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森一敏
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 2010年9月定例議会 本会議質問の全文

 議会冒頭で六選に向けた熱い決意を表明された山出市長に、いくつかの課題についてご質問いたします。
1.「地域主権改革」と首長と議会の関係について
 第二ステージとも言うべき地方分権改革が、「地域主権改革」として進められています。 遡れば1995年地方分権推進法、99年地方分権一括法と合併特例法、2001年以降の小泉政権では「平成の大合併」が推し進められ、3200以上あった市町村は半減しました。 一方小泉構造改革は、税源移譲の名で「三位一体改革」を断行しましたが、国庫補助負担金と地方交付税が合わせて9.8兆円削減されたのに対して、地方への税源移譲は3兆円に止まり、7兆円近くが地方から失われて地方財政は深刻な打撃を受けました。
 地方財政の逼迫、自治体間の格差拡大や合併自治体住民から聞こえる行政サービスの低下の声を聞くにつけ、今日までの地方分権改革を俯瞰して、私には、国のコスト削減によるスリム化と行政負担の地方へのつけ回しの側面が際だっているように思われるのです。 翻れば、1980年代からの行財政改革の流れの中で、再三再四提言されてきた経済界の意向、すなわち大競争時代の国際競争力を担保する国家行政コストの削減、市場原理導入による地方行政の効率化が色濃く反映する一方で、地域経済の疲弊、地域コミュニティの劣化、安定雇用の崩壊といった厳しい現実を前にして、地方分権に求めた地域住民の「自治権拡大」・地方の復権は果たして進んできたのか、根本的な疑問を感じざるを得ません。

 この間、分権改革の渦中にあって、一貫して実質的な分権を訴え続けてこられた山出市長に、この間の地方分権改革をどう評価しておられるか、まずはお聞かせ願います。
 さて、2006年12月に制定された地方分権改革推進法のもとで地方分権改革推進委員会が発足し、2008年5月から昨年にかけて4次に亘る勧告が行われてきたことは記憶に新しいところです。こうした流れを受け、2009年末自らも地域主権改革推進を掲げる民主党政権は、鳩山内閣で地域主権戦略会議を設置しました。菅内閣ではこの6月「地域主権戦略大綱」を閣議決定し、「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」を発表しました。「地域主権戦略大綱」では、国と地方の対等なパートナーシップを謳い、基礎自治体への権限委譲、国と地方の協議の場の法制化、義務づけ・枠付けの見直しと条例制定権の拡大、国の出先機関の廃止、ひも付き補助金の一括交付金化、国地方の税源配分の見直しと安定的な税体系の構築が挙げられています。現在、義務づけ・枠付けの見直しには、ナショナルミニマム確保との関係が、一括交付金化については、自主財源たり得るかについて議論がありますが、これから本格化する「地域主権戦略大綱」にもとづく地域主権改革に、市長はいかなる期待と課題を見いだしておられるのか、そのご所見を伺います。
 ところで、「地域主権戦略大綱」では、地方自治法を抜本的に見直し、「地方政府基本法」を制定するとしています。その中で、地方公共団体の基本構造、議会制度にも踏み込んでいます。地方公共団体の基本構造として憲法第93条は、執行機関として独任制の首長と議事機関としての合議制の議会を設置し、首長と議会議員をそれぞれ住民が直接選挙することを定めています。いわゆる二元代表制です。この憲法上一律に定められている二元代表制に対して、それ以外の選択肢を用意し、地域住民が自らの判断と責任において選択するしくみを検討するとしています。総務省の「地方自治法の抜本改正に向けての基本的な考え方」には、長と議会の関係の見直しの考え方の中で、議員が自治体の首長、副首長、常勤の職員を兼職することを許容すべきとの意見が一部自治体にあることに言及しています。地域主権戦略会議の委員でもある橋下大阪府知事はこれに関連し、議員が議員の身分を有したまま執行機関の一員となって行政執行に当たるという「議会内閣制」なるものを提唱し物議を醸しています。これに対し、先日、本市議会運営委員会が視察した議会改革先進県である三重県議会の三谷議長は、そのような「議会内閣制」とは議会を首長の下に取り込むことであり、議会本来の監視評価機能は発揮できなくなる。二元代表制を壊すことは、憲法に規定されている議会制度の崩壊を意味すると強く懸念を表明しています。 地方公共団体の基本構造に関する改革が、自治体や住民をらち外に置いて進められることがあってはなりません。阿久根市の竹原市長の議会を無視した専決処分の乱発、名古屋市河村市長の議会リコール運動が全国的に話題になっています。健全な相互牽制機能を発揮するべき二元代表制をめぐるこうした状況や議論について、山出市長はどのように受けとめておられるのかご所見を伺います。また、今後の論議に市長としてどのような立場で臨んで行かれるのかも併せてお聞かせ下さい。私も、議会のあり方検討委員の一人として、市民の信頼を勝ち得るための議会自らの改革は待ったなしであることを自覚しつつ、首長と議会の関係のあり方について、分権の旗手として先頭を走ってこられた山出市長の見識をお尋ねするものです。

