2024年12月定例月議会を報告します
◪一般質問の骨子
1.補正予算について
・被災地域コミュニティ施設等再建支援事業費補助
・被災宅地等復旧支援事業費補助
2.教科書採択結果について
3.「金沢 こどもまんなか未来プラン」の策定について
(1)策定に当たっての課題認識について
(2)こども・若者の意見反映と参画の保障
(3)既存計画一体化に当たっての検証について
(4)根底にある労働に関わる問題について
(5)市民のつぶやきから
子育て世代からの子育て支援施策の提案
4.クマによる獣害の防止と森林再生のありかたについて
◪一般質問と答弁の全文 (2024年12月11日)
12月定例月議会 一般質問と答弁記録 みらい金沢 森 一敏
みらい金沢の一員としまして、以下ご質問させていただきます。まず第一に補正予算についてお伺いいたします。
1.補正予算について
森 一敏議員:能登半島地震発災からやがて1年が経とうとしております。豪雨災害にも見舞われた輪島市の二重被災地を先日視察をいたしました。まさに神も仏もない状況でも、懸命に立ち直ろうと奮闘される被災地の姿に接しました。改めて追悼とお見舞いを申し上げます。行政職員、ボランティアの長期にわたるご尽力にも敬意を表します。今臨時国会で審議中の震災関連補正予算が災害公営住宅の迅速な供給、生業の再興、地域再建の期待に応えるものとなるよう注視をしたいと思います。
さて、本議会に提出された復興基金を財源にする被災地域コミュニティ施設等再建支援事業費補助、2,100万円の事業趣旨と事業規模の見積もり根拠をまとめてお尋ねいたします。
村山 卓市長:お答えいたします。能登半島地震により被災した集会所や神社などの施設が、祭りや行事など地域における交流の場として地域コミュニティを維持していく上で重要な施設でありますことから、復興基金を活用し再建を支援するものであります。なお、石川県からは、当該事業の支援対象は、憲法に定める政教分離の原則に鑑み、もっぱら地域住民が利用していることや、住民が交代で維持管理していることに加え、今後も活用が継続することの要件が付されております。事業規模につきましては、町会連合会を通じて各町会宛に被害状況等の調査を実施し、そのうち年度内の再建に係る費用を積み上げたものであります。
森 一敏議員:地域コミュニティが主体的に活動する際の拠点的な役割を果たしている、その部分に対して特化をして事業に対応していくということかと理解いたします。特にご答弁で触れられましたけれども、やはり政教分離の原則というものに対する慎重な配慮、これを私からも求めておきたいと思います。
他方、助成枠を追加して1億2,500万円を計上する被災宅地等復旧支援事業費補助については、その事業概要、現在本市が検討を進めてきた液状化被災地区復旧対策工の実施とどのように連動させていくのか、現時点で改めてお伺いをいたします。
村山 卓市長:被災宅地復旧支援事業費補助につきましては、能登半島地震により被害を受けた宅地の地盤改良や住宅基礎の沈下、傾斜等の修復を支援するものでありまして、補助額は、対象工事に要する額から50万円を控除した額に6分の5を乗じた額で、限度額は958万3,000円であります。特に、液状化による被害が大きい粟崎地区では、これまでの地盤調査等の結果を踏まえ、先般の被災地区復旧技術検討会議におきまして、地下水位低下方法が最も適した工法との見解を得ましたので、今後、説明会等を通じて地域の方々との合意形成を図ることとしております。
その上で、当該補助制度を活用いただきながら、道路及び宅地の復旧を並行して進めることで、早期の復旧を目指してまいります。なお、道路等の本格復旧を待てない方に対しては、既に補助を活用して、宅地の復旧を行っていただいております。
森 一敏議員:今、技術検討が進んで、ほぼ工法については定まってきているというふうに私も承知をしております。それぞれのお宅の事情が当然様々にありますので、私も現地を見てまいりましたら、既に工事が終わっているというお宅もいくつか見られました。今後さらにそうしたお宅が増えていくだろう。しかし、全体としてのインフラの復旧にはさらにまだ、おそらく2年は要するだろうということを考えますと、地域の住民の皆様の今、合意形成ということをおっしゃられましたが、これについては十分に説明を、周知をしていただいて、不安がないようにしていただきたいなと、私も願っております。社会インフラの本格復旧にあたり、地域の防災力、安全度を高める視点から、地域住民の参画や要望の反映が求められております。被災地域住民との連携を今後どう進めていくのか、市長のご所見を併せてお伺いいたします。
