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森一敏
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 2008年3月定例会 質問の全文

1.08年度当初予算・事業案に関して
 本市08年度予算案ならびに事業案について、日本国憲法に基づく市政の発展と市民福祉の向上を第一義とする会派社民を代表して、以下ご質問致します。
 まず、予算編成の基礎となる国の2008年度地方財政計画に関して申し上げます。今地方財政計画は、総額83兆4014億円と前年度比0.3%増で7年ぶりの総額増加となりました。懸案の地方交付税も、臨時財政対策債を含めた実質総額が18兆2393億円と5年ぶりのプラスとなっています。地財計画の圧縮を予想し、引き続いて難しい予算編成を覚悟してきた財政当局にとりましては、やれ一服という感がおありかも知れません。
 しかしながら、今年度から新設された4000億円の地方再生対策費を除くと、地財計画総額は、前年度比0.2%のマイナス、地方交付税も名目で1993年の水準です。減少傾向にわずかながら歯止めがかかった程度と言え、地域再生対策費を除けばほぼ前年並みといったところです。しかも、新設された地方再生対策費は、08年度から導入される地方法人特別税が東京、愛知両都県以外の道府県に配分されることによって生ずる地方交付税の特別枠です。この地方法人特別税そのものも増田総務大臣の国会答弁に依れば、本格的な地方税改革までの暫定措置であることに加え、地方税である法人事業税の半分を国税に組み替えて配分することから、むしろ税源移譲の本筋に反した措置と言えます。
 一般歳出で見ても、給与関係経費、単独投資的経費、いずれにおいても削減が行われています。地方財政計画圧縮の方向は依然として堅持され、骨太方針2006に示されたように、地財計画が、国家財政再建の手段として扱われている印象は拭えません。

 
そこで、山出市長に、2008年度地方財政計画に対してどのような所感をお持ちなのかをお尋ねします。併せて、第二期分権改革の要として切望される、国と地方が対等に分権改革のあり方について協議する機関「地方行財政会議」設置への協議はいかなる進捗にあるのかもお答え下さい。
 
さて、ここで、本市2008年度当初予算案に目を転じます。今述べました地財計画の圧縮傾向の下、本市も一般会計で実質7年連続のマイナス、全会計でも前年度比実質11.6%マイナスの緊縮型予算編成となりました。歳入では、地財計画と同様に、景気回復基調がようやく数値に現れた2006年度以降の税収の伸びが、早くも頭打ちとなり、歳入の基礎である税収の見込みが前年比1%増に抑えられています。こうした歳入の規模を見積もるに当たって、財政環境である経済の動向をいかなる指標によって判断されてきたのか、また、税収の確保・拡大に向けた事業展開についての市長の思いもお聞かせ下さい。
 
歳入問題では、国会審議が参議院段階に入った道路特定財源における揮発油暫定税率の問題について、触れておかねばなりません。市当局にとって、予算編成から確定時に歳入財源が流動的となる事態に直面し、難しい対応を迫られてきたことは推察しております。ただ、暫定税率が本来時限立法であり、期限切れとなる次年度以降にも、その延長を前提に財源として計画に見込むあり方は、いかがなものかと思います。延長幅が向こう十年、総額59兆円の根拠、道路特定財源の運用、計画時の実態と合わない通行量見積もりなどなど、国会審議の過程でつぎつぎと問題が明らかになっています。暫定税率については聖域とせず、環境税や公共交通政策の財源として転換させるなど、その今日的なあり方について国民的な論議が必要です。本市08年度予算案に於いて、暫定税率延長を見込んだ道路整備財源はどれ程となっているのか、また、暫定税率廃止となった場合の対応はどうあるべきとお考えか、お聞かせ下さい。
 
