【6月16日(火)本会議一般質問事項】
1.新型コロナウイルス感染症対策に関して
(1)感染症拡大防止対策の現時点での評価と感染二波の抑止に対する構えについて
(2)教育保障について
学校再開ガイドラインの「取り戻す時間」
各学校での柔軟なカリキュラム実施の尊重
(3)経済的支援について
本市をとりまく経済的な状況、支援事業の評価
宿泊施設魅力向上等奨励事業の継続と全施設への適用
特別定額給付金とベーシックインカム
2.市民のつぶやきから
心身障害者医療費助成制度の拡充について
手帳1級所持者適用の意義
手帳2級所持者適用への切実な心情
3.ガス事業・発電事業の株式会社への譲渡準備に関して
(1)譲渡準備のタイムテーブルに関して
譲渡アドヴァイザリー業務委託の選定経過
優先交渉権者の決定までの時系列
進捗の市民説明と意見聴取の機会
(2)総務省「公営企業の経営のあり方に関する研究会」に関して
企業局経営企画課長の委員参加
「公営企業の経営のあり方等に関する調査研究会」への現村山副市長の参加
市長答弁と地方公営企業法
(3)優先交渉権者決定の意味について
令和3年スケジュールの時系列、法令等の根拠規定
優先交渉権者の決定と議会の審査・議決との関係
■一問一答全文 ー本会議質問動画こちらからー
1.新型コロナウイルス感染症対策に関して
(1)感染症拡大防止対策の現時点での評価と感染二波の抑止に対する構えについて
森:みらい金沢の一員として、以下数点にわたりご質問させていただきます。
新型コロナウィルス感染症対策に関してお尋ねをいたします。先ほどからの議員の質問と重複するところがありますので、重複は避けまして端的にご質問をさせていただきたいと思います。まず、感染症拡大防止対策の現時点での評価と、感染第二波の抑止に対する備えについてお伺いします。初めて遭遇した、この感染症の流行を振り返って、いかなる教訓を得ておられるのか、また懸念される第二波への抑止に向けて本市としてどのような構えで臨んでいかれるのかをお尋ねします。
山野市長:2月21日に金沢市・石川県で感染者が判明をいたしました。すぐに対策本部を立ち上げてとりくんできたところであります。専門家の方のご意見であったりとか、私は様々な情報も仕入れながらとりくんできました。4月13日に金沢市独自の緊急事態宣言をおこないました。同じ日に石川県も独自の緊急事態宣言を行っていただいたこともあり、私は大変インパクトがあったと思います。多くの市民・県民の皆さんと危機感を共有することができたのではないかと思っておりますし、様々な施策につきましてもご理解をいただけたのではないかと思っております。知事も私もその時に記者会見を行いましたし、私はできるだけこまめに記者会見等々を行い、記者会見も後で残るような形にすることによって、しかもできるだけ科学的なエビデンス・法律に基づいたものを提示することによって、多くの皆さんのご理解をいただけるようにとりくんできたところであります。すばやい判断と行動が大切だということを感じました。
今、国のほうで新たなフェーズに入ったということで提案をいただいておりますので、市民・県民のみなさんとともに、協力しながらとりくんでまいりたいと思っております。
森:なにぶんにも初めてのことでありましたので、私も含めてですが日々学びの連続であっただろう。そこから紡ぎだしたものについては貴重な経験値となりますので、それを生かして、そして何よりも私は市民が連帯してこの第二波を抑えていく、そういう一人一人の意識というものが大変大切になっているし、私たちも責任を持ってとりくんでいかなければならないと思っているところです。
(2)教育保障について
学校再開ガイドラインの「取り戻す時間」
森:2点めに教育保障についてお伺いします。6月1日より市内の学校に一か月半ぶりに子どもたちの元気な姿が戻ってきました。市教委が通知をした学校再開ガイドライン、その7番めに「学習の遅れ等を取り戻すことについて」学年に応じて市教委が示した100時間から150時間を夏季休業期間中や土曜日の授業、時間割編成の工夫、学校行事の延期または中止等によって、可能な限り8月末を目途に取り戻せるような計画を立てることを求めていると聞いております。まず、この「取り戻す時間」の位置づけについて、教育長はどのように考えておられるのかお聞きします。
