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森一敏
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 2010年3月定例当初議会 代表質問の全文

1.新年度予算ならびに事業案に関して  
 リーマンショックから早一年半。ここに来て、景気回復の兆しや雇用情勢の若干の改善傾向が見られるとの報道に接します。この一年半とは、新自由主義という我が世の春を謳歌して二百数十兆円を超える内部留保をため込んだ大企業が社会的責任に頬被りするなか、全国の行政と勤労市民が地域経済と雇用の破局を必死に食い止めようと奮闘してきた期間ではなかったかと思われます。その陣頭に立って来られた山出市長におかれては、この一年半を振り返り、本市としてとりくんできた緊急経済対策や雇用対策、さらには生活支援対策の効果についていかなる所感をお持ちでしょうか。まずお聞かせ願います。
 とは言え、地域経済、雇用情勢共々依然として極めて厳しい状況には変わりがなく、新年度予算による本市事業が、市民のいのちと暮らしを支える重要な役割を担うことは論を待ちません。予算案について以下数点に亘りお尋ねします。
 新年度一般会計の予算規模は、今年度比4.5%増の1600億円余と拡大基調が続きました。一方、税収は、昨年度を40億円下回った今年度よりさらに約44億円の減収見込みですから、税収不足を補い、増額予算を編成するには、苦心があったことと推察致します。中でも、市税減収分をほぼカバーする実質地方交付税増額分の内、臨時財政対策債が今年度比58%もの伸びであることは、償還に交付税措置があり、起債制限比率にも含まれないものとは言え、謂わば交付税の先食いに依存する財政構造には懸念も感じられるのは率直なところです。市長に、困難な歳入予算編成をどう自己評価されているのかを伺うと共に、国の地方財政計画の構造をどのように受け止めておられるかも伺います。
 ところで、新政権が掲げる地域主権改革がピッチを上げています。地域主権推進一括法と国と地方の協議の場設置法案が閣議決定されました。自治体の歳入に関わっては、原則使途が自由な一括交付金制度の創設が検討されています。従来から地方が求めてきた地方共有税の構想とも併せ、地域主権の財政的基礎である税源移譲の今後のあり方について、市長のご所見を伺っておきます。   
 さて、歳出予算について包括的に伺います。政府においては、公開事業仕分けを経て予算の精査を行い、「コンクリートから人へ」を具現化する予算の組み替えを行いました。地方から呼応する本市の歳出予算では、全体構造にどのような独自性を盛り込んだのかお聞かせ下さい。続けて、いくつかの事業案に関して以下お尋ねします。
 第一に、中小企業雇用促進助成金制度の創設についてです。今年度当初、独自財源750万円でスタートした中小企業緊急雇用安定助成金制度は増額補正を重ね、新年度予算では新制度と併せて約4億1千万円に拡充されます。拡充率は54.6倍。改めて緊急雇用対策にかける本市の意気込みを高く評価しつつ、制度が新規採用拡大に寄与するには、就労支援事業との有機的結合の必要も感じます。制度運用に対するお考えをお聞かせ下さい。
 第二には、離職者支援、再就職支援、そして生活保護等を窓口一カ所で対応するワンストップサービスについてです。政府は年末に生活困窮者が路頭に迷うことを防ぐために、湯浅誠さんを内閣参与に任命し、ハローワークでのワンストップサービス実現にとりくみました。先日報道番組でその苦闘ぶりが報じられ、縦割り行政と官僚主義の克服が課題であることが浮き彫りにされました。石川労働局が昨年末にこのワンストップサービスを試行した際に、金沢市職員も派遣されたと聞いておりますが、どのような課題を持ち帰ったのでしょうか。また、本庁における年末相談事業においても、ワンストップサービスに近づける努力がなされたと思いますが、その評価をお聞きすると共に、新年度も年間通したワンストップ相談体制の構築に一層の努力を求めます。ご所見を伺います。
