12月定例月議会 一般質問(一問一答)
2019年12月10日(火)
1.日韓の平和友好について
(1)再開された全州市との工芸交流について
(2)今後の日韓親善に関わって
2.ガス事業・発電事業の株式会社譲渡の検討に関して
(1)あり方検討委員会の答申について
(2)局内のあり方検討について
(3)基本方針策定とパブリックコメントについて
3.市民のつぶやきから
共に生きる社会を目指す施策の充実を
(1)共に学び共に育つ教育に関して
(2)精神に障がいのある人の福祉医療制度に関して
(3)依存症からの社会復帰支援について
ー質問動画はこちらからー
森:質問に先立ちまして、この秋の台風等の広範な災害が発生をいたしまして、現在も復旧復興、そして避難生活が続いているということにつきまして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、本市から長野市に40人の職員が応援に出向いていらっしゃるということですので、その労を心からねぎらいたいと思います。それではみらい金沢の一員として、以下数点にわたってご質問いたします。
1 日韓の平和友好について
(1)再開された全州市との工芸交流について
森:まず、日韓の平和友好について質問いたします。再開された全州市との工芸交流についてまず質問いたします。延期されていた金沢伝統工芸展が今月、姉妹都市・全州市で開催されることになりました。全州市との文化交流が再開されることは、まさに朗報であります。9月下旬、釜山市での日中韓音楽文化交流事業に演奏家派遣を果たしたことと併せ、本市の交流姿勢を評価するものです。そこで、金沢伝統工芸展の開催が決まった経緯とともに市長の所感をまずお聞かせください。
山野市長:開催が延期をされた金沢伝統工芸展につきましては、9月の下旬に主催団体であります社団法人・全州市韓紙文化振興院から12月の開催を打診する連絡を受けたところであります。私どもといたしましては、その主催団体に改めて確認すると同時に、姉妹都市であります全州市のほうにもその受け入れ体制、安全に派遣できる環境であるということを十分確認もさせていただいた上で、工芸作家の方々と日程を調整をし、本日、金沢を発って全州市に向かっているところであります。13日まで全州市に滞在をし、金沢の得意分野であります工芸をキーワードにして交流を深めてくれるというふうに思っています。その中には、作品を観ていただくだけではなくて、ワークショップも予定をされています。ワークショップで全州市の皆さんに竹細工を実際に体験をしていただいて、作家さんがご指導いただいて、まさに触れ合いの中での交流をしていただくということは大変うれしく思っていますし、私はこれは姉妹都市になって17年余りではありますけれども、その17年間、行政だけではなく、議会の皆さん、今申し上げました工芸作家の皆さん、スポーツ関係の皆さん、多くの皆さんが積み上げてきた信頼関係の上でできたものと、大変うれしく思います。
(2)今後の日韓親善に関わって
森:私も全く同感です。今後の日韓親善に関わって質問をいたします。私は11月の後半に訪韓しまして、国会議長、禮山郡、全州市などの自治体当局、議会議員等と意見を交わす機会を持ちました。その際、本市の独立運動家尹奉吉の暗葬の跡があり、日韓・地域住民が協働した史跡保存と、27年に及ぶ相互交流を本市が尊重してきたことに金沢は聖地だとの言葉で、深い感謝と敬意の念が語られました。
折しも今年は1919年韓国の3・1独立運動から100年の年です。この民族解放と平和を求める精神は大韓民国憲法前文に「法統(ほうとう)」という言葉で刻まれ、朝鮮戦争以後の軍事独裁政権との民主化運動を経て、今に受け継がれております。対立の発端となった元徴用工判決は、「足を踏んだ側」の末裔である私たちの歴史への責任意識を改めて問うものであると思っております。同時にベトナム戦争の終結と併行するように1976年に発効した国際人権規約に照らして「国家は個人の請求権を消滅できない」ことの理解をも問うております。この歴史への省察と個人の尊厳、人権救済の視点が問題解決の鍵ではないかと思っております。近年、この議場でも自国優先と排外主義を戒める言葉を述べてこられた山野市長に、これからの日韓友好の進展に何が必要とお考えか、ご所見をお尋ねします。
山野市長:金沢市長として全州市との交流を大切にしていきたいと思っています。また、去年東アジア文化都市事業が行われました。その時に私は釜山市との信頼関係も一定程度構築できていると思っています。その関係を大切にしていきたいと思っています。また、ユネスコ創造都市との関係で、やはり全州市であったり、仁川市とも交流がなされているところであります。そういう金沢の得意分野での交流も大切にしていきたいと思っています。
