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森一敏
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 2007年3月定例会 質問の全文

1.特別支援教育への移行に当たって    
 昨年6月に学校教育法の一部改正法をはじめ関連法が改正され、特殊教育と呼ばれてきた障害児教育が、4月より特別支援教育へと本格的に移行することとなりました。この法改正によって、障害種別ごとに分かれていた養護学校が、特別支援学校として一本化されるとともに、特別支援学校がセンターとして、幼稚園から小、中、高等学校に在籍する子どもたちの教育に対する助言・援助を行うことになりました。関連法案が審議された第164回国会において、きわめて注目すべき議論が展開され、1961年に当時の文部省が「わが国の特殊教育」で示して以来の障害児の分離別学体制を大きく見直し、世界の潮流である共生と統合のインクルージョン教育、つまり障害があるなしに拘わらず、子どもたちが共に学び共に育つ教育へと方向付けることになったと評価されています。
 私は二つの思い出がよみがえります。その一つは、小学校の頃、私自身が、通学途中で時折出会う障害のある女性とすれ違いざまに後ろ指を指し、友だちとくすくす笑いながら登校していたことです。顔の表情や歩き方から知的な障害があると思われるその女性に、無自覚に偏見のまなざしを向け、嘲笑の対象にしていた恥ずかしい記憶です。二つ目は、そんな私が教員となり、教職員組合の教育研究活動に触発され、普通学級の担任として、あるいは障害児学級担任として、身体に障害がある子、情緒に障害がある子、知的な障害がある子とともに学校生活を送り、たくさんのことを子どもたちから学んだことです。いずれのときも特別な指導を意識する担任の思惑を超えて、子どもたちは自然にクラスメイトとして障害のある子を受け入れ、日々の学習や生活を通じ、その子との絶妙のつながりを創り出していったのです。障害のある子は周りの子どもたちとの関わりに支えられ、学習や生活への意欲を高めました。時に差別的な言動が出る度に、子どもたちは話し合い、互いに反省しながら関係をより深いものへと発展させて行きました。また、以前、学校側が修学旅行で障害のあるクラスメイトに親の付き添いを求めたことに抗議し、生徒たちが彼を一緒に連れて行くと宣言して、綿密な計画の下に親の付き添いなしで修学旅行を成功させた中学校での実践報告に触れ、感動したことも思い出されます。
 このいわば対極の記憶を振り返るにつけ、いまだに差別や偏見が渦巻く現実社会を人間尊重の共生社会へと変革しようとするときに、1994年の特別ニーズ教育世界会議が採択した「サラマンカ宣言」の提唱を再び想起します。「インクルーシヴな方向性をもつ普通教育こそが、差別的な態度とたたかい、喜んで受け入れられる地域をつくり、インクルーシヴな社会を建設し、万人のための教育を達成するための最も効果的な手段である」と。4月からの特別支援教育への移行が、果たして金沢にインクルーシヴな共生と統合の教育を進展させるのか、今後の金沢市における特別支援教育の実施に関して以下ご質問します。
 国会では、現在国連で策定作業が進められている障害者権利条約をはじめ、インクル−シヴな社会へと向かう国際的な流れを踏まえた与野党を問わない質問、発言が多く出されました。インクル−シヴ教育は特殊教育論を圧倒し、さしずめ「院内世論」を形成した観があったと伝えられています。また、政府答弁も審議を通じ、分離別学体制に固執する立場から、統合教育への流れを肯定する方向で変化があったとも伝え聞いています。そこでまず、国会論議を通じて採決時に付された衆参両院での付帯決議並びに政府側答弁をどのように評価認識されているのか、市長、並びに教育委員長にお尋ねします。
 また、4月からの特別支援教育は、改正学校教育法第一条の条文に加え、そのインクルージョンへの方向性からして、小中の学校教育にとどまらず、高校教育、幼児教育、さらには子育て支援施策にも敷衍して施策を考慮すべきところと考えられます。昨年7月18日付けの文部科学省通知では、要請に応じ特別支援学校が行う助言または援助の対象として認定こども園を含む保育施設が掲げられています。金沢市立工業高校への障害のある生徒の受け入れや学校教育と保育の連携を含め、特別支援教育の実施について教育長並びに福祉健康局長にも、基本的な考え方をお尋ねしておきます。
 次に、国会審議終盤の質疑でも、「特別支援教育が、その本旨においては特別なニーズを有するすべての幼児児童生徒に保障されるべきものであり、すなわち障害児への教育が学校教育の核心の中核であるべきである。この考え方は、学校教育全般に相通ずる理念である。」ことが確認されています。特別支援教育は、その対象を特別支援学校、同学級に在籍する子どもたちに特化するのではなく、通常学級に在籍する障害のある子どもはもとより、不登校や学習、生活面でのつまずき等すべての子どもの抱える特別なニーズに対応する教育であるとの認識を共有する必要があると考えます。この障害児教育に関する考え方の転換について、教育長はどのように受け止めておられるのかお尋ねします。