 第三には、県水供給単価の引き下げと本市上水道料金の設定についてです。県水受水の責任水量の大きさと供給単価の高さが、長年に亘り本市の水道料金を押し上げてきたことは事実です。県民の厳しい生活実態が続く中、2月の県議会において、谷本知事が県水受水単価を20円程度引き下げる方針を表明しました。山出市長は、提案理由説明の中で、これが実施されたなら、本市水道料金の引き下げを検討すると言明されました。社民党が谷本知事との政策協議で引き下げの合意に至った経緯からして、是非とも水道料金の引き下げを実現させて頂きたいと思います。市長の決意を改めてお尋ねするとともに、供給単価引き下げが本市上水道会計に及ぼす影響額がどれほどに見積もられるのかを伺います。
 第四に、文化交流施策について申し上げます。日仏自治体交流会議を控え、「連帯と協調によるグローバルガバナンス」を謳った提案理由説明に共感しました。フランス革命を成し遂げ、世界における市民社会の先達として今も革新を続けるフランスの都市市民意識に触れる機会は、本市市民の文化土壌に大きな刺激を与えるものと期待されます。
 そこで、一つの提案を申し上げます。この自治体交流会議に伴い、音楽分野での交流も今後企画してはいかがでしょうか。
フランスにはパリ管弦楽団やパリオペラ座が芳醇なフランス音楽の粋を聴かせて世界に名を馳せています。世界で評価が高まる本市のオーケストラアンサンブル金沢との協演や改修後の歌劇座でのオペラ公演に期待も高まります。興が乗ったところで提案を追加します。音楽交流と言えば、2月に議会として公式訪問した観光交流都市松本では、国内外に誇る文化イヴェントとしてサイトウ・キネン・フェスティバル松本が著名です。本市にはこのゴールデンウィークに第3回目を迎えるラ・フォル・ジュルネ金沢が定着してきました。小澤征爾氏率いるサイトウ・キネン・オーケストラと井上道義氏率いるオーケストラアンサンブル金沢との協演も、大きな関心を呼ぶことでしょう。これらは、文化を中心に据えた海外誘客と新幹線開業を見据えた国内外の交流人口拡大策にもつながっていくに違いありません。所感をお聞かせ下さい。
 さて、そう考えると、拠点施設としての金沢歌劇座が舞台機能向上改良事業を新年度に本格させることの意味も大きいものがあります。元来優れた音響機能を有する歌劇座が、県立音楽堂との個性の違いをアピールし、固有の役割をオペラをはじめ歌や演劇の上演に求めたことは、適切な判断であったと思います。今年度執行分と併せ、11億円余りを投じて行われる改良改修によって、どのような舞台機能の向上が実現するのか、その設計には国際的なオペラハウス機能への造詣や舞台オペレーション現場で蓄積された知見が反映されているものと思いますが、意見集約がどのように行われて設計に至っているのか、そのプロセスについてお聞かせ下さい。さらには、三施設の一体運営を規定する金沢市芸術文化ホール条例の制定によって、施設運営がどのように高められるのかお答え下さい。
 この項の最後に、8月上旬にヒロシマ原爆展が企画されています。核密約が明らかになり、非核三原則の法制化が求められる根に、本市での原爆展開催は意義が高まっていると思います。端緒になった平和市長会議への加盟と本市での原爆展開催に込められた山出市長の思いをお聞かせ下さい。また、学校現場では、長年に亘り夏休みを中心に平和学習の自主的な実践がとりくまれてきたことは以前も申し上げましたが、ユネスコスクールを推進される浅香教育長には、ヒロシマ原爆展に連動した学校現場の平和教育実践へのエールも送って頂きたいと思います。