村山 卓市長:能登半島地震で市内での被害が大きかった粟崎地区や神谷内町葵地内、田上新町地内などでは、発災直後から担当職員が出向きまして、応急復旧から本格復旧工事に向けた準備などについて、地元説明会や個別訪問などを通じて丁寧に対応させていただいて。また、その中でいただいた要望につきましても、可能な限り配慮しながら取り組んでおります。
その他、道路、河川、橋梁、下水道といった公共インフラの復旧にも全力で取り組んでいるところであります。全ての復旧が完了するまでにはしばらく時間がかかりますけれども、引き続き、住民の皆様に安心していただけるよう、工事の進捗状況や安全対策など必要な情報を定期的に提供いたしまして、地域と連携、協力しながら災害復旧に取り組んでまいりたいと思います。
森 一敏議員:液状化でいえば、内灘の地面全体がずれるということに対する対応、大変難しいものが課題となっている。粟崎地区は今、言及がありましたけれども、そこでもやはりずれも生じているというようなことも伺っておりまして、地域全体としてどのように復旧をしながら新たな地域の社会インフラを形成していくのかということについては、住民の方々の中にも要望とかプランとかそういうものがおありのようです。ですからそういう意味で、住民が参画できる復旧、社会インフラの復興、地域の再建、このための具体的な仕組みというものもさらに検討していただく必要がある。私はそのように思っておりますけど、もう一歩踏み込んでいただけませんでしょうか。どうでしょうか。
村山 卓市長:住民の方々にはそれぞれの思いがあるというように承知をしております。そして一番大事なところとしては、今後のスケジュール。そして、いつになったら、安定的な生活が送れるのかというところだというふうに思っています。地域の中でもお話し合いをいただいておるという中ではありますけれども、我々としてはその広報などについてもお示しをしながら、また住民の方々のご応援をいただきながら、丁寧に物事を進めていきたいというふうに思っております。
森 一敏議員:そのための具体的な場、あるいはそのためのスケジュール、そういうものが十分に伝わるようにしていただきたいということを申し上げたいと思います。
2.教科書採択結果について
2番目、教科書採択結果についてご質問いたします。本市で来年度から使用する中学校教科書採択のうち、全国から注目された歴史教科書の採択結果について伺います。
今回の採択では、8年間使用された育鵬社から帝国書院へと採択替えが決定されました。
私は社会の主権者、そして、これから新しい歴史を切り拓いていく子どもたちが基礎となる歴史認識を育むために、歴史学の成果を踏まえ、世界的な視野から客観的、多面的に記述される歴史教科書を採択し、学びを保障できるように求めてまいりました。そのためには、採択過程の公開、教育委員の採択権者としての責任の明確化も求めてきたところです。今回の採択では、議事録で発言者の名前が開示されました。その記録に目を通しましたが、各委員が丁寧に各教科書を読み込み、的確な視点から真摯に議論を交わされたことが読み取れました。その採択姿勢に敬意を表したいと思います。まず、3社に対する評決結果5対1対1で、帝国書院に決まった経過と評価について、教育長の所感をお伺いします。
野口 弘教育長:お答えいたします。教科書採択におきましては、私も含め、一人一人の教育委員が、教科用図書調査委員会による専門的な調査研究報告書や、学校ごとの教科用図書研究委員会の報告書、教科書展示会における保護者や一般の方々の意見とともに、教育委員それぞれの調査の視点も加え、すべての発行者の歴史教科書を綿密に調査し、その調査をもとに教育委員会議で議論を行い、その結果として今回の決定に至ったものであります。明年度からの新金沢型学校教育モデルの実践にあたり、探究的な学びを通してデジタル力などの力を身につけるとともに、多面的・多角的な見方・考え方をこれまで以上に磨き、高めていく上で、金沢市の生徒に相応しい教科書が採択できたと捉えております。
