施策はミスマッチ
金沢の家庭系ごみ有料化をめぐって
3月15日の一般質問の動画から私と市長とのやりとりを文字起こしした。残る論戦の場は、22日10時から終日の連合審査会、23日10時からの経済環境常任委員会を経て24日13時からの最終本会議となる。まだ遅くはない、議会、議員に声を届けよう。(3月18日記)
1.市民のつぶやきから 家庭ごみ有料化の「経済的インセンティブ」に関して
森:今回は市民のつぶやきを先頭に持ってきました。まず、家庭ごみの有料化についてご質問します。今回の3月定例月議会では、多くの議員がこの問題に触れられておりましけれども、昨日も市長のご答弁の中に「センターピン」という言葉が出て参りました。私いろいろ伺ってきましたが、この「センターピン」の打ちどころがどうもずれているんではないかということを率直に感じております。で、この問題につきましては、所管の委員会がありますからそこで掘り下げさせて頂きたいと思っております。今日は、直接市長に伺いたいことに絞って質問したいと思います。
(1)まず、有料化の目的等で使われる「経済的なインセンティブ」この言葉には、どのような意味を込めていますか。
山野市長:様々な行政だけではなくて、社会一般において経済的インセンティブは大変大きいものがあると思っています。特に今回の場合は、ごみを減らす動機づけに間違いなくなるというふうに思っています。また、資源化率を高めるための動機づけにもなってくると思っています。また、金沢市では、古くから古紙回収は地域の皆さんが汗をかいていただいておりますけれども、奨励金を増やすことによって、これもまた動機づけになると思っています。奨励金を基にして様々な地域活動をより活発に行いやすくなる環境にもつながっていくと思っています。そういう意味から、動機づけと使わせていただきました。
森:私も 「インセンティブ」という言葉を辞書で繰ったりしまして調べました。仰るように刺激、動機づけ、また一方では報奨金こういう言葉が出てくるんですね。そうしますと、これは市が市民を動機づけする、こういう考え方に立った経済的インセンティブの導入ということになるんでしょうか。
山野市長:政策というものは、仮説を立ててその方向に向かっていくという形でやらなければいけません。大きな話でいえば、私は世界の交流拠点都市という目標、仮説を立ててその仮説に向かって様々な施策を進めているところであります。で、ごみの有料化を今回は提案させていただきました。一番大きな目標は将来の子どもたちに負担を少しでも残さないということ。これも何度も申し上げてきましたからこれ以上は詳しくは申しませんけれども、それに向かって一緒に進んでいかなければなりません。その動機付けとして提案させていただいたところであります。
森:市民の様々な意見を聞いておりますと、この市が市民に対してこういう形で動機づけする、このことに対する違和感、これがあるんですね。
(2)次に、手数料を含む有料化は、税外負担を市民に課すということですね。これ確認させてください。
山野市長:地方財政小事典、私共もよくこれを見ながら財政でいろんなことをしていますが、税外負担とは、地方公共団体に対する法令の根拠に基づかない住民等の負担を言うとなされています。今回の手数料は、地方自治法の第227条の規定によるものでありますし、判例にも従っておりますので、税外負担とは考えてはおりません。
森:今触れられました地方自治法227条ですね、これに基づくんだと。そうすればこれは適正な負担なんだと仰ったんですが、私もこの法律を読みました。ここには、特定の者のために行う事業、これについてのみ手数料が徴収できる、こういう書きぶりになっているんですね。このことが過去の裁判でも問題になったと私は認識をしている訳です。今回の有料化導入に当たって、この「特定の者」という考え方はどんなふうに吟味されているんでしょうか。
山野市長:住民の皆さんが生活をされている中で排出される廃棄物でありますんで、そういう意味では、金沢市民だと思っています。で、法律的な解釈はいろいろあったんだと思いますが、私共としましては、判例も出ておりますし、法令に則ったものだという理解で進めているところでありますし、これは私も全国市長会でも確認をさせていただいているところでもありますし、全国市長会でも当然法令に則っているとの前提のもとで、昨日から何度も申し上げておりますけれども、全国市長会も何度も家庭ごみの有料化を推進する提言をなされているということであります。
