2016年12月定例月議会本会議質問・答弁等報告

812月定例月議会報告

12月定例月議会本会議一般質問と答弁記録 (一問一答)                  

                   みらい金沢 森 一敏

                   ー動画配信はこちらから

1.本市景観政策と第2庁舎建設問題について

森:先日、景観委員のご意見を直接伺う機会がありました。「上空通路の真下に金沢城西外惣構の遺構がきれいに残っている。行政自らがまちに埋もれていたこうした遺構を明らかにするのに努力してきたのに、それが踏みにじられるのは黙っていられなかった。」そして、この金沢の文化的景観は、古くは一向一揆の拠点金沢御堂の寺内町時代から営々と形成されたものであり、その独自性に高い価値があると強調されました。
1-2 本市は、1964年長町武家屋敷補助事業に始まり、実に半世紀、全国に先駆け、国をもリードする先駆的な景観政策の歴史を刻んできました。今日、景観まちづくり関連条例にもとづき、年間800件から1000件近くの建築等の事前届け出がなされておりまして、その中の7割は市との協議対象となり、ほとんどの施主は設計や計画の変更に同意しています。即ち、景観まちづくりの規制基準を市民が理解し、一定の私権制限を受け入れることで、金沢の景観政策が成り立ってきたということだと思います。上空通路案で一度は了承した議会に、この景観政策の重みに対する認識が十分でなく、市民の意識との遊離があったことは反省しなければならないと思います。私自身も議員の一人として責任があり、自己批判を表明しておきたと思っている次第です。
 他方、市当局においては、上空通路案に変更する際に、本市の景観政策との整合性に対する認識がどうだったのか、この点について市長の認識を伺います。

山野市長:森議員がご指摘ありましたように、先人の皆様方が、金沢の景観を守るために、様々な施策にもとづいて5取り組んできたことは、私も重たく受け止めているところです。第2庁舎のことで議論がありました。私は、本庁舎と議場が移るとした場合の第2庁舎の連絡通路は不可欠だと思っています。そして、検討懇話会の委員の方々からは、まずは地下通路ということでご提案を頂きました。その後、コストの面、防犯の面で課題が大きい
というご指摘もありましたので、今回上空通路のご提案をさせて頂きました。もとより、景観については十分に配慮をしなければなりませんので、専門家の方のご意見もお聞きをいたしながら、透明感のある軽快な案を作らせて頂いたところであります。今回、景観審議会の委員から厳しいご指摘を頂きました。そのことを私も重たく受け止めておりますし、そのことを教訓にし、これから取り組んでいかなければならないと強く思っています。

森:景観政策に配慮しなきゃならないことはたいへんに重い。この認識はお示しになったと思います。それは当然のことだと思います。市長は報道によれば、この間の、私は迷走と言わざるを得ないと思いますが、この経過について、繰り返し議会からの要望、了承を理由に釈明しておられます。第2庁舎建設は、本市の事務事業であり、計画策定段階から当然市長に大きな責任が伴っていると思いますが、提案理由説明にもそうした責任意識の言及がありません。市長の認識を改めて伺います。

山野市長:経過と責任についてお尋ね頂きました。少し丁寧にお話しさせてい頂ければと思います。南分室を取得した時には、この本庁舎が手狭ということで取得をいたしました。そして、平成21年度から、議会の皆さんのご理解を頂いて建て替えのための積み立てを行ってきたところであります。そして平成25年度、平成26年度にまたがりまして検討懇話会の委員の皆さんから、第2庁舎の在り方についていろいろご意見を聞き、基本計画をまとめて頂いたところであります。そして、平成27年度、28年度、議会に特別委員会をお作り頂きましていろいろご議論を頂いてきているところであります。そしてその間、平成25年には、議会の皆さんから議場ということでの要望も頂いたところであります。
 私は、いずれも重たく受け止めまして、私どもの意見もまとめてきながら、景観審議会や特別委員会でご議論をさせて頂いているところであります。もとより、検討懇話会、特別委員会、景観審議会に出すときも、いずれも市長名で様々な案を出させて頂いてご意見をお聞きしているところでありますので、ご指摘ありましたように市長の責任であることは間違いないことだと私は思っています。ただ、先ほど森議員自己批判ということもおっしゃいました。今回の件は議論の途上であります。議論の途上におきまして、皆さんからのご意見をお聞きをしながら、また市長名で出しますので市長の意見も聞いていただきながら、まさに議論を積み重ねてきている過程のことだと理解をしています。森議員が委員会の一員として自己批判と言うのはそれは森議員の政治家としての矜持だというふうに思いますが、私はそこは尊重をしたいと思います。ただ、委員会の中で、議会の中で、この発言があった、この提案があった、それが実現されなかった、そこで責任云々ということになりますと、なかなか自由闊達な議論というものが私は束縛されかねないのではないかと懸念しているところでもあります。もちろん、学びや教訓というものはしっかりと受けなければいけないと思いますし、様々な議論の中で立場が変わったならば、説明責任は政治家として求められるところではありますし、その中で、繰り返しになりますけれども、教訓や学びをしっかりと胸に刻んでこれからの施策の中に取り組んでいかねければならないと考えています。