森 一敏議員:この5:1:1の評決結果については、今ご答弁がありました教育委員会全体の物差しで協議をした結果であると、私もそのように受け止めて、それ以上のことはお伺いはしないでおこうと思っております。で、次なんですが、保護者・市民が求めている採択会議・公開の課題は、残されました。一層の透明性と説明責任の観点から、公開を強く改めて求めておきたいと思います。教育長のご所見を伺います。
野口 弘教育長:昨年7月の教育委員会議におきまして、教科書採択に係る文部科学省の通知や、市議会での請願に対する審議結果を踏まえ、教科書採択に係る会議を公開するかどうかにつきましては、真摯に話し合いをさせていただきました。教育委員会議では、意思形成過程におきまして、会議を公開した場合に、議論の自由・闊達さを担保できるかどうか、環境面での静ひつさは担保できても、精神面での静ひつさの担保は難しいのではないか、などといった意見が出され、議論の結果として会議は非公開とすることに決した次第であります。
教科書採択における公正確保の徹底についての通知におきましては、教科書採択は、採択権者の判断と責任により、綿密な調査・研究を踏まえた上で、構成性・透明性に疑念を生じさせることのないよう、適切に行われることが必要であると示されていることを踏まえ、昨年度より議事録の公表に当たりましては、発言者を記載し、透明性を高めてきており、今年度も同様に教科書採択の審議過程の公表を行いました。教科書採択に係る教育委員会議の公開につきましては、現時点では考えておりませんが、次回の採択の際に、改めて教育委員会議におきまして、話し合われるべきものだと考えております。
森 一敏議員:次の採択までは確かに時間がありますね。そういう意味では改めて教育委員会議で議論していただくという必要があると私も思っております。今回、透明性を高めるために委員名を開示をされた。このことは非常に意味があったと私は思います。会議を議事録を読みましても、やはり説明責任というものをそれぞれの委員さんが強く意識をされて、そのために深く教科書を読まねばならない、そして、自ら教育委員としての論点をしっかり開陳しなきゃいけない、そういう意識がその記録の背景にやっぱり読み取れたと思うんです。そういう意味では、その教育委員会としての責任と判断、これを担保するための採択、教科書研究、議論等々が、委員名を開示することによって深まった。私はそういう効果があったなと思っているわけです。そのあたりについては、教育長はどういうふうに感じていらっしゃいますか。
野口 弘教育長:今、森委員おっしゃったとおり、この会議に臨んでおりまして、やはり一人ひとりの教育委員が、私は本当にしっかり読んでいるなという感じを感じました。これまで、採択に向けての様々な調査の視点で報告書をまとめていただいておりますが、それ以外の視点も含めて、様々な視点からご議論をいただいたなということを思っておりますので、いい議論ができたなと思っております。
森 一敏議員:非公開にする理由が精神的な自由闊達さ、これを確保したいというご意見から非公開になったというご説明があるわけですね。しかし、この委員名を開示したこの記録を読めばね、公開をして本当にそれによって束縛が生じるだろうかと私には思えるんです。これからまだ先何年かありますのでね、その間にぜひ先行自治体の調査なども丁寧にやっていただいて、教育委員さんが改めてこの公開という課題について議論ができるような、そういう環境をぜひ整えていっていただきたい。その上で再度ご判断をいただきたいと私は思いますが、そこはどうでしょうか。
野口 弘教育長:今お触れになったことにつきましては大事なことだとその通り聞かせていただきたいと思います。
森 一敏議員:ぜひ透明性の高いかつ自由闊達な教科書採択というものの手続きになっていくことを強く期待をして次の質問に移ります。
3.「金沢 こどもまんなか未来プラン」の策定について
(1)策定に当たっての課題認識について
