連携中枢都市圏・都市交通特別委員会行政視察

連携中枢都市圏・都市交通特別委員会行政視察 テーマは新交通システム

1-2 10月4日は富山市のLRT・ライトレール、循環ポートラムを視察し成果と課題を確認した。公共交通を軸にした集約都市化だ。この後新潟市に移動し、BRTシステムを視察した。

富山の環境・条件が生み出したシステム

 私自身は、二度目の富山LRT視察。今回特別委員会は、都市整備部路面電車推進課江田さんから説明を受けた。政策課題は、過度な自家用車依存から公共交通機関への転換を促すこと。少子高齢化時代のコンパクトシティ化。公共交通活性化による市街地活性化。
2 その手段をLRTに求めたのは、既存の軌道活用。鉄道・電車に長年慣れ親しんできた市民意識。そして道路幅員の広さ。赤字に苦しむJR港線を新幹線高架事業に合わせ市が取得し、最新型低床車両LRTを導入したことが転換のスタート。第三セクター富山ライトレールの誕生3だ。上下分離方式で、インフラは市が所有管理して、ライトレール会社は運行に専念する。
 運行初期投資は、多様な国庫補助金を採択して思いの外低額に済んでいる。ライトレール会社への年間運行補助金は7000万円程度4だ。規制軌道がコスト縮減につながった。
市内LRTは、やはり富山地鉄が運行受託し、インフラは市が所有・管理する上下分離方式だ。二系統の路線をつなぎ、環状運行を始めた5のに加え、現在、富山駅新幹線駅下に停留所を設け、富山ライトレールとの接続を計画している。

 これらの軌道活用政策は、減少を続けてきた電車利用者を増加に転じさせた。加えて新たな利用者をつくり出している。特に、高齢者や女性が平日の日中に7電車を利用している。元々あった街に出たいが不便というニーズに応えるバリアフリーや運行間隔の短縮など利便性向上が結果を導いたと分析されている。また、中心市街地の民間再開発事業を活発化させているという。沿線への住宅誘導助成金制度も、3000戸の実績を上げている。
 8富山ライトレールでは、蓮町と終点岩瀬浜から生活路線としてフィーダーバスを運行している。また、中山間地域の65歳以上の住民には、お出かけ定期券を発行し、中心市街地まで片道100円でインセンティブを図っている。これらトータルで年間10億円程度。金沢市とほぼ同規模の一般会計予算1700万円の7パーセント程度だ。

910 これは、富山ならではの環境と歴史的条件がなせる技かもしれないが、公共交通機関は、利便性をあげれば利用は増える。軌道系交通機関は、人を惹きつける。まちづくりと公共交通機関の配置は一体のもの。これらは、学ぶべきことだと思う。

 

 新潟市BRT(バスラピッドトランジット)のその後

11 二日目の5日特別委員会視察は、新潟交通株式会社を訪問し、開業から一年を経たBRTの経過について説明を受けた。そして、万代駅から新潟駅まで連節バスに乗車した。ダイヤ改正で市民の不満に配慮していた。

 私自身は、今年2月末日に単身新潟交通株式会社を視察し、3月当初議会で金沢市第二次交通戦略について質問したところだ。あれから半年、開業から一年を経たBRTはどうなっているか。新交通システム導入の課題に引き当てるとどう見えてくるのか。

1318 田中乗合バス部長からは、開口一番、市民にも慣れが出てきて、市民からの苦情は落ち着いてきたと。上下分離方式で、運行を受け持つ新潟交通は、二度のダイヤ改正で、新潟駅まで直接乗り入れる直行便を週100数十本増便し、乗り換えに抵抗ある乗客の声に応えた。ただ、それにより、郊外から街中に入ってくる路線では、BRT効果で300本増便した再編成が半減している。これへの質問には、次の答弁。「新システムの考え方に相反する措置なので、春の改正がMaxで、直行便は削減していく。いずれはゼロにしたい。」
12 それには、一つの鍵は乗り換え時の利便性をさらに高めること。交通結節点となるバス停を快適なものに整備する。青山結節点がハード上も未整備なので、市に要請している。また、特に連節バスの乗降時間を精査して、遅れが出ないようダイヤの精度を上げること。
 開業一年で、目立った乗客増の効果はないが、街中の利便性は確実に上がった。乗客数も増えている。郊外からの路線利用者は、地区によりまちまちだが、高齢者の通院や買い物場所へのアクセスをさらに高めて利用者を増やしたいとした。

16 新潟市から優先提案権を得た新潟交通株式会社が、バス路線再編成と青山結節点までのBRT新ライン延伸を逆提案して運行を引き受けた動機は、20数年来続いてきた市民のバス離17れと路線縮小の悪循環から脱却し、公共交通網を維持することにあった。それが市の交通施策の問題意識に重なった。だから、短期的に乗客の増減に振り回されるのではなく、将来を見据えて公共交通機関を残していくことが大事だと強調された。その意味では、方向は間違っていないし、市民に定着していくと信じるとも。

 近く、市により、道路の中心部に専用走行帯を設置する交通実験が予定されている。LRT化19は将来の可能性として残っているに過ぎず、このBRTの完成に全力を上げるとのことだ。

15-2 さて、当特別委員会は、隣接自治体議会との意見交換、そして先進自治体の視察を終えた。委員間の討議を深め、金沢市に対する意見を取りまとめていく段階に入る。当然、市民の多様な意見にも耳を傾けなければならない。

14 22