12月定例月議会 質問答弁記録(2015.12.14)

年を越してしまったが、12月定例月議会本会議質問一問一答の記録を掲載し、報告する。
                               ー録画配信はこちらから

12月定例月議会 質問答弁記録(2015.12.14)  みらい金沢 森 一敏

CIMG9391 みらい金沢の一員として質問致します。議会の外にあって、世情激動の中、巷には市民の声なき声があるものだと改めて感じたものです。原点に立ち返って議論させて頂きます。

1.市政を市民自治、市民のつぶやきから見つめて
森 一敏:(1)まず、議会再開時に宣言書が公表された「連携中枢都市」を含む「金沢版総合戦略」です。本市には「世界の交流拠点都市金沢」に基づく「重点戦略計画」が既にあるわけです。戦略的計画がまた出てくる。いかにもめまぐるしい。
 因みに、地方制度調査会において連携中枢都市圏構想の前身が議論されてから、わずか一年足らずで制度化。さらに昨年12月、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で連携中枢都市圏に概念を統一。本年1月、名称を変更し、財政措置の概要を公表です。ここでも石川中央都市圏連携が先行してある。地方創生に振り回されているとの印象です。これは、屋上屋を架すことになりませんか。
                  
山野市長:平成25年2月に、本市のビジョンを具現化する重点戦略計画を発表しました。「金沢版総合戦略」は、その重点戦略計画をベースにしながらも、人口ビジョンによる将来展望を踏まえ、子育て支援、定住促進、雇用創出など地方創生に資する施策に重点を置いて推進するために策定したものであります。また、石川中央都市圏ビジョンですけれど、金沢総合戦略の柱の一つと致しまして、周辺地域と連携ということが掲げられています。そのための暮らしやすいまちをつくるための具現化策であります。いずれも、国の「まち・ひと・しごと創生」を機に、地方創生策の重点化と圏域内の相互連携により地域の活性化と人口減少対策に資するものとしてそれぞれ意義や役割があるものとして理解していまして、実践に際しましては、相互の重複がないように配慮をしていくつもりであります。

森 一敏:まち・ひと・しごと創生法第四条は、地方公共団体は、国との適切な役割分担の下、区域の実情に応じた自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有するとしています。努力義務の地方版総合戦略策定は、国県の総合戦略の勘案を謳っていることから、自治事務としての自立性は担保できるのか私には懸念があります。また、創設されるという新型交付金に安定性があるのか、新たな紐付きにならないのかについても見通しをお示し下さい。               

山野市長:新しい施策ということもありまして、所管の石波大臣が様々な講演であったり報道で答えていらっしゃいます。金沢でも一度お越しになられましたけれども、そのときにも、これは地方が自ら考え、自立と地域の活性化につながるように責任を持った形で提案をするようにと仰って頂いていますし、私は、その中から金沢の個性、金沢の魅力を大切にしながら施策を提案させて頂いたところでありまして、地方の自主性は担保されていると考えています。また、新型交付金の件ですけれども、国におきまして予算額で1080億円、事業費ベースで2160億円の概算要求が行われており、今後詳細な制度設計が明らかになると思われますが、元々が今ほど申し上げました地方の個性を大切にしながらの施策の提案ということもありますので、いわゆる紐付きということにはならないと思っていますし、今後もこの予算の担保につきましては、国の動向を注視して生きたいと考えています。

森 一敏:このまち・ひと・しごと総合戦略には、識者から様々な指摘が出ています。地域内の経済循環がなければならない。そのための再投資。私も重要だと思う実践的な住民自治によるまちづくりに資するものでなければならない。今ほど紐付きにはならないと仰ったけれども、この中に進捗計画、それから評価手法KPI。これらの評価によって、自治体が国から評価を受ける、それが事業の進捗とか財政措置に影響を及ぼすんじゃないかとも指摘されているんです。このあたりは私の考え過ぎかどうか、市長のご所見をお願いします。

山野市長:元々が地方が地方の個性を大切にしながら提案した施策でありますので、KPIという表現はともかくも、自らが事後評価を行っていくことが大切だと思っていますし、その事後評価を国の方でも評価をされるものと理解している。

森 一敏:先日会派で参加した議長会研究フォーラムでは、地方創生に絡んで復興競争が強いられているとの指摘、職員を派遣している名取市では、国メニューの選択と住民の意向がずれ、復興事業に遅れが出ているとの悩みも聞きました。人口減の危機意識をてこにして、地方創生が再び中央集権を回帰させるならば、時代の逆行です。権限と税源の委譲こそ地方は求めるべきです。分権改革の現況についても伺っておきます。
 