3点目は金沢こどもまんなか未来プランの策定についてです。その第一に策定にあたっての課題認識について伺います。金沢子育て夢プラン2020に代わり子ども基本法に基づく本市の新たな子ども計画、金沢こどもまんなか未来プランの策定が進んでいます。思い起こすのは『サピエンス減少』という本を著した人口学者、原俊彦さんの指摘です。少子高齢化と人口減少が急速に進んだ社会では、元に戻る回復力があるかは疑問としつつも、生まれてくる子どもが少なくなるなら、一人一人を大切にし、全ての人に基本的人権や生存権を社会が保障することを考えた方が建設的だ。所得の再配分で経済を回せば、人類は新しいステージに立てる。このように提言しています。時代が求めるこどもまんなか未来プランの視座として、重要な示唆を感じるものです。まずは、本市独自の課題に関し、市長の認識を伺います。
村山 卓市長:少子化の主な要因として挙げられるものとしては、未婚化、晩婚化の進行であります。これを解決するためには、若い世代の所得向上や子育てに係る負担の軽減、仕事の育児の両立支援などが必要だと思っております。これに加えまして、本市独自の課題への対応として、若者、特に女性の都市部への流出防止のほか、金沢の特色を生かした子育て支援の充実などに取り組む必要があると認識しております。金沢こどもまんなか未来プランには、これらの課題の前進に向けた施策を盛り込んでいきたいと考えています。
森 一敏議員:所得の保障、このご答弁もありました。これに関わってまたこの後でご質問をしていきたいと思いますが、経済的な不安定、雇用の流動化、こういったものが根底にあって進んできた少子化、私もそういう問題意識を共有しております。
(2)こども・若者の意見反映と参画の保障
森 一敏議員:2点目に、子ども若者の意見反映と参画の保障について伺います。こども基本法に基づくこども大綱は、子どもの権利条約を踏まえ、子ども、若者を権利主体とし、その権利保障、最善の利益、当事者である子ども、若者、子育て世代の参画を図ることを基本方針としております。新プランの策定にあたり、その意見反映にどう取り組んできたか、併せてプランの実施に当事者の参画を図る仕組みについてもどのようにお考えか伺います。
村山 卓市長:新たなプランの策定に当たりましては、これまで以上に若者や子育て当事者の意見を反映させていくため、学生によるワーキング会議を立ち上げる、そのほか、アンケート調査では、中学生・高校生の保護者や高校生・大学生世代を対象に加えております。また、子育て当事者や子育て支援団体等との意見交換も重ねてまいりました。
骨子案は、これらの意見を反映して取りまとめたものであります。その中でも、施策の推進に当たりましては、重視する視点として、子どもや若者、子育て当事者の意見や、視点を尊重することを掲げております。で、明年度以降、プランの具現化に当たりましては、常にこの視点を意識して施策を推進して参ります。
(3)既存計画の一体化に当たっての検証について
森 一敏議員:この参画の具体的な仕組みというものはいろいろと考えられる。それを明確にしたプランニングをぜひ若い方たちに届けられるようにしていただきたいと思うわけです。その上で、3点目ですが、本プランは、本市子ども生活応援プラン、青少年健全育成アクションプランをまとめた一体プランと伺っています。両プランはいずれも計画期間を残しての一体化です。子ども生活応援プランの事業においては、子育てに関わる錯綜した困難事案への支援を期待して、4人の子どもソーシャルワーカー、弁護士職員を配置した児童家庭相談室が、包括的な相談支援に当たってきました。本事業の実績に対する評価と課題とともに、両プランの施策検証はどう位置づけられていくのか伺います。本事業の実績に対する評価と課題とともに、両プランの施策検証はどう位置づけられていくのか、併せて伺います。
村山 卓市長:この児童家庭相談室においては、専門知識や相談経験が豊富な専任職員に加えまして、子どもソーシャルワーカーや母子・父子自立支援員を配置いたしまして、貧困の状況にある子どもや一人親家庭の相談支援を包括的に行ってまいりましたが、年々相談件数が増加し、相談内容も多様化・複雑化しています。本年度からは、子ども家庭センターとの連携を強化して、こうした困難なケースに対応しております。なお、来年度以降の子ども生活応援プランと青少年健全育成アクションプランの施策検証につきましては、こどもまんなか未来プランの進捗を確認する中で、事業の評価に合わせて実施をしてまいります。
