2023年9月定例月議会報告

9月定例月議会報告

◪一般質問(一問一答方式)の骨子 
           ー2023年9月13日ー

1.物価高騰対策と最低賃金の引上げに関して
(1)今次補正予算案における物価高騰対策費について
(2)最低賃金引上げに関して
2.宿泊税の見直しについて
(1)調査検討スケジュールについて
(2)当初のスケジュールについて
(3)宿泊事業者への実態調査について
(4)法定外目的税としての適正さについて
(5)国が地方自治体に求めている留意事項について
(6)特別徴収義務制度
(7)制度趣旨と逆進性の是正の観点から
3.市民のつぶやきから
    居住支援協議会を金沢に
(1)セーフティネット登録住宅の登録に関して
(2)要配慮者の相談と入居者への経済的支援について
(3)本市における居住支援事業における課題について
(4)居住支援協議会設置について

◪9月定例月議会 一般質問と答弁記録   2023年9月13日
  議席番号32番 みらい金沢 森 一敏   動画はこちらから

森 一敏議員:みらい金沢の一員として、以下、数点にわたりまして御質問をさせていただきます。

1.物価高騰対策と最低賃金の引き上げに関して
(1)今次補正予算案における物価高騰対策費について
 まず、第1点目、物価高騰対策と最低賃金の引上げに関してです。今次補正予算案においても、物価高騰対策費が計上されております。本市はこの2年半に、暖房費、原材料価格高騰に対する助成など、今補正を含め、ほぼ100億円の財政措置を重ねてきました。市長は、物価高騰の進行と現況をどう見ておられるのか、まず伺います。

村山 卓市長:物価の高騰については、ウクライナ情勢や円安の影響に加え、投機的資金、産油国の供給調整など、世界経済における様々な要因が複雑に絡んだ結果であると思っております。この状況、すぐに解消される状況にはないと思っておりまして、今回お諮りする補正予算においても、対策経費を盛り込みました。これまでの国の物価高騰対策に積極的に呼応するとともに、財政調整基金を取り崩し、市独自の対策を講じたところでございます。今後とも、物価の推移や国の動向を注視しつつ、時勢を捉えた必要な対策を講じてまいります。

森 一敏議員:次に、本次補正におきまして、生活保護世帯等を対象とする福祉助成金を光熱費に限定した理由と世帯当たり1万8,000円の算定根拠を伺います。御説明を願います。

山口和俊福祉健康局長:本市では、昨年来、生活保護世帯や要介護度の高い高齢者のいる世帯等に対しまして、市独自の物価高騰対策を講じております。今回の福祉光熱費助成金につきましても、夏季と同様、自宅で生活し、光熱費を負担している困窮世帯に対し支援をするものでございます。電気、灯油、ガス料金の高騰は生活困窮世帯にとりまして、生活に直接影響を及ぼすことでありますことから、光熱費に限定し、その高騰分を捉えて助成金を支給することとしたものでございます。そして、続いて、世帯当たり1万8,000円の算定根拠ですけれども、令和4年4月の価格と直近、令和5年8月実績から国の継続支援分を考慮するなど、料金の高騰分による差額分を10月から3月の6か月分として算出したものでございます。以上です。

森 一敏議員:政策の根拠は理解をいたしました。ただ、直接的に燃料、これに生活は非常に圧迫をされて、それはそのとおりでありますけれども、生活全般を見渡して、ほとんどが高騰していると、こういう状況の中で、この補正予算はぜひともお届けしなきゃなりませんが、それだけではなかなかにしんどいというのが庶民感覚ではないかと思っております。そこで、次の質問に移りますが、物価動向を示す消費者物価指数です。この指数は、公表の際に生鮮食料品、エネルギーを除外した指数がよく用いられています。本市7月の総合指数を見ますと、総合指数105.7、生鮮食料品を除く指数になると105.6、さらに、エネルギーも除外すると104.4と下がります。一時的変動の影響を考慮する統計上の手法とはいえ、市民の生活実感と物価動向の数値にずれを生じさせ、必要な経済政策をも見誤らせるような意図があるのではないかとうがってしまうわけです。総務省出身の村山市長は、公表する消費者物価指数の在り方をどうお考えでしょうか。