4森:私は第2庁舎建設に至る経過全体に対して問題視している訳ではありません。この最終的な計画を大きく変更するという状況に立ち至ったという、この最終局面において、決定的に問題になったのは景観政策との整合性、これが問われたということです。私は、そのことについて十分でなかったと先ほど申し上げた訳ですけれども、三つの選択肢ですね、地上、地下、上空ですね、この三つ目の上空というものが提案の一つとして選択肢として出されてきた時点での景観政策との矛盾、整合性についてどういう認識があったのかを私は伺っているし、そのことに市長はやはり責任を表明しなきゃいけないんじゃないかと申し上げているんですが、もう一回だけ聞きます。

山野市長:議論の中で様々なご意見があると思っていますし、ご提案もあると思っています。決定して議会で予算化されてそれが施工されて、その間に手続きに瑕疵があったり間違いがあったならば、それはもちろん責任ということにはなるかと思いますけれども、議論の中で様々な意見や提案があった、そのことが実現をすることもあれば変わることもあると思っています。繰り返しになりますが、私は、その中で  教訓や学びはあると思いますし、そこはしっかりと今後の施策の中に生かしていかなければいけないと思っています。

森:当然、今後リセットされていくわけですから、そこに今までの問題点や課題を反映させていかなければならないと思いますけれども、やはり上空通路は提案であるけれども、出してきた時点で景観政策を担ってきた本市の景観政策との整合性について、私は一定の
考え方があってしかるべきであった、その意味で責任があると申し上げておきます。市民の間には、これ市長の責任逃れではないかとの厳しい意見があるということも申し添えておきます。
 じゃあ、次に移ります。今申しましたけれども、議会の第2庁舎への移転も撤回された
ということですから、新たに第2庁舎の在り方、適切な部局の配置の在り方を再考するこになると思います。市長は2020年供用開始方針は変えないとお考えのようですが、私は2020年共用開始予定に拘るのことではなく、市民も含めた議論の場を保障しながら、じっくりと再検討することが大切ではないかと考えておりますが、計画見直しの進め方についてのご所見を伺います。

山野市長:先ほど申し上げましたように、平成25年度、26年度と二か年度にわたりまして検討懇話会におきまして第2庁舎の在り方についてご議論を頂きまして基本計画を頂いたところであります。議場配置のほかにも行政機能の強化を図るということ、東分室であったり様々なところに分散しているものしかも耐震補強がなされていないもの6を直すことによって一か所にまとめるということ、また、危機管理センターこれは重点戦略計画にも書かさせて頂いているところでありますけれども、そのことをしっかりとすることによって、安全安心なまちづくりに寄与していくという点、さらには、せっかくまちなかにできるものでもありますから、まちなかの活性化に寄与するところであること、そういう基本計画、基本的な考え方をお示し頂いているところでありますし、私も、特別委員会の委員さんもそのことについては十分ご理解を頂いているのではないかと思いますので、今後もその基本的な考え方に沿って進めていきたいと思っています。もとより、引き続き景観審議会であったり、この本会議場であったり様々な場面で市民の皆さんにご意見をお聞きできるような、知っていただける場面をつくっていくことは大切なことだと思っています。

森:併せて、市民の関心事でもあるできるだけコストを縮減する考え方も含めてじっくりと検討して頂きたい。議会も責任ある対応をしなければならないと思います。一点気にかかっているんですが、プロポーザルが決まって、設計が進んできている中でのこのような状況ですから、プロポーザルの事業者との契約上の影響はどうなるのだろうかということも聞いておきます。

