◪ 代表質問の報告 2025年3月11日
【3月定例月議会 代表質問の骨子】 みらい金沢 議席番号32 森 一敏
1. 2025(令和7)年度予算案及び市長の政治姿勢について
(1)歳入予算の見込みについて
・大型予算案編成の意義に関する所感について
・算定を裏付ける根拠、臨時財政対策債ゼロ
・交付税措置の履行状況、起債残高への評価
・消費税収1位の構造と市民生活の受け止め
・消費減税への市長の見解
(2)歳出における主要な施策への市長の思い入れについて
・国の消費税収1位に鑑みた本市歳出予算編成での留意点
・「視座」「礎を築く」で形容した意図、それを反映した肝いりの施策について
・「こどもまんなか未来プラン」の予算化
・子育ての経済的な負担軽減、雇用安定、所得の確保の施策、ラストチャンスの危機感の反映
・みらい金沢の政策要望の反映
(3)市長の政治姿勢について
・金沢方式の見直し 地元負担の軽減策で地域の異論、意見対立、地域の分断が収束できるか
・今後の市民参加による検討機関の継続設置、
・都心軸の再整備 緊急整備方針素案 高度・容積率規制の撤廃 特別委員会提言との齟齬
・金沢のまちづくりの規範「保全と開発の調和」 市長の覚悟
・日本銀行金沢支店跡地の取得と利活用に関する石川県との連携について
2.本市地域防災計画の改定について
・県地震津波被害想定見直しの進捗、見通し、本市としての日程上の対応
3.敗戦・被爆80周年に当たって
・昨今の国内外の情勢で迎える敗戦・被爆80周年の意味について
・姉妹都市文化祭で平和スピーチを求める
・「ヒロシマ原爆・平和展in金沢」準備状況と詳細内容に特段に意を用いていく点
・広島、長崎、沖縄への修学旅行や少年訪問団派遣事業の検討を
4.ノーマライゼーションプラン改定のためのアンケート調査に当たって
・インクルーシブ社会を目指す基本的な方向性
・当事者等の意見、ニーズを生活実態に即して把握する調査のあり方
5.障害者雇用について
・A型就労継続支援事業所の閉鎖、解雇問題
・報酬の減額改定の影響、本市の実態把握、市長の問題意識
・特例子会社の設立を民間企業等に働きかける県市連携を
6.中小企業・小規模企業振興条例の制定検討について
・条例制定の検討へと姿勢を転じた理由、同条例のビジョン
・関連して公契約条例の検討を
7.下水道ウォーターPPPの導入について
・ウォーターPPP導入可能性調査の結果なき導入準備予算計上の問題、議会軽視
・財政的締め付けによる国策誘導への抗議、
・国は公的な財源でもって支援せよと求めよ導入準備費計上の経過への認識と市長の所見
8.学びの多様化学校の設置について 市民のつぶやきを含め
・県立あすなろ中学校の開校と学びの多様化学校開設検討における石川県教育委員会との連携について
・学びの多様化学校のビジョンと明確になってきた課題は
・市民のつぶやきから、学びの多様化学校、校内教育支援センターが新たな分離教育の場とならないかとの懸念
・懸念に応える学びの多様化学校は可能か、一般教育制度との位置づけはどのようなものにすべきか
【代表質問動画】
【質問と答弁の全文 一括質問方式】
(一括質問一括答弁の記録を質問項目ごとに区分けして以下に構成しています)
みらい金沢 議席番号32 森 一敏
本日、東日本大震災から丸14年が経過いたします。あの未曾有の大災害、とりわけ原発の過酷事故をも伴った複合大災害への教訓を、私たちは風化させてはいないか、能登半島地震の復旧復興に向かうにあたり、私自身、そして社会に問いかけながら、みらい金沢を代表して以下ご質問いたします。
1.2025(令和7)年度予算案及び市長の政治姿勢について
まずその第一は、2025年令和七年度予算案及び市長の政治姿勢についてであります。6期金沢市議会議員の経験で、一般会計当初予算が初の2000億円超えです。能登半島地震、奥能登豪雨災害復旧復興にかかる国庫財源や、県支出金などが背景にあるとみられますが、全会計で地方財政計画の伸び率を倍以上上回る過去最大の大型予算です。まずはその意義について予算編成を得た市長の所感を伺います。
(1)歳入予算の見込みについて
具体に質問を移します。まず、歳出歳入予算の見込みについてお尋ねします。一般会計、歳入予算における市税収入の見込みは、これまた過去最大の890億円余となりました。算定を裏付ける根拠はどのようなものかお答えください。他方、地方の固有財源である地方交付税交付金は11億円増の140億円を見込んでいます。その算出根拠とともに、今回20年間続いた赤字公債である臨時財政対策債がゼロになったことをどのように評価しているかも併せて伺います。
臨時財政対策債は全額、後年度に償還を地方交付税措置する仕組みですが、基準財政需要額の算定を含め、国の交付税措置の履行状況とともに起債残高全体の現況への評価をお尋ねします。
一般会計の歳入に関して、最後にお伺いするのは、消費税収についてです。国の税収では、消費税が24兆9000億円余と21.6%を占めて令和元年に所得税を抜いて以降、最大額となり、税収の最大を占めるに至っております。本市においても、地方消費税交付金は前年比1.6%増の127億円余。一般会計歳入の中で、6.19%程度を占めています。消費税は低所得者ほど家計に占める負担割合が高くなる逆進性の課税制度である上、物価上昇で消費税支払額もかさんできました。厚労省の公表データで消費者物価の上昇は2020年基準で総合指数11.2%上昇、この一年でも上昇を続けて4.3%上昇です。これに対し、賃上げ率は昨年8月公表の厚生労働省の集計で、5.33%とはいえ、資本金10億円以上かつ従業員千人以上の労働組合のある企業348社の妥結額です。中小企業では、経団連の最終集計によると、500人未満、375社の妥結額の引き上げ率は4.01%ですが、小規模企業ほど引き上げ率は低下し、3%台に止まっております。賃上げ効果が及びにくい低所得世帯に物価上昇が覆いかぶさり、それが消費税収の最大化につながっているというこの税収構造は、果たして民主的で公平な税制度と言えるでしょうか。こうした税収構造と市民生活の実情をどう受け止めておられるか、お聞かせくださ。また、少なくとも食料品、光熱費等には消費税をかけない、あるいは課税率を引き下げるなどの消費減税が求められると思いますが、この際、市長の見解を伺っておきます。二点目に、歳出における主要な施策への市長の思い入れについて伺います。
