2024年6月定例月議会報告
◪質問骨子(一問一答方式)
1.金沢における能登半島地震被災地・被災者支援に関して
(1)被災宅地等復旧支援事業費補助ならびに土木施設災害復旧費について
(2)公費解体におけるアスベスト対策について
(3)地域コミュニティにおける被災者支援について
(4)国際的な都市間の支援に関わって
2.原発防災に関して
3.国の補充的指示権を創設する地方自治法の一部改正について
4.教科書採択について
5.市民のつぶやきから
夢ある公園再生・活用事業の展開の仕方に市民のコンセンサスがあるのか
◪質問と答弁の全文
2024年6月定例月議会 一般質問 みらい金沢 議席番号32 森 一敏
1.金沢における能登半島地震被災地・被災者支援に関して
(1)被災宅地等復旧支援事業費補助ならびに土木施設災害復旧費について
森 一敏議員:みらい金沢の一員としまして、以下御質問させていただきます。まず、金沢
における能登半島地震被災地・被災者支援に関して御質問いたします。その1点目は、被災宅地等復旧支援事業費補助並びに土木施設災害復旧費についてであります。被災者の住宅再建に向け、被災宅地等復旧支援事業費補助1億円が計上されました。また、粟崎町、田上新町などを対象として、土木施設災害復旧費が追加されました。市長も申されましたように、被災地域の復旧再建には、両事業を連関させるとともに、技術検討会議での被災原因の解明と工法検討ともつなげねばなりませんが、これをどう連関させていかれるか。まず、お答えいただければと思います。
村山 卓市長:今回の地震によりまして、大きな被害があった田上地区、粟崎地区を中心に復旧業務を行っていくために、危機管理課内に専任の技術職員を配置した被災地区復旧推進室を設けました。被災地区復旧技術検討会議の検討、助言を踏まえて、復旧工法、工事時期を調整しながら進めていきたいと考えています。
森 一敏議員:提案理由説明の中で、市長は、被災者に寄り添った柔軟な対応と述べておられますが、どのような対応を考慮していくのか伺います。
村山 卓市長:例えば粟崎地区においてでありますけれども、将来の液状化リスクの低減を図るため、道路と宅地を一体的に整備する国の宅地液状化防止事業の活用について検討したいと考えておりますけれども、その場合は事業期間が長くなることが想定されております。随時住民説明会などを開催しまして、地域住民の希望に寄り添いながら丁寧に進めていきたいと考えています。
森 一敏議員:おっしゃる意味は理解できないことはないんですけれども、実際上、長期にわたるという場合に、住宅再建のための見通しというものがなかなか持ちづらいと。それぞれの御家庭の事情によっても、それを待てるのか待てないのかというような問題が現実には起こってくると思うのです。そうしたことに対して、どういう寄り添い方をしていくのかというところがさらに問われていくんではないかと、こう思っておりますので、もう一言御答弁いただけますでしょうか。
村山 卓市長:被災した方々によっても様々な状況であります。そして、罹災の判定が、あるいは一部損壊であったとしても、その損壊の状況によって変化があると、対応していかなければならないというように思っております。長い間その住家に住むことができないとなると、非常に大きな負担になるという中で、一方で多少の傾きを直したら住むことができるというような家屋も存在すると思います。そういった中で、国の大規模なそうした事業をこれから取り入れていくという中で、そことの調整をうまくしていくということが大事であるというように思っています。そういった中で、個々の事情に寄り添いながら相談に応じていきたいと考えています。
(2)被災家屋の公費解体におけるアスベスト対策について
森 一敏議員:次は、被災家屋の公費解体におけるアスベスト対策についてです。公費解体の対象となる半壊以上の被災家屋のうち、現時点で公費解体を申請された件数は90棟を超えたと伺っております。今後、解体を本格化させる上で留意を要するのは、アスベストの飛散防止と解体作業員の暴露防止です。大気汚染防止法、労働安全衛生法等に基づき、公費解体に当たり本市としてどのような対策で臨まれるのか伺います。