山野市長:今年度実施設計を行っているところでありますけれども、今年度の冒頭からこの連絡通路のことで様々な議論がなされてきたところでありますし、主に、この連絡通路についての業務が主でありました。建物全体の進捗率というのはそんなに高いものでもありません。今回特別委員会からご提案も頂きましたので、基本的にその方向に沿った形で進めて行きたいと思っています。今後特別委員会のご了承を得たうえで整備計画の見直し案がまとまり次第、設計事業者との間で契約の在り方についても詰めてまいりたいと考えています。

森:すでに一億円近くの設計にかかる経費を負担するということになってきておりますから、それが決して無駄に終わらないように是非取り組んで頂きたいと思います。

2.入札監理と公契約条例の制定について
森:それでは、二番目の入札監理と公契約条例の制定についてご質問いたします。
2(1)本市の公共事業入札の監理について、今年度に入り五つの工事の開札日が延期されました。今年度に入り、5つの工事の開札日が延期されました。いずれも学校や市営住宅の外壁改良工事です。これは談合情報が寄せられたことが理由でしょうか。本市として談合があったとの認識はありますか。

相川総務局長:報道機関から市発注の塗装工事につきまして、談合により落札者が決まっているとの情報がありましたことから、本市の談合情報対応マニュアルに基づきまして、入札参加全事業者から事情聴取を行い、誓約書の提出を受けまして開札を行ったところでございますが、談合の事実は認められなかったところでございます。

森:このように半年間の間に談合情報が相次いで寄せられる入札の状況、落札結果をどう受け止めていますか。

相川総務局長:本年度の塗装工事に関連しまして、平均落札率と全体の工事の平均落札率との大きな相違はありません。他の業種と同様に、最低制限価格と同額や抽選となるケースも見受けられますが、談合の事実は認められず、制度にのっとった適切な競争が行われているものと考えております。

森:談合はあってはならないことですから、談合がないということを私は信じていきたいと思いますけれども、今入札に参加した事業者への聴取という対応マニュアルを答弁されましたけれども、公正取引委員会との関係もあると思います。それを含めて、談合情報があったときの本市の対応を改めて伺います。

相川総務局長:談合情報マニュアルにもとづきまして、入札参加全事業者からまず事情聴取を行います。談合の事実が確認された場合は入札を中止し、談合あったと認められない場合は、誓約書の提出を受けまして入札を執行しております。  なお、いずれの場合につきましても事情聴取などの結果を公正取引委員会に通報しているところでございます。

(2)工事の質への懸念
森:それでは工事の質への私の持っている懸念ですけれども、入札資格者の数を見ると、この外壁工事に関わる塗装だと思いますが、他業種に比べで寡占化と共に、Cランクが極めて少ない逆ピラミッドは際だっています。かつては百以上あったという小規模な事業者が現場の塗装作業を担い、経験と共に技術を高め事業者としても成長していく、それを促す入札制度が機能しないできたんではないかと思うんですが、どうでしょうか。

相川総務局長:国全体の動向でございますけれど、国の調査によりますと、建設投資の減少によりまして、建設事業者数そのものが平成21年度の60万社をピークにしまして、平成26年度には約47万社に減少している傾向にございます。こうした中で、本市におきましては、塗装業における小規模事業者が実績を積み重ねて技術を高めることでA、Bランクに移行した結果、Cランクの事業者が少なくなったものと判断しておりまして、全体としての登録事業者数はほとんど変わりはないことから、このことに本市の入札制度そのものが影響しているとは考えてはおりません。

森:私は、参入業者の他の業種とも比較してみましたが、この逆ピラミッド型というのはたいへん際だっておりまして、若干私は見解が違うんですが、まあそういうふうに受け止めておきます。本市の工事に対する検査体制がどうなっているか、厳しくしっかりとした検査が行われるということが、技術力を高め、技術を継承していくことに必須条件であると聞きましたので、本市の検査体制と手法を伺っておきます。

相川総務局長:検査に当たりましては、事業者のランク分けに拘わらず、まず工事担当課の監督員が施行段階毎に現場検査を行いまして、竣工後は監理課の検査員が検査を行っております。その際には、履行状況の確認や写真及び各種記録などの資料を精査を致しまして、設計当初通りに完成しているかを確認致しております。なお、検査体制及び手法には問題はないと考えております。

森:その体制の下でどれだけ厳密な検査をしているかこのことが問われているのだろうと思いますので、さらにご努力それから検査員の育成或いは適切な配置、そういうものに鋭意取り組んで頂きたい。

