◆3月定例月議会一般質問(一問一答)の概要 森 一敏
【質問項目】
1.家庭系ごみの有料化に関して
2.宿泊税導入について
3.学校の働き方改革・多忙化解消について
4.市民のつぶやきから 化学物質過敏症対策その後について
【質問・答弁の骨子】 ー本報告の末尾に質問と答弁全文を掲載ー配信動画こちらからー
1.家庭系ごみの有料化に関して
(1)有料化に伴う本市の課題について
①東京都小平市は、再来年度4月からの家庭系ごみの有料化に併せてステーション収集から戸別収集に切り替えます。その理由を、多摩地域の26市中22市が戸別収集であることを挙げ、ごみを出す人が明確になり、マナーが向上するとしています。これに対し本市では、ステーション収集を存続させ、器材設置費助成に加え、管理と適正排出を啓発するサポーターを配置します。誰がどのような業務に当たるのですか。
→市長:地域事情に明るい住民に委嘱、ステーション巡回
②本市は、新年度より事業を本格実施する予定です。およそ何世帯への対応を想定し、どのような人的体制で臨むお積りですか。
→市長:要介護1以上、家族、近所になど協力を得られないなどの要件から600世帯を対象に
→森:3500万円計上しているが、基本である戸別収集のコストを莫大と言ってきたが、シミュレーションしたことはあるのか
→要援護者ごみ出しサポートはいわゆる戸別収集とは仕組みが違う。シルバー人材の作業員が玄関からステーションに搬出する。戸別収集のコストシミュレーションはしたことはない
→森:収集から処理まで法令で市の責務としている。百歩譲って有料化を続けるなら、戸別収集の道を探るべきだ その「莫大な」コストをステーション方式への協力で市民は負担していることになる これに手数料負担が加わっている
③生活弱者への負担軽減策です。この点、小平市は、生活困窮世帯には一定枚数の指定袋を配布する減免配慮を行うとしています。低所得世帯にとっての逆進性という不公平を是正する方法として本市も再度検討するべきです。いかがですか。
→市長:この有料化によって、ごみを沢山出す人とそうではない人との逆進性が改善される(これ意味不明!)
→森:それは逆進性とは言わない、間違っている
所得の小さい世帯にとって、有料袋購入負担が逆進性になっている 人は生きている限りごみを出さざるを得ない、社会背景もある この逆進性は是正すべきだ
(2)効果の検証に関わって
ところで、環境省は「ごみ有料化の手引き」で、有料化の効果を高めるには、戸別収集をはじめ他の方法を併用することが望ましいとしています。有料化の効果に特定した検証は実際に可能でしょうか。また目標達成の暁には有料化を廃止する考えはありませんか。
→市長:有料化の効果を高めるために他の方法も併用するということ 一年を通じてみなければならないが、2月の一ヶ月を見ても効果が現れている
→森:有料化に特定した検証ができないと施策の評価ができない それが難しいということか
市長答弁は「効果が現れていると感じる」から「大きな効果が現れている」と答弁が変わってきている それは早計だ 2月の大雪の影響は大きい
→市長:まだ効果云々はできない 一年の経過を見たい まずは定着させること 改善点は意見を聞きたい 廃止の考えはない
(3)官民協働のごみ減量化方策を
→森:有料化は動機付けすること 私は目的意識に置き換えたい それに関わる話として
市民団体の学習会で現代ドイツの社会哲学者ハーバーマスの言葉が引用されました。「社会システムによる市民の内的生活の植民地化」即ち、政治や行政のシステムにより、個人の思考や感性までもが支配され、本来的な価値観や生活様式が失われて従属することです。金持ちには働かないインセンティヴ、数は減っても重くなった排出ごみ袋、地域の助け合いを躊躇させるごみ袋指定、地域コミュニティ施策は別の課題といった市民の言葉は、ハーバーマスの警告に通じる「本当にこれでいいのだろうか」との直感的な問いです。より良く生きたいと願う市民の協働から生まれる主体的な方策こそ永続できる本物です。有料化を立ち止まり、官民協働のごみ減量化策を再構築すべきです。市長のご所見を伺います。
→市長:まずはシステムとしては定着させること 改善点は意見を聞き反映させたい
2.宿泊税導入について
(1)特別徴収義務者となる事業者の納得と同意
提出された条例案を読み返して、昨年、143の宿泊施設事業者の27%からしか賛成が得られなかったのもうなずけました。施設によっては、消費税や入湯税の徴収事務に加えて、煩雑な宿泊税の徴税事務が強いられるのは負担が大きいからです。しかも、納税申告に関する帳簿の記載と保存義務に違反すると一年以下の懲役か罰金を科せられます。条例案提出に当たって、個別の事業者全てから同意を得ているのか伺います。
→市長:業界団体に説明に出向き、電話やFAXで説明し意見をもらった 一定の交付金も出す 現在はおおむね理解を得ている
→森:特別徴収義務者となって徴税を代行することは重いことだ すべての事業者に出向いて説明し、同意を得るべきだ
(2)本市の宿泊税の考え方について
本市の宿泊税課税は、先行する東京都、大阪府の方式ではなく、今秋から導入される京都市の全宿泊施設に宿泊料金に応じて課税する方式を基本としました。なぜ今本市に宿泊税を導入するのか、また京都方式を基本とするのか、その判断理由を伺います。
→市長:京都と共通しているのは、市民生活に及んできたマイナスの影響を改善することを課題としている点
→森:その京都を京都市民は強気やなと言って批判している 金沢の一般市民が「おもてなしの心」と言っているのに、きてくれる人に税を課すのは理解できない」と問い合わせてきた 素朴な受け止めだ
(3)安易な課税にならないか
「訪日客が増えたから『宿泊税』にわかに導入機運」と題された昨秋の日経新聞記事に、鳥取県知事として、東京都の課税を批判した片山善博早大教授のコメントがあります。「税は最大の規制なので、慎重に判断すべきだ。今回も具体的な使途がはっきりしないのが問題。観光対策といっても道路改良は市民も関係する。宿泊客も消費税などを負担しており行政サービスのただ乗り批判は誤りだ。結局、課税しても一般財源が浮く財源の振り替えになる。観光客をどこまで受け入れるのかといった本音の議論もせず、『この際だから課税』というのは安易な発想だ。」この指摘に私も大いに触発されました。
金沢市観光戦略プラン2016に、新幹線開業により観光客が容量を超えたとの記述が見られます。根本に据えるべき金沢の観光のグランドデザインを行政、事業者、市民、観光客が参画して練り上げる作業があって初めて、それを支える基盤整備や財源の確保という命題にそれぞれが向き合えるのではないでしょうか。この段階での条例制定は、安易で拙速な導入とのそしりを招きませんか、市長のご所見を伺います。
→受け入れ態勢の拡充、市民生活との調和のための安定財源として、使途の方向性を示して十分に検討してきた
→森:片山元鳥取県知事が宿泊税は使途が不明確で、来客が増えたから取ってしまえという安易な課税と批判している
