人間の尊厳を自問自答 9月定例月議会一般質問速報

人間の尊厳を自問自答

 9月定例月議会三日目、午前の二番手で一般質問に立った。以下とりあえず、私の質問書に若干のメモを加え掲載し、速報としたい。
 なお、一問一答なので、二次質問はまだ文章化できない。追って答弁含めて全体を報告したい。

9月定例月議会 一般質問            2016.9.16 森 一敏

14316990_701002390051795_8510143776389818016_n11.津久井やまゆり園事件が投げかけているもの
 この夏、相模原市の津久井やまゆり園で知的に障がいのある入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負わされるという許し難い事件が起こりました。理不尽にも命を絶たれた方々に深甚から哀悼の言葉を捧げます。心身に深い傷を受けた方々には、一日も早い回復と平穏な暮らしが戻るよう祈らずにはいられません。
 市長は、提案理由説明でこの事件に触れ、緊急通報体制整備に係る研修を実施し、障害者差別解消支援地域協議会などを開設して、権利擁護と虐待防止に向けた取り組みを強化するとされました。この事件を受けて改めて取り組みに込められた市長の思いを伺います。
→(山野市長)二度とあってならない。職員、地域全体で意識を高めたい。

 事件により、障がいのある人や家族に、存在が否定される差別助長への怖れが強まったのに、政府の再発防止策は、国民の管理強化に傾斜し、問題の本質からそれています。
 容疑者が振りかざした「正義」とは、国家や社会に利益をもたらせない存在は不幸であり、安楽死させることは本人のため、国家社会の利益になるとされます。人間には優劣があり、劣ったものは存在価値がないと断定する考えです。断じて容認できませんが、しかし、ネット上で彼の言説に共感の投稿が多く発せられた事実や、出生前診断の結果で9割の妊婦が出産をあきらめたという調査結果もあることなどから、ナチス時代そして日本にも法律として存在していた優生思想が、これを差別と自覚できないまま社会の深層で引き継がれているように思えてなりません。
 言うまでもなく、他者を殺傷した者は、生涯をかけて罪を償わなければなりません。そのうえで、問題を個人の性向のみに矮小化するのではなく、ひょっとすると、私たちも容疑者の側にいるのではないかと自らを問う必要を感じます。
 共に生きるインクルーシヴな社会を目指し、障害者差別解消法を施行した年に事件が起こったことは極めて重く、社会全体で問題の根源を見つめ直さねばなりません。本市としても、個人の尊厳を軽視し、命の価値に優劣をつけるような誤った考えが潜んでいないか、障害のある人を社会から切り離すような施策になっていないか、あらゆる施策領域での検証を求めたいと思います。市長のお考えを伺います。
→(山野市長)無意識に差別の側にいないか謙虚に自問自答したい。
%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e6%8a%95%e7%a8%bf←(森)二次質問で福島智東大先端科学技術研究センター教授の投稿紹介「二重の殺人は大量殺人」の意味
 強者だけが報われる社会はすべての人の生存を軽視否定する思想 私たちの社会の底流に要因ないか。施策見直しとともに社会全体にメッセージ発信
せよ。→(山野市長)メッセージ発信に努める。