2.連帯経済について

 未曾有の経済危機に直面した世界は、市場での自由な競争を通じた飽くなき利潤追求が、より加速度を持って地域社会を壊し、人間存在そのものをも脅威に晒すという現実にまたしても遭遇しました。しかしその中で、別のあり方、すなわちオルタナティブとして地域住民のための地域住民による草の根の経済活動が模索されてきました。これらは総称し、連帯経済と呼ばれています。国際的には国際連帯税の導入に向けた合意形成が進められ、金融取引税、多国籍企業税、武器輸出税などが構想されています。非人間的な富の流動を妨げ、貧困対策や環境対策を通じて富を地域に環流させる試みです。
 大国の自己中心的グローバリズムに対抗し、連帯経済を先導してきたのが他でもない本市の姉妹都市ポルトアレグレ市です。当市は、世界市民の連帯を求める世界社会フォーラムの開催地として、また、地域コミュニティを基礎に子どもたちも参加する市民参加型予算制度を展開する自治体として世界に知られています。
 連帯経済は、もちろん日本でもその活動は、各種協同組合、共済組合、信用組合、地域通貨、フェアトレードなどの業態で歴史を刻んできました。近年では、環境やまちづくりNPO、さらには地域循環型有機農業も持続可能な地域興しの担い手とされ、連帯経済の概念は多様化しています。連帯経済と重なり合うコミュニティビジネスも、地域の人が主体となって、柔軟な発想の下で、地域の労働力・原材料・技術力などを活用し、小規模ながら利益は生むが利潤は追求せず、地域課題の解決を目指しています。
 本市は、協働を進める市民会議を通じ、地域コミュニティと市民活動団体との連携から地域活性化にとりくんでいます。こうした市民活動を地域経済の一環として意識し、社会的な富の環流の担い手、地域資源としてネットワーク化することで、地域のセイフティネットの補完が期待されます。
こうした地域の連帯経済の考え方についてご所見を伺います。
 さて、金融モラルが低下し、小規模な事業者が資金調達に困難を極める現下の経済状況にあって、注目されるのがNPOバンクの存在です。NPOバンクは、社会的な貢献を志す市民から少額からの出資を受け、それを原資にまちづくりや地域経済を担おうと起業する事業家やNPO等に単利・低利で融資し、その活動を支えます。現在、金沢市民を含む県民有志が県内初のNPOバンク「ピースバンクいしかわ」の設立を準備しており、既に実験融資として輪島市の土蔵再生にとりくむNPO法人や有機無農薬食材を使用する金沢市内のレストラン、伝来の製法で発酵食品を製造する老舗に資金を提供して事業を支援しています。このバンクが成長し、地域の連帯経済の一翼を担うために、本市行政としても情報交換や持続可能なまちづくりなどの施策との連携を通じ、協働していくことが期待されます。連帯経済の担い手としてのNPOバンクとの協働について見解をお聞かせ下さい。

3.北陸鉄道鉄道線存続に関して

 昨年11月1日をもって北陸鉄道石川線の鶴来・加賀一の宮間が廃止されたことにより、浅野川線を含めた鉄道全線の存続問題がクローズアップされています。9月議会では、他会派の下沢議員がこの問題を採り上げ、法定協議会参加をはじめとする本市の対応を市長に質問されたことは記憶に新しいところです。この地域公共交通再生活性化法にもとづく法定協議会設置は不調に終わり、時間切れで廃止が決定となりました。利用促進にとりくんだ地域住民団体やエコ公共交通手段として存続を求めた市民団体からの落胆の声が私どもにも寄せられています。利用者や市民団体の間では、今回の廃止により、さらに残された営業路線20.6キロメートルの全線廃止への懸念が生じています。会派社民としても、同線は乗客減少傾向にあるとは言え、年間120万人を輸送する住民の足であり、環境に負荷が少ない交通手段として世界的に見直されている鉄道路線は、存続・活性化させなければならないと考えております。
 こうした経過の中で、法定協議会参加に慎重な本市の対応が冷たく、後ろ向きであるとの印象を与えていることは、残念であります。市長は、北陸鉄道の利用客確保の自助努力が基本であり、県の参画を得て引き続き関係市町による再生協議会で協議するとしておられます。もちろん、民間の鉄道事業者が経営する鉄道ですから、企業の経営努力を否定するものではありません。しかしながら、輸送密度が4000人を割り込めば廃止するというJR基準と比べて、密度1600人の本線が、単独で経営を維持し、自助努力で経営改善を果たすことは厳しい環境にあることも事実です。地方の公共交通路線がなべてこのような厳しい状況に立たされているが故に、地域公共交通再生活性化法が制定され、公私協働の枠組みである法定協議会の設置によって、総合連携計画策定の段階から国が補助を行い、利用促進のソフト事業をも支援するしくみを導入したものと思います。
 加えて、現在政府部内で交通基本法案の策定準備がすすめられています。我が会派代表が、連合審査会の場で全面展開するものと思いますが、交通基本法の理念は、公共交通はすべての住民にとって、基本的人権である移動権を実現するものであり、国、地方自治体、交通事業者は、住民の移動権を保障する責務を負う立場に立つということです。そのために交通事業者は汗をかく、自治体も協働する。その場として法定協議会設置が手遅れとなってはいけません。
山出市長には、石川線・浅野川線存続に関わる真意をお聞かせ願いたいし、法定協議会参加の道筋を明確にして頂きたいと思います。

