1.分権時代の教育のあり方について
分権教育のありかたについては、相当の論議を要するが、先般、戦後民主教育を根底で規定してきた教育基本法が、二分する議論の中で改定されたことは、分権の流れに逆行して国家管理の志向が色濃くなることを危惧させる。こうした情勢にあって、市教委は、「金沢市における分権型教育のあり方を考える懇話会」を設置し、採用から人事異動、任用までの人事権限、人件費負担、また学校経営における校長の権限、学校評価のあり方、地域・保護者の参画、そして教育委員会のありかたに到る幅広い課題について検討を始めている。「内からわき出すモチベーション」をどう引き出すか、教育行政と学校、教職員との新しくかつ民主的なパートナーシップの確立こそが核心である。
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森議員 |
そのために、教育委員会の学校訪問を含めた研修や指導助言機能を「上から指導する」から「それを支援する」に質的に転換する。人事管理や人事評価システムを含めた校長と教職員との協力協働のパートナーシップを確立する。言うなれば、教育行政と学校現場との垂直的な関係を水平な相互関係へといかにして転換するかについて、懇話会に於いて斬新な発想での検討を期待するが、石原教育長の所見を伺う。 |
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石原教育長 |
懇話会はこれからの金沢の教育のありかたを総合的に検討していただくために設置した。教育行政と学校の役割責任のあり方についても、活発な議論がなされるものと期待している。 |
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森議員 |
次に、教育行政の主たる任務に立ち返り、近い将来の任命権者或いは採用権者として、学校職場の実態調査を行い、少人数学級や図書館司書をも視野に入れた教職員配置のあり方、つまり土台となる教育条件のあり方を大胆にお示し願いたい。懇話会事務局には市長部局からも参加していることから、市長部局の役割と責任について山出市長はどのような展望をお持ちなのか併せてお尋ねする。 |
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石原教育長 |
今後人事権移譲にむけた国の具体的な法改正の内容を見極めながら、検討していきたい。 |
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山出市長 |
市としても学校現場の自主性を高める分権型教育の推進に向けて、そのための環境づくりに努めたい。財政面では従来の制度は変わっていないが、市としてこれまでも特別支援教育指導補助員、ALT、スクールカウンセラー等の配置を市費で行ってきた。今後とも人事権や税財源の移譲等の動向を注視しながら、分権時代にふさわしい教育予算の充実をめざしたい。 |
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森議員 |
教職員の健康保持に対し、責任ある対応が求められる。子どもたちの闊達な成長に対応できる学校の健全さを取り戻すことは喫緊の課題だ。これは早急な対応を求める。 |
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石原教育長 |
教職員の健康については、学校訪問、校長、校医からの報告によって把握に努めている。定期検診の全員受診に向けた取り組みを強めている。労働安全衛生法の改正よって、今年度より産業医による面接指導体制を整備し、周知を図っている。今後は特定事業主行動計画の周知徹底を図り、金沢市立学校安全衛生委員会の審議を通して教職員の健康維持に努めていきたい。 |
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森議員 |
分権型教育のあり方を検討するに当たって、今後、県教組金沢支部とどのようなコミュニケーションをはかり、パートナーシップを構築しようとするのか。 |
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石原教育長 |
分権型教育を実現するためには、教育委員会、学校、教頭だけではなく、教職員が協力し、一体になって取り組むことが大切だ。 石川県教組金沢支部とは、これまでも情報交換を行っているが、これからも必要に応じてコミュニケーションを図っていきたい。 |