2021年9月定例月議会報告
9月13日(月) 本会議一般質問 森 一敏議員(一問一答)
【質問骨子】
1.新型コロナウイルス感染症罹患に関して
(1)医療現場、保健衛生現場の今日的状況への懸念
(2)地方の公的病院病床数削減の動きに対して
(3)ワクチン接種に関する課題について
2.ガス事業・発電事業の譲渡関連議案について
(1)仮契約における「誓約事項」の法的効力
(2)「禁止事項」への但し書きについて
(3)本市が行使できる権限について
(4)ダクタイル鋳鉄管A型の未更新について
(5)発電用水利権に係る無許可改変等の問題について
(6)法定外公共物管理条例に関して
(7)コスト削減と保安周期延伸について
(8)2016年度プロジェクトチーム提案に関して
=本会議質問映像は以下に=
【一問一答の議事録】
2021年9月定例月議会 一般質問 森 一敏 2021年9月13日
森議員・みらい金沢の一員としまして、御質問させていただきます。
まず、私は、8月20日より、新型コロナウイルス感染症で13日間の入院治療を受けました。本日質問を行えるのは、ひとえに主治医をはじめ、看護師チームの献身的な治療、介護のおかげです。また、市当局、保健当局、本市議会に様々な御配慮、また、市民各位からもお気遣いを多数頂戴いたしました。深甚から感謝を申し上げます。入院困難の実態、自宅での急変などを聞くにつけまして、医療提供体制の整備、強化への政治、行政の責任を痛感いたします。以下、御質問いたします。
1.新型コロナウイルス感染症罹患に関して
(1)医療現場、保健衛生現場の今日的状況への懸念
まず、第1です。医療現場、保健衛生現場の今日的状況への懸念について。数多くの新型コロナウイルス感染症患者の治療に当たってきた市立病院の医療現場、また、発熱者相談からPCR検査、検体の移送、陽性者への連絡、移送、入院調整への関与、接触者の追跡調査と検査要請と多様な業務を担っている保健所、感染患者発生から1年半を超え、医療と保健衛生の現場で厳しい状況が長期継続していると推察できます。これら現場の今日的状況について伺うとともに、解決すべき今日的状況、解決すべき課題についてもお聞かせ願います。
山野市長:医療と保健所を分けて御説明申し上げたいと思います。金沢市におきましては、現在、基幹型病院と協力型病院が連携をしながら、軽症から重症までの患者の受け入れ態勢を整えています。金沢市立病院ですけれども、感染拡大に合わせ専用病床を増やし、中等症患者を中心に受入れを進めるとともに、自宅療養患者につきましても、急変時の受入れなど適切に対応しているところであります。特にこの第5波におきましては、子どもの感染が増えてきているところでもあります。今後は子どもの感染者が急増した場合における受け入れ態勢を確保していくということが、重要な課題だというふうに思っています。保健所のコロナ対応は、疫学調査、患者移送、入院調整など多岐にわたっており、感染者の増加に伴い、業務量も増えてきているところであります。保健所の職員を増員するほか、他部局からの応援職員の派遣もしているところであり、運営体制の強化に努めているところであります。引き続きその体制の強化を図っていくとともに、適正かつ効率的な業務の進め方についてもさらに検討する必要があるというふうに考えています。以上です。
森議員:大変御苦労が多いことだと身をもって感じておる次第でして、ぜひこの点については、議会とも十分協議をしていただいて、充実の方向で取り組んでいただきたいと思います。
(2)地方の公的病院病床数削減の動きに対して
2点目に、地方の公的病院の病床数削減の動きに対して御質問いたします。
この状況下でも、厚労省は地域医療構想に基づく公的病院の病床削減策を止めてはいません。新型コロナ感染症患者の病床確保、医療スタッフ体制強化に腐心する状況に鑑みて、病床数削減に対して地方の声をより強く発信する必要を感じますが、御所見を伺います。
山野市長:金沢市立病院のあり方検討会におきましても、災害医療と感染症医療、これは公立病院が責任を持って担っていかなければならないということは明記をしています。いみじくも今回のコロナウイルス感染症におきまして、公的病院の役割、その重要性というものを改めて認識されたというふうに私は思っています。国におきましては、今回の感染症におきまして地域の医療資源の偏在が明らかになったことを受け、今後の地域医療構想の検討において、医療人材と病床の確保に関する一体的な議論を開始したということをお聞きしています。この構想に基づき、令和6年度から各都道府県の医療計画が策定され、本市の医療供給体制にも影響がありますから、この動向を注視していかなければならないというふうに思っています。ただ、今ほど申し上げましたように、今回でこの公立病院の持つ役割の大切さということは、我々市民も国も強く認識してきているというふうに思いますので、その思いを様々な場面で伝えていきたいと考えています。