村山 卓市長:総務省出身ではありますけれども、総務省統計局の在籍経験がありませんので、専門的な見地とは言えないかもしれません。ただ、消費者物価の指標として、生鮮食品とエネルギーを除いた指数が用いられるというのは、天候や原油価格など、一時的な要因で値動きが激しい分野を除外することで消費者物価の基調を把握するためのものということで、アメリカ等の諸外国でもこうした指標が重視されていると把握しております。また、生鮮食品やエネルギーを含んだ総合指数も併せて公表しているということで、透明性のある適切なものと考えております。

森 一敏議員:今、3つ、総合と食品、それから食品とエネルギー、この3つの指数について取り上げて申し上げたわけですけれども、それぞれデータが出ているのです。出ているのですが、総合的な指数というものが一般生活者の目にする機会が私は少ないんじゃないかなというふうに思うわけです。制度自体は透明性を持っているかもしれないけれども、それを今の生活状態、きついなと感じている生活者にとって、その根拠が一体どこにあるのかということを正確に把握するには、やはり総合指数というものをしっかり触れることができるような情報環境というものが必要ではないかと思うのです。私、うがってしまうということを申し上げましたけれども、この物価高の生活感、それを感ずるしんどさというものが、こうした指標によって薄められてしまうような効果があるような気がするのです。ですから、ちょっと再度伺いますが、この指標、消費者物価指数の公表の在り方、これについて私がそのように感じているということについて、市長はどう思われるか、もう一度、お聞かせください。

村山 卓市長:一時的な動きではなくて、消費者物価の基調を把握するということを重視を置いた指標だというように思っております。そのため、それを補完するような指標も併せて公表しているというのが総務省の公表の仕方なのかなというように考えております。

森 一敏議員:全体としての消費者物価指数の動向、これが正確に消費者、生活者にも伝わっていくような、そういう消費者物価指数の取扱い方というものがやはり必要だと思います。もし機会があれば、市長会等の場で、これは市民の方からの声でもありますので、ぜひ、これについて問うてみていただければと、これぐらいにしておきます。
 さて、物価高騰の原因とされた要因のうち新型コロナ禍は一定収束をし、ウクライナ戦争により高騰した原油や液化天然ガスなどのエネルギー国際価格も一頃よりは落ち着きつつある中で、輸入品価格を押し上げる極端な円安は収束の気配がありません。今や本質問題となった円安は、ゼロ超低金利により金融を量的に緩和し、株価をつり上げるアベノミクスの弊害です。その転換、さらには格差を埋める所得の再分配機能、強める税制改革を自治体こそが強く政府に求めるべきではないでしょうか。市長の御所見を伺います。

村山 卓市長:政府は、現在、新しい資本主義を通じて企業収益を高めることで労働者に所得を分配するということとしております。30年ぶりとなる高い賃上げが実現されるなど、成長と分配の好循環が今動き始めているところというように思っております。今後もこうした国の動向を注視してまいります。
 税制改革につきましては、一義的には国において決められるものでありますけれども、主としては、税源移譲による国と地方の税源配分の5対5の実現あるいは、地方交付税の充実、地方の税財政基盤の充実と、地方分権改革の推進、この点を全国市長会等を通じて国へ強く働きかけてまいります。

