6月定例月議会一般質問・答弁記録

またしても、遅ればせながら6月定例月議会報告

対決関係強まる市政の中でも

 6月定例月議会最終日。補正予算案、当局提出条例を議決し、議会議案を採択して終了した。私の一般質問は、現在録画映像から文字起こしの終盤に差し掛かっているので、近いうちに報告したい。憲法軽視は歴史認識と深く結びついているので、質問も対決関係が強まる。これもやむを得ない。

19260362_861535570665142_7772939531127092113_n[2] さて、そんな環境の中でも、昨年から懸案の金沢市手話言語条例を全会一致で議決することができた。舞台裏ではいろいろあったが、それは言うまい。我が会派みらい金沢の中西利雄代表が、聴覚障害者団体からの悲願を受けて叩き台を提案し、自民党からの発意で議会議案となったものだ。その間には、山本由起子政調会長を軸に会派総意で自民党会派と調整を重ねた。権利保障の進展は遅々としても、一歩一歩進んでいる。
また、我が会派提出の「教職員の時間外労働の上限規制を求める意見書」も議員全員の理解を得、全会一致で採択された。

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 残念は、共産党が提出し、私と山本さんが賛成したが、憲法第九条を守り、改正を行わないことを求める意見書案、「共謀罪」法の廃止を求める意見書案は、少数否決された。

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以下は、私の一般質問の記録

6月定例月議会一般質問・答弁記録                    森 一敏

1.台湾統治時代の歴史認識をめぐって
IMG_5770森:4月16日、台南市の烏山頭ダムで、八田與一技師の銅像の頭部が切り取られるという損壊事件が起こりました。日台友好の象徴的な存在だった銅像の損壊は、内外に衝撃を伴って報じられました。私も衝撃を受けた者の一人です。私自身もかつて、市議会訪問団の一員としてこの地を訪れ、嘉南平原を潤すダムの威容を視察させて頂きました。その際の大変な歓待、今日においても台南市民から恩人として慕われる八田技師の人柄に思いをはせたことも思い起こされました。
(1)まず伺いますが、市議会議員の時から八田與一技師の顕彰と交流活動に関わってこられた山野市長は、この銅像損壊事件をどう受け止めておられますか。

山野市長:森議員と同じく私も衝撃をもって受け止めました。すぐいくつかの報道から取材にいらっしゃいました。私はその時に申し上げたのは、たいへん残念な事件ではあるけれども、このことによって金沢市と台南市、日本と台湾の信頼関係が崩れることは決してないというふうに申し上げさせていただきました。そのあと、私は墓前祭に参列させていただき、その前日に行われました修復除幕式にも参列させていただきました。その時に改めて今ほど申し上げたことをあいさつの中でも申し上げさせていただきましたし、台南市頼市長からも同様なお言葉をいただきまして意を強くしたところであります。

森:(2)私も両地域間の友好の促進は非常に重要なことだという大前提の下でお尋ねしております。で、次に市長は、今も地元紙取材に応じられたということですが、「誤解があるなら誤解を解いて欲しい」と述べておられます。どのような意味をこの言葉に込められたんでしょうか。

山野市長:八田技師の銅像は、ダムの完成した後、ダムを造った従業員の皆さんや農民の皆さん、水利会の皆さんが八田技師に自分たちが造りたいというふうに申し入れをしました。そして関係者が自らお金を集めて造った銅像が八田技師の銅像であります。戦争が終わって、蒋介石の指示のもと、日本統治時代の銅像や碑というものは撤去されましたが、今ほど申し上げた経緯で造られたものということもありまして、水利会の皆さんはいろいろ経緯もありながら、しっかりと守っていきながら、1981年に改めてダムを見渡す丘の上に銅像を造られました。決して当時の日本政府や台湾政府の指示や予算で造ったものでではありませんで、あくまでも地元の皆さんの厚意から造られた銅像であります。このことについてもしご理解がいただけてないとするならばそういう誤解を払しょくしてほしいと、そんな思いで申し上げさせていただきました。