野口教育長:令和元年度4月及び5月、これは令和元年度も併せまして例年もそうだと思っておりますけれども、4月5月の学級活動や学校行事を除いた授業時間数は概ね150時間程度でありましたことから、学校再開後に例年通りの学校運営を可能にするためには、いわゆる教科の授業だけではなく、たとえば学校行事や感謝の集い、こういったものを行っていくためにはこの時間数を加えることが必要と判断いたしました。授業時間数を確保するために、市統一で土曜日や夏季休業期間に授業日を設定することに加え、学校におきましては時間割の編成の工夫や学校行事の見直し等によって可能な限り必要な時数を確保することといたしております。
各学校での柔軟なカリキュラム実施の尊重
森:学校が再開されるにあたりまして、全国各地で、長期間休んでいた子どもたちが学校再開によって、喜びをもって学校に行ってほしいわけですよ。なかなか色々難しい面があるんじゃないかということが指摘されております。こうした学校再開カリキュラムの優先によって子どもたちを追いつめる危険性があると教育分野の有識者が指摘しております。また、どの子も排除しない学校づくりで注目される大阪市立大空小学校の初代校長であった木村やす子さんは、子どもたちを主語にして、数値で測る見える学力優先から、関わり合いながら生きて働く力をはぐくむ教育へと転換を提唱されております。
こうした発想の上でポスト新型コロナの復興、すなわちどの子にとっても生き生きとしたと学びと居場所がある学校を創造したいものです。学校の教育課程編成権をふまえて、今ほどご答弁ありました時間数ですが、各学校での柔軟なカリキュラム実施を尊重するお考えがないか、ご所見を伺います。
野口教育長:各学校におきましては、学校再開後、可能な限り感染症対策を行いながら、市統一で指導に必要な授業時数を確保し、年度内に当該学年の学習活動を得ることができるよう、努めております。これまで実施してきた学校行事につきましては児童生徒にとって学校生活に潤いを与え、心身の発達にとっても大切な学習活動でありますことから、各学校ではその意義や必要性を踏まえ、実施に向けた計画を検討しております。今後も市統一でとりくんでいくことと、また学校が主体となりとりくんでいくことを見極めながら適切に指導助言してまいりたいと考えております。
森:6月1日から学校が再開されまして、学校現場からいくつかの報告が私のところへ届いております。少し紹介しますと、やはり登校渋り、それから不登校の状況も報告されている。熱中症や体調を崩す子どもさんがすでに表れてきている、こういう話もあります。また休み時間が短縮され、授業を確保するために日程がタイトになりますね。そのことによって学校生活が大変窮屈になって、友だちを作っていくということにも影響が出てくる。これも大事な部分だと思います。なかなか密を解消することが難しいという悩みもあります。衛生管理、消毒、そういった学校職員の、今までなかった業務も付け加わって相当やはりしんどいという状況が学校の実情としてすでに現れている。
本来カリキュラムは学校が編成する、ということであります。様々な条件そして子どもたちの実情を踏まえて、学校のスタッフ体制も含めて勘案をして柔軟に対応するということが私は間違っていないんじゃないかなと思うんですね。統一的対応と学校の独自判断、これをいかに柔軟に組み合わせていくかということが問われてくるんじゃないかなと思うんです。繰り返すようですけれども、子どもたちにとって、どの子も生き生きと喜びを感じて、学校が居場所であるということが実感できる、そういう学校にするために、今一度お尋ねしますが、学校判断を尊重していただきたい、そのことについてご見解をお願いいたします。
野口教育長:学習指導要領におきましては、年間の標準授業時数を定めておりまして、その授業時数を超えてもし授業が終わらなかったら、これは未履修ということで大変な問題となります。また、授業時数に達していなくてもすべてが終わったというのであれば、それはどうなのかなという思いはありますし、そこはこだわりの部分も大事だと思っておりますけれども、今おっしゃったとおり、編成権は学校の校長にありますので、こういったところにつきましては、やはり尊重しなくてはいけないと思っておりますけれども、学校のほうにお伺いしてそのうえでどう対応していくのか考えていきたいと思っております。
森:標準授業時数というものは下限ではない、という文科省からの見解通知も出ています。それから緊急状況にもよると思いますけれども、2年間にまたがってのカリキュラム編成もやむを得ないというような判断も、文科省のパッケージの中に示されてもいる。そのあたりを十分勘案されて学校と連携を図っていただきたいと思います。