森 一敏議員:アベノミクスから新しい資本主義、分配のある資本主義、これはまだなかなか見えてきておりません。スタートしたというのが市長の御認識だということです。この間に相当大きな所得の格差が生じましたし、資産格差も極大になりましたし、富裕層は増えましたし、中間層が低所得層へ落ちてしまうという割合も高くなってしまったわけです。今はやはりいかにしてその国全体の富を再分配させるか、そのためにどういう政策が必要か、これは、自治体が市民生活の現場に一番近い行政体ですから、そこで感じられた市民の苦しみとか、これを是正をするために、国に向かって果敢に提言を含めてぜひ発言をしていっていただきたいなと思います。私は、個人的にといいますか、地方共有税、この構想を支持しておりまして、この議論もこの際、十分にやっていただきたいと思います。
 また、消費税が8%から10%、税率が変わらなくても、物価が上がれば消費税の収入が上がっていると、こういう大変な状態もあるわけです。これによって税収が非常に大きくなっていると、こういう何と言いますか、矛盾した状況、逆進性が強い消費税によって、この物価高騰の中で税収が上がっているという、非常に生活に厳しい状況に置かれている人にとっては、ちょっと申し訳ないというような現象にもなっておりますので、こういう逆進性の強い税制から本格的な所得再分配の税制への転換、これをより強く求めていただきたい、そのことは求めておきたいと思います。
(2)最低賃金引上げに関して
 こうした情勢の中で、最低賃金の引上げは社会的な要請です。石川労働局は、8月8日、石川地方最低賃金審議会からの答申を受け、10月8日に発行する石川県内の最低賃金を現在の891円から過去最高となる42円引き上げ、時間額933円とすることを発表しました。同審議会は、厳しい経営環境の下、賃上げ原資の確保や適切な価格転嫁、下請取引慣行の定着を求めています。最低賃金の引上げにより、中小、小規模事業所で働く労働者に違法賃金が生じたり、働き方改革に逆行する従業員整理や新規採用控えが起きてはなりません。本市としても、中小企業や就労支援A型事業所など、福祉事業所での賃上げを支援する独自の施策が求められているところです。市長に最低賃金引上げの評価とともに、賃上げを支援する独自の施策について、御所見を伺います。

村山 卓市長:今回の最低賃金の引上げにつきましては、本市中小企業の人材確保や従業員の賃金水準の底上げにつながるものと捉えております。今後、賃上げに伴う消費の拡大等によって、地域経済の好循環が実現することを期待をしております。また、この引上げを踏まえて、国のほうでは、中小企業に対する業務改善助成金の対象を拡充しておりますほか、県のほうでは、この助成金に上乗せ助成を検討するなど、賃上げ事業者への支援に取り組むこととしております。こうした国や県の動向を注視したいと考えております。また、現時点では、最低賃金の引上げに伴う本市独自での施策や支援策までは考えておりませんけれども、引き続き、中小企業のDX化や従業員へのリスキリングといった生産性向上につながる施策や就労支援事業者に対する商品開発や販促活動などの支援を行ってまいります。

森 一敏議員:今後の物価の動向、そして、最低賃金が新たに発効したその後の企業活動、あるいは賃金の動向、そういうものをぜひ注視していただきたいと思います。国がやる、県も今補正予算がかかっているということは承知しております。国・県・市、連携して地域にお金が回る仕組み、これをつくり上げるための最低賃金引上げに対応した、特に規模の小さい事業所を応援する、その施策については、来年度の当初予算の策定にもこれから入っていかれますので、ぜひこれは検討を進めていただきたいということは申し上げておきたいと思います。

2.宿泊税の見直しについて
(1)調査検討スケジュールについて
森 一敏議員:次は、第2点目、宿泊税の見直しについて御質問いたします。金沢市宿泊税条例施行後の状況に関する調査、検討会議の検討スケジュールに対し、総務常任委員会で党派を越えて委員から厳しい批判と見直しを求める意見が続出し、実態調査の上、第3回を設定すると変更されました。私は総務常任委員です。あえてこの課題を本会議で取り上げさせてもらっているということは、市長にこの御所見等々をお伺いしたい。この一念です。まず、村山市長に、この異例の展開、どのように受け止めておられるか、伺います。