財源の地方分権・課税自主権は地方分権一括法の具現化で否定するものではない しかしその要件を吟味し慎重に合意形成するべきものだ この段階での条例化は拙速だ
3.学校の働き方改革・多忙化解消について
教育に関わる者が注目してきた本市のとりくみが、いよいよ「教職員が本務に専念するための時間の確保に向けたとりくみ方針素案」となって示されました。
(1)まず人の配置として、学校事務補助職員、部活動指導員は、それぞれどんな業務を担うことで、教職員の業務改善につながるのか、また、本予算措置は、完結ではなくスタートであるとの認識でよろしいのかお答え下さい。
→教育長:21学級以上の小中学校に学校事務補助職員を配置
中学校の部活動支援に元教員などの専門家を7人配置し、指導、大会引率などできるようにして部活動顧問の負担を軽減する これらはモデル事業で効果を検証する
(2)市教委が行う会議や調査等の改善は、単なる整理統合や簡略化に止まるのではなく、元にある市教委が実施する教育施策の縮減、学校裁量の尊重が伴わなければなりません。その意思が素案からは読み取れません。見解を伺います。
→教育長:教職員が本務に向き合えるよう、研修、会議、報告書類を精選する 知徳体の成長のために行わねばならないことは引き続き取り組むが、教職員の働き方を考慮しながらだ
(3)抜本的な改善には、国による教職員の定数改善が不可欠であると述べています。県教委も同様の課題意識を表明しています。この実現に向けた本気度が問われます。また、県教委自らには、少人数授業のための加配教員の少人数学級への転用拡大、学校の共同事務室の設置の前提となる事務職員加配などの宿題があります。これら懸案にどう立ち向かって行かれるのか、教育長の決意を伺います。
→定数改善が抜本的な解決につながると考えている 国に教育長会議などで強く求めていく
→森:それはもちろんだが、県教委が独自にできる加配教員の少人数学級への転用を拡充することを求めよ
4.市民のつぶやきから 化学物質過敏症対策その後について
昨年5月に、地元報道機関により、特集番組「ある日、突然・・・過敏症 化学物質に苦しむ患者達の5年間」が放送され、金沢に住む患者の苦悩と転地養生などの様子が映し出されました。日常的に農薬、洗剤、化粧品、香料、接着剤、染料といった化学物質に暴露し続けることにより神経中毒から、ぜんそく、発疹、全身倦怠、鬱などの症状に苦しみます。WHOが疾病認定したものの、本人の体質や怠けぐせなどと誤解を受けやすく、専門医不足から治療や看護を受けるのも困難です。10年以上前に出会った別の患者に近況を尋ねると、近年症状は落ち着いているものの、周辺地域の洗剤の香り、農作業のシーズンによっては農薬散布によって症状が悪化するようです。
これまでに薬剤散布の抑制、化学物質過敏症に関する情報収集、相談窓口の開設、学校での化学物質対策、市庁舎での香料自粛要請などを求めてきましたが、その後の対応状況について以下お尋ねします。
(1)樹木害虫防除に於ける薬剤散布の状況と防除の体制は近年どうなっていますか。
→都市整備局長:近年は薬剤散布ピーク時の5%で推移 捕殺防除を中心に防除する体制が定着している 引き続き取り組む
(2)2008年度に保健所が所管となって化学物質過敏症研究会を設置し、北里大学から第一線の医学研究者を招くなど年間通じて医療関係者の学習会を行いました。その成果は、今日に引き継がれ、患者相談、医療・生活支援などの体制はとられているでしょうか。
→保健局長:保健所のホームページで化学物質過敏症の情報を発信している 相談窓口を置き、相談者には、医療機関の紹介や保健師による生活相談も行う体制である
(3)学校では、校舎建設や管理において化学物質使用の抑制、化学物質過敏症の児童把握などの対応はとられていますか。ー答弁時間切れー
◆突然の傷害事件
三日目の本会議を終えて、控室にもどって程なくして、全国に報じられた傷害事件が市役所内で起こった。私は6階の議会事務局前のトイレで用を足していると、外から危ない!やめなさい!という男性の声が聞こえてきた。その時は何だか分からなかったが、直後からパトカーや救急車が次々と市庁舎に集まってきた。聞いたのは、事件に絡む声だったことが次第に分かってきた。議会棟の7階に逃げ上がってきた犯人を追いかけて警察官が続々と7階に上がっていく。私たちは、断片的な情報を聞きながらその様子を見ていたが、控室への避難を指示された。
逮捕された男性は、市営住宅課の窓口で何らかの相談か、苦情を申し立てたのか・・・それもまだ定かではないが、これも気になる。その後、5階に上がり刃傷沙汰に及んだようだ。刺された職員はいわば巻き添えを食った方々だ。4人の職員の軽傷と一日も早い回復を祈るばかりだ。
それにしてもこの社会に蔓延する空気は何だろう。不寛容、自制不能、我が身第一・・そう政治が常軌を逸している・・。
◆総務常任委員会での質疑から
森一敏委員 セキュリティーの問題は大変難しいが、どういう方策があるのか、これは私たちも考えなければならない部分がある。この間、例えば1階に警備員や警察OBを配置したりしてきたが、それでも防げなかったので、どういうところを教訓にしていくのか十分に精査する必要がある。
市民と市役所の関係があり、どういうことがあって、こういう傷害事件にまで発展してしまったのか、非常に気がかりな部分がある。きのう、6階で一部目撃していたわけだが、駆け上がってきた人の発言している言葉の中にちょっとひっかかる表現があった。今、犯人と言うべきか、容疑者と言わなければならないのかわからないが、加害を加えた当該人物の特有のことが原因なのか、行政サービス上の課題がその中にあるのか、対応に課題があるのか、その辺は十分に調査して、そこから酌むべき対応や教訓があるならば、それもやはり明らかにしていく必要がある。 先ほどの報告では、加害者は今、警察に逮捕されており、当然警察が一義的には捜査の中で事情聴取をしていくことになるが、行政は行政として調査、把握し、課題を明らかにすること、それを議会も共有するといったプロセスも大事だと思うが、いかがか。
相川総務局長 委員指摘のとおり、庁舎警備室を中心に万全の体制をとってきたつもりだったが、その上で起きた事件だったと理解している。何が不足しているかはこれから検証していくことになる。犯行に至る事情や経緯については、今、警察で捜査を進めているところであり、捜査の結果を待った上で委員指摘のことも含めてきちんと対応していきたい。
◆市庁舎内傷害事件に対して山野市長が会見
一夜明け、山野市長が記者会見。その会見メモが、全議員に配布された。今日は、所管の総務常任委員会、文教消防常任委員会で、それぞれ報告を受け、議会運営員会でも、情報共有を図った。
容疑者への捜査が始まってはいるが、行政としても、経緯や問題がどこにあったのか等、独自の原因把握が必要ではないかと私からも問いかけた。
対策は、警備強化というハード面だけではないだろう。
ところで、午前中の総務常任委員会で、歳入確保課題に絡んで、私からは、国の経済財政諮問会議で、地方自治体の基金会計が急増していると問題視され、調査分析が行われていることを指摘した。総務局、財政課は照会を受けたと認めた。
