2016年3月定例月議会(当初)報告

CchR0PxW8AA32OX[1]2016年最初の定例月議会は3月当初議会。2015年度最後の補正予算と2016年度の当初予算 ←概要はこちらから を議決した。

◆これらの予算決定に対して、フェイスブック上で意見が交わされたので、一部転載して、私見を表明しておきたい。予算への関心こそが、民主主義と自治の原点だ。

村井 幸子S.M 一般住民から見てお上と議員には現実感がない—と書いた3/24付のコラム(毎日新聞)にはFB上で多数の反響が寄せられている。https://www.facebook.com/sachiko.murai.12

――以上のオムニバスを見て浮び上がる共通のテーマは一般市民から見ての「現実感のなさ」である。タダだと思わされているイベントも実は「有料」なのだ。

プロジェクションマッピング2750万円(2015年度当初予算)、ジャズストリート4000万円(16年度同)、片町きららの再開発総事業費約57億円のうち半分以上の35億円を国・県・市が負担。これら全部が税金と知ればタダだと喜んでばかりはいられない。むしろ福祉に回すべきだという悲痛な声もでてこよう。

議員、市長が同意した議員報酬は月額70万円に値上げされ、中核都市ではトップクラスになる。あめ玉をもらった議員は当然、お上の無駄遣いに目をつむるようになる。

ヤジの品のなさ、行政チェックが仕事なのにお上と馴れ合ういかがわしさ。議場を新調すれば品性・資質が高まるものでもないだろう。金沢市議会は平成19年に「マナー都市宣言」を議決したが、あれはきっと悪い冗談だったのだ。

予算を知れば納税者は自分の現実生活とのギャップからお上の仕事に厳しい目を注ぐことが可能になる。ここはマスコミに頼みたい。ニュースになるような事業には必ず予算額を書き加えてはもらえないだろうか。

事業や催事の記事に、予算を書き加えるのはいいですね。

 
村井 幸子S.M 予算こそがニュースだと住民が言い続ければマスコミは幾分かは〝進化〟するでしょう。行政と向かい合うのはそれからです。
 
森 かずとし 森 かずとし おおむねご意見に賛同します。かつて、ニセコ町が先駆的に導入した予算概要書全戸配布や住民参加型予算制度を取り入れるよう提言しましたが、まだ受け入れられてはいません。
ただ、議員処遇という民主主義のコストをどう考えるかは、重要なテーマだと考えています。検討会座長としては、議会としての合意形成に、議会外の意見を斟酌するプロセスを入れようとしましたが、うまくいきませんでした。
 
村井 幸子S.M 議員としてのご努力、有難うございます。議員歳費は私が聞き取りをした20代から60代までの各世代が「高い。羨ましい」と言い、唯一例外は医者の「そんな程度のものなのか」というものでした。議員の励み方には濃淡があって、一概に言えるものではないというお気持ちも分かりますが、とんでも議員もいるわけで、全体としてみると高いと私も思います。議員の相場感と一般住民の相場感は違うという認識です。しかしながら座長役で口封じされていたのはつらいところだったでしょうね。
 
せぬま ゆうこY.S 記事中にある三月定例月会議を傍聴していました(議会傍聴は2回目)。怒号というほどではないけれど、発言を確実に遮るようなヤジが飛ぶのを聞いて「ホントにそんなことするんだ」とビックリ。
その後持ち直してしっかり質疑と意見を述べられている姿は逆に好感が持てました。
 
森 かずとし森 かずとし 相場感というものがあるならば、当然にも生活状況や議員活動への評価の違いによって開きがあるでしょう。合意は難しいですね。今回の引き上げは、個人的には消極的でしたが、私のように、比較的若年で教員を退職し、選挙に飛び出してきた者は、計算しなかった損失やリスクが後になって自覚された始末です。苦笑  もちろん後悔ではありませんが。私が考えてきたことは、「引き下げ、削減ポピュリズム」に迎合するのではなく、志ある有為な人なら、誰もが政治の門を叩き、後顧の憂いなく職務に専念できる処遇は制度として整えておく必要があるということです。その上で、二元代表制を機能させる力量を持つ人物を見定めること、その力量を磨かせるような向き合い方をすることが有権者の責任であると思っています。民主主義は依存からは実体化しないものだと。議会基本条例を条文起草した時も、繰り返し議論しました。
 