村山 卓市長:32番森 一敏議員にお答えいたします。はじめに令和7年度予算は、能登半島地震からの復旧復興経費に加え、私立保育所運営費や児童手当、障害者自立支援費などの扶助費が大幅に増加したほか、森本地区の新たな保育所の整備、玉川図書館の大規模改修など、300億円を超える公共事業費を計上するとともに、収入の確保に努めたことで、地方財政計画を大幅に上回る過去最大規模となったものであります。そのため、安全で活力ある未来を視座に礎を築く積極投資予算としてお諮りした次第であり、未来共創計画の前進期の最終年にふさわしい予算になったと捉えております。
続いて、臨時財政対策債につきましては、ええ、これまでも全国市長会を通じて、恒常的な地方交付税の財源不足を臨時財政対策債に頼ることなく解消するよう国に要望してきたところであります。ええ、明年度の地方財政計画におきまして、前年度を上回る一般財源総額を確保した上で、制度増設以降、初めて臨時財政対策債がゼロとなったことは高く評価しています。一方で、これは地方財政における本来あるべき姿であると捉えています。引き続き、交付税の原資となる国税が堅調に推移することで、地方に必要な一般財源総額が確実に確保されることを期待しております。
一般会計の市債残高については減少傾向にあるものの、臨時財政対策債を除く通常債の残高は増加しております。ええ、今後、公共施設の老朽化対策や小学校の跡地対策などに多額の財政需要が必要となることを踏まえると、え、国庫補助金の確保はもとよりええ、交付税措置のある有利な地方債やええ基金の活用にええ、これまで以上に工夫を凝らす必要があると捉えております。え、引き続き、地域財政計画の策定を通じて、市債残高の動向に注視し、健全財政を堅持していきたいと思います。
国家財政における税の体系については、低所得者への配慮はもちろんのこと、景気への影響や世代間の公平など、さまざまな観点から総合的に判断した上で、国が責任を持って構築すべきものであります。消費税につきましては、少子高齢化が急速に進む中で、社会保障制度を維持継続させるために必要不可欠な財源と捉えています。一方で、実質賃金の減少が続く中で、物価と賃金の上昇による経済の好循環を実現するということが必要不可欠でございますので、本市としては、今後とも物価の推移や国の動向を注視しつつ、時勢を捉えた必要な対策を適時適切に講じてまいりたいと存じます。
川畑 宏樹総務局長:私からは歳入予算の見込みについて、え、数点お答えを申し上げます。
最初に市税収入の見込みに関して、算定を裏付ける根拠につきましては、まず個人市民税、法人市民税につきましては。主要な企業へのアンケート調査を行い、固定資産税につきましては、令和6年中の家屋の新増築など移動の状況を踏まえまして、地方財政計画や税制改正の影響等を勘案しながら収入額を見積もった結果、堅調な企業業績などを反映し、過去最高額となる予算を計上した次第でございます。
ええ、続きまして、地方交付税の算出根拠につきましては、令和6年度の交付実績を基準に国の地方財政計画等をもとに試算した結果、地方交付税につきましては11億円の増となりましたが、一方で令和7年度は臨時財政対策債の発行がなかったことから、実質的な交付税額は前年度に比べ1億円の減となる140億円を見込んだところでございます。
ええ、続きまして、今年度に償還を地方交付税措置する臨時財政対策債について。ええ、国の交付税措置の履行状況につきましては、令和6年度の普通交付税の算定では、臨時財政対策債の償還にかかる基準財政需要額として、実質償還額とほぼ同額の約64億円が加算されております。
最後に、消費税収入につきまして、本市歳出予算で留意した点につきましては、ええ、地方消費税交付金のうち、過去二年度税率引き上げの影響額は、社会保障関係経費の拡大に活用する必要がありますことから、令和7年度予算では、民生費や衛生費を中心に約64億円を充当した次第であります。以上でございます。
(2)歳出における主要な施策への市長の思い入れについて
森 一敏議員:このように、今日、消費税収が国家予算の筆頭財源であることに鑑みて、本市歳出予算編成で留意した点があればお聞かせください。
さて、「安全で活力ある未来を視座に礎を築く積極投資予算」と銘打った歳出予算です。いささか難しい表現の「視座」「礎を築く」で積極投資予算を形容した意図はどこにあるか。また、それを反映した肝いりの施策についてご説明ください。とりわけ12月の答弁で、市長ご自身も人口減少を食い止めるためのラストチャンスとおっしゃった、こどもまんなか未来プランの策定と予算化にあたり、子育てにかかる経済的な負担の軽減と雇用の安定、所得の確保に関し、どのような施策にその危機感が反映されているか伺います。
この項の最後に、みらい金沢が市政全般にわたり提言を盛り込んだ予算編成に関する政策要望書はどのように反映されているのかも伺っております。
村山 卓市長:明年度予算の編成にあたりましては、未来共創計画における前進期の最後の年となるため、次の充実期につなげる礎となる政策の予算化に努めたところであります。具体的には、三歳未満児の第二子保育料無償化や奨学金返還支援制度の創設などの少子化対策、都心軸の再興や地域コミュニティを支える基盤の強化などのまちづくりの基盤整備、能登半島地震からの復旧復興や災害対応力の強化などの市民の安全安心の確保の三つの側面に軸足を置くこととし、先も述べましたが、安全で活力ある未来を視座に礎を築く積極投資予算として本議会議にお諮りいたしました。