(3)ワクチン接種に関する課題について
森議員:3点目の質問です。ワクチン接種に関する課題について伺います。まず、6月、エッセンシャルワーカーへのワクチン優先接種が課題となりました。学校現場の教職員への優先接種も話題となりましたが、見送られました。初期段階のワクチン接種実施本部と市教育委員会との連携に課題はなかったのか、御所見をまずお伺いいたします。
山野市長:6月21日に、この議場におきまして全員協議会を開催させていただきました。今ほどお話しありましたように、いわゆるエッセンシャルワーカーで、森議員のほうから教職員のことも御提案をいただきました。私は、そのときに教職員と、ほかに公共交通機関の従事者のことも触れて、検討させてほしいというふうに申し上げたのが21日でした。早速、もちろんその前から様々な準備をしておりましたけれども、その3日後、24日、国のほうからワクチンの供給が十分できないと、25日には職域接種を全て止めるということが発表されてしまいました。様々な準備をしておりましたけれども、思うに任せない状況になりました。ただ、教職員の方に早く受けていただくことは大切だという思いを持っておりましたので、市内200を超える医療機関、それぞれの地域地域で接種をしていただいておりますけれども、予約のキャンセル等々が発生した場合は、優先的に地域の学校に声をかけてほしいというお願いをいたしました。各学校にもそのための名簿の作成等々もお願いをしたところであります。スムーズにいったところも、必ずしもそうではなかったところもあったようではありますけれども、引き続き、様々な柔軟な対応をしていかなければいけないというふうに思っています。早い段階でお答えできなかったことは申し訳なく思っておりますけれども、今申し上げた事情も御理解をいただければというふうに思っています。
森議員:私も学校の状況、それから金沢特有の条件、様々なものが難しい点があったなということは、私なりに理解はしております。今後ともよろしくお願いいたします。
さて、次に、ワクチンに関してですが、SNS上を飛び交うワクチン接種をめぐる情報の真偽について、昨今、大きく取り上げられております。ワクチン接種は自己決定が大前提であるということは揺るぎがないと思いますが、その判断に必須な正確、客観的な情報の共有について、本市としての考え方、取組をお尋ねいたします。
山野市長:さきの質問でも申し上げましたが、まず、接種券をお送りする際に、ワクチンの効能や副反応等に関する説明書を同封いたしました。また、市のホームページにもそうであります。コールセンターも設けているところでもあります。また、国のほうでも様々な正しい情報を発信しているところでもありますので、そういうものも促していきながら、市民の皆さんに正しい情報を認識していただきながら御判断をいただきたい、ぜひ引き続き、その活動は続けていきたいと考えています。
森議員:私自身もワクチンのことをより真剣に考えるようになったという思いがありますので、ぜひ本人判断というものをしっかりサポートできるような、そういう体制でぜひ臨んでいただきたいと思います。
2.ガス事業・発電事業の譲渡関連議案について
それでは、2点目、ガス事業・発電事業の譲渡関連議案について御質問いたします。
今議会へのガス・発電事業の譲渡関連議案の提出は、拙速を戒める議会内外の多くの声がある中、遺憾に思います。議案は、両事業を廃止するための企業局設置条例一部改正案とともに、市有財産条例に基づくガス事業・発電事業の財産処分、出資のためのガス事業・発電事業それぞれの特別会計歳出補正予算から成っております。以下、譲渡に関して御質問いたします。
(1)仮契約における「誓約事項」の法的効力
その1番目、仮契約における「誓約事項」に関して、根拠とされ続けてきたあり方検討委員会答申の留意事項を具体化したとする要望、募集要項に関する内容は、仮契約では第14条、14事項から成る誓約事項に記載されております。これに法的な効力があるのか、見解を伺います。
山野市長:仮契約は、民法上の契約であります。当事者双方に契約に定める権利、義務関係が発生いたします。そのことにより法的な担保や拘束力が契約を根拠として発生することは、私は当然のことだというふうに思っています。双方の合意により、信義に従い誠実に履行することが求められており、誓約事項は当然遵守されるべきものだというふうに考えています。