森:誤解というものの中味がちょっと明確でなかったですね。誤解とは何を指していらっしゃるかということ。

山野市長:犯人と敢えて明確に申し上げますけれども、犯人がおっしゃるには、日本統治時代の日本美化を否定をするんだと報道にはなされておりました。それはあくまでも繰り返しになりますけれども、その銅像は当時の日本政府や台湾政府が造ったものではなくて、あくまでも現地の農民の方たちが造られた、そして撤去を命じられた後も、農水利会の皆さん、農民の皆さんが自らの意思で守って、当時の日本政府や台湾政府の意思と関係なく
自らの意思で守ってそして1891年に設置をしたということです。

森:誤解というのは、そこに台湾の農民の方たちの思いが込められて設置をされ、今日まで守られてきたんだと、そのことに対する理解がなされていないんじゃないか、というようなお話ではないかと思います。私は実行をした方の、その行為の肩を持つわけではないですけれども、この日本統治時代の事業とか、そこで活動、働いた方たちをどう評価するかということについては、非常に多様な意見が実際にはある訳ですね。これを誤解と言って済ませていいIMG_5763かどうかは疑問があります。例えば一つ紹介致しますと、今農民の思いということをおっしゃったわけですが、これは可義麟さん、台北師範学院の助教授の方が書かれた中で述べているんですが、「大戦後台湾人の対日感情の展開によって」、大戦後非常に複雑な経緯をたどりますね、そのことを指していると思います、「台湾人を二等国民として差別扱いした日本の植民地支配の過去が『国府政権の腐敗』で塗りつぶされ、無罪放免となることはないと思う。同様に、八田與一を今でも慕う台湾農民の『民情』を利用し、植民地支配を肯定することも許される行為ではない。」このように言及されていますね。これどんなふうに受け止められますでしょうか。

山野市長:森議員が自ら多様な考え方があるとおっしゃいました。そういう考え方の方もいらっしゃるのだろうと今思ってお聞きしました。

森:(3)八田技師のダム建設がいかに偉業であり、その人格が高潔であっても、それが日本の植民地統治の時代であったことは、紛れもない歴史的事実です。今回の事件は、台湾の独立をめぐる政治的対立が背景にあると見られていますが、実行者の動機に、夥しい犠牲者を生み出した日本の統治時代を否定する歴史認識が不可分に結びついているように思われます。市長ご自身は、烏山頭ダム建設時の歴史をどのように認識しておられますか。

山野市長:烏山頭ダム建設時の歴史ということ、これちょっと大事な、森議員は議員であると同時に、教育者でもありますので、少し丁寧にお答えさせていただきます。歴史的事実とおっしゃいましたので。日清戦争が終わりまして日清講和条約が締結されました。台湾が清国から日本に割譲されました。その後三国干渉等々がありましたけれどIMG_5761も、台湾の割譲はそのままでありました。つまり台湾の日本統治というものは当時の国際条約、国際慣習において合法的に行われたものであります。もちろん、複雑な様々な心情を持つ方はいらっしゃるというふうに思いますし、森議員がその心情に対して思いを馳せるその善意を決して私は疑うものではありません。ただ、歴史的事実としてその事実があるということをまずはご理解をいただければと思っています。そして、八田技師のダム建設を偉業と
おっしゃいました。高潔な人格ともおっしゃられました。高潔な人格を持った八田技師が
リーダーとしてダム建設等々を行いました。ただし、そのダム建設は八田技師のポケットマネーで行われた訳ではありません。当時の日本国政府が日本の国会で予算を決めて、その予算の中で日本国の意思で森議員がおっしゃった偉業がなされたところであります。もちろん、それは、これも森議員がおっしゃったように、八田技師の高潔な人徳 によるところもたいへん大きかったことはありますけれども、やはりこれは歴史的事実としてそのこともしっかりとご認識をいただければと思っています。
 もう一つ、たいへん気になったのは、実行者という表現を使われました。明らかに犯罪です。今回の件は。水利会の敷地内に深夜侵入致しました犯人は。深夜侵入をして、水利会の持ち物である銅像を損壊をいたしました。明らかにこれは犯罪であります。だからこそ、頼市長も明確にすぐに犯人を捕まえてほしいとおっしゃっておられて、すぐ逮捕をなされたところであります。私は実行者、あ、前提に犯行そのものを犯行とはおっしゃいませんでしたが、行為そのものを肯定するものではないとおっしゃいましたので、私はほっとしているところではありますけれども、やはり今のご質問の意図に対して幾らかでも背景があるかもしれないけれど、心情的なものがあるかもしれないけれども、その犯罪に対して幾らかでも、ほんの少しでも理解を示すようなことがあるとするなら、私はたいへん残念だなあというふうに申し上げさせていただきたいというふうに思っています。私の烏山頭ダムの歴史をどのように認識しているのかということは、今の三点目の犯罪は別にして、一点目と二点目についてその答弁とさせていただきます。

