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森一敏
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 2010年12月定例議会 一般議質問の全文

1.今次市長選挙について
(1)ネット選挙運動について

 山野市長、市長ご就任おめでとうございます。
 市長選挙でのご健闘に敬意を申し上げなければと思っていましたが、冒頭に、この質問をしなければならないことは、極めて残念なことです。
 私は、選挙運動におけるネット解禁に賛成している者です。しかしながら、国会において解禁の法制化が遅れているからといって、ツイッターという時流に乗った手段を違法になし崩し的に用い、首長に就くことまでは正当化できません。民主主義制度の根幹である選挙は透明で公正でなければなりませんし、ルールへの共通の認識と厳しい遵法精神をもって正々堂々と闘わねばなりません。とりわけ、首長とは、住民の命運を左右しかねない地方自治体の最高権力者です。立件の有無に拘わらず、権力を行使する者としての正統性が問われる問題であると私は考えます。
 報道によれば、選対関係者は「違反覚悟で」故意にツイッターを更新し、候補者を特定できるように投票を促したとされます。僅差の選挙結果です。影響を与えたことでしょう。
この問題について度重なる指導を行ったとされる選挙管理委員会に、問題と判断した具体的な事実、選管として県警に連絡を行うに到った判断についてお尋ねします。 
 次に、山野市長にお尋ねします。
候補者として、陣営内部のこうした組織的とも見られるネット選挙運動の実態を本当に把握していなかったのですか。また、市長就任に当たり、少なくともご自身の道義的責任をどのように認識しておられるのかお聞かせ下さい。
(2)点訳版「選挙のお知らせ」発行について

 ところで、市選挙管理委員会には、もう一点、関係者の要望から18年余りを経て、初めて導入した
点訳版「選挙のお知らせ」の実施に関し、掲載した情報、その配布部数、配布の方法、作成から配布までの体制をどう振り返っておられるのか、また、懸案でもある来春の市議会議員選挙での実施見通しは現段階でお持ちなのかお尋ねします。
2.山野新市長の所信について
(1)所信表明について