森議員:全体としては仮契約、その中で、この募集要項に関する内容がなぜ誓約事項となっているのか、これはいかがでしょうか。
平嶋公営企業管理者:いわゆる募集要項で定める前提条件として市が定めた事項について、その内容に沿って企業グループのほうから提案がされて、その提案内容を確実に遵守していただくために、仮契約の中で誓約事項として定めさせていただいた、そのように御理解をお願いしたいと思います。
森議員:基本的に、誓約事項というのは一方的にお約束をするという意味なんです。ですから、相互の効力という問題について、私はそれと同等のものが誓約事項だというふうには理解することができません。これについて期待というものがある、それはそうだと思いますけれども、誓約事項という以上は、約束をした側のいろんな事情が生じたときにこれが本当に履行されるのか、それを法的に縛れるのか、これについて疑義があります。このあたりをさらに検討していただかなければならないと思っています。
(2)「禁止事項」への但し書きについて
2点目、禁止事項です。禁止事項へのただし書の意図です。仮契約第31条は禁止事項です。事業譲渡から10年間の合併、会社分割、事業譲渡、株主構成等の重要な変更、重要な事業用資産の第三者への譲渡は禁止です。しかし、これに新会社が本市と協議し、本市が承認した場合はこの限りではないと、ただし書が付されました。このただし書の意図、仮契約記載の経緯を伺います。
山野市長:事業譲渡に当たり、市民の安心感、サービスの安定性を確保するために、10年という期間を再譲渡等の禁止期間としたところでもあります。ただし書の規定は、先行する他都市の譲渡事例におきましても設けられているところであります。本市におきましては、他都市の事例よりも長い10年という期間にさせていただきました。市の承認につきましては、今後の事業環境の変化の中で、市民サービスの維持向上や事業の持続性確保に資する場合など、個別具体的に判断をしていくことを想定しています。譲渡後、経営状況を含めサービスの実施状況などを確認し、責任を持って取り組んでいくものであります。
森議員:市長が今御答弁されたのは、あくまでも原則ということになるかと思います。これは当然のことだと思います。しかし、ただし書というものがつきますと、これが10年という期間よりもさらに短い期間で一定の判断に至るという可能性が出てくるというものです。私、建設企業常任委員会で参考人の一人として、選定委員長の草薙委員長が招致に応じてくださいました。そのときに委員長に直接お伺いしたんですけれども、この禁止事項というのは一体なぜあるんですかということを聞きました。そうすると、公共的な市民共有資産ですので、これが弄ばれるということがないようにこの禁止事項を定めております。こういう御答弁です。金沢市は、10年ちゃんとやってくださいよということを禁止事項に原則として書いた。だけれども、そこにただし書がついたと、これはどちらの申出なんでしょうか。経緯に関わって改めて確認しておきたいと思います。
平嶋公営企業管理者:選定委員会の検討の中で、いわゆる禁止事項として、これまでの先行事例をいろいろ参考にする中で、おおむね3年から5年というのが通例となっております。ただ、選定委員会の中では、今御指摘ありましたように、やはり市民の皆さんへの安全・安心といったような部分も含めて、もう少し長い期間、やはり禁止事項として定めるのが適切ではないかといったような議論の中で、最終的に10年ということで禁止事項を定めた。ただ、様々な経済状況というのは、今後の見通しというのはなかなか難しいところもありますけれども、そういう変化に対して、いろいろな状況の変化の中でただし書というものを、これも先ほど市長のほうから申し上げましたけれども、通常、先行事例におきましてもそういった規定というのは設けてございますので、私どもとしてもそういった規定を設けるということで、企業局のほうで、選定委員会のほうで提案をいたしまして、先行事例もお示しをしながらこの規定というものが設けられたということでございます。
森議員:ちょっと細かいことかもしれませんが、私が確認したいのは、仮契約の禁止事項の中にこれが加えられて、ただし書というものがあるのかと認識したんです。ですから、仮契約の締結に当たって、どちらがこれを申し出たことによってただし書が付されることになったのかと、これがちょっと明確でないので、もう一度お答えください。
平嶋公営企業管理者:ただし書の規定につきましては、選定委員会の中で、いわゆる優先交渉権者が設立する新会社と締結をする仮契約の中で、ただし書規定というものも設けるということが先行事例でも通例になっているということで説明を申し上げておりますので、それを踏まえて、仮契約の協議の際には、新会社のほうと私どものほうでそういった線に沿って協議を行ってきたというところでございます。
