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森一敏
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 B 市立スニーカースティン国民学校(Snekkersten Skole)
 
 4月21日午前晴れ
【学校の概要】(就任3年目のギッテ・グローダンク校長の説明より)
 市内の国民学校には5校規模の小さい学校があるが、本校はその内の一つで、1年生から6年生までの学校である。幼稚園組から1年生〜6年生で生徒数は180人、小さいクラスは17人学級、多いクラスは27人学級である。先生の目が行き届くと保護者に人気があり、地域外からの通学生徒もいる。
 教員は10人で内男性は2人、30代から40人が4人、それ以上が6人の構成である。校長と副校長が一人ずつで、副校長は授業を半分担当している。他に校長秘書1人とパートの校務士2人計15人の職員体制である。
ー子どもたちの日課ー 
 子どもたちは月曜から金曜まで学校に通う。日課は、
8:00 登校
10:00 中休みで間食タイム
11:30、12:45,13:00、13:30が学年毎の下校時刻である。
ー教科ー
 低学年は45分単位で週20時間、高学年は週28時間の授業時間である。
 科目は、国語デンマーク語、数学、宗教、美術、音楽、体育、週1のホームルームでクラスの問題、社会の問題を取り扱ったり、楽しく過ごす行事などを行う。高学年になると、歴史、英語、工作、家庭、水泳、自然科学、技術が加わる。
 来年度の2004年8月からは、科目を「人文」「自然科学・技術」「技能」3つの大きな枠にまとめた教育にとりくむことにしている。
 授業は教科担任制。クラスでついていけない子には指導員がつく。学年の壁を越えた例えば1〜3年生に4人の教員がつくというような指導も考えている。
 将来の試みとして、来年度は、年間200日学校に通う中の6週間、クラス毎の活動とクラスを超えた活動を、6週の内3週間は全校合同で、残り3週間は低学年、高学年くくりで活動する。そのテーマは、
     1.体と健康と健康食 2.スニーカースティンの歴史
     3.創造的な数学(ワークショップ)、 4.アンデルセン生誕200年 
     5.森 6.外国 そして最後に全校的なパーティーで締めくくる。
そんな計画である。
ー学校運営についてー
 国からは国民学校法にもとづき授業日数、時数が示される。市の青少年委員会からは市の大枠の目標が示される。それにもとづきながら、各学校の理事会が学校の方針を決定する。
 理事会は、7人の保護者代表(保護者会から選出)、2人の教職員代表、2人の生徒代表(6年生の生徒会代表)、校長と副校長で構成されており、管理者二人は議決権のないオブザーバーとして参加し、事務局の役割を務めている。校長は理事会に学校運営や教育方針について提案し、理事会の承認の下、年間行動計画書を市議会へ提出する。
 理事会では教職員の問題や個別の生徒の問題は取り扱わない。職員の雇用の決定は校長の権限である。
 生徒会はデンマークで一般的である。各クラスから2人のクラス委員が選出される。生徒会にはアドバイスの教員がつき、年5〜6回開催される。
ー学校教育目標ー
 中心に一人ひとりの生徒をおく。子ども、保護者、教師、管理者が密接に対話し、教育学的、人格的、社会的な発展を学校の中で伸ばしていく。よって生徒たちは、必要十分な知識・技量を身につけ、一般的人格形成、暖かい人間愛を育む、安心感を得、理解力、創造力を刺激、発展させる。また、民主主義の原則を学び、忍耐、包容力、人権について学ぶ。
 学校は人間形成の場であり、重視しているのは、個性、共同生活、相手を理解し尊敬する包容力、安心感、自己開発、好奇心、伝統である。これらを実際に育てていくために、協力して具体化していかなければならない。
ー実 践ー 
 そのため、演劇活動を通じて教育効果を高めている。包容力を伸ばすためにはいじめ防止の対策を重視しており、行動計画(Mobbepolitik)を策定して実践している。また、安心感を醸成するために、幼稚園組の児童を6年生が案内したり世話をしたりする。民主主義の原則を学ぶために、学校の教育環境に関するアンケート調査を実施した。物的、精神的、美的観点から53項目のアンケート項目に子どもたちが回答した。例えば学校が楽しいか、いじめられるか、勉強はおもしろいかといった。
 全生徒の回答を統計化した結果、98%の生徒が学校は楽しいと回答した。精神面でのマイナーの一つは「休み時間に大人が少ない」であった。物的なマイナーは「専門教室の状況がよくない」であった。これには、すぐに設備の改善を行った。教職員の間ですべてのマイナーについてよく話し合い、改善した。本校に9年生までおれば、生徒も話し合いに加わるところだ。これらをまとめ、報告書ををつくって全保護者に報告した。
 子どもたちの内面の成長を支え、促すため、国からの提起を受けて「悲しみ対処計画」(悲しみに共感し、どう乗り越えるか Sorgplan2003)を立案し、実践している。
 これらの計画、資料、報告はホームページに掲載している。
ー保護者との協力ー
 学校行事には家族全員が参加する。クラスの保護者会は年に2回、個人面談も年2回である。その他いくつかの行事があり、メールやホームページを利用していつでも校長と意見交換できる。
ーその他ー
 学校の敷地内に学童保育施設が設置されている。特別学級も設置している。本校で6年生を終了した生徒は、隣の少し大きい国民学校に7年生として進級する。