山野市長:全国市長会が毎年行われておりますが、森議員がご指摘の点は、全国市長会の度に国への申し入れで上げているところですし、必ず国の方でも受け止める、その後、全国市長会の会長、副会長も関係部署を回って丁寧に説明し、申し入れをしているところでありまして、引き続き、権限の委譲と税財源の移譲は欠かせないものだと考えていますし、強く、地方の自立に向けて権限委譲を提案して行くと同時に権限に見合う十分な財源移譲が確保されるように引き続き国へ要望して参るところです。現在のところですが、平成26年度より地方からの提案方式が導入され、地方の発意に根ざした事務権限の委譲や義務づけ、枠付けの見直しが進められているところでありまして、引き続きその活動に取り組んで参ります。

森 一敏:(2)次に、新幹線開業に伴う課題です。新幹線開業以降の想像を越える賑わいに、市長が仰ったようCIMG9324に、金沢の街の魅力を培ってこられた先達の先見と努力に深い敬意を感じます。しかし、他方には、市長の言われる「いくつかの課題」です。地元紙に、近江町で長年親しまれた花屋さんが店を閉めるという記事が載りました。「来街者の増加と市民生活」その望まない衝突も起こっている。市長は「いくつかの課題」をどう認識していますか。

山野市長:大きく三つに分けられると思います。一つは、すぐに対応しうる課題。具体的には道路や観光施設における誘導員の増員であったり、観光案内所における宿泊予約サービスなどが挙げられるかと思います。二つ目は、金沢市単独と言うよりは、民間の皆さんと連携をしながらできるだけ早く対応するというものがあるかと思っています。例えば、外国人向けの免税店の対応であったりとか、飲食店メニューの多言語化も挙げられるかと思います。これは既にJRさんに対応してもらいましたが、金沢駅でのロッカーの増設などもこの中に含まれるかと思っています。三つ目は、ハード的なものの伴いますので、少々時間はかかるかもしれませんが、関係機関と連携を密にしていかなければならないことです。例えば駐車場のことであったり、トイレの増設であったり、やはりトイレの洋風化であったりだとか、看板の多言語化とかは時間はかかるかもしれませんが、関係者で問題意識を共有しながら取り組んでいかなければいけないと考えています。様々な課題があるかとも理解していますし、その課題にできるだけ市民に寄り添う形で、市民の皆さんと共に対応していくことが大切であると考えています。

森 一敏:今夏、高松市のさぬきまつりに招かれた際、注目を集める丸亀町商店街を視察する機会を得ました。二度目の今回は、リーダーの古川商店街振興組合理事長に直接お話を伺えました。強く印象に残っているのは、瀬戸大橋開通で賑わい絶頂時に、その後の衰退を予見し、住民主導で再開発手法を研究実践して今日に至っていることでした。答弁では触れられてはいませんでしたが、市民がいろいろな面で少々浮き足立っているのではないか。この部分が大変気になるんです。「市民よ浮き足だってはいないか?」このメッセージを発するのは誰なのか、市長の認識を伺います。

山野市長:私も市民のひとりとしてそのようなそしりがあるとすれば甘んじて受けなければならないと思っています。決してそんなつもりで取り組んできたわけではありませんし、多くの市民の皆さんもそうだと思っていますけれども、ただ、現実のお話もされましたけれでも、市民の生活に影響を及ぼしうるようないくつかの課題が出てきていることでもありますので、今のご指摘を胸に刻みながら、市民の皆さんと共に、まずは、ここで生活されている方たちの施策というものも改めて原点に戻って考えていかなければいけないと強く思っています。

森 一敏:この点につきましては、市長のリーダーシップを期待していきたいと思っています。
 ところで、ある金沢びいきの文化人から、「金沢の魅力は歴史から醸し出される重厚な文化・景観にある。果たして、プロジェクトマッピングのような夜間景観演出が合っているのか。」と問われたことがあります。薪能が舞われる城の石垣を観て、築城に当たった匠の技や百万石を支えた民百姓の汗と涙を静かに想う。一向一揆の叫びを北部山間地の城跡群や一揆衆対策に集められた寺町寺院群に聞く。そんな金沢の歴史との出会いを私も描いてみました。多様な都市観光施策を企画し、本市職員が観光プロモーションに奔走してきた成果を評価しつつ、敢えて、金沢の文化観光施策の次なるステージはどのようなものであるべきかを「市長はトップセールスマン」を自認される山野市長に伺います。