ところで、収支のバランスを考慮するに当たって、今年度決算から施行される「地方公共団体財政健全化法」を念頭に置いておられると思います。12月議会でも言及しましたが、一歩踏み込んでお尋ねします。本市に於いては、実質公債費比率をとっても、07年度決算比0.6ポイント増の16.1%と、警戒ラインとされる18%に近づく勢いを見せています。健全化法の25%には、いまだ余裕があるとは言え、財政運営に対する不安感は、市民の間で広まっているのが実際です。また、連結実質赤字比率に於いては、病院、企業局等の企業会計の赤字状況、さらには、将来負担比率では、土地開発公社の抱えるいわゆる「塩漬け土地」への対応が課題となろうかと思います。現段階での4指標は、いかに見積もられるのかも含めて、財政通と評判の高い山出市長に、これらの課題に明確なご答弁を頂き、市民の不安を払拭して頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
次に、歳出予算についてお伺いします。市長は「金沢魅力発信行動年、世界へ金沢の魅力を発信し、市民のくらしと安全を守る改革実行予算」と銘打たれました。拡大する所得格差に加えて諸物価の高騰が追い打ちをかけ、市民生活が厳しさを増す中、市民のくらしを支える本市の責任はより大きくなっています。まずは、「市民のくらしと安全を守る改革実行予算」について、編成にいかなる力点を加えることが出来たとお考えか、市長の所感をお伺いします。
 
その上で、関連してお尋ねします。一つは、まちなか定住促進施策を含んで、まちなか整備金沢手法と題する26事業が改訂分も含めて計上されています。閣議決定された本市の第三次中心市街地活性化基本計画でも、中心市街地活性化の柱のひとつとして、まちなか定住の促進が位置づけられています。「金沢手法」には、どのような独自性を込めているのか、また、この間の施策に対するどのような総括点が反映されているのでしょうか。
 
まちなかやその周辺地域で、大型集客施設やマンション建設をめぐって、良好な住環境を求める住民との間でトラブルが後を絶ちませんが、都市計画法やまちづくり条例の手続きに加えて、駐車場や遊休地のより収益的な土地利用を望む土地所有者に定住促進の手法への理解と協力を求めるなど、適地については行政からの積極的な働きかけも必要ではないかと思います。今後の施策の展開について、お考えをお聞かせ願います。
 
もう一点、食の安全・安心確保に関わる施策の中で、20ヶ月齢以下の牛のBSE全頭検査費が計上されています。本年7月一杯で3年間続けられてきた同年齢の牛の検査に対する国庫補助が打ち切られるため、本市単独の全頭検査継続となるわけです。
 厚生労働省の補助金打ち切りについて、県生活協同組合連合会や消費者団体連合会は、「消費者に対するリスクコミュニケーション、つまり、情報提供と意見交換のとりくみが不足しているために、消費者の不安は払拭されていない。」とし、厚労省が検査対象を21ヶ月齢以上とした根拠とこの間のリスク管理の内容、現状について、リスクコミュニケーションを実施して消費者の理解を高めるよう北陸農政局に要望しています。消費者に不安がある以上、本市が独自に全頭検査を継続することは適切な判断であろうと思いますが、
今後を見据え、石川県とも連携し、消費者が安心を得るためのリスクコミュニケーションを食の安全安心施策として積極的に展開すべきです。ご所見を伺います。

2.世界都市金沢の創造について
 金沢世界都市構想第二次基本計画に基づき、本年2月に金沢世界都市推進会議から「世界都市実現への提言」が報告されました。その「共通提言の終わりに」には、外国人も含めたすべての市民が“金沢はみんなのもの”というコミュニティ意識を共有し、世界都市の実現を目指す というインターナショナルな素晴らしいまとめが述べられています。また、委員の一人フランソワーズ・モレシャンさんは、金沢が世界に発信しうるものとして、「文化」と並べて「人権・ヒューマニティ」を掲げ、韓国、ロシア、中国、台湾、金沢、福岡などの都市からなる環日本海は、アジアの地中海として今後新たな文化を育んでいく可能性を持っていると述べておられます。
 日本海をアジアの地中海に見立てる構想と言えば、西南学院大学の小川雄平教授が東アジア地中海経済圏構想を提唱していることを思い起こします。その著書『東アジア地中海経済圏』には、自治体間交流や観光交流、地場企業間の経済交流が、新しい地域経済の活性化をもたらすと共に、住民の意識改革をも誘発させることを指摘し、次のように述べています。「異文化・生活習慣との接触によって、『内なる国際化』が進展し、偏狭な民族差別意識が克服されるに到る。行政も変わらざるを得ない。変化の指標は、地方議会が定住外国人への地方参政権付与を妥当だとしているかどうかや、地方自治体が定住外国人に就職の機会を与えているかどうかに求めることができよう。住民は、自分たちの生き方や地域社会のあり方を見直し、東アジアをはじめとする人々との共生の重要性を認識する。国境を越えた連帯意識を醸成しないではおかない。」定住外国人の人権保障にまで踏み込んではじめて、世界都市としての品格が自他共に認められるものになるとの問題提起です。
 こうした観点から、世界都市を目指す金沢の課題について、私なりに提言を交えてご質問し、見解をお尋ねするものです。