森:厳密にね、この部分大事なので、確認をさせて頂きたいんですけれども、地方自治法の第227条はこう書いてあります。「普通地方公共団体は当該普通公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき手数料を徴収することができる。」こう書いてあるんですね。で、最近では、藤沢市が有料化を行ったことに伴って、裁判になりました。これ確定判決になっています。 その判決でどう書いてあるか。これ判例ですね。「排出者の排出行為と収集運搬者の収集行運搬為が一対一の関係で対応させることが可能であるなら、受益者に対してのみ負担を課すことが可能となる。その負担をもって手数料の概念に当てはまると解釈することは可能である。」こういう判例なんですよ。「一対一」でそれが対応関係が明確であれば課すことができる。こういうふうに判例述べているんですよ。今回の有料化は、ステーション収集前提じゃあないですか。ここに私は法的な疑念が生じる。このことを指摘しておきます。
(3)次に、行きます。本市は、1961(昭和36年)から4年間、家庭系ごみを有料化しましたが、1966年に徳田市長がこれを廃止して無料化しました。以来、歴代市長は半世紀に亘り家庭系ごみは原則無料収集を踏襲してきました。この経緯をどう受け止めておられますか。
山野市長:先ほどの質問ではお尋ねになりませんでしたので、お答えしませんが答えを持っていますのでお伝えしておきます。それは事実ですが、50数年間何度も議会で議論もされてきました。昨日一昨日も何度も申し上げましたから繰り返しはしませんけれども、全国市長会や国のほうでも議論がなされてその方向で進めるべきだと。平成15年に金沢市は家庭ごみの有料化に踏み切りました。いろんな議論がありました。議員をしておりましたから私も知っております。粗大ごみの有料化に踏み切りました。そして平成22年度のごみ処理基本計画に燃やすごみが多いということでその中に入って、27年度私の判断で施策として掲げさせていただきました。先輩方は議会での議論や国の動向、石川県内の動向を見ながら手続きを丁寧に丁寧に取りながら進めてきたところであります。
森:山野市長は自らの政策判断でこの有料化を導入する議案を出されたとご説明されました。私は、歴代市長のまさに政策判断、そこが異なるんではないかと考えている訳です。その判断ですね。歴代市長の判断のもとになる原則的な考え方はどういうものであったかということについては市長はどうお考えでしょうか。
山野市長:すべての市長さんの議事録を読んですべてを把握している訳ではありませんが、私が議員の時代、また平成に入ってからの議事録を読ませていただきました。当然山出市長ですけれども、常に家庭ごみ有料化についてはしっかり研究させてほしいと仰っておられました。私は議場でもそれをよくお聞きをしていたところでありまして、で、平成15年に家庭ごみの中の粗大ごみの有料化に踏み切られたというふうに理解しています。これは当然、時代の流れもあったというふうに思います。一昨日申し上げましたけれども、平成15年全国市長会も国も明確にやらなければならないという方向を示されました。これ以降、何度か国も全国市長会もその方向が示されました。当然、議会においても何度も議論がなされました。その議論の中で私は、山出市長は平成15年に決断をされたんだと思いますし、平成22年度のごみ処理基本計画の中でまずは検討していこうと丁寧に慎重に手続きをお進めになったんだと理解をしています。
森:今、山出元市長のお話もありましたけれども、慎重に研究されたんだと思うんですね。その結果として家庭系ごみへの有料化導入は見送ってきたということだと思います。粗大ごみは確かに有料化されています。金沢でいえば、事業系と粗大ごみですね。ただ、粗大ごみは有料の時点で戸別収集のシステムをとっているんじゃないでしょうか。この問題は、先ほど冒頭に私が指摘した問題に関わると思います。そして徳田当時の市長は、無料化するときに税外負担の解消ということを仰って、当時は戸別収集であったにも拘わらず、税外負担の解消のために無料化にした。こういう経緯なんですよ。この部分のまさに研究とうのですか、それが山野市長の中ではどうなっているのかなということ、もう一度尋ねます。