越山 充環境局長:公費解体の際には、法令に基づき全ての対象建築物などに対し、アスベストの有無を確認する事前調査を行うとともに、その結果を工事場所に掲示し、周辺地域や作業員へ周知するよう、解体工事の受注者に指示をしております。また、アスベストを含む建築物等の解体作業時においては、受注者に対し防じんマスクの着用など法令等で定める事項の遵守を徹底させるとともに、労働基準監督署とも連携し、解体現場の巡回を実施するなど、アスベストの飛散・暴露防止には万全を期してまいります。
森 一敏議員:巡回というものの頻度、それはどのように考えていらっしゃいますか。
越山 充環境局長:頻度につきましては、そのアスベストのレベルにもよると考えております。当然アスベストが含まれるであろう建材が、いわゆるどのレベルのものかによって、その対策というのも変わってきますので、それに応じた頻度で巡回をしたいと考えております。
森 一敏議員:これはぜひしっかりとやっていただきたいと思っております。
(3)地域コミュニティにおける被災者支援について
続きまして、3番目、地域コミュニティーにおける被災者支援について伺います。二次避難の長期化に伴いまして、孤独死や災害関連死が懸念されます。今朝の新聞報道でも、282人でしたか、大変心を痛める状況です。高温予想の夏に向け、健康観察や見守り、相談対応の機会が一層重要です。被災者の健康保持のための現行サポート体制は十分なのか、御所見を伺います。
村山 卓市長:集団避難所につきましては、空調設備のある老人福祉センター等に避難者を集約するとともに、定期的に保健師が巡回し、健康観察を行っております。また、ホテル等の二次避難所につきましては、各施設に見守りの御協力をいただいておりますほか、高齢者等の支援が必要な方には、保健師が継続的に電話や訪問による健康観察を行っております。夏場に向けて関係機関と連携しながら、引き続き被災者に寄り添った支援に努めてまいります。
森 一敏議員:この保健師さんの巡回チーム、これが足りないんではないかという懸念の声も伝わってくるんですが、そのあたりはどう見ていらっしゃいますか。
村山 卓市長:集団避難所が多数存在していた、設置していた際には、他の自治体から保健師の派遣をいただきながら、また、健康観察を行っていただく。そのような支援をいただいておりました。一方で、金沢市の保健師については、こうしたホテル等の二次避難所を、そして、みなし仮設住宅なども含めて巡回をしていくと、そういうような役割分担をさせていただきました。非常に大変な業務ではありますけれども、避難された方々が健康状態を崩さないように、しっかりと巡回をし、そして見守ってまいりたいと考えています。
森 一敏議員:これから厳しい季節になっていきますので、その見守りが所期の目的を果たせるように、体制についても不断に検討を加えていただければと思います。続きまして、地域コミュニティーや地域福祉を担う金沢市町会連合会、民生・児童委員協議会などとの連携は、どのように機能しておりますでしょうか。
村山 卓市長:みなし仮設住宅の入居者につきまして、金沢市社会福祉協議会の生活支援相談員が訪問して、見守りや相談支援を行っております。必要に応じて市の関係各課や他の専門機関につなぐ体制としております。このほか、避難生活を送っている方々に、各校下町会連合会の連絡先や、市内の各地域で開催されているコミュニティーカフェなど、高齢者の集いの場や子育てサロンを紹介するチラシを配布しておりまして、地域とのつながりに配慮してございます。
森 一敏議員:地域の中で温かく包み込まれて、避難者の方が不安を少しでも和らぐ中で生活を続けることができるように、ぜひ金沢の持ち味を発揮していきたいものだと、私自身も含めてそう思っております。
(4)国際的な都市間の支援に関わって