(3)公契約条例制定の必要性
森:では、公契約条例について質問致します。こうした下請けといわれる小規模な事業者或いはランクの上の事業者3に労働者として入っていくとことが進んでいるんじゃないかと思っているんですね。で、この低賃金化というのが社会的にも問題になってきていると認識しています。全国に先駆けて賃金の最低額を定める公契約条例を制定した野田市を私は制定直後に訪れまして、「労働者の適正な労働条件を確保、当該業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上、これによって市民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現すること」を条例で謳って、最低賃金額を定めるという内容を含んだ公契約条例を制定されました。相模原でも同様です。本市においてもこの公契約条例の制定を改めて求めますが、いかがですか。

山野市長:この本会議でも何度か議論をされているところでありますが、この公契約条例の導入というものは、労働条件に法の定めなくして自治体が介入することに、いろんな厳しいご意見もあるということ、また既に実施している自治体におきましても、対象工事の範囲や従業員給与の水準に格差がみられることなどが課題だとお聞きしています。本来的には、労働者の雇用条件などは国において労働基準法や最低賃金法をはじめとする法令で定められていますので、まずは、国において公契約に関する基本法お整備を行い、その上で自治体が条例として具体的な事項を定めていくのが望ましいと考えています。

森:私かつて公契約条例の質問をさせて頂いたことがありまして、何も変わっていない答弁ですね。今日は時間がありませんので、また別に場を改めまして少し深めてみたいと思いますけれども、公契約条例を制定した自治体は、低賃金の問題に対して極めて強い問題意識があるということです。このことを私は踏まえるべきだと思います。それからナショナルミニマムはあります。けrども、ナショナルミニマムでは足りないから、自治体が独自に地域住民の生活を考えて最低賃金額を別途定めるということですから、これは当然ナショナルミニマムを上回って自治体が条件整備していくことは何も違法ではない。こういう考え方は定着してきているんではないかと思いますので、もうちょっと研究して頂きたいと思います。

3.金沢プールについて
17森:それでは金沢プールについて伺います。いよいよ4月から供用ということですが、改めまして、設計及び総工費額をプールの基本コンセプトと併せて端的にお答え頂ければと思います。

山野市長:設計費ですけれども、約1億1千万、また総工費ですけども、外構工事も含めて約76億円となる見込みであります。基本コンセプトは、市民の皆さんからトップアスリートまで多様なニーズに対応できる、いつでも誰でも泳ぎに来ることができるプールとしたいと考えています。

森:今定例月議会に指定管理者の指定議案が提出されました。指定管理者選定の経過を伺うと共に、ランニングコストがどう見積もられているかお尋ねします。

山野市長:3団体から応募がありました。選定会におきまして、安定的で効率的な管理運営の実施、専門的なサービスの提供、利用者サービスの向上に関する項目について、関係者から出された書類にもとづき協議をし、その後面接審査を行った上で総合的に優れている団体を選定したものであります。ランニングコストにつきましては、清掃、警備、設備機器の運転業務につきましては、既存のプールを基準とし、光熱水費は他都市の類似施設を参考にして算定しているところであります。

森:金沢プールの指定管理者には、本格的な利用料金制度が導入されると伺いますが、その目的と制度の運用についてお聞きします。

山野市長:何と言っても幅広い年齢層や水泳のレベルに問わず多くの方に対応して頂くという運営を望みたいと思っています。また国際公認プールとして質の高い管理も求められていますので、その指定管理者の能力やノウハウというものが十分発揮されるよう施設の効率的な運営にインセンティヴを与えるため、施設使用料が直接指定管理者の収入となる利用料金制度を導入したものであります。制度の運用につきましては、金沢プールが大規模な新規施設でありますことから、県や他都市の事例を参考にし、指定管理料の一部精算
方式を今回の指定期間中に限り採用し、円滑な運用に工夫を凝らしたところであります。

森:たいへん巨額な資金を投じて、そして幅広い使用に供しようということですから、なかなか運営もたいへんだと思います。公共施設を使って利益を上げるという側面がありますので、適正な指定管理が行われるように厳しくみて頂きたいと思います。
 この件で最後になりますが、金沢プールが設置されるということになりまして、長年市民に親しまれてきた富樫にある市営総合プールについて、存続を求める声が私にも届いています。存続についてどのように検討されているのか伺います。

山野市長:築57年になります。老朽化が激しく、耐震基準も満たしていません。様々な調査もしました。コンクリート強度の調査結果では、構造物の劣化が進行しているという判断が為されています。現在、漏水の調査をしているところであります。金沢プールは来年の4月の竣工、供用開始でありますので、これらのことを踏まえ年度末までのしかるべき時期までに今後の利用や在り方について決定して参りたいと考えています。