 市長選挙は、選挙戦前からのマスコミの論調に加え、山野候補陣営の意識的な現職山出候補の多選・高齢批判を前面に出す戦術によって、最大の争点として描かれました。もちろん、選択した有権者の心の内は多様でありましょうが、最も肝要な政策論争が避けられたとの感は否めません。改めて議会人として、市長に闊達な論戦を挑み、政策論議が市民に共有されるよう、責務を果たしたいと思います。
 さて、所信の中で述べられた「踏襲と変化」「着実な変化と安定した市政運営」。これは、山出市政の基調を思わせる言葉です。金沢の歴史文化的特性の継承と革新の営み。この視点から繰り出される先見性ある都市経営の手腕こそが、世界的な山出市政への評価でありました。清水の舞台から飛び降りた山野市長には、「若さと行動力」に止まらない「刷新」のビジョンがおありのはずです。まずは、
山出市政との明確な違いは何なのか、市長ご自身の言葉でお答え頂きたいと思います。
 次に、所信で表明された方針について、マニフェストにも照らしながら、お尋ねします。
 その第一は、「企業経営の視点からの徹底した行財政改革による財政健全化」、そして市長の中で対の方針となっていると思われる「民間活力の導入・経済界から副市長登用による経済対策」についてです。私は、これこそが山出市政と一線を画する方針だと受け止めています。マニフェストでは市職員の給与・退職金の見直し、市の外郭団体制度の見直し、行政委員会の報酬見直しにも踏み込んでいます。その一方で、来年度予算編成方針では、民間活力の積極導入を求めています。いわゆる「小さな行政」「官から民へ」の路線、正に、あの世界で破綻の憂き目にあった新自由主義構造改革の路線ではないでしようか。
 選挙戦において、中田前横浜市長、山田前杉並区長が相次いで山野候補の応援に金沢入りしました。参院選出馬を理由に首長を辞職した両者は、財政再建路線と公共部門の民間開放で際だっています。横浜市は、在任中に5000人もの人員削減を行うと共に、民間度チェックによって民間開放を拡大し、文化施設、図書館を含め公共施設へ指定管理者制度を全面的に導入しました。それに加えて「提案競争型公共サービス改革制度ガイドライン」を策定し、平成19年度から官民競争入札制度である市場化テストのモデル事業に入りました。国が民間参入を特例扱いした戸籍謄本、住民票の写しの交付といった特定公共サービス以外にも、制度の適用を拡大していくとしました。杉並区でも民間開放、特に区外の大手株式会社による指定管理者を促進し、10年で1000人の区職員を削減しています。両自治体とも財政収支は改善し、横浜市では在任期間中に財政黒字、財政調整基金ともそれぞれ70数億円増加するなど、企業でいう内部留保は確かに増額しました。
 しかし、その一方で公共サービスが質量とも低下し、自己負担が増大した。首長の強権的な職員管理によって、担い手である職員のモチベーションは低下し、民間開放によって自治体職員としての専門的な技能経験の継承ができなくなっている。指定管理者においては、コストカットのために非正規有期雇用が一般化し、公共的業務を担う力が低下した。従事者も低賃金と不安定雇用によってワーキングプアを強いられるといった弊害が強く指摘されています。「開国博Y150」の入場者数の大幅な見込み違いという失敗は、パフォーマンス型市政運営の終焉を意味しました。
 こうした地方公共団体の存在意義が問われる地域社会の劣化状況に直面し、本来の市民参画と支え合いの公共的社会の回復を求めて、市場原理至上主義からの転換を求める市民運動が活発に展開されていると聞きます。
 ここで、山野市長にお尋ねします。
「企業経営の視点からの徹底した行財政改革」「民間・経済界から副市長登用による経済対策」とは、今述べた横浜市や杉並区をモデルとする市場原理主義の市政運営を志向しているのでしょうか。その具体像をお聞かせください。
 第二に、新幹線開業と二次交通の整備についてお尋ねします。これに関連して山出前市長は、石川線・浅野川線の存続問題では手遅れにならないよう、北陸鉄道、沿線自治体との協議を進めると答弁しています。
法定協議会設置の懸案には、どのように臨むお積りかお答え下さい。また、並行在来線の経営のあり方や郊外部のバスの利便性向上、さらにはLRTによる市電復活を求める市民の声も併せ、住民の移動権を豊かに保障する公共交通網の整備について、独自の青写真がおありでしょうか。併せてご所見をお聞かせ下さい。
 第三に、山野市長肝いりの公衆無線LANについてお伺いします。ホームページを検索すると、公衆無線LANを営業展開する携帯電話各社のPR合戦です。既に全国に7000局が設置済みと聞きますが、携帯電話会社がインターネット事業に参入するものだけに、携帯電話基地局と同様のアンテナをもつ基地局を設置することになると思われます。携帯電話基地局を巡っては、少なくとも全国79箇所で電磁波被爆による健康被害を懸念する住民の反対運動が起こってきましたが、公衆無線LANの基地局建設に対して、最近東京の町田市で住民による反対運動が起こっています。まちなかでインターネットを見ることができる環境とは、携帯電話に加えて公衆無線LANの電磁波が環境に加わることを意味します。私は、2008年6月議会で電磁波被爆防止対策で欧米から遅れをとる日本の現状を指摘し、本市での対策を求めました。来外者の情報取得の利便性や情報発信、ビジネスチャンスの面だけではなく、
市民の財政的負担や住民の健康への配慮など公共的な側面からも慎重な検討を求めるものです。今次補正予算案では、構築検討費が計上されました。この中で調査する事項はどのようなものを想定しているのかお聞かせください。
 第四に教育分野では、ふるさとの偉人教育の積極的推進が挙げられています。山出前市長は、「市長は教育には抑制的でないといけない。」と、度々教育の独立性への配慮の必要性を述べました。見識だと思います。道徳心や郷土愛といった子ども達の内面形成に関わる偉人教育となれば、尚のこと、市長としての抑制的な姿勢が求められます。
偉人教育の具体化について、どのような構想をお持ちなのかお伺いします。
 市長として責任をもって対処するべき領域は、教育条件の整備です。その意味で、学校図書館司書の配置を公約されたことには、まずもって賛意を表明致します。その多様な効果については、改めて申すこともありません。
配置のプロセス、財源確保、本市行革実施計画との整合性に関してお考えをお聞きします。
 第五に、障害者福祉分野では、障害者福祉施設整備費補助として、生活介護事業所パッチワークの建設補助金が計上されました。用地取得から地元に理解を求める交渉まで、山出市政の下で、複数の所管課が連携して支援された結果であると聞き及んでいます。このパッチワークが重度障害者の地域生活の拠点として地域に親しまれ、根を張っていくことを願います。市長の所信には、障害者雇用の促進、発達障害児への支援が述べられていますが、
より包括的に子育てから教育さらには地域生活に到るまでの共生・インクルージョンの視点を持って臨んで頂きたいと思うのです。国連障害者の権利条約の批准に向かう日本の課題、本市の課題についての市長の認識をお尋ねします。
(2)市長の政治信条に関して

 何を置いても自治体指導者に求められるのは、憲法遵守義務者としての憲法観です。市長選で推薦を受けた山田宏氏、中田宏氏率いる日本創新党の基本政策方針では、集団的自衛権を行使できる新憲法制定が明確に示されており、9条改憲を鮮明にしています。
離党したものの、推薦を受け、それまで所属していた自民党も新憲法制定を党是としています。市長としてそれらに賛同する憲法観をお持ちなのか、端的にお聞かせ願います。
 また、
日本国憲法の成立に深く結びついた先の戦争をめぐる歴史認識に関して、戦後50周年の国会決議並びに村山談話についてどのような評価をお持ちなのかお聞きします。 ところで、市長は、就任早々、台湾への訪問の意思を表明されました。議員時代に友好を深めた諸地域・人士との交流を目的とする訪台かと思われます。しかしながら、行政の長たる市長となっての公式訪問です。意味合いが違ってくるのではありませんか。日本は中華人民共和国と国交正常化するに当たって一つの中国を支持し、中国外交の基本としてきたはずです。本市には中国に姉妹都市蘇州市、友好交流都市大連市との交流があります。山出前市長が訪台に慎重であったのは、自治体外交の基本に対する深慮があったからでしょう。国家間に緊張が高まっている時こそ、自治体同士が胸襟を開いて交流を深め、緊張の緩和に役割を果たす必要があります。市民の平和的生存権を守る大切な責任です。
 アジアとの自治体交流では、山出市政の下で、韓国全州市との姉妹都市交流、禮山郡との友好交流を真摯に積み上げてきました。
訪台の真意をお尋ねすると共に、アジアを基軸にした自治体外交に対する基本姿勢について併せてご所見を伺います。
3.市民の生存権保障に関して

