「裏切りだ・・」と農業関係者。だが、なぜか、投資と紛争条項(ISD)がメディアで問題視されない?
しかも、野党の臨時国会開会要求に、「安倍首相の外交日程が立て込んでいて」開けない!? 日本の公共社会全体が崩壊に瀕するような問題だ。国会決議も反故にして、外遊優先とは、開いた口がふさがらない。
国民はこれをも許すのか!?
農業「聖域」3割、全体の95% TPP関税撤廃、品目公表
2015/10/21 朝刊
政府は二十日、環太平洋連携協定(TPP)で関税を撤廃する品目を正式に発表し、日本が「聖域」としていた農産品の重要五項目のうち約三割の撤廃に踏み切ることを明らかにした。十一月中にもTPPの経済効果を試算し、国内農業への影響緩和策を含めた「政策大綱」を策定して補正予算を編成。細部を調整中のTPPの協定案とともに国会に諮るが、聖域の一部撤廃には批判が出ている。
五項目はコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖(甘味資源作物)だが、細分化すると計五百八十六品目になる。このうち撤廃する品目はコメではビーフンなど、牛・豚肉ではコンビーフやベーコンなど加工食品を中心に百七十四品目になった。
五項目は二〇一三年に衆参両院の農林水産委員会で「関税の撤廃は認めない」と決議している。約三割の関税を撤廃することについて、森山裕農相は二十日の記者会見で「輸入金額が非常に少ないもの、国産品との代替性が低いもの、関税撤廃が生産者のメリットとなるものを重視して撤廃した」と説明。甘利明TPP担当相も「重要五項目のコア部分は守れた」と理解を求めた。
日本のすべての農林水産物は二千三百二十八品目あり、このうち81%の関税を撤廃。工業品も含めた全品目では95・1%を撤廃する。TPP政府対策本部などは同日、東京都内で開いた説明会で「各国がほとんど関税を完全に撤廃する中、日本は95%にとどめた」と農業関係者に理解を求めたが、出席者からは「非常に厳しい結果だ」と農業保護策を求める声が相次いだ。
◆関税分野ポイント
▼農産品や工業品を合わせた全品目の関税撤廃率は、日本は貿易額ベースで95・1%。
▼コメや麦など農業の重要5項目では全586品目中、約3割の174品目の関税を撤廃。
▼コメや麦関連では、ビーフンで現在1キロ当たり27・2円の関税を11年目でゼロにする。一部のパスタや朝食用シリアルで関税をなくす。
▼牛・豚肉では、現在12・8%となっているハラミなどの関税を段階的に縮小し、13年目に撤廃する。牛タンや豚の内臓も段階的に無税とする。
▼乳製品ではフローズンヨーグルトで段階的に削減し、11年目に撤廃。
▼日本以外の協定参加11カ国は、日本にかけている農林水産物の輸入関税のうち平均で約98・5%(品目数ベース)を撤廃する。
▼日本は協定参加国から輸入する工業製品について関税を100%撤廃する。
▼日本が他の協定参加国に輸出する工業製品は、協定発効後すぐに86・9%の品目で関税がなくなり、30年目には99・9%でゼロになる。
<TPPの関税交渉>TPPは、高度な貿易自由化を目指し、原則として物品関税を撤廃するとして交渉を進めてきた。だが、参加国によっては、競争力に乏しく保護する必要のある品目を抱えている場合もある。日本はコメや牛・豚肉など農業重要5項目の保護を訴えてきた。交渉は例外を許容することで大筋合意した。(北陸中日)