活用すること、こういったことを例示しておりまして、本市と致しましても、この例示等を参考にしながら、同様の取り扱いをするように指導致しておる次第です。

:この適正な学力テストの扱いとは一体どういうことかということを巡って、今こういう問題になってきているのかなと思います。現場からもいろいろと声が届いておりまして、例えばこれ金沢市の例ですが、「毎日のようにやっていたので、まだするのかとの子どもの不満の声がある。」。それから事後ですが、「学テをやって丸付けを短時間でやって、それをコピーをしてすぐに指導に生かしなさいというような指導がなされてきた。」とも指摘されています。このことによって、「日々の授業の準備とか教材研究の時間がとれない。」との訴え、「当日までに過去問に費やす時間が多すぎて、通常授業が大幅に遅れた。」「修学旅行期かなり忙しい。」こういうのもありますよ。それから「事前練習、調査、返却、解説が続き、カリキュラムが全く進まない。」こういう状況が指摘されています。
 それからテスト後に頻繁に指導主事さんがやってきて、あなたの学校の状況がこうだから、どういう対応をとるんですか、こういうことが頻繁に求められるとか、いろいろ挙げたらきりがないんです。これ金沢の現場の実態の一つですよ。これについてどんなふうに受け止められますか。

野口教育長:様々な声があると言うことを今森議員からご指摘を頂きました。あの、まず授業等の実施につきましては、各指導主事等が学校訪問をしたり、総合訪問を行ったりしながら、適切に教育課程が履修されているか確認をしておりまして、この履修につきましては問題がないと私は捉えております。今回、馳大臣の方からメッセージが届いておりますし、通知も届いておりますので、これを尊重しながら、引き続いて全国学力・学習状況調査が本来の目的に沿って実施されるように指導して参りたい。

:学校の校長さんもたいへん責任を感じて、平均との差異に非常に神経をすり減らしていて、これが競争に巻き込まれていくというのが実態だと思うんですね。私のところにも届いているこういった実情がやはり解消されるような対応、これを教育委員会としてやっていただかなければ、通知の趣旨に沿うことはできないと思います。これ申し上げておきます。地域の方に聞いても、学校最近ちょっとおかしい、変わってきている、そういう心配の声があるんです。子どもたちのことや地域のことを非常に思っておられるが故に苦言を呈されている。ぜひ受け止めて頂きたい。これには答弁はいりません。

(3)通知を受けた市教委の対応
:最後に、さきほど、教育長答弁なさったんですが、この全国学テにつながったPISAと呼ばれる国際学力到達度調査で、あの高位となっているフィンランド、あるいは創造的な人材が育っているデンマークなどは、テストはほとんどやらないんです。たまたまテストやったらそんな結果が出るんです。日常の教育がいかに豊かに行われ、そして条件も整備されている、このことが大きくものを言っているのだと思います。一旦、この学テを白紙に戻すとか、あるいは5年ごとの行政調査にするとか対応を申し出るべきだと考えますが、どうでしょうか。
                       ーここで質問時間終了で一切りー