2.地域包括ケアシステムについて
 地域包括ケアシステムは、「社会保障制度改革プログラム法」を受けて2014年に成立した医療・介護総合法が、団塊の世代が75歳を迎える2025年度までを視野に、構築を求めているものです。本市が策定した金沢市地域包括ケアシステム推進基本構想は、行動計画である「長寿安心プラン2015」の中で実施されていくものと認識しています。
(1)在宅医療と介護の連携について
 まず、高齢者を住み慣れた地域、在宅で支えるケアシステムは、医療と介護の切れ目のない連携が十分に確保される必要がありますが、そこにある課題をどう捉え、本市行政としてどのような役割を担っていこうとしているのかお聞かせ下さい。
→(山野市長)医療と介護連携支援センター設置
(2)介護予防・日常生活支援総合事業の検討状況について
 さて、連動する2015年の介護保険法の改正で、要支援1、2に対する介護予防サービスが市町村が所管する新総合事業に移管されました。そこで、来年4月から実施される介護予防・日常生活支援総合事業の検討は、どのような進捗状況にあるのかお聞かせください。また、その財源はどう構成されるのかも伺います。
→(山野市長)人員基準緩和で低廉なサービス、介護予防短期集中サービス、基準設定を検討中。財源は介護保険会計と同様。
(3)介護報酬引き下げの影響について
 昨年の介護報酬改定で、処遇改善加算などを除いて介護報酬が4.48%引き下げられました。この影響で、2015年の事業所倒産は過去最多の66件、特にディなど通所・短期入所介護事業所の倒産は2倍増になったという全国調査データもあります。本市として、介護事業所への影響をどのように受け止めていますか。
→(太田福祉局長)倒産はない。利用者不足からの廃業あった。 
→(森)二次質問 小規模グループホームでは150万円ほど減収 続けば利用料金値上げもやむなしと言っている。経営状況は厳しい。
(4)介護従事者の処遇引き上げの実態把握は
 喫緊の課題は、介護従事者の処遇引き上げです。2012年度から加算制度に切り替わった国の処遇改善により、本市での処遇改善がどれほど進んでいるのか気になります。その実態と実態把握の方法についてお聞かせください。     
→(太田福祉局長)報告によれば不適切な実態はない。
←(森)二次質問 労働分配率は把握しているのか?
→(太田福祉局長)把握していない。←(森)把握せよ。
(5)地域のマンパワーと資源を活用した住民参加の課題
 「新竪そくさいネット」など地域安心生活支えあいモデル事業をはじめ、各地域でも、支え合いの地域社会を作ろうとする住民の活動も始まっています。これらは、推進基本構想でも目指している小学校単位のネットワーク構築につながる大切な動きです。
 こうした地域では、近年の経営環境悪化の中で立ち行かなくなった善隣館や地区社会福祉協議会経営のディサービスセンター跡地利用や活動資金の調達など持続可能なしくみをどう創るのかといった課題に向き合ってもいます。地域の創意ある自発的な活動を本市がいかなるパートナーシップを結んで支えていくのか、市長のご所見を伺います。
→(山野市長)地域の自立性と市の主導性を適切に連携。
←(森)「金沢方式」を支えてきた地域の自発性を支えよ。
(6)自治体から国への意見の表明を
 高齢者の「住み慣れた地域、在宅で最期まで」の願いを逆手に取るように、本来、経費がかさむ在宅ケアを医療・介護費の抑制を目的にした安上がりのケアシステムとして実施する矛盾が指摘されています。1970年代に公立みつぎ病院が町、地域と結んで生み出した地域包括ケアから導かれた教訓は、予算、物的・人的基盤の整備、それらへの国の責任ある政策の必要性です。今後、真の地域包括ケアシステムの構築のために声を上げることも自治体の責任だと思います。市長のお考えを伺います。
→財源・人員重要だ。自主財源のあり方も研究したい。

3.児童虐待防止への対応について
 4月15日に地元紙で、長女に一か月のやけどを負わせたとして父親が逮捕された事件が報じられました。逮捕に至るまでの本市児童相談所の対応に問題がなかったのかとの疑問が市民から寄せられています。
 私が抱く疑問の一つは、虐待の懸念からこの3年間に二度の一時保護を含む当該家庭への介入が行われてきたにも拘わらず、なぜ、重いやけどを負わせるような虐待を防ぐことができなかったのかという点です。見解を伺います。
→(山野市長)裁判所での審理中で一般論として 最善を尽くした。
 もう一点は、批判のあった警察への通報の遅れです。やけどを負わせた時点で逮捕されていれば、一か月後の次女への保育所内での虐待は防ぐことができたはずです。児童福祉法には、児童の最善の利益の優先考慮、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援する責務が謳われています。しかし、児童虐待を再発させないためには、厳正に犯罪として処罰することも必要です。この「空白の一か月」をどのように総括し、今後の対処に生かそうとしているのでしょうか。
→(山野市長)安全を最優先し警察連携強化。想定外が起こることを念頭に再発防止に覚悟をもって臨む。
←(森)虐待防止虐待からの保護を最優先して判断せよ。

4.市民のつぶやきから ブックバンクモデル事業に一考を
 市立図書館が、余剰本を地区公民館に提供するブックバンク事業をモデル事業として実施します。これを新聞報道で知った市民が、以下の提案を寄せてきました。「その一部を市立病院に回してもらえないかな。病院には親子でお世話になってきましたが、待合室や入院病棟の各フロアーの本棚がもう少し何とかならないものかと思っていました。」
 医療機関や福祉施設が多く立地している本市において、市立図書館の余剰本が有効に共有され、読書の楽しみが支援を必要としている市民の心を支える事業として展開できればいいなと私も共感しました。ブックバンクモデル事業を展開するにあたり、市立病院をはじめ医療機関や福祉施設でも実施できないか検討を求めますが、市長のご所見を伺います。
→(山野市長)モデル事業が始まったばかりなので、まずは5公民館との連携から取り組む。病院等との連携は検討する。以上。