森:私が実行者と表現したのは、その後の捜査とか、或いは立件とか、最終的な処罰とかそこに至っている過程について、私は十分な情報がありませんので、言葉を慎重に選んだとご理解ください。で、今お話があった歴史的な経過。日本の帝国議会でこの建設を決めているんです。これれ、歴史的事実です。この目的はどこにあったとご認識されていますか。

山野市長:台南地方は雨が降って初めて耕地ができる土地でもありました。八田技師に課せられたテーマは、その地を緑豊かな沃地にするということでありました。そのままできるかどうかは別として、八田技師はいろいろと調査をして調査をなされたうえで、その報告書を国会に提出、順序を追って国会に提出して予算がなされた、お認めをいただいたものであります。

森:あの、私が伺ったのは、その目的ですね。何のために、です。ですから、嘉南平原を潤すというのが目的なんですけれども、何のために嘉南平原を潤すというふうに目的が立てられたのかということを伺っている。

山野市長:当時台湾は日本の統治領でありました。日本国でありました。当然統治していた国を豊かにするのは当然のことだというふうに思っています。そんことを八田技師はもちろんのこと、新渡戸稲造、後藤新平につながるラインの中で共通理解をもってとりくんだことであります。

森:私とはずれていますね。それはどういうことかと申しますと、冒頭の答弁で、当時の国際慣行に則って合法的に統治下にしたと、植民地経営を行ったということを前提に考えていらっしゃるわけですね。そのことからすると、今のご答弁は、日本国の経済のためにこのダムを造ったというふうに受け取れるわけです。ところが、台湾において農民のためにこのダムを建設したという受け止めがあるんじゃないのか、この辺はどういうふうに整理されるんでしょうか。

山野市長:合法的に対応がなされたところであります。当時日本の統治領でありました。台湾に住んでいた方を豊かにすることは、それはそのまま日本を豊かにすることであります。当時はこの価値観の中で取り組んだことであります。当時の価値観であります。