村井 幸子S.M 森さんの歳費値上げは個人的には消極的だったという一文にはほっとしました。しかし「引き下げ、削減ポピュリズム」「迎合」と続く論立てにはいささか違和感があります。普通の大人たちと日ごろ政治的課題を話し合う中でも、出てくるのは「政府与党の〝ポピュリズム〟に勝てない野党」という話題。ポピュリズムという言葉はいまや大衆迎合策を多用する政府与党を指すというイメージがほぼ定着していると感じています。言葉の含意は時代とともに変わります。住民代表の議員はそのことに敏感になる必要があります。議場外活動も熱心な森さんですのでそのニュアンスはお気づきかと思います。平場で語られていることを整理し、論点を明快にしていくのがコラムの務めです。このページで意見交換ができてよかった。これは野党が与党になるまでの道のりに必要なことです。
 
森 かずとし森 かずとし ポピュリズムに関する捉えは、異論ありません。例えば大阪維新の会の台頭もそうでした。安倍政権の排外主義もナショナリズムとポピュリズムを行き来しているように思います。しかし、野党の側にもポピュリズムが混入する面があります。民主主義を担保する議会制度の権能を強めるためには、コストのあり方についても考えを示し、住民と議論する姿勢が必要ではないかと考えています。
 
村井 幸子S.M 一般住民は〝議論〟に慣れていませんし、その言葉にアレルギー感があります。「我々は議論(または論議)を重ね‥」という言葉を聞いただけで逃げ腰になる人々は多い。「そういう人種」はむしろ避けたいというのが率直な気持ちだと言っています。かといってポピュリズムを多用する政府与党に舐められるのにも抵抗感がある。だから、普通に話してもいいんだと感じられる「街なかトーク」という言論空間なのです。野党とその応援団こそ、もっとしなやかな言論力を持つべきだと思います。埋没しないためにも。
 
森 かずとし森 かずとし はい、忌憚なく意見を交わす ですね。
 
村井 幸子S.M 垣根なく、しなやかに、途切れずに、と思っています。
◆さて、次に、国への意見書と請願の結果に関して、みらい金沢として提案して採択された二本の意見書と会派を超えて共同で紹介議員になったが少数否決された「安保関連二法の廃止を求める意見書採択についての請願」を掲載して報告する。
2016.3ikensyo1 2016.3ikensyo2 2016.3 seigan
 

 ◆3月定例月議会 一般質問 答弁記録 森 一敏 ー録画はこちらからー                 

1.福島から5年 脱原発への本市の役割について
4:3月11日に発生した福島第1原発事故から5年、先週末の二日間、被曝を避けるため石川県で避難生活を続ける方々が、「311ありがとう石川」と題する震災チャリティーを催し、感謝の気持ちを表明されました。しかし、その心の奥深くには、耐え難い苦悩があることを見落としてはならないと思います。福島県ではいまや震災関連死が直接死を超え、中でも自殺に追い込まれる被災者が際立って多くなっていると伝えられています。子どもたちに甲状腺異常が多く見つかっていることも非常に気に掛かります。そうした怒りが検察審査会をついに動かし、東電の無責任体制を告発する刑事裁判がスタートします。根本的には、何も解決していないと言って過言ではありません。
 福島第1原発が過酷事故に至った当時、市長は、答弁の中で述べました。「あってはならない事故が起こり、強い衝撃を受けている。国が一元的に管理する安全対策が機能しなかった事実は深刻であり、重く受け止めている。こうした事故が二度と繰り返されないよう、国や事業者は事故に真摯に向き合い、徹底究明、抜本的な安全対策を講じ、国民にしっかりと説明責任を果たすことが重要だ。」そして、原発の再稼働はそれが前提であると。
(1)あれから5年。あの当時の衝撃とお考えを市長は堅持されていますか。6月定例月議会での熊野議員への市長の答弁が心に引っかかってきました。「最初の資源の発掘から使うところまで、その中でコストと安全を考えて。もう1つの視点は良質な電気の安定供給から、脱原発の株主提案を行わない。」これにいかなる根拠があるというのでしょうか。私は、志賀原発再稼働容認の表明と受け取りましたがいかがですか。