4点目は、国際的な都市間の支援に関わってです。ブラジルの姉妹都市ポルト・アレグレ市が、記録的な大洪水に見舞われました。5月8日時点で死者100人、不明者130人、家を追われた被災者は16万人を超えたと、このように伺っております。締結50周年で訪れました際に歓待してくださった方々が無事でおられるのか、私自身も気になっております。今般の地震に際し、海外の都市からも支援を受けてきた本市として、ポルト・アレグレ市に対して行った対応があればお聞かせください。
村山 卓市長:ポルト・アレグレ市を含むブラジル南部において、4月下旬から5月中旬にかけて続いた豪雨によりまして、記録的な洪水被害がございました。本市でも能登半島地震の対応に追われている中で、日本の全く反対側でこうした大きな災害が起きてきたということについて、ショックを受けたところでもありますけれども、私としては5月8日になりますが、ポルト・アレグレ市のメロ市長に見舞い状をお送りしました。犠牲になられた方々への哀悼の意と被害へのお見舞いを申し上げるということとともに、一日も早い復旧・復興を祈念しているということをお伝え申し上げました。当地の状況については、在ポルト・アレグレ領事事務所を通じまして、適宜情報収集に当たっておりますが、領事事務所からは、現在は水位が下がって、復旧の途に就いたとお聞きしております。引き続き情報収集に努めまして、心を寄せてまいりたいと思います。
森 一敏議員:状況が改善されていくということ、本当にお祈りもしたいと思っております。来春、本市は、国際姉妹都市祭りですか、これを開催するという予算も決定をしておりますので、ぜひ今後も十分に注視をしていっていただきたいと、そう思っております。
2.原発防災に関して
それでは、2点目、原発防災に関して御質問いたします。今能登半島地震による広域での甚大な被害は、志賀原発の複合原発震災への最後の警告だとの深刻な指摘がなされております。議長にお許しをいただきまして、パネルを掲示させていただきます。これでもまだ文字が小さいようですね。(パネルで説明)想定外が大変たくさん発生いたしました。例えば150キロメートルに及ぶ震源帯が連動した。最大4メートルの海岸隆起が起こった。基準地震動、これを超えた。2号機で846ガルの想定が、871の加速度を計測した。1号機でも同様だったようです。外部電源一部喪失。これはまだ現在続いております。非常用発電機1基が作動しなかった。冷却ポンプが40分間停止をした。これは燃料プールです。それから、変圧器の絶縁油が大量に漏れた。これはその量を、北電側の報告は修正をしております。モニタリングポスト116局あるんですが、18局が欠測。測定、そして通信ができなかった。道路は11路線中7路線が不通になった。30キロ圏内、9市町で家屋被害が2万7,000棟、放射能防護施設6施設が損傷。屋内退避ができないということを意味します。タービンの各部位に接触痕などの損傷が見つかっております。これについては、現在まだ調査の途中です。このパネルは、石川県の地図に、2011年の福島の第一原発の事故で放出をされたあの苛酷事故がもし起こったとした場合に、一定の風向きを想定したときに、イメージとして重ね合わせた地図なんです。同心円がこうありますね。ここが30キロ圏。金沢市はここなんです。この黄色、グリーン、割と放射性物質の汚染度合いが高いエリア。これが金沢の北部にかかっておりますし、ブルーの範囲には広範に金沢市も入ってくると。こういうことで、原発事故の特性の一つは、必ずしも同心円上に被害が対応して重くなっていくということは、必ずしも限らないという特性があるということを、まず御理解いただきたいと思います。
発災から5か月、北陸電力は、私も出向いた政府関係機関への立入調査要求で、ようやく社民党の現地調査を受け入れたんです。しかし、制約だらけの公開に終始をしました。撮影するな、ここしか見てはいけないというような指示がつきまとったということ。何を隠そうとしているんだろうか、疑念が拭えないわけです。市長がこの間、北陸電力からいかなる場でどのような報告を受けられたのか。その内容をどのように受け止めておられるのか、まずお伺いします。
村山 卓市長:北陸電力からは、1月末と4月末に志賀原子力発電所の設備等の被害状況や、能登半島地震への対応状況などについて説明、報告がありました。能登半島地震発災直後から、能登地域を中心に電力供給や火力発電施設の復旧等に全力で取り組んだ姿勢に対しましては、同じ公共インフラを維持管理するという立場から慰労を申し上げました。