 先頃、9月時点での日本の生活保護受給世帯が140万8407、受給者数は195万1200人に達したと報じられました。いずれも過去最多で、昨年12月からの増加は10万世帯。雇用を含め、庶民の生活状況の改善は極めて遅れていると言わなければなりません。
まず、本市における生活保護受給世帯、受給人数の年間推移をお答え頂くと共に、市長はこの状況について、どのような思いを持たれるのかお聞かせ下さい。
 さて、2002年8月にホームレス自立支援特別措置法が施行され、本市も関連事業を推進してきました。私も、市民運動としてホームレス自立支援夜回り活動にこの一年半参加し、50人を超える野宿者との対話や居宅確保などの支援に関わる機会を得てきました。 最近では、長期化した野宿者、何らかの障害があったり、受刑歴をもつ野宿者が目立ちます。金沢拘置所で収容者と面会したり、市内の更生保護施設を訪問する中で、徹底した人権保障の観点に立ち、行政の縦割りを超えた柔軟な対処が必要なことを痛感します。本年10月から、
石川県に地域生活定着支援センターが設置されました。社会復帰に特別な支援を必要とする出所者の自立支援を目的にしていると聞きます。その体制と基本的な仕組み、そして本市福祉事務所とどのような連携が図られていくのか、お聞かせ下さい。
 ところで、特措法を受けて、本市にもホームレス問題連絡協議会が設置されてきました。
金沢のホームレスの状況、施策推進上の課題はどのように捉えられているのでしょうか。
 私たちは、夜回り活動の中から、解決すべき課題が絞り込まれてきたと感じています。それは、生活保護移行の場合は、その迅速化、緊急避難できる公的シェルターの設置・確保、そして最も重要な課題は、居宅生活後の就労を含めた生活支援です。
 生活保護申請の受理については、私が、「本市にも水際作戦はないか」と質した頃より対応は改善され、他自治体と比べても、法の趣旨に則って努力されていると一定評価しております。ただ、
生活保護法で定める14日間を超えての決定が常態化してはいませんか。実態に関するご所見を伺います。
 本人が生活保護を希望するか否かは別として、野宿者を緊急に保護するためのシェルターの必要性を痛感します。県内の司法書士有志が自己資金によって賃借している市内のマンションの一室を緊急シェルターとして利用させて頂いています。やはり、公的シェルターが必要です。
シェルター設置についてのお考えをお聞かせ下さい。
 そして、居宅生活後の就労を含めた生活支援です。健康上の問題、生活ルールへの不適応、得られない働き口、孤独、アルコールやギャンブルへの依存等々、様々な困難克服には、他者の支援を必要としています。夜回り活動参加者は、私的な時間を割いて訪問し、悩みを聞き、応援に努力していますが、限界があります。こうしたアフターケアには、ケースワーカーの役割が極めて重要です。ケースワーカーが訪問頻度を上げ、必要な支援業務を行うには、現在の配置人員では無理があります。
ここ数年、配置人数の増員に努力されてきた本市ではありますが、抜本的な配置改善がさらに必要です。ご所見を伺います。
 当事者にとって、最大の悩みは孤独です。一般就労が困難な場合でも、社会と何らかのつながりを実感できる活動の機会があるべきです。地域美化活動や行政の行う業務に参加できるようなよびかけを行うなど、
希望者には社会的労働の機会を提供するしくみを検討してはどうかと考えます。これについてもご所見を伺います。
 さて、先般、「広義のホームレスの可視化と支援策に関する調査」の依頼がありました。これは、二年後に時限が切れる現在の特措法後の新たな制度設計を行うために、厚労省がNPO法人全国ホームレス支援ネットワークに調査委託したものです。命と生活の危機にありながら、社会から隔絶しているホームレス予備軍の実態も含め調査し、社会的な支援の仕組みを再構築しようとするものです。私は、国の機関が、社会運動としてホームレス支援にとりくんできたNPO法人や市民団体に制度構築のパートナーとして今回の調査を投げかけたことに大きな意味を感じています。
本市においても、施策の推進に当たって市民団体との積極的な連携が図られるべき時期がやってきていると思います。そうした社会的なネットワークの構築に本市が主導的な役割を果たすことについて、見解をお尋ねし、質問を終わります。


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