2021年9月定例月議会 やや詳細速報

9月定例月議会やや詳細速報

 入院以来、照準を合わせてきた9月定例月議会一般質問。金沢市ガス事業・発電事業売却関連議案が提出されてのこの議会。この議会からの離脱は許されないとの思いで治療に専念した。この日となった今朝、妻に激励されて登庁。議場に立てることは本当に皆々様のお陰様に尽きる思い。 

 ただ、その思いは欲張り通告となり、質問量の多さに加え突っ込み再質問が随所に必要となり、エネルギー自治政策に関する質問は、建設企業常任委員会に持ち越すことになった。 

以下、一問一答での初発質問に、メモを加えてやや詳細速報としたい。

2021年9月定例月議会一般質問 議席番号24 森 一敏

1 新型コロナウイルス感染症罹患に関して
 私は、8月20日より新型コロナウイルス感染症で13日間の入院治療を受けました。本日質問を行えるのは、偏に主治医を初め看護師チームの献身的な治療・看護のお陰です。また、市当局、保健当局、本市議会には様々なご配慮を、市民からもお気遣いを多数頂戴しました。深甚から感謝を申し上げます。入院困難の実態、自宅での急変などを聞くにつけ、医療提供体制の整備、強化への政治・行政の責任を痛感します。以下ご質問致します。
(1)医療現場、保健衛生現場の今日的状況への懸念について 数多くの新型コロナウイルス感染症患者の治療に当たってきた市立病院の医療現場。また、発熱者相談からPCR検体の移送、陽性者への連絡、移送、入院調整への関与、接触者の追跡調査と検査要請等多様な業務を担っている保健所。感染患者発生から1年半を超え、医療と保健衛生の現場で厳しい状況が長期継続していると推察できます。これら現場の今日的状況について伺うとともに、解決すべき課題についてもお聞かせ下さい。
(2)地方の公的病院病床数削減の動きに対して地方の声を この状況下でも、厚労省は地域医療構想に基づく公的病院の病床削減策を止めてはいません。新型コロナ感染患者の病床確保、医療スタッフ体制強化に腐心する状況に鑑み、病床数削減に対して地方の声をより強く発信する必要を感じます。ご所見を伺います。市長:災害医療と感染症医療は地方の公的病院が担っていかなくてはならない。国もこの事態を踏まえた検討に入ったと聞く。様々な発信をしていく。
(3)ワクチン接種に関する課題について①6月、エッセンシャルワーカーへのワクチン優先接種が課題となりました。学校現場の教職員への優先接種も話題となりましたが見送られました。初期段階のワクチン接種本部と市教育委員会との連携に課題がなかったのかご所見を伺います。市長:ワクチン供給計画の停滞により、当初計画が止まった。キャンセルワクチンの活用に学校との連絡、モデルナワクチンにより、優先接種の対応を行っている。初期の連携で反省すべき点があったなら、受け止めたい。②次に、SNS上を飛び交うワクチン接種を巡る情報の真偽について昨今大きく取り上げられています。ワクチン接種は自己決定が大前提であることは揺るぎがないと思いますが、その判断に必須な正確、客観的な情報の共有について、本市としての考え方、取り組みをお尋ねします。市長:効能と副反応に関する医学的情報、コールセンター、国HP

