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森一敏
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 2006年6月定例会 質問の全文

1.分権時代を拓く市政の課題について 
 
谷垣財務大臣が言及した地方交付税の法定比率引き下げに対し、山出市長は、分権型社会に逆行するものと厳しく批判されました。全く同感です。政府の構造改革路線は、一握りの富める者を生み出す一方で、多くを貧困化させました。今や年収200万円以下で暮らしを余儀なくされている世帯は4分の1、無貯蓄世帯が5分の1、生活保護世帯は150万人へと膨れ上がりました。就学援助児童が本市でも15%に達しました。所得上位者と下位者の平均格差は170倍近く。本格的な格差社会が到来したのです。    この格差社会のひずみの是正は、逆累進を強めた税制を抜本改革することと共に、寸断が進んだ公共的なセイフティネットの再構築にあります。地方交付税の法定率引き下げは、本市におけるこの間の議論で言えば、義務教育費国庫負担制度廃止縮減や中核市への人事権委譲、子育て支援、高齢者や障害者福祉の前提条件を突き崩すものに他なりません。新地方分権推進法と地方共有税創設を柱とする地方六団体の意見書提出は、そのことへの強い憤りと危機感を表明すると同時に、地方が政府と対等な責任主体に脱皮するため、地方の連帯による固有の財政権確立を目指す画期的宣言として私も支持を致します。この間、地方六団体を牽引してこられた山出市長に、実現に向けての決意を改めてお伺いします。
 次に、本市の中心市街地活性化に大きく関わる県庁跡地利用についてお尋ねします。
 県はこの6月議会に、跡地利用の基本構想策定費を含む県庁跡地関連補正予算案を提出しました。ようやく一歩が進められたかの感があります。県庁、金沢大学の移転によって拍車がかかった中心市街地の空洞化は、周辺地域の商業者はもとより、各界各層の懸念するところなってきました。21世紀美術館の生み出す賑わいに比べ、広坂通りを挟んだ旧県庁跡地は、本格的な整備は遅々として進まず、一抹の寂寥感を漂わせております。
 県庁跡地利用に関する構想は、昨年3月段階でも「いしかわ文化・情報の総合センター基本構想」であり、「最も『ひと』らしい活動を行う人間創造空間」を基本コンセプトとしていました。誰もが生き生きと豊かにくらせるよう生涯学び続けることができる環境を整えることは、今日的な喫緊の課題であると思います。学生や青年が集う場も考えられてしかるべきです。しかるに、現在の論議は当初の基本コンセプトとはかけ離れ、南ブロックの保存を主としたダイナミックさを欠くものとなっております。まず、人を育むという観点からこの跡地利用はどうあるべきか、市長のご所見を伺いたいのです。
 また、市長は、県庁跡地は中央公園を含めた兼六園周辺文化ゾーンとして全体の土地利用のあり方を議論すべきであるとされ、施設利用が定まらないなら、徒に施設をつくるべきではなく、石垣がすけて見えるようにとも言われております。私も、森の都にふさわしい「まちなかのオアシス」としての整備が望まれると思いますが、森づくりの観点からどのようにお考えなのかお伺いします。
 さらには、隣接する金沢市中央消防署の広坂出張所の移転に伴う跡地の取り壊し時期と跡地利用をどのように検討されておられるかも、お伺いします。
 この項の終わりに、新たな世界都市構想を策定し、分権時代である21世紀のまちづくりに着手された山出市長には、我が会派として個別政策の是々非々を超えて、引き続きの市政の舵取り役を期待するものですが、市長続投に向けた意欲の程をお伺いし、次の質問に移ります。