山野市長:福島第1原発事故は、私はもちろん、多くの日本人の心に刻まれたままだと思っています。再稼働は、国や事業者がその原因を徹底究明し、抜本的な安全対策を講じることが前提である考えることは今も変わってはおりません。6月月議会で熊野議員に答えた件ですが、株主として熊野議員から答弁を求められました。私は当初から同じことを申し上げておりまして、その思いもずっと変わりません。その中で具体的に志賀原発容認云々ということは一言も申し上げてはおりませんし、慎重な手続きを持ってなされるものだと思っています。

:最も重要なポイントは、事故原因が究明されているか、それから福島の事故が収束しているかこの認識だと思いますが、これについていかがですか。

山野市長:原発容認云々ということでお尋ねになりましたので、私はまず一義的には科学的な知見のもとに判断されることが大切であると思っています。さらには、北電は石川県、志賀町と安全協定を結んで結んでおりますので、石川県と志賀町のご理解も頂くこのも大切だと思っています。その手続きがしっかりとなされることが大切だと思っています。私どもはここで軽々に科学的知見について議論をしても説得力は持ち得ないと思っています。今、規制委員会等々で科学的知見に基づいた検査が行われているところですので、それを見守りたいと思っています。

:現時点で見守らなければならないお立場であるということについては理解しました。ただ、その科学的知見ということについて、ずいぶんとこの間に環境が変わって参りまして、規制の新基準も策定される、それを統括する原子力規制委員会も機構改革されました。かつては科学的だと言われていたが、実はそうではなかったということがいくつも明らかにされてきているわけです。今、高浜原発が、仮処分が出て停止しました。それから昨年でしたか、大飯原発の差し止め判決が出されました。その中で、事故原因の究明は道半ばで、そこから導き出された規制基準が果たして有効なのかという問題が提起されています。このことについては同お考えですか。

山野市長:私は、報道で見る限りにおいてですが、確か合理的に安全が証明されているとは言えないという趣旨の裁判官の言葉であったと思います。司法の場で科学的知見による判断がなされたものとは言えないと私は判断しておりまして、繰り返しになりますけれど、
ここでの議論ももちろん大切ではありますけれども、科学的知見に基づいた議論が専門家の間でなされて、その最終結果が出た上で、安全協定云々がありますので、その上で私は判断されるべきものと私は思っています。

5:(2)今ここに、パネルを掲げさせて頂いております。これが先だって、原子力規制委員会の有識者会合で最終評価に関する意見がまとまったとの報道があったことに関する地図です。S1断層、S2断層、そしてS6断層です。1号機の原子炉や2号機のタービン建屋など重要施設といわれる下を通っているこれらがいずれも活断層であることを否定できないという評価がとりまとまってきたわけです。このことについては、市長はどのように受け止めておられますか。

山野市長:これも報道を読む限りにおいては、あくまでも審査過程における途中段階であると私は理解をしています。これからさらなる科学的知見に基づいた審査がなされていくものと思っています。