2.ユネスコネットワーク登録と本市の施策推進に関して
(1)創造都市ネットワーク会議の招致について

 「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない。」この有名な一節ではじまるユネスコ憲章は、恐ろしい大戦を教訓に「失われない平和は人類の知的及び精神的連帯の上に築かねばならない。当事国は世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。」とユネスコ創設の意思を高らかに宣言しています。先般山出市長は、パリのユネスコ本部を訪問し、ユネスコ創造都市ネットワーク会議の金沢開催を要請したと報じられました。創造都市ネットワーククラフト分野への登録の意義について私は昨年3月に市長の見解を伺っていますが、本年5月に招致した日仏自治体交流会議に引き続く国際会議の誘致は、クラフト分野というものづくり施策に止まらない金沢の都市構想全体の展開に大きく作用するものではなかろうかと思われます。
 そこでます、ユネスコ創造都市ネットワーク関連事業にかける市長の都市政策ビジョンを改めてお尋ねします。また、ネットワーク会議招致の意義をどうとらえておられるのか、さらには開催に関する課題は何かをお聞かせ下さい。
(2)ユネスコスクールネットワークの推進について
 ユネスコ創設の理念からして、最も根元的な事業がユネスコスクールではないかと私はとらえています。ユネスコスクールがとりくむ持続発展教育(ESD)は、その理念を次のように述べています。「持続発展教育とは、私たちとその子孫たちが、この地球で生きていくことを困難にするような問題について考え、立ち向かい、解決するための学びです。将来にわたって、持続可能な社会を構築するために、まずは、問題意識を持つこと。そして、取り組むべき課題について知ること。その課題と自分とのつながりを考え、理解すること。その問題・課題解決のために人と意見を交わし、共にあるべき方向を確認し、行動することです。このように、考え、行動できる人材を育てる教育がESDなのです。」そして、具体的なテーマとして、水資源、ゴミ問題、雇用、人権、ジェンダー、平和と人間の安全保障、貧困削減、HIV、移住の問題、気候変動、都市化などを挙げ、いずれも、文化的な背景のなかでの環境、社会、経済の複合された問題として取り組むことが求められているが、ESDは決して特別な活動ではなく、環境教育や国際理解教育など、既に各校で取り組まれている活動は、ESDになりうるものとしています。私は、持続発展教育が、総合的学習の枠にとどまらず、学び全体の質を大きく転換させていく可能性をはらんでいると思うのです。改めて浅香教育長には、ユネスコスクールネットワークの持続発展教育にいかなる意義と展望を見いだしておられるのかお聞かせください。
 ところで、去る8月26日に開催されたユネスコスクールフォーラムin KANAZAWAに私も全日程参加し、新たに加わる13校の加盟認定、加盟校の実践報告、児童代表による子ども会議を拝聴しました。そこでは、地域と結び、伝承されてきた文化やくらしに学び、身の回りの環境への働きかけから地球環境の問題に目を向ける体験的な学習がとりくまれていました。また、経済格差や貧困などのグローバルな問題に関心を寄せ、同世代の子どもたちへの共感から生き方を思い描く子どもらしい発言に、未来への希望を感じました。
 もちろん、ユネスコスクールの教育実践は、始まったばかりです。その内容の深化は、教育現場の子どもたちとの営みに期待されるわけですが、その条件として、理念と目的の共有のための現場教職員との対話、豊かな実践の前提となる素材の発掘や多方面との連携に必要な時間の確保、そのための仕事量全体のスリム化、人的なサポート体制や予算措置など体制の整備が求められます。さらには、絆教育とも共通して土台である地域に根ざす教育に逆行するとの声が強まる中学校選択制度との矛盾も解消される必要があります。
ユネスコスクールネットワークが取り組む持続発展教育が花を開かせるためのこれらの課題に対する教育長の見解をお尋ねします。

