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森一敏
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 2006年12月定例会 質問の全文

1.分権時代の教育のあり方について
 
5期目の山出市政は、いじめをはじめ教育問題が国民的な議論ともなる中、2007年度予算編成方針で、「心豊かな人づくりの推進」を掲げ、「教職員人事権の中核市への委譲を見据え、中学校選択制の充実を図るなど、地方分権時代にふさわしい教育の推進に取り組む」としました。民主的な教育は本来分権であるべきと考える私は、分権型教育を目指す方向性に賛同するものです。しかしながら、分権教育のありかたについては、相当の論議を要します。また、先般、戦後民主教育を根底で規定してきた教育基本法が、二分する議論の中で改定されたことは、分権の流れに逆行して国家管理の志向が色濃くなることを危惧させる状況です。
 こうした情勢にあって、市教委は、「金沢市における分権型教育のあり方を考える懇話会」を設置し、採用から人事異動、任用までの人事権限、人件費負担、また学校経営における校長の権限、学校評価のあり方、地域・保護者の参画、そして教育委員会のありかたに到る幅広い課題について検討を始めています。ここでは、論点を絞って申し上げます。
 今、学校現場には、説明責任の名で求められる諸報告に追われながら、不安定化する社会状況さながらに様々なシグナルを発する子ども、そして家庭との対応に寝食を忘れて奔走する教職員の姿があります。「最近の先生方は元気がなくなっている」と地域でよく聞かれるようになりました。今教職員が最も望んでいるのは、何と子どもたちと楽しく充実した学習を行うための教材研究であると言われます。他方苦しい立場にある子どもほど先生を頼りにし、私を見て欲しいと願っています。真のいじめ対策は数字上の実態把握などにあるわけではなく、ひとり一人の子どもたちの居場所を互いの関わり合いから見いだしていく、正に人権教育そのものであります。教職員もまた、子どもたちの中に入って、自他の尊厳への共感を引き出したいと願っているのです。学力問題が言われ、教師の指導力への要求が高まる一方にありながら、本務中の本務であると共に醍醐味とも言える授業研究すら思うに任せないジレンマは、教職員の心身を蝕んできています。これは異常な事態です。この間の懇話会での議論の中で私が最も注目するのは、千葉大学の天笠茂委員の「やらされる教育改革からの脱却」すなわち直接教育活動を担う学校・教職員集団の「内からわき出すモチベーション」をどう引き出すかという課題提起です。私は、それが教育行政と学校、教職員との新しくかつ民主的なパートナーシップの確立こそが核心であるとの課題意識と受け止め、深く共鳴致します。 
(1)そこで、まずもって求められるのは、学校が有する教育課程編成権が実質的に尊重され、自発性をもって創造的に教育活動が営まれるようなダイナミックな学校をいかに再構築するかです。そこでは、全国的な大綱的基準に基づきながらも、個々の教職員の教育理念に裏打ちされ、子どもや地域性、社会的な課題を踏まえたカリキュラムが、教職員集団の自由な討議とコンセンサスを得て編成され、実践されるのです。そのために、教育委員会の学校訪問を含めた研修や指導助言機能を「上から指導する」から「それを支援する」に質的に転換する。人事管理や人事評価システムを含めた校長と教職員との協力協働のパートナーシップを確立する。言うなれば、教育行政と学校現場との垂直的な関係を水平な相互関係へといかにして転換するかについて、懇話会に於いて斬新な発想での検討を期待しますが、石原教育長のご所見をお伺いします。
(2)次に、教育行政の主たる任務に立ち返り、近い将来の任命権者或いは採用権者として、学校職場の実態調査を行い、少人数学級や図書館司書をも視野に入れた教職員配置のあり方、つまり土台となる教育条件のあり方を大胆にお示し願いたいと考えます。石原教育長のご所見をお伺いしますと共に、懇話会事務局には市長部局からも参加されておりますことから、分権時代の教育財政に対する市長部局の役割と責任について山出市長はどのような展望をお持ちなのか併せてお尋ね致します。
(3)第三に、教職員の健康保持に対し、責任ある対応が求められます。市本庁に比べても無策と言ってよいような「少子化対策のための特定事業主行動計画」の実践の立ち後れ、せっかく設置にこぎ着けた金沢市立学校安全委員会がたった年に一度の開催で機能化していないと批判される状況があります。子どもたちの闊達な成長に対応できる学校の健全さを取り戻すことは喫緊の課題です。これは早急な対応を求めます。
(4)山出市長は、先の市長選挙を通じ、分権型教育の推進に当たっては、現場の実態や思いに耳を傾けたいとの考えを示してこられました。その見識を高く評価するものです。その意味で、現場教職員を代表する職員団体たる県教組金沢支部に対して「金沢市における分権型教育のあり方を考える懇話会」に委員を求めてこられなかったことは遺憾です。人事権が本市に委譲されれば、勤務労働条件をめぐる本格的な労使関係を結ぶことになることは言うまでもありません。しかし教職員組合はそれに止まるものではなく、学校現場で教育実践と学校運営を担う教職員集団でもあるのです。先般市長に来賓としてご挨拶頂いた石川県教育研究集会は、55回を数え、子どもたちの成長の課題や地域と結んで現場から自発性をもって生み出された生き生きした教育実践が豊富に蓄積されてきました。平和を愛し、互いを認め仲間とつながる人権と共生の教育、自然の不思議と出会い環境の大切さを理解する科学教育、地域からまちの先生を招いて体験を通じて学ぶ総合的な学習、英語を通じて異文化理解と国境を超えた連帯を育む英語教育、深く作品を見つめ、表現することは生きることであることに気づかせる美術教育など、全国各地で生み出された実践は教科書に採用されたり、幾多の教育書に収められたりしてきました。分権型教育のあり方を検討するに当たって、今後、県教組金沢支部とどのようなコミュニケーションをはかり、パートナーシップを構築しようとなさるのか、石原教育長のご所見を伺います。
2.全国学力調査と中学校選択制度の検証について
 「公教育の再生」を最重要課題に掲げる安倍内閣がその範とするイギリスの教育改革、いわゆる「サッチャーの教育改革」は、約20年を経過した今日、「失敗」の総括が強まり、大きな見直しの渦中にあります。統一テスト結果で学校を競わせ、国が教育水準局による査察と評価によって学校に優劣をつけた結果、学校が序列化され、教育の階層化につながった。学校選択が、学校成績ランキング、自治体ランキングを選択材料とすることにより、成績優秀校の地域には中産階級が移り住み、定員枠を占有する一方、成績下位校の地域では低所得者層が取り残され、地価の高下など地域経済にも格差の影響を及ぼした。テスト科目への偏った授業、成績不振の生徒にはテストを免除するなどの教育のゆがみが発生した。学校を覆う抑圧感から、教員の早期退職、校長を含めた教員不足が深刻化した。そして何より、テスト結果が子どもの実力を反映したものとは言えないことが分かり始めた。このような状況に至り、ウェールズ地方政府は来年度からの統一テストを全廃することを決定したのです。テスト中心の教育が子どもに精神的なストレスを強い、「市場の論理」が「子どものための教育」を犠牲にしたと、強い自己批判が表明されています。見直しの動きはイギリス全土に広がり始めていると言われます。
 このような混乱は、「対岸の火事」と済ますわけにはいきません。日本政府が、これから政策化しようとする教育バウチャー制度や国家による学校評価制度などが「サッチャーの教育改革」と酷似しているからです。学力テストと学校選択制のそろい踏みという点では、金沢の学校教育施策にも共通するものがあります。そこで、お尋ねします。