 その第一に、この4月に国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニットが開設されるわけですが、本市として、同ユニットと連携し、どのような国際協力研究活動を展望しておられるのか、基本的な構想をお聞かせ願います。
 
第二は、観光戦略における外国人観光客誘致事業についてです。当初予算に計上された金沢の魅力発信行動計画関連事業の中で、外国人を意識した具体的なハード・ソフト両面の施策が関係課横断的に盛り込まれています。08年度は定期便が就航する台湾を中心にしながら、韓国、オーストラリアなどからの誘客活動を集中的に行うとしています。
 そこで、歴史的・文化的価値によるアジアからの誘客を考えるときに、忘れてはいけないのは、中国上海への亡命ののち、日本からの民族独立運動に命を捧げ、韓国の独立運動の英雄として敬愛されているユン・ボンギルの存在です。三小牛山で銃殺された彼の遺体が敗戦時まで野田山に暗葬されており、90年代に入って在日市民を中心に市民団体が跡地に碑を建立し、手弁当で整備を重ねてきました。世界に一つしかないこの史跡は、とりわけ韓国の人々にとっては特別の場所であり、姉妹都市全州市からの公式訪問団は必ず訪問してきましたし、ユン・ボンギル生誕の地韓国禮山郡とは、首長同志の相互訪問や毎年の記念行事と百万石まつりに相互参加を続け、人的・文化的な交流も深めてきました。今年は、生地では、生誕100周年の記念事業が大々的に行われることでしょう。
 さらに、特筆すべきことに、先般就任した李明博新韓国大統領は、ユン・ボンギル紀念事業会の会長を務めており、昨年の禮山郡での記念式典では、私たちも同席の機会を得ました。李大統領の金沢訪問も、あながち夢ではない時代が到来したのです。

 ユン・ボンギル史跡を金沢と韓国、ひいては中国・アジアを結ぶ近代史の歴史的かけはしとして、プロモーション事業に組み込み、情報発信するとともに、同史跡に資料館の性格を持たせ、野田山の拠点施設の一つとして再整備してはいかがでしょう。
 