(3)経済的支援について
本市をとりまく経済的な状況、支援事業の評価
次の質問に移ります。経済的支援について。リーマン・ショックを上回るといわれる世界的な経済的打撃に関連して、市長にまず本市を取り巻く経済的な状況をどのようにとらえておられるかお伺いするとともに、本市独自の支援事業の申請・受付状況についてどう評価しておられるかもお尋ねいたします。
山野市長:今ほどお話されましたように、リーマン・ショック以上の、全国、そして各業界に影響が及ぶ、大きな経済的な打撃を受けているというふうに思っています。先の臨時議会で予算をお認めいただいてから相談窓口を開設いたしまして、先ほど局長答弁で申し上げましたけれども、多くの方たちが相談にいらっしゃっているところでありますし、切実な声をお聞きしているところであります。本市独自の支援事業の申請・受付状況についてもお尋ねがございました。金沢の元気回復プロモーション促進事業補助金につきましては、テイクアウト販売の広報やPR動画の作成など有効に活用いただいています。これまでに29件の申請があり、現在も多くの団体から相談を受けているところであります。宿泊施設に対する魅力向上等奨励事業につきましては、対象施設のうちこれまで9割を超える285施設から申請を受け付けており、順次奨励金の交付手続きをすすめているところであります。その他にもこの窓口におきましては市の事業だけではなく県・国の支援策についても丁寧にご説明をしているところであります。それぞれの事業者にとってよりふさわしい支援策を活用していただいているものと理解しております。宿泊施設魅力向上等奨励
事業の継続と全施設への適用
森:厚生労働省は5日に、コロナ解雇が2万540人にのぼると発表しました。石川県内で先日361人の解雇が確認されたという報道もなされています。非正規労働者の雇い止めが正確に反映されての数字であるかどうかここは疑問があるんですが、私が特に注目したのはこの解雇業種の最上位にホテル・旅館などの宿泊業が挙がっているということです。今ほどのご答弁でこれらの業種の方々も大変申請がすすんでいるということを伺いました。本市の観光やビジネスを下支えし、地域を担い、雇用の受け皿となってきた宿泊事業が窮地に立たされていることの反映でもある。私の知る限りでも立ち直りのために相当の期間を要するとの危機感から事業者の代表の方が二度にわたって本市独自の宿泊施設魅力向上等奨励事業の継続と全施設への適用を市長あてに要望されております。
先ほどのご答弁で、これを継続する考えはないと、また全施設への適応ということも考えていないという趣旨のご答弁がありましたが、その際、寄り添わねばならないという言葉も付け加えられていたんですね。この間続けてきた支援事業は大変意味があると思うんです。これによって救われている事業者の方がたくさんいらっしゃるんです。それには適合しないという宿泊事業者の方もまた少なくないわけで、これから先のことを見越した事業が今回の追加制度という趣旨のお話がありましたけれども、そこまでに至っていないという苦しい状況の宿泊事業者の方が少なからずいらっしゃる。これは大変重要なことで、雇用にも影響を及ぼすわけです。そうしたことを考えたときに私は継続ということ、そして全施設への適用ということをもう一度検討されてしかるべきではないかと思うのですが、改めてご答弁をお願いします。
山野市長:先ほど厳しい雇用情勢についてのご指摘もありました。本議会におきましても国の雇用助成補助金に呼応する形でより充実した形でご提案をさせていただいているところでもあります。先ほど来申し上げましたように、様々な施策を市としましても打っているところでありますし、国・県・市、それぞれ利用される方々からすれば国・県・市は関係ないわけでありますので、よりその方たちにとってふさわしい施策ということで、丁寧な対応に努めているところであります。今議会ですべておしまいというわけではありません。引き続きこういう議論であったりとか、多くの市民の皆さん、また業界の皆さんの声をお聞きしながら、なしうる限りのことをとりくんでまいりたい。
