12月定例月議会報告

12月定例月議会報告  ー2023年12月11日ー

◪一般質問(一問一答方式)の骨子 
1.金沢市の都市像「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」について
(1)自治体像について
(2)「金沢方式」について
(3)都市再生特別措置法の活用について
2.会計年度任用職員の処遇の改善について
(1)処遇改善と再度の任用上限撤廃について
3.金沢市の地域農業について
(1)みどりの食料システム戦略について
(2)みどりの食料システム法に基づく基本計画について
(3)生産現場からの声について
(4)持続可能な地域農業と安全な食料の生産について
4.子どもアドボカシーに関して
(1)児童福祉法改正について
(2)子どもの意見表明の権利について

◪12月定例月議会 一般質問と答弁記録  
  議席番号32番 みらい金沢 森 一敏   動画はこちらから

森 一敏議員:みらい金沢の一員としまして、以下数点にわたって質問いたします。
1.金沢市の都市像「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」について
(1)自治体像について
 まず、第1点目、金沢市の都市像「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」についてお伺いいたします。まず、自治体像です。本市は、市民にとっていかなる存在となろうとするのか。これが問われていると思うのです。憲法第92条には、地方自治の本旨が明記されておりますが、市長はこの意義をどのように解釈されておられますか。

村山 卓市長:憲法でうたう地方自治の本旨とは、地域のことは地域住民が主体的に決めるという住民自治と、国から独立した団体がその責任において事務を処理するという団体自治、この両面における自治を、地方自治体が確立することであり、地方自治の基本原則であるというように理解しております。

森 一敏議員:この基本原則はそのとおりだと思います。その中におきまして、最も重視すべき自治の価値、これを市長はどういうふうに表現されるでしょうか。

村山 卓市長:住民福祉サービスの向上にあると理解しております。

森 一敏議員:もう少し煎じ詰めますと、住民の基本的人権、こういうことになるのではないかと思います。本市の法務専門委員や審議会委員を長く務められるなど、本市の民主的な発展に貢献された鴨野幸雄金沢大学名誉教授は、共著「地方自治の憲法理論の新展開」の中で、地方自治の本旨とは、住民の基本的人権の保障と具現化を責務とすると明らかにされております。ちなみに、世界人権宣言、自決権をうたった国際人権規約、自由権規約、社会権規約、これらから連なる世界大戦後の人権思想の発展を考慮すれば、都市にとって、住民を主体とする自治の確立、憲法前文がうたう平和的生存権、この保障が地方自治の本旨ということもできるのではないでしょうか。今都市像に明示はされていないこうした自治と、平和的生存権に対する都市の責務について、市長の認識を伺います。

村山 卓市長:住民主体の自治を確立するということは、都市自治体にとって当然の責務であります。一方、憲法前文の、平和のうちに生存する権利につきましては、自治の概念を超えた国家としての責務と捉えております。本市もその一員としてその役割を果たしていかなければならないと考えています。なお、都市は国とは異なり、国家間の対立や制約からは一線を画すべきものと考えております。自らの個性や価値を国際舞台においても主張することで、世界の人々に選ばれる共創文化都市を目指してまいりたいと考えています。

森 一敏議員:平和の対極の言葉を、仮に戦争というふうに置きますと、まさに市長が答弁されたように、国家権力によって戦争というものが発動されるわけですから、それに対して国家を構成している立場の地方、この住民の平和的生存権、これを守らなければならないと、こういう論理になっていくわけです。そうしますと、都市も国家に対して物を言わなければならないし、海を越えた他国の都市に対しても、時には物を言わなければならない。これが住民の平和的生存権を保障するということの自治体としての責務ではないのかと、私は認識するんですが、そのあたりもう一度御答弁いただけませんでしょうか。

村山 卓市長:ただいま御指摘の国際間の紛争に関することにつきましては、国において十分な議論を重ねた上で適切に対応されているものと認識しております。私として、あるいは金沢市として国に働きかける考えはありません。