第三には、ヒューマニティに根ざした「内なる国際化」の課題です。この課題については、去る2月に行政視察に訪れた堺市の「堺市国際化基本指針」とそれに基づき策定が進む堺市国際化推進計画に大いに触発されるものがありました。古代から連綿と続く大陸との交流史をもつ堺市は、政令市としての更なる発展を国際化に求め、オンリーワンの歴史文化をいかした国際交流、多様な連携を生み出す国際的機能の整備、独自性ある国際協力の推進、そして国際性豊かな多文化共生社会の形成を基本戦略に、「世界の人々が行き交い賑わいあふれる国際性豊かな自由都市・堺」を目指すとしています。交易の歴史にちなんだ諸都市との交流事業、姉妹都市間交流、国際的ビジネスチャンスの増大、国際機関の誘致などについては、本市も近年同趣旨の施策を積極的に展開しており、遜色はありません。したがって、堺市に学びたいのは、国際平和貢献賞創設などの世界平和・人権への貢献、途上国支援、外国人住民が暮らしやすい多文化共生社会づくりといった国籍や民族を超えた人権尊重・共生社会を醸成しようとする市政ではないかと思います。
 本市に於いては、国際交流財団を舞台に、市民が中心になって多文化共生研究会を立ち上げ、両者の協力によって、外国人市民同士、或いは日本人市民と外国人市民との出会いや、相互理解の機会、社会生活支援のとりくみを創りだしてきました。その意義は決して小さくありません。しかしながら、外国人市民にとって、言葉、学び、就労、住まい、地域参加などに、差別や偏見といったくらしの障壁はまだまだ高いものがあると言います。 こうした外国人市民の抱える課題は、地域社会の構造が抱える問題であり、金沢の共生社会醸成に、今一歩進んだ行政のリーダーシップが求められるように思います。
そのために、国際交流財団と多文化共生研究会が生み出してきた成果や浮かび上がってきた課題をくみ取り、制度上の整備を行う庁内執行体制について、再検討を行う時期ではないでしょうか。ご所見を伺います。
 子どもたちに関わる課題も重要です。本市には、帰国者子女や外国人子女を対象とする日本語教室が、野町小学校と泉中学校に設置されています。学校公開週間の折りに、私も日本語教室を参観し、温かい雰囲気の中で一生懸命に学習する子どもと教職員の姿に接しました。年度半ばに子どもたちの異動があるために、教職員配置が追いつかないことがあったり、経済的な問題で教室に通うことが困難な子どもへの支援拡充が必要なことなど、悩みを抱えながらの実践と聞きました。また、外国籍の子どもにとっては、日本語の習得ばかりではなく、母語や母文化の継承も重要です。それらが保障されるしくみも検討される必要があります。こうした多文化共生に関わる教育条件整備について、教育長はどのようにお考えか、見解をお聞かせ下さい。
 この大項目を終えるに当たって、関連して申し上げたいのは、市職員採用に係る国籍条項の撤廃についてです。1996年の川崎市を皮切りに、この間に撤廃自治体が続き、最近の調査では、全国1府11県、16政令市、そして10中核市を含む基礎自治体で少なくとも230を越えるに到っています。とりわけ隣の福井県では、17市町中10市町で完全撤廃がすすみました。本県では2自治体で国籍条項がありません。先程の堺市は、政令市でも先端を走り、任用制限の基準も設けず、すでに外国籍職員の管理職も誕生していると聞きます。同市は、そうした延長で、ユネスコが提唱する「包括的な社会をめざす差別撤廃のためのアジア・太平洋都市連合」にオブザーバー参加し、国内都市初の加盟に向け、前向きな検討に入っています。他方、東アジア地中海圏の一方の環を成す隣国韓国では、06年6月に定住外国人の地方参政権が実現したことを基礎に、同年に済州道で国籍条項撤廃、さらには政府が地域社会統合計画で、自治体に於ける国籍制限を廃止することを明示するに到りました。国籍を超えた共生の潮流は、力強さを増しているのです。
 東京都の保健師鄭香均さんが管理職任用制限を違憲として争った裁判では、最高裁が05年1月に合憲との逆転判決を下したものの、採用後の任用制限の合理的理由は、自治体の裁量であることを明示しました。すなわち、公権力の行使、公の意思形成に携わる職は日本国籍に限るとされた「当然の法理」は法的には既に破綻し、自治体の主体性と人権感覚が問われることとなったのです。
本市が真に世界都市としての内実を獲得する意味でも、鋭意検討し、一日も早い撤廃に踏み出すことを期待して次の質問に移ります。