森議員:もう一度確認いたしますが、それでは、選定委員会の中の協議の中でこのただし書ということについて話を出していかれたのは、事務局である、企業局側であると、こう認識してよろしいでしょうか。
平嶋公営企業管理者:考え方として、企業局のほうからそういった禁止事項の年数、そしてただし書の規定、そういったようなものをお出ししております。
(3)本市が行使できる権限について
森議員:次の質問にまいります。
本市が行使できる権限について伺います。第29条に、これは仮契約、3%以上の議決権比率を維持する間は会計帳簿閲覧謄写請求等の権利を有するとしております。この権利の実効性はどういうものと認識しておられますか。また、禁止事項に絡み、5年後を目途とする経営確認期間が設定されておりますが、確認期間後も本市の権限が及ぶのか、エネルギー事業譲渡への公的ガバナンスの観点から伺います。
平嶋公営企業管理者:経営状況の確認期間中におきましては、今御指摘いただきました会計帳簿閲覧謄写請求権などのいわゆる出資に基づく権利、それから、これも仮契約の中に規定してございますが、事業経営計画や財務諸表などの報告徴収に基づく権利、そういったようなものを併せまして、新会社に対しまして円滑な事業承継の状況でありますとか提案内容の履行の状況、そして経営状況などを確認していくということになります。なお、譲渡日から5年をめどに事業の承継や経営の安定化の状況などを確認しまして、経営確認の継続の必要性といったものを判断していきたいというふうに考えております。本市では、これは環境の部分の基本計画におきましても、地域のエネルギー政策につきましては、市民、事業者、行政など全ての主体がそれぞれの責任と役割を認識して、連携、協力して取り組むということになっておりまして、この仮契約の中でも、新会社とSDGsに関する包括連携協定を締結いたしますことで、円滑な連携が図られ、ガバナンスも果たされるというふうに考えております。
森議員:最後に、公的ガバナンス、確保できるという答弁も今いただきました。しかし、新会社の意思決定というのは、あくまでも株主総会になりますね。3%ということは、今おっしゃったように、財務諸表等々の資料の閲覧をし、それをコピーするということができるということなんですね。このことが経営とか利潤の論理と様々な衝突が生じるような状況になったときに、公共的な立場からその否定的な流れが仮に起こったときに、それを是正するようなそういう権限が本市にあるんですかということを聞いているので、それが私の趣旨なんです。これはいかがでしょうか。
平嶋公営企業管理者:そういった御懸念もあるがゆえに、いわゆる出資だけではなくて、まさに契約に基づいて事業経営計画、あるいは財務諸表、そういったものの報告徴収といったようなことも契約の中に規定をさせていただいて、新会社の状況というものをきちっと市として把握をしていくと、そのことでそれを担保していきたいと、そんなように考えております。
森議員:時間の関係で先に行きますけれども、それが実効性というものとは、私は、理解ができないです。期待はあると思います。それから社会的責任がありますから、それはしっかりやっていただくというのは当然のことなんですけれども、繰り返すようですけれども、利潤とか経営の状況、これがやはり優先されるというこの問題にどう対処できるのかというのは、私は、課題として残っているというふうに思わざるを得ません。
(4)ダクタイル鋳鉄管A型の未更新について
次の質問に移ります。4点目、ダクタイル鋳鉄管A形の未更新問題です。譲渡予定資産の中に、地震時に継手が抜けてガス漏れを起こす可能性があるダクタイル鋳鉄管A形について、私の求めに応じて、常任委員会で更新予定が報告されました。今年3月時点で総延長177キロ、事業実施期間は2021年度、本年度より2043年度頃までの23年間、全体事業費約260億円が示されました。この更新予定について詳細な説明を求めるとともに、譲渡を前提とする新会社との関係上、更新予定の位置づけについてお答え願います。
平嶋公営企業管理者:今御指摘ありましたダクタイル鋳鉄管ですが、本市では、令和2年度に白ガス管という、これは耐震性の弱いものですけれども、その白ガス管の更新を完了しております。その次に今御指摘あったダクタイル鋳鉄管の更新に着手をしていくということでございまして、今後の見込みは今議員御指摘のとおりでございます。これはまだ具体的に箇所づけをしているわけではございませんで、全体の見込みとして約23年間で工事費260億円を見込んでいるということで、先般、常任委員会のほうへ報告をさせていただきました。優先交渉権者からの提案では、耐震化につきましても積極的に進めていくということで提案がされておりまして、新会社において適切に進められていくというふうに考えております。ガスの保安というのは、まさにガス事業の生命線でございます。これは公営、民営を問わず、現在も将来にわたりましても安全性を重視して取り組む姿勢は変わらない、そのように考えております。