森:当時そのような価値観であったことはその通りです。私もそれは認めます。ただ、その歴史を継承して、今どのように認識をし、将来につなげていくのかということになりますと、これだ同義ではないと私は思います。参考までIMG_5764にちょっと申し上げておきますけれども、この帝国議会で決定をして1920年から建設の準備が始まって、工事が完成したのが1930年です。で、問題のその米ですね。この米の増産。増産されたお米がどのように取り扱われていったのかが、このダムの性質を見るうえで重要ではないかと思っているので、少しご紹介をするんですね。完成は1930年ですが、その年以降にこのダムの効果が表れたという数字があるんですね。それは台湾の総督府が作った『台湾米穀要覧』
という資料に記されている数字です。これ見ますと、1926年からの数字が並んでいまして、そこと比較をすると、最終的に、ダム建設以降1938年になると、981万石程の増産になったんですね。で、対日輸出量というものがある訳です。この対日輸出量ってのが497万石ほどに増大しております。これを比較すると2.3倍の増なんですね。増産量は1.5倍増。これらの輸出の分を引き去って、実際に台湾に残ったお米、この推移の数字も記されておりまして、81万9千石というのが1938年なんです。最終年度の数字なんですね。ほとんどそのお米は輸出されている。これがダム建設後の米の増産の実情、内実が、資料で裏付けられている訳ですね。そういう意味では確かに市長がおっしゃった日本のためになったという言い方は正しい。けれども、統治をされていた側の人々の暮らしとか向上させるためにこのダムが造られたというふうに置き換えてしまうと、間違いが起きるんじゃないのかと私は、指摘をしたいと思います。台湾で召し上がっていくこともありますし、当時の本州に送ったこともあるかもしれませんけれども、そうやって、台湾の農家の生活安定の一助になったということはこれ間違いないというふうに理解をしています。

山野市長:当時、農民の皆さんは当然お米を売って収入を得ていたわけであります。

(4)新大統領に就任した韓国文在寅大統領は、抗日独立運動や朝鮮戦争、ベトナム戦争など国のために犠牲になった人を追悼する「顕忠日」の式典で演説し、かつての軍事独裁政権を念頭に「愛国の歴史を統治に利用した不幸な過去を繰り返さない」と述べました。これは歴史に対する向き合い方を演説中で述べられたということです。立場が逆転する日本では、先人の業績が近代史の全体像から切り離され、「愛国心」醸成や負の歴史の美化・正当化に利用される傾向が強まっていることを私は懸念をしております。八田技師が遺した言葉から、ご自身がそうした対象となることを望んでおられないだろうと私は推察します。本市のふるさと偉人館での八田與一技師の展示内容、教育委員会の偉人教育における教材内容、さらには中学校で使用されている育鵬社の歴史教科書での記述においても、植民地統治の時代背景が抜け落ちている点で共通しています。歴史修正主義に陥らず、友好交流を拡大深化させる基礎に、植民地統治時代に向き合う冷静な歴史認識を据える必要を感じます。そうした観点から、八田技師に関する顕彰、継承、教育の在り方を見直すべきではないかと思いますが、市長ならびに教育長の見解を伺っておきます。

山野市長:今台湾はいわゆる民進党政権であります。報道によりますと、その前の総統の馬英九総統がいらっしゃる国民党政権は民進党政権よりも日本に距離があると報道ではなされているわけではありますが、その馬英久総統も八田技師の墓前祭に参列をされました。そして八田技師や多くの方々に感謝のお気持ちを述べていらっしゃいました。それだけではありません。当時の八田技師がお住まいになっていた、従業員がお住まいになっていた宿舎であったりだとか、また当時は映画館屋ダンスホールやテニスコートがあったわけですけれども、そのうちテニスコートの復興も馬英九総統gた決断をなされました。また、今ほど教科書もお話をされましたけれども、台湾はご存知の通り、国定教科書であります。
中学校の教科書の中に八田技師のことが何ページとは言いませんけれども、何行にもわたって書かれているところでもあります。決して、歴史修正主義という表現を使われましたが、決して日本だけの一方的な思いではなくて、今ほど申し上げましたように、台南市の頼市長をはじめ、前総統の馬英九総統、そして中学校の教科書の事例から見ても、私は適切にご理解をいただい上でなされていると思っていますし、偉人館の顕彰というものも、私はこれでいいんだというふうに思っています。決して偉人館は八田技師のためだけのものではありませんから、多くの先人のことを学ぶそんな場に偉人館にさらになってほしいと思っています。