3.国連「障害者の権利に関する条約」採択を受けて
 2007年9月29日、日本政府は、「障害者の権利に関する条約」に署名しました。一昨年12月に国連で同条約が採択され、すでに100を超える国々が署名する中、待たれていた日本政府の署名がついに行われたことを歓迎します。同条約の根底に流れる理念は、あらゆる分野において、障害のない人との実質的な平等を図るために、今まで障害者を排除してきた社会の側が変化することを求めています。今後は、国会承認を受けることになる政府の公定訳に、障害者及び障害者団体等の意見を十分に反映すると共に、同条約の基本であるインクルージョンの理念に沿って、関連する国内法・制度の見直し、整備に当たり、批准を行うというプロセスが重要になります。地方自治体とて当事者であり、その主体性に於いて、近い将来に批准される同条約を念頭に置いて、障害者福祉施策全般を再構築する責任が生じていると思うのです。
 そこで、まず、今年度中に次期障害者計画の策定にとりくむ本市として、この「障害者の権利に関する条約」をどのように受けとめておられるのかお尋ねします。
 次に、障害者の一般就労推進に関わる検討会の設置についてお伺いします。私は、昨年11月に、本議会でも紹介した横河電機の特例子会社横河ファウンドリーを視察し、知的障害者による業務受託の可能性や労働の喜びにあふれた社員の姿に感銘を受けました。本市独自に障害者の一般就労促進に向けた検討機関を設けることは、昨年の6月議会での市長答弁からさらに一歩踏み込んだ姿勢と評価致しております。同検討会設置の趣旨ならびにその構成、機能についてどのように構想されているのかお聞かせ下さい。
 続いて、義肢装具製作・供給体制の課題について触れておきたいと思います。義肢装具の供給体制に、利用者の方々の不満と将来不安が高まっている状況を受け、私たち議員団は、昨秋に長野県総合リハビリテーションセンター義肢装具製作部を訪問しました。引き続くこの2月には、沖縄の宜野湾市を訪問し、職人魂にもとづいて徹底したフィット感を追求する義肢製作技術と画期的な膝関節装具の開発で著名な義肢装具士佐喜眞保さんから様々な提起を受けてきたところです。これらを通じて、後継者育成のための財政的な支援、パーツのコストダウンへの対策、医療部門と連携した総合的な経営体制の確立など、具体的な課題を持ち帰ることが出来ました。また、装具の改善が、リハビリや介護予防の進展に寄与し、医療費や介護保険給付を抑える効果をももたらすらす可能性について、認識を新たにしました。本市がこの課題に目を向け、来年度「義肢装具のありかた検討懇話会」が設置されることは、たいへん時宜を得たものと思います。同検討懇話会についても、設置の趣旨ならびにその構成、機能などをどのように構想されているのかお聞かせ下さい。
 
最後に、再び選挙管理委員会に確認致し、次項の質問に移ります。「点字訳版選挙公報」が発行されないことによって、視覚障害者の候補者選択という参政権を一部制約しているとの認識はおありですか。それをお認めなら、いかなる救済措置が可能とお考えか、再編成された選挙管理委員会としての見解を若杉新委員長にお聞かせ願いたいと思います。

4.入札に於ける総合評価方式の導入について
 公共工事の入札に際して談合事件が後を絶たない中、入札制度改革の目玉として導入された総合評価方式の試行をめぐって、波紋が起きています。今年に入って、県発注の辰巳ダム建設工事の落札に於いて、総合評価方式による落札者決定に疑問の声が上がったことは、地元紙でも大きく採り上げられたところです。総合評価方式では、企業の技術力や地域貢献などを合算する技術点を従来からの入札価格で割って算出する評価値が最も高い事業者が、落札者として決定される仕組みと理解しています。そのために、入札価格で勝っても落札できないことや技術点の算出根拠が公開されないことなどから、決定に当局の恣意性が働くのではないかとの疑念や、一般競争入札への流れに反して、むしろ実質は随意契約に近づくとの制度運用への不信感が生じているものと思われます。
 本市に於いても、この総合評価方式の試行に入っており、試行導入の説明を受けた事業者の間で、同様の思いがささやかれていると聞きます。特に、事務量が嵩む上、技術力に算定される工事実績や優良工事表彰といった評価項目に、どれだけ客観性が担保されるのか不安視されているのです。

 そこで、まず、こうした総合評価方式導入が起こした波紋をどう受け止めておられるかお聞かせ下さい。
 次に、強い決意で当たってこられたと聞き及ぶ本市の入札制度改革は、いかなる基調の下で推し進められてきたのかについて、お答え下さい。
 ところで、本市は、昨年11月に金沢市建設工事総合評価委員会を設置し、総合評価方式を公正で適切に実施するための体制を整えられました。そこでは、市発注公共工事への総合評価方式の試行件数を拡大する方針が確認されたとお聞きします。本市としては、総合評価方式の試行をどの程度に位置づけ、スケジュール化して行かれるおつもりなのかお伺いします。
 
今般の波紋を通じ、地域のインフラ整備を担ってきた地元事業者に疑心暗鬼や誤解を招かないような透明性と説得力ある制度設計に、なお努力が必要であるとの思いを抱きました。総合評価方式の本格導入に当たっては、拙速を避け、試行を通じて把握される問題点を慎重に検証し、事業者側とも意思疎通を図りながら信頼性の高い入札方式となるよう、慎重な対処を求めるものです。見解を求めます。

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