1.冒頭質疑として、平成16年度金沢市中期財政計画と提出議案に対し以下三点を市長および関係部長にお伺いします。
(1)一点目に、時点修正された金沢市中期財政計画では、来年度からの繰り上げ償還額をさらに5億円上乗せして30億円とし、向こう5年間の財政の健全化を図るとしています。そのために行われる経常的公共事業のさらなる圧縮、重要既定計画事業の年度間調整整が市民生活に悪影響を及ぼすことはありませんか。
(2)二点目に、議案第1号一般会計補正予算案に道路新設改良事業、交通安全施設整備事業として歩道の段差解消などのバリアフリー化事業が計上されています。事業の実施により、市道のバリアフリーの進捗率は何%程度となるのでしょうか。
(3)三点目に、報告第30号で株式会社金沢商業活性化センターの経営状況が報告されています。各種事業がほぼ前年度実績に相応した事業計画となっている中、契約延長となった香林坊ハーバーの事業費は増額計上となっています。香林坊地域における学生運営の文化活動に期待する商業活性化とは何か、また現段階での評価についてお答えください。
次からは一般質問に移ります。
2.まず、開館間近の21世紀美術館の運営についてです
金沢21世紀美術館が構想から9年の歳月を経て、10月9日に開館します。総工費200億円、収蔵美術品購入基金に30億円、さらに年間運営費7億円と言われる新美術館に対し、様々な市民の声が聞かれます。
現在、全国的に美術館をはじめ公共施設は冬の時代にあると言われています。具体的には、自治体の財政難と独立行政法人化の流れを背景にして、国立美術館、国立博物館が改組、東京都近代文学博物館が閉鎖、芦屋市美術博物館が休館しました。また埼玉県芸術文化振興財団理事長、東京文化会館理事長、富山市芸術文化ホール芸術監督がそれぞれ退任するといった動きが続いています。これらは文化施設のリストラであり、収益・入場者数を最優先とする経営方針と芸術文化方針との矛盾が増していることの証左です。
先日蓑館長の情熱あふれるご講演に接する機会を得ました。こうした厳しい状況下で船出する金沢21世紀美術館は、言うならば冬から春への転換を成し遂げ、美術館を市民共有の文化財産として育んでいこうとする壮大なチャレンジでありましょう。
現代美術の神髄は、美的表現を通じて固定観念を批判し、既存の枠をうち破る新しい世界を創造するところにあると言われます。その営みは、人間存在や現代社会の在り方を鋭く問い返す哲学に通ずるとも言われます。ともすると保守的に過ぎ、進取を嫌い、異端を排除するとも評されるここ金沢で、斬新な現代美術との出会いから、世界に目を開き、多様性と革新性を重んじる市民意識を醸成させていくことができるなら、21世紀美術館は歴史的な評価を与えられるものとなるでしょう。その可能性に期待を寄せるものです。
さて5月29日、香林坊のカウントダウンボードの文字が「これ以上何を望む。」に替わりました。新しい文化の創造と新たなまちの賑わいの創出を一身に背負い、日夜奮闘を重ねてこられた事務局スタッフや友の会準備会の方々の心境も、まさにその言葉通りに違いありません。この間の努力に敬意を表しながら、私なりに美術館運営の在り方について、以下お尋ねします。
(1)一点目に、「美術館冬の時代」に開館を控える金沢21世紀美術館開館に寄せる市長の思いを改めてお聞かせ下さい。
(2)二点目に、収蔵美術品についてです。
開館間近にあって、本来美術館の命である収蔵美術品について市民的な関心や論議が必ずしも高まってはいないように思われます。いかなる美術作品をどのように収蔵するのかは、美術館コンセプトの表明であり、文化創造の市民参画への極めて本質的な提案であると考えます。そこで都市政策部長にお尋ねします。
@ その第一に、資料によれば、積み立て基金30億円のうち、今日までに約12億4千万円余りが支出され、美術資料と163点の美術品が購入されたとあります。美術品の購入にあたっては、どんな視点を持ち、どのようなプロセスを通して意思決定されてきたのかそのシステムをお答え下さい。
A その第二に、保存・展示交流・創作・教育研究といった美術館としての多様な機能を発揮するに十分な収蔵品数を確保するには、残された基金額で足りるのでしょうか。今後の購入に関する見通しをお聞かせ下さい。
B その第三に、今後の美術作品購入の意思決定をガラス張りにし、一般市民が参画する収蔵美術品選定システムを取り入れてはいかがでしょうか。