野口教育長:八田技師につきましては、小学校4年生の金沢ふるさと学習の題材として多くの学校で現在取り上げらIMG_5737れております。八田技師は烏山頭ダムの建設によって不毛の土地であった嘉南平野を工事にかかわった台湾の人たちと日本人を分け隔てなく大事にされたことから、今でも多くの方に愛され、尊敬をされております。私も縁あって三年間生活をさせていただきました。共住した場所は台北でありましたけれども、その台北にいた時に多くの方々と交わり、この八田技師についてお話を伺ったことがあります。大家さんは、素晴らしいことを成し遂げて下さった素晴らしい方だよとおっしゃいましたし、また今でも嘉南平野、南部の収穫が多くなったことに関して感謝している、そんな言葉も多く聞くことができました。子どもたちには、こうした人のために尽くしてきたという視点で八田技師の生きたかに触れることで、金沢の偉人に愛着と誇りを持つ機会にしてほしいと考えており、現在のところ見直すつもりはありません。

森:それがご当局の考えですから。私は、日本は統治した側ですんで。統治された側には、表に現れないものも含めて多様な受け止めがあるということです。それが今回の不幸な事件に発展、表れてしまったんではないか私はそのように謙虚に歴史を受け止めていくことが必要ではないかなと思っておりまして、そのことはご指摘をしておきたいと思います。

2.教科書採択手続きに関して
 時間が押してきておりますので、次の教科書採択手続きに関して質問します。かつての日本の軍国主義教育の反省から、「修身」の復活を懸念して教科から外されてきた道徳が、安倍教育改革の中で教科とされました。さらには、IMG_5745来年度から教科書が使用されることになりました。その初めての教科書検定の結果が報じられました。細部に亘り検定意見が付されたことや、パン屋が和菓子屋に替わったり、杉原千畝の「命のビザ」発給を制止した外務省の背後にあった日本とナチスドイツの同盟関係が削除されるなど、教科書会社のまさに忖度ぶりも、私自身、資料から確認して参りました。評価を伴う道徳の教科化と検定教科書の使用が、子どもの内面に国指定の価値観を注入する懸念を案じております。そうした中で、今夏本市教育委員会も初めての小学校の道徳教科書を採択します。
(1)そこで、まず、初めての道徳教科書の採択に当たっての基本的な考え方と、採択手続きをどう進めていかれるのか伺います。

野口教育長:「特別の教科」道徳の教科書採択に当たりましては、石川県教育委員会の採択方針を踏まえ、本市の施策や児童の実情に応じた教科書を採択することが大切であると考えています。採択手続きにつきましては、道徳を研究している教員からなる教科用図書書調査委員会からの報告や市民の意見等を踏まえ、有識者や保護者、学校関係者からなる
教科用図書採択委員会において審議がなされ、教育委員会に答申されることになっております。教育委員会では答申を受け、すべての教科書の内容について慎重に審議をし、公正かつ適正に教科書採択を行うことと致しております。

森:(2)「特別の教科」と位置づけられた道徳の授業で最も重視することは何でしょうか。

野口教育長:児童の実態や発達段階に応じて、問題解決的な学習や体験的な学習などを取り入れて、考え議論する道徳への転換を図ることによって、児童生徒の道徳性を育むことが重要であると考えております。そのためには、特定の価値観に導くような授業ではなく、正義とは何か、権利と義務とは何だろうといった、答えが一つではない課題を子どもたちに投げかけ、子どもたち自身が考え、議論する道徳へと質的な変換を図っていくことが大切であると考えております。道徳の授業におきましては、教師がそれぞれの内容項目につきまして、教えることを明確にして授業を構成し、展開することが大切であり、考えさせ、納得させ、本質的な理解につなげていく授業が行われることを期待しております。