山野市長:プロジェクションマッピングにつきましては、私はイヴェントとしてのものだと理解しています。平成25年のことですけれども、金沢らしい夜間景観のことにつきまして学識経験者や夜間照明で様々な実績を残していらっさる方に入って頂き一定の方向性を出して頂きました。やはり金沢の日常的恒常的夜間景観は温かみがあって、ほんのりとして幽玄な落ち着いたものであるべきだとのご提案も頂きながら、取り組んでいるところでもあります。関連して、観光プロモーションを、様々な施策を行っているわけですが、一義的には、地元の方々がそのことを楽しい、美味しい  と感じる。それを違う地域の方たちが、そんなにいいものであるならば、ぜひ観たい、ぜひ口にしたいと。私たちはお越し頂けるならば、できるだけのおもてなしをしたいというところから、結果としての観光ということが大切だと思っています。一義的には「金沢らしさ」とうものを大切にしていきながら、魅力あるコンテンツというのは「金沢らしさ」だと思っていまして、地元の皆さんが誇りを持って感じて頂けるそのコンテンツに磨きをかけていくことが結果としての観光プロモーションにつながっていくものだと考えています。
 
森 一敏:(3)さて、金沢マラソンです。大きな成果を上げられたことは下沢議員が詳しく仰ったので、私は繰り返しません。そこで、私が気になっている部分、市民のつぶやきから聞こえてくるということで申しますと、半日に渡った交通規制の多方面への影響、学校の子どもたちや地域住民の応援参加は自発的であったのか。ランニング愛好者は、沿道の応援があれだけ続くと何か強制的に走らされているような気がする。これ意外ですね、私も。自分の趣味にこんなに多くの市民をつきあわせていいものかと、こんなことも仰っていたんですね。なかなか異議は唱えにくいですね。美談ですから。こう漏らされました。
 来年開催日を前倒しするとの検討が報じられたばかりですが、いつまで、どこまでを市民は望み、受け入れるのか、真摯な検証と丁寧な検討が必要ではないかと思うのです。市長、いかがですか。

山野市長:多くの市民の皆さんにスタッフであったり、応援団という形で関わって頂きました。今月上旬、金沢マラソン組織委員会が開かれまして、関係各方面からご意見を頂きました。その中で、金沢市の公民館連合会の会長さんがm、沿道で盛り上げるために何度も何度も打ち合わせをして頂く中で、地域力が高まったという表現で仰って頂きました。地域コミュニティの醸成につながった面も私は大きいと思っています。ただ、一方では、ご指摘ありましたように、大規模な交通規制があったことも事実ですし、そのことについていろんな思いを持たれた方がいらっしゃったことも事実だと思っています。様々な形でアンケートも行っておりますし、また金沢市内の三つの大学と協定を結びアンケートをとって頂いているところです。ランナーであったりとか、近隣の商店街であったり、またマラソンと一定の距離がある地域の方たちにもお話をお聞きしているところでもあります。それらを今まとめて頂いているとお聞きしていますし、既に私のところにもネットであったり、手紙であったりという形で様々な、厳しいご意見も頂いているところでもありますので、そういうご意見なども参考にしながら、これからの施策について考えていきたいと考えています。

森 一敏:(4)ぜひ様々な声を聞きながら、丁寧に検証を行って欲しいと思います。
 この項の最後に家庭ごみの有料化問題です。様々な意見が市民の中にあるわけですけれども、分別や資源化に問題の多い事業系ごみ対策が不徹底なままである。そのまま、家庭ごみの有料化に対策を求めることには納得しかねる。家庭ごみ有料化ありきの進め方には市民の意見を軽視する姿勢を感じる。こんな厳しい意見があります。このように、地域で分別収集に協力してきた市民には、裏切られたとの感情があると思うんです。
 ごみの問題は、個人のライフスタイルだけではありませんで、様々な産業戦略とか社会構造から出てくるのです。これを経済的インセンティブに頼って解決しようとすることになれば、市の無責任と映ってしまうことになりかねない。拙速な有料化は、くらしの見直しとごみ減量化への参画意識を却って損なうことにならないか私は心配している。導入ありきではなく、説明と意見聴取を丁寧に行い、市民のコンセンサスを見極める市長の姿勢を求めます。ご所見を伺います。