4.災害からの教訓について

(1)主計町浸水被害の検証と再発防止策について
 2008年7月28日に発生した浅野川氾濫による浸水被害は、広範な地域において、本県ならびに本市の治水対策に多くの教訓を残しました。河川の浚渫や被災地の復興は進み、被災された方々の生活もようやく平穏さを取り戻されたことと思います。しかしながら、記憶に刻まれた不安は消えるものではなく、事実究明による検証と信頼のおける再発防止対策を求める声が未だに届いています。被災地域である主計町でも、想定外の洪水が堤防を越水したとする県の説明に納得せず、目撃証言と九人橋川沿線の家屋に残る痕跡などから、浅野川大橋直下の逆水門やさらに下流の中の橋付近の逆水門からの逆流が浸水被害を助長したのではないかとの指摘がなされています。私も現地調査で、現在は応急処置で塞がれたものの、逆水門自体に隙間があることを確認できました。そこから逆流が起こったであろうことは想像に難くありません。新年度予算に、この主計町周辺地域を対象に浸水対策基本調査費が計上されているとお聞きします。この基本調査は、いかなる目的にもとづき、どのような方法で行われるのでしょうか。また、その中で地元が求める逆流による被害検証は行われるのかをお尋ねします。実効性ある再発防止対策を講じるために、被災地住民には説明責任を尽くし、信頼関係の醸成に努めるよう求めておきます。以上について、ご所見を伺います。
(2)上山町土砂崩れの検証と再発防止策について
 まず冒頭に、土砂災害に遭遇し、避難生活を余儀なくされておられる住民の皆様にお見舞いを申し上げます。
 さて私は、今回の土砂崩れが、箇所こそ違え、2008年7月豪雨の際に芝原町を襲った土砂崩れと同じ山の麓で発生したことに強い関心を持つ者です。山頂部分に開発された戸室石の採石場が土砂災害を誘発させるのではないかとの懸念が、採石場開設をめぐる頃から地域にあったことを聞いていますし、会派議員団で採石場を含む現地を視察した際には、直接の因果関係で結びつけられないとする県側の説明を受けましたが、疑いを払拭することは出来ませんでした。掘り出した岩石の仮置き場では足元はぬかるみ、すぐそばを150メートルに及ぶ亀裂が走っていました。山頂部が10ヘクタール前後ものはげ山です。山頂が保水力を失って、排水設備があっても雨水や融雪水が山肌を浸透して表層を緩ませると考えるのは自然のことです。しかも、最初の開発許可、採石が始まってから更新は5度を数え、今日まで10年以上このはげ山状態が続いてきたわけです。

 県は、本格復旧のための国庫補助採択のために崩落原因の調査を行うことを表明していましたが、採石場との因果関係も精査する必要があると思います。その結果は本市に報告されているのでしょうか。また、遡って森林法にもとづく林地開発許可とその更新時には、土砂災害発生のおそれの有無を調査することになっています。県にあっていかなる調査実態にあったのか明らかにして下さい。さらには、その際に金沢市長の意見聴取も行われているはずですが、本市としてどのような意見を述べてきているのでしょうか、これも明らかにして下さい。検証なき復旧は災害の再発を招きかねません。その上で、現在稼働を停止している採石場の今後について、慎重なる対応を求めておきます。お答え下さい。

