「緊急事態宣言」下における73周年憲法記念日の憲法擁護宣言

5月3日は山科農園から生命の憲法擁護を 
〜5月3日11時からライブ動画で〜

 今日は5月3日。いつもの護憲集会はやむなく中止だが、私としては、当日憲法擁護を訴える何かをと考えてきた。その答えは、市民の政策研究会くるま座の仲間と続けてきた山科農園からのフェイスブックのライブ動画発信。

 三度目のライブ動画は、いよいよ憲法。山科農園では、明日、イモ類や夏野菜の苗を朝から植え付ける。今年の生命を育むスタートだ。この作業後、命を守る平和憲法について、今の思いを語ってみたい。時間が許せば、聴いていただきたい。

◆ライブ動画開始時刻
    5月3日(日)11時開始

 

73回目の憲法記念日に向けて
 今だからこそ言わねばならないこと

 2020年5月1日、安倍改憲NO!市民アクション・いしかわが、県議会大会議室で記者会見を開き、「緊急事態宣言」下の憲法擁護声明を発出した。
 三密を避けて会場となった石川県議会大会議室に、地元紙2紙、全国紙2紙がやってきた。

 例年積み上げてきた憲法を守る会護憲集会、市民アクションに主体が移った県民集会ともに、新型コロナウイルス感染防止を優先して中止を決めている。
 しかし、新型コロナ緊急事態宣言を通じて、感染症終息のためには宣言が必要だと思わされるような政治状況にあって、この記念日にこそ訴えておかねばならないと声明を起案し調整した。その趣旨は以下。

■感染症対策は、特別阻止法に規定されている対策が遅れ、PCR検査をはじめ体制が極めて不十分。休業補償が不十分。国民の不安の元は、これら安倍政権の責任。
■憲法上に緊急事態条項を創設することは、災害対策関係諸法にもとづく緊急事態宣言とは全く異質である。三権分立から内閣に権限を集中して権力分立が壊れ、民主主義制度が崩壊するおそれ。基本的人権も脅かされる。
■75年前の敗戦は、極度の緊急事態権限(国家緊急大権)を行使する国家総動員体制が、人々を守ることができなかったという教訓。以来、日本国憲法下では、個別法により緊急事態措置を定め、憲法上の緊急事態規定を回避してきた。
■安倍政権や改憲勢力の中では、新型コロナ緊急事態宣言は改憲への社会実験、先行体験として利用するチャンスととらえている。
■新型コロナ禍対策と混同せず、安倍改憲を国民の意思で断念に追い込もう。

ー以下全文ー

新型コロナウイルス特措法にもとづく「緊急事態宣言」下における
日本国憲法施行73周年 憲法擁護声明

 新型コロナウイルス対策特別措置法にもとづく緊急事態宣言が発令中というかつてない情勢の下で、73回目の憲法記念日を迎えます。いま、新型コロナウイルス感染が世界的に止まらず、日本においてもその終息が見えない中、“不安と委縮”が社会全体を覆っています。 
まずもって、懸命の努力を続けている医療・保健機関をはじめ社会機能を支える広範な現場従事者の奮闘に敬意を表します。私たちもまた、一日も早いウイルス感染症の終息と安心して暮らせる社会を取り戻すために最大限の努力を惜しまないことを表明します。

 さて、安倍内閣は、4月7日に発令した新型コロナウイルス特措法にもとづく「緊急事態宣言」の対象地域を16日に全都道府県に拡大し、石川県は「特定警戒県」に位置付けられました。それに先立ち谷本知事は県独自の「非常事態宣言」を発令し、県民に不要不急の外出自粛を求め、19日からは100業種に休業要請を行いました。県内においても、イヴェント、外出や営業の自粛などにより小規模事業者や中小零細企業が経営危機に直面し、労働者の解雇や失職により生活困難者が続出しています。その補償や不当解雇の歯止めが急がれます。
 他方、各地で医療崩壊の危機が叫ばれています。検査体制の脆弱さや医療・衛生資機材、スタッフの不足などは、未知なる感染症対策の難しさがあるとはいえ、この間進められた医療・福祉の抑制政策のつけが表面化したものと指摘されています。安倍政権によるウイルス感染対策も、財界・大企業に配慮するあまり、最も大切な人々の命とくらし、即ち人権を守ることが後回しにされ、感染拡大を止めるべき政策が後手後手になっていると言わざるを得ません。感染と生活の先行き不安から、感染者やその家族に対する中傷など人権侵害も後を絶ちません。増大の一途をたどる莫大な軍事費と、アベノミクスにより大企業を中心に440兆円以上に膨れ上がった内部留保金を生活補償の原資に回す国民救済措置をこそ求めます。
私たちは、憲法が保障する基本的人権を根底に据えた対策の徹底を呼びかけます。

 看過できないのは、安倍政権が新型コロナ禍を利用し、安倍改憲4項目の一つである「緊急事態条項」を「改憲」の突破口にしようとしていることです。自民党内では新型コロナ禍と改憲を結びつける発言が続きました。1月30日、自民党二階派の総会で伊吹文明元衆議院議長は「緊急事態の一つの例、憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいかもしれない」と発言しました。また、党選挙対策委員長の下村博文氏は2月1日の講演で「人権も大事だが、公共の福祉も大事だ。直接関係ないかも知れないが(国会での改憲)論議のきっかけにすべきではないか」と述べている事実がこのことを示しています。
緊急事態宣言発出に先立ち、安倍首相は国会議院運営委員会に出席し、「国難に対処するために緊急事態条項の創設は極めて重く大切な課題である」と憲法審査会での議論を促しました。自らの失策を棚に上げ「緊急事態措置に強制力がなかったから感染が蔓延した」かのような論調を作り出し、「改憲」論議を誘導することは許されません。
 憲法に緊急事態条項を書き込めば、恣意的に行使できる独裁権限を首相が掌握できることになります。そうなれば、市民の移動や表現の自由をはじめ基本的人権が歯止めなく強制力をもって統制される全体主義国家に道を開くことになりかねません。

 日本国憲法は、大日本帝国憲法(明治憲法)が戒厳令によって国家が発出する緊急権が濫用され軍国主義を止められなかった反省から、あえて国家緊急権(緊急事態条項)を設けていません。大規模災害や新型感染症などによる非常事態への対策には、平時から個別の法律によって準備することで、国家が緊急権を濫用する危険を避けてきたのです。
 「緊急事態条項」の創設は、憲法に制約された特措法緊急事態宣言とは一線を画するものであり、民主主義国家を崩壊させる危険性をもつものであることをひろく国民・市民と共有したいと思います。緊急事態宣言に慣らされることなく、憲法改悪に対する警戒心を研ぎ澄ませようではありませんか。

 いま新型コロナ禍の世界的な拡大を前にして政府・国会がするべきことは、国内感染の拡大を防止し自粛要請に伴う経済補償に万全を期す体制の確立であり、改憲議論になど時間を充てる場合ではない事態であることを認識すべきです。
 憲法施行73周年にあたり、私たち安倍改憲NO!市民アクション・いしかわは、改めて、ウイルス感染拡大に乗じた安倍政権による憲法改悪を絶対に許さない決意を表明します。          
                        以上
 
2020年5月1日
安倍改憲NO!市民アクション・いしかわ