山野市長:経済的インセンティヴという表現を使われましたが、仰ったように行政と地域の皆さんが連携をしながら、様々な分別を通して、ごみの減量化や資源化に取り組んできたところであります。そのことはご理解頂きたいと思います。ただ、ごみは空の彼方に霞となって消えていくというものではありません。それを回収する方、それを処理する際にもコストがかかるものであります。なんと言っても、私たちの子どもや孫の世代に対する
負担を少しでも少なくしなければならないと思っています。そういう思いもありまして、これまで議論を重ねて参りました。私は平成7年から議員をしておりましたけれども、平成11年、議会でも家庭ごみの有料化んみついての議論がありました。平成15年には家庭ごみの中の粗大ごみの有料化が行われました。平成17年には、国から家庭ごみの有料化を推奨するとのご提案もありました。ただ、この段階でも、私は金沢市では丁寧な話し合いを進めてきたと思っています。平成22年の第4期ごみ処理基本計画の中に家庭ごみの有料化について研究していく旨が書かれておりますし、実際この5年間、先行自治体の事例等々をみながら担当部署で研究してきて、平成27年の2月に出しました第5期ごみ処理基本計画の中で、家庭ごみの有料化の検討をすすめていくということで、議会や様々なフォーラム、地域に出かけていっての説明会や意見交換会を丁寧に行っているところです。決して「ありき」で動いているわけではなく、ひとつひとつ手続きをとりながら、ご意見をお聞きしながら、今まさにそのご意見をお聞きしている途中であると理解しています。

森 一敏:繰り返しになりますが、ごみの減量化、資源化に異論を持つ人は誰もいません。そのために最も適切な手法について、市民は意見を持っているということです。このことを是非ご理解頂きたいと思います。

2.歴史に責任を持つということについて
森 一敏:敗戦から70年。私は、今年1月31日に94歳で亡くなったヴァイツゼッカー元西独大統領が1985CIMG9339年5月の敗戦記念日に行った演説「荒れ野の40年」を思い起こします。
 「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。」
 この広く知られる演説では、「強制収容所で命を奪われた600万人のユダヤ人」、「虐殺されたロマ」、「殺害された精神病患者」などナチスドイツの戦争犯罪による犠牲者を具体的に挙げ、人種と国の違いを問わず思いをはせる。さらに、レジスタンスに倒れた犠牲者の勇気を称え思いをはせる。若い世代にも、そこから生じてきたことには責任があると述べ、敵対ではなく、手をとり合って生きるために真実の直視を呼びかけるのです。
 どこか言い訳めいて他人事のような感がある安倍首相談話でも、こうした課題を「世代を超えて過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。」と述べているのです。
 まさに、世代を超えて歴史の教訓を継承するのが教育であり、その基本が教科書です。 世代を超えて歴史の教訓を継承するのが教育であり、その基本が教科書です。
 私は、学校現場に在籍していた者として、本市の中学校歴史教科書採択の結果を子どもたちに本当に申し訳なく思うんです。市教委の教育的良識への期待が裏切られた思いでもあります。
 育鵬社の中学校歴史教科書採択については、採択を決した教育委員会議事録を読むにつけ疑問が深まっています。生徒が「真実を直視する」、「歴史に向き合う」ために教科書にいかなる内容が必要なのかがほとんど議論できておりません。採択を決する議論としてはちょっとお粗末に過ぎる。田辺教育委員長はどう振り返っておられますか。
 
田邊教育委員長:歴史的分野の教科書採択に当たりましては、国の検定を通ったすべての教科書8社について、学校現場の先生方で構成されております教科用図書研究委員会、そして調査委員会の報告書や教科書展示会で寄せられた市民の意見を参考に、教科用図書採択委員会がまとめられました答申を尊重致しました。また、採択の審議の前には、調査委員長、そして採択委員長の先生方と意見交換をさせて頂きました。その意見交換を通して、
評価の高かった三社を中心に、十分に時間を掛けて内容について吟味し、審議を行いました。審議の中では、採択の方針に基づきまして、問題解決的に学習できる構成になっていることや、学習指導要領の解説に示されております歴史的分野の内容の取り扱いがどのように反映されているのかという点につきまして、いくつかの観点をもうけて議論を行いました。我々教育委員も二ヶ月以上教科書を預かって、内容については読ませて頂きました。
 これらを通して、最終的に教育委員会の権限と責任において公正かつ適正に採択を行ったものと理解しています。