(1)全国学力調査について
 周知のように、文科省は来春、小学校6年生と中学校3年生の全員を対象にして、国語、算数・数学の2教科で全国学力調査を実施します。50年前に始められた全国学力テストは、近年のイギリスと同様の弊害が噴出し、10年後には廃止に追い込まれました。「総合的な学習の時間」の成果の検証もなされないまま、根拠もはっきりしない「学力低下」の大合唱に押された形で全国学力調査が復活することは、点取り競争と点数至上主義への傾斜を懸念させるものです。犬山市の瀬見井教育長は、画一的な学力調査では犬山が目指す「自ら学ぶ力」は測れないと、明確な学力観の違いを理由に全国学力調査への不参加を表明して話題になりました。まさに分権時代の見識ではないでしょうか。報道機関の調査では、多くの参加自治体でも数字の一人歩き、学校の序列化への危惧から慎重な対応を検討していると回答しています。まず、参加は基本的に自治体裁量である全国学力調査に本市は参加を決定しているのかお尋ねします。
 次に、参加を決定されているならば、テスト漬けの弊害を避けるためにも本市が独自に実施してきた学力調査は廃止するのが適切であると考えますが、いかがでしょか。
 第3に、調査結果の一人歩きとそれによる学校の序列化、過度の競争への懸念に対し、文科省は、国全体および都道府県単位の状況が分かるものは公表するが、市町村名や学校名を明らかにして公表することは適当ではないとしています。学校名を挙げての結果の公表は、本市として行うべきではないと考えますが、見解をお聞きします。