:これは、規制委員会としての最終的なとりまとめにこれから入っていくその途上にあるということは仰るとおりです。ただし、専門家の一致した意見は極めて重要な知見として扱われていくということですし、この「否定できない」ということは、万が一でも福島事故を繰り返してはならないことから、今の段階で疑いがあるもの、グレーかもしれないがクロであると考えて対応をしなければならない。新しい規制基準の中で、原子炉等規制法の中で、そこに原子炉を置いてはいけないという場所になるという可能性は極めて高い。そういう状況に今なっているんです。この認識はやっぱり共有して頂く必要があると思うんです。いかがでしょうか。

山野市長:繰り返しになりますが、審査過程における途中段階でありますので、専門家の方のご意見を待ちたいと私は思っています。

:有識者会合の十分に専門的な知見を踏まえて、規制委員会としての適切な判断を私も期待しているひとりです。したがって、原発というプラントの特に北陸電力における将来は、極めて流動性に満ちてきた、このことは受け止めて、そして、関心を強く寄せておいて頂きたいと思います。
(3)さて、4月から電力完全自由化が始まります。導入の本格化を見据え、消費者には、安全な再生可能エネルギーを購入したいとの意識が広がっています。金沢市は、第一義的に市民の命と健康、財産を守るために、行政としての責任があります。加えて、北陸電力持ち株数上位に位置する大株主の立場としても、北陸電力に対し、速やかに廃炉工程に着手し、いち早く脱原発電力会社に転換するよう促すこと、これも金沢市としてできるはずではないかと私は考えます。共に脱原発行政を推進するべきだと申し上げたい。市長のご所見を伺います。

山野市長:6月月議会と同じ答弁になります。私の立場から安全が一番、そして同じように良質な電気の安定供給ということもやはり株主としてどうしても求めなければなりません。安全はいまほども議論致しましたように、専門家の人たちが科学的知見に基づいて今議論している最中でありますので、そのことを待ちたいと思っています。従って、今の段階で私の立場で脱原発云々ということは考えていませんし、無責任のそしりは免れ得ないと思っています。

1:無責任というのはどのようなことを言っておられるのか。

山野市長:繰り返しになりますが、私の立場では、安全が確認されるということと、良質な電気の安定供給がなされるということです。この二つが、特に今正に安全について科学的知見に基づいて専門家の方々が議論をなされているところでありますので、その最終段階を待たずに軽々に申し上げるべきではないと私は思っています。

:今のお言葉の中で、軽々にと仰ったわけですけれど、一番の問題は、志賀原発の場合は活断層ということになりますから、最終的に活断層であると認定された時点では、やはり北陸電力に対して原発からの撤退を促していくという立場に立つという可能性もあると受け止めてもよろしいですか。

山野市長:私の立場は安全が確認されるという立場ですので、専門家の方たちが今正に議論をしているところでありますので、その議論を待ちたいとの思いは変わりません。そのことにつきると思っています。

:原発の事故から5年を迎える。脱原発首長会議に世話人として参加されている南相馬市の桜井市長外国記者特派員協会での記者会見で仰っているのは、行政にとって大事なのは市民の命であるから、この命を危うくするような政策は推進すべきではない。現在、政府において、福島原発の状況に鑑みて、再稼働の動きが進んでいることに対して怒りを感じると仰っておられるんです。私は改めて、被災した地域、被災した方々の立場に立ったときに、二度と繰り返させないための原発に対する管理行政、あるいはエネルギー施策について、相当の強い思いを持って望んでいく必要があるんではないかと思うんです。この桜井市長の発言に対して所感があれば仰って下さい。

山野市長:被災地の市長さんとして、私は重たい言葉だと受け止めています。

:これから、志賀原発をめぐる環境に様々な面で大きな動きがあると私は思います。そのときに、ぜひ市民の命、金沢までは50キロ程度しか距離はない、他のことでは済まされない、そういう責任意識をもってその動きに対応していって頂きたい。このことを申し上げておきたいと思います。