【質 疑】
Q:生徒たちは遅い子でも13:30には下校するが、下校後の子どもたちはどう過ごすのか、また教職員は何をしているのか。
A:子どもたちは学童保育で17:00まで過ごす。教職員は授業の準備や会議など。
Q:先ほどの6週間の活動について、振り分けはどうか。
A:歴史、アンデルセン、外国は全体で実施し、その他は幼稚園組から3年生までと4年生から6年生までとに分かれて実施する。
Q:性教育は入っているか。
A:特に性教育は入っていない。日常の教育活動で行っているし、市の保健師が支援してくれる。
Q:行動計画に理事会で異論が出た場合はどうするのか。
A:理事会に提案されるまでにも教職員との対話が繰り返されているし、理事会で意見が出たら修正し、最終案を提案する。校長と理事会との間のパートナーシップが重要である。
Q:学童保育はフリーか、登録制か。
A:登録制である。保護者が申請し、有料(3分の一負担)である。
Q:市の社会教育機関はあるのか。
A:市のクラブとして、音楽教室、スポーツクラブなど多くある。他校の生徒たちと一緒に活動している。
Q:PTAの役割は。
A:宿泊キャンプは50クローネの保護者負担がある。ケーキ、お茶は持参する。
Q:日本ではセキュリティ対策が問題になっているが、本校ではどうか。
A:デンマークでは聞かない。
Q:職員集団との討議を大切にしているか。
A:協力委員会からの提起や職員からの提起を受けて話し合っている。
Q:授業の内容について年間カリキュラムや教科書を保護者に伝えているのか。
A:教師によって計画が異なるが保護者には伝えられている。計画は国のガイドラインにもとづいている。新政権になってから、これまで自由すぎてはいなかったかとの批判があり、目標到達テストが入り始めている。
Q:国全体としての原則はどうなっているのか。
A:国民学校法改正の動きがあるが、毎年文部省から細かな指示はない。
Q:教員の授業持ち時間数は何時間か。
A:担任は週24時間、専科は週26時間。
Q:PTAとの関わりはどうか。地域との関わりはどうか。
A:PTA主催の行事はない。クラスの保護者会としての行事はある。地域との関わりは特にない。
Q:年間予算と人件費はいくらか。
A:年650万クローネ。内500万クローネが給与、50万クローネが教材や活動費に充てられる。
Q:教職員の休暇は何日か。
A:子どもたちと同じで200日が出勤で、あとは休暇でフリーである。
Q:出席簿はどうなっているか。
A:アルファベット順で、混合名簿である。担任が一日一回確認している。
Q:音楽、美術の時間は何時間か。
A:体育も含め低学年では週4〜6時間、高学年では8時間である。
Q:定住外国人の子どもの教育が課題だと聞いているが。
A:この地域では労働移民の子は一人で、例外的に少ない。普通は15%程いる。人権をテーマにした教育の中でとりくんでいる。
Q:校則はあるのか。
A:校長が判断する。
Q:子どもたちの健康診断はどうなっているか。
A:保健室はない。市の校務医と保健師が必要に応じて個人対応する。6年間に3度ほど検診機会ある。