国は、余剰財源が地方自治体にあるならば、地方交付税交付金を減らせると目論んでいるわけだ。しかし、実際はそうではない。地方の判断で実施する施策の財源確保のために計画的に積立を行っているものだ。その必要性については、それぞれの議会が判断することであって、国が介入する話ではない。また大都市の不交付団体の基金も包括して論じられているのも、実態を無視している。地方が声を大にして国に主張すべきだ。
地方交付税交付金制度を、国の関与の無い地方共有税に転換する課題も安倍政権になり止まっている。これを地方の連携で突破せよと、発破もかけさせてもらった。何せ、6割近くの仕事をする地方自治体に4割強の財源しか配分しない財源構成は歪だ。この問題について委員会質疑を以下の通り行った。
②年度末基金残高見込額として、200億円ほどの金額が記載されているが、この1年間で前年度よりもさらに基金が積み上がっている。これは需要を見越して余裕があるうちに積み立てて、必要なときにその需要に応えていくという考え方だと思う。現在、地財計画を策定するに当たり、経済財政諮問会議で基金残高がふえているのではないかという問題提起がなされ、それぞれの自治体の基金の内容についての調査がなされて、その分析が議論になったとのことだが、その辺についての事実関係はどうなっているのか。
◎相川総務局長 ①地方財政総額を確保するかしないかは、その年ごとの地方財政計画の中で議論されることになるので、制度としては確保されている。地方財政総額が確保されるかどうかについては、その年度ごとの予算になるので、それを確実に確保し、担保してほしいということを言い続けていきたい。それにより、後年度の負担についても十分に措置されることを確約してほしいことが地方の訴えである。
◎村角財政課長 ②委員指摘のとおり、国から基金残高に対する照会があり、全国的には基金残高がふえている状況だが、結果はまだ公表されていないと認識している。本市では確かに基金残高はふえているが、いわゆる余剰財源を積み立てているわけではなくて、将来の目的に応じ、将来の需要に沿った形で計画的に基金を積み立て、取り崩しているもので、国が言う余剰金を単に積み立てているものではない。
◆森一敏委員 国の基金に関する議論は持ち越しとなり、今年度の基金については余剰財源だという認定がなされず、交付税の算定に反映されなかったようだが、この話はまだ決着していない。各地方公共団体はそれぞれの事情があって、それぞれの必要に応じて基金を積み立てて運用しているが、それを地方自治体トータルで見たときに、不交付団体や自主財源があり余る大都市等を含めて、基金全体をターゲットにしてくる可能性があり、それでもって地方が影響を受けることがあってはならないと考えている。地方の基金に対する見方や言い分について、どのように考えているのか。
◎相川総務局長 基金にはいろいろなものがあり、財政調整基金は急な財源不足のときに調整する基金である。減債基金は市債を満期一括償還するため借りるものだが、減債基金を採用している自治体では基金を積み立てておかないと市債を返せなくなってしまう。本市では均てん化して、繰上償還等で対応しているので、減債基金はそれ程多くない。本市では、廃棄物や庁舎、スポーツ施設など、目的に応じた財源をどうしていくかという目的基金が多く、目的をはっきりさせた上で議会の議決を得ながら予算措置を講じている。今回の国の議論では、基金を余剰金と見ており、地方に財源不足が生じたときにはたくさん持っている基金が余剰に見られがちだが、地方の立場としては、きちんとした財源が必要なので積み立てているものであり、余剰ではないと反論したい。
◆森一敏委員 ①国では単年度のプライマリーバランスの黒字化が先延ばしになっているので、財政運営として目に見える結果を早く示したいという思いがあるのではないか。地方交付税の減額は、そのための一つの材料で、地方の固有の財源である地方の基金に手を突っ込まれないようにしなければならない。そういう意味では、国に対してしっかりと主張してもらいたいと思うが、いかがか。
②地方六団体が国に対して定期的に協議の場を要求する中で、重要なテーマの一つが、地方の固有財源をどのように確保して、大きくしていくのかということだったが、以前はより地方に裁量がある、地方共有税構想というものまでが打ち出されていた。近年それはどうなっているのか、わかる範囲で聞く。
◎相川総務局長 ①国の借金を含め、地方、国を通じた借金の解消が課題になっていることは事実である。本市も含めた地方自治体については、国の指導を受けて、ある程度の市債の減少に努めている。国については、いずれかの時点で施策が講じられるものと信頼しているが、十分に注視していかなければならないと考えている。交付税に対する地方の意見も主張していくが、国、地方を通じた借金について、どんな視点で臨んでいくのかが大切な視点だと考えている。
②地方共有税は、国の収入、国税の収入、市税の収入と国、地方の歳出の割合が見合わないことを問題として、それを地方共有税という形で交付税の特別会計ではなく、制度を設けてほしいという要望である。このことについて、全国市長会を通じて言い続けているが、委員指摘のとおり少しトーンダウンしているところもあるので、制度の重要性と地方の固有財源の確保のため改めて強く主張していきたい。以上
明日は、当初予算案の歳出、条例などの議案審査になる。宿泊税条例案に対して引き続き質疑する。
宿泊税条例案に対する私の考え方
本日(22日)の総務常任委員会で、本会議質問から引き続き総括質疑。各委員に、議会への市民意見反映手続きの保障と慎重審査のため、継続審査を求めたが、共産党森尾委員以外の賛同が得られず、少数否決。その後の条例案採決でも反対は二人と委員会可決となった。
質疑そして討論で述べたのは、以下のものをベースにした論点だ。
宿泊税条例案の委員会採決に当たって
森 一敏
私は、本条例案は継続審査とすることを求める立場から討論します。
(1)そもそも法定外目的税の要件からの疑義
2000年4月に施行された地方分権一括法により、法定外税の導入が総務大臣との事前協議制に移行し、併せて法定外目的税が創設されてから18年が経過します。この間、法定外目的税としては、都道府県が産業廃棄物税を導入した例が最も多く、その他に、一部の市町村で遊漁税や使用済み核燃料税、環境協力税などの導入がみられます。
この宿泊税では、東京都が2002年に導入して以降導入の動きは、インバウンド効果により増加する外国人観光客の受け入れ環境対策などを主な理由に、昨秋に大阪府、そして今年の秋から市としては初めて政令市である京都市が導入を決めたほかは、滋賀県が検討しないことを表明した以外に、北海道、福岡県、長崎市が検討を行っていると伝えられている状況です。地方税制度としては課税自主権の拡大が図られたものの、法定外目的税としての宿泊税の導入が進んできたとは言い難い状況ではないでしょうか。
それは、総務省が法定外税を検討するに当たって地方自治体に求めている留意事項に照らして、課題が大きいことを示していると思います。税に対する信頼確保、分権に資する、慎重かつ十分な検討を前提として、特に強調していることは、