一方で、志賀原子力発電所の被害状況に関し、報道によれば、北陸電力からの情報が一部錯綜していたとされておりますが、その都度必要な措置を講じているとの報告は受けました。施設の安全対策の徹底、そして、国や県、志賀町など関係自治体との連携、また、迅速かつ正確な情報の発信が重要であり、その旨を北陸電力に対して要請をいたしました。
森 一敏議員:今回の能登半島地震から受けた原子力発電所のサイトの被害状況、これについての評価といいますか、受け止めです。これ、今、入っていなかったんですが、どういう所感をお持ちだったでしょうか。
村山 卓市長:被害状況について、その正確な報告、そして適時の報告が必要というように考えております。その中で、一部情報が錯綜していたということについての報告もございました。それに対して必要な措置を講じているということも報告を受けております。
森 一敏議員:それをどういうふうに評価をして受け止めていらっしゃるかということのお答えを聞いておるんですが、おっしゃりませんね。志賀原発、今回は志賀町は震度7が出たんですけれども、原発のサイトは5強なんです。これは金沢と同様です。この5強で、先ほど見ていただいたような想定外の被害あるいは状況が発生をしているということなので、本当に動いていたらどうなっていただろうかということを、大変多くの方からやっぱり私も聞いておりますし、私もそのように感じているわけです。ですから、かなり深刻な状況が発生をしたという認識を持つ必要があるんではないかと思います。それは申し上げておきたいと思います。
北陸電力は、この6月26日に株主総会を開催いたします。金沢市は戦後、水力発電所の公営復元運動の経緯から、北陸電力の株式209万株を保有する大株主です。震災年となった今回は、株主総会に出席をして、被災状況の評価や安全性に関する議論に参加し、電力供給と市民の安全確保の責務に照らして、本市として物を申されてはいかがかと思いますが、どうでしょうか。
村山 卓市長:株主総会への出席につきましては、他の公務の状況などにより判断することとなることを御理解いただければと存じます。株主総会の提出議案に対する賛同の可否につきましては、慎重に検討を重ねた上で議決権を行使したいと考えております。なお、能登半島地震における志賀原子力発電所の対応等につきましては、先ほど述べたように、既に安全対策の徹底等について要請しているところでございます。
森 一敏議員:まだ出席の可否についてはお答えがありませんでした。これまで出席はなさっていない。そして、書面で電力側の提案、これを賛同しているというのが、この間の金沢市の経過です。これが、市民の様々な懸念あるいはエネルギーに対する考え方、希望、そういうものにちゃんと向き合えているのかどうかということについて、批判があるということはお伝えしておかねばならないと思います。
次に、いざとなっても逃げられないと、県民の不安は広がっているわけです。本市は、今年度実施する地域防災計画の見直しで、原子力災害対策計画でも、能登半島地震からの教訓、放射性物質放出事故との複合災害の特殊性を十分に踏まえておかねばなりません。課題をどのように整理しておられるか伺います。
村山 卓市長:今回の地震では、能登被災地において道路の寸断など多くの地区が孤立したことから、複合災害の視点も取り入れた原子力災害対策を行うこと、これが大変重要な課題であると認識いたしました。今後、このことを踏まえた能登地域からの広域避難者の受入れや、他市町との協力体制について、県と協議・調整をすることとしております。県から示される地震被害想定の結果を踏まえて、本市の地域防災計画と併せて、原子力災害対策計画についても見直すこととしております。