森議員:新会社との間、これは基本的に、まず前提としては、新会社が取り組むというふうに考えていいということですね。そのことは仮契約に当たって相当詳細に報告した上で、これは仮契約に至っているのでしょうか。ここの経緯、これをお尋ねします。
平嶋公営企業管理者:更新の年数、あるいは工事費の規模、これはあくまで市としての考え方、試算でございます。ですから、新会社のほうでは事業譲渡を受けた後、それぞれの会社において、これらダクタイル鋳鉄管を含めて、老朽管の更新について改めて会社としての計画を立てながら整備をしていくということになります。
森議員:私のところには、こうした課題、これをちゃんともともとの事業者である企業局がしっかり対応して、その上で譲渡について検討するのが筋だと、無責任じゃないかと、こういう声も当然届いております。後ほど質問でそれを予定にしておりますが、新会社はこういう更新計画とか、こういうものを効率化するという方向性を持っているんです。ですから、今のお話だと新会社が決めるんだと、そうすると、23年間というこの更新予定というものがさらに延伸していくという可能性も出てくるのかなと、このように今私は感想を持ちました。それにとどめておきます。
(5)発電用水利権に係る無許可改変等の問題について
5番目です。発電用の水利権に係る無許可改変等の問題についてです。譲渡予定の発電施設に河川法第23条に抵触する違法な取水施設、無許可改造、第26条に抵触する違法な河川占用物といった不適切設備が存在しているとの指摘があります。この種の法令遵守違反事例が多発したため、国土交通省が平成19年度に各河川管理者に調査を命じたことを受けて、石川県は企業局にも調査報告を求め、企業局は上水発電課長の名前で平成20年3月に再点検報告書を提出しております。同じ年の8月に是正計画書も提出をしております。私は、この石川県照会並びに再点検報告書の存在を県でも確認しておりますが、報告事実と実態に関して経過説明を求めます。この問題は、出力1,000キロワットアワーを超える上寺津発電所の水利権譲渡を含んでおりますので、石川県、さらに北陸地方整備局に及ぶ精査が行われる、これに影響が必至ではないかと思いますが、併せて認識を伺います。
平嶋公営企業管理者:御指摘の再点検でございますが、今お話しありましたように、平成19年、全国的な国交省からの指示に基づき、石川県におきましても指示がございまして、そこで実施をしたということでございます。その結果でございますが、まず、いわゆる流水の占用に関しましては、取水量を測定するため、流量計というものを当時設置しておりましたけれども、その設置の位置が若干不適切ではないかというようなことで、河川法上の許可水準以上に流水をこれは使用するおそれがあるということでございますけれども、そういった御指摘もありましたので、その流量計をさらに追加をいたしまして、これは当時既に是正を行っております。一方で、先ほど法26条という御指摘がありましたけれども、これは工作物の設置であったり改修ということでございますが、これにつきましても、監視カメラ、あるいはフェンス、階段、手すりといったような安全対策に資する工作物などの設置を行っておりましたが、当時、これもその内容については報告を県のほうへしております。ただ、ここへ来まして、その中で県に対して許可申請が必要ではないかといったようなことが、今確認中でございまして、既に河川管理者である県と協議を行っておりまして、今後必要な手続を完了したいというふうに予定しております。以上でございます。
森議員:23条の関係は是正、そして26条関係が実際には今残っていると、その状態にそのまま置かれている、このように理解をいたします。違法状態のまま譲渡手続を行うとして、これが事実関係、これは間違いないですね。
平嶋公営企業管理者:当時、今申し上げましたように、その工作物等について、県に報告をしてあるということは間違いございません。ただ、その手続として、許可申請などの関係書類で必要なものが中にはあるといったようなことはここへ来て分かりましたので、そのための今後の是正について現在検討、協議をしているということでございます。