森:考える道徳、結論ありきではない道徳ということが重要であるとのお答えは、私もその通りではないかと、それにふさわしい教科書を慎重に選んでいかなければならないと思います。
(3)そこで、一昨年の中学校教科書採択手続きにおいて、採択手続きの透明性と市民への説明責任の果たし方が問われました。「静ひつな環境で、教育委員の権限と責任において採択すべし」とする文科省通知は、同時に保護者市民への説明責任を果たすことも求めています。私が把握した限りでも、東京の町田市、大田区、板橋区は採択時の教育委員会会議を公開し、発言した教育委員名を明記した議事録を公開しています。
 道徳の教科書採択に当たって、本市も公開のもとで、十分に透明性を確保し、説明責任を果たすよう求めます。教育長の見解を求めます。

野口教育長:教育委員会議等における教科書採択審議経過におきましては、意思形成過程にあり、静謐な採択環境の中で自由闊達な議論を行うことや公平性、中立性を保つ必要があることから、会議の公開については考えておりません。なお、議事録は、常に公開しておりますが、教育委員名の明記などその在り方につきましては、今後の研究課題とさせていただきたいと考えております。

森:多くをやりとりできないのですけれども、その静謐な環境で中立の元で採択が行われるとそのことは誰も否定されることではないと思いますね。で、そのことを非公開にすることによって、密室の中で決められているというふうに懸念をするという市民の意向もあるんです。そこはやはりきちっと斟酌をして、公開制の在り方について再検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

野口教育長:この会議の公開等に当たりましては、その発言等によって、今後の委員としての活動に影響を及ぼすおそれがあるため、個人の発言を制限することにつながることも考えられますので、今後慎重に研究しながら在り方について考えて参りたいと考えております。

森:同じ文科省通知の元で公開について判断している他の委員会もあるわけですよね。総合的に判断しているんだと思います。ぜひ、再考を求めておきたいと思います。

3.護憲集会の市庁舎前広場使用不許可処分に関して
 それでは第3の質問に移ります。護憲集会の広場使用不許可処分に関してです。本市は、市民団体憲法を守る会が、憲法記念日に護憲集会を開くために行った市庁舎前広場使用許可申請に対し、不許可の処分を行いました。この不許可処分が憲法の保障する表現の自由、集会の自由を侵害するものではないかと複数の全国紙やテレビ局が採り上げるなど、その行方に注目が集まっています。
 これに先立ち、年度末に市庁舎前広場が改修工事を終えましたが、その改修コンセプトを市長は、市民が描く白いキャンバスと形容し、市民の活発な利活用を呼びかけておられます。
(1)そこで、不許可処分は、市庁舎前広場改修のコンセプトと矛盾しておりませんか。

山野市長:コンセプトは今森議員がおっしゃった通りで、市民が描き上げる白いキャンバスのような広場、そして賑わいにつながっていって欲しいということであります。もうひとつ付け加えるならば、バリアフリーという観点がこれまであまりありませんでしたので、
そのことも配慮させていただいたものと理解しています。で、今回の庁舎前広場は、いわゆる公の施設ではありません。市庁舎と一体となった公用財産として管理すべきものであり、公用財産に相応しい範囲で市民の利用に供することが必要なことでありまして、特定の個人及び団体等の主義主張や意見等に関し賛否を表明する集会等の開催、または示威行為が行われる開催につきましては、庁舎等管理規則にもとづき、許可をしなかったことであります。改修のコンセプトと矛盾はしておりません。

森:(2)ところで、今回の不許可処分は、3月21日付けで改正した庁舎等管理規則に基づく判断と説明されてきました。2年前の4月に広場管理に特化した庁舎前広場管理要綱、こういうのがありましたが、廃止し、庁舎等管理規則に一本化しましたが、その理由は何でしょう。また、現行の管理規則には憲法上の「集会の自由」との整合性はどう考慮されているのでしょうか。