一度議場でも申し上げたことがありますけれども、数年前、領土問題で冷え込んだことがありました。その時も金沢市は、受け入れ体制さえ整えられるのであれば訪問を継続したいということで私がお伺いを致しました。当時のソン・ハジン市長にその場でも言われましたけれども、やはり一義的には姉妹都市の交流はトップ同士、市長同士の信頼関係だと。私も全く同感でありました。ソン・ハジン市長とはそれまで二度三度しかお会いしたことがありませんでしたけれども、私も心から尊敬する市長だと思っていました。そのソン・ハジン市長も私に本当に気を遣っていただきました。そのことをこれからも全州市のキム市長と信頼関係を構築していきたいと思っています。ただし、やっぱり大切なことはやはり民の皆さんが交流しやすい環境を作っていくことだというふうに思っています。今回の工芸作家の交流もそうですし、これまで培われたソフトボールであったり柔道であったり、また音楽であったり、そんな民の皆さんの交流がしやすい環境を作っていくということも、これからの金沢市と全州市、釜山市、仁川市との交流に大切なことだと思っていますし、そんな環境を整えていきたいと考えています。
森:今のご答弁の中で、やはりトップ同士が胸襟を開いてつきあいをして信頼関係を深めていく、これ大事なことだと思っております。現在のいろんな、時々問題は起こりますけれども、日韓の市民レベルの交流とか、親近感とかが確実に前進をしていると思います。その一番発端になったのが1998年の小渕恵三首相と金大中・韓国大統領の間の会談と共同宣言だと言われていました。そこには歴史認識の問題を含めまして、お互いの立場を尊重する、理解し合おうということで、爆発的な韓流ブームとか日本文化の解禁に大きく寄与した、その宣言のことを忘れてはいけないと思います。その宣言にもどろうではありませんかというお話も韓国の方から伺ってきたところで、それに通ずるものがあるなと思ってお聞きしておりました。それでは2点目の質問に移ります。
2 ガス事業・発電事業の株式会社 譲渡の検討に関して
(1)あり方検討委員会の答申について
森:ガス事業・発電事業の株式会社譲渡の検討に関してお尋ねいたします。まず、あり方検討委員会の答申についてお尋ねします。金沢市ガス事業・発電事業のあり方検委員会が10月8日に両事業を併せて株式会社に譲渡することが適当であると答申しました。6月の設置から3か月間、とりまとめの9月24日第4回まで実質討議3回でのスピード答申です。検討委員会の議事録を読むと、これからの時代のエネルギーの公共性や政策のあり方から経営形態の選択を急ぐ意見まで幅がありました。それらが収斂されたとは言い難い中で、株式会社への譲渡という結論に舵を切ったという印象です。ほぼ100年の歴史を持ち、公営企業という市民的な所有と経営がなされてきた公共財産の行方を方向づけるにはあまりに早計に過ぎませんでしょうか。果たして審議は尽くされたのか、先ほど福田議員もおっしゃいましたけれども、慎重さ、これは非常に重要だと思います。市長に、本答申をどう受け止めておられるか、まずお伺いします。
山野市長:大前提としてご理解いただきたいのは平成28年には電力の自由化が決められたということ、そして平成29年にはガスの小売り自由化が決められたということであります。そのことを受けた上で検討委員会を立ち上げたところであります。地方公営企業として事業を行う今日的意義はどこにあるのかということ、そして自由化のメリットを利用者に還元することはできるのか、還元するためにもっともふさわしい経営形態はどんなものなのか、私はこの二つの論点で議論が進められてきているというふうに思っています。現状のままでは市民が自由化のメリットを受けることが難しいということ、また全国的なトレンドもきちんと踏まえながら、今後の経営形態として民間による柔軟な経営と、市民の安心確保への公共関与が必要であるとの各委員の立場から建設的で真摯な議論がなされ、答申がなされたものと受け止めております。
森:私、議事録を相当詳細に読ませていただいたんですけれども、先ほど幅があると申しました。例えば、これからエネルギーは縮小時代に入っていくそうであります。そういう時代にあって、公的エネルギー政策はどのようなものであるべきか、その政策を再検討していくことは非常に重要性がある。そこには公的なコントロールがどうしてもいる。あるいは公営企業か民間かの二者択一ではないんじゃないか。公営企業に民の知恵とか手法を採り入れていく、こういうあり方もあるのではないか、連携という視点で議論をするべきという意見も出ています。ここで決めるにはまず材料が不足している。公共性や安心を重視した場合、まだまだ十分な情報が届いていないという意見もあります。それから行政の主体というものがやっぱり必要だというご意見、これは市民代表の方からのご意見として表明されているんですね。ですから私は3回で実質的に報告がなされた、その中でも議論が相当に幅があるし、なぜこの段階で答申しなければいけなかったのかなぁと、依然として疑問に思います。次の質問にいきます。