森 一敏議員:人権と平和の世紀を期待された21世紀が、現在、それに全く逆行するような、大変悲惨な状況が地域によっては招かれていると。このことに対して、自治体も見解を持ち、平和構築のために発言や努力を行う。それが住民の基本的人権や平和的生存権につながると、私はそのように解釈しておりますので、そこは若干ずれがある。ちょっと残念に思います。ところで、今回の都市像の中で、そうした憲法上の規範あるいは自治という概念を住民と共有していくという、そういう文言がはっきりしていないように、私は感じております。例えば、山出市政時の世界都市構想、この中に、世界と相互に交流・協働・連帯することで、世界の豊かさの拡大や平和に貢献する都市を目指す。このように書かれています。第2次基本計画では、人権文化の尊重、文化ですね、この中で、人権の尊重という項目がありまして、お互いの人権を尊重し合う社会の実現のために、様々な機会を通じて人権教育啓発を推進するとともに、平和の尊さを訴えていきます。あるいは人権教育啓発の推進のところで、多様性を受け入れ尊重するなど、国際化時代にふさわしい人権意識を育てます。その後に、国際平和の推進と、こういう文言が、基本計画の中に記載されているわけです。こうした先例のある金沢の自治体、都市としての世界に対する平和的責務、これについて市長はどのように理解なさいますでしょうか。

村山 卓市長:憲法上での記載あるいは地方自治法上での記載というのは、当然国の構成員である一自治体として守るべきものであるというように思っています。一方で、今後あるべき社会というところを見据えた中で、共生社会の実現であるとか、あるいは今後の平和的な社会の構築、これは当然のもの、そして前提のものであるというように捉えております。今回の都市像の中では、共生社会について、あるいは多様な生き方について認めるような、そしてそれを支援していくような記載をさせていただいているところであります。

森 一敏議員:今後、行動計画の策定に入っていかれるということですので、そこでの議論がさらにまた必要かなと思っておりますが、日本国憲法の前文、この際ですので、若干確認させていただきたいと思うのですが、諸国民との共和による成果、我が国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、さらに後段では、我らは、我らですので国民であり、市民でもある。我らは全国世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。まさに世界に対する責務というものが、都市にも、またその都市を構成する住民にもしっかり存在していると、それが第二次世界大戦の教訓であると。このように、私は、都市や住民の責務というものを理解しなきゃいけないと思っています。ぜひ市長にも、さらに共有していただければと、これは、答弁は求めません。

(2)「金沢方式」について
2番目、金沢方式についてです。基本方針2の暮らしづくりの中で、持続可能なコミュニティーを支える基盤の強化として、持続可能な金沢方式に向けた見直しが例示されております。御承知のとおり、公民館や児童館建設をはじめ、金沢方式における地元負担、住民負担の廃止を含め、負担軽減を求める声が相当上げられております。市長は、この金沢方式をどのような制度趣旨を前提認識として見直し方針を掲げておられるのか伺います。今後、基本計画策定の中で、見直しの対象となる事業の種類やタイムテーブルの見通しも併せて伺っておきます。

村山 卓市長:金沢方式は、昭和27年、新たな公民館の設置に際しまして、多少の地元負担を伴っても校下ごとに公民館が欲しいとの地域住民の強い要望を受けて、地元が一定割合を負担することによって、当初計画より30館多い公民館を開設したことに始まりまして、その方式が公民館のほか、児童館、消防団で採用されてきました。地域が一定の負担をしながら自主的運営を行うこの金沢方式は、活動の自主性・自立性を担保することで、地域の連帯を強め、協働を育むために大きな役割を果たしてきたと認識しております。一方で、人口減少・少子高齢社会の進展など、市政を取り巻く環境が大きく変化する中で、町会加入率も減少し、地域負担の見直しが必要との声があるということも承知しているところであります。こうしたことを踏まえて、都市像に掲げる持続可能なコミュニティーを支える基盤の強化に向けて、金沢方式の見直しを図る方針を示したところであります。また、事業の種類につきましては、公民館や児童館、消防団に関する施設整備における地元費用負担の在り方などを対象として、庁内横断プロジェクトチームを中心に、現在、検討を重ねております。人口減少・少子高齢社会においても、持続可能な仕組みとする必要があることから、地域団体の皆様からも意見をお聞きしなければならないこと、また、予算にも反映する必要があるということから、見直しの時期については慎重に見極めてまいります。