森 一敏議員:今のところ答弁ありましたけれども、これ、原子力災害対策計画なんです。主に言うと、屋内退避が必要な場合の手だて、そして、特に放射性ヨウ素を内部被曝をできるだけ防ぐための安定ヨウ素剤の服用、そして、広域避難者の受入れ、これが大きな3本柱かと思いますけれども、それぞれについて、今回の震災教訓を踏まえて、具体的に踏み込んで検討を行う。そういう必要があると思いますので、今後行われていく検討協議、この中で、私もこれを注視して、申し上げるべきときがあればまた申し上げさせていただきたいと思っております。
さて、今地震で、志賀原発から30キロ圏内の自治体が北陸電力に求めてきた安全協定の懸案が浮上しております。志賀町に限ってきた協定締結を30キロ圏内へ、さらには県内全域の自治体に拡大することが望まれます。9年前から止まってきた協議を再開するため、石川県市長会長の立場から、県並びに基礎自治体関連携へのリーダーシップの発揮を期待するんですが、御所見を伺います。
村山 卓市長:本市においては、志賀原子力発電所からおおむね30キロ以内の緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)の外側であるということから、放射性被曝による直接的な原子力災害対策を講じる必要性は低いと考えております。一方で、原子力災害から市民を守るために、協力体制を構築するということは重要であります。先ほど資料でお示しいただいたように、風向きによっては被害拡大するおそれもあるということもございますが、石川県や他の市町と協議・調整するということが望ましいと考えております。
森 一敏議員:30キロ圏内すらまだ安全協定も締結に向かって前進はないということでありますので、まずはそのことを重点を置いて、ぜひ連携を進めていただきたい。そのように思います。
3.国の補充的指示権を創設する地方自治法の一部改正について
それでは、3点目、国の補充的指示権を創設する地方自治法の一部改正について御質問いたします。
昨日、参議院の総務委員会で改正案は可決されました。私自身、傍聴した衆議院総務委員会や院内集会での議論などの間に、この間に指摘された点は、想定外を想定するという無理が、立法事実も要件も明確化できない。地方自治体の独立性と国との対等協力関係、これを担保する法定主義が損なわれる。政府は迅速性を盾に事前の協議・調整の制度化を拒んでいる。すなわち地方の独立性と国との対等協力が、戦前のような主従関係に戻されるとの強い懸念でありました。参議院総務委員会でも、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における生命等の保護の措置に関する指示が、内閣への白紙委任とならないため、附帯決議を採択しております。市長はこの可決をどう受け止めておられるか、御所見を伺います。
村山 卓市長:国民の安全保護の観点から、感染症や災害などのあくまで想定外の重大な事態が発生した場合ということに限っております。想定外ですので、やはり想定ができないことなので、なかなかそこの具体化ができないというところは盲点かと思いますけれども、そういったことが起きた場合に対して、国が自治体に対して補充的な指示を行えるとするものであります。国・地方を通じて的確かつ迅速な対応に万全を期すという観点からの見直しと捉えております。これまで地方としても、地方自治の本旨や、これまで築いてきた国と地方の対等な関係が損なわれることがないよう要請してきたところであります。結果として、指示は特例として必要な限度にとどめること、また、事前に自治体から意見を聴取する規定が設けられるなど、地方分権には配慮した内容となっていると認識しております。
森 一敏議員:審議過程で盛り込まれた修正、それから、運用に当たっての重要点。これらについて、一定政府からの見解答弁は出ていますね。ただ、それが果たしてきっちりと履行されていくのか。そのための担保がないというのが、現時点での状況です。従いまして附帯決議もついたわけで、この附帯決議、これは国の側ですけれども、国会の側ですけれども、地方自治体としても、自治体からの濫用防止のための歯止め措置、これをさらに求めていく責任があるんではないかと思うのですが、これはどうでしょうか。