森:もちろん、これで終わりということではありませんので、さらなる対応というものは当然いっしょに考えていかなきゃならんと思っております。その際、手遅れにならないようにしなければならないということで一言申し上げます。一点だけ、今回全施設ということを申し上げていますが、この間雇用調整助成金制度からスタートして持続化給付金、あるいは税制の措置、これらについて一貫して適用除外されている業態があるんですね。これは風俗営業が適用されている一部の業態のことでありますけれども、このことに対して、まじめに営業し法規制のもとで適正に営業し税金もしっかり納めてきて、いのちがかかる状況になって放っぼり出されるのかと、これは差別以外のなにものでもないという、厳しい切実な声が各地から上がっている。国のほうでもこの適用除外を見直すべきだという議論が国会の中でもようやく今展開されてきている。そうした、コロナの問題が浮かび上がらせた制度上の差別、こういうものをやはり払拭していかなければならないということも新たな教訓ではないか。
これは今すぐお答えをということではありませんが、九州の佐世保なんかは市独自の支援制度は一切の除外はしないということで適用されているという情報も受けております。ぜひこれ、見直し・検討をしていただきたい。改めてご答弁お願いします。
山野市長:今ほど国会のほうでも議論が始まったということもおっしゃっていただきました。九州のほうでもそういう事例もあるとお聞きもしました。そういう国会の議論等々を注視していきながら金沢市にとって最適な施策をとりくんでいきたい。
特別定額給付金とベーシックインカム
森:3番めです。本市でも特別定額給付金の給付事務が態勢を拡充しながらすすんでいるという報告を受けました。国内で生活する全ての個人を対象として現金10万円を給付するという、画期的なものです。国会内外での野党と市民の一致した要求によって予算化されるに至ったこの給付金制度はヨーロッパで社会実験が広がっているベーシックインカムの性格を時限的に持つことになったとも評されています。この際、基礎的所得保障を意味するベーシックインカムについて市長のご認識を伺っておきたいと思います。
山野市長:冒頭森議員がおっしゃったように、今回コロナの影響というものはある地域だけとか、ある業種だけとかいうわけではなくて日本全域で起きているところであります。ということは当然これまでも厳しい環境の方たちにはよりいっそう厳しい環境にあるのだというふうに思われるところでもあります。私はそういう状況におきましてはやはりベーシックインカムという考え方は大変大切だというふうに思っています。ただここで大切なことは、金沢市が、石川県がやるということではなくて、全国に影響がありますので全国一律で対応することが必要なんだというふうに思っています。一律10万円給付策については私は高く評価させていただいているところであります。
森:まさに全国制度としてこれは構想されていかなければいけないんじゃないかと思うんですけれども、しかしヨーロッパや欧米を見ますと州単位でその議論がすすんで何らかの社会実験が規模の大小はありますが行われ始めているということもあります。地方自治という観点でこのベーシックインカムという考え方を生かしていくという発想も必要ではないかなと思いますけれども、ちょっと一言申し添えておきたいと思います。
2.市民のつぶやきから
心身障害者医療費助成制度の拡充について
手帳1級所持者適用の意義
続きまして3番めに移ります。市民のつぶやきから、心身障害者医療費助成制度の拡充についてお尋ねします。精神に障害のある人とその家族が長年の悲願としてきた心身障害者医療費助成制度がこの10月から精神障害者保険福祉手帳1級所持者に適用されようとしています。今次補正予算にその助成費として1億1720万円が計上されています。12月、3月と県・市議会で全会一致で請願が採択されての結果だと思います。市長はこの制度適用の意義をどのように受け止めておられますか。
山野市長:私も議員時代から関心を持って直接関係者からお話をお聞きしているところでもあります。力不足でなかなか第一歩を踏み出すことができませんでしたけれども、今ほど森議員からもおっしゃっていただきましたように、県・市ともに全議員の皆さんが強い後押しをしていただいたことによって大きく動いたというふうに思っています。日常生活全般において援助が必要な1級の方々の医療費負担が軽減されることは、生活の安定という側面だけではなくて、安心して医療を受けることができる、やはり弱い立場の方たちですので、そんな方たちが安心して医療を受けることができる、そういう機会が確保されるということは社会福祉の力強い後押しになるというふうに期待をしているところであります。