村山 卓市長:調査検討会議では、御指摘の総務常任委員会での委員各位からの御意見をお伝えして、それを踏まえて議論を進めていただいております。実態調査につきましては、調査検討会議の委員から、もう少し情報収集が必要である。また、宿泊事業者の実態を踏まえる必要があるなどの御意見があって、実施することになったと聞いております。引き続き、慎重、かつ丁寧に議論を進めていただきたいと考えております。
(2)当初のスケジュールについて
森 一敏議員:スケジュールがつくり直されたという中で、次にお聞きするのはちょっと恐縮な気持ちもないことはないですが、やはり本質に関わるかなと思われるのであえて伺いますが、当初の検討会議スケジュールは7月と8月の2回で意見を取りまとめ、9月には市長に報告するというものでした。そもそも拙速と批判された短兵急な検討スケジュールがなぜ立てられたのか。当局としての意図はどこにあったのか、伺います。

川畑宏樹総務局長:調査検討会議におきましては、昨年度実施いたしました宿泊税条例施行後の状況に関する調査の結果を踏まえて御議論をいただくことから、前提となる基礎資料が整っていたということを考慮いたしまして、2回の会議により一定の結論を得ることを当初意図したものでございます。

森 一敏議員:私も昨年の調査報告書、細かく全部読ませていただきました。私がこれまで、2019年施行ですから、それから4年、経過する中で、現場から伺っていた実情と相当の開きがある。どういう調査方法でこうなったのか。いろいろと考えさせていただきました。2回の意見の取りまとめ、そして、市長に報告をする。これは、そこで問われている制度の抜本的な検証、見直し、これをやるつもりないんじゃないか、このように思ったわけです。総務の委員会のスケジュールと照らし合わせてみても、この条例の在り方そのものについて、議会でしっかりと検証をし、審議をするということを避けているといいますか、それをせずとも見直しが完了できる。このような考え方があったのではないのだろうかと、こう直感をしたわけです。他の委員の皆さんも同様のことをお感じになったのではないでしょうか。それがスケジュールの見直しにつながっていった。条例改正が必要とされるような見直し、これは当初から想定していなかったんじゃないか。こういう疑念が生じました。率直に申し上げます。条例改正の必要のない程度の見直しにとどめられる、そのような認識でスケジュールを立てたということはありませんか。もう一度、局長に答弁を求めます。

川畑宏樹総務局長今回は、昨年度、まず、こちらの思いとしてはかなり詳細な調査をしたというふうに思っております。そういった基礎調査を昨年度、時間をかけて実施したということがありまして、当初は7月と8月の2回でということで考えておりました。以上でございます。

森 一敏議員:検討会議の委員の方々もやはり同様の疑問を感じられたんじゃないかと思います。ですから、改めて実態調査を行って、その上で、3回目、これはいつになるか、まだ分かりません。今度、総務の委員会で報告があるかどうか分かりませんけれども、まだ決まっていないということですから、これはやはり実態把握の上で、検証した上ででないと、見直しというのはできないと、こういう良識が示されたものと思います。議会サイドからすると、多少、議会軽視という点がなかったかなと、これはあえて申し上げておきたいと思います。
(3)宿泊事業者への実態調査について
 さて、改めて実施することになった宿泊事業者への実態調査、これはいつまでに、どのような内容、手法で行うのか、お答えください。

川畑宏樹総務局長:まず、調査につきましては、9月5日に宿泊事業者へ発送いたしまして、9月20日までに郵送、または電子申請システムでの回答をお願いしております。調査項目は8項目がございまして、宿泊客の宿泊目的ごとの割合やビジネス客の滞在期間、宿泊料金の価格帯ごとの宿泊者の割合のほか、税制を見直した場合における宿泊事業者の事務負担の変化とその許容の度合い、見直しに対応するために必要となる準備期間などをお尋ねしております。

森 一敏議員:一番の課題になっていた、この宿泊税施行後に特別徴収義務者である事業者がどういう状態になったかという実情把握です。これを問う、そういう問いはないのでしょうか。

川畑宏樹総務局長:今調査しておりますこの調査票につきましては、なるべく簡易に答えられるように選択式でしております。その他、自由記載欄を設けておりますので、そこでいろんな意見をお聞きするような形を取っております。