2.経営所得安定対策等大綱の下での金沢の農政について
 発展途上の国々や世界各地の市民・農業労働者の強い抵抗に遭いながら、WTOを舞台に農業分野のグローバル化が推し進められています。日本では、食料・農業・農村基本法に基づく新食料・農業・農村基本計画が策定され、食の安定供給、多面的機能の発揮、持続的発展、農村振興を目指すこととなりました。これを受けて策定された「経営所得安定対策等大綱」では、品目横断的な経営安定化策、農地、水などの資源と環境保全が柱となりました。この大綱は、来年度から本格実施に移されます。
 しかしながら、経営安定化対策では、経営規模4ha以上で400万円以上の農業所得をもつ認定農業者、同様の所得要件を満たす主たる従業者が存在する20ha以上の集落営農組織、中山間地域では、規模要件こそ50%程度に緩和するものの、いわゆる「担い手」に特化して、諸外国との生産条件格差是正対策、価格下落影響緩和対策を行うとしています。認定農業者以外の農家には、所得補填措置が廃止されます。このような転換は、グローバリズムに対応して農業施策に市場原理を導入し、国際競争力を主眼にした新自由主義の方向で農政を再編成するものとも言えましょう。
 全国で4割を占めるといわれる、経営規模基準の半分にも満たない小規模零細農家が切り捨てられる状況となれば、新基本計画における食糧自給率45%の目標達成、最低限の食料生産に必要な農地450万haの確保、そして環境保全などおぼつかないと、疑問が投げかけられています。本市においても、担い手農家は29経営体、作付け面積にして30%程度であると報告されています。「米政策改革大綱」から4年間の実績であることを考えるとき、一層の認定農業者や集落営農組織の育成は容易ではありません。
 「百姓は米を作らず田をつくる」の言葉を残したある農村思想家がありました。農業が自然の循環に身を置き、命をつかさどる営みであることを含蓄深く言い表したもので、農は決して経済の論理だけで扱われてはならないものであることを考えさせてくれます。減少の一途をたどる農家を励まし、営農意欲とその条件を高める農政こそが求められているように思います。そこで、本市農業施策に関して以下ご質問致します。
 まず、本市にとって農業とは何か、また農政とはいかにあるべきか山出市長の基本的なご所見を改めてお伺すると共に、今年度中に前倒して策定される「新農政プラン」にいかなる独自性を盛り込むお考えか併せてお伺いします。
 次に、現状において経営所得安定対策等大綱の基準に各農家を当てはめるならば、6割を超えるであろう農家が営農の基盤を失い、農業からの離脱と伝来の貴重な農地の荒廃を加速させることを危惧します。この間、担い手の育成に取り組んできた本市として、この現状をどのように受け止め、課題を整理してこられたかお聞きします。
 第3に、最も重点を置くべきは、家族的営農体たる個々の農家が対等に連携して組織する集落営農組織を確立し、農地と農業資機材を共同活用する営農方式にあると考えていますが、集落営農組織を育成支援する新たなとりくみにおいて特に留意し力を注ぐ点は何か。地域での働きかけの進捗、今後の見通しも含めてお答え下さい。また、認定農業者や集落営農組織にもれた農家への独自対応は考えているのかも併せてお答え下さい。
 第4に、国とも連携した中山間地域支援の関連事業は、存続強化されるべきです。次年度からの国の制度の対象とはなり難い中山間地域において、本市の独自性をいかにして維持発展させるのか、現時点でのお考えをお聞かせ下さい。

3.三度、障害者自立支援施策について
 障害者自立支援法が施行され、各自治体では、10月からの新サービスへの完全移行に向けて、障害程度区分の認定手続きが開始されました。その結果如何で、非該当となるか、6区分のどこに認定されるのかが決まり、受けられるサービスとその量が決定されるのですから、障害のある当事者やそのご家族は大きな緊張感をもって認定調査に臨んでいます。
 加えて大きな関心事となっているのが、自治体裁量で10月から実施に移される地域生活支援事業の具体化です。とりわけ、支援費制度によって事業が拡大し、地域におけるノーマライゼーションを進展させる原動力になったと評価される移動支援事業が、自治体の財政事情によって縮小されたり、負担増によって利用できなくなることを心配する声がたくさん寄せられています。また、地域活動支援センターがどのように具体化され、事業が展開されることになるのか、事業者の間でも先行き不安が広がっています。この6月から9月にかけての4ヶ月間は極めて重要な期間であることを踏まえ、以下、ご質問致します。
 まず、始まった認定調査は円滑に滑り出しましたか、その認識をお聞かせ下さい。
 第2に、認定調査にあたっては専門性に加え、中立性と公平性を確保することが強調されていますが、その意味は、障害ある当事者の側に立ち、地域で人として当たり前の生活を送るためにどんな支援が必要なのかを明確にすることと理解してよいかをお尋ねします。また、認定調査員研修で重視した内容は何であったのかも併せてお答え下さい。
 第3に、法第21条には「審査会は、必要があると認めるときは、障害者等、その家族、医師その他の関係者の意見を聴くことができる」とありますが、「必要があると認めるとき」とは、どのような場合を想定されていますか。
 第4に、市長は3月議会の私への答弁の中で、地域生活支援事業の事業化に当たっては、これまでの施策の後退がないように利用者の声も聞きながら準備をすすめるとお答えになりました。その具体的な手順をお伺いします。
 第5は、小規模作業所に関わる課題です。国は、小規模作業所と新事業体系の基本方針を示し、個別給付事業への参入を基本に、地域生活支援事業の「地域活動支援センター」をそのステップとして活用する方向性を示しました。これをもって作業所当たり110万円の知的障害者ディサービス事業と通所援護事業は廃止しました。「地域活動支援センター」は実利用人数によって3タイプに区分し、それぞれに職員数、国庫補助基準額を設定しています。しかしながら、現在の小規模作業所が、この「地域活動支援センター」に移行するには、実利用人数、経営規模確保など困難な壁があると言われ、このままでは存続自体が危ぶまれる状況と聞いております。全国で6000カ所あるといわれる小規模作業所は、もともと、就職差別や行き場がない障害者に地域での居場所をつくり出そうと、親たちが手弁当で立ち上げてきたものです。言うなれば、行政の隙間を市民自らが埋める営みであったわけです。小規模作業所の火を消してはなりません。
 制度上の格差があるなか、自己努力を積み上げながらも、市の補助金に頼らざるを得ない厳しい状況に立つ小規模作業所を、本市として、障害のある市民との共生の地域社会づくりを展望したときにどう位置づけ支援していくのか、移行期の市独自支援策も含め、是非ともそのビジョンをお示し願います。