森 一敏議員:先ほど質問しました住民自治、その拠点としての生涯学習を含めた重要な施設、これについては、一定のコンセンサスはあると思います。ただ、お話がありましたように、時代の推移とともに、地元負担あるいは住民負担、これらをどのところで許容できるかできないか。これについての住民意識は、またかなり変わってきていると思います。この質問に差し当たりまして、議会史を少しひもといてみましたら、いわゆるこの地元負担、住民負担、税外負担という言葉で、税を払い、かつ税以外に払う。税外負担です。有料袋の導入の際に、随分この問題で当時の山野市長と私は議論させていただいたんですが、この税外負担の見直しというのは、1960年代、1970年代、何度も繰り返し巻き返し行われているんです。まさに道路にも地元負担というものがあった時代もあったようですし、学校建設にも地元建て替えというような、そういう仕組みがあった。そういう時代を経て今日に至っておりますので、この自治の拠点というものをしっかり皆さんに共有していただくと同時に、その負担の在り方、自治のコスト、これをどう分かち合っていくかということについては、改めて相当深い議論が必要になるんじゃないかと思うのです。そのあたり、見直しに当たって、地域住民とどのような対話、意見の交換をしていくおつもりか、もう一度お答えいただきたいと思います。

村山 卓市長:この間、この新たな都市像を策定する間においても、また、その後今年度からもタウンミーティングを重ねてまいりました。地域の方々と、これまでも金沢方式についての御議論もいただいたところであります。そして、その中では、金沢方式はやはり金沢ならではのすばらしい方式だというような御意見もいただきました。そういった御意見もあるところと、先ほど申し上げた人口減少・少子高齢化、さらには町会加入率の低下などの現状を踏まえた上での検討を重ねていきたいと考えています。

森 一敏議員:地域によりましては、この金沢方式によって物を建て直す。そういう時期がもう差し迫ってきているという場所も、金沢市内に幾つかあるはずです。ですから、そういう意味では、多面的な議論をしながら、ある程度のスピード感も必要になっているだろう。私はそういうふうに認識しています。住民間に溝が深まるような、そういう結論・結末だけは何としても避けなければならない。そういう課題を持って、非常に注目が集まっていますので、しっかり検討し、私たちも議論にしっかり参加していきたい。そう思っています。

(3)都市再生特別措置法の活用について

次は、都市再生特別措置法の活用についてです。基本方針5、都市づくりでは、骨格となる都心軸の再興に、都市再生特別措置法の活用が掲げられています。緊急整備地域の区域指定により、高度制限と容積率制限を撤廃できれば、開発投資を呼び込めるとの目算ですが、都心軸全体の再整備ビジョンが都市の投資の呼び込みに傾斜し過ぎると、継承するとする金沢市基本構想における金沢の歴史や個性、価値観を基礎とした普遍性を、また、1968年、全国初の伝統環境保存条例の制定を皮切りに、市民の私権制限をも伴いながら、営々として積み上げてきた景観形成やまちづくりにおける保存と開発の調和の原則を損なわないか、懸念いたします。都市再生特別措置法の適用申請に当たって、都心軸における開発の在り方に対する市長の基本認識を伺います。

村山 卓市長:金沢駅から片町に至る都心軸におきましては、都ホテル跡地だけではなく、老朽ビルの再整備などの課題を解決するためにも、都市再生特別措置法を活用し、民間による開発の機運を高め、都心軸エリア全体の面的整備の促進につなげていきたいと考えています。また、都市再生緊急整備地域の指定に際しましては、産学官金で構成する準備協議会におきまして、地域における開発の考え方や求められる機能などを掲げる地域整備方針を取りまとめる必要があります。その中で、保全と開発の調和を踏まえた本市のまちづくりの考え方を反映させたいと考えています。