森 一敏議員:特別徴収義務という制度、宿泊事業者に徴収の労を取っていただかなければ、金沢市の税財源が入ってこない、こういう仕組みです。ですから、その宿泊事業者がどういう状況にあるかということを市自らが率先して聞かせてくださいと、こういう調査をすべきです。簡易ということと、教えてくださいということとは別の問題ではないでしょうか。既に送付されておりますから、自由記載欄の中に率直に事業者の皆さんに書いていただいて、それを私どもも一緒に見させていただいて、実態をしっかりと把握をした上で、見直しについての議論に私も参加させていただこうと、そう思っております。
(4)法定外目的税としての適正さについて
 4点目です。制度の導入の議論からずっと気になってきたこと、自治体の課税自主権の拡大は先ほどありましたけれども、分権改革に沿うものであると思います。しかし、そうであっても、この宿泊税が法定外目的税として適正であるのかということは、また別の問題です。この点に関して、再度、村山市長にもお伺いをします。2017年10月、東京が導入することに関する日経新聞記事の片山善博元総務大臣、当時は鳥取県知事でいらした、その発言です。税は最大の規制なので、慎重に判断すべきだ。今回も具体的な使途がはっきりしないのが問題。観光対策といっても、道路改良は市民も関係する。宿泊客も消費税などを負担しており、行政サービスのただ乗り批判は誤りだ。結局、課税しても、一般財源が浮く財源の振替になる。観光客をどこまで受け入れるのかといった本音の議論もせず、この際だから課税というのは安易な発想だ。この指摘を市長はどう受け止められますか。

村山 卓市長:この御主張については、東京都が宿泊税として課税する際の片山元大臣、当時、鳥取県知事の御発言というように承知しておりますけれども、同じ自治官僚の先輩に当たる立場の方でして、東京都は不交付団体であり、また、税収も高いという中で、地方が苦しむ中で、東京都のこの課税の方式はいかがなのだろうかというような思いの中で、このような趣旨の御指摘をされたのではないかなというように思っております。本市の宿泊税につきましては、北陸新幹線開業による影響検証会議の報告を受けた上で、庁内の宿泊税検討プロジェクトで内容を精査し、さらに宿泊事業者からの要望なども踏まえて制度の骨格を固めて、議会でも議員各位との議論を経て議決をいただいたということで、丁寧な議論の末に導入に至ったというように考えております。この際だからという指摘は当たらないというように思っております。
(5)国が地方自治体に求めている留意事項について
森 一敏議員:市長はその当時いらっしゃいませんでしたので、そのように丁寧に制度設計をし、実施に移されたと、このように認識をなさっているのかもしれませんが、相当議論がありまして。表現を変えますと、税は最大の権力行為です。ゆえに、総務省が法定外税を検討する際に、実際に求めている留意事項、4点あります。税を手段とすることがふさわしいか。税以外に適切な手段はないのか。公平、中立、簡素、この原則、徴収方法、課税を行う期間についての検討、原則として、一定の課税期間を定めることが適当。4に、納税者を含む関係者への十分な事前説明。制度見直しに当たっても、これらの諸点を改めて踏まえる必要があると思いますが、市長の見解を伺います。

村山 卓市長:御指摘の留意事項ですが、法定外税の新設の際もそうですが、変更のいずれにも適用されるということで、当然のことながら、この留意事項を踏まえて検討を進めることになります。
(6)特別徴収義務制度
森 一敏議員:私は、この中で、特に公平、この原則、これが現在行われている宿泊税、これに問題がないのか。ここは非常に重要なポイントではないかと考えています。引き続き、議論させていただきたいと思います。最も熟慮すべきは、市の税財源を宿泊事業者に徴収させる特別徴収義務制度である点、先ほど申しました。新幹線開業後のホテル立地ラッシュと、その後の新型コロナ禍の影響を受け、低価格競争の下で爪の先に灯をともすかのような経営上の不振を強いられてきたビジネスホテルや郊外立地のラブホテル、レジャーホテルなど、低価格宿泊施設が宿泊税負担を嫌った利用者離れ、隣接自治体施設への流出に見舞われ、さらには税の肩代わりを強いられてきたこと。これを放置してはなりません。市長は、その実情をどう認識しておられますか。