1に、税を手段とすることがふさわしいのか、税以外に適切な手段がないのかの十分な検討。
2に、「公平・中立・簡素」の原則に反しないことは勿論、徴収方法、課税を行う期間についての十分な検討。
3に、原則として一定の課税期間を定めることが適当であること。
4に、納税者を含む関係者への十分な事前説明。これに関して、特定かつ少数の納税義務者からの議会の意見聴取制度の取り扱いにも言及がありますが、その姿勢は、利害関係者全てに適用すべきものでしょう。
法定外税の導入を巡っては、2005年に神奈川県が導入しようとした水源環境税が紛糾し、当時の知事が取り下げる事態に至ったことをはじめ、太宰府市の「歴史と文化の環境税」の名の駐車場税が、一時住民の反発で暗礁に乗り上げた例など安易な計画は頓挫する可能性が指摘されています。
宿泊税に関しても、本会議で紹介した片山善博元鳥取県知事の問題提起「税は最大の規制なので、慎重に判断すべき。具体的な使途がはっきりしないのが問題。観光対策といっても道路改良は市民も関係する。宿泊客も消費税などを負担しており行政サービスのただ乗り批判は誤りだ。結局、課税しても一般財源が浮く財源の振り替えになる。『この際だから課税』というのは安易な発想だ。」この問題提起は重いと考えます。
経済団体から提案を受けたのが一昨年の11月。今年度に入って5月に新幹線開業による影響検証会議が設置され、同時に庁内プロジェクトも開始され、昨年11月に双方から宿泊税の導入と京都方式を基本に検討との報告が為されました。条例案提出まで、提案を受けてからわずか1年4ヶ月、具体的な検討からは7ヶ月です。これらの検討において、これまでに述べてきた留意点や宿泊税に対する問題点が深く論議された形跡は残念ながら見られません。「導入ありき」と映るのは私ひとりではないと思います。
(2)納税義務者・特別徴収義務者・市民の理解合意
今回の宿泊税はすべての宿泊施設が対象となり、納税義務者は不特定多数です。納税者の理解を事前に得ることは至難の業です。しかも、施設によっては、消費税や入湯税の徴収事務に加えて、煩雑な宿泊税の徴税事務負担が罰則を伴って課せられることになります。
私は、本会議質問で条例案提出に当たって、個別の事業者全てから同意を得ているのか伺いましたが、事柄の性質上、徴税事務を代行する宿泊事業者に対しては、関係団体毎への説明や意見聴取に止まるのではなく、実際に徴収事務を担う全ての特別徴収義務者に直接説明し、同意を得る地道で丁寧な努力を怠ってはならないと考えるからです。事務負担や経営への影響を危惧する事業者に対し、具体的な負担軽減策や支援策などを含む制度内容の骨格等についての事前の説明は極めて不十分であり、上から目線で傲慢との強い不満、批判が私の元へも届いています。一定の交付金制度の創設についても、カネで頬をひっぱたくような印象との受け止めもあるのは、ボタンの掛け違いでしょうか。
また、事業者には、片山氏が指摘する「観光客をどこまで受け入れるのかとの本音」に通じる金沢市がどのような観光まちづくりをしていこうとしているのかが不明だとの意見も聞かれます。本市として観光戦略プランを策定し、観光施策を進めている積もりでも、それが伝わらず、或いは不十分さを感じている事業者の課題意識も考慮すべきです。そのビジョンが納得のいくものであれば、喜んで協力したいとの意向も聞いています。
(3)議会に求められる慎重審査
最後の論点として、議会の責任について述べます。先に、総務省が求める納税者を含む関係者への十分な事前説明に関して、特定かつ少数の納税義務者からの議会の意見聴取制度の取り扱いに言及しましたが、それは、議会としての判断で利害関係者に適用すべきものだと考えます。
基礎自治体として初めて導入を決めた京都市は未だ実施されているわけではなく、その実態は未知数です。さらには、地方の中核都市の導入経験は皆無な中の導入となります。その導入による影響については、客観的にかつ多角的に調査分析が必要です。新幹線開業から3年。その効果に奢ることがあってはなりませんし、観光都市としての経験を過信することも戒めなければなりません。ホテルの乱立による宿泊客争奪競争が激化し、その影響が小規模の宿泊施設に及び経営を圧迫すれば、金沢らしい宿泊環境が逆に損なわれることになりかねません。また、全国知事会としての導入検討研究中間報告が出されており、県との二重課税の可能性がなきにしもあらずの状況が動いていることにも注意を要します。
ここまで縷々述べてきました観点に鑑みるとき、この段階での条例制定は、安易で拙速な導入とのそしりを招くおそれを払拭できません。本市議会には、議会基本条例によって、有識者等からなる調査機関の設置や公聴会、参考人からの意見聴取の制度があります。議会として市民への説明責任と議決責任を果たすため、今委員会での条例案可決を行わず、さらなる慎重審査を継続させることが肝要と考えます。従って、本議案は継続審査とするよう取り計らい下さい。
◆一般質問・答弁全文 25番 森 一敏
1.家庭系ごみの有料化に関して
森 一敏議員:みらい金沢の一員として、数点にわたって御質問いたします。まず、家庭系ごみの有料化に関してです。
最初に、有料化に伴う本市の課題についてお尋ねいたします。東京都小平市は、再来年度4月からの家庭系ごみの有料化に合わせて、ステーション収集から戸別収集に切りかえます。その理由を、多摩地域の26市中22市が戸別収集であることを挙げて、ごみを出す人が明確になり、マナーが向上するとしています。これに対して、本市ではステーション収集を存続させ、機材設置費助成に加え、管理と適正排出を啓発するサポーターを配置します。まず、誰がどのような業務に当たるのでしょうか。
山野之義市長:ごみステーション管理サポーターは、それぞれの地域の事情に精通している方を各校下、地区単位で選任をいただいているところであります。地域におけるごみステーションの状況などについて情報の提供をお願いし、その情報をもとに市が責任を持って違反ごみの対策に取り組んでいるところであります。
森 一敏議員:2点目です。本市は、新年度より要援護者ごみ出しサポート事業を本格実施する予定です。およそ何世帯への対応を想定し、どのような人的体制で臨むおつもりですか。
山野之義市長:要援護者ごみ出しサポート事業は、要介護1以上など一定の要件を満たし、親族や近隣住民等の協力を得ることができない世帯を対象としておりまして、先行自治体の事例を参考にいたしますと、約600世帯が対象になるものと想定しています。このサポート事業では、福祉局や関係団体との連携により認定作業を共同で行うとともに、認定を受けた世帯ではシルバー人材センターから派遣される作業員が玄関前に排出された家庭ごみを地域のごみステーションまで搬出することとしています。