森:水泳を愛する地域住民や市民の思いというものもありますので、十分にそれを斟酌して検討を進めて頂きたいと思います。

4.20周年からの市民芸術村の展望について
16森:それでは、20周年からの市民芸術村の展望について。市民芸術村が開村20周年を迎えました。ドラマ工房では、金沢版リージョナルシアターとして、金沢近郊で活動する劇団が各々制作するドラマが11週に亘って上演されました。この「劇処」と名付けられた記念演劇祭をどのように評価していますか。

山野市長:「劇処」この期間、私も何とか観に行こうとしましたが、なかなか時間が思うに任せずお伺いできませんでしたので、ここはちょっと伝聞になりますが、ご容赦下さい。毎回満席になるとともに、各劇団の様々な演目に対しても高い評価を得たと報告を受けているところです。また各劇団の皆さんも一堂にかつ集中的に公演をすることで広報や集客面で効果的であったというお話もお聞きしているところでもありますし、それは私は市民芸術村らしい取り組みであったと評価をしています。こうした取り組みが継続されるということもお聞きをしておりますので、金沢の演劇文化の深まりと演劇に関わる人材の育成につながればうれしいと思っています。

森:市民芸術村の開村は、全国に反響を与え、注目が続いています。条例に込められた開村の精神は、文化の創造における市民自治をめざすことにあると私は捉えております。その鍵を握るのが民間から選任しているディレクター制度です。ところが、ディレクター制度が十分に機能していないんじゃないか、市民参加と自主的運営が形骸化していると担い手の方々から度々聞くことがありました。選任をはじめディレクター権限の尊重への管理者側の理解不足、芸術村自主事業の企画運営、事業の自立化に際する担い手市民側との合意形成の不備、処遇の不安定さと負担の集中によるディレクターの機能低下などに集約されます。市長は、こうした問題が提起されていることを認識されていますか。

山野市長:森議員おっしゃいましたように、市民芸術村は20年前に開村したときには、私も大きな驚き、私も当時議員でしたが、驚きもありましたし、全国の関係者からもお聞きを致します。市の施設で365日、しかも市民がディレクター制をとって運営を委託されていることがたいへん高い評価を得ていることは私もよく認識しています。一方、20年経ちました。様々な声をお聞きをしているところでもあります。森議員が今ご指摘を頂きました声も私のところにも入っているものもあります。今後の運営につきましては、ご指摘の点も踏まえながら、より良いものになるようにしていきたいと思っています。大切なことは、市民主体のコンセプトを守っていかなければならないと思っています。

森:「劇処」は、私も観劇を致しました。地域の演劇団体が主体となって協働して多様な演劇作品を市民に提供したという点で、全国的にかなり希有な取り組みであったと聞いております。今ほど指摘した課題の克服と併せて、街へ出かける芸術村、公共交通との結節といった新たな課題も含め、21年目以降の市民芸術村の在り方を開村の原点から展望するために、市長も今おっしゃいましたが、この「劇処」に集った担い手達を基盤にして熟議を行うしくみをつくってはどうかなと私は思うんですが、市長のご所見を伺います。

山野市長:先般、20周年の行事に合わせまして、私に講演をということでお話しさせて頂きました。その時のひとつに申し上げたのは、今、街に出て行く芸術村というお話がありました。今、旧俵小学校のところで、まあ名称は芸術村という名称ではありませんけれども、イメージとしては第2芸術村のイメージのものができないかということで、地元の皆さんと今詰めているところでもありますし、地元の皆さんのいろんな要望もお聞きをしながら、また関係者のご意見もお聞きをしながら詰めていきたいと思っています。「劇処」は申し訳ありませんが私は拝見をしていませんけれども、たいへん高い評価を得ていると言うこともお聞きをしておりますので、そうやって自主的にいろんな事業に携わった方達、まさに「劇処」を中心に担って頂いた方達を含めたそんな方達のご意見をお聞きをしながら、まさに熟議を重ねながら今後の運営の在り方について議論をして行かれればと考えています。

森:これ、金沢のたいへんな大きな財産だと、特に演劇文化を創造し担っていくという当事者の方達の自主的な演劇活動というものが推進するように、この際、様々な点洗い直しをして新たな歩みというものをスタートして頂きたい。私も熱く見ていきたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは、最後の市民のつぶやきからに移ります。