金沢こどもまんなか未来プランにつきましては、2030年代には若者人口が急減いたしまして、少子化に歯止めがきかない状況が予想されております。今後5年間にその対策を強化しなければならないと考え、その基本方針の一番に結婚や子どもを持つことの希望をかなえられる街の実現を掲げました。少子化の背景として、出会いの機会の減少や経済的な不安定さなどは大きな課題と認識しています。こうしたことから、男女の出会いの機会の提供や若い世代の生活の安定などに意を用い、明年度予算には大規模な婚活イベントの開催のほか、他の自治体において少子化に効果があったとされる三歳未満児の第二子保育料の無償化、また結婚出産への経済的不安を解消するための奨学金の返還支援などの具体の政策を盛り込んだところであります。
当初予算案では、能登半島地震を教訓とした安全安心で災害に強いまちづくりに意を用いたほか、持続可能な魅力あるまちづくりに向けまして、地域運営交通に対する支援の拡充など交通体系の整備に努めるとともに、観光地の混雑緩和や分散化、旅のマナー啓発など、市民生活と調和した観光の振興に努めたところであります。このほか、中小企業等の振興に向けた条例の制定準備や、新たな工業団地の整備に向けた可能性調査の実施、プラスチックごみの分別収集の徹底、持続可能な地域コミュニティを支える基盤の強化など、ご要望に真摯に応え、必要な政策を予算化した次第であります。
(3)市長の政治姿勢について
森 一敏議員:三点目市長の政治姿勢についてです。任期残り一年となった市長の政治姿勢に関して昨今、なかなかにかまびすしいわけですが、市民の注目が高く、議論を呼んだいくつかの課題で市長の政治姿勢が問われております。
その第一、まずは金沢方式の見直しです。持続可能性を課題に4回にわたり検討懇話会が議論しましたが、その取りまとめに拙速感は否めません。所管は、金沢方式はあくまで予算上の措置であるとの立場を譲らず、条例制定等の明文規定の整備もないまま、地元負担の軽減が先行して本予算案に盛り込まれました。検討懇話会では、金沢方式を地元負担あってのまちづくりの文化と定義することや、周知がその理解を促すという考え方に必ずしも十分な合意が形成されませんでした。検討懇話会の後半になると、市町会連合会の代表者から施設整備に関しては限りなくゼロに近づけてほしいとの注文がつきました。
解体費、長寿命化工事の全額公費化を打ち出したものの、施設整備運営費ともに地元負担率原則25%から20%への低減に終わっていることに失望の声が聞こえております。パンドラの蓋を開けた勇気ある市長に、あえてお尋ねをします。この地元負担率の軽減策で、金沢方式をめぐる地域の議論、意見の対立、地域の分断が収束できるとお思いでしょうか。
金沢方式見直し検討では、委員会審査、検討懇話会、市民団体の活動を通じ、幅の広い論点が提示されました。住民自治としての地域コミュニティの自律性の担保、地元負担金の寄付金としての採納の是非、その手法の法令上の位置づけを含めた明文化による制度の明確化、地域コミュニティの区割りの見直しなど多面的な議論があり、課題は残されました。引き続き検討機関を設置し、住民参加のもとで体系的な制度としての合意を探ってはどうでしょうか。今後の検討の継続について、改めて市長に見解を伺います。
第二に、都心軸の再整備です。本市は、都市再生特別措置法に基づく緊急整備方針素案とともに、金沢駅東都心軸をエリアとする緊急整備を内閣府に申請し、その決定を待つ段階となりました。この再整備手法をめぐり、最も議論のあった緊急整備特別地区を設定した場合の高度制限と容積率制限の取り扱いについて、緊急整備方針素案の要諦は、都心軸地域から金沢駅周辺地域を切り離し、この地域では金沢市都市計画高度地区の規定や用途地域による容積率にとらわれず、土地の有効かつ高度な利活用を積極的に促進する都市開発事業を誘導するとしたことです。市議会の特別委員会提言が、高度容積率規制の撤廃を求めなかった中で、準備協議会が本素案を取りまとめ、市長に提出したものでありました。こうした展開を、市長はどう受け止めているでしょうか。素案では、駅周辺を除く都新宿区域では、金沢市都市計画高度地区の規定を遵守した都市開発事業を誘導するとしたことから、金沢のまちづくりの規範「保全と開発の調和」と駅前旧都ホテル跡地の開発促進を両立させる妙案のようにも見受けられますが、果たしてこれで金沢の固有のまちづくりの規範が将来にわたって維持できるのか懸念を覚えずにはいられません。都心軸の他の区域でも、同様の土地利用の停滞が発生した時に、景観規制が積極投資の足かせになっているとの意見が浮上しかねません。例外を設ければ、それが先例となって、結果として、規範そのものが消滅をする。この懸念は私だけのものではないでしょう。今後の都心軸の再整備に市長はいかなる覚悟で臨まれるのか所信を伺います。
ところで、都心軸の再整備課題とも重なる日本銀行金沢支店の跡地の取得利活用の方針が示されております。この跡地あり方検討懇話会での議論、市民アンケートでは、日銀跡地に期待する多面的な機能、金沢のまちづくりへの波及効果などが意識されております。このエリアは繁華街片町とビジネス街南町をつなぐ重要な結節点であり、本市のまちづくりの要となる場所です。かつて地下駐車場を含む香林坊の再開発事業を県市連携で行った地域であり、跡地取得を含め、強力な県市連携体制で臨む必要があると思います。
徳田副知事が参加したあり方検討懇話会以降の日本銀行金沢支店跡地の取得と利活用に関する石川県との連携についてお答えください。
村山 卓市長:金沢方式につきましては、人口減少少子高齢化の進展や物価高騰など地域コミュニティを取り巻く環境の変化を踏まえ、これまで40年以上変わっていない地元負担の割合を見直し軽減を図るなど、施策の充実に取り組んだところであります。一方、高齢者世帯の増加や境界加入率の低下に伴う地域活動における担い手の不足など。地域によってさまざまな課題が顕在化していることをから、各地域において丁寧な議論、合意形成が必要と思っています。金沢方式は、先人たちによって育まれた地域コミュニティにおけるまちづくりの文化として、将来にわたって継承すべきものと捉えています。そうした地域コミュニティの特徴と活動を広く周知広報することを通じて、市民意識のさらなる醸成に努めてまいります。
