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森一敏
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 2006年3月定例会 質問の全文

1.引き続いて、障害者自立支援法にもとづく障害者施策の展開について
 
障害のある当事者、ご家族、支援に取り組む方々、多くの市民から熱い注目を受ける中、06年度予算案に、障害者自立支援に関わる事業予算が計上されました。私は、厳しい批判にさらされた障害者自立支援法に基づく諸施策が、文字通り障害のある人の「自立支援」となるには、経済的破綻の防止、ニーズに対応した地域生活支援サービスの構築、収入と自己実現につながる実効ある就労支援が三位一体の要件であると考えてきました。市長におかれても、その認識は共通のものがおありと考えます。そこで以下の点、お伺いします。
(1)居宅サービス利用世帯に対して、本市独自の負担緩和事業費が計上されました。歓迎すべき事業案ではありますが、その額590万円。対象を極めて狭く絞り込んで、いかにも小振りです。他都市ではより大胆な市独自負担軽減策も採用しており、経済的支援の実がどの程度得られるか不安に思います。見解をお伺いします。
(2)障害程度区分認定審査会を設置する条例案が上程されています。障害のある当事者の状況を的確に把握し、程度区分の認定を行うために、審査会の構成を含め、どのような点に留意していくのかお答え下さい。
(3)10月から開始される地域生活支援の事業化は、障害のある人の地域生活の展開に大きな役割を果たした移動支援、新たに重点化される居住支援、コミュニケーション支援の事業化や負担のありようをめぐり、その動向が注視されています。事業化に当たっての基本的な考え方を伺っておきます。
(4)同法のポイントとして就労支援の抜本的強化が掲げられています。予算案では、その抜本的強化が見えてはいません。そのイメージはどのようなものになるのでしょうか。