 ここでいくつかの具体的な問題について教育長にお聞きします。
 すでに2003年度から特別支援教育推進事業が、各都道府県への委嘱事業として実施されてきました。本市はモデル事業の指定は受けてはいないものの、校内委員会の設置、LD、ADHD等の子どもの把握、特別支援教育コーディネーターの位置づけ、個別の教育支援計画の策定などにもとりくんできています。ただ今述べました特別支援教育の根本理念に照らしたとき、新たな「障害児捜し」や一方的な障害児の「取り出し」となるような対応は戒めなければなりません。この間そういった実態はなかったのか、また学校に対し今後どのような指導を行って行かれるのかお聞かせください。 
 
ところで、当初の特別支援教育の構想では、小中学校にある特殊学級は廃止し、当該の児童生徒が通常学級に在籍したまま必要に応じて通級指導を受けられる特別支援教室を設置することになっていました。環境が整っていないことを理由に、当面特別支援学級を存続することに落ち着いたようですが、国会での質疑を通じ、その在籍については、本人・保護者の意向を最大限尊重すべきものとされました。そこで本市の就学指導についてお伺いします。就学指導の一般的な入り口として、就学時健康診断が学校に委託される形で実施されています。就学時健康診断が就学のための義務的な手続きではないこと、検診の結果が就学先を振り分ける材料ではなく、あくまでも相談のための資料であるとともに、学校にとっては就学後の学校生活の支援のための参考資料として用いられるものであることを保護者に対して明確に知らせることが必要です。また、本市は、保護者に対して就学相談の機会となるよう配慮してきたとしていますが、地域の普通学校やその通常学級に就学することも同等に尊重され、そのための情報が教育委員会側からも積極的に提供される就学相談とはなっていないという批判があります。特別支援教育への移行を機に、偏りない情報を提供し、就学への本人や保護者の意向を最大限尊重すると共に、就学後の学校生活を円滑に送るための相談機能を重視した修学(学び修める)のための相談へと質的な転換を図るべきです。さらに、金沢市就学指導委員会の構成を見直し、インクルーシヴな地域社会を目指す障害者団体や共生共学の教育、子育てに識見と経験をもつ保護者や市民の参加を促すよう求めますが、見解をお伺いします。
 当面は現在の通常学級と特別支援学級との交流授業の拡大充実が重要な課題となります。本人・保護者の希望によって地域の学校に障害児学級が設置できるようになって以来現在まで、県教委によって、交流授業の時間を50%以内とするよう強い指導が行われてきました。学級や子どもたちの状況に応じて学校現場が自主的な裁量を持って交流授業を実施できるよう、その上限枠の撤廃を県教委に求めるべきです。見解をお聞きします。
 本市には全国的に例を見ない特学分校として、中央小学校芳斎分校、小将町中学校特学分校が設置されています。今日までの位置づけが中途半端で、人的な体制や予算措置が不十分であるとの現場サイドの声もあります。今後両分校はどのような位置づけになり、いかなる役割を期待されることになるのでしょうか。両分校の将来像についてお聞きします。
 さて、本市来年度予算案には、特別支援教育充実費として、特別支援教育指導補助員の予算が1千万円程度拡充され、派遣校数の拡大、派遣時間の延長が計上されています。この本市独自の人的な支援制度は、子どもたちひとり一人との丁寧な関わりを求める現場教職員から歓迎されてきました。先の国会審議でも、各学校全体で子どもたちの多様なニーズに対応するための人的体制の整備が課題とされ、来年度予算措置として市町村分約250億円が計上されたところです。これは二年かけて全国の全小中学校に支援員を配置することを目指し、その一年次分7割相当の財政措置と報じられています。地方交付税として配分される国からの財政措置に加えて、従来からの本市独自予算と併せれば、全校配置も可能と思われますが、本市に於いて、少なくとも現場からの要望に十分応えられる予算措置となっているのか、お聞かせ願います。
 このように特別支援教育の理念がかつてなく深められた状況をうけ、とりわけインクルージョンの教育に関して教職員はもとより、保育、子育て支援、福祉、医療の各関係機関、保護者、地域住民も含め基本的な認識を共有するための研修機会が必要です。講師陣も共生共学の観点に立った人選に留意する必要があります。研修や啓発をどのように行っていくのか、また併せて、特別支援教育の今後のあり方を体系的に指し示す意味で、中断してきた金沢市特別支援教育指針の策定作業を再開する必要はないのかお尋ねします。