手帳2級所持者適用への切実な心情
森:本議会に精神障害者の医療費助成制度の創設を求める連絡協議会・松原代表から陳情が提出されております。補正予算審議にあたって適用が及んでいない2級所持者にも助成が及ぶよう検討を続けることを求めております。3月の請願に引き続き陳情された当事者や家族会の切実な心情を市長はどう受け止め、これに応えていかれるのか、ご所見を伺います。
山野市長: 手帳2級所持者に関しましては、日常生活に困難を生じていらっしゃいますけれども、就労支援などを受けながら、社会参加ができている方もいらっしゃるというふうにお聞きをしています。現在、中核市のうち医療費助成の適用対象としているのは3割にも満たないということもお聞きをしています。ただ、先ほども申し上げましたように私自身も切実な声をお聞きしているところでもありますし、大切なテーマだというふうにも思っています。実情を踏まえた制度運用の研究を続けていくとともに、何といっても助成財源の半分を県に担っていただいておりますので、県にも同様な対応を要望していきたいと考えております。
森:社会的に非常に弱い立場に立たされている、そういう認識でいらっしゃる。私も一日も早く2級まで適用されるべきだと何度もこの議場でもお話をしてきたところであります。改めてなぜ必要なのかということについて、就労という話がありましたが、実際には短時間労働にとどまる、それから1年以上の定着が少ないという、障害の特性からくる状況なんですね。そうしますと、安い工賃を得る福祉的就労がやっとになって、その軽い仕事でさえもできない人、これ2級の人のことです。これを認識する必要があると思うんですね。
それから、そのことによる低所得、これが一般科の受診抑制を招いています。ここを何とか重篤化を受け止めていくという意味で医療助成が必要とされているということです。奈良県の弁護士会が声明を出したことがありまして、「これは自治体にとって必要経費だという考えをすべき、でなければ差別を助長することになる。」私もこの通りだと思うんですね。やはり2級者の実情というものを踏まえて他の医療助成制度と差別・格差のない医療助成制度をしていく、これが行政の責任ではないかと思うんですね。そういう意味で、決意のほどをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
山野市長:実情を踏まえた制度運用の研究をしっかりすすめていきたいと思っています。森議員が今お話しいただいたこともそうですし、私も直接関係者からお話をお聞きしているところでもあります。状況を改めてしっかりと確認をしながら、繰り返しになりますけれども県と連携していかなければいけないところでありますので、県のほうにも意見交換を続けていきたいと思っております。
森:前向きな姿勢で答弁をいただいたと思いますので、県だ、市だと言うんじゃなくて、県・市連携ということでぜひ前にすすめていただきたい。今日はこのあたりにとどめたいと思います。
3.ガス事業・発電事業の株式会社への譲渡準備に関して
(1)譲渡準備のタイムテーブルに関して
譲渡アドヴァイザリー業務委託の選定経過
それでは3点め。ガス事業・発電事業の株式会社への譲渡準備に関してお尋ねします。まず譲渡準備のタイムテーブルに関してお尋ねします。先月の建設企業常任委員会では譲渡アドバイザリー業務公募型プロポーザル方式によりPWCアドバイザリー合同会社に委託することを決定したと報告を受けております。この選定会議は非公開で行われ、この1憶4000万円、来年度の債務期間を入れますと2憶円もの業務委託がどのような議論と評価により決定されたのかが明らかではありません。まずこれを明らかにするよう求めますが、いかがでしょうか。
平嶋公営企業管理者: 公募型プロポーザルには三社から応募がありまして、アドバイザリー選定委員会では提案企業名を伏した上で企画提案書の審査に加え、応募者からの提案説明と議員による質疑応答が行われたところでございます。業務執行上重要である専門性や実施体制、また課題認識力などを重点に評価が行われまして、最も高い得点を得たPWCアドバイザリー合同会社が最優秀提案者として決定されたということです。