村山 卓市長:国の補充的な指示につきましては、国と地方公共団体が事前に適切な協議・調整を行うこと、また、目的達成のために必要最小限度の範囲とすることなど、これは、地方としてかねて要請してきたところであります。法の運用に当たって、地方分権の原則の下、国において適切に対応されるものと考えております。これまでも機会を通じて、地方としての意見を国に対して要請してきたところでありますが、運用面が明らかになる中で、必要があれば引き続き地方六団体等を通じて、地方自治の本旨に沿った対応を求めてまいりたいと思います。
森 一敏議員:事前の調整とか協議というものが、制度にはなっていないというところに非常に懸念があるわけです。ですから、それのルール化です。運用に当たって、ルール化、これを明確に求めていく。これは、住民の負託を、自治を、自治の負託を受けている基礎自治体としては、これは当然の責務ではないかと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
4.教科書採択について
4点目、教科書採択です。本市における今夏の中学校教科書採択で、現行歴史教科書の行方に全国から注目が集まっております。先般、市内の市民団体が短期間に集約した公開を求める署名3,643筆、教育委員会に提出されました。昨年の1.5倍です。採択会議の議事録で、教育委員名を開示したのは一歩前進です。さらに、全国の趨勢に歩調を合わせ、採択会議の公開に踏み切ることが疑念の払拭、教育委員会議の信頼性確保に寄与します。改めて会議の公開を求めます。いかがでしょうか。
野口 弘教育長:お答えいたします。昨年7月の教育委員会議におきまして、教科書採択に係る文部科学省の通知や、市議会での請願に対する審議結果を踏まえ、教科書採択に係る会議を公開するかどうかについて、真摯に話合いをさせていただきました。教育委員会議では、意思形成過程におきまして、会議を公開した場合に議論の自由闊達さを担保できるかどうか。環境面での静ひつさは担保できても、精神面での静ひつさの担保は難しいのではないか。傍聴する方が多くなればなるほど意見が言いにくくなり、かえって公平性、中立性に影響が出るのではないかなどといった意見が出され、議論の結果において会議は非公開とすることに決定をした次第であります。なお、教科書採択における公正確保の徹底についての通知には、教科書採択は、採択権者の判断と責任によって、綿密な調査研究を踏まえた上で、公平性、透明性に疑念を生じさせることがないよう、適切に行われることが必要であると示されていることを踏まえ、昨年度より議事録の公開に当たって、発言者名を記載するよう改善を図っており、今年度も同様に会議の公開は行いませんが、教科書採択の審議過程はしっかりと公開をさせていただきます。
森 一敏議員:昨年も申し上げたんですが、教育委員会は公職であります。ですから、当然いかなる状況にありましても、自らの教科書採択に係る所信というものは表明をされなきゃいけないし、それが仮に批判を受けるものであったとしても、それは甘んじていかなきゃならないんです。それが教育委員を引き受けるということの意味なんです。教育委員さんの中から、その覚悟というものを、首をかしげざるを得ないような御発言が出るということは、大変残念です。今年のことも決められたということですけれども、今年の採択を行うに当たって、再度協議をしていただきたい。いかがでしょうか。
野口 弘教育長:そのような御意見があったことはお伝えいたします。
森 一敏議員:未来を生きる子どもたちにふさわしい教科書とは、一体いかなるものか。肝に銘じるべき考え方が、国連が考え方を示しております。それは、2010年の国連・子どもの権利委員会の日本に対する政府報告書審査最終所見、2013年第68回国連総会文化的権利に関する特別報告書の指摘です。要約すると、日本の歴史教科書は、日本の解釈のみを反映させるのでなく、他国の児童との相互理解を強化するよう、アジア太平洋地域の歴史的事件に関してバランスの取れた視点を反映すること。歴史教科書は、愛国心を強めたり、民族的な同一性を強化したり、公的なイデオロギーに従う若者を育成することを目的とすべきではない。教科書の選択は、特定のイデオロギーや政治的な必要性に基づくべきでなく、歴史学者並びにILO(ユネスコ教員の地位に関する勧告)、ここにある専門職としての特別の資格を認められた教員の手に残されるべきである。このように申しているわけです。この国連の示した考え方に対して、教育長の御所見を伺います。