5.市民のつぶやきから
(1)市庁舎前広場の改修で懸念
森:まず第1は、市庁舎前広場の改修に関わっての懸念です。夏に市庁舎前広場の改修工事現場を私も何回も通りましたが、市民からも、広場の床面が反射でまぶしくて目も開けられないとの苦情がありました。私自身も同感でして、このまま来春から供用され、市民から多くの苦情が寄せられる事態にならないかと懸念しております。対応をお聞かせ下さい。

18山野市長:庁舎前広場につきましては、平成24年から26年3月間での3カ年に亘りいろいろと議論を頂きました。庁舎前広場活用検討懇話会からもご提言を頂きました。市民が描き上げる白いキャンパス、そこで市民の皆さんがこれからの金沢のまちの活性化、まちなかについていろんな思いを描き上げる、そういう白いキャンパスのような広場という基本理念にもとづき、市民の皆さんがそこで自由にイヴェントを行ったり、まちなかの賑わい創出につながるようなものになればとの思いで整備を致しました。専門家のご意見も頂きながら、透水性などの考慮をした上での素材の研究も行い現在の色彩になったものであります。どうぞご理解を頂きたいと思いますし、より多くの方にご利用を頂ければと考えています。

森:ハード面としては特に対応は考えていないということだったと思いますけれど、そうした声が寄せられた場合にやはり対応を考えざるを得ませんから、まあ、今日のところはちょっと頭に置いておいて頂きたいと思います。

(2)金沢市の地域デイについて
森:それでは2点目、「善隣思想の元で、地域住民のためにきめ細かいサービスを提供するのに職員は献身的に努力してきたが、やればやるほど赤字が雪だるま式に増えてしまう。もう限界に近い。」こういう声が届いています。26年前に介護保険制度に組み込まれ、市場競争と近年の介護報酬削減などの影響を受けまして、その窮状は待ったなしです。地域デイは、介護保険制度の枠にありますけれど、それに止まらず、地域福祉、支え合いのまちづくりの拠点でもあると思います。福祉とまちづくり分野の住民財産としての地域デイをつぶしてはならないと思います。昨年末に、地域デイサービス部会から地域デイ支援を求める要望書が提出されています。地域デイの窮状への認識と要望内容が施策にどう反映されてきたか、今後の方策も含めてお答え下さい。  

19山野市長:地域デイサービスは間違いなく、介護保険の初期、始まる前から初期に亘って、まさに金沢の介護を支えて頂いた皆さん方であります。私自身も昨年も今年も、すべての地域デイサービスに訪問させて頂きました。時には腰を下ろしてじっくりと30分、1時間、ご指導、意見交換もさせて頂きました。また時には、ざっくばらんな雰囲気の中でいろんなご意見をお聞かせを頂きました。地域デイサービスが厳しいということも認識しています。ただご理解頂きたいのは、介護保険者として保険事業を行う事業者に対して、個別の財政支援を行うことはやはりできないということはご理解を願いたいと思っています。明年4月からは、新年度から導入します総合事業についての説明や意見交換をこれまでも行っておりまして、今後導入を予定しております住民主体のサービスについても引き続き行っていきたいと思っています。問題意識は私も強く持っています。金沢の善隣思想というものは、先人から受け継いだ誇るべき思想であると思いますし、その方達が担って頂いた役割はたいへん重たい、重要なものがあると思っています。いろんな機会をとらまえて意見交換をしながら次の施策に取り組んで参りたいと考えています。

森:私も質問の中で申しましたとおり、介護保険制度の枠の中にある。これが行政としては地域の福祉を応援しようということですけれども直接的にデイの中に資金を投入するのが難しい。であれば、地域の福祉拠点として支えるということをやはり明確に具体策を講じていくという道があるんじゃないかと思いますので、そのことについて再度お考えを伺いたいと思います。

山野市長:ご提案のことも含めてこれからしっかりと検討させて頂ければと思います。必ず何らかの方法が見つかってくると私も思っておりますし、地域の皆さんのご意見をしっかりとお聞きをしながら施策の中で反映できればと考えています。

◆報道で採り上げられた記事より
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◆議会議案(意見書)の採択状況・・・共産党会派提出のカジノ、PKO関連は、会派として個人判断を尊重し私と山本議員が賛成したが、少数否決。共通投票所設置は、市民鳥井さん提出の請願趣旨を国への意見書として提出し、全会一致採択となった。
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