山野市長:60年前、70年前いろんな議論があったと思いますし、その時の市長さんのご判断もあったというふうに思いますし、市長さんがご判断されるに際して、当時全国市長会なるものがあったかどうかはわかりませんが、国の動向や全国の動向、石川県内の動向等々を勘案されてご判断をされたと思っています。繰り返しになりますが、平成5年以降時代が大きく変わったと、廃棄物処理の考え方も全国で変わったということは一昨日詳しく申し上げましたので、ここは詳しく申し上げませんが、その中で私は先輩方が何度も何度も議論をされていきながら、平成15年に決断をされて、平成22年に検討項目に入れたというのも、私はその段階で大きな仮説があったうえで、検討していくという意思表示をされたんだというふうに思っています。で、5年後に第5期ごみ処理基本計画の段階で私が市長でしたので、先輩方のその議論、その思い石川県内の動向、全国の動向、国の動向を見ながら総合的に判断を致しました。
森:(4)地域コミュニティ活性化基金との絡みについてご質問することにしておりましたが、時間が進んでいるようなので、別の機会にさせていただきます。
(5)有料化に併せ、古紙回収の拡充、資源回収拠点の拡充、事業系の手数料引き上げと排出指導強化、ふれあい収集モデル事業に取り組む方針が示されています。行政が責任ある収集体制をもって地域と連携すれば、大きな効果を上げるんではないかと思っているんです。因みに、人口118万人を超える政令指定都市広島市は、一日一人あたりのごみ排出量が政令指定都市中最下位を10年間連続して維持しています。2014年度で856グラムと環境省が掲げる2020年度の達成目標888グラムを既に達成しています。視察では、この広島市は家庭ごみは有料化せず、事業系ごみへ指定ごみ袋を導入し、紙類の分別を促し、今後は食品ロスの減量にも取り組むとのことなんです。
ーグラフパネル提示ー
これは上段が家庭系ごみの推移です。2001年度以降2015年度までです。下は事業系ごみの推移です。このことを今市民は認識をするようになってきていると思います。
今問題があるのは、有料化を導入しようとする家庭系ごみなのか、事業系のごみに対してなのかこのことが問われているわけです。改めて、家庭系ごみに有料化する合理的理由はあるのでしょうか。
山野市長:家庭系ごみに今議会で提案させていただいたのは、なんといっても東部環境エネルギーセンターの改築が控えているということであります。やはりこれは少しでもコンパクトなものにすることによって、建築費そのものを抑えることができますし、またその維持費というものも抑制することができます。事業系ごみについても今般議会にお諮りさせていただいているところでありまして、事業系ごみも処理料の料金改定を上程させていただいておりまして、共に取り組んでいかないといけない課題だと思っています。
森:廃棄物の処理、それから清掃法これ法律ですけれども、それによると、事業系ごみは業者が自分で処理しなければならないという責務規定になっているんですよ。家庭系のごみについては、市が収集し処理しなければならないという規定になっているんです。ですから、家庭系ごみには当然料金を払ってもらわなけれならない、市の施設を利用すんですから、あ、事業系ごみですね。これは当然払ってもらわなければならない。その価格が今本当に適正か、或いは様々な計画書の提出とか搬入実態、これをきちっと調べて、不適正であれば公表とか或いは搬入を拒否するとか権限が行政に法的に与えられているんですよね。そういうことを総がかりでやって、全体のごみの排出量を抑制していく、資源化率を上げる、それは十分可能なんじゃないですか。広島はそれをやっているんです。ですから、これは本当に合理的な理由があるのかと私は再三聞いているんです。
山野市長:先般、廃棄物処理審議会で事業系ごみのことについても指摘を受けました。料金改定のことも受けました。森議員も仰っていただいたように適切な指導につきましても議論をいただいているところでありますので、そこもしっかりと併せてやっていかなければいけないというふうに思っています。
森:金沢市民は、「経済的インセンティブ」などというものが課されなくても、これだけごみの減量を実現してきているということなんですよ。このことはとても重いですよ。有料化によってそれが損なわれるんじゃないかという市民の声が出始めていますよ。インセンティブなどという上からの動機づけなくして、金沢市には、生活を向上させて環境に資しようとの市民の美風のようなものがあるんですよ。これこそが後世に引き継いでいくべきものではないんでしょうかね。
山野市長:金沢市民は環境を守ろうという強い意識をもっていらっしゃることは事実だと私は思います。それは大切にしなければいけないというふうに思っています。ただ、残念ながらすべての金沢市民がそうかというとそうじゃない方もいらっしゃるようにも感じます。 ただ、私共は政策として金沢市全体の中で取り組んでいくということが大切だというふうに思っています。先行自治体の事例も参考にしながら取り組んでいくところでありますので、ご理解を頂ければと思います。。