懇話会からの報告にあった市民への周知広報の強化や地元負担の軽減、担い手不足の対策強化など今後取り組むべき政策の方向性については、地域コミュニティに関わる部署が相互に連携し、情報共有を図りながら、地域コミュニティの醸成に向けて取り組みを進化させていくことが必要であります。検討機関の設置については今のところ考えておりませんが、さらなる社会環境の変化等を踏まえつつ、まちづくりミーティングなどを通じて、地域の声をお聞きしながら、持続可能なコミュニティを支える基盤の強化に向けて議論を重ねていくことも大切だと感じております。
森 一敏議員:金沢方式の見直し。私はかねがね委員会でも法令上の根拠、これを持たないと、これの文化的な意義ですとか、あるいはまちづくりの文化。こういったものについての賛同や共感を得ることは難しいと、こう申し上げてきました。今回、残念ながらそこには踏み込んでいらっしゃらないということですが、端的に伺うのはなぜそこに踏み込まないかということなんです。これについての見解をお尋ねします。
村山 卓市長:金沢方式につきましては、これまで毎年の金沢市議会の中で予算をお認めいただいて、そして毎年度の事業を行ってきたものであります。改めて法令の根拠について踏み込むような必要性を感じなかったということが正直なところであります。
森 一敏議員:今のご答弁が真意であるとするんですね。やっぱり住民や市民の意識と相当乖離がある、こう言わざるを得ません。質問の中でも申し上げましたけれど、今回のその見直しの内容で、今、地域コミュニティ、それぞれ役員の方、あるいは一般住民の方々、非常にやっぱり苦労していらっしゃるわけですね。いろんな異論に直面をしているわけです。で、それに対して説明をし、納得をしていただく役割っていうのは地域にあるんですね、連長さん。そのご苦労が期待していた今回の見直しの内容、これにも到達していないという状況なんですね。先ほどのご答弁で、今後は部局ごとにと。こういう、これまでもおっしゃっておられた方針を踏襲するようなご答弁ですけれども、問題はそれほど軽くない。さらに地域コミュニティが分散化していく、あるいは町会加入者が減少の一歩をたどっていると。こういうような危惧というものは現実になりつつあると思うんですね。そういう意味で、もう一度お考え直しをいただきたいのは、しかるべき機関を設けて今後の必要な課題についての検討を行う。その中に説明の根拠になるような明確なものを作っていくということをぜひご判断いただきたい。再度見解を求めます。
村山 卓市長:今般の金沢方式の見直しについての経緯を申し上げたいというふうに思います。人口減少、少子高齢化、さらに町会加入率の低下、さらには建築単価の上昇、そういったことが相まって、金沢方式がこれまで金沢市の中で非常に長い間認められてきたものが存続の危機にあるという中で、今般、金沢方式のあり方についての検討を行いました。金沢市ではこれまでまちづくりの基幹としてこの金沢方式を築いてきた。そのような歴史があります。その歴史を改めて踏まえた上で、これを継続していくためにはどうしたらいいかということを検討させていただきました。そのような中で、今般の見直しによって、負担率を低下させる等々の改定をさせていただくことになりました。
金沢方式によりまして、施設をまた更新していくということ。これは、私自身の町会の方でも課題になりました。そして合意をとるというのは非常に難しいという過程はありましたけれども、そういった過程、経緯を踏まえた上で成し遂げたものという形で、私どもの地区での公民館、児童館が新しくなりました。改めて地域コミュニティの意義を見直すきっかけになるというものだというようにも捉えておりますので、今回、そのような今後の持続を可能な形でするための改定を行ったということをご理解いただければと思います。
村山 卓市長:都心軸の整備につきまして、特別委員会の提言では、金沢駅周辺区域において高度利用を図るという記載はありませんでしたが、準備協議会においては、金沢の玄関口としての有効かつ高度な利活用を図る開発を誘導するため、民間事業者が投資の判断をできるよう、高さ規制ののみならず、容積率の考え方についても明示すべきとのご意見をいただきました。また、国の都市再生基本方針におきましても、民間事業者等の提案を生かしたものになるよう努めることが明記をされております。民間事業者の創意工夫を最大限に生かし、より積極的な開発を誘発したいというのを思いから、都市再生特別措置法を所管する内閣府とも協議を重ね、地域整備方針の素案に高度地区や業績率に関する記述を盛り込んだものであります。
金沢駅周辺区域は、県と金沢の玄関口として、広域交通結節点の特性を生かし、街全体のにぎわい創出に資する多様な都市機能を集積することが重要であります。他方、その他の都心軸区域は、周辺の伝統環境や良好な住環境との調和に配慮するとともに、武蔵が土南町、香林坊、片町地区の各地区の特性に応じた機能を誘導し、連続した賑わいを創出することは重要と考えております。このことを踏まえ、地域整備方針の素案には、本市のまちづくりの規範である保全と開発の調和を基本に、区域の特性を際立たせた都市づくりの推進を盛り込んだものであります。都心軸の再興に向けましては、都心軸の目指すべき方向性を示す地域整備方針に沿った開発を民間事業者に求めていくことが肝要と捉えています。
日本銀行金沢支店跡地につきましては、あり方検討懇話会で取りまとめられた跡地に求められる4つの機能は総じて公共性公益性が高く、これを具現化するためには市が跡地を取得し、早期の利活用を図っていくことが、本市が果たすべき責任であるというふうに捉えています。取得後、できるだけ早い段階で市民や来街者が気軽に立ち寄ることができる空間として、既存の建物を可能な限り開放し、先行的な利活用を始めたいと考えており、このことを通じてにぎわいを創出していきたいと存じております。
まずは既存建物の先行利活用を進める中で、県とも情報共有を図りながら、一つの将来像について市民の皆様とともに思いを描いてまいります。
2.本市地域防災計画の改定について
森 一敏議員:質問の2項目、本市地域防災計画の改定について伺います。震災復旧と復興にかかる課題について私からは、地域防災計画の見直しのタイムテーブルに関して伺います。