森 一敏議員:民間投資が必要であるということは事実でありますので、これをいかに呼び込むかということと、金沢市がまさに都市の魅力として、先ほどの質問と御答弁にもありましたけれども、営々と歴史的に積み上げてきた金沢の固有のまちの価値、これをどう両立するか、具体的な手法、これを市民に明らかにし、そして市民の意見も仰ぐ、こういうプロセスが必要だと思います。今回の申請というものがその第一歩ということになるのかもしれませんが、私は、あまり拙速に事を運ぶと禍根が残る、こう思いますので、いかがでしょうか。

村山 卓市長:これまで保全と開発の調和を進めてきた、これは、金沢のまちづくりの文化であると考えており、また、まちづくりの基幹であるとも捉えております。そうした、開発をしながらも、保全を大事にしていくということ、これを考えるとともに、一方では地域経済の活性化、あるいは都心軸の再生といった課題も大きな課題である、そして、喫緊の課題であるというように考えています。議論を加速化させながら、よりよい結論に向けて、地域整備方針を取りまとめてまいりたいと考えています。

森 一敏議員:これは私ども議員にも、まちづくりに対する大きな責任がありますので、しっかり議論させていただきたい。今日はこのあたりでとどめたいと思います。

2.会計年度任用職員の処遇の改善について
(1)処遇改善と再度の任用上限撤廃について
 次は、2点目、会計年度任用職員の処遇の改善についてです。まず、処遇改善と再度の任用上限の撤廃について伺います。これまで期末手当のみ支給されていた会計年度任用職員に、併せて勤勉手当を支給する条例改正案が提出されました。この条例改正に込めた趣旨についてお聞かせください。

村山 卓市長:会計年度任用職員への勤勉手当の支給につきましては、フルタイム勤務職員を除いて、これまでは違法であり、国における非常勤職員においても、勤勉手当の支給が進んでいなかったことから、検討課題とされておりました。本年の地方自治法の改正を受けまして、令和6年度から勤勉手当の支給が可能となりましたが、令和2年度からの会計年度任用職員制度の導入以後、期末手当の支給や公務員共済の加入が可能となるなど、正規職員と同様な取扱いの流れとなってきていることを踏まえ、今回、条例改正案をお諮りした次第であります。

森 一敏議員:できるだけ正規職員、非正規職員の均衡を図る、その一環であると私も理解し、歓迎しております。ところで、さきの総務常任委員会で、本市会計年度任用職員に係る再度の任用の上限を撤廃すると報告を受けました。移行期となった2018年以来、無期任用を拒んできた任用方針を、公募と選考を条件としながらも、再度の任用上限撤廃へと転換した理由をお尋ねします。

村山 卓市長:会計年度任用職員制度の導入以来、産前産後休暇の有給休暇などの取扱いの変更、また、地方公務員共済制度の適用のほか、期末手当や今定例月議会でお諮りしている勤勉手当の支給など、正規職員の取扱いにより近づく動きが進んできております。また、昨今の人材不足の状況から、看護師や保育士などの資格職はもとより、事務補助の会計年度任用職員の確保も困難となり、行政運営に支障を来す状況が顕在化してきておりますことから、任用期限の見直しを行ったものであります。

森 一敏議員:本格導入から3年、また一歩前進したと、私は受け止めております。詳細については、また委員会の場でお尋ねしていきたいと思います。
 年間雇用パートタイム非正規職員が815人、短期間雇用非正規職員が712人いらっしゃいます。いずれも学校現場、保育職場が上位を占めております。人手不足が深刻化する両職場では、子どもへの対応を相談する時間の確保すら難しい現在の任用条件であるとの声が届いております。任用改善の余地がないか御所見を伺います。