局内のあり方検討です。まず私は企業会計決算審査で昨年行われた企業局内の経営のあり方検討に注目いたしました。あり方検討委員会に提出された検討資料がこの報告書の内容に依拠しているからです。「金沢市ガス事業及び発電事業経営形態と検討支援事業委託」この報告書を見ました。これを1579万円余の随意契約で受託したのは官民連携・民営化手法であるTPP・PFIを専門的に手がけるコンサルタント会社でした。私はちょっと言い過ぎかもしれませんが、一読して売却想定の値踏みの報告書のようにさえ映ったんです。
公営企業管理者にうかがいます。この報告書では金沢市の事業環境をどう分析していますでしょうか。また、結論を導き出す過程で公的所有と経営を政策的に行うことがもたらす公共的な便益について多面的に評価されているでしょうか。ご所見をうかがいます。
平嶋公営企業管理者:ご指摘の報告書でございますけれども、まず本市の事業関係につきまして、ガス事業では人口減少等による長期的な市場規模縮小や公営では法令等によりサービスの範囲に制約があることで他地域ともサービスに違いが生じていることなども。また発電事業では電力市場との価格が今後の影響を及ぼすこと等が分析結果として示されているところでございます。企業局では公共的な便益につきまして、市民の安全安心の確保や市民サービスのあり方など、様々な観点から官民の比較検討を行っているところでございまして、今後人口減少や自由化のさらなる進展により、より一層のサービスの充実や経営効率化が求められると評価しているところでございます。
森:この報告書の中に経営環境の分析というのがなされているということですけれども、自由化という環境の元での将来予測、こういうものの中に果たして金沢市公営企業局が所管をしているエリアでそうした新規参入というものが差し迫っているのか、あるいはその具体的なそれに向けての動きがあるのか、ここについて言うと、必ずしもそうではないと事業環境を評価していますね。そのことについて公営企業局長にもう一度確認したいと思います。
平嶋公営企業管理者:おっしゃるように現時点で様々な市場の自由化によりまして複数の業者が参入しているという状況は見られません。ただ、検討委員会の中でも今後の経営形態というものをどう将来像を描くかという中ではやはり早晩自由化の影響というものが金沢のほうへも波及してくるということは必至であろうといった視点で様々な議論がなされているいうふうに理解しております。
森:私も多面的にこのガス事業・発電事業の今後のあり方を評価しながら考えていかなければならないと思います。私ちょっと調べておりましたら、その自由化後のパイプラインの延伸、報告書の中では富山が糸魚川、糸魚川から関東方面につながっている、これが金沢まで来た場合を想定している。ところが自由化後にパイプラインの延伸が想定したように進まないと評論家が書いています。それは莫大な経費と、そして投資効果がどれだけ見込めるか、費用対効果、こういうものによってやはりこの自由化というものは大きく左右される。そういう北陸という、特に山をはさんで石川、この環境について私はあまりにも雑駁に想定がなされてシミュレーションされているんじゃないか、こういう思いを禁じ得ません。後ほど申し上げることと併せて、ぜひお考えいただきたいと思います。
(2)局内のあり方検討について
2点目に、5つの事業には公共性及び公益性の確保が求められるため、今後も引き続き企業局が経営するものとし、市民生活や産業を支える水とエネルギーの総合ライフライン事業として市民に貢献していく、この2025年までの経営戦略に基づく局内検討としてはいささか則(のり)を越えたものと思いますが、管理者いかがでしょうか。
平嶋公営企業管理者:経営戦略は電力ガス小売り全面自由化が実施される以前の、平成27年度に策定されたものでございます。その後、国の制度改革が進展をし、電力とガスを併せた総合的なエネルギー市場が創出をされ、全国的に料金メニューやサービスが多様化するとともに、新規参入や企業間連携並びに競争が進むなど、事業環境が大きく変化してきたことから、今後の事業のあり方を局内において検討してきたところであります。
森:少なくとも2025年まで行動計画が策定されて、この主体は企業局と記載されている。このことの意味を軽視してはいけないんじゃないでしょうか。これは今後の検討のプロセスの中でもそのことをしっかり認識をしながらやっていただく必要があるんじゃないかと思います。議会としてもこれを報告書として報告を受けているんですよね。私どもはそう受け取っております。