2.ガス事業・発電事業の譲渡関連議案について
 今議会へのガス・発電事業の譲渡関連議案の提出は、拙速を戒める議会内外の多くの声がある中、遺憾に思います。議案は、両事業を廃止すための企業局設置条例一部改正等に、市有財産条例に基づくガス事業、発電事業の財産処分、出資のためのガス事業発電事業それぞれの特別会計歳出補正予算案から成っています。以下譲渡に関してご質問致します。
(1)仮契約における「誓約事項」に関して根拠とされ続けてきたあり方検討委員会答申の留意事項を具体化したとする募集要項に関する内容は、仮契約では、第14条14事項の「誓約事項」に記載されています。これに法的な効力があるのか、見解を伺います。市長:民法上の相互権利義務関係。遵守されるものと考える。森:誓約事項は一方的なお約束に過ぎない。利潤と経営の論理がこれに衝突する事態になったときに法的に縛れるものではない。
(2)「禁止事項」への但し書きの意図について 仮契約第31条は「禁止事項」です。事業譲渡から10年間合併、会社分割、事業譲渡、株主構成等の重要な変更、重要な事業用資産の第3者への譲渡は禁止です。しかし、これに新会社が本市と協議し、本市が承認した場合はこの限りではないと但し書きが付されました。この但し書きの意図、仮契約記載の経緯を伺います。市長に代わり公営企業管理者:事業の継続性に資する 先例に倣って。森:どちらから但し書きを持ち出したのか公営企業管理者:募集要項策定時に議論。森:仮契約時に持ち出したのは企業局からなのかを聞いている。公営企業管理者:先例に倣い、こちらから申し出た。森:禁止事項は公的資産をもてあそばせないとの意味が担保されないではないか。
(3)本市が行使できる権限について第29条に3%以上の議決権比率を維持する間は会計帳簿閲覧謄写請求等の権利を有するとしています。この権利の実効性はどういうものと認識していますか。また、禁止事項に絡み、5年後を目途とする経営確認期間が設定されていますが、確認期間後も本市の権限が及ぶのか、エネルギー事業譲渡への公的ガバナンスの観点から伺います。市長に代わって公営企業管者:会計帳簿閲覧謄写請求等により、契約内容の順守、経営状況が確認できる。森:経営方針が決められる株主総会では無力だ。経営確認期間後は?公営企業管理者:連携協定を結ぶ。
(4)ダクタイル鋳鉄管A形の未更新について譲渡予定資産の中に、地震時に継手が抜けてガス漏れを起こす可能性があるダクタイル鋳鉄管A形について、求めに応じ、常任委員会で更新予定が報告されました。今年3月時点で総延長177km、事業実施期間は2021年度より2043年度頃までの23年間、全体事業費約260億円が示されました。この更新予定について詳細な説明を求めるとともに、譲渡を前提とする新会社との関係上、更新予定の位置づけについてお答え願います。公営企業管理者:今年度からの更新予定を見積もったもの。森:誰が施行するのか? 新会社と考えるが間違いないか?公営企業管理者:契約議決後に新会社と協議するが、更新事業は新会社が計画化する。森:計画の延伸が考えられる。本来企業局がやっておくべき課題だ。無責任とのそしり受ける。
(5)発電用水利権に係る無許可改変等の問題についてさて、譲渡予定の発電施設に河川法第23条に抵触する違法な取水施設、無許可改造、第26条に抵触する違法な河川占用物といった不適切設備が存在しているとの指摘があります。この種の法令遵守違反事例が多発したため、国土交通省が平成19年度に各河川管理者に調査を命じたことを受け、石川県は企業局にも調査報告を求め、企業局は上水発電課長の名前で平成20年3月に再点検報告書を提出しています。私はこの石川県照会ならびに再点検報告書の存在を県でも確認しておりますが、報告事実と実態に関して経過説明を求めます。公営企業管理者:県には事前に了解を求めていたが、申請の必要性については、認識がなかった。現在改めて県と協議している。森:記録も無し、相互了解が許可と判断したなどと理由書に記載されている。この問題は、出力1000kw/hを超える上寺津発電所の水利権譲渡を含み、石川県さらに北陸地方整備局に及ぶ精査に影響は必至ではないですか。認識を伺います。公営企業管理者:県との協議で必要な申請と許可を完了する予定。森:再点検報告から10年以上違法状態が放置されてきた。今になって協議と言っても、地方整備局の審査には一年はかかると言われている。譲渡は無理だ。
(6)法定外公共物管理条例第12条による権利譲渡禁止規定について 他方、本市は県管理の2級河川犀川からの取水に加え、本市が所管する普通河川から7カ所の取水により発電しています。この利水の権利は、本市法定外公共物管理条例第4条によって許可されたものを県知事が水利権として許可するものです。この条例第12条は、他人への権利譲渡を禁じています。水利権の譲渡はできないはずです。見解を求めます。公営企業管理者:権利の譲渡は条例で禁じられている。企業局が許可権を撤回し、新会社が新たに許可申請する。森:権利譲渡を禁じている条例の抜け道を探すようなやり方は、行政自ら条例の趣旨を否定するようなものだ。道義的にも許されない。譲渡はできない。
(7)新会社のコスト削減と保安周期の延伸について 新会社の提案で、特に生産性の向上、即ちコスト合理化の一環で提案されているガス保安点検周期の最適化、10年間から15年間への延伸、発電では更新周期オーバーホールで5年、ダム線取換えに24年延伸などに対し安全上の懸念があります。主要設備におけるこうした延伸の安全性を担保する根拠データは検証されているのか伺います。公営企業管理者:新会社の知見。森:企業局は10年周期でやってきた。本プラントの安全上の根拠データは検証しての上かと聞いている。公営企業管理者:議決後、データを提供して延伸の計画を定めてもらうことになる。安全第一だ。
(8)プロジェクトチーム提案に関して 自由化を織り込んで策定された「経営戦略2016」に基づき、初年度、電力自由化対応プロジェクト、ガス自由化対応プロジェクトなど6つのプロジェクトチームが料金体系、ポイント還元、売電方式の検討、売電利益のガス、水道管更新への還元など地域貢献提案を行っています。この時期に別途職員アイディア提案でも、強みである5事業一体経営によるシュタットベルケ型の経営転換が提案され、公営で競争時代を乗り切る展望が最優秀提案として評価されています。この提案がその後どう活かされたのか伺います。公営企業管理者:評価は高かったが、地方公営企業法の制約などから実効性に疑問があり、実施には至らなかったったもの。 