2.第2次金沢交通戦略について
 : 現在の交通政策基本法が交通基本法案として審議されていた段階から、公共交通は、住民の基本的人権である移動権を保障するものでなければならないとの議論が行われてきました。私もその立場から、市域全体での路線バスの利便性向上、石川線・浅野川線の存続支援、新交通システムへの意見表明に加わってきた者の一人です。今や公共交通施策は、住民の権利保障という大前提に立つまちのグランドデザインであり、金沢が直面するコミュニティ施策の一大課題であると思っています。
(1)そこで要になるのは、都心軸に導入する新交通システムの選定であり、それとつながる重要路線、諸地域における生活路線や移動手段の充実と結節の課題です。地域毎に異なるこれらの課題が現在どの程度市民に共有されているとお考えですか。

山野市長:第2次金沢交通戦略の策定に当たって、パブリックコメントを行いました。また市民や関係団体の皆さんのところに出向いてフォーラム、ご意見をお聞きする場を持たせて頂きました。いろんなご意見を頂きました。移動手段の新たな確保を求めるという意見もありました。コストに対するご心配も頂きました。その際、新たに乗り換えが生じるのではないかとの心配する声も頂いたところです。地域によっていろいろな声を頂きました。地域よって課題も違いがあるということも改めて感じさせて頂きました。引き続き、フォーラム、意見交換会を続けていきながら、市民の皆さんのお声をお聞きしながら取り組んでいきたいと考えています。

7:これまでの説明会あるいは意見交換会で多様な市民の意見を聞いてきたということですね。特に、一番話題になってきたのは、はやり都心軸の新交通システムだと思います。これはまちの、都市の装置ですからまちの中心部に投資するということですね。ただ、金沢市内に住んでいる人は大多数は郊外部に住んでいる。私もパブリックコメントは読ませて頂きましたが、新交通システムに関心を寄せ、早く導入して欲しいという意見は確かに少なくなかったですね。しかし、パブリックコメントに意見を表明される方の数は、全体からするとそんなに高い割合では無かろうと思います。都心軸に投資する事業が一番要になることは認識しているんですが、より多くの市民がそれを受け入れていく、期待を寄せるというような状況になるためには、かなりいろいろな課題があると思われます。その辺りについて市長はどうお考えですか。

山野市長:まったく同感であります。都心軸について関心を持たれていることは事実ですが、ただ、市内様々な地域にお住まいですし、議会でも郊外部での公共交通の充実を求める声は多くお聞きするところでもありますし、できる限り多くの皆さんの声を聞きながら、第2次交通戦略の実践に取り組んでいかなければならないと思っています。

:第2次交通戦略は、新交通システムだけだとは書いてないんですね。私もよく要望をお聞きするわけですが、いわゆる生活の拠点になっている地域が高齢化によって移動に難渋されている。そこのところを何とかして欲しいという声が多いわけです。生活路線とか戦略ではフィーダーというネーミングもありますが、移動手段について、地域の運営主体を支援していくというご答弁がありました。しかし私は、それだけでは、フィーダーの地域に住む住民には、中心部への投資に納得いきかねる思いが強く残るように思われます。どうお考えですか。

山野市長:いろんな施策を行うことによって、ご理解を頂けるように取り組んで行かなければならないと思っています。その中の一つが地域主体の取り組みについてバックアップする、特に新年度におきましては、交通実験への支援や専門家を派遣してご助言をして頂くことに取り組んでいきたいと思っていますし、いろんなご意見をお聞きしていく中で様々な施策に取り組んでいければと思っています。ただ、郊外での交通手段というと、交通事業者との競合という部分、コストという部分からのもなかなか課題が大きいことはご理解頂きたいし、その対策として先ほども申し上げた様々な施策を提示しているところでもあります。

:もちろん、既存の交通事業者との無用の競合によって交通の円滑化が阻害されるというようなことはあってはなりません。コストについても考慮外というわけにはいかない。地域の運行主体を支援することで、どれだけその地域の交通が円滑化するか、利便性が上がるのか、そのことの見極めの中で、郊外部への投資というものもどこかで考えなければならない時がくるかもしれないと思っているんです。その辺りの構えはどうですか。