森 一敏議員:この児童家庭相談室の機能というのは、現在の子育ての困難さに具体的に対応しております。そういう大事な役割を果たして、その件数も増加しているということでありますので、ぜひそれに見合った。相談室の体制というものをご検討いただきたいなと思っています。子どもソーシャルワーカーの配置については、この子どもの貧困対策のプランを策定する検討会で、学校配置、あるいはそれに見合った数の配置というものが提言の中に出されていたと私は記憶をしておりますが、実際には3人でスタートした、現在4人ということで、この方々の役割というのはアウトリーチを含めて大変重要なものがあるだろうと思われます。この配置の拡充なども体制の強化という意味で、これから課題になっていくのではないかと思いますが、この辺りについてどのようにお考えでしょうか。
村山 卓市長:先ほど相談件数が年々増加して、これからもこの傾向が続いていくとすれば、さらなる体制の強化が必要だというふうに思っております。また、実態を相談しながら、体制について検討してまいりたいと考えています。
森 一敏議員:はい。これから予算編成が本格化されていくということですので、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
(4)根底にある労働に関わる問題について
4点目に、根底にある労働に関わる問題、先ほどのご答弁に関わるのですが、結婚や子どもを持つことの希望を叶えられるまち、子どもを育む喜びを感じられるまちの実現には、多面的な施策が必要ですけれど、その根底には雇用の不安定化がもたらす所得の低下、結婚、子どもを育む喜びを感じられるまちの実現には、多面的な労働に関わる問題、本市において、雇用と労働、所得に関わる課題解決に向けて、いかなる連携体制を構築していくのか、この点は、骨子案では必ずしも明瞭ではないと思います。この課題に関し、その考え方を伺っておきます。
村山 卓市長:若い世代の誰もが、結婚や子どもを産み育てたいとの希望が叶えられる環境を作っていくためには、若者・子どもの世代の所得向上が課題の一つとなっています。地域経済の活性化による雇用の確保やワークライフバランスを推進するために、そのため、新たなプラン骨子案には、若い世代が活躍し働きがいを感じられる環境の整備を基本施策に掲げております。また、プランの策定に当たっては、雇用・労働施策を担当する経済局を含めた庁内ワーキングを設置して、課題を共有しながら議論を行ってきております。このこどもまんなか未来プランに基づいて、様々な施策をこれから具現化していくわけではありますけれども、その具現化に当たりましても、庁内で連携して取り組んでいきたいと考えております。
森 一敏議員:労働施策のセクションを含めて、庁内連絡体制でもって、さらにプランを見つめていくと、これは当然必要なことだと思います。それが十分に読み取れるようなプランとなっております。引き続き議論を進めていただきたいと。ただ、今、市役所内の全庁的な体制というご答弁でありました。こども大綱では、それに留まらない様々な外部の関係団体、あるいは経済界、そういったところとの連携というものがなければ、絵に描いた餅になりかねない。そのようにも危惧をいたします。そういう意味では、これから中小企業振興条例の制定も具体的に進めていくというようなこともあります。そうしたものとも連携させて、ぜひ地域の経済を支えて、地域の雇用を支えている経済団体と十分にこのこども未来プランで議論をしながら、この所得保障、雇用の安定というものが前に進むような体制も検討していただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
村山 卓市長:現在、少子化対策を行う人口減少を食い止めるためのラストチャンスと言われております。10代の人口、あるいは10歳未満の人口がどんどんと少なくなっていくという中にあって、そのラストチャンスに当たっては市役所だけではなくて、さまざまな主体の協力が必要だというふうに思っております。先ほど地域経済の活性化による雇用の確保といったところを重要だというふうに申し上げましたけれども、それに当たっては経済団体の協力が必要であります。経済団体とも意見交換をしながら、今後の少子化対策に向けて協力を呼びかけていきたいと思います。
(5)市民のつぶやきから