村山 卓市長:勤務時間や配置人数の増加などの任用改善につきましては、これまでも所管する部署ごとに職務の内容や業務量などを踏まえ、必要に応じて見直しを図ってきております。引き続き現場の状況などを考慮しながら対応してまいります。

森 一敏議員:現場の声をよく聞いていただきながら、対応を検討していただきたいと思っております。

3.金沢市の地域農業について
(1)みどりの食料システム戦略について
 3番目、金沢市の地域農業について伺います。1番、みどりの食料システム戦略について伺います。「語弊を恐れず言うと、プーチンは1つだけいいことをした。それは、食料自給が大事だということを分からせたことや」、市内の篤農家の言葉です。その食料自給率は、カロリーベースで38%、6割以上は海外依存です。唯一の自給作物─米は、営々とした品種改良の努力により、味と高品質を誇りますが、輸入食材による飽食で米離れが進み、米価の下落と資材高騰で、再生産費すら賄えません。後継者問題の背景でもあります。今夏のような炎暑がニューノーマルとなれば、限定核戦争による核の冬が、日本に7,200万人の餓死者をもたらすとの衝撃的な米国大学の研究報告と同様の事態を招かないとも限りません。こうした深刻な状況に対し、農林水産省は、みどりの食料システム戦略を打ち出しています。本システム戦略の趣旨を、本市としてどのように受け止めておられるか伺います。

村山 卓市長:環境と調和の取れた食料システムの確立を目指す、国のみどりの食料システム戦略を踏まえまして、本市としても環境に配慮した持続可能な農業の振興と、食料の安定確保に向けた取組を進めてまいります。

(2)みどりの食料システム法に基づく基本計画について
森 一敏議員:農業に対する関心というものは、急速に今、高まってきていると思います。みどりの食料システム法に基づく基本計画について伺います。本年3月20日に、石川県と本市を含め19市町が名を連ねる、石川県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本計画が策定されています。本市においては、金沢の農業と森づくりプラン2025が、2年余りで計画年次終了を迎えますが、その進捗を照らし合わせ、本市でシステム戦略を実施するに当たっての現状認識と課題を伺います。

山森健直農林水産局長:金沢の農業と森づくりプラン2025における環境保全型農業に取り組む面積の目標はおおむね達成しておりますが、国のみどりの食料システム戦略が求める化学肥料等の使用低減や、有機農業の取組面積の拡大の目標は、現状に比べ非常に高く、達成するには作物の収量の減少や、除草等の作業量の増加などが伴いますことから、生産者の負担が大きいと考えております。今後、国が求める戦略の実現に当たりましては、環境負荷低減の取組が農作物の付加価値向上につながることや、効率的な栽培技術が確立されることが、本市をはじめ全国的な課題であると認識しているところでございます。

(3)生産現場からの声について
森 一敏議員:確かに非常にハードルが高い。しかし、地球の状況は待ってはくれない、これに対処していかなければならない、その強い危機意識を持って事に当たっていかねばならぬのじゃないかと、私はそう考えています。
 生産現場からの声があります。本市中山間地で集落営農を営む農業者からは、システム戦略の方向性は、地球規模の問題と地域農業の課題解決に必要だとしながら、この現実から何をどう取り組んでいくのか、それを支える農政が見えない、意見を言う場もないとの苦言を聞きます。現場生産者との意思疎通、目的意識の共有はどう進めるのか伺います。

山森健直農林水産局長:来年1月、各JAの生産組合長会議の開催に合わせまして、国のみどりの食料システム戦略や、これを踏まえた石川県の基本計画の理解を深めるための説明会を行う予定であります。まずは有機農業に向けての国の助成制度を活用した土づくりや、化学肥料の使用量を低減する栽培法など、具体的な先進事例を紹介し、農業者の理解を深めていきたいと考えております。