3.大東亜聖戦大碑副碑建立への対応について
 私は、2008年の12月議会で、自治体が住民の平和的生存権を守る責務に照らし、田母神論文問題とそれと同様の歴史観が表明されている大東亜聖戦大碑に解説の役割を持たせた副碑の建設が本年秋に予定されていることを踏まえ、戦争の歴史認識問題への所感を伺いました。市長は端的に「戦争は美化してはいけない。」とお答えになりました。体験に裏打ちされた言葉に深く共感を覚えています。しかしながら、残念なことに、2000年に大東亜聖戦大碑が建立された時には、本市は当時の都市公園への建立に対して条例上不必要な建設許可を与え、二重の意味で汚点を残していることもまた思い起こすのです。山出市長は、この2000年当時の許可手続きをどのように振り返っておられますか。
 私が改めて言うまでもなく、聖戦大碑が建った護国神社は、石川県風致地区条例が定める第2種風致地区であると共に、金沢市景観条例における伝統環境保存区域にも当たります。当該区域が都市公園から除外された現在、高さが1.5メートルを超える工作物を設置する場合は風致地区条例では許可が、景観条例では届け出が必要です。景観形成基準に適合しない場合は、助言や指導勧告を行わなければなりません。県風致地区条例での許可権者は中核市である金沢市です。申請や届け出があれば、本市が適切な対処をしなければなりません。
 その際に私が申し上げたいのは、風致地区の規制基準「周辺の土地と著しく不調和でないこと」並びに景観形成基準を、条例第10条に例示的に示す規模、位置、色彩、意匠及び形態といった外形を機械的に当てはめて事足れりとするものであってはならないということです。景観条例の前文に示される「歴史や文化に培われた個性豊かで美しい景観、人間性あふれる都市」、さらには基本理念にある「地域の自然、歴史、文化等と人々の生活、経済活動との調和」を踏まえ、本市平和都市宣言にも示された大戦の惨禍を経て、平和の建設と文化の発展に向けて歩んできた市民の総意に背くものであってはなりません。
 本年は敗戦から65周年、韓国併合から100年の節目です。大本営の無謀無責任な戦争指導によって、人命軽視甚だしい中倒れていった夥しい旧日本軍兵士たちの実相が、余命少なくなった生還者の憤りに満ちた証言と共に連日特集されて報じられました。一方、中国蘇州市、大連市、10月に議会代表団の来訪が決まった韓国全州市をはじめ日本の植民地支配、侵略の被害をうけた国々、自治体市民との交流が深まっています。自治体外交によって国際平和に貢献しようとする本市の姿勢が問われる問題でもあります。
 さらには、今ほど述べたユネスコのネットワーク都市としての責務からも熟考が求められます。なぜならば、ユネスコ憲章の目的及び任務に、「正義、法の支配、人権及び基本的自由に対する普遍的な尊重を助長するために、教育、科学及び文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、平和及び安全に貢献する。自由の責任に対して世界の児童を準備させるのに最も適した教育方法を示唆する。」ことが明示されているからです。市長自らがユネスコ創造都市ネットワーク登録を平和への貢献と説明し、ユネスコの理念の実現への参画を使命とした本市が、まさに偏狭で独善的な歴史認識を後生に継承しようとする教育施設として建設された大東亜聖戦大碑関連施設に同意を与えることは、覆うべくもない自己矛盾となりましょう。
副碑建立の許可申請が行われた場合、本市は許認可の主体としてどのような対処を行うおつもりか、市長の見解を伺って質問を終わります。

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