森 一敏議員:5番目、市民のつぶやきからです。私のもとに、現在子育て中の女性から子育て支援施策の提案が寄せられております。図書館や文化施設など公共施設で気兼ねなく赤ちゃんや幼児と過ごせる、例えばわいわいデイと言われるようなものの設定、助産師の訪問時におむつなど育児用品の提供を行う事業、あるいは産婦科医への支援制度、保険適用外の不妊治療への助成金、休暇取得を支える応援職員派遣への支援制度、保育士の処遇改善、育児休暇手当対象外世帯への手当制度など提案されております。高齢者、子育て世代、非正規雇用、正規雇用、子どもがいる人、いない人を分断するのではなく、みんなが幸せになれるような施策をと結んでおります。子ども医療の完全無償化、学校給食の無償化、本市奨学金制度の拡充など、要望が高まっている課題と併わせ、こどもまんなか未来プランの策定と施策展開の中で、当事者の声として生かしていきたいものです。市長の受け止めを伺います。
村山 卓市長:新たなプランの策定に当たりましては、様々な機会を通じて、多くの子育て当事者からご意見を伺っております。若い世代が子どもを持つことの希望が叶えられ、安心して子育てができるまちを実現していくという思い、さらに強くしたところであります。現在実施しているパブリックコメントや子ども子育て審議会での意見も踏まえまして、今年度末をめどに子育て世代の支援につながる具体施策を盛り込んだ、まずはこどもまんなか未来プランを取りまとめていきたいと考えております。
4.クマによる獣害の防止と森林再生のありかたについて
森 一敏議員:4番目のご質問です。クマによる獣害防止と森林再生のあり方についてです。クマによる死傷事故が全国的に過去最多となりました。まず、昨年から本年にかけての本市におけるクマの出没状況、その要因をどう見ているかについてお尋ねします。
上谷 勉農林水産局長:本年4月から11月末までの出没件数は69件で、昨年より8件少ない状況でございます。ただ、本年10月には16件の出没状況が寄せられており、その要因といたしまして、ツキノワグマの秋の主要な餌の資源であります広葉樹のブナの凶作、これが影響しているものと推測されているところでございます。
森 一敏議員:先日、本市南部丘陵で営まれる果樹園を訪れました。まさに前の晩もクマが出没した思われるその後をつぶさに見てまいりました。果樹農家は実ったリンゴも柿も丸ごとやられた、出会ったら恐ろしい、獣には勝てん、と対策を早めることを要望されております。本市においてはクマにおいては、農作物被害の実態、どのように把握されているかを伺います。
上谷 勉農林水産局長:被害状況につきましては、農業従事者から直接寄せられました被害報告や、金沢市農業共同組合などからの聞き取りをもとに把握をしているところでございます。
森 一敏議員:この被害の実態について、より正確に把握できる、そういう仕組みをさらに高めていただきたい。そう思っています。環境省は、クマの保護管理を問題個体については、保護重視から積極的管理へと移行させる方針を明らかにして、専門家は、元来人を怖がる習性のクマは、襲おうとして襲っているのではなく、結果として襲ってしまうという、こう指摘しております。その対策は、藪刈り等で人とクマの緩衝帯をつくり、追い払いや果実等の誘引物を撤去する、人里と山と往復移動する、アーバンベアを生まないように住み分けなどなど複合的です。唐辛子や木酢液が有効との情報もありますが、本市での具体的な被害防止策を伺います。また、施策時期の前倒しについての見解も伺います。
上谷 勉農林水産局長:本市では、これまでもクマに対する被害防止対策といたしまして、県が発令するツキノワグマ出没警戒情報に合わせまして、市の公式ホームページ等を通じて周知を行っているところでございます。また、クマ出没場所への捕獲檻の設置や、クマの生態研究の専門家の知見を取り入れた移動ルートとなる河川周辺の藪刈りとともに、地域が行う放置果樹の伐採や電気柵の設置に加えまして、今年度から特殊車両の使用が必要となる高所の果樹・伐採につきましても支援をしているところでございます。
なお、捕獲檻につきましては、冬眠明けのクマの活動時期に合わせ、例年3月頃から順次設置を開始しておりますが、設置期間の前倒しや延長といった地元からの相談等につきましては、引き続き、猟友会とも協議の上、検討してまいりたいと考えております。