森 一敏議員:恐らくこれから展開される地域説明会、この中で、生産者のかなり厳しい意見なども伺うことになると思います。ぜひそれを糧にして、具体化の力にしていっていただきたいなと、そう思っております。
(4)持続可能な地域農業と安全な食料の生産について
 持続可能な地域農業と安全な食料の生産について伺いますが、今も御答弁がありましたが、多岐にわたる生産現場の問題解決の突破口は、所得補償にもつながる農産物の高付加価値化、中でも有機栽培や自然栽培の手法の導入と市場確保と言われております。石川県が市町と連携して導入する特別栽培米の学校給食提供の意義と課題を伺います。

山森健直農林水産局長:特別栽培米の学校給食への導入を契機に、子どものみならず保護者を含めて、まずは持続可能な環境保全型農業への理解を深めていきたいと思っております。一方、現状では、本市で生産される特別栽培米の量が少なく、長期間の学校給食に十分な量を供給することができないことから、JA等関係団体や農業者の理解と協力を得ながら、需要先の確保と生産量の拡大に努めていきたいと考えております。

森 一敏議員:有機化のための具体的な支援、所得補償、このためにどういう仕組みを早急に確立していくか、大変難しい課題なんですけれども、これを追求しなければならないと、私もそのように考えている者の一人です。そこで、答弁の中にも触れられましたが、ある農家の方は、肥料・土壌づくりが決め手なんだと、時間と手間がかかると。これに応える施策が必要だと。例えば中央卸売市場で魚のあらが出てくるけれども、あれは一体どうなっているんだろうかと、その他、農林・畜産・水産業で発生する多様な廃棄資源の活用など、地域特性を生かした循環型の有機肥料の生産に、本市と農業団体、農業者が連携して取り組むような本格的な独自施策が必要かと思いますが、見解を伺います。

山森健直農林水産局長:地域資源を活用した有機肥料につきましては、JA金沢市が金沢競馬場内で排出される馬ふんを、土づくりに効果がある堆肥として製造しております。また、仰せのとおり、水産衛生センターにおいて、魚のあらを原料として製造しました肥料が、農業法人等に販売され、利用されております。持続可能な農業を推進するため、このような有機肥料の生産・利用拡大につきましても、今後、関係団体や農業者とも連携しながら研究を進めていきたいと考えております。

森 一敏議員:農林水産省がこういうシステム戦略、こういうものを各自治体に対して、生産者に対して頑張ってやってほしいと、こう言っている以上は、財政的な補償というものはどうしても必要になると思います。これは私どももそういう声を上げていかなきゃなりませんが、自治体としても国に対して、かつてあった個別所得補償制度の復活等々、ぜひ声を上げていっていただきたいと、そう申し上げておきたいと思います。

4.子どもアドボカシーに関して
(1)児童福祉法改正について
 4点目、子どもアドボカシーに関して質問いたします。1番、児童福祉法の改正についてです。昨年6月の児童福祉法の改正により、児童の意見聴取等の仕組みの整備、すなわち児童養護施設や一時保護施設の子どもたちへの措置を検討する際、子どもの意見を聞くことが義務づけられました。社会的擁護における子どもアドボカシーの法制化です。子どもアドボカシーとは、子どもが意見や考えを表明できるようにサポートすること。子どもアドボカシーを実践する人がアドボケイト。子どもアドボケイトは、子どもが意見を表明する権利を支える存在で、完全に独立を求められる存在です。そこで、児童の意見聴取等に責任を負う児童相談所設置者である本市の責務を、市長はどのように認識しておられるか。課題も含めて伺います。来年度からの実施に向けて、準備はどう進んでいるのかも併せてお尋ねします。