森 一敏議員:計上された予算を見ますと、これの経費が3,500万円という予算計上になっております。私は、かねがね地域に戸別収集という要望が強くあるということを申し上げてきたわけですけれども、この今回のやり方、これで3,500万円というものを計上して、それくらいのコストでやっていこうという御判断をなさっているということだと思いますけれども、1つの戸別収集に準ずるような支援方策ということだと思います。これ本格的な全戸対象にするサービスというものを想定した場合に、どれくらいのコストが見込まれるのかというシミュレーションはこれまで行われたことはあるのでしょうか。
山野之義市長:まず御理解いただきたいのは、大前提はステーション方式を行った上で今回の事業を行うというものです。お願いをした作業員の方が各戸別の家庭にお伺いして、そのステーションに持っていくと。そのステーション方式があるという前提の上でのことで御理解をいただければというふうに思っています。金沢市において、恐らく森議員がおっしゃるのはステーション方式ではない全ての戸別収集のことをおっしゃっているんだと思いますけれども、もしそうであるとするならば、シミュレーションをしたことはありません。少なくとも今回の事例ではありません。ただ、先行自治体でそのシミュレーションをした事例をお聞きしながら、大変な費用がかかるということを把握できましたので、ステーション方式を活用した形で今回は御提案させていただいているところです。
森 一敏議員:家庭から出る一般廃棄物の収集責務は、これも何度も申し上げてきたけれども行政が負っているということです。そうすると、今回考案された方式を活用した事実上の戸別の収集というもののシミュレーションをなさった上で要援護者に限定したという判断をしているのではないのかなというふうに私は推察したわけですけれども、それは違うのでしょうか。
山野之義市長:違います。
森 一敏議員 いわゆる先行自治体の戸別収集、これに大変な経費がかかる。どれくらいの把握をなさったか、数字はまだ私はお聞きしていないのですけれども、仮に、ことしスタートさせるこの要援護者のサポート事業、これを世帯割で考えてみますと10億円ぐらいの経費がかかるのかなと。これは勝手に私が推察しているわけです。そうしますと、現在、ステーション収集という協力を地域住民の方が行って、それによって、私の試算が正しいかどうかは別として、10億円という単位のコストというものを既に住民はそれを肩代わりしている、言葉はちょっと適切ではないかもしれませんが、そういう協力というものの意味合いが財政面で見てもあるのではないかと思うんです。そうしますと、これまでは税金を負担し、そしてステーション管理、ステーションへの排出ということで協力し市の財政にも貢献してきたと。これは事実だと思います。今回、これに手数料というものが加わったと。こういうことになるだろうと思います。私は、そうした住民負担が増すということを考えたときに、どういう方法ならば戸別収集が可能になるのか、あくまでも市が収集の責務を負うという原点に立ったときに、私の立場からすると百歩譲って有料化を継続するとした場合に、収集の責務を負う市の責務、これにどう応えていくのかということを私は検討を要するのではないかと考えているわけです。その点についてもう一度御答弁いただきたいと思います。
山野之義市長:市が責任を持つのは、もちろん今の市民に対してもそうですけれども、将来世代にわたる責任というものが私はあるというふうに思っています。何度もこの本会議場でも述べていることですけれども、将来世代への財政的負担、環境負荷への負担、それを少しでも減らしていかなければならない。そのために、今、市民の皆さんと我々行政とが連携をし合って、できることをやっていこう。もちろん我々だけの知見で限りがありますから、全国の知見も参考にしながら取り組んだ施策であります。
森 一敏議員 3点目の質問に移ります。これは生活弱者への負担軽減策についてです。この点も、小平市を見ますと生活困窮世帯には一定枚数の指定袋を配布する減免、配慮を行うとしております。低所得世帯にとっての逆進性という不公平を是正する方法として本市も再度検討すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
山野之義市長:平成17年、環境省が家庭ごみの有料化を全国の市町村に提言いたしました。その際、ごみの減量化と資源化と並んで、まさに今、森議員がおっしゃいました逆進性を緩和しなければならないということをおっしゃいました。私は納得いたしました。これまでの制度でしたら、経済的に恵まれた方も経済的に厳しい方も税金で全く平等、全く同じ金額の負担をしていることになります。これは極めて逆進性が高いものだと、ごみ処理負担の公平性を図るべきだということで当時の環境省から御提案をいただき、私は大変説得力のある言葉だというふうに思っています。今回、こういう形の新制度にすることによって、私は、まさに受益者負担という観点から、残念ながらごみの分別に御理解をなかなかいただけない方も丁寧にごみの分別をされる方も、また、ごみをたくさん出す方も少なく工夫される方、私はごみ処理負担の公平性、逆進性を大幅に緩和することができたというふうに思っています。始まったばかりの制度でありますので、まずはこの制度の定着に取り組んでいきたいと思いますし、いろいろな御意見をお聞きしているところでありますので、いろいろな御意見もお聞きしながら今後の改善の中で対応していければというふうに思っています。
森 一敏議員:私は、この家庭系ごみ、これの排出というのは人間のあかしと言ってもいいと思うんです。生きている以上は必ず出てくる。そして、さまざまな経済活動、流通、そういうものによってごみというものは規定されている面がかなりあるわけです。最終排出者である、生きている住民、市民の方たち、生きている以上は出てくる。私は、逆進性という概念はちょっと違うのではないかなと思うんですよね、今のご説明。逆進性というのは、生身の人間として同じように生きている。みんながぜいたくしているわけではないのですね。みんなつましく生活のことを考えて、最小限の出費に心がけて暮らしている方が大部分であると思います。でも、家族が多いとか所得が極めて低くなってしまったとか、いろいろな条件の違いをもって生活されていると思います。そうすると、所得の中に占めるこのごみ排出にかかる経費、これの割合が、所得に余裕のある人と余裕のない人とでは、その割合が所得の余裕のない人のほうが高くなるのです。これを逆進性というんです。この逆進性というものに配慮するために、生活に困窮している人に無料で一定枚数の袋を配布するということを位置づけてやっているんですよ。制度に対する認識がちょっと間違っておられるのではないかなと思いますけれども、答弁したそうですからどうぞ。
山野之義市長:先ほど申し上げましたように、これまでの制度でしたら全く負担が同じであります。それは直接自分の財布から出ることがないから痛みは伴わないかもしれませんけれども、その痛みは誰が払うのか。それは、森議員、私や森議員の子どもや孫たちの世代が全部負担することになります。それはおかしいでしょうというのが、やはり私は考え方であるというふうに思っています。ごみを減量化すると、ごみを減らすための努力をする、資源化率を高めるという努力は、経済的に恵まれた方も厳しい環境の方も同じ環境の中で精いっぱい努力していきましょうということが私は大切なことだというふうに思っています。ただ、何度も言いますように始めたばかりの仕組みでありますので、いろいろな皆さんの御意見もお聞きしながら、見直しが必要な段階でさまざまな御意見をお聞きしながら見直しを対応していかなければいけないと思っています。