森 一敏議員:現場の実情に応じて、有効にこの防護対策が機能するように柔軟に対応していただきたいと思います。中長期的には、生物多様性の確保も視点として、クマの餌となるブナやクヌギ、コナラ等の広葉樹の植林育成を計画的に進めていくことが必要ではないかと思います。森林の保全再生において、クマの被害防止施策の展開をどうお考えなのか、お伺いします。
上谷 勉農林水産局長:広葉樹につきましては、水源涵養や災害防止とともに、クマの餌となるどんぐりなどを供給し、生態系を維持するといった役割を果たしますことから、本市では、広葉樹を新しく植える地権者に対し支援を行っているところでございます。一方で、住宅地と山間地の住宅地の広葉樹の植栽を希望する地権者に対しましては、クマがどんぐりを求めて市街地へ迷い込む原因になりかねないことから、植栽を控えるべきとの助言も併せて行っているところでございます。本市といたしましては、引き続き樹種が有する機能や役割に着目をしながら、広葉樹の整備とクマによる人身被害の両立の観点を踏まえ、適正な森林再生に向け取り組んでまいります。
◪会派提出した議会議案の動向
◆労働基準法の改正について慎重な対応を求める意見書案
自民党と公明党、自民系の反対により少数否決の不採択
◆選択的夫婦別姓制度の議論の推進を求める意見書案
自民党、自民系の反対により少数否決の不採択
◆労働基準法の改正について慎重な対応を求める意見書案の提案理由説明・森 一敏
労働基準法の改正について慎重な対応を求める意見書案の提案理由説明
みらい金沢 森 一敏
私は、みらい金沢を代表して、提出した労働基準法の改正について慎重な対応を求める意見書案の提案理由を説明いたします。昨年10月、政府の「新しい時代の働き方に関する研究会」は、労働者、事業、事業場などの労働基準法制の基本的概念についても、経済社会の変化に応じて在り方を考えていくことが必要であるとの報告書を公表しました。さらに、本年4月23日開催の政府の労働基準関係法制研究会では、今後の研究会に向けての整理として、労働時間法制、労働基準法の「事業」、労働基準法の「労働者」、労使コミュニケーションの4つを掲げています。
これは、戦後、労働者の基本的人権を守ってきた労働基準法の基本的概念を大きく転換するものであり、40年ぶりの大改正となるものです。
確かに、IT技術の普及や「働き方の多様化」などを背景に、新たな労働問題が発生しています。いわゆる偽装フリーランス問題など、本来「労働者」である者が非労働者として扱われることにより、労働基準法に定めた最低限の労働条件の実現を妨げられ、団体権・団体交渉権・団体行動権を侵害されるという重大な人権侵害に対処することは喫緊の課題となっています。
しかしながら、日本経済団体連合会が、本年1月16日に発表した「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」では、過半数労働組合がある企業には、労働時間規制のさらなる柔軟化、過半数労働組合がない企業には労使協創協議制の創設などを求め、「労使自治」を労働時間規制緩和のツールとして位置づけました。
こうした考え方に立てば、労働の基準や処遇の問題が、企業内の労使自治と本人同意とされ、例えば、超勤手当や深夜割増金のカットなどが容易に進められるなど、労働者を保護するための規制が大きく緩和され、働き方改革に逆行することにもなりかねません。
労働の現場では、サービス労働や労働条件の明示義務違反、賃金未払いなどの労働法違反が後を絶ちません。この間の議論では、雇用労働者の4割を占める非正規労働者に関する課題、即ち入口規制、均等均衡待遇等、配置転換等に関する課題、ハラスメント規制等、早急に議論が必要な諸課題については未だ検討されてはいません。
こういった中で労働基準法の改正がなされれば、労働者の心身をさらに破壊し、生存を脅かしかねません。国が今すべきことは、労働基準法の改正ではなく、国の公的責任において、労働者の心身の健康と生活を守ることと、適切な労働法制の立て直しです。
拙速な労働基準法の改正によって、将来に禍根を残してはなりません。労働基準法の改正論議は、労働基本権保護の立場から慎重に対応すべきです。
議員各位におかれては、人口減少社会における喫緊の課題に鑑み、本意見書案の趣旨をご賢察いただき、満場のご賛同を賜りますようお願いいたします。以上をもちまして、私の提案理由の説明を終わります。