失望の歴史教科書採択

失望の歴史教科書採択

10959805_542901749195194_1006473273087011900_n[1]    昨夜から電話が鳴った。金沢市教育委員会は、中学校歴史教科書で育鵬社を採択した。いしかわ教育総研が、緊急の抗議・撤回を求めて市教委に申し入れ、記者会見。8月初旬、一時、「金沢は育鵬社」の誤報が流れたと言われた。私の問いに、市教委学校指導課長は、横浜の金沢区が誤解されたのではと答えていた。嘘であったのか。5月最初の教育消防常任委員会で教育の独立性と採択手続きについて姿勢を質したが、激励の意味を込めていたのだ・・。市教委の良識に期待を寄せていたが裏切られた思いだ。いや、認識の甘さを反省すべきか・・。

11986563_542901835861852_5675281099060313471_n[1] 1995年敗戦50周年の村山首相談話、国会決議への右派勢力の反転攻勢が始まった。石川ではそれが大東亜聖戦大碑の建立に結果した。「自由主義史観」を標榜し、学問研究の成果である歴史教育を「自虐史観」と誹謗しながら、歴史修正主義という権力史観を拡大してきた。この「新しい歴史教科書を作る会」は、運動の分裂を経ながら、しかし、現日本会議に結集する復古主義右派政治勢力の庇護を受けて、教科書採択制度の改悪や検定基準に影響力を行使してきた。
11951259_542901809195188_6233281141866779399_n[1] 共通した特徴は、ナショナリストの首長のいる自治体に採択が広がってきたことだ。ここに、帝国主義侵略戦争の反省から始まった戦後教育の政治からの独立性、科学性の危機を見る。安倍政権の反知性主義に符合する。そしてこの波が金沢にも及んできたということだ。石川県内では、小松市、加賀市も育鵬社のようだ。 

11933444_542901779195191_7854888457741367845_n[1]11947578_542901795861856_3082713952684239198_n[1] 
 採択理由は、「自国の歴史と伝統に理解と愛着を深め、国民の自覚を育てる」こととされた。歴史修正主義の教科書が、科学的な学びと世界に通用する歴史認識を保障できるのか。独善的な歴史教育で、健全な愛国心が育つのか。根元的な問いを発したい。改めて、ドイツの元大統領ヴァイツゼッカーの名演説「荒野の40年」を読み返し、未来への責任を共有したい。

 何らかの政治介入の臭いがする。まずは、採択経過の徹底した検証を始めなければならない。