村山 卓市長:そのような声があるということは認識しております。また、調査検討会議では、そのことを踏まえて、低価格帯の宿泊施設への配慮が必要ではないかとの意見が出されたと聞いております。その議論を注視してまいります。
(7)制度趣旨と逆進性の是正の観点から
森 一敏議員 この実情については認識はなさっていると、こういう御答弁でした。ちょっと時間がなくなってきましたので、ちょっと紹介をやめますけれども、宿泊税が導入をされてから2020年、この間に54万円の宿泊税を頂く、その代わりに1,600万円の宿泊料が消えてなくなってしまったと。しかも、それはこれまでの常連、固定客のビジネス客の方々であったと。大変申し訳なさそうに宿泊先の変更の連絡をしてこられたと。静かに電話を置くよりありませんでしたと、こういう心情も私のところに届いています。こうしたことを招かないような制度の在り方、これをぜひ考えてみたいなと思います。本市宿泊税は、市民生活と調和した持続可能な観光の振興を図ることを目的としております。ところが、市内に宿泊する宿泊者の8割から9割が観光客であるとの制度設計の前提、これは実態から相違をしているということは当初よりビジネスホテル関係者から問題提起されてきました。議長の御了解をいただきまして、パネルを見ていただきます。
 まず、1枚目、これは、今般、市内の宿泊施設のネットワーク、特に大型施設、シティホテルを含む全国展開のチェーンホテルが中心になって40ホテル、トータルで7,773室をカバーしているホテル業界のネットワークです。かがやき会とおっしゃいます。このネットワークが5,246室の母数を持った独自調査によって、目的別宿泊者割合を公表しました。御覧のとおりです。最も観光需要の高い5月、これは6割に近い59.9%、それ以外のところは、観光割合、下がっています。ビジネス利用客は最低でも40.1%です。
 次、もう1枚。今度は、価格帯別のデータです。これを御覧になって分かりますよね。7,500円未満では、65%前後がビジネス利用なのです。こうしたビジネス利用の低価格帯の施設を利用されるお客様ほど、この宿泊税は定額負担なので、逆進性を感じるわけです。これが公正な税なのかなと。この低価格帯で爪の垢に灯をともすような営業努力をなさってこられた方々の中に、この宿泊税のマイナスの影響というものが非常に集中してしわ寄せされている。このことを踏まえた制度の検証、見直しが必要だろうと思います。実態と宿泊税の目的に照らせば、少なくとも低価格帯への免税店を設けるなど、制度趣旨に合致する課税方式へ見直すべきです。市長の御所見を伺います。

村山 卓市長:本市の現行の宿泊税の制度は、宿泊料金に関わらず、宿泊客が受ける行政サービスには変わりがないとの考え方から、免税店を設けずに全ての宿泊客に広く負担を求めることとしております。ここ数年の間に宿泊税を導入した他の自治体においても、同様に免税店は設けておらず、応益負担の観点から、税の原則である公平、中立、簡素に合致したものだと捉えております。現在の議論の中で、所見ということを申すべき立場にはありません。調査検討会議の議論を注視するという立場であります。今般、条例に基づく5年ごとの検討での十分な議論が必要だというように考えておりますが、現在実施している宿泊事業者を対象とした調査におきまして、それぞれの宿泊施設の価格帯や宿泊目的ごとの割合を含めて実態をお聞きしております。その結果も踏まえて、調査検討会議において、引き続き、制度の在り方の議論をお願いしたいと考えてございます。

森 一敏議員:宿泊税を頂くにしても、免税店を設定をして、特別徴収義務者が受けるマイナスの影響を考慮する。こういう課税を取っている自治体はあるということは御承知のとおりです。どこそこということは申しません。検討委員の皆様が実情をしっかり把握をされて、そこで真摯に議論はされていくと思いますが、私たち議会は、どのような見直した宿泊税制度でいくのかということを議論していく、そして、決めていく、そういう責任を負っておりますので、また、その段階になりましたら、改めてまた市長と議論をさせていただきたい、そう思います。