4.辰巳ダム問題について
 犀川、そのほとりで生まれ育った私には、特別の愛着がある川です。物心ついたときには、もう河原が遊び場でした。小学校では犀星作詞の名校歌を歌い、向かい岸のかき船をスケッチしました。放課後は、うぐいや河原のバッタを追い、子ども会行事では犀星が育った雨宝院に集まって楽しい時間を過ごしたものです。こんな私にとり、犀川水系河川整備計画において焦眉の課題となってきた辰巳ダム問題は身近な関心事です。幼い頃に、大水のため蛤坂の親戚に一時避難した経験もあり、越水危険度が最も高いと言われてきた犀川大橋下手流域を地元とする者としても、洪水や浸水被害の防止は、市政の優先的な責任であると考えています。
 しかしながら、この間の議論を振り返ってみますと、「だから辰巳ダムである」との立場には立てないのです。この15年間の議事録をひもといてみますと、生態系破壊の危惧、基本高水の根拠、大規模公共事業の見直し、内水管理を含めたダムに依らない総合的な治水対策など多くの問題が提起されてきました。これらは、貴重な自然と文化遺産の破壊を招いてはならないとの義憤にかられた予定地周辺住民や複数の市民団体の綿密な調査を踏まえた研究成果に基づくものであるのに比べ、県当局の見解を繰り返す答弁には、建設の必要性についての説得力が感じられないのが率直な印象です。
 ところで、2002年以降の計画見直しによって、2004年に辰巳ダムの新計画が決定されました。これがいわゆる「穴あきダム」つまり治水専用ダムの新計画です。ところが、この「穴あきダム」が、上流下流それぞれに深刻な生態系破壊を生じるおそれがあること、また、大規模地滑りを誘発する危険性があることが現在指摘されています。私も複数の市民団体が主催する学習会、フィールドワークに参加し、かつて本議場で生態系を守れと果敢に質問を展開された本間前議員の調査報告を伺い、鴛原の大規模地滑り地帯の現況を目の当たりにする機会を得てきました。こうした経緯をふまえ、質問致します。
 まず、「穴あきダム」は、人為的には放水量を操作できず、上流域では洪水時と平常時との間に水位の上下動が繰り返され、そのたび毎に動植物が水没による死滅を繰り返します。辰巳ダム建設予定地の犀川渓谷は、絶滅危惧A類のCにランクされるミゾゴイやサシバ、ハチクマなどの希少猛禽類が生息していますが、そうした生物たちのえさ場としての広範囲の生態系に影響が危惧されます。また、ダム下流域では、年間通じて水量が減少し、季節毎の水流変化や一定期間ごとに繰り返される出水によって維持されてきた川本来の機能や生態、景観が著しい影響を受けると言われています。
 1999年に施行された新環境影響評価法には、生態系への影響調査が盛り込まれました。新ダム計画が環境調和型であるというのであれば、湛水面積にはこだわらず、法の趣旨に則り、改めて生態系に焦点を当てた環境アセスメントを行うことが当然ではないでしょうか。ご所見を伺います。
 次に、ダム湖が及ぶ鴛原地区南西の斜面が大規模地滑り地帯であることは、県の地質調査報告書にも記載されています。その土塊量は新辰巳ダム容量に匹敵する525万立方メートル。分類上の「超大規模」の2倍を超える巨大規模地滑り地帯です。新辰巳ダム計画に伴い、県が3年前にコンサルタント会社に委託した調査では、湛水する水位は低く、地すべり地全体に比べて極めて小さいから対策の必要はないと結論付けながら、地滑り地の規模が大きいから、今後別途調査と対策工を行う旨を述べています。
 押さえがあって安定していた法面でも、ダム湖の水圧や水位変動によって崩れたり、それが連動して大規模な地滑りを誘発することは、一般に知られていることです。奈良県紀ノ川支流で完成した大滝ダムで、試験貯水の最中に地滑りが発生し、住民全員が移転を余儀なくされた例も報じられています。私も、崩落が進み鉄塔のコンクリート基礎面がむき出しになった末端斜面から、地滑り地帯の最上部までを視察し、現在でも地滑りが続いている様子を確認できました。現在の安定を前提に、地滑りの危険を過小評価するならば、誘発する崩落や地滑りへの対策工事、堆砂の除去を繰り返し、ダムそのものの寿命をも縮めることにもなるでしょう。費用対効果も大幅に見直さなければなりません。
 先例が島根県益田川ダムにあるだけの「穴あきダム」を、地滑り地帯に建設するという未知の事業です。先に建設ありきではなく、地質の状況、考え得る危険性、総体的なコストなどを厳しく調査し、ドイツで徹底されているような、参加と情報開示を軸としたパブリック・インボルブメントの手法を採用して市民合意の結論を下すべきです。そうした手続きを欠いたまま、土地収用法に基づく事業説明を強行し、着工へしゃにむに突き進むことは見合わせるよう、事業主体である県当局に働きかけるべきだと考えますが、お考えをお尋ねします。




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