森:常任委員会でもそうした説明をいただいております。何分にもそれが二つの事業の、言ってみれば所有者といってよいと思いますけれども、市民にどのような根拠をもってそのような決定に至ったかということは直接にはやっぱりわからない。従って関連する情報の開示が求められているんじゃないかと思いますが、情報の開示についてどのように検討されていますか。
平嶋公営企業管理者:情報公開についてのお尋ねでございますけれども、これまでの市のプロポーザルの扱いに準じまして、最優秀提案者の社名及び合計得点については公開対象といたします。
優先交渉権者の決定までの時系列
森:譲渡先選定委員会の設置、PWCによる譲渡委託アドバイザリー業務、募集要項の公表から公募、優先交渉権者の決定まで、どのような時系列ですすめられるのかお尋ねします。
平嶋公営企業管理者:優先交渉権者を決定するまでのスケジュールにつきましては今後設定される譲渡先選定委員会、そこで決定される予定でございますが、本年度末までに優先交渉権者を決定したいと考えておりまして、他都市の事例も踏まえますと両事業における固定資産等の現況詳細調査や事業価値評価などを行った上で本年10月までに募集要項を公表し、来年2月には応募者から提出される企画提案書の審査を行う必要があると見込んでおります。
進捗の市民説明と意見聴取の機会
森:新型コロナウィルス感染症対策を継続しなければならない中、これらの進捗を市民に説明し、意見を聴取する機会をどう設けていくか、どうお考えかお聞かせください。
平嶋公営企業管理者:今後とも事業譲渡を円滑に推進するため随時、議会に対し進捗状況を報告いたしますとともに、企業局HPでの情報提供や市政情報コーナーへの閲覧用資料の配布によりまして、市民・市内事業者に対する広報活動に努めてまいります。
森:少なくともこの募集、そしてこれを選定していく過程がブラックボックスに入ることのないように、強く求めておきたいと思います。その観点で情報開示をすすめていただきたいと思います。
(2)総務省「公営企業の経営のあり方に関する研究会」に関して
企業局経営企画課長の委員参加
次に、総務省「公営企業の経営のあり方に関する研究会」に関してお尋ねいたします。2016年5月から2017年2月にかけて計9回にわたり、総務省は「公営企業の経営のあり方に関する研究会」を開催し、報告書をまとめております。この研究会は公営企業について廃止・民営化・広域化・民間活力といった抜本的な改革について検討を行うと明示をしておりまして、ここに当時の金沢市企業局経営企画課長が委員として参加しております。この委員参加の経緯ならびにどのような趣旨の発言を行ったのか、お答えください。
平嶋公営企業管理者:ご指摘にありました国の研究会でございますが、人口減少に伴う料金収入の減少や、高度経済成長期以降に急速に設備された施設の老朽化など公営企業を取り巻く環境が厳しさを増している状況を踏まえまして、地方公共団体が水道や下水道、交通など各事業の経営のあり方を検討するに際しての具体的な考え方や留意点を整理するため設置されたと聞いております。学識者や民間の専門家、地方公共団体の職員で構成されておりまして、そのうちの一人として当時の経営企画課長が委員に委嘱されたところでございます。地方公営企業の実務担当者の立場から、事業の現状や課題、経営分析の手法等について意見を述べたところでございます。
「公営企業の経営のあり方等に関する調査研究会」への現村山副市長の参加
森:ちなみに2014年11月から2015年3月まで一般財団法人自治総合センターが総務省と協力して、公営企業の経営のあり方等に関する調査研究会が開催されています。そこに当時、神奈川大学大学院教授として村山副市長が参加しておられます。どのような立場をもって議論に参加されたのか、村山副市長に伺います。
村山副市長:この研究会が発足しましたのは2014年でございました。この2年前の2012年に、中央自動車道笹子トンネルの崩落事故がございました。インフラの老朽化に対する懸念がありました。また2014年5月には日本創成会議が人口減少に関する報告を出しまして消滅可能性都市のリストが出たというところでございます。そのような中でインフラ資産規模の大きい水道事業に特に焦点を当てて人口減少等による料金収入の減少、施設設備の老朽化の急激な進展といった課題に対して広域化・民間活用の推進等により対応している先進的な事例を分析して報告を取りまとめたものでございます。当時私は神奈川大学の大学院に在籍しておりまして、地方財政を担当してございました。それに加えて総務省自治財政局公営企業課で勤務経験もございましたので、制度面での影響について意見を述べたということでございます。