本市の地域防災計画の改定は令和六年。能登半島自身の課題検証会議の報告を踏まえて進めてきました。多岐にわたる課題のいくつかは、今次当初予算にも反映されているところです。ただ、本市地域防災計画の改定は、一昨年の秋以降開始された石川県の地震津波被害想定の見直しを踏まえてとしております。石川県の地震津波被害想定の見直しが定まらないと、本市地域防災計画の改定作業も終えられないという関係にありますので、石川県の地震津波被害想定の見直し作業の進捗状況、見通しをお聞かせください。また、これに本市として日程上どう対応するのかも併せて伺います。
村山 卓市長:能登半島地震発生後の本市の災害対応について、速やかに課題を検証し、地域防災計画をできるだけ早期に、より実効性の高い内容とすることが重要であると考え、今年度計画の見直しに着手をいたしました。現在、避難所運営の改善、大規模災害を見据えた対応体制の強化、市民への情報発信力の強化などを柱とした第一次の改定作業を行っており、今年5月の金沢市防災会議に図ることとしております。
明年度は、石川県の地震被害想定の見直し結果が公表されることから、その内容を踏まえた第二次地域防災計画の改定を行うこととしており、専門家や地域代表で構成する金沢市震災アドバイザー会議におきまして議論を重ね、令和8年5月に予定する防災会議で改定を目指してまいります。
3.敗戦・被爆80周年に当たって
森 一敏議員:質問の第三は、敗戦・被爆80周年にあたってお伺いします。世界の人々が戦争の惨禍に胸を抉られる日々が続いております。ロシアのウクライナ侵攻をもって開始されたロシア・ウクライナ戦争の停戦と和平をめぐり、米欧の関与のあり方に注目が集まっています。また、7割を女性と子どもが占めるとされる4万7千人が殺害されたガザでは、停戦の維持と今後のガザ市民の平和的生存権の確保のために、国際社会の人道主義と叡智が期待されております。台湾危機への対応が防衛予算の急速な膨張の根拠とされる、こうした混迷の国際国内情勢のもとで、私たちは80年という大きな節目を迎えます。まず市長に、平和をめぐる昨今の国内外の情勢のもとで迎える敗戦被爆80周年の意味をどのように受け止めておられるのかお聞かせください。
日本は日本国憲法の平和主義に基づき、直接戦争に加わることなく国際社会を平和国家として歩んできました。しかしながら、この80年を超えて歴史を遡れば、中国をはじめアジア、東南アジア諸国に派兵し、筆舌に尽くせない惨害をもたらした時代をも経験しております。日中国交正常化を果敢に果たした田中角栄元首相は、この歴史的教訓を踏まえ、「戦争を知っている奴が世の中の中心である限り日本は安全だ。戦争を知らない奴が出てきて日本の中核になった時、怖いな。しかし勉強してもらえばいいやな」と語っていることが、自民党の有力政治家の回顧録でも記されております。そこで平和都市宣言を採択し、アジアをはじめ世界に七つの姉妹都市を持つ本市として、本年5月に姉妹都市文化祭を開催する機会に、自治体の平和構築への責務に立った平和スピーチを謳い上げられるよう提案いたします。市長のご所見をお聞かせください。
戦後80年・平和都市宣言40年記念事業「ヒロシマ原爆・平和展in金沢」予算計上されております。12月に我が会派坂本順子議員に答え、毎年開催してきた原爆と人間展を充実させるとされました。開催への準備状況とその詳細、内容で、特段に意を用いていく点についてご説明を願います。併せて、80周年を期に戦争体験継承と子どもたちを平和の担い手として育む上で意味がある被爆地広島、長崎或いは沖縄への中学校、修学旅行や少年訪問団派遣事業の検討を始めてはいかがかと思います。併せてご所見を伺います。
村山 卓市長:世界の恒久平和、核なき平和、核なき世界の実現は人類すべての願いであります。広島、長崎のような惨禍が二度と繰り返されないよう、不断の努力を重ねていかなければならないと思っています。今年は戦後80年であり、本市にとっては平和都市宣言40年の節目の年でありますことから。毎年開催している原爆と人間展の展示ポスターを充実するほか、8月には広島原爆平和展イン金沢を開催する予定であり、改めて平和の尊さ、戦争の悲惨さを広く市民に伝えていきたいと考えております。
姉妹都市文化祭については、市民の皆様が本市の七つの姉妹都市に対して一層親しみ、都市への理解と地域における国際交流が深まる機会となるよう、本年5月17日の開催に向けて準備を進めております。会場となる姉妹都市公園には、本市の平和都市宣言碑が設置されているところでありますが、姉妹都市交流は歴史や文化の異なる国の市民が互いを尊重し、交流を通して理解し合うことに意義があります。その取り組み自体が世界平和にも資するものと捉えております。
広島原爆平和展in金沢の詳細につきましては。え、現在、金沢市遺族連合会や広島平和記念資料館など関係機関との調整を進めているところであります。え、写真パネルや被災資料の展示、被爆体験者の講話、体験手記の朗読のほか、新たにVR技術を活用した映像体験を行う予定であります。え、戦後80年が経過し、被爆者の高齢化、被爆体験の風化が懸念される中で、被爆当時の状況を聞き、体験することで、戦争と核兵器の恐ろしさ、平和の大切さ、そして命の尊さを考える機会にしたいと考えております。
現在、子どもの国内研修として金沢少年の翼を実施しております。この研修は青少年活動団体のリーダー研修として位置づけられております。派遣研修の行き先については、その団体で構成された実行委員会が決定するものであります。過去には知覧特攻平和会館を訪問したことがあります。実行委員会に対しましては、平和の尊さや命の大切さを学ぶといった視点について提案してまいります。
野口 弘教育長:はじめに、本市立中学校における広島長崎などへの修学旅行についてのご質問からお答えをいたします。修学旅行につきましては。日常とは異なる生活環境で見聞を広め、自然や文化などに親しんだり、集団生活のあり方や公衆道徳について望ましい体験を存在することに教育的意義や目的があり、平和教育の機会にすることも十分に価値があることだと考えております。学校長が修学旅行を決定するにあたり、改めて、修学旅行の教育的意義や目標、目的に鑑み、平和教育の充実に資する機会とできないか、校長会議等で伝えていきたいと考えております。