(3)三点目に、地域に根ざした美術館づくりについてです。とかく難解と敬遠されがちな現代美術を市民自らが共有財産として認知し、地域の文化創造の拠点として美術館の価値を分かち合うことなしに、長く市民が美術館を愛し、支えることはないでしょう。開館準備に追われてこられたことと思いますが、地域で活動する地元作家の展覧会・創作活動の現場に学芸員の姿が見えないとの声や県、市を問わず既存の公共文化施設との連携はどうなっているのかとの声も聞かれます。世界に目を開きつつもどっしりと地域に根を張った美術館であってほしいのです。その意味で先達である世田谷美術館では、収蔵品選定から展覧会の構想、運営に至るまで絶えず市民を念頭に置き、アイディアを市民が相互に出し合う地域懇談会や地元作家との連携など、美術館関係者が地域へ出て、顔も名前も見えるネットワークをつくることに力を注いでいます。金沢21世紀美術館では、地域に根ざした美術館運営をどう具体化していくのか、都市政策部長にお答え願います。
(4)第四に、子どもたちの美術教育との結びつきについてです。
学校現場の図工美術担当の教職員の間では、新たな美術館が、子どもが本物と出会い、創造活動に親しむ拠点となることに期待が高まっています。
全児童生徒が美術館を訪れるミュージアム・クルーズは、小中の担当者との連携から企画されたと聞きます。開館記念行事とは言え、大規模であり、せっかくの子どもたちのクルージングが高速ベルトコンベアとなって終わらなければよいが感じるのは私だけではないでしょう。子どもたちがじっくり現代美術に親しみ、思い思いの創造活動を楽しむことができる教育の場が生まれるよう、教育現場の自主性を尊重しながら収蔵品の選定や展示方法も含め今後の連携事業を練り上げていただきたいと思うのです。同じく都市政策部長のお考えをお聞きします。
また一方では、金沢スタンダードや英語教育の実施などにより、多忙を極める学校現場が前向きに美術館との連携に乗り出すには困難があると思われます。具体的にどう対応し支援するのか、教育長に伺います。
3.項目3は、世界都市を目指す金沢市の足元の国際化に関わる課題です。
2003年度の資料によれば、金沢市には約3800人の外国人市民が生活しています。その割合こそまだ0.8%ですが、過去10年間増加し続けており、国際化が進展するなか、その数は今後も増加していくものと考えられます。
しかしながら、ここ金沢においても増加する外国人に対する無理解や、偏見は払拭されず、センセーショナルな事件報道の影響もあって、市民の不安という形で心の壁はむしろ高まっているのではないでしょうか。また、割合が65%を占める中国人、韓国・朝鮮人をはじめとする外国人市民の間からは、本名すら名乗れないなど、かつての植民地政策や戦争に起因する差別偏見、市民権の制約に対する不満と不安が訴えられています。
金沢市は世界都市構想を掲げ、「小さくとも独特の輝きを放つ世界都市」を目指しています。国境や国籍の壁を乗り越えて、人としての相互理解をはかり、連帯の意識を醸成することは、正に足元の国際化であり、ひいては地方から無用の緊張を緩和し、国際平和の進展にも寄与するものと考えます。国際親善と外国人の市民権の観点からお尋ねします。
(1)まず、足元の国際化に関する課題について市長の基本的な見解をお聞きします。
(2)次に、豊中市、松戸市などをはじめ、外国人市民が多く生活している関西や関東の自治体では外国人市民会議を設置し、外国人市民の意見や要望を市政に取り入れるとりくみを進めています。リファーレでの国際交流の活動に集う市民の中から、多文化共生研究会が立ち上がると聞きましたが、市として適切な支援を行うべきです。またそうした動きを外国人市民会議へとつなげていくお考えはありませんか。都市政策部長にお聞きします。
(3)三番目に、現在、貧困不安定化した第3世界諸国の人々を支援し連帯する市民運動として、フェアトレードや外国人の人権侵害にとりくむ市民団体等が金沢においても活動しています。こうしたボランティア団体やNPOの活動がさらに活性化し、相互に連携を深めることができるよう、財政的な支援の拡充とともに、活動の拠点としてのNPOセンターを設置することが求められますが、同じく都市政策部長、いかがでしょうか。
(4)四番目に、韓国独立運動の英雄ユン・ボンギルの殉国紀念碑、暗葬の跡地が野田山に整備されて12年が経過しました。韓国全州市訪問団も昨年、そしてつい先日と当地の訪問を熱望し、レセプションではユン義士の話題に身を乗り出すほどでした。韓国自治体関係者、教育文化人、留学生、在日の方々をはじめ、日本人も含め今日まで推計7000人が野田山を訪れていると聞きます。韓国の学校では必ず学習するというこのユン・ボンギルゆかりの場所は日本の中でここ金沢にしかなく、金沢市は、韓国の人々にとり特別な存在となっているのです。