森 一敏議員:今の市長の御答弁の御説明であれば、負担の将来にわたっての平準化というのでしょうか、ツケの先送りをしないという意味のことをおっしゃったのであって、逆進性のこととは私は概念は違う。時間がありませんので、次にいきます。次は、効果の検証にかかわってなのですが、環境省は、ごみ有料化の手引で、有料化の効果を高めるには戸別収集を初め他の方法を併用することが望ましいとしているんですね。有料化の効果に特定した検証が実際に可能なのでしょうか。また、目標達成の暁には有料化を廃止するお考えはありませんか。
山野之義市長:先般、福井市の市長さんとお話をしました。福井市はもう既に何年も前から有料指定ごみ袋制に取り組んでいらっしゃる。金沢市はまだですかというふうに言われました。福井市はさらにそこに、ごみ袋に町会名と個人名を書いているというふうにお聞きいたしました。そうすることによって、個人が責任を持ってごみを減らす、先ほどの戸別収集と同じ効果だというふうに思いますけれども、そういう仕組みをとっているんだというふうにおっしゃいました。私は、金沢市においてはなかなか課題が多いかなというふうに思ってお聞きしているところでありました。さまざまな工夫をしながら有料化の効果を上げるために努力されている福井市の事例をお聞きいたしました。金沢市も、先ほど申し上げましたように、要援護者への取り組みというものもその1つだというふうに思っていますし、また、最も多いといわれています生ごみを減らすために、段ボールコンポストであったりだとか、また電気式コンポストの補助金を高く上げたりだとか、また、古新聞・古雑誌の回収を高めるための工夫も並行して行うことが大切なんだというふうに思っています。
森 一敏議員 環境省も言っているように、有料化の効果を高めるさまざまな工夫と。これはほかにもまだこれから金沢市ができることはきっとあるんだろうと思いますけれども、かなりこれまで金沢市は取り組んできたわけですね。まさに行政と住民が協力して取り組んできた。その成果が上がってきたんだということはこの議場で何度も確認させていただいてきたというふうに思います。そのことを否定しているわけではないんです。ただ、有料化を導入するという以上は、有料化によってこれだけの効果が上がったんだということを特定して検証して、それを住民の皆さんにフィードバックするということがどうしても不可欠だろうと思うのですが、技術的にそれはどうなのかということを伺っているんです。
山野之義市長:初日のときにも申し上げましたけれども、新制度以降、家庭ごみの燃やすごみは24%強減量したということを御報告、ただ1カ月のデータですから、やはりこれは1年というスパンで見なければいけないというふうに思いますけれども、2月1日以前と2月1日以降の決定的な違いは有料化ということでありますので、そういう意味では有料化の効果というものは1つの目安というふうになるかというふうに思います。ただ、繰り返しになりますけれども、やはり1年というスパンで見ないと私はきちんとしたものは出ないというふうに思っていますので、その段階でまた皆さん方といろいろな議論もさせていただいて、さらに工夫を重ねていきたいと思っています。
森 一敏議員:市長、この議会が始まってから、その効果ですね、2月の。これについて最初は慎重な御発言をされていたと思いますが、だんだん大きな効果が上がってきているというような言葉に途中で変わってきていたんではないかなと。私は記録、メモ残って……、まあ、それはいいんです。あの30数年ぶりの大雪というのに見舞われた、そういう特殊な月でもあったということですから、私はまだ判断は早計であると思っています。
3点目です。市民団体の学習会で、まさに今のやりとりもかかわるわけですけれども、動機づけとインセンティブということを期待されている。私は目的意識というふうに言葉をかえたいと思うんですけれども、現代ドイツの社会哲学者ハーバーマスの言葉が引用されました。社会システムによる市民の内的生活の植民地化、難しいですね、これはすなわち、政治や行政のシステムにより個人の思考や感性までもが支配され、本来的な価値観や生活様式が失われて従属してしまうことを指しています。金持ちには働かないインセンティブ、数は減っても重くなったといわれている排出ごみ袋、地域の助け合いをちゅうちょさせるようなごみ袋の指定、地域コミュニティー施策は別の問題だといった市民の言葉がありますけれども、これらはハーバーマスの警告に通じる、本当にこれでいいんだろうかとの直感的な問いではないかと思います。よりよく生きたいと願う市民の協働から生まれる主体的な方策こそ、永続できる本物ではないかと思います。有料化を立ちどまって、官民協働のごみ減量化策を再構築すべきだと思いますが、市長の御所見を改めて伺います。
山野之義市長:2月に始まったばかりの制度であります。20数年間ずっと金沢市議会においても、また、外部監査の皆さんからも御指摘もいただき、国のほうでも議論してきて、御理解いただいて始まった事業であります。まずは、その定着を図っていきたいというふうに思っています。先ほど申し上げましたように、まだ1カ月ですから、まだ効果というものはきちんと見ることはできません。先ほど、どうしても言えとおっしゃったのでその数字を申し上げて、今この数字だというふうに申し上げました。やはり1年というスパンで見ていくのが私はあるべき姿だというふうに思っています。まずは、この制度の定着を図っていきたいと思っています。繰り返しになりますけれども、これで全てが正しいなんていうことは全く思っていません。いろいろな課題が出てくるというふうに思いますので、その課題に速やかに対応できるものは速やかに対応して、仕組みとして取り組んでいかなければならないものは、しかるべき手続をしながら仕組みを変えるということをして、さらにこの事業をより充実したものにしていかなければいけないと思っています。
森 一敏議員 制度が適切か、所期の目的にかなっているのかということの検証、それから、課題への対応、私は、これに含めて戸別収集の問題とか、あるいは目的意識、住民発の目的意識、こういう問題について注視して、また議論の場をいただければと思っています。
2.宿泊税導入について
では次、宿泊税の導入に関してです。特別徴収義務者となる事業者の納得と同意に関して御質問します。提出された条例案を読み返しまして、昨年、143の宿泊施設事業者の23%からしか賛成が得られなかったというのもうなずけたわけです。施設によっては、消費税や入湯税の徴収事務に加えて煩雑な宿泊税の徴税事務が強いられるのは負担が大きいからです。しかも、納税申告に関する帳簿の記載と保存義務に違反すると1年以下の懲役か罰金を科せられます。条例案の提出に当たって、個別の事業者全てから同意を得ているのかお伺いします。