4.ノーマライゼーションプラン改定のためのアンケート調査に当たって
質問の四項目は、ノーマライゼーションプラン改定のためのアンケート調査にあたってご質問いたします。現行の第五次金沢市障害者計画ノーマライゼーションプラン金沢2021改定を二年後に控え、予算案に障害のある人へのアンケート調査費が計上されました。本プランでは、親なきあと、災害時の不安の解消、地域生活支援拠点推進事業の充実、社会モデルの考え方に基づく差別の解消と合理的配慮の促進、年齢や障害のあるなしにかかわらず、安心して暮らせる共生社会の実現、医療的ケアの支援など障害のある児童への支援強化を重点施策としております。次期改定にあたっても、差別と偏見を払拭し、共に生きられるインクルーシブな社会を目指す基本的な方向性は堅持されるものと思います。
私がとりわけ当事者や家族から切実にお聞きするのが地域生活支援事業における移動支援のサービス拡充、自立支援給付における重度訪問介護事業の一層の活用です。両事業の運用における課題については、機会を改めて質問させていただきますが。改定のエビデンスとなるアンケート調査ですから、当事者等の意見をできるだけ生活実態に即して把握しなければなりません。懸案となっている福祉医療助成制度の精神二級手帳所持者への拡充に関し、石川県が当事者が提案した生活実態調査事項を取り入れてアンケートを実施し、現在も課題の検討を続けています。当事者の何らかの参画参加を含め、生活実態に即してニーズを把握するための調査のあり方についてお考えを伺います。
村山 卓市長:本市では、これまでも障害者施策の基本的方向を定めるノーマライゼーションプラン金沢の策定に先立ちまして、障害のある人やその家族、事業所等に対してアンケート調査を行ってきております。令和8年度の次期プランの策定にあたりましても、当事者の意見やニーズを生活実態に即して把握できるよう、明年度金沢市障害者政策推進協議会において、内容や実施方法、対象者等を十分に検討し、調査を実施する予定であります。
5.障害者雇用について
森 一敏議員:質問の第5は、障害者雇用についてです。障害のある人の就労支援について、訓練等給付費として49億円弱の予算が改善されております。この障害者就労に関し、衝撃的な行動がありました。昨年秋に大きく報じられたのが、3月から半年間で障害者解雇が全国で少なくとも4279人も発生しているということでした。その要因は、雇用契約を結ぶ就労継続支援A型事業所の閉鎖になる。誘因は、国が事業所への報酬額を生産活動収支重視へと改定したことから、多くの事業所で減額改定となり、赤字経営に陥ったことにありました。今後もさらに廃業するA型事業所が増え、福祉的就労であるB型事業所に移るか、あるいは失業者が拡大する恐れがあるとあるA型事業所の経営者は厳しい見通しを語っております。国には減額改定の検証と障害者就労支援事業の立て直しを強く求めるものです。本市にも報酬の減額改定の影響が及んでいるのか、実態把握の状況と市長の問題意識について伺います。
先日、私は障害者雇用促進法に基づく特例子会社であるふぁみーゆツダコマを視察させていただきました。本市のテクノパークに進出している横川電機の特例子会社横河ファウンドリーを武蔵野市に視察して以来、18年ぶりに本市で経営されている特例子会社の現場に大きく触発をされました。先端技術織機の生産ラインに直結する部品調整の作業ブースに12人の知的、身体障害のある方々が会社設立から14年間就労している方を含め、やりがいを持って快活に労働に勤しんでおられました。それを可能にする視覚に働きかける作業工程の工夫が随所に蓄積されておりました。失敗の許されない部品の調整という基幹的な仕事をこうすればできるという確固とした信念と、他社での特例子会社設立を支援したいとの思いが、事業在籍型職場適用援助者の課長からひしと伝わってまいりました。こうした障害者雇用特例子会社が全国に614社設立されている中で、富山県6社、福井県1社、石川県内には生活協同組合と、このふぁみーるツダコマしかない現状に北陸での立ち遅れを痛感いたします。障害のある人の一般就労と地域経済をつなぐ特例子会社の設立を障害者の就労支援の一環として、民間企業等に働きかけ、意思疎通を進める取り組みを県市連携で進めてはいかがでしょう。私の提案に対する市長のご所見を伺います。
村山 卓市長:障害者雇用につきましては、障害のある人が安心して働ける環境を整備し、適切な就労支援を行うことが行政の役割と認識しております。本市では、事業所の経営改善を図るために、令和4年度から経営支援のためのアドバイザー派遣を行っているほか、4年度からは就労支援事業所向けにICT機器等の導入を支援することで、障害者の従事可能な担当業務の拡大を図ることとしております。今後も、障害のある人が希望する場所で、希望する働き方を実現するための就労の場の整備に引き続き努めてまいります。
山口和俊福祉健康局長:A型就労継続支援事業所の報酬改定の本市への影響と実態につきましてお尋ねがございました。本市の就労継続支援A型事業所につきましては、報酬改定の影響で廃止したと考えられる事業所が二カ所ありましたほか、A型を廃止し、B型へ事業移行したところが一カ所、A型の定員を減らしたところが一か所ございました。
一方、新規開設や定員の増を行った事業所が三か所ありましたことから、全体の利用定員数の変化はございませんが、A型事業所の廃止や事業移行などによりまして、影響を受けた方が50名程度いることを把握しており、移行したB型事業所での継続就労や他のA型事業所での再就職、ハローワークとの連携による一般就労など、きめ細かなフォローを行っているところでございます。以上です。