山野市長:いろんな可能性はあるかと思いますし、だからこそ、多くの皆さんのご意見をお聞きしながら、柔軟に対応しなければいけないと思っています。ただ、都市のスプロール化に気をつけなければならないという課題もありますので、そこにも注意をしながら皆さんの声を聞いてできるだけコスト等も勘案しながら取り組んでいかなければならないと思っています。

:私は、都市の装置としての新しい交通システムがより多くの市民合意の元で設置されるというプロセスをとらねばならないと考えています。そう考えると、郊外部の地域での移動権の保障は極めて大きな意味があると考えています。そこは、共に考えて頂きたいと思います。
(2)さて、私は最近、昨年9月に都心軸でのBRTシステムの運行を開始した新潟市を訪ね、運行事業者である新潟交通株式会社を視察しました。新潟市のBRTは、マイカーとの混在での優先路線方式。青山と新潟駅間を往復する既存バス車両に加え、新たに連節バス4台を導入し、新潟交通に無償貸与して運行しています。郊外部の路線との結節点となるバス停の整備、運行標示システム、バス内の標示システムなどは新潟市が整備し、新潟交通は運行のみに専念しています。上下分離方式の一形態かと私は受け止めました。
 ところが、これが想定を超える強い逆風に遭遇していました。一昨年秋の市長選挙では導入反対候補複数立たれ、合わせれば現市長を上回る得票をしたといいます。とりわけ市民から不評の最大の問題は、BRTへの乗り換えへの抵抗感です。市長はこの先行自治体の先行経験をどのように受け止めていますか。

山野市長:この件については、私は直接新潟市長と意見交換させて頂いたこともありましたし、また、報道等も通して私なりに状況をお聞きしているところです。森議員ご指摘ありましたように、乗り換えに対する不満も相当あったと思いますし、他の車と一緒に走ったということもありますし、定時性の確保に大いに課題があったということもお聞きしています。ただ、評価をされる声としては、一時期は、ラッシュ時にバスが何台も連なって走ることがあったのが地域、時間帯によっては相当解消されたということもお聞きしていますし、郊外でのバス路線を一部見直したことも評価されているとお聞きしています。新潟の例を参考にさせて頂きながら、しっかりと研究させて頂ければと思います。

:(3)金沢市の場合は、道路事情を考えますと、さらにハードルは高いだろうと私は思っておりますので、もちろん新潟の事例だけではありませんが、十分検証検討を払っていく必要があると思っています。
 さて、この非常に広範囲にわたる第2次交通戦略ですが、今私がいくつか申し上げた課題も含めて、現段階で本戦略には、現段階で想定できるトータルコスト、それを賄う財源確保の考え方、これらは戦略に示されてはいませんが、どのようにお考えですか。

山野市長:新年度から検討懇話会でいろいろとご議論を頂きたいと思っています。その中で機種、ルートが絞られてくると思っています。トータルコストは、その機種やルートによって大幅に変わってくると思いますので、今の段階ではトータルコストは申し上げることはできません。ただ、国の社会資本整備総合交付金などの国の補助事業が充実されているところでもありますので、国ともしっかりと連携しながら研究を続けていきたいと考えています。

:年度か替わりましたら、すぐにでも検討委員会がスタートすると伺っていますから、そこでこれまでにお話し交わさせて頂いた諸課題、それから何よりも住民の声、あるいは交通従事者の声を十分に聞いて斟酌しながら進めていって頂きたいと思います。
(4)さて、これは大事業だと思うんですね。交通政策課化が所管としてがんばっておられるわけですが、さらなる交通政策部門の強化が必要になるのではないか。そのためには、交通政策局の設置を検討してはいかがですか。