山野市長:庁舎前広場の管理に当たりましては、これまでご指摘ありましたように、管理規則と管理要綱を設けていましたが、広場の改修を視野に、広場の使用方法を市民に分かりやすく示したいというふうに思っています。さきほど申し上げましたように、市民に皆さんの賑わいに資するためにも、やはり市民に分かりやすく示すために庁舎等管理規則に
一元化したものであります。さきほど申し上げましたが、この広場は市庁舎と一体の公用財産でありますので、それに相応しく庁舎の建物や広場の管理上支障が無いと判断された場合に認めさせていただいていることをご理解をいただければと思います。

森:今廃止された広場管理要綱が私の手元にあります。これはですね、第3条に、今おっしゃったように、支障のなIMG_5771い範囲という前書きはありますが、原則として市民の利用に供させるものとするという第3条が規定されているんですね。そして第7条に、加えて公共的な目的のためのものであると認めるときは許可することができるという文言が条文として入っているんです。私この要綱と現行の管理規則と比較しますと、この要綱の時は、公用物とっしゃいましたが、広場の公共的空間の側面をより重視をして、支障というものが内範囲で、これは市民に提供するんだという考え方を要綱という形で示していたと思うんですね。これ、後退したんではないのかなと私は思うんですが、違いますか。

山野市長:あの、先ほど申し上げましたように、市民の皆さんに分かりやすくするために一本化して、今回の市庁舎等管理規則とさせていただいたものであります。

森:私は、市庁舎前のまさに公共空間という意味合いをこの一本化によって著しく制約の下に置いて、これを後退させた、そのことは否定できないんじゃないかと改めて申し上げていきたいと思います。その上で、
(3)同管理規則では、第5条で14の禁止行為を列挙しております。第6条で市長による許可行為が規定されています。その許可判断の基準となる理念はどこにおかれていますか。
山野市長:あの、何度も同じ答弁になりますけれども、市庁舎と一体になった公用財産にあたることになりますので、特定の個人及び団体等の主義主張や意見等に関し賛否を表明する集会の開催に使用することにつきましては、庁舎等管理規則第5条第12号で認めないこととしております。

森:私は、その管理規定にそうした禁止行為をどのように位置づけるか、そしてどう運用するか、そのことが問われているんじゃないかなと考えております。
(4)類似の問題に対する複数の確定判例や憲法・公法学会の学説では、表現の自由・集会の自由は、基本的人権の核心を為すが故に上位に位置するとともに、民主主義を成り立たせる上での根幹と位置づけられています。そこから、施設設置の主たる目的か否かを問わず、人が集える公共的空間の使用規制は、市民の権利侵害とならない範囲で抑制的でなければならないことが導かれています。設置自体が唐突であり、かつその性格も曖昧な庁舎前広場行為審査会と併せ、この間の経過にとらわれず、基本思想を集会の権利保障に転換した庁舎等管理規則へと見直しを図るべきです。それが、リーニューアルした市庁舎前広場のコンセプトに叶うものではないでしょうか。市長のご所見を伺います。

山野市長:森議員もおっしゃるように、私も表現の自由、集会の自由は極めて大切だと思っていまして、そのことが認められる公の施設においては最大限認められるべきだと思っています。ただ、何度も申し上げますけれども、この広場は市庁舎と一体になった公用財産でありますので、そのことはぜひご理解いただければとうふうに思っています。また、適切な運用に努めていきたいと思っています。

森:その解釈ですけれども、管理規則、規制というものを主に置くが為に、公共的空間に本来的に求められている集会の自由、表現の自由を損なう結果になっているんだということのご自覚がちょっと足りないんじゃないかという気が致します。そこに私は憲法に基づいて行政を執行していくという立場の山野市長に対して懸念を持つ訳です。いかがでしょうか。

山野市長:何度も申し上げますけれども、私は、表現の自由とはこれ大切だと思っています。ただ、この広場は市庁舎と一体となった公用財産であります。きちんと区別して考えることを是非ご理解をいただければと思います。