(3)基本方針策定とパブリックコメントについて
3番目。私は昨年来、1980年代にヨーロッパを中心に先行した社会インフラ事業の官民連携・民間譲渡が今日再公営化に向かっていることの指摘をしてきました。それは一体なぜなのか。本市としてどのような見解を持っておられるのか、お尋ねします。
平嶋公営企業管理者:これは水道事業の例でございますけれども、国が調査いたしました海外の水道事業におけますコンセッション方式の状況によりますと、再公営化された事例は確かにございますが、近年もほとんどが契約更新されておりまして、一律に再公営化が進んでいる状況にはないとされております。一方、わが国のガス事業並びに発電事業につきましてはその大部分が民間で経営されておりまして、また過去に公営から民間に事業譲渡された事例の中でも、現在までのところ再公営化された事例はございません。
森:再公営化というものが事実起こっているということは否定できませんし、その際に契約を解除する違約金、そういうものに莫大な税金がつぎ込まれている、こういうケースもあり得るんだということを私は示していると思うし、そのことは念頭に置いておかなければならないんじゃないかなと思います。
今ほどのお話の中で、国内の先行事例について言及がありましたが、先ほど指摘をした報告書の中でいくつかの自治体の譲渡についての条件などが書かれていました。例えば最低3年間は現行料金を上回らないようにすること、とかです。これは多様な、あるいは柔軟なサービス提供に関わることだと思うのですけれども、それがその後どうなっているのかという追跡調査の結果というものがこの報告書の中にないんです。公営企業の局内の検討の中で、追跡調査という手法はどの程度していらっしゃったのでしょうか。そこは疑問に思っていますが、いかがでしょうか。
ーしばらくの間をおいてー
平嶋公営企業管理者:先ほど申し上げましたように、現在までのところ民間に事業譲渡された事例中で再公営化されたものはございません。特に現段階でその後の経営状況等について今のところ追跡していることはございませんが、今、本市といたしましても事業譲渡についての答申を受けて検討を進めておりますし、パブリックコメントもやっておりますので、その結果を踏まえながら今後の基本方針策定に向けて努めて参りたいと思っております。
森:現在すでにパブリックコメントが始まっておりますし、利用家庭に直接ダイレクトメールでアンケートが送付されております。何を手がかりにして利用者が判断するかという大変重要な視点についてお伺いしたのです。今後検討の時期がありますから、ぜひそうした先行のケースというものは利便性の向上とかサービスの向上とか、そういう観点で見た時でもそれが円滑に進むかどうかということは市民にお知らせをする責務があるんだろうと思います。
その基本方針の策定、先ほど話にありましたパブリックコメントについてお伺いしたいと思います。パブリックコメントが届いた市民からは戸惑いや「意味が分からない」という声が寄せられております。市長の言われるスピード感なるものにほとんどの市民がついていっておりません。検討骨子案ではできるだけ早期に譲渡することを明記しておりますが、その時期、タイムテーブルがすでに想定されているんじゃないかとさえ思えるほどです。市長の真意を改めて伺います。
山野市長:議論は私や企業局長が申し上げた通りであります。留意事項といたしまして、早目に自由化のメリットを市民に供与するため、可能な限り早期に事業譲渡という留意事項が付されたところであります。また、安心感を持ってもらうために、公共の関与というものも中に付け加えられております。私もそのことは大切であると思っておりまして、そういうことも踏まえた上で自由化のメリットを市民の皆さんに還元できる、それも少しでも早い段階で還元できるようにすることが大切だというふうに思っています。繰り返しになりますけれども、安全はもちろんのこと安心を持ってもらうためにも公共の一定の関与というものが大切になってくるのだというふうに思っております。そういう視点から本年度内に基本方針を策定していきたいと考えています。
森:公共的な関与の必要性ということについては複数の皆さんが何回かにわたって発言されております。その中で一定の出資をするべきだという留意事項が付されたのだろうと私は理解していますが、じゃあ51%出資するといったことになったら買い手が出てくるんだろうか。3割ならばどの程度の関与ができるのだろうか。こういうことが市民にはわからないんですね。そういう意味で私はもっと情報提供の必要があるということを改めて申し上げたいと思います。