ここまでで持ち時間終了 以下は建設企業常任委員会で質問する。それにしても、市長に答弁者を指定したにもかかわらず、途中から、公営企業管理者が代わって答弁するようになった。市長は答えられなくなった。

◆以下は、16日木曜日の建設企業常任員合に持ち越し

(9)地域エネルギー自治政策に関して6月、市長は「ゼロカーボンシティにおいては、エネルギーインフラの自治体所有も民間会社所有も違いはない」と答弁され、強い疑問が残りました。県内学識者からも同様の疑問が呈されています。国においても、気候変動対策のもとに新エネルギー基本計画が位置づけられるなど、気候変動対策が最重視されるに至りました。座礁資産と認定され投資引き揚げの対象となった石炭同様に、液化天然ガスも過渡的な役割をより早く終えねばならなくなることは十分に予想される。ガス利用者にどのようにしてCO2 を出さないエネルギーを提供するのか。また急な撤退によりエネルギー難民を出してもいけない。利潤を優先させねばならない民間会社にそれを本当に委ねられるのか。見解を改めて伺います。
(10)気候変動による災害の激甚化に関してライフラインの災害時の迅速な復旧には、公共的な管理体制の下に
置かれているべきだとの指摘も届いています。この点から、東京ガスのガス供給停止事故(8月21日から全面復旧27日)について情報収集や分析は始められているのか伺っておきます。エネルギーに対する責任が明確ではない中、自治体の基本政策がないと民間会社では無理で、企業局を含めた本市行政全体の総合政策が不可欠。災害時の熱波対策優先供給など今日段階ではエネルギーインフラを自治体が所有することの意味は大きい。さらには、農林漁業のCO2吸収・固定化は大きい。エネルギー政策に通じる第一次産業の再構築には総合的な自治体政策が不可欠と問題提起もされています。市長の見解を伺います。
(11)民間独占の問題に関して7月13日、カルテルの疑いで公正取引委員会が九州電力系、関西電力、中国電力を立入り検査しました。4月13日東邦ガスを含め立ち入り検査後、関電、中国電力に再び立入検査が及んだのです。①電力大手、ガス大手を巻き込んで価格協定の疑いがかかることの背景をどう理解しているかご所見を伺います。②本市の場合、ガス事業の新規参入がない中での民間会社への譲渡となります。自由化の恩恵を市民に提供するとの理屈ですが、果たして適正な競争を備えた市場となる見通しが持てるのか市長の見識を伺います。