5.全国学力到達度抽出調査に関して

 新連立政権が発足し、全国一斉学力到達度調査が全員参加の悉皆から学校単位の抽出調査に変更されました。最終的には、全国平均で約30%の抽出率となったようですが、統計上の有意数としてはまだ過大であると思います。それでも、ともかくも抽出調査となったことは、政権の賢明なる判断だと評価していたところ、調査用紙の希望利用などという付属物がついていたことに落胆を致しました。さらに、県内では結果的に各市町教育委員会横並びとは言え、金沢市教委がこれに希望したことは、率直に言って失望の念を禁じ得ません。まず、本市において国調査の抽出率はどれほどになるのか、国が求めないデータについてどのように扱われるのかお答え下さい。併せて、この抽出調査という全員参加からの切り替えは、どのような意図の下で行われたと受けとめておられるのか、浅香教育長のご認識をお尋ねします。
 さて、本調査は、実施主体が行政官庁である文科省です。従って基本的には行政調査です。このような調査が、教育の機会均等、教育条件を含む水準の維持向上を定量的に把握し、予算編成等の事務事業に反映されるという限りにおいて実施されることは、私は否定する者ではありません。一定の期間をおいた抽出調査で事足りるのです。教育の現場では、日々、子どもひとり一人に対応した形成的評価が継続的に行われていることは、学校指導課の指導主事なら皆ご存じの通りです。しかし、今や、教育の固有の営みに、全国学力調査が割って入り、時間と思考が占有され、本来の教育活動が隅に追いやられていると嘆く声が聞こえます。行政調査を教育の一環として援用することで、教育活動との不整合を起こしていると私は捉えていますが、教育長はいかがお考えですか。
 学力到達度調査をめぐる最大の問題は、学力をどう捉え、子どもが学び、人間として成長するとはどういうことなのかについてです。昨年10月に福井大学教職大学院の招きで来日したフィンランドの教育学者ラッカライネン教授が、シンポジュウムで傾聴すべき意見を述べています。福井県教育長が「福井県の学力は3年連続で全国トップクラス」とあいさつしたのに対し、PISAの国際学力比較でフィンランドがトップクラスであることについて、「PISAの順位や評価は重要ではない。フィンランドには他者と比べて評価するという発想はない。ランクではなく、子どもたちひとり一人の創造力を総合的に評価すべきだ。」と述べています。その場での教育長の当惑した表情が目に浮かびます。
 子どもたちの創造力。これがすなわち生きて働く学力ということになるのでしょう。子どもたちを画一的な時間と空間に拘束せず、予算を割いて教職員を潤沢に配置し、自己管理と自発的研修を促す条件を整備してきたのが、教育大国フィンランドです。私は、子どもたちの学ぶ意欲と子どもらしい希望に陰りを見せはじめた本市の教育のこれからの基軸は、ユネスコスクールに象徴される持続可能な社会を展望する創造的教育や互いを尊重し連帯して生きる力を培う絆教育に置くべきだと思います。そこにこそ、ラッカライネン教授が示唆する教育の方向性があるのですから。
大胆なスクラップアンドビルドを敢行しましょう。文科省自身が今回の調査は移行的措置であり、来年度に向け抜本的に見直すことを表明しています。学校教育金沢モデルの再検討を通じ、学力調査に関しては、少なくとも、調査問題の希望利用が残ったとしても、参加は見合わせるべきです。教育長のご所見を伺って、質問最後の項に移ります。

6.公立大学法人金沢美術工芸大学中期目標について

 2010年4月1日をもって公立大学法人に移行する金沢美術工芸大学にとって、当初6年間の中期目標と、初年度を支える予算案が本議会に提出されています。私は、9月議会で、大学の自治の確保、教育研究の独立性、市の財政的責任のあり方について市長ならびに大学当局のお考えをお尋ねしました。今、歴史的な転換点に立つ金沢美大の新たなスタートを前に、その誤りなき航路を確認するため、以下のご質問を致します。
 国立大学を含め先行して法人化した大学にあっては、市場原理導入が金科玉条のごとき時代であった故か、財政的自立の名の下で、公費である運営費交付金が削減され、競争的な外部資金に依存を余儀なくされた結果、本来の知の探求や基礎研究がおろそかにされるという負の連鎖を招く場合があったと聞きます。財政の論理に教学の論理が従属しては、真の大学の自立は覚束ないと思うのです。金沢美大の中期目標では、財務内容の改善に関する目標であり、具体的には競争的資金の獲得やその他の外部資金の積極的な導入との事項です。また予算案では、市からの運営費交付金と受託事業収入そして新設の寄附金の割合ということになります。
こうした中期目標の設定とそれに対応する法人初年度歳入予算編成に当たって、財務の基本とした考え方は何であったのかお聞かせ下さい。
 さて、大学法人としての新たな展開を担って行かれるのは、言うまでもなく教学を支える教職員スタッフです。「手で考え心でつくる」と創造の論理を学生に語り、全国的には後発組となる金沢美大の法人化準備の期間を通じ、学内での議論をまとめ、牽引されてきた久世学長に、公立大学法人金沢美大にあって、譲れないものは一体何か、そして大学の明日にかける思いをお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、市民共有財産である金沢美大を公立大学法人として独立させる側に立つ山出市長に、新生美大に対するはなむけの言葉をお尋ねし、質問を終わります。

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