森:私は家庭系ごみにステーション収集のまま有料化するというこの問題、事業系、家庭系どちらに問題があるのかこの問題、この二点から家庭系ごみへの有料化導入はやはり政策としてはミスマッチであろうともう一度申し上げておきます。いや答弁はいりません。
〔以下は3月16日経済環境常任委員会審査で〕
センターピンの刺し間違い
16日から議案が付託された委員会審査始まった。所属する経済環境常任委員会で、私は小一時間にもわたり、家庭系ごみ有料化は施策ミスマッチだと環境局長、リサイクル推進課長の認識を質した。
かなざわ・ごみ事情資料室に協力頂き、写真のパネルを持ち込んだ。いずれも、金沢のごみ排出量の位置を客観的に共有し、有料化施策の適否を判断して欲しいとの他の委員へのメッセージでもあった。
金沢市民の家庭系ごみは、有料化のインセンティブなど必要ない縮減を実現している。熊野議員の質問で市長が認めた環境省の家庭系の燃やすごみと燃やさないごみの目標値500グラム/日・人(2020年度)まであと40数グラム。この指標を市民に情報提供せず、有料化が最有効と説明してきた姿勢も批判した。昨年1月に環境省が初めて示した指標と言い訳したので、そうだとしても、一年も黙っていたではないかと反論した。
事業系ごみにこそ問題が多く、厳しい対策が必要だ。事業系ごみ排出に対する指導監督の不徹底も指摘した。
これに対し、今後、事業者への指導監督を強化する機構整備にも取り組むと答弁したが、事業系ごみの多さは他都市比較から明白だ。それを招いておいて、「家庭系ごみ有料化でごみ排出抑制」とは、あまりに辻褄が合わないご都合主義ではないか。
今日の論争でハッキリしたのは、金沢市の家庭系ごみ有料化とは、家庭系ごみの実態を見ずに、有料化を自己目的にしているということだ。事業系ごみ対策は後付けだ。
「先に有料化ありき」は、市民には喝破されているが、一部始終を取材していた報道各社は、そこを抉ってもらいたい。
23日が総括討論、採決となる。
市民の声を実に出来ず…経済環境常任委員会採決(3月23日)
家庭系ごみ有料化議案の可決を止められなかった。力及ばず、声を上げた市民の思いを実に出来ず申し訳なく思う。
この条例改正案を審査するのは経済環境常任委員会。有料化しないよう求める請願、陳情2件も付託されていた。後に報告するように、議案に対する総括質疑の後、審議はまだ尽くされず、市民の納得は得られていないから継続審査にすべきと共産党森尾委員が動議を申し出た。当然、私も討論の中で継続審査に賛同した。しかし、この継続審査も採決で少数否決され、議案の採決となった。不合理で問題多き有料化議案を明らかにする質問を重ねながら、継続審査で議会の意思を示せないか会派間の働きかけにも動いてきたが、残念ながら実を結ばなかった。
金沢市廃棄物の減量化と適正処理等に関する条例改正案が有料化議案だ。私は総括質疑で、市が基いてきたと説明する「環境省廃棄物処理有料化の手引き」を引いて、金沢市のご都合主義を指摘した。
「手引き」では、手数料を乗せない指定袋制度は有料化とは違うと定義しているのに、金沢市は指定袋購入制度も一定のインセンティブを効かせる有料化の一つだと有料化にカウントして、有料化が市の8割以上に拡大していると印象付けてきた。市長はこれを「時代の流れ」と答弁してきた。手数料を上乗せする厳密な有料化に限ると、657市は460市に減り、58%に減少する。中核市はさらに割合が半数以下に低下する。
結果的にせよ、印象操作は、産廃の一部を事業系一般ごみにカウントしたり、事業系一般ごみの一部を家庭系ごみとみなすなと、排出量が他自治体より多く数値化されるところにも表れている。有料化に同意を促すための前提情報だけに重要に思う。
また、「手引き」は、有料化の減量効果には、戸別収集を推奨している。有料化に伴いステーションから戸別収集に変更した自治体もある。だが、金沢市は、この戸別収集を拒んでいる。地方自治法の手数料が許容される場合の排出者特定の条件とも絡む。法の趣旨に基づく政策判断の正当性の問題でもある。
「手引き」は、減量効果には併用対策を求めている。市長が答弁する14%減量効果は、有料化によるものなのか、分別、資源回収などの効果なのか判然としないのだ。そして、減量意識が減退した時の対策に手数料の引き上げは考慮するのかを問うた。市はそうだとも言えないが、有料化の限界を見据えておかねばならない。
