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森一敏
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 D 小島ブンゴード孝子さんのレクチャー

 4月21日夜
 この日は過密スケジュール最高潮である。30年間デンマークに住み、妻、嫁、母、そして福祉研究者兼通訳事業者として生活してきた小島ブンゴード孝子さんから、視察の全体テーマについて講義を受けた。我々の視察をコーディネートし、通訳として行程を共にしてきたブンゴードさんだが、疲れなど全く感じさせない。

【講義概要】
ー教 育ー

 デンマークは生涯教育が充実し、教育においても「ゆりかごから墓場まで」である。
 社会システムとしては、1歳から教育は始まる。これまで保育士と呼ばれてきたが、私は幼児教教育者と呼びたい。
 デンマークでは、遊びの中で学ぶということが重視され、計画的に遊びが構成されている。そこから情緒、社会性、体力が身に付いていく。日本ではけがに対して過剰に反応するようになったが、けがは家庭でも起こりうること。けがから学ぶことが重要である。日本の親たちの意識では子どもが可愛そう。その子の今に必要な遊びを保障しなければ。
 森の幼稚園、自然幼稚園というものまである。一日中遊んで過ごす。森の管理人も心得ている。体力、創造力が育つ。
 私自身、日本から来たときは、こんなのんきにやられてどうなるのだろうかと心配した。4年生になっても九九は表を見ながらやっている。しかし、振り返ってみると良かった。今の日本に欠けているものがある。子どもたちは早く自分探しをするようになるのである。それを周りも支援する。つまり自立が早い。子離れしたくないのに、親離れしていく。老齢にはいっても自立している。考えれば日本にもかつてそんな時代があった。
 我が子は小学校6年生で自分の進路を考え始めた。学校には進路指導員の先生がいるが、進路指導は単に進学指導ではない。「人生の道」を考える指導である。全校生徒の進路を指導し、相談を受ける。子ども一人ひとりが自分の生育歴に関する分厚いファイルをつくっている。自分にとって良いもの、得意なもの、自分をアピールできるものをためていくのである。それは自信につながっていく。デンマーク社会には学力はボリュウムではないという学力観がある。数量評価ではなく、プラス面を評価することが次の学びの意欲を生むと考えているのである。
 そうして9年生になると、自分で一週間の職場労働体験を行う。職場は自分で探してくるのである。
 学校時代は受験がなく、時間があるので、皆アルバイトをする。それで、早くから金銭感覚がついてくる。
 デンマークの教師と話していると、日本ではクラスで30人から40人の指導をしていると言うと、「信じられない。」言われる。せいぜい25人までである。そうでないと一人ひとりの成長を見ていけないのである。
 性教育でも、ありのままを伝え、判断力をつけるようにする。中学生ぐらいならすべてを伝える。

ー社会の価値観についてー

 基本的には職人気質(クラフトマンシップ)が残っている。大学進学率は低い。大学は国立の6大学しかない。それで十分なのである。受験はないので入りやすいが、卒業が難しい。それまでの間、自活し、苦学生として暮らさなければならない。そこまでして大学に行こうとする者は、資格取得などよほどのはっきりした学ぶ目的を持っている者ということである。
 但し入学費、授業料は無料で、月4万円から7万5千円ほどの生活費が支給される。親の仕送りなど「若者の恥」と受けとめられている。親にはどうしてものときだけ「貸して」とお願いする。こうしてあっという間に親離れしていく。
ー高負担高福祉に関してー
 確かにたくさんとられるが、必要な社会サービスには事欠かない。税金は国民総背番号制でガラス張りになっている。住基ネットが日本で問題になっているというが、民主主義の度合いや政府への信頼感に大きな違いがあるのではないか。
 失業率は5%である。この国の算出では、この数字はほぼ完全就職できているという数字である。しかし、若者にとっては、退職補充のために正規就労までに時間がかかるという厳しい面はある。
ー高齢者福祉についてー
 具体的に高負担の中味は、所得税が平均50%、もちろん累進制は最高税率70%程度である。法人税は30%、付加価値税(日本で言う消費税)が25%、自動車など特定品目にはさらに25%の消費税がかかる。教育は、大学まで無料、医療費は無料、18歳まで月一人あたり1万数千円給付などの福祉サービスが受けられる。これらは、必ずしも公平負担公平享受ではない。払うことの多い人と貰うことの多い人の違いができる。しかし、デンマーク社会には、長年の歴史の中で連帯の精神(ソリダリティ)があり、受給サービスは不公平でもそれを不公平とは言わない。必要な人に必要なサービスが提供される社会を連帯してつくり支えているという考え方がされているのである。
ー福祉政策の基本的仕組みー
 基本となる国の法律にもとづき、国が医療福祉を県連盟と契約し県連盟が事業を行う。高齢者介護福祉は、国が市町村連盟(271自治体)と契約して、市町村連盟が事業を行う。県と市町村は役割分担をしているだけで、対等である。

ー「福祉の国」への歴史経過ー

 デンマークは19世紀に大きなターニングポイントを曲がった。1849年民主憲法制定、1864年にプロシャに敗戦、ほとんどの農地を失う。「外で失ったものは内からとりもどせ」人的資源を伸ばすことしかない、まずは教育だ。活路はそこにと考えた。『後世への最大遺物 デンマルク国の話』(岩波文庫)に内村鑑三が紹介している。
 1930年代には早くも公共福祉の制度がつくられた。第2次世界戦争ではナチス占領下に入ったが、抵抗しなかったのが幸いして人、物は破壊されずにすんだ。他国に比べればいち早いスタートが切れた。
 1960年代の高度成長では労働力不足が生じた。女性の社会進出がどうしても必要になった。その条件整備が社会福祉制度の整備であった。
 1970年代、オイルショックで経済は大打撃を受けた。ここでも女性は家計を支えた。コスト削減のため、施設ケアから在宅・地域ケアへと移行を始める。
 この流れの中で3原則「自己決定権」「継続性」「残存能力活用」(自助支援 必要以上のサービスは行わない)を確立してきた。
 1990年代以降、革命的なともいえる統合介護システムへの移行が始まった。かつてケアホーム(プライエム)などナーシングホームと呼ばれてきた施設入居者も、(施設における)在宅介護と見なす考え方である。多機能化し、地域へ開放する。施設職員という存在はなくなる。多目的統合福祉センターとし、介護と看護の統合をはかる。ここでは、看護士2人と10数名のヘルパーがチームをつくり、地域を担当する。このエルシノアでは、その構想に市民からのヒアリングを重ねて10年を要している。市民主体・市民参画の計画である。
ー若干デンマークの経済について(質疑の中で)ー
 デンマークの経済基盤としては、あまり大きな企業はない。農牧畜業に加えて、どちらかというと世界的な大企業がやらないような隙間産業に進出し、創造性を発揮して経済不況を乗り切ってきた。輸出により外貨も獲得している。


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