山野之義市長:既に先行している自治体におきましては、宿泊事業者に対して納入金額の一定割合を別途交付しているということでもありますので、本市としては、さらに手厚い形で取り組んでいきたいというふうに思っています。説明会も行わせていただきましたし、また、電話やファクスでも確認もさせていただいておりますし、別途御連絡をいただいた際には、その都度御意見もお聞きしながら対応もさせていただいているところでもあります。また、宿泊事業団体からも今回の条例に当たりまして要望も幾つもいただいているところでありまして、全てに100%のお答えができているわけではないかもしれませんけれども、でき得る限りの対応をさせていただいているところであります。制度につきましてはおおむね御理解をいただいているというふうに考えています。今回、条例をお認めいただきましたならば、納税者となります宿泊者への周知に努めるのは当然のことではありますけれども、特別徴収義務者となります宿泊事業者の皆さんにも改めて説明させていただいて、御理解をいただけるようにさらに取り組んでいきたいというふうに考えています。
森 一敏議員:おおむね理解をいただいているのではないかと、こういうことですね。私は、特別徴収義務者というのは重いと思います。それは自分のなりわいとは別の業務を代行するということですね。しかも罰則が伴うということですから、全ての事業者がやはりこれを受け入れて積極的な意味を見出すという、こういうことで協力されていくという土壌を丁寧につくる必要があると。それはまだ不十分なところがあるんではないのかというのが私の問題意識です。それはこれ以上聞きませんので。
本市の宿泊税の考え方についてお尋ねします。本市の宿泊税課税は、先行する東京都、大阪府の方式ではなくて、今週から導入される京都市の全宿泊施設に宿泊料金に応じて課税する方式を基本としています。なぜ今、本市に宿泊税を導入するのか。また、京都方式を基本とするのか。その判断理由を伺います。
山野之義市長:北陸新幹線の開業以後、たくさんの観光客、ビジネス客、特に観光客の方がお越しいただいています。大変うれしい反面、さまざまな課題もあらわになってきました。金沢らしさが失われつつあるのではないかということ、市民生活に影響が出てきている。これは出てきているのではないかではなく、出てきているという形で、具体的な事例も幾つか御指摘をいただいているところであります。やはりそういう課題にしっかりと対応していかなければなりません。そのためには、一定の安定した財源を確保することによって、その課題に対応していかなければいけないというふうに我々も思っておりますし、経済団体からもその申し入れもありましたし、この議会からも同様の御提案もいただいているところでもあります。そして、京都市を参考にしたのは、東京都や大阪府と違いまして、京都市の場合は金沢と同じ問題意識、つまり市民生活に影響が出ている。その対処策にもその税を使うということが金沢市と方向性が同じだと。その思いの中で京都市を参考にさせていただいたところであります。
森 一敏議員:数日前に別件である方からお電話があって、そのときに、森さん、一回聞きたいと思っていたんやけれど、何で金沢は宿泊税を導入するんやと、こういう御質問でした。この方は、別に御商売とかそういうことは無関係の方です。でも、やはり意識に引っかかっていたということかと思います。また、今、京都市の話を私は伺いましたけれども、京都市の市民の方で、京都市は強気だなと、こういう言葉で、この京都市のやり方の宿泊税導入というものについて一定の考えを述べておられる。そんなものを目にしたこともあります。私にお電話された方は、いや、金沢に来たいといって来てくれる人に何で別の税金を取るんかねと、おもてなしの心をずっと言ってきた金沢が、何でその宿泊税という形でお金を取らんなんがいね。何かちょっとすっきりせんわと。こんなようなお話だったんですね。なるほどと私は思ったわけです。もしかすると、これがじわじわとマイナスの影響になっていくかもしれない。そうならなければいいなという印象をその対話の中で私は感じた次第です。
そこで、これは安易な課税にならないのかということを非常に私は懸念するんですね。訪日客がふえたから宿泊税にわかに導入機運、こういう記事が日経新聞に昨年の秋に出ております。鳥取県知事として東京都の課税を批判した片山善博早大教授のコメントが載っておりました。税は最大の規制なので慎重に判断すべきだ。今回も具体的な使途がはっきりしていないのが問題だ。観光対策といっても、道路改良は市民も関係する。宿泊客も消費税などを負担しており、行政サービスのただ乗り批判は誤りだ。結局、課税しても一般財源が浮く財源の振り替えになる。観光客をどこまで受け入れるのかといった本音の議論もせず、この際だから課税というのは安易な発想だと。厳しい御意見ですね。これは金沢のことを言っているという意味ではありません。金沢市観光戦略プラン2016に、北陸新幹線の開業により、観光客が容量を超えたとの記述が幾つか見られます。根本に据えるべき金沢の観光のグランドデザインを、行政、事業者、市民、観光客が参画して練り上げる作業があって初めて、それを支える基盤整備や財源の確保という命題にそれぞれが向き合えるのではないかと思います。この段階での条例制定は安易で拙速な導入とのそしりを招きませんでしょうか。市長の御所見を伺います。
山野之義市長:今の森議員のお話を聞きまして、やはり過渡期なのかもしれません。今、国のほうでもさまざまな入館料等々はしっかりいただいて、そのお金をもとにきちんと対応をすることによって、例えば文化財、二条城なんかもそうですけれども、しっかりとした金額をいただいて、その金額をその文化財の保存に回すのが世界的な潮流であります。日本もその潮流の中でしっかりとやっていくことが、結局はその文化財やその文化を守っていくことになるんだということが、今、日本の中でも主流になりつつあるところであります。一方では、いやいや、安いほうがいいんだという考え方もそれはそれでこれまでもありました。ただ、やはり私はもうそんな時代ではないというふうに思っています。一度この議会でも申し上げましたけれども、いつでも、どこでも、誰にでもという観光の時代ではなくて、今だけ、ここだけ、あなただけという考え方でいくことが大切なんだというふうに思っています。その観光施策をしっかりと対応していく、と同時に、繰り返しになりますけれども、京都市と同じように市民生活に影響が間違いなく出ておりますので、その対応をできるだけしていくために一定の安定した財源が必要という視点から今回提案させていただいたところであります。
森 一敏議員 この宿泊税は法定外目的税ですね。2000年の地方分権一括法で、地方の課税自主権、これが拡大されました。これに基づいた制度だということは私も理解していますので、それそのものを否定するという立場では私はもちろんありません。しかし、市長みずからがおっしゃったように、今、過渡期、そして、特別徴収義務者の負担、それから、その使途の問題、あるいは入ってこられる方の金沢のまちに対するイメージ、いろいろな議論すべき課題がかなり大きなものとして私はまだあると思うわけです。そういう意味で、拙速にならないでほしいと、もっと時間かけたらどうですかということを申し上げました。
