(3)障害者自立支援法の成立を受けて
障害者自立支援法成立の瞬間、障害のある人々はもちろん、広範な人々の悲憤の声が、全国でこだました。当事者不在の拙速審議、医療と福祉の機械的で強引な一元化、隔離・訓練型の発想への回帰、サービス総量縮減の危惧、重い人ほど自己負担が大きい原則一割の「応益負担」、自己負担上限の適用を抑え、家族からの自立を妨げる世帯単位での所得基準、介護保険に準拠した審査会方式、移動介護を含め自治体裁量とされた地域生活支援事業など、自己決定と地域での生存・生活権保障を基本とするノーマライゼーションの流れに逆行する「障害者独立阻害法」だ。実施主体となる基礎自治体の事業決定、予算措置に大きな課題が移る。本市が課題を残しつつも到達してきたノーマライゼーション施策の水準を後退させてはならない。そこで聞く。 |
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森議員 |
今後国に求めねばならない課題についての所見、加えて実施主体としての今後の障害者福祉施策推進にかける市長の決意を尋ねる。 |
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山出市長 |
就労と所得確保の施策が明示されたこと、社会から理解されにくい発達障害への支援が早期に開始されることが盛り込まれた。身近な市町村で一元化されたことは意義ある一歩だ、障害がある人の生活が一層充実するよう努めたい。市の責任は重い。 |
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森議員 |
実施主体の本市として、とりわけ市町村の裁量に委ねられる地域生活支援事業の決定までの手順を聞く。また、障害者の社会参加や地域生活の進展に伴って多様化するニーズに対応するため、市障害者政策推進協議会に地域での活動を担うNGOや市民グループなど新たな担い手の参加を位置づけるなど、抜本的な体制の再構築が必要だ。 |
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古田福祉健康局長 |
ノーマライゼーションプラン金沢を実現することが基本だ。政省令の公布を待って、どのような事業を地域生活支援事業に位置づけるのか、障害のある方や事業者の意見を聞きながら、対処していきたい。本年度精神に障害がある方を委員に委嘱した。障害がある人、及びその家族、知識経験者、事業従事者、関係行政機関となっており、多様な意見を反映できる構成になっていると思うが、必要な委員の見直しはしていきたい。 |
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森議員 |
障害程度区分とサービスを決定する市審査会は、介護保険審査会の焼き直しではなく、障害保健福祉分野固有の理念に基づく基準と判断能力をもつことが肝要だ。障害のある当事者を積極的に登用することをはじめ、多様な担い手からの参加を促すことが必要だ。また、審査会への諮問には、市個人情報保護条例との整合性ある手続き、更には審査会への当事者の意見表明権の保障も必要だ。こうした諸課題について考えを聞く。 |
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古田福祉健康局長 |
審査会は、保健福祉に関する専門的な知識を持つ者から公正中立に選任することとされている。審査会への諮問に当たっては、個人が特定されないよう徹底したい。 |
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森議員 |
応益負担の前提となる所得確保の核心は、就労の促進だ。障害者雇用リードすべき本市関連施設での雇用の現状を尋ねると共に、本市全体での障害者雇用の促進にどうとりくむのか、具体的に聞く。 |
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山出市長 |
市長部局では法定雇用率2.1%のところを2.3%、教育委員会では2.0%を3.25%、企業局では2.1%を2.33%となっており、いずれも法定雇用率を上回っている。民間に対しては、国の継続雇用奨励金制度を独自に継続していること、ジョブコーチを国に先駆けて導入することをやってきた。これらをさらに拡大することが大切だ。事業主の理解と協力が得られるよう、啓発したい。 |
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森議員 |
重度障害のある人の就労と地域社会参加に積極的な役割を果たしながら、苦しい経営を強いられている小規模授産施設の経営の安定化のため、法定福利費用の市費負担、家賃全額補助、指導員の配置基準の切り上げ、指導員人件費基本額の切り上げなどの支援の拡大が急務だ。助成制度の見直しについて所見を伺う。 |
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山出市長 |
厳しい状況を抱える施設があるやに聞いている。現在、重度の通所者の割合に応じて加算している。施設の状況、他都市の動向を研究し、対処したい。 |