2.金沢の教育について
 「学校教育金沢モデル」と銘打たれた二学期制、金沢スタンダード、そして小中一貫英語教育特区が実施されて2年が経過しようとしています。全国的に注目度が高いといわれるこれらの教育がどのような実態にあるのかを含め、金沢の教育を子どもたちや学校現場の視点から見つめた私なりの検証点を申し上げ、見解をお伺いしたいと思います。
 質問に先立って、本市を含め、能力主義に傾く我が国の教育の方向性に鑑みて、敢えて、OECD国際学力調査の結果が続けて最高位と評価されたフィンランド、「福祉の国は教育大国」といわれ、視察に訪れたデンマークの教育を簡単にご紹介することとします。 
 フィンランドの教育の要諦は、@家庭、性、経済状態に関係なく教育への機会が平等 A総合制で選別をしない少人数による基礎教育、格差のない高校教育 Bテストによる競争と序列づけのない、成長の視点に立った生徒評価 C学校・教職員の自主性を尊重し、支援の立場に立つ教育行政 D本務外業務から解放され、高い専門性をもち自分の考えで行動する教職員の存在です。デンマークでは、低学齢では遊びを重視し、4年生でも九九の暗唱にはこだわらないほど、ゆっくりじっくり生活に根ざして学習を積み上げる手法が取られ、人権と民主主義を様々に学ぶことをカリキュラムの中で重視していました。テストがほとんど無く、中学段階までの総授業時間数において日本より500時間程度は少ない両国が、日本と同等ないしはそれ以上の教育効果を上げていることに、教育のあるべき姿について深く考えさせられます。
 ここで金沢の教育に再び目を転じ、以下4項目についてご質問します。
(1)二学期制と金沢スタンダードの実施
 「先生が子どもたちにゆっくり、しっかり教えるカリキュラムを組むこと、子どもと向き合い、ふれ合う時間を確保すること。」そう市教委は2学期制導入のポイントを強調されました。しかしながら二年が経過し、県教組金沢支部の調査によれば、学校現場では、ゆとりと充実を実感できるどころか、ほとんどの教職員が業務の過密化を訴え、子どもたちの学力較差を危惧し始めています。私は2学期制がもたらしたゆとり喪失感に、同時に導入された「金沢スタンダード」も影響しているのではないかと考えています。市教委が必修を強く指導すればするほど、2学期制の所期の目的からの乖離がすすむという悪循環に陥ってきたのではないでしょうか。
 現場の意見で私が最も注目するのは、「基礎基本の定着が大切であり、補充発展内容は、一律に押しつけられるのではなく、各学校で子どもたちの実態に即して独自に実践することこそが大切である。」との意見があることです。金沢スタンダードを市教委が必修として課し、指導実績を厳しく監督するという現在の対応は、公教育における教育課程の編成と教育実践に関わる権限は教職員集団たる学校にあるという原則からはずれたものではありませんか。そこで、教育長にお尋ねします。
@まず、先に述べたような実感・実態が学校現場にあることを掴んでおられるのでしょうか。また、その要因をどのように受け止められますか。
A次に、全国的には3学期制への回帰も見られるようですが、2学期制の運用のありかた、抜本的見直しも含め、今後の対応に関する見解をお伺いします。
B今後は学校現場の自主性を尊重し、金沢スタンダードの取り扱いを弾力的に行うよう見直しを行うべきではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いします。
(2)小中一貫英語教育特区
 学校現場では、小中一貫英語教育の意義を6割前後の教職員が認めながら、問題点の多さを次のように挙げています。打ち合わせ時間がとれない、教材研究の時間が思うようにとれない、小学校では免許外の授業、通知表による評価への戸惑い、中学校では週3時間の人員体制のまま4時間以上の授業を受け持つ多忙感、小中連携の時間的難しさも指摘しています。子どもたちについては、基礎学力取得に苦しむ子どもたちにさらに大きな負担がかかる一方、塾で学習を進める子どもが増加して、定着、意欲両面に二極化が表れていること、また、公教育が特定業者に委託した英語能力判定を行うことの問題指摘もなされています。保護者については、積極肯定と無関心の二極化、転校生へのケアに不満を持っていることを挙げています。カリキュラムに関しては、6年生段階からの中学校教科書の前倒し使用に対して、特に中学校側から厳しい批判が出されています。それぞれの教育目標に違いがあり、中一で指導のやり直しが必要になっていること、進度を速めなければならず定着に苦労する生徒を増やしてしまうことがその理由です。教育長が自賛された副読本についても、5割から7割の教職員が小中共に内容が多く難しい、英語嫌いを加速させていると訴えています。
 来年度予算案に於いても、総額1億9千5百万円余の関連予算を計上し、特区事業の条件整備に努力される市教委当局、並びに市長部局には敬意を表しながら、以上の現場の状況を踏まえ、以下ご質問します。
@まず、英語教育についても、指摘された現場の状況について、教育長はどう把握しておられるか、ご所見をお伺いします。
A次に、新年度予算に計上された各事業は、現場の抱える課題をどのように改善しようとするものなのか、そのねらいについて具体的にお答え下さい。
B私は、一点、教科書の前倒しをとりやめることを軸とした、一貫カリキュラムの見直しが喫緊の課題だと考えています。いかがでしょうか。
C早期英語教育の功罪について議論が続いています。国際理解と国際連帯教育推進の大局的見地から、英語教育を再検討する研究協議体を作るよう求めてきましたが、教育委員長のお考えをお聞きします。
(3)読書教育
 先ほど紹介したフィンランドの教育力の基礎には、人口約56万人のヘルシンキ市に公立図書館が38カ所、家庭における一人当たりの読書量が年21冊、因みに日本では4冊といった数字や子への読み聞かせは一般的な日課になっていることに象徴される読書習慣があると言われています。私がこれまで視察した白山市、七尾市の学校図書館でも、司書の配置が劇的に子どもたちの読書意欲を高めた実績を目の当たりにしてきました。県内10市中、司書の配置がないのは、本市を含め2市だけとなりました。極めて残念なことです。当面、実施設計費が計上されている玉川こども図書館が、各学校の図書館を結んでセンターの役割を担うことに期待を寄せるものです。
 ところで、今年度、株式会社図書館流通センター(TRC)の図書発注ネットを活用したTRC提携書店からの図書購入システムが新たに導入されました。司書無き発注業務の省力化を図ろうとするものであり、多くの学校がシステム発注を利用したものと推察しています。しかしながら、システム発注にある問題点を指摘する声も少なくありません。地域の小売店や文庫活動者との間に長年培われてきた連携・学校支援という財産を失うことになりかねない、そして何より、血の通わない選書、「選書の形骸化」がすすむのではないかと危惧する声です。そうした事柄を含め、読書教育に関しお尋ねします。
@まず、図書購入システムによって発注された学校図書の割合をお答え下さい。 A学校教育の一環としての読書教育、図書購入であることを考えると、教職員が子どもたちの顔を思い浮かべ、一冊一冊本を手にとって選んでいく、そこに子どもの本に造詣の深い様々な方々とのコミュニケーションが介在していくような選書の仕方こそが、教育的に重要ではないでしょうか。選書のあり方に関する教育長の見解をお伺いします。
B三点目に玉川こども図書館の実施設計にあたり、子ども本人、子どもの読書に関わる保護者・市民の参画を得て、同こども図書館の具体的設計を煮詰めるよう求めますが、そのようなプロセスはお考えでしょうか。
C本市は新規事業として学校図書館コーディネート事業を予算計上しました。これに加えて、文科省がモデル事業として予算化した「学校図書館支援センター」推進事業に応募し、同センターの設置に取り組んではいかがでしょうか。見解をお聞かせ願います。
(4)人事考課制度本格実施に当たって
 教育実践を担う学校現場教職員の肉体的、精神的ストレスは深刻さを増しています。8割以上の教職員は一日30分の休憩すら取れず、半数以上が2時間前後の超過勤務を余儀なくされています。7割近くの教職員が本務である教材研究や成績処理業務を日々持ち帰り、土・日曜出勤も3割を超すに到っています。ご承知の通り、これらに超勤・休日出勤手当はなく、一日当たり時間にして20分弱に換算される教職調整額4%が支払われているに過ぎません。子どもたちのために大多数の教職員はこの状況に耐えているのです。
 しかしそれ以上に、現場では教育行政のトップダウンの手法に対する不満が大きく、憤りは極限にまで達していることを私は対話の度に感じています。現場の率直な思いが聞き止められない、無視されている、リーダーシップと独裁を取り違えている管理職がいる、これらは不信感となって噴き出しかねません。やらされている教育、私はこれを「教育の空洞化」と呼んでいます。
 こうした状況で人事考課制度が本格的に導入されます。一年前のこの議場で、制度への見解、危惧を表明し、制度見直しのいくつかの意見を申し上げました。客観的な基準に基づいて、説得力ある評価がなされることが必須であることは言うまでもありませんが、個々の教職員との対話、双方向の意思疎通を通じた信頼関係がなければ人事考課は子どもたちをも巻き込んで教育に荒廃を招きます。本格導入を前に、二点に絞ってお尋ねします。@信頼感の醸成のために何を行うべきか、最終評価者となる教育長の見解をお聞きします。A処遇への反映は、拙速であってはなりません。教育における外的動機付けの危険性について、十分な検討を行うよう県教委に意見反映をして頂きたい。また、本格実施後は、市教委としても職員団体との忌憚のない協議を行って頂きたいのです。併せて教育長のお考えを伺います。