山野市長:予算をお認め頂きましたならば、早々に検討委員会を設けていろいろ議論をさせて頂ければと思います。まさにそこで諸課題を整理する段階でありますので、新年度において組織の見直しは考えてはおりません。ただ、今ご指摘ありましたように非常に大きなプロジェクトでありますので、今後の進捗状況を見極めていきながら、必要に応じ組織のあり方について検討しなければならないと考えています。

:(5)新交通システムの選定は、本戦略を読みますと、二年後には作業に着手されるというタイムテーブルになっています。いよいよ市長の決断が求められることになります。改めて、決意のほどを伺っておきたいと思います。

山野市長:この課題は、私が議員の時からから、何度も当時の山出市長はじめ、議会の中でもいろいろと議論させて頂いてきました。先ほど来出ている都市の装置という言葉も山出市長から教えられましたし、まさに都市のありかたそのものが交通施策であると思っています。私はまちづくりというものは、突きつけていけば、最後はコミュニティにつきると思っていますが、我々行政としてできることは交通政策と土地利用だと思っています。たいへん大きな課題だと思っておりますので、しっかり取り組んでいくことが私の責務であると強く認識しております。

3.成年後見制度について                      
:介護保険と車の両輪として創設された成年後見制度は、高齢化社会の進行を見通し、高齢者に加えて知的および精神に障がいのある人の契約や財産管理等といった法的権利を擁護する支援制度として発足しました。今日、制度利用の対象となる方々は、認知症高齢者460万人をはじめ500万人を優に超え、厚労省は、2025年には認知症患者が700万人を突破すると推計しています。その他の制度利用者を加えれば1000万人の時代が近い将来やってくると考えておかねばならないでしょう。 
 ところが、制度化から15年、2014年12月末時点で成年後見制度利用者数は、最高裁家庭局累計で23万1812人と、推計対象者の内、5%を下回るような低い数値に止まっています。
(1)そこで、まず、創設から15年の成年後見制度の現況について、市長はどのように受け止めておられるかお尋ねします。

山野市長:様々な理由で判断応力の不十分な方を保護するための制度は大切だと思っています。本市においては、認知症、および知的や精神に障害のある方が、安全安心で住み慣れた地域に住み続けられるよう、様々な機会を通じて制度の周知を図って参りたいと考えています。

8:(2)ところで、本人が申し立てられない状況にあり、かつ2親等内の親族の申し立ても望めない場合に市町村長による申し立ての手続きが設けられていますが、私の許に、「この制度運用に金沢市は後ろ向きではないか。」との意見が届いています。本市の市長申し立ての実施状況とそれに対する市長のご所見を伺います。

山野市長:本市においては、年間5件に満たない年もありましたが、平成26年では8件、平成27年2月末段階で12件の申し立てが実施されています。県内では全国に比較して本人、家族の申し立てが多くなっていますが、今後市長申し立てのニーズが高まっていくと思いますので、制度の円滑な利用につながるよう努めて参ります。

:(3)私が把握している数字は、平成26年で8件。金沢家庭裁判所管内すなわち石川県内で38件です。人口規模を考えても、38件中金沢で8件というのは、いかにも少ない。これが後ろ向きとの批判になっていると思います。最新が12件、分母がわからないので評価はできませんが、この間、市長申し立てが少なく推移してきたのは、どうしてでしょうか。

山野市長:本市の場合親族からの申し立てが多いことに加え、後見ではなく保佐といった軽度の類型が多かったと見込まれ、結果として市長申し立てに至らなかったものと思われます。

:(4)そうした結果としてということであればいいわけですが、本来、市長申し立てすべき人ができなくて、結局は本人申し立てに至ったというケースがあったとも聞いています。そういうことができるだけないよう、前向きに、ぜひこれからは金沢市は後見しっかりやっていくと、その決意もう一度お願いします。

山野市長:様々な事情でお困りの方をサポートするのは行政の責務でありますから、しっかりと取り組んで参ります。

                                2016年3月14日 金沢市議会3月定例月議会 一般質問