村山 卓市長:児童養護の観点から、児童の意見を聴取することはとても大切なことと認識しております。これまでも大人の意見を押しつけることなく、子どもの立場に寄り添いながら思いや悩みを受け止め、子どもが安心して自分の考えを話すことができる環境をつくってきたと思っています。ただ、子どもは信頼している大人にしか本音を話さないことが多く、日頃から子どもと良好な信頼関係をいかに築くかということに、引き続き意を用いたいと思います。そして、本市児童相談所では、これまでも子どもの思いを受け止め、寄り添うことを心がけてきておりますけれども、今般の児童福祉法の改正を踏まえて、これまで以上に、支援が必要な子ども自身の意見が今後の生活に反映されるよう、児童養護施設等とも連携をさらに強化していくこととしております。児童虐待や不適切な養育など、子どもが置かれる厳しい環境等に対して、児童相談所と連携先が、子どもを中心に置いた支援方針の情報共有を図るとともに、支援の役割を明確にしてまいります。

森 一敏議員:具体的な準備のプロセスの中で、この子どもアドボケイトに相応する新たな担い手、これ、独立性が非常に重視される。その独立性がゆえに信頼を得ることができる。こういう存在ですので、これらを含めて準備の進捗はどうなっているか、これを伺っておきます。

村山 卓市長:意見表明を支援する立場の人間として、これまでも一時保護や施設への措置の際には、児童相談所の心理士が子どもの意見聴取を行ってまいりました。今般の法改正に伴いまして、子どもの最善の利益を考慮するため、意見表明支援員を配置し、事業体制を整えることとされております。この意見表明支援員は、子どもの福祉に関し知識経験を有する者を対象に、都道府県等が行う研修を修了する必要があることから、配置に係る準備も含めまして、県と連携して対応してまいります。

(2)子どもの意見表明の権利について
森 一敏議員:子どもの意見表明というものが、法律上明示されるという時代になったなということを、私も改めて感じております。子どもアドボカシー、これは、意見表明の権利、これが中核です。同年、昨年の6月、こども基本法が制定されました。その目的は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、自立した個人としてその権利の擁護を図ることである。その根拠に据えられている児童の権利条約の一般原則への認識を、教育長に確認します。

野口 弘教育長:子どもの権利条約の原則は、4つあると認識しています。1つは、生命、生存、発達に対する権利、子どもの最善の利益、差別の禁止、そして、意見を表明する権利であります。このいずれも、将来を担う子どもたちを育むために、学校、家庭や地域など、子どもに触れ合う全ての場において尊重することが重要であると捉えております。

森 一敏議員:子どもアドボカシーは、本質的には社会的擁護の場に限定されるわけではない、こういう御答弁でしたね。その際、子どもアドボカシーの理念と子どもの意見表明権の観点から、児童福祉全般に加え、学校教育全般も見直されるべき時代が来たと思うのです。教育長は、子どもアドボカシーについて、どのように認識しておられるか伺います。

野口 弘教育長:子どもアドボカシーは、子どもたちの声を聞いて、その権利や利益を守るために、子どもたちが意見を表明する支援を行う活動であり、社会全体が子どもたちの人権や福祉について考える重要な活動であると認識いたしております。本市では、このことにつきまして、学校では、子どもが自分に関係のある事柄について自由に表した意見を、発達段階に応じて十分に考慮しながら、各教科や特別活動、生徒指導などの教育活動に反映しております。また、地域におきましても、地域全体で子どもを育てるという意識の下、その思いに寄り添って、放課後の子どもの居場所づくり活動などが展開されております。今後とも子どもたちが健やかに育っていけるよう、子どもたちの意見を大切にして、学校教育活動や社会教育活動の充実に取り組んでまいります。

森 一敏議員:金沢市でも急速に不登校の児童が増えているという状況が生まれております。学校に子どもの居場所があるのかという根源的な問いがなされている。私は、このアドボカシーという考え方、これを一つのてこにして、そうした根源的な問題について、もう一度子どもに関わる全ての大人が考えるという機会にしなきゃいけないと思います。
 お時間がなくなりましたので、子どもの権利条例につきましては、また場を改めて御見解を伺っていきたいと、そう思っております。

 以上で質問を終わります。

◪会派提出意見書採択の結果について


   ▲全会一致採択    ▲少数否決で不採択