そもそも、家庭系ごみは市民の地域ぐるみの努力で削減されてきたのだ。有料化の経済的インセンティブなど課されなくとも。これが、モラルであり、環境意識だ。ここに有料化を課すことは、どう考えても筋が通らない。問題は事業系にあることは本市としても否定すべくもない。だから、事業系への対策が後付けされた。家庭系ごみへの有料化には、施策として合理性がない。
不合理な施策は、議員・議会として説明責任を果たせない。慎重審査を呼びかけた。明日午後は本会議。委員会決定に対する賛否を問うことになる。
3月24日本会議採決
家庭系ごみ有料化可決。議会論戦には全力を尽くしたが、「おかしい⁈」の街の声や連日届いた市民の声を施策決定の力に結べなかった。反省点もある。だが終わりではない。来年2月実施できる状況か?効果の検証、施策の見直し… まだ道は先にある。(3月25日記)
2.学校看護師の導入に関して
森:では2項目です。学校看護師制度導入に関して教育長にお尋ねします。医療的ケア推進費が予算計上されました。医療的ケアが必要な本人、保護者が本当に切望してきました。学校看護師派遣制度を導入することに踏み切られた市長、並びに教育長会の英断に敬意を表したいと思っています。
(1)そのうえで、まず、この看護師派遣制度の趣旨、概要と制度実施までの手順をどう進めていかれるのかお聞かせ下さい。
野口教育長:学校看護師派遣制度につきましては、児童生徒が安全かつ安心をして学校生活を送ることができますよう、学校で日常的に導尿や人口呼吸器などの医療的ケアを行うための看護師を派遣するものでございます。安全に実施をするために、医師、弁護士などで構成をされる医療的ケア実施検討委員会の設置や、看護師の確保、校長や主治医などで構成される校内委員会の設置などの準備が必要であると思っております。
森:(2)予算案には、特別支援教育サポートセンターの整備基本計画策定費も計上されました。学校看護師派遣制度をサポートセンター機能に位置づける考えはお持ちでしょうか。
野口教育長:学校看護師の派遣を含めました特別支援教育サポートセンターの具体的な機能につきましては、明年度の基本計画策定をはじめ、今後の施設整備に向けた作業の中で検討して参りたいと考えております。
森:先ほどもこれからの手順についてお答えいただいておるんですけれども、年度の替わり目、該当の子どもさんの中には、校種が替わる、小学校から中学校に替わられる、こういう状況の方もおられるようなので、速やかな実施に向けてできるだけのの努力をしていただきたいと思いますけれど、いかがですか。
野口教育長:今ご指摘の通り、たいへん準備を急がねばならないと思っています。やはり、
年度の早い時期から看護師が派遣できますように、先ほど申しました検討委員会も早く立ち上げてその準備にかかれるように頑張って参りたいと思っております。
森:(3)ぜひお願いいたします。言うまでもなく、この医療的ケア体制の小中学校への拡充は、障がいのある子も無い子も共に地域で学び育つインクルーシブ教育推進を目指すものだと思います。就学、進学相談の際には、地域の小中学校への支援員の配置、エレベーターの設置、そして学校看護師の派遣等により、サポート体制が確保されることを十分に情報提供して、本人や保護者が不安なく地域の学校を選択できるよう合理的配慮を求めます。改めてその決意を伺っておきたいと思います。
野口教育長:本市では、インクルーシブ教育を推進するために、これまでも学校施設の改善や人的な充実に努めてきたところでございます。今後とも、可能な限り多様な学びの場
の充実とその情報提供に取り組んでまいりたいと考えております。
3.学校の多忙化解消について
森:それでは3項目目に移ります。学校の多忙化解消についてです。
(1)この4月から、市教委は、パソコンを使った勤務時間記録を各小中学校で始めると伺っております。まず、具体的な時間記録の手法をお聞きすると共に、実施に至った経緯、目的、また記録したデータはどのように扱われ、活用されるのかお尋ねします。
野口教育長:まず教職員が各自に貸与されているパソコンで、勤務開始時刻と勤務終了時刻を入力することによって、勤務時間、時間外勤務時間が記録されることになっております。勤務時間の記録につきましては、教員の業務適正化に向けて、まずは、勤務状況の実態を把握する必要があると考えおりまして、平成27年度から一部の学校での試験的な運用を経て、この4月からすべての小中学校で実施するものであります。記録したデータにつきましては、校長等の管理職が把握し、教職員の健康管理と業務の効率化に向けた指導助言に活用いたします他、教員自身が自分の勤務実態を知ることによって、長時間の働き方を見直すきっかけになればいいなと思っております。