【授業の参観】
 楽しみにしていた授業参観は、1年生の国語、6年生の英語、5年生女子の美術の時間であった。
 1年生の国語の時間は、教師が板書した単語の一つひとつの文字から自由に思い浮かぶ言葉を子どもたちが発言し、黒板に書き連ねていく授業であった。板書には大きく「ようこそ」の文字が書かれていて、子どもたちみんな歓迎してくれた。担任はベテランの教師で、挙手する子どもたちを指名して授業を進めていた。特に表情豊かに子どもたちに言葉かけするという感じではなく、ゆっくり淡々とすすめるという感じであった。子どもたちは25人ほどであったと思う。元になる単語はこの時間一つが取り上げられ、子どもたちによってたくさんの単語が結びつけられていったが、中には全く関係のないような塗り絵に興じている子もいるのだが、教師はさして気にすることもなく授業は進むのであった。日本の一般的な価値観とはちがい、授業は学習の機会提供であって、成果は長いスパンで表れるという感覚と見うけられた。何人かの子どもたちは、教室を出るわたしたちを追いかけてきて、自分で作った紙の作品を手渡してくれた。

 中庭に出ると、高学年らしき男子生徒たちが、校舎を写生していた。落ち着いた静かな雰囲気である。
 6年生の教室では、やはり25人ほどの子どもたちが英語で書いた復活祭の休日の生活作文を発表し、その中の筆記の誤りを互いに指摘し合う授業が行われていた。筆記とヒアリング力を同時に高めようとする工夫を施した授業であると感じた。ヨーロッパ諸国はEUへの統合をすすめているが、共通言語としての英語が重視されているのであろう。この授業風景は、始まる小中一貫英語教育での金沢の教室風景になるのだろうか。ここでも、ドリル教材をめくって独自の勉強?に励む生徒が何人か見受けられたが、そんなことは意に介せずの担任の様子だった。

 最後に参加した美術の授業は、美術館で鑑賞してきたピカソの作品を視写する活動であった。こぢんまりとした5年生女子の学習集団は、掲示板に貼られたモデル画1枚を見つめ、一生懸命に筆を走らせていた。一点集中に意味を持たせているのだろうか。子どもたちが持っている筆入れは、自作のものだそうだ。この男女別の授業は、意外な感じだったが、男子は体育の時間であった。体育の後は、シャワーを浴びることになっていて、そのために美術と分けて実施しているということだった。一学級の少人数、休み時間の間食、そして体育後のシャワー、子どもを一個の人格と考え、その人権を大切にするという基本的な理念が徹底されている。この学校では気がつかなかったが、デンマークの学校には生徒のための喫煙が設けられているそうだ。喫煙に法的な規制がどうなっているのか分からないが、薬物に関する学習もなされ、学んだら後は自己判断なのだろう。それで生徒みんなが喫煙に走るということにはならないに違いない。金沢の学校敷地内全面禁煙(もちろん子どもは想定外)の発想とは正反対だ。

 参観を通して感じたのは、静けさ、落ち着いた雰囲気であった。緊張したぴりぴりした雰囲気ではない。駆り立てる中での活発な授業というものとはほど遠い、ゆったりとした授業風景である。金沢で一般化してきた1時間の授業を徹底的に吟味し、発問や指名の細かな技術を錬磨する、子どもたちが活発に発言するようになるための動機付けやクラスづくりといったものには余り意を注いでいないようだ。9年間にほとんど試験がないというのもそうだが、子どもの成長を「熟成」という長いものさしでとらえていて、そのために必要な学習機会(教材も含めて)を用意するのが教師の仕事という考えではないか。私にはそれが好ましく感じられるのだ。「個の確立」を本気で目指すのなら、日本の学校教育、社会の常識を大きく見直す必要があると、つくづく思う。
 教職員と同様、特にアジアの客人を珍しがる風でもなく、それでいてフレンドリーな子どもたちとの交流を楽しむことができ、うれしいひとときだった。




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