森議員:相当の年数がたっていますよね。その間、何ら26条関係の正規な手続というものが行われずに今日まで至っている、これは非常に遺憾に思います。その状態で譲渡手続に入る、これも問題があると言わざるを得ません。文書は残っていないんですよね。メモもないと書いてあります。そして、相互に影響は少ないという相互了承を得たことが許可されたと判断してしまったという、落ち度がちゃんと理由書の中にも書いてあるにもかかわらず、今日に至るまでその部分の是正がない。これは地方整備局が絡みますから、通例で1年はかかると言われているんです。1年ですよ。そのことを申し上げておきます。
(6)法定外公共物管理条例に関して
次、6点目、法定外公共物管理条例第12条による権利譲渡禁止規定、これについて。他方、本市は県管理の2級河川、犀川からの取水に加え、本市が所管する普通河川7か所の取水により発電しています。この利水の権利は、本市法定外公共物管理条例第4条によって許可されたものを県知事が水利権として改めて許可をすると、こういう手続です。この条例第12条は、他人への権利譲渡を禁じております。水利権の譲渡はできないはずです。見解を求めます。
平嶋公営企業管理者:御指摘いただきましたとおり、本市の条例の規定上、法定外公共物使用の権利譲渡はできませんけれども、今回、今提出しております議案をお認めいただければ、事業者を変更するため、企業局は法定外公共物使用の許可の廃止の手続を行いますし、新会社は条例の規定に基づきまして新たに許可を受ける、その手続に入ることとなります。以上です。
森議員:この利水に関わって、利水というのは非常に厳密な権利関係なんですよね。ですから、これに関わって法定外公共物管理条例という規制をかけて、公が責任を持ってこの権利が濫用されたりすることがないようにという趣旨でこれを設けている条例だと、私は思うのです。そうすると、今の話だと抜け道といいますか、この条例の趣旨そのものを骨抜きにするような、こういうイレギュラーな手続を弄している、それで譲渡へ持っていこうと、こういうことですね。これは道義的にもどうなんでしょうか。地方自治体として、私は無理があると思います。水利権の譲渡はできないんじゃないでしょうか。
(7)コスト削減と保安周期延伸について
次にいきます。新会社のコスト削減と保安周期の延伸についてです。新会社の提案で、特に生産性の向上、すなわちコスト合理化等の一環で提案されているガス保安点検周期の最適化、中身は10年間から15年間への延伸、発電では更新周期、例えばオーバーホールで5年、ダム線取替えに24年も延伸をする、こういうことに対して安全上の懸念があります。主要設備におけるこうした延伸の安全性を担保する根拠データは検証されているのでしょうか。伺います。
平嶋公営企業管理者:御指摘の点検周期でございますけれども、こういった点検周期を含んだ設備の保安規定につきましては、それぞれの事業者が国に届出をすることになっておりまして、そのことが安全性を担保する一つの要素となっております。なお、点検周期につきましては、それぞれの事業体においてこれまでの経験値、あるいは最適化を図るために様々な工夫を行っておりまして、その中で維持管理を行っているもので、今回の提案につきましても、それぞれの年数の中で安全性を確保できるというふうに考えております。設備の安全性の確保は事業者の責務でございますので、生命線というふうに考えております。
森議員:本市は10年という規定に基づいてやってこられたと聞いております。そうすると、本市のプラント、10年という周期でやってきた、これがその延伸に本当に耐えられるのかどうなのかというプラント上の根拠データ、そういうものは検証されているのか、これはいかがですか。
平嶋公営企業管理者:これまで企業局が行ってきました点検周期に基づく点検結果、そういったようなことについては、当然譲渡が正式にお認めいただければ、そういったデータにつきましても新会社のほうへ提供しながら、確実な保安点検といったようなものをしていくべく、調整をしていくということになろうかと思います。その中で、提案のあった、私どもは10年ですが、提案では15年というふうになっておりますので、その15年の中でしっかり取り組んでいっていただきたい、そのように考えております。
森議員:こういう安全性に関わる問題について、ほとんど市民の方々は御存じないんじゃないかなということを思います。非常に懸念いたします。
(8)2016年度プロジェクトチーム提案に関して
8点目、プロジェクトチーム提案に関して。自由化を織り込んで策定された経営戦略2016に基づいて、電力自由化対応プロジェクト、ガス自由化対応プロジェクトなど、6つのプロジェクトチームが料金体系、ポイント還元、売電方式の検討、売電利益のガス、水道管更新への還元など、地域貢献提案を行っています。この時期に、別途職員アイデア提案制度、これも活用されていますね。強みである5事業一体経営によるシュタットベルケ型の経営転換、公営で競争時代を乗り切る展望、最優秀提案として評価されております。この提案がその後どう生かされたのかお伺いします。