その上で、以下の理由から私はこうした市民を置き去りにする手法を中止して、広範な市民が直接議論を交わせる市民の広場の設置、そこでの市民への説明、コンセンサスがあるかを慎重に見定めるとりくみなどを求めたいと思います。その理由というのは、民間譲渡ありきと委員すら感じた検討委員会、議論が尽くされていない面がある。その検討の下敷きになった局内検討報告書は本市のガス事業及び発電事業は他市と比較しても健全経営を維持していることを過小評価している。不確実な条件を設定したシナリオで将来不安を強調して民間譲渡に誘導している。3点目は返送用封筒すら同封されておりません。「これ一体どうしたらいいんや。」という率直な声も私に届いてきている。特に、企業局は人減らしをしながら累積債務を償還してきた。そして累積欠損も大幅に減らしてきた。キャッシュフローで見ると相当の現金が内部留保されている。私は決算審査で確認をして審査で決算報告が承認されているんですね。良好な経営だということを私たちは承認をしている。このことと将来のリスクというものをどれくらいのバランスで判断していくのか、このことが市民に示されないと市民は冷静な、客観的な判断ができないんじゃないかと。そういう情報提供をして十分な対話をしながらコンセンサスを探っていく。先にスケジュールありきであってはならないと、そういうことを私は求めているわけです。改めて市長のご所見を伺います。
山野市長:大前提としてルールが変わったということがあります。そのことがありまして議論を重ねて参りました。森議員、検討委員会の議事録を詳細にお読みになったというお話がありました。議事録も詳細にお伝えするようにオープンになっています。検討委員会も原則公開で行われています。議事録のみならず資料もホームページ等々で公開をしているところであります。議会でも会議の進捗状況についてご報告をさせていただきました。今ここでもこうやって議論をさせていただいているところであります。パブリックコメントも行っています。利用者以外の方もご意見をおっしゃっていただける環境をとっているところでもあります。新聞広報やホームページでも周知をしているところでもあります。で、これもおっしゃっていただきましたけれども、都市ガス、簡易ガスの全てのお客様に対してダイレクトメールも送付し、幅広く市民の意見募集に努めているところであります。
森:そうした情報提供、検討、こういうものの中に、必要な情報をぜひ盛り込んで市民の判断を仰ぐという対応をぜひ採っていただきたい。そのための場というものに私はこだわりませんけれども、これからそういうことは大事になってくると申し上げて3点目に移ります。
3 市民のつぶやきから
(1)共に学び共に育つ教育に関して
森:ともに生きる社会を目指す施策の充実についてお伺いをいたします。まず、ともに学びともに育つ教育に関してですが、1点目。障がいのあるわが子を地域の小学校・通常学級に就学させたいと願う保護者に対し、相談時に先行きを不安視させて、特別支援学校や特別支援学級を勧めるような対応がいまだにあることについて、教育委員会側と協議することが数度にわたってありました。就学に向けた相談が本格化する時期に当たりまして、具体的な改善が講じられてきたのか伺います。2点目。特別支援教育支援員の増員や時間増を求める切実な声が教育現場から聞こえております。来年度予算編成に向けての考え方も併せてお伺いしたいと思います。
野口教育長:ともに生きる社会を目指すために、私はインクルーシブ教育の理念はとても大切なものだと思っております。そのインクルーシブ教育の理念に基づきながら本人・保護者の意見を最大限に尊重しながら、児童生徒の教育的ニーズと必要な支援について丁寧な情報提供をしながら、合意形成を図るよう努めてきているところではございますけれども、今ほど森議員仰ったような対応があるということでございますので、校長会議等を通して再度徹底を図って参ります。また、特別支援教育の支援員についてでございますが、これまでも各学校の実情を考慮して特別支援教育支援員の配置を行っているところでございます。次年度の配置につきましても適切な配置となるよう努めて参りたいと考えております。
森:お時間があまりありませんので、具体的に指摘をされた相談による情報提供の中でインクルーシブというものの持つ可能性とか、それをどうサポートしていくのかという情報についてもバランス良く提供されるようにさらに努力していただきたいと思います。また私ども学校の声を聞く機会がいろいろとあるんですけれども、やはり、欲しいけど来ていただけないという生の声がたくさんあるんですね。この点については財政的な課題もあると思いますけれども、この、人というものは非常に重要なので、ぜひ来年度予算の編成に向けても十分に情報共有をしていただいて、学校現場の声に、あるいは子どもたちの声に応えていただくご努力をぜひお願いしたいと思います。