3.本市の国民保護体制に関して
 
関係条例が上程されておりますが、国民保護法に基づく国民保護体制の本質を考える上で、昨年10月29日、日米安全保障協議委員会から発表された「米軍再編の中間報告」にある次のくだりが極めて示唆的です。「日本は、日本の有事法制に基づく支援も含め、米軍の活動に対して事態の進展に応じて、切れ目のない支援を提供するための適切な措置をとる。」ここでは、有事法制の一角を占める国民保護法の目的が、米軍が発動する戦争に一体化した日本の国内体制の確立にあることを隠してはいません。その戦争の本質とは、とりわけイラク戦争で明らかになった「対テロ防衛」の名による侵略戦争であったことを考えるとき、「侵略から国民を守る」という国民保護法の建前は、正当性を失い、戦争体制への市民の巻き込みという隠れた素顔が見えてくるのです。地理上の視点を変えてみれば、この日米の軍事的な一体化こそが、東アジアの国々にとっての脅威であることもまた、見えてくるのです。備えが憂いをつくりだすしかけ、この点をもってして、私は、国民保護法を含む有事体制は、市民を守りはしないだろうとの確信をもつのです。
 しかしながら、私自身は認識を異にしますが、国民保護法成立によって、法定受託事務受託者の立場に立つとおっしゃる市長に求めるのは、真の意味で市民の側に立って平和的生存権を保障するための実効ある国民保護計画を策定することです。それは、国が示す市町村国民保護モデル計画に無批判に追随するのではなく、平和都市宣言の理念を踏まえて政府をして軍事優先に歯止めをかけ、米日政府が脅威論を振りまく中国、米国から軍事的には距離を置き始めた韓国の両国に友好姉妹都市をもつ国際都市として、自立性をもって対案を提示する姿勢です。戦時国際人道法を貫く軍民分離の原則、避難民優先のインフラ・公共空間使用の明確化、子どもの保護義務の具現化、基本的人権侵害の禁止規定、外国人市民保護規定の明記、さらには、紛争予防のための自治体外交、平和・国際連帯の教育等々、モデル計画では極めて不十分なそれらの視点に立って計画を策定することが、重要な課題だと考えます。地方分権の旗手であり、平和を願って市政をすすめられる市長に、期待を込めつつ、以下ご質問を致します。
(1)まず端的にお尋ねします。二条例を上程し、国民保護計画策定に当たろうとする市長の基本的な考え方をお聞かせ願います。
(2)市長は、国民保護協議会委員の任命について、法第40条の規定に基づくと答弁されてきました、現段階での具体的な任命方針をお聞かせ願います。
(3)本市国民保護計画策定のために、担当課に自衛官OBを非常勤職員として配置する方針と聞きました。有事法制に関する国会論議を通じ、武力侵害の排除が本務であり、住民避難は自治体の任務と公言してきた自衛隊に、住民避難の計画策定にいかなる役割を期待されているのかお聞かせ願います。
(4)基本的人権を尊重し、全ての市民に平和的生存権を保障する計画を策定するには、協議会委員に弁護士会の代表者、国際法学者、外国人市民の代表者等の参加を求める必要があると同時に、一般市民に情報を開示し、意見を十分に聞くプロセスが大切です。市長の見解をお尋ねします。


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