3.市民のつぶやきから
    居住支援協議会を金沢に
(1)セーフティネット登録住宅の登録に関して
 3番目、最後です。市民のつぶやきから、居住支援協議会を金沢に。居住支援法人に携わる市民から、居住支援協議が金沢に必要との声を聞きます。基本的人権である住まう権利の保障が福祉施策と連携して実施されることを求める声です。改正住宅セーフティネット制度は住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅、セーフティネット登録住宅といいます。この登録住宅の改修や入居者への経済的支援、入居を拒まれる場合が多い生活困窮者、障害のある人、高齢者、ひとり親家庭、刑余者、刑務所から出所した方、外国人などの住宅確保要配慮者の入居を支援する居住支援協議会の設置を自治他に求めています。この改正法に基づくセーフティネット登録住宅の登録は、いかなる体制の下で取り組まれ、本市においてはどのような状況にあるのでしょうか。

坪田英孝都市整備局長:セーフティネット登録住宅につきましては、住宅政策課がその登録の窓口になっております。また、登録状況につきましては、令和5年9月現在、446棟、2,813戸の住宅が登録されている状況でございます。以上でございます。
(2)要配慮者の相談と入居者への経済的支援について
森 一敏議員:次に、住宅確保要配慮者の相談、入居者への経済的支援はどう行われているでしょうか。

山口和俊福祉健康局長:本市では、生活に困窮されている方に対して、生活困窮者自立支援法に基づきまして、自立、相談、支援事業の実施であったり、住居確保給金の制度を活用して居宅の確保に取り組んでいるところでございます。また、生活保護を利用される方につきましては、生活保護申請時に、居宅確保のための入居初期費用を支給しております。以上です。
(3)本市における居住支援事業における課題について
森 一敏議員:石川県にも居住支援協議会が設置をされております。ここに金沢市も構成機関として住宅政策課、生活支援課が参加しておられます。本市における居住支援事業の課題をどう整理しておられるか、伺います。

坪田英孝都市整備局長:本年2月に開催されました県の居住支援協議会におきまして、住宅確保要配慮者のニーズに合った支援を行うには、関係機関の支援内容を共有し、マッチングさせることが重要であり、今後、県内の居住援法人相互の連携を深める必要があるとの意見が出されておりましたが、本市におきましても、まさしく居住支援法人を含めた関係機関との連携強化が課題であると考えております。そのためには、まずは、この課題解決に向けまして、今年度からセーフティネットの一つである市営住宅課と再編された住宅政策課におきまして、関係機関と個別に意見交換会を行い、情報収集に努めるとともに、他方で、居住支援法人が主催となった交流会も開催されたと聞いておりまして、各支援法人双方の情報共有も図られているところでございます。以上です。
(4)居住支援協議会設置について
森 一敏議員:あと1分になってしまいましたので、十分に議論し切れないかなと思いますが、この夏に参加した居住支援勉強会というのがありました。国土交通省の資料では、住居確保の相談業務は市町村の割合が高く、今ほどお話しになったきめ細やかな支援を実施するために市町村単位での居住支援協議会が求められている。本年、全国90市区長で設置されておるのですが、本市はまだです。この設置に関するお考えを伺います。

村山 卓市長:本市としては、関係機関の連携強化と構築されたネットワークを生かして、居住支援についての課題を整理して、解決に向けた施策を検討することは、まず第一かというように考えております。

森 一敏議員:連携の先に協議会設置がある。このように理解をして私の質問はこれで終わらせていただきます。(拍手)

◪議会議案(意見書)に関して
(1)みらい金沢提出の意見書案
 ①会計年度任用職員の処遇改善を求める意見書  全会一致採択

②健康保険証廃止に対し慎重な対応を求める意見書 少数で不採択

(2)喜成清恵議員の辞職勧告決議案
 議席の重さに鑑み、再度の勧告は必要なし。
 会派内で意見分かれ、賛成1人 退席 3人(森含め) 議会としては採択