全州市との姉妹都市提携がきっかけとなり、これまで以上に韓国の政治、経済、学術文化各界との交流が盛んになるでしょう。ユン・ボンギルゆかりの野田山は、地方における日韓親善外交の要所となっていくに違いありません。先週末も、ユン・ボンギル生誕の地禮山郡から議会副議長はじめ14人の訪問団が金沢を訪れました。市当局の理解に感謝しつつも、現在は雨をしのいだり、腰を下ろして懇談する場もない現地に対し、せめて休息のできる小屋の設置などの史跡整備を懇請する声が上がりました。私も未来志向の日韓親善という、大局からの市長の英断を期待しますが、いかがでしょうか。
また、小松・ソウル直行便の就航により、韓国旅行者の来県も増えています。旅行者が金沢に足を運ぶ魅力あるスポットにもなりうるものです。学校や生涯学習の現場へユン・ボンギルに関する資料を提供し、金沢市民の歴史認識を高めるとともに、国際的な史跡として観光マップに掲載するなど、観光産業とも連携して周知を図ってはいかがでしょうか。
さらには、生地禮山郡との交流の促進も意義深いと思われます。昨秋禮山郡を訪問した我々社民会派に、パク・ジョンスン郡主は文化、産業、人の交流を熱心に要望されました。姉妹都市全州市とともに、もう一つの交流地域として禮山郡を位置づけ、中国蘇州市とも結んだ日中韓の友好交流をさらに推し進めることを私も提言いたします。
アジアの21世紀到来が言われます。その玄関口で向き合っている日韓両国市民が歴史を共有し、心からの対話を促進するよう金沢市がとりくむことは、金沢の世界都市としての発展にも大きくプラスになると確信します。市長並びに関係当局の見解をお聞きします。
4.項目4は、教職員研修の現状とあり方についてお尋ねします。
6月に入り、金沢市内でも子どもを巡る事件が起こりました。データとして増加、深刻化をたどっているかどうかはさておき、特別な子どもが事件を起こすのではなく、今日の社会環境の中、どの子も当事者になりうる心の闇を持っているとの指摘は重要です。教育関係者は発生した事件を重く受け止め、自他の命の尊厳、人権を尊ぶ教育の一層の実践を期していることと思います。私はこうした今こそ、子どもたちも教職員自身も、子どもの内面に深く向き合い、共感し、懐深くつきあう中で全人的な成長が促される教育を求めていると思うのです。
「ゆっくり育て、自己判断力と自立・連帯の精神を養う教育。」4月に視察訪問した福祉大国デンマークは、豊かな福祉社会と成熟した市民社会の担い手を育てる教育大国でもありました。そこでは、地域と学校の自主性、子どもたち、教職員の自発性と自己責任を何より重んずる教育が実践されていました。児童生徒が下校する14時以降や各家庭もバカンスに出かける夏の長期休業中は、諸会議をのぞき基本的に個々の教職員に任されており、教材研究や調査活動など幅広い研修が自由に行える環境にありました。
研修権限が委譲された金沢市においても、近年教職員の研修が随分と拡大されてきました。しかしながら、教育公務員特例法第21条と22条に定められているように、研修体制が職務であると共に教職員の主体性と権利を保障するものになっているか、また研究だけではなく幅広い人間的な修養が行えるものになっているか、疑問は少なくありません。そこで、長期休業中の研修を中心に、研修のあり方についてお伺いします。
(1)まず、教職員の研修に対する基本的な考え方を教育委員長にお尋ねしますと共に、教育長には今年度金沢市教職員研修計画を策定するに当たって、留意されたことは何かお尋ねします。
(2)次に、昨年度の長期休業期間中、文化施設や図書館などから教職員の姿が消えたと言う声が聞かれました。教育公務員特例法にもとづき学校管理規則に規定されている勤務地を離れた研修(承認研修)の申し出を校長がきわめて限定的にしか承認しなかったため、教職員が学校の中に封じ込められる結果となったようです。これでは自主研修が事実上制限されたと言わざるを得ません。
子どもたちの環境が複雑かつ困難性を増す中、新たな教育実践を担う教職員が知見を広げ、人間的な魅力を増して子どもたちの前に立つことはきわめて重要です。教育委員会として幅広い自発的な研修を奨励し、その場を保障するべきです。今年度承認研修の承認について校長をどう指導されるおつもりか、教育長にお聞きします。
5.最後に長期休業中の教職員の勤務に関しお尋ねします。地域での子どもたちの活動を支援するマンパワーとして教職員の力を期待する声が少なくありません。長期休業中の勤務の扱いを弾力化し、教職員が自発的に子どもたちの活動に関わることができるよう、教職員を地域に開放してはいかがでしょうか。併せて教育長の見解を求めます。
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