村山 卓市長:障害者雇用促進法におけるに基づく特例子会社につきましては、親会社である事業主が障害のある方の雇用に特別に配慮し、雇用促進や職場定着を目的として設立した子会社であります。本市には、従業員数が40人未満で、障害者雇用率の影響を受けない中小企業が数多くあること、また、ええ企業が直接障害のある方を雇用する場合もあることから、現状では、ええ設立に向けた取り組みが進んでいないと認識しております。
今後、国で障害者雇用率の引き上げが予定されております。ええ、企業側にとっても、障害のある方の雇用について関心が高まると想定しております。本市におきましても、障害のある方の就労支援は大切であります。特例子会社設立の促進に向けて、ええ県と情報の交換を図りながら。どのようなことができるか研究してまいりたいと思っています。
6.中小企業・小規模企業振興条例の制定検討について
森 一敏議員:質問の第6項は中小企業・小規模企業振興条例の制定検討についています。金沢市において、企業規模の9割を占めるとされる中小企業と小規模企業の振興を図ろうとする条例の制定に向けた検討費が計上されました。私も条例制定を提言したものの一人として、賛同の意思を表明いたします。この間、同条例制定を求める質問・意見に対し、ものづくり条例の存在や各種中小企業支援施策が講じられていることから、制定は考えていないとしてきました。それが、条例制定の検討へと姿勢を転じた理由と、検討を始める中小企業・小規模企業振興条例のビジョンをどう描いておられるのかお聞かせください。
これに関連し、制定を求めてきた公契約条例についても検討に加えていただきたいと思います。依然として価格転嫁が難しい物価高騰と労働者の所得補償、人手不足への対応として公契約が下支えする必要性は高まっていると思うからです。全国的にもじわじわと普及している公契約条例の制定検討も併せて行っていくことに対し、市長のご所見を伺います。
村山 卓市長:中小企業小規模企業振興条例につきまして、令和元年度に議論された際には、ものづくり基本条例をすでに制定していたことに加え、新産業創出ビジョンや働き方改革プランなど、さまざまな計画に基づいて中小企業に対する具体的な政策を行っていたこともあり、条例を制定する必要まではないとの結論に至りました。一方で、近年、物価高騰や労働力不足など中小企業を取り巻く環境は一層厳しさを増してきております。ほか、本年度のものづくり戦略会議におきましても、ものづくり企業だけでなく、広く中小企業全般に対する支援を求める意見が多く見られましたことから、条例の制定に向けて検討を進めることといたしました。 本市では、個性豊かで高い技術力を有する中小企業により、多彩な産業が構成されております。卸売業と連関することで地域経済の活性化が図られておりますほか、地域コミュニティに基づいた多様な商店街はにぎわい創出にも寄与しておるところであります。こうした特徴特色を条例に盛り込んでいきたいと考えております。
公契約条例の制定については、労働条件に法令法律の定めなくして自治体が介入することへの法的な課題のほかに、ええ、すでに設定している自治体の中でも、対象工事や業務の範囲に違いがあること、労働者の給与水準にも格差が見られることなど課題があると捉えております。本来的には、労働者の雇用条件は、労働基準法や最低賃金法をはじめとする法令で定められておりますことから、まずは、国において公契約に関する基本法の整備を行い、その上で自治体が条例として具体的な事項を定めていくのが望ましいと考えております。
7.下水道ウォーターPPPの導入について
森 一敏議員:質問の第7は、下水道ウォーターPPPの導入についてです。本市企業局は、この下水道ウォーターPPPの導入について、今年度予算で、2780万円を投じてコンサルタント会社に委託の上、導入の可能性を調査してきました。これが次年度予算案では、下水道施設ウォーター導入準備事業費1600万円の計上となっております。その内容は、西部・臨界処理区の処理場とポンプ場で更新支援型維持管理包括委託を導入するものです。
その内容以前の問題として、導入可能性調査の結果がいまだに所管の常任委員会にも報告されないまま、次年度予算に導入のための経費が計上されたことには納得がいきません。可能性調査の結果をどう評価するのかを飛び越えて、事業導入を議論することはできません。昨年度も一般会計から65億円の繰り出しを認め。98%の普及率を誇る面的整備網を維持し、耐震化と災害復旧にも取り組んできた、まさに市民のための社会的共通資本です。こうした展開はあまりにも議会、市民の軽視ではありませんか。公営企業管理者の見解を求めます。
市長に伺います。市長、公営企業管理者はともに昨年12月の答弁で、コンセッション方式は考えていないと答弁をなさっています。しかし、内閣府はウォーターPPPについて、公共施設等運営事業、いわゆる運営権を売却するコンセッションのほか、コンセッションに段階的に移行するための官民連携方式として、長期契約で管理と方針を一体的にマネージメントする方式と説明しているんです。公営企業管理者は、昨年12月の公式答弁で、令和9年度以降、下水道事業におけるウォーターPPPの導入が汚水管改築事業における国の交付金の要件となると、可能性調査を行う理由を説明しています。そうであれば、自治事務に対する財政を盾に取った介入ではありませんか。こうした財政的締め付けによる国策誘導に対し抗議し、自治体の下水道整備の維持更新のために国は責務を果たして、法的な財源で支援するべきだと声を上げるのが地方分権であり、首長の市民への責務ではありませんか。本予算案への導入準備費計上の経過への認識と併せ、市長のご所見を伺います。
松田滋人公営企業管理者:下水道ウォーターPPP導入可能性調査の結果につきましてお尋ねございました。今年度実施しました導入可能性調査は、対象施設や導入手法等の検討を行うための調査でありまして、検討内容に基づき、明年度予算編成過程の中で、西部、臨海処理区の下水道施設を対象として、現行の包括委託レベル3.0から、更新支援型包括委託レベルの3.5の導入を進めることとし、当初予算に準備経費を計上し、今議会にお図りしているところでございます。また、今年度末に改定する企業局経営戦略におきましても、令和10年度からの導入を盛り込んでおり、先月末に開催した経営戦略推進委員会での審議を経て、本議会の建設企業常任委員会で報告することとしております。以上でございます。