平嶋公営企業管理者:御指摘の職員からの提案につきましては、幾つかございましたけれども、実施に当たって、例えば独立採算制や総括原価方式の下でセット販売のための値引きが困難である、あるいは法令等の制約が多くあったことなどから、アイデアとしては評価をされましたが、実現性の観点からは難しいと判断したところでございます。
森議員:エネルギー政策に関して、時間がなくなったようです。これは改めて委員会等を通じて、さらに議論させていただきたいと思っております。以上で質問を終わります。(拍手)
【譲渡関連議案に対する反対討論】
反 対 討 論 議席番号24 森 一敏 2021.9.17
私は、ガス事業発電事業の一体譲渡関連議案である、議案第22号ないし第25号、第32号ないし第33号、議案41号の7件に対し、反対の立場から討論します。
その理由は、第1に、2019年度両事業のあり方検討委員会設置以降、100年に及ぶ両エネルギー供給事業の公共的な役割への信頼と譲渡理由に納得がいかないとの多くの市民の意見が寄せられてきました。その声は未だに鳴りやみません。議会としても、本会議での議論はもとより、所管である建設企業常任委員会をはじめ、民営化に関する特別委員会、決算審査特別委員会を通して拙速に陥らないよう求める意見を市ならびに企業局当局に申し上げてきたところです。しかしながら、手続上の透明さ、意思決定過程の不適切さ、自治体・公営企業組織としての合意形成への疑問は深まる一方です。
加えて、ここにきて、水利権の権利譲渡に絡む河川法上の法的手続きの不備が13年間にわたって放置されてきた問題が浮上しています。出力1,000kw/hを超える譲渡予定ダム施設の規模から必要とされる国交省北陸地方整備局の許可手続きが、仮契約上の譲渡期限に間に合うのか、今後の展開は不透明です。こうした状況にあって、このまま歴史的な市民の共有資産の譲渡・売却を容認議決することは、信義則に反し、この先に、市民に大きな損害をもたらしかねません。本議会として、二元代表制に求められる市民の福祉増進のために、適正な事務執行を促す責務を放棄してはなりません。この議決責任の重さについて、議員各位におかれては、深く思いを巡らせておられると思います。本市議会の歴史に、議員各位の良識を刻まれることを是非とも呼び掛けるものです。
第2に、今日、地球環境と社会の持続可能性を担保する課題としてコモンズ・共同社会的管理制度が再評価されています。その基礎的インフラである両事業は、社会的共通資本として次なる時代の課題、即ち脱炭素・ゼロカーボンシティを達成する自治体エネルギー政策において、その工夫ある利活用が期待される有力な資産です。 自治体新電力をはじめ各自治体が必死になって自前のエネルギー生産能力を獲得しようと努力している中、それに逆行して本市が両エネルギー資産を譲渡・売却することは、あまりにもったいない。CO2実質ゼロを目指す市場の縮小時代にエネルギー供給と脱炭素化を両立させるべく先駆的な挑戦を担うガス事業、全国の市営電気事業では唯一の存在である本市水力発電事業は、時代の趨勢から、その将来価値がさらに高まっていきます。
こうした類稀なエネルギーインフラを手放すことは、主体的で特色ある施策を信条とする本市が採るべき道ではありません。本市が両エネルギー資産を活かし、自治体としての先導的な役割を果たしながら、民間事業者、市民団体そして市民との共同により気候変動対策を永続的に推進することこそが、真に市民に対し責任を負うことであると考えます。
結びに、この譲渡問題に対して、両事業の関係者かと思われる方々から、これを守り育ててほしいとの真情あるある声の数々、また貴重な情報が相次いで寄せられてきました。また、365日24時間体制を築いてのガス、上下水道の一体保安体制への大きな信頼が市民の中にあることが分かりました。両事業に携わる現役職員の公営企業職員としての愛着、誇りの念にも触れることができました。これらは、数値で表せない本市の大きな財産です。その独自の発展の可能性を私は信じてやみません。
事情は異なる面はあるものの、仙台市は先般、ガス事業の来年度中の譲渡を断念しました。松江市も慎重対応に転じています。これらの情勢に鑑み、果たして今なのか、本市にも立ち止まって再考するチャンスがやってきていると思うのです。重ねて、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。