2.市民参加と協働の推進に向けて
 
金沢市協働推進計画の年度内策定作業が進められています。素案策定に当たった「協働を進める市民会議」に、地域団体に加えて市民活動団体や公募委員も加わり、ワークショップ手法をとり入れた実践的な討議が行われてきたと伺っています。素案には、少子高齢化、就業形態の多様化、国際化などの社会変化の中で、多様化複雑化する地域公共課題を解決するために、地域の自治力の向上を目指して地縁組織、市民団体、行政の三者が連携する本市の新しい協働のあり方を示すと述べられています。その基本的な方向性に賛同しつつ、ご質問します。まず、参加と協働の推進には、第一義的に行政の側が自ら門戸を開き、とりわけ政策形成過程に於いて情報開示と市民意見の吸収を行う意識、機構両面の改革が必要と考えます。素案には、その点、各課に協働推進担当者を設け、意識改革、能力向上、実績の庁内共有、ノウハウの相互利用のしくみを整えるとしています。新年度からの計画実施のために、機構上の改革をどう実践されるおつもりかまずお伺いします。
 
次に、市民が自発的に行動するための施設環境として、「協働センター」設置が目指されています。私もこれまでに市民活動支援センターの設置を提言し、前向きな答弁を市長から頂いておりますが、「協働を進める市民会議」が研究グループを設置し、人と情報の交流拠点、プラットホームとしての協働センターのビジョンを考えるとしています。同研究グループが常時活動を行い、ビジョンを練り上げるための謂わば実験場のような場所が必要ではないかと思いますが、「協働センター」設置に向けた本市としてのとりくみはどのように展開されるのでしょうか。ご所見をお聞かせ下さい。

3.平和憲法施行60周年と平和教育の推進について
 
日本国憲法が、まもなく施行60周年を迎えます。21世紀を平和の世紀にとの願いに反して、世紀をまたいで超大国が関与する国際的な武力紛争が絶えません。そうした情勢の中、徹底した非武装平和主義を理念とする日本国憲法、とりわけ第9条は、平和を求める世界の人々から21世紀の世界規範、宝物と極めて高い評価を受けています。一例を挙げれば、私も講演を拝聴したオハイオ大名誉教授で元空軍パイロットであったオーバービー博士は、憲法9条の会を主宰して合衆国憲法に戦争放棄条項を入れるよう提案しています。また、1999年に開催されたハーグでの平和会議で採択された10の基本原則の冒頭には、「日本国憲法第9条が定めるように、世界諸国の議会は、政府が戦争をすることを禁止する決議を採択すべきである」と謳っています。昨今の首相の改憲発言から、当の日本政府に憲法の普遍的価値が十分認識されていないことを非情に残念に思っているところです。まず、今や水か空気のような存在になった観がある日本国憲法を再認識し、その具現化に向かって市民が思いを新たにするべく、日本国憲法施行60周年記念事業を平和都市宣言を行った本市として実施することを提案致します。市長のご所見を伺います。
 
「平和教育は、世界のあらゆる学校で必修科目であるべきである」これは、ハーグ市民平和会議基本原則の第9項目です。ここ金沢においては、長年にわたり学校現場教職員の総意によって、8月6日を中心に全校登校日が自主的に設定され、被爆体験をはじめ様々な戦争体験を継承し、平和を目指すための学習が展開されてきました。しかしながら、近年、校長によっては、その登校日の特設学習を認めなかったり、「平和」と名の付く教育活動を認めないとする言動が聞かれ、平和学習が後退しているとの指摘があります。広島市では、被爆地でありながら被曝の日を知らない子どもたちが増えている現状を憂慮し、秋葉市長の要請とともに市教委が各学校に8月6日の全校登校、被爆体験継承の平和学習の実施を文書で呼びかけています。11年前に遡りますが、わが会派の東出議員の質問に答えて「夏休み中の機会をとらえて平和教育を実践することは意義のあること」と答弁された教育長に、再度そのご認識をお伺いすると共に、学校現場への支援を求めます。

4.市民のつぶやきから
 
出石議員が代表質問で採り上げました金沢の新たな公共交通戦略にも関わり、まちなかの市民からは、ふらっとバスの路線新設を待望する声が、また郊外地域の市民からは、公共交通の利便性、経済性向上を求める声を多く聞いてきました。私も、議員としての第一声に犀川左岸地域でのふらっとバスの路線新設を提案し、研究したいとの答弁を受けてきたところです。次年度予算案にも、条例案と共にまちの活性化と環境都市づくりの核として公共交通利用を促進させる施策が盛り込まれておりますが、先の市長選を通じ、路線新設の方向性を耳にした関係地域住民からは、一日も早い開設を求める声が強まっています。新路線開設の目途はいつ頃になるのか、また路線の経路はどのようなプロセスを通じて策定されていくのか、具体的な策定スケジュールをお尋ねします。

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