2.「経営所得安定対策等大綱」の下での金沢の農政について
発展途上の国々や世界各地の市民・農業労働者の強い抵抗に遭いながら、WTOを舞台に農業分野のグローバル化が推し進められている。日本では、「経営所得安定対策等大綱」来年度から本格実施される。いわゆる「担い手」に特化し、認定農業者以外の農家には所得補填措置が廃止される。農業施策に市場原理を導入し、国際競争力を主眼にした新自由主義の方向で農政を再編成するものだ。農は決して経済の論理だけで扱われてはならない。減少の一途をたどる農家を励まし、営農意欲と条件を高める農政こそが求められている。 |
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森議員 |
本市にとって農業とは何か、また農政とはいかにあるべきか山出市長の基本的な所見を改めて伺う共に、今年度中に前倒して策定される「新農政プラン」にいかなる独自性を盛り込む考えか併せて伺う。 |
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山出市長 |
農業とは、市民に安全安心な食を提供し、日々の生活を支えるもの。土にまみれ、額に汗するものづくりの原点である。農政は、農家の方々が誇りと使命感をもって農業生産ができるよう支えることでなければならない。
「新農政プラン」では、担い手不足への対策、食の安全、食品産業との連携、農業の広域的機能などの課題に適確に対応しなければならない。具体的には、金沢ブランド確立、知的財産の保護と活用、食の安全、食品加工産業の育成、地産地消の拡大、農業大学校による担い手育成など、金沢の特性を生かしていく。早速プランの策定に入っていく。 |
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森議員
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現状において経営所得安定対策等大綱の基準に各農家を当てはめるならば、6割を超えるであろう農家が営農の基盤を失い、農業からの離脱と伝来の貴重な農地の荒廃を加速させることを危惧する。この現状をどのように受け止め、課題を整理してきたか聞く。 |
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山出市長 |
私も実は心配している。金沢市内には、小規模な農家や農地が多く、それらを集積し、集落営農にもっていかなければならない。そのためには、経理の一元化などの合意形成が必要だ。できるだけ対象になってもらうよう、農協と協力して「金沢市農業担い手づくり支援協議会」を設置した。農家の理解が得られるよう、出向き、ひざ詰めで話し合って行きたい。 |
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森議員 |
最も重点を置くべきは、家族的営農体たる個々の農家が対等に連携して組織する集落営農組織と営農方式にあると考える、集落営農組織を育成支援する新たなとりくみにおいて特に留意し力を注ぐ点は何か。地域での働きかけの進捗、今後の見通しも含めて答えよ。また、認定農業者や集落営農組織にもれた農家への独自対応は考えているのかも併せて答えよ。 |
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山出市長 |
営農のリーダーが必要だし、土地の利用の調整も必要になる。地域毎に農家との懇談会を開き、規約作り、営農計画の支援を行っている。先般、大場地区で営農組合が設立された。引き続き、努力を続けたい。
それぞれの農家は、地域の農業維持に重要な役割を担っている。もれた農家への対策は、国の議論の行方を見ながら策定したい。農家の意見も聞いていきたい。 |
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森議員
(再質問) |
大綱に基づく政策は、来年度から実施される。時間がないのだ。移行期の支援策が必要だが、どう考えているのか。 |
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山出市長 |
指摘の点も含めて答えていると理解して欲しい。 |
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森議員 |
次年度からの国の制度の対象とはなり難い中山間地域において、本市の独自性をいかにして維持発展させるのか、現時点での考えを聞く。 |
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山出市長 |
うまい米づくり、ほうれん草、ゆずの産地づくりなどに取り組んできているが、中山間地域等農業担い手育成機構により、担い手の新規参入、異業種からの参入を図ってきた。梅酒用の梅の里づくり、「金沢藤五郎」の名でジネンジョをブランド化することに取り組んでいく。 |