野口 弘教育長:2010年の5月から6月までにかけて行われました国連・子どもの権利委員会におきまして、今、森委員がおっしゃったとおり、日本の歴史教科書は、アジア太平洋地域の他国の学生との相互理解を強化できないだけでなく、歴史的事件を日本の観点だけで記述していることが懸念されると指摘をした上で、日本の歴史教科書は、アジア太平洋地域の歴史に対するバランスの取れた視点が見られないと是正を勧告いたしております。このことを踏まえながら、私は、国のほうでは、そのことを踏まえた上で、教科書検定についての見直しを図っていると思っておりまして、今回の検定の基準におきましても、歴史に関係しますけれども、近隣のアジア諸国との間の近現代史の歴史的事象の扱いに、国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていることが示されています。こうしたことも踏まえながら、現在、本市で使用している教科書におきましては、文部科学大臣が、今回、歴史に対してだけに触れさせていただきますけれども、歴史的分野の目標が、広い視野に立ち、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を育成することを目指すとした学習指導要領への準拠性や、児童・生徒の発達段階への適応性、教材の客観性、公正性、中立性、また、内容の正確性を踏まえて審査を行っており、その審査を行われた上での使用することを認められた教科書の中から、本市の採択方針に基づいて十分に調査研究した上で、公正かつ適正に採択されたものでありますので、採択手続を含め問題ないと考えております。
森 一敏議員:時間がありませんので、これ以上踏み込みませんけれども、この教科書の検定基準の取扱い、これそのものに非常に政治的な経過というものが実際にはあったということも踏まえなきゃいけません。グローバル化にふさわしい国際関係にバランスの取れた記載が必要だと、これはそのとおりです。ですから、ぜひ教育の独立機関として、矜持を持ってしっかり審議をして、公明正大に審議をして、そして、子どもたちに、彼らは選択権がありませんので、大人よしっかり選択してくれと、こういう声が子どもから届いておりますので、ぜひしっかりやっていただきたい。そのことを申し上げておきます。
5.市民のつぶやきから
最後に、市民のつぶやきから、1点だけ御質問させてください。夢ある公園再生・活用事業の展開に、市民のコンセンサスがあるかとの声なんです。本補正で、基本計画策定を笠舞地区で前倒しする予算が計上されました。公園整備に期待する全市域の市民に、対象地区の選定や順序についてどう説明されるのか、お尋ねをします。
村山 卓市長:対象地区の選定に当たりましては、公園施設が老朽化していることや、周辺に保育施設等が立地していること、利用圏内の人口が多いことなどの視点から、まず、検討が必要な地区を抽出しています。その上で、緑のまちづくり審議会におきまして、これらの項目に従って定量的に評価した結果、公園の老朽化が著しい笠舞地区が次期候補地区に選定された次第であります。整備状況の進捗を見ながら、順次地区を拡大してまいります。
森 一敏議員:公園の再生活用は非常に重要な仕事だと思います。全市的に公園に対する関心は非常に高いものがありまして、管理にも住民が関わってくださっています。ぜひ公平に、客観的に、どう整備されていくのかということが金沢市民に広く認識をされる中で、順序等も決まっていくように、ぜひ配慮をさらにしていただきたいということを申し上げて、私の質問はこれで終わります。 (拍手)
◪会派から提出して採択された意見書
□福祉事業所に従事する人材の確保・育成に係る緊急対策を求める意見書(全会一致採択)
□生活保護世帯に対するエアコン設置の拡充を求める意見書(全会一致採択)