日本の政治システムは間違っていないか?!
6月9日夜、四高記念館で開かれた第13回EU研究会に参加した。私は石川日独協会会員なので、連携する石川EU協会の企画にも時折参加している。今回は、選挙制度を論じるということで、当事者であり、かつ、投票率低下を民主主義の危機だと懸念する私としては、関心が高いものだ。
テーマは、選挙制度の比較ー主として日本とヨーロッパの比較ーだ。講師は石川日独協会会長の楠根重和さん。メディア論が専門だ。
楠根さんは、日本の選挙政治状況の主因は、有権者の民意の低さではなく、選挙制度のひずみに問題があると主張された。
レジュメに、その着眼点がはっきりと示されているので、それを追いかける。
1.日本の政治システムは間違っていないか
1-1 政権交代がない
1-2 いつも同じ人が立候補する
1-3 世襲議員が多い
1-4 社会正義の実現に邁進する政治家が少ない
1-5 日本の政治家は世界的に見ても高額の報酬を得ている
1-6 政治家の学歴が低く専門性が少ない
1-7 政治家は外交官でもあるのに国際性が低い議員が外交の現場に立ち会っている
2.日本の選挙制度が間違っていないか
2-1 供託金制度
2-1-1 立候補時に納める制度
2-1-2 日本の供託金の金額および供託金没収点(極めて高い!)
2-1-3 日本以外における供託金(ずっと安い!)
2-1-4 供託金が立候補の足かせ
2-1-5 供託金をめぐる行政訴訟(敗訴 裁判所は何を考えている?!)
2-2 立候補するときに退職しなければならない
2-3 落選したら路頭に迷う
2-4 休暇制度と職場復帰
2-5 このような制度でそれでも立候補できる人はどんな人か(資産家、社長・・)
3.政治活動資金
3-1 政治献金(集める仕組み、抜け道)
3-2 政党交付金
4.EUの政治制度
5.政党政治(青年期から政党活動に従事し、頭角をあらわす)
6.マス・メディアと政治(批判精神欠如、癒着、自粛)
7.政治教育(まともにやられたことがない)
まことに身につまされる話だ。これに政治信条や政策を自由に広め、意見を交わす場と方法が著しく制限されていることも挙げておかねばならない。
政治家や政党に信頼感がなく、有権者から乖離しているとなれば、投票率が下がるのも無理はない。しかし、それは権力にとっては好都合だ。安保法制の違憲立法がまかり通る今日の危機は、その積み重ねの結果でもある。
議員の処遇水準が高い金沢市議会ですら、立候補者の減少傾向が不安視されるようになっている。議員の中には処遇の引き上げの必要を言う人もいるが、根本の選挙制度を本当に民主主義の制度にするための選挙制度改革を求めることがより重要だと思う。志のある人が立候補しやすく、所信を自由闊達に論じ合い、社会正義の実現を担う政治家になると有権者が納得して選択ができるようにすることで、有権者の意識もまた変わるだろう。
まだ深められなかった論点は次回に引き継がれる。