3.学校の働き方改革・多忙化解消について
3番目に移ります。学校の働き方改革、多忙化解消に関してです。
教育に携わる者が注目してきた本市の取り組みが、いよいよ教職員が本務に専念するための時間の確保に向けた取り組み方針素案となって示されました。まず、人の配置として学校事務補助職員、部活動指導員は、それぞれどんな業務を担うことで教職員の業務改善につながるのか。また、本予算措置は完結でなくスタートであると認識してよろしいか。お答えください。
野口 弘教育長:学校事務補助職員につきましては、明年度から児童・生徒数が多い21学級以上の小中学校に増員配置することとしております。増員する学校事務補助職員につきましては、現在、教員が行っている資料等の印刷や仕分け、各種調査の集計などの業務を担うことにより、教員が本務に向き合う時間がふえ、学習指導の充実につながるものと考えています。また、部活動指導員につきましては、モデル事業ではありますけれども、明年度、部活動の顧問経験のある元教員7名を配置することとしております。技術指導や大会等の引率、生徒指導に係る対応などを単独で担うことが可能となり、教職員の勤務時間の縮減につながるものと考えています。また、この学校事務補助職員につきましては、担う業務をこちらのほうで明確にして、そしてその円滑な運用を図ることが大切であると考えておりますし、モデル配置される部活動指導員とあわせ、まずはその効果について検証させていただきたいと思っております。以上でございます。
森 一敏議員:2点目です。市教委が行う会議や調査等の改善、これが掲げられています。単なる整理統合や簡略化にとどまるのではなく、もとにある市教委が実施する教育施策の縮減、学校裁量の尊重が伴わなければならないと思います。その意思が素案からは読み取れないんですが、見解を伺います。
野口 弘教育長:教育委員会では、明年度、これまで以上に会議の整理や縮減を図ることにしております。少し具体的な話をさせていただきますが、学校指導課が主宰する主任等の担当者が出席すべき会議は、今年度27回から、整理統合も含めて明年度は22回に縮減する予定であります。また、教育プラザの研修相談センターが主催する研修につきましては、校内OJTを大事にしたい、そんな思いから、明年度は今年度の179講座から165講座に縮減することとしましたほか、8月11日の山の日から9日間と8月23日から夏季休業終了までの9日間を研修しないことにいたしました。これは昨年度よりも4日間ふやしております。こうした形で会議の整理や縮減等を行ってまいりますし、また、調査・照会の整理統合や、事務処理の改善、帳簿等の簡略化、電子化を進めることとしております。ただ、知・徳・体の調和のとれた児童・生徒の育成や、教職員の指導力の向上など、引き続き取り組むべきことはやはり多いと思っています。そうしたことから、教職員の本務に向き合う時間の確保には十分に意を用いながら、必要な教育施策を推進していきたいと考えております。以上でございます。
森 一敏議員 抜本的な改善には、国による教職員の定数改善は不可欠である。これはもうどなたも認識が一致していると思います。県教委も同様の問題意識を表明しておられます。この実現に向けた本気度が今問われています。また、県教委みずからには少人数授業のための加配教員の少人数学級への転用拡大、学校の共同事務室の設置の前提になる事務職員加配などの宿題があります。これらの懸案にどう立ち向かっていかれるのか、見解をお尋ねします。決意を伺います。
野口 弘教育長:少人数学級の実現や共同事務室の設置など、さまざまな課題への抜本的な改善には、やはり教職員の定数改善が重要であるということは十分に認識しております。これまでも中核市教育長会などを通しながら国に要望してきておりますが、今後もさまざまな機会を通して国に対して粘り強く働きかけてまいります。本議会が終わりましてから東京に出向きまして、同じように要望もさせていただく予定になっております。以上でございます。
森 一敏議員:県教委への働きかけについてお答えがなかったんですけれども、少人数授業加配の少人数学級への転用拡大、これはすぐ県教委判断でできることですから、これについてもあわせて県教委に対して要望を強めていただければと思います。これは答弁は要りません。時間がありません。申しわけありません。
4.市民のつぶやきから 化学物質過敏症対策その後について
最後に、市民のつぶやきから、化学物質過敏症対策その後についてということで伺います。
昨年5月に地元報道機関により、特集番組「ある日、突然…過敏症 化学物質に苦しむ患者たちの5年間」、これが放映されました。金沢に住む患者の苦悩と転地養生などの様子が映し出されておりました。日常的に、農薬、洗剤、化粧品、香料、接着剤、染料といった化学物質に暴露し続けることにより、神経中毒からぜんそく、発疹、全身倦怠、鬱などの症状に苦しむことになります。WHOが疾病認定したものの、本人の体質や怠けぐせなどと誤解を受けやすく、専門医不足から治療や看護を受けるのも困難です。10年以上前に出会った別の患者さんに近況を尋ねますと、近年、症状は落ち着いているものの、周辺地域の洗剤の香り、農作業のシーズンによっては農薬散布によって症状が悪化するようです。これまでに薬剤散布の抑制、化学物質過敏症に関する情報収集等々、行政に対して取り組みを求めてきたわけですけれども、その後の対応状況について以下お尋ねします。
まず1点、樹木害虫防除における薬剤散布の状況と防除体制は近年どうなっていますでしょうか。2点目、保健所が2008年度に所管となって化学物質過敏症研究会を設置して関係者の学習会を行いました、年間を通して。その成果は今日に引き継がれ、患者相談、医療、生活支援などの体制はとられているでしょうか。3点目、最後に、学校では校舎建設や管理において化学物質使用の抑制、過敏症の児童把握などの対応はとられているでしょうか。以上です。
木谷弘司都市整備局長:薬剤の散布量は、平成13年度に捕殺中心の防除に切りかえてから年々減少しており、近年はピーク時の約5%に抑えられております。防除体制につきましては、早期発見、早期防除が効果的であることから、町会への注意喚起のチラシの配布のほか、地域住民、防除業者、市の連携によるパトロール、害虫の繁殖を抑える樹木の早期剪定等を実施し、安全で効率的な防除に努めているところであります
越田理恵保健局長:化学物質過敏症の正しい知識の普及啓発のため、金沢市保健所のホームページを介して情報提供しております。また、保健所の衛生指導課に相談窓口を設けまして、患者さんからの御相談に対応した上で、必要に応じて簡易検査の実施あるいは医療機関の紹介等を行っております。以上でございます。
黒沢和規議長:時間がまいりましたので、以上で、25番森一敏議員の質疑並びに一般質問は終了いたしました。 (拍手)