 森 一敏:議事録を読みますと、教育委員の議論はほとんど一点集中になっている。採択に向けての審議ですよ。「南京大虐殺の記述に対する嫌悪感」「神話、天皇に関する記述」「我が国の歴史、伝統文化への理解と愛情、日本人の自覚」に関する内容。ここに集中しているんです。二ヶ月教科書を読んでなぜここに議論が集中するのか、私はよく分からない。学習指導要領には、もっと多様な教育目標とか内容とかが示されていますよ。「東アジアの文明の影響」、「中国の文明を中心に諸文明の特色を取り扱う」とか、「鎖国下の対外関係」、「中国などアジア諸国との関係を通し・・大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたこと」こういうことが示されている。これらの関係史という視点、自分の国だけではない。これら関係史の観点から果たして育鵬社版が、検定は取っているけれども、教科書は多様なんですよ。その中でなぜ育鵬社なのか、このことについて客観的な検討がほとんどなされていないんですよ。どうしてこういう状況で採択を決しなきゃならなかったんですか。田辺教育委員長に再度ご答弁をお願いします。

田邊教育委員長:現場の先生方で構成する教科用図書調査委員会におきましては、各時代の特色をヨーロッパや東アジア等との関連に着目して学習ができるよう内容や話題、題材の工夫がされているか、さらには、国際協調と国際平和の大切さに気づくことができるような工夫がなされているか等、学習指導要領の歴史的分野に示されている内容の取り扱いがどのように反映されているかについてすべての発行された教科書を対象に調査研究が行われております。その際の経緯をふまえて、採択の審議の際には、これらの報告書などを元に作成された教科用図書採択委員会答申を尊重しております。それぞれ慎重に審議を行った積もりでおります。その結果であって、総合的に勘案した採択の結果であると考えております。

森 一敏:私の疑問にはやはり答えになっていない。なぜ、最終的に、評価の低かった教科書が採択されることになったかに対する説明になっていない。時間がなので・・。
 「我が国の歴史、伝統文化への理解と愛情、日本人の自覚」という、こういうワンイッシュウ、この教科書の採択を促すパンフレットが某政党から発行されています。また、育鵬社版を執筆した研究者が理事長を務める日本教育再生機構なる団体も同じような主張から育鵬社版の推奨活動をやっている。これは全国的な政治的な意図を持った教科書採択運動だと思っているんです。 山野市長に伺います。市長の個人的な歴史認識と歴史教育観に親和性が強いこうした採択運動が、教育委員の判断に作用したのではないかとの批判は当たりませんか。
                        
山野市長:その採択運動なるものに関わったという方とは一度もお会いしたこともありませんし、詳細も全く知りませんし、私は、その採択運動が金沢市教育委員会の教科書採択に影響したとは全く思っていません。

森 一敏:教育の政治的中立性、独立性、これ教科書が一番の要だと思います。私は断定は致しませんが、そのような疑念が、多くの市民が疑問を感じているということはお伝えしておかねばならない。透明性のある教科書採択について、十分に真摯に振り返って採択のあり方というものについてお考えを頂きたいということを申し述べたいと思います。

3.差別なき金沢に向かって
森 一敏:いよいよ、来春から障害者差別解消法が施行されます。法制定の核心的趣旨は、障がいの捉え方を「自身が克服すべきもの」から、「障がいのある人が共に生きられるよう社会的障壁を除去する」即ち社会の側が変わることへと転換することにあると思います。大原則は、当事者参加と選択・自己決定の保障です。 
 法の本格的施行を控え、当初、差別禁止法を求めた当事者の悲願を受け止めれば、自治体に義務づけられた差別の禁止への対応と「合理的配慮」の具体化は喫緊の課題です。
(1)そこで、差別の解消に向けた本市の課題と実施体制、加えて当事者の意見を反映させるしくみを市長はどのように考えておられるか、お答え下さい。
                  
山野市長:まずは、市職員がそれぞれの障害の特性を理解することが課題であると考えています。そのため、職員に対し、現在策定中の職員対応要領に関する研修等を新たに実施致しますほか、個々の事例を関係者のプライバシーに配慮をしなければなりませんが、庁内チームで共有し、以後の対応に活用をしていきたいと考えています。加えて、障害のある人及びその家族も参画していらっしゃる障害者施策推進協議会や市民フォーラムを通じて、広く障害のある方からのご意見を伺い、市のとりくみに反映させて参ります。

森 一敏:(2)次に、本市職員の対応要領の策定、また国が策定する事業者のための対応指針はどこまで進んでいるのかお聞かせ下さい。

平嶋福祉局長:職員の対応要領は、11月下旬に策定されました厚生労働省の要領や今月23日に開催を予定しております市民フォーラムでのご意見を踏まえながら権利擁護推進、差別の解消専門委員会で検討をさらに重ねて参ります。また事業者が適切に対応するために必要な指針につきましては、今のところ、内閣府、厚生労働省など7つの省庁で定められている状況です。