(2)中学校選択制の検証について
 
二年目に入る中学校学校選択制は、来年度の受け入れ枠を40人に拡大しました。この受け入れ枠の拡大は、どのような判断の下で決定されたのかお尋ねします。また、学校間競争と格差が生じる懸念や地域と学校、何よりも地域と子どもたちとの結びつきが弱まることへの不安の声が上げられて来ました。市議会に於いても、教育委員会に対し、責任ある実態把握と分析を行い、議会への説明責任を果たすこと、必要な見直しは行うことを求めてきています。どのような体制で実態把握を行ってこられたのか、お尋ねします。
3.改正住民基本台帳法の施行に関して
 
本議会も意見書を採択して見直しを求めてきた改正住民基本台帳法が、本年11月1日より施行されています。本市は、法改正に向かう流れを先取りし、4月より独自に商業目的での大量閲覧を禁止し、閲覧規制を強めてきたところです。総務省が大量閲覧を廃止する法改正に踏み切ったことは、行政が管理する個人情報の保護にとって、大きな前進です。
 そこで、本市の具体的な対応についてお尋ねします。今回の法改正は、実際の運用については課題があることも指摘されています。今回の法改正によって、新たに「公益性が高いと認められる公共的団体が行う地域住民の福祉向上に寄与する活動」という従来からは閲覧許可の対象になっていなかったり、その事例がほとんどなかったものが許可する場合として付け加えられました。したがって、どのような場合に「地域住民の福祉に寄与する活動」と見なし、「公益性が高い」と評価するのか、明確な判断基準が確立していません。本市においても例えば社会福祉協議会や町会組織といった公共的な団体に閲覧を認める場合に個別の判断が必要になります。その場合に、個人情報保護条例に規定されている個人情報保護審議会に諮問し、判断の合理性と客観性を確保する必要が生じることが考えられます。住民基本台帳法では、こうした閲覧を外部への個人情報の目的外提供と位置づけていないため、情報保護審議会への諮問は考えられてはこなかったと思いますが、この際、個人情報保護条例の解釈運用によって、必要な場合に閲覧の是非を個人情報保護審議会に諮問する手続きを明らかにして頂きたいと考えます。ご所見をお聞き致します。

4.審議会等改革の進捗について
 山出市長は、今議会提案理由説明の締めくくりで、「市政を市民に開き、行財政改革を進める」ことを掲げ、分権時代にふさわしい自立度の高い市政推進のために市民協働のまちづくりが欠かせないと述べられました。市長は昨年の12月議会で、私の質問に対し、第三者機関としての審議会の機能を高めるために、当て職主義の改善をはじめ、審議会委員の委嘱のあり方を見直すと答弁されました。まず、あれから一年、審議会改革は具体的にどのような目標を立てて進められ、現時点でいかなる進捗にあるのかお答え下さい。
 ところで、政府のタウンミーティングでのやらせ問題が発覚して以来、本市市民の間でも「お手盛り審議会」、「結論先にありきの諮問機関」が金沢でも見られるとの声が聞かれます。こうした第三者機関の機能に強い不信感が向けられている最中、各種審議会や懇話会等が、本来の意味で自立性と自主性を担保し、市民の意見を十分に反映させる機能を確保することは、待ったなしの改革課題であると考えます。そこで、現在まで設置されてきた各種審議会や懇話会などの第三者機関或いは市民フォーラム等について、幅広い立場からの意見を得るための委員・発言者の選任、審議日数・審議時間、事務局たる担当課の機能、委員の自立的審議能力などの観点から、市当局として、その実態を調査し、改革の課題を明確にすることが求められます。審議会等の機能の全面的な見直しに対し、どのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねします。


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