1.08年度当初予算・事業案に関して
予算編成の基礎となる国の2008年度地方財政計画は、前年度比0.3%増で7年ぶりの総額増加となったが、今年度から新設された4000億円の地方再生対策費を除くと、地財計画総額は、前年度比0.2%のマイナス、地方交付税も名目で1993年の水準だ。新設された地方再生対策費は、08年度から導入される地方法人特別税が東京、愛知両都県以外の道府県に配分されることによって生ずる地方交付税の特別枠だ。むしろ税源移譲の本筋に反した措置と言える。
一般歳出で見ても、給与関係経費、単独投資的経費、いずれにおいても削減が行われています。地方財政計画圧縮の方向は依然として堅持され、骨太方針2006に示されたように、地財計画が、国家財政再建の手段として扱われている印象は拭えない。 |
森議員 |
2008年度地方財政計画に対してどのような所感を持つのか。併せて、第二期分権改革の要として切望される、国と地方が対等に分権改革のあり方について協議する機関「地方行財政会議」設置への協議はいかなる進捗にあるのかも答えよ。今後の本市の財政環境に関する率直な認識を尋ねる。 |
山出市長 |
地方再生対策費が新設され、交付税に反映されたことは評価するが、一方で、法人二税と地方消費税に関する議論が先送りされたことは不満だ。
地方行財政会議については、政府の分権改革推進会議の中間とりまとめで触れられてはいない。実質は、国と地方の定期意見交換が二度、地方財政制度について行われたが、法定化されたものではない。法による設置はなかなか難物で、たやすくはないが、市長会を通じ、国に強く求めていきたい。 |
森議員 |
歳入の規模を見積もるに当たって、財政環境である経済の動向をいかなる指標によって判断されてきたのか、また、税収の確保・拡大に向けた事業展開についての市長の思いも聞く。 |
山出市長 |
税収入の見積もりは、地方財政計画や税制改正を踏まえながら、各種経済指標、企業へのアンケート結果も参考にし、企業の収益性、設備の新増設の状況も勘案し、慎重に見積もった。
税収の確保のためには、ものづくり基盤の整備、企業創出、雇用、定住促進、文化施設整備などを通じ、定住人口、交流人口を増やして、税源確保に努めたい。 |
森議員 |
本市08年度予算案に於いて、暫定税率延長を見込んだ道路整備財源はどれ程となっているのか、また、暫定税率廃止となった場合の対応はどうあるべきと考えるのか。 |
山出市長 |
地方譲与税が21億円、国庫支出金分8億円が相当するが、計算による影響分は16億円と見積もられる。現在のしくみで予算を組むのは当然だ。もし、算定税率が廃止されたら、地方への対策は国の責任に於いてやってもらいたい。生活に不可欠な道路、橋梁は整備していく。 |
森議員 |
「地方公共団体財政健全化法」に基づく4指標は、現段階でいかに見積もられるのかも含めて、財政通と評判の高い山出市長に、財政健全化の課題に明確な答弁を頂き、市民の不安を払拭して頂きたい。 |
山出市長 |
19年度決算から公開される。今の段階では、18年度の決算から判断するなら、4指標とも健全とされる範囲にある。財政の健全化には、指標算出の分母である税額、一般財源を大きくするための施策を忘れてはいけない。 |
森議員 |
歳出予算で、まずは、「市民のくらしと安全を守る改革実行予算」について、編成にいかなる力点を加えることが出来たのか。 |
山出市長 |
心身障害者医療助成、福祉タクシー券の所得要件緩和、国保保険料の料率引き下げ、保育料の10年連続の据え置きなどの弱者支援、耐震化支援、食の安全安心の確保、病院改革、市立工業高校改革、美大の法人化にとりくむこととした。 |
森議員 |
「まちなか整備金沢手法」には、どのような独自性を込めているのか、また、この間のどのような総括点が反映されているのか。 |
藤崎副市長 |
全国にさきがけて、まちづくりに関する条例を制定し、まちなか整備に力を注いできた。藩政期からの城下町のまちなみが残っているゆえに、細街路、狭隘地などの住環境整備、防災の面から整備の必要がある。定住促進では、子育て世代への支援効果をより高めるために、年齢基準を引き上げる改訂を行う。 |
森議員 |
駐車場や遊休地のより収益的な土地利用を望む土地所有者に定住促進の手法への理解と協力を求めるなど、適地については行政からの積極的な働きかけも必要ではないかと思います。今後の施策の展開について、お考えをお聞かせ願います。 |
藤崎副市長 |
実地調査を行い、候補地を選定して、まちなか住宅整備を行ってきている。今回、500u未満の狭隘地にも補助制度を導入した。まちなか区域周辺部でも、定住促進ネットワークと連携して、土地所有者に働きかけるとりくみを行っていきたい。 |
森議員 |
20ヶ月齢以下の牛のBSE全頭検査を市単独で継続するとしたが、今後を見据え、石川県とも連携し、消費者が安心を得るためのリスクコミュニケーションを食の安全安心施策として積極的に展開すべきだ。所見を聞く。 |
山出市長 |
国の説明が足りないなかで、補助金打ち切りは遺憾だ。それで、市独自にやることにした。国は情報提供の責任を果たして欲しい。 |