(2)精神に障がいのある人の福祉医療制度に関して
2点目。精神に障がいのある人の福祉医療制度に関してうかがいます。10月に開催された北信越ブロック精神保健福祉研修会石川大会には、山野市長も来賓として出席をなさいました。主催団体の一つである金沢市精神障がい者家族連合会から先頃要望書が提出され、精神に障がいのある人への福祉医療助成制度の適用をはじめ、法の趣旨に基づく3障がい同等の施策を求める、切実な声が届けられております。また現在開催中の石川県議会に、石川県家族会連合会、医療者、ソーシャルワーカー、当事者がネットワークを構成する、石川における精神障がい者の医療助成制度の創設を求める連絡協議会が、精神障がい者の医療費助成の適用を求める請願書を提出いたしました。富山県知事が検討を明言したと伝えられる中、中部圏で石川だけが取り残されかねない状況になってきました。厳しい立場に立つ市民を助ける義務を負う本市として、この懸案に対し積極的な対応が求められていますが、この間の経過を踏まえた本市の取り組みをうかがいます。
山野市長:本市の心身障がい者医療費助成は県の制度に基づき実施をしているところであります。これまでも県に障がいのある方への適用について要望を重ねてきているところであります。県におきましても、全国一律の制度を創設することを全国知事会等を通じて国に要望しているというふうにお聞きをしております。残念ながらまだ実現に至っていないところではありますけれども、引き続き県と連携をしながら制度の適用に向け取り組んで参ります。
森:ノーマライゼーションプランの改定作業が行われ、その際に特に精神に障がいのある方の生活実態についてより詳細な調査が必要だという声も当事者から届けられていました。県との連携はぜひ力を入れていただきたいし、金沢市として何ができるか、その検討も併せて行っていただきたいと思います。
(3)依存症からの社会復帰支援について
それでは最後に、依存症からの社会復帰支援についてお伺いします。11月に金沢で開催された日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会の主催する全国研究大会に私も参加をいたしました。講師に予定されていた著名人が薬物依存からの脱却に取り組む最中に再逮捕されるという緊急事態の中で真剣な議論が展開されました。依存症からの脱却の困難さと同時に、相談支援体制の確立、偏見を払拭し当事者を温かく包み込む社会の意識改革の必要性を痛感しました。現段階での本市の取り組みの進捗について伺います。
山野市長:現在、各福祉健康センターにおきまして月1回開設をしています「心の健康相談」では、精神科医がアルコールや薬物への依存症で苦しんでいる方からの相談に対応をしているところであります。また保健師が電話や面接による相談にも随時応じてきているところでもあります。こうした依存症の方を受け入れる社会環境の整備に向けた普及啓発に関しましては、県の「心の健康センター」が主体となって講演会や研修会を実施していることから、本市としても県と連携をし、病気に対する市民の理解が深まるように努めて参ります。
森:この研究大会には様々な社会資源といわれる自助グループ、たとえば断酒会、あるいは薬物依存全般に対して支援活動をやっている富山のダルクという組織等々含めまして、様々な社会資源といわれる、そういう人たちの活動が粘り強く地道に展開されているということも私はその中で認識をいたしました。今、保健所を中心にした取り組みのご答弁がありましたが、これがぜひ当事者の方々に十分に届いていく、そのためのより地道な施策の展開というものをお願いしたい。併せて、自主的に活動しておられる当事者のネットワーク、あるいは支援グループとかそういう社会的に活動している人たちとの連携というものについてもぜひ進めていただきたい。これ併せてお願いをしたい。その辺り含めてもう一度ご所見をお伺いしたいと思います。
山野市長:今ほど森議員仰ったダルクの方は私も何人か知ってる、直接ご意見も交換したこともありますし、その会に参加したこともあります。また、市民の方がネットワークで活動された、そこへも足を運んでいろんなご意見をお聞きしたこともあります。大変な環境の中で活動していただいています。行政としてもしっかり連携をしながら取り組んでいかなければいけない、そういう思いを強くいたしましたし、引き続き意見交換をしながら、行政としてどんなことができるのか改めて考えていきたいと考えています。
森:社会が変わっていくということが非常に重要な要素ではないかと思っています。行政の役割は非常に大きいものがあります。そのことを申し上げて私の質問これで終わらせていただきます。