村山 卓市長:令和9年度以降の汚水管改築事業への国費支援の要件となるウォーターPPPにつきましては、全国市長会や中核市市長会を通じまして、現行の下水道事業運営に支障をきたすことがないよう、地方公共団体の取り組み状況を踏まえつつ、要件の緩和を含め柔軟に対応することや、下水道施設の改築に係る国費支援の拡充を要望しております。引き続き、国の動向等を注視するとともに、国に対して、全国市長会や中核市長会などを通じて要望してまいりたいと思っています。
今年度の予算編成過程の中で、西部臨海処理区の下水道施設を対象とした更新支援型維持管理包括委託の導入に関して、事業局から説明を受けた上で、当初予算に準備費用を計上し、本議会にお諮りしたところであります。ええ、先月末に開催した学識経験者や市民団体等で構成する経営戦略推進委員会での審議を経て、本議会の常任委員会で報告する予定であります。手続き上、特に問題はないとえ捉えております。私からは以上です。
8.学びの多様化学校の設置について 市民のつぶやきを含め
森 一敏議員:最後の質問は、学びの多様化学校の設置に関してです。市民のつぶやきを含めてお伺いいたします。
今春、石川県が公設夜間中学校あすなろ中学校を開設します。他県に例のある不登校等の学齢中学生は対象とはしておりません。その意味で、金沢市が設置する学びの多様化学校は、不登校特例校として対になる存在だと思われます。現時点で、あすなろ中学校の開設、開校と、学びの多様化学校開設準備において、石川県教育委員会とどのような連携が進められてきたでしょうか。
次に、本市の学びの多様化学校の検討において、そのビジョンと明確になってきた課題についてお示しください。ここで市民のつぶやきから伺います。それは学びの多様化学校、今春より設置が始まる別室登校児童生徒などのための校内教育支援センターが新たな分離教育の場とならないかとの懸念です。不登校児童生徒の急増をめぐる諸問題に関し、9月定例月議会で踏み込んだ議論をさせていただきました。地域の学校に自らの居場所を見出せなくなった子どもたちが、不登校対策や特別支援教育を理由に学校から押し出された結果ではないのか。地域の学校こそが変わらねばならないのではないかとの問いでありました。
市民のつぶやきにある懸念に応える学びの多様化学校は可能か、一般教育制度との位置づけはどのようなものにするべきか。インクルーシブな社会の到来を切望する市民に向けて、虚心坦懐にご所見を述べていただきたいと思います。
野口 弘教育長:あすなろ中学校の開校と学びの多様化学校開設準備において、石川県教育委員会等の連携についてのご質問にお答えいたします。夜間中学校の開校につきましては、これまで、石川県教育委員会とも問題意識を共有してきており、その中で夜間中学校への通学を希望する方が県内全域にわたると考えられたことなどから、石川県において開校することとなりました。
一方不登校児童生徒への対応は県内各市町の課題であり、本市におきましても不登校に関する課題を主体的に捉え、学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校を設置することが望ましいか、検討を重ねてきたところでございます。これまでも県教育委員会とは情報共有に努めており、両年度、学びの多様化学校の設置にかかる基本構想の作成過程におきましても、石川県教育委員会との連携を十分に図りながら、子どもにとって必要な学習環境の整備に取り組んでいきたいと考えております。本市の学びの多様化学校の検討における課題等についてもご質問がございました。学びの多様化学校設置検討委員会からは、学びの多様化学校を設置するにあたり、講師等の検討、教育課程等の工夫、関係機関との連携、立地環境の検討、施設や設備の充実、人材の確保、不登校児童生徒やその保護者等の実態把握等に留意して、さらに議論を深めることが必要であるとの答申を受けており、今後、教育委員会におきまして、答申に示された検討課題を踏まえ基本構想の策定に着手してまいります。
次に、学びの多様化学校、校内教育支援センターが新たな分離教育の場とならないかとのご懸念がありました。学びの多様化学校は、不登校児童生徒の思いを十分に尊重しながら、個々の状況に応じた柔軟な支援を行うことを目的といたしております。また、校内教育支援センターは児童生徒が学校には行けるが、自分の教室には入らないときは、少しの時間でも、学校へ登校し過ごしたい時などに利用できる児童生徒の居場所となることを目的としております。どちらも児童生徒の意思に寄り添いながら、一人一人のスペースに合わせた学習支援や相談活動等を行い、児童生徒の気持ちに応える多様な学びとしての役割を担うことを目的しており、仰せの分離教育の場とはならないのではないかと考えております。
最後になりますが、こうしたご懸念にされていることに応える学びの多様化学校の設置は可能か、またこの学校の位置づけはどうなのかということについてのご質問がございました。学びの多様化学校は、本来通うべき小中学校に様々な理由から通うことができない児童生徒の社会的自立や学力の保障と目的に開設するものであります。市立小中学校と同様に、互いの違いを認め合い、人権と人権と尊厳を尊重することを普遍のものとし、通学する児童生徒や保護者の思いを大切にしながら、特別な教育課程の編成等について検討し、児童生徒の実態に応じた教育に取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。
森 一敏議員:質問の終わりに長年にわたりまして、本市の市政、そして市民自治を支えてこられました退職をなさる職員の皆様には深く感謝を申し上げる次第です。今後ともご健勝で、高所大所から本市市政をお支えいただきますことを、私からもお願いをいたしまして、代表質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
◪議会議案(意見書等)の動向と結果
ー追って追加ー