森:(2)経済協力開発機構OECDが2013年に実施した国際教員指導環境調査があります。とりわけ日本の中学校教員の勤務時間が世界最長であることがを明らかになりました。これらを受け、文科省は「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員のあり方と業務改善のためのタスクフォース」を設置し、昨年6月に検討結果を公表しております。各地方教育委員会にはこれに沿って学校業務改善の取り組みが要請されておりますが、市教委はどのような方針で臨んでいかれるのかお尋ねします。
野口教育長:仰せのように、平成28年に6月17日付で出されております文部科学省からの「学校現場における業務の適正化に向けての通知」におきましては、教員の担うべき業務に専念できる時間を確保できるようにすること、部活動の負担を大幅に軽減すること、長時間労働という働き方を改善することなどの方策が示されております。市教育委員会といたしましては、明年度から学校給食費経理手法の検討や教職員の勤務時間の記録などに取り組むことと致しておりまして、今後も国の法改正等を注視しながら、一つ一つ着実に取り組んで行きたいと考えております。
森:(3)今ご答弁にもありましたが、当初予算案でみると、学校給食費経理手法検討費、校務士の校舎管理員への名称変更と配置、補助員の配置からなる校舎管理体制強化費が計上されています。これらと学校の業務改善との関係について伺います。また、現場事務職員から要望されてきた学校事務職員の職務標準の明確化と文科省のタスクフォース報告で提起されている学校事務の共同実施の課題についてどうお考えかもお尋ねしておきます。
野口教育長:まず初めに、学校給食費につきましては、現在各学校でそれぞれ経理しておりますが、会計事務の明瞭化を図るために、一般会計等に組み入れる公会計化や徴収管理業務など経理手法全般について明年度検討を行うことと致しております。学校給食費を公会計化し徴収管理等の業務を教育委員会に移管した自治体におきましては、教職員の負担軽減等が図られたとの報告もありますことから、先行自治体の状況を調査しながら、学校の業務改善という観点も含めて検討して参りたいと考えております。
また、今回の校舎管理体制の見直しにつきましては、校舎管理業務の重要性と、また役割を明確にするために、校務士を校舎管理員に改称するとともに、校務士から名称改正されます正規の校舎管理員が配置されていないすべての学校には、新たに行政経験が豊富な市職員の退職者を非常勤の校舎管理員として配置をし、併せてシルバー人材センター派遣職員を校舎管理補助員として配置する複数体制をとることで、校舎管理体制の充実につなげていきたいと考えております。
また、学校事務職員の職務標準の明確化といわゆる学校事務の共同実施の課題等についてお尋ねがございましたが、学校事務職員の職務標準の明確化につきましては、やはり、教員と事務職員の役割分担を明確にすることが課題であると思っておりますし、また学校事務の共同実施につきましては、実施をする組織をどのように設置をするのかが大きな課題であると考えております。これらのことにつきましては、今後国におきまして、法律上明確化されることになっておりますので、その動向を注視しながら、適切に対応して参りたいと考えております。
森:(4)NHKの報道で、昨年までの10年間に少なくとも20人の新人教員が自殺しているとしていますし、福井県では、月時間外勤務が最大で160時間に及んだ新採教員の自殺が公務災害に認定されました。福井県教委は、過去10年間に教員の自殺者が9人に上っていることも公にしました。県内でも、公務中に倒れて亡くなった教員の公務災害認定が申請されています。こういう中で、職員団体の石川県教職員組合青年部が勤務実態調査を行いまして、その結果が出ております。中学校教員の月平均時間外勤務は124.5時間(最高は220.5時間)、月80時間の過労死ラインを超えている中学校教員は93.8%との結果が出ています。小学校教員も月平均83.1時間(最高は155時間)、過労死ライン超えは56.6%という結果です。他県のこととは言っておられない状況です。このほかに養護教員、事務職員のもありますが、人数が少ないので統計にはなじまないかなと思いまし除いています。ー時間外勤務実態調査による円グラフパネル提示ー
これ大変な状況なんですね。ほとんど過労死ラインで常態的に勤務している。こうした実態が浮かび上がっていると思います。で、国の委託事業で県内の中学校に調査に入った中小企業診断士の言葉です。「聞きしに勝る状況。本来業務の時間が無い、生徒と向き合う時間が無い。体力的に精神的に仕事が続けられないとの声を聞く。」と報告しています。さらに、「多忙への諦めムードが蔓延している」このようにも言っています。学校や教職員業務の大胆な見直しは喫緊の課題だと思います。こうした実態をどう受け止めるか伺うとともに、国県の学力調査に絡む学力向上対策、金沢ふるさと学習、ユネスコスクール、中学校での血液検査。こういった市教委の教育施策を廃止縮減のお考えはないかお尋ねします。
野口教育長:教員が複数の業務を抱え、たいへん多忙な状況にあることは承知をいたしております。これまでも学校が行って参りました業務の一部を外部に委託することや外部人材の積極的な活用を推進することで、教員の負担軽減に努めているところであります。また、教育施策の実施や廃止縮減につきましては、小中学校校長会の意見も聞きながら改善を図っていきたいというふうにして考えております。
森:業務改善という言葉を教職員と話をしておりますと、我々の働き方の問題なんでしょうかねと、こういう意見が返ってくることがたくさんあるんです。むしろ、教育委員会が時間外勤務のこの状況をつくり出しているんじゃないか、このことを認識しているんだろうか、こういう厳しい意見があるんですね。これは、これから時間記録をされていきますから、そのことが改めて浮かび上がっていくと思いますが、こういう指摘についてどんなに受け止められるでしょうか。
野口教育長:まず、現場の先生方の思いというのはしっかり真摯に受け止めないといけないと思っています。しっかりとお話も伺いながら、その中で教育委員会としても適切に対応して参りたいと考えております。
森:現場をよく知る教育長ですから、期待をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
4.公文書館の設置について
森:じゃあ、最後の質問 公文書館の設置についてです。ようやく、公文書館の整備基本計画策定費が計上されております。2011年度から選別基準の検討に入り、現在は公文書の選別作業に取り組んでおられます。戦災を受けず今日ある金沢のまさに歴史に対する責任と市民の文化的利益に応える責務に立った公文書館の設置を期待するものです。
(1)そこで、本市が設置する公文書館についての基本的な考え方と設置までのスケジュールについてお聞かせください。
山野市長:公文書館は今ほどお話がありましたように、歴史に責任を持つという意味からたいへん大切なものだと思っています。適正に選別し、良好な環境で保存するとともに、市民に公開すること前提とした施設を整備していきたいと考えています。来年度基本計画を策定する中で検討していくことになりますが、スケジュールについては、今のところ、重点戦略計画に示した通り、平成31年度以降になるものというふうに考えています。
森:(2)基本計画策定のための検討委員会が設置されるようですが、中心となる課題を伺うとともに、検討委員の人選はどのような観点から行われるかをお聞きします。
山野市長:今お話しいただきました仮称ではありますが、公文書館整備基本計画検討委員会をつくっていきたいと考えています。つきましては、知見を有する有識者や他の公文書館職員の方にもお力添え頂ければなあと思っています。今後人選をしていきたいというふうに考えています。
森:(3)本市の特性から民間に埋もれている私文書に価値の高いものがかなりあるのではないかと推察します。全国的に設置が進む施設の中には、民間文書も対象とする文書館、記録資料館といったものもつくられています。公私を問わず価値ある文書類の散逸を防ぎ、市民の公開に供するという時代の要請にどう応えていくのか、市長のお考えを伺います。
山野市長:戦災に遭っていない街だからこそ様々な公文書も遺っています。民につきましては、玉川図書館近世資料館が歴史上貴重な史料を収集する役割を担っています。でありますので、ご理解を頂ければと思います。私文書の保存や収集となりますと、数も多くなりますので、難しい課題もあると思っています。来年度の検討委員会で私文書の扱いというものも考えていきたいと思っています。原則は基本的には本市の公文書を保存公開する施設であると理解をしています。