森:私もこの報告書を読ませていただきました。そうしますと私の意識に残ったのはあり方研究会の報告総論の中で、抜本的な改革の必要性、サービス提供が必要であっても民営化や民間事業者との事業譲渡について検討する、あるいは黒字であっても民営化・民間譲渡・民間活用を検討する、そういう趣旨が述べられていますね。それから経営状況が良好である時こそ民間事業者への譲渡を検討するという発想も必要と、こんなふうに書かれておりまして、こうした国の動きというものが他にも挙げれば規制改革とか財政諮問会議であるとか、いろいろその当時ちょうどこれくらいの時期に国が公営企業に対して民営化の方向でずいぶん色々動いているんですね。
こういうものが本市の今の動きに枠づけを与えているのではないかというふうに私は、うがっているかもしれませんがそのような目を向けております。
市長答弁と地方公営企業法
お時間がちょっとなくなりましたので、市長に前回の質問の際に、公営企業は税金を免除という扱いになっているということに言及がありました、そのことについてどのようなご認識か、ご答弁をお願いします。
山野市長:地方公営企業は地方公共団体の一組織として固定資産税や事業所税が課税されないということであります。そういうことも生かしていきながら各事業の経営の効率化に努めてきたところであります。ただここにきて2017年4月からガス事業の全面自由化ということにもなりました、その前年には電力の自由化もなされました。総合エネルギー市場が形成され、私は柔軟性をもって組み合わせをしていくことによって市民サービスの提供を進めていくことが必要なんじゃないかというふうに考えています。
森:先ほどご紹介をした研究会報告の中でまさに地方自治体を構成する公営企業として、これが公益的な事業の役割を果たしてきたし、これからも公益性が大事なんだということの評価がほとんど見られないんですね。民営化の方向性が一辺倒であるという印象を持っておりまして、そうした公営企業と民間企業の競争性を同列に考えるという考え方は行政の長としてはいかがなものかということは申し上げておきたいと思います。
(3)優先交渉権者決定の意味について
令和3年スケジュールの時系列、法令等の根拠規定
優先交渉権者の決定と議会の審査・議決との関係
その上で最後の質問ですが、今年度中に優先交渉権者を決める、こういうスケジュールになっているわけですけれども、この優先交渉権者を決めて、その後で金沢市議会が関係条例に対する議決を行うという順番になる。優先交渉権者の決定というものが金沢市議会の審査とか議決を事実上拘束するものにならないのか、この観点について見解をお願いします。
平嶋公営企業管理者:事業譲渡に関します本契約、いわゆる優先交渉権者とはまずは仮契約を結んだ上で本契約に移る必要がございます。その際には財産処分等の廃止に関連いたします条例を議決いただくということが必要になりますことから、優先交渉権者の決定自体が議会の審査や議決を拘束するものではございません。
森:この問題は今後議論を深めさせていただきたいと思うんですけれども、今ほどのご答弁にありました仮契約あるいは協定調印というものが仮契約の前にあるわけですね。これらの後に議会がそれを否決した場合に民間の賠償権限と抵触しないのか、これを私は大変懸念をしております。今日は答弁を求めませんので、問題提起しておきます。以上、終わります。
【松村理治議員に対する問責決議案並びに提案理由説明】
議会議案第3号 松村理治議員に対する問責決議案の提案理由説明 2020.6.22
みらい金沢 森 一敏
私は、提出者を代表し、議会議案第3号松村理治議員に対する問責決議案について、提案理由を説明いたします。
松村理治議員は、本年4月4日に新型コロナウイルス感染症の感染が判明し、約1か月に及ぶ入院加療を経て、5月7日に退院しました。ところが、医師からその後2週間の自宅療養を指示されたことにより、5月15日に開催された総務常任委員会を欠席したにも拘わらず、直後の5月17日及び19日に石川県が休業要請していた市内のパチンコ店において、それぞれ数時間にわたりパチンコを行っていたことが判明しました。新型コロナウイルスの市中感染拡大という経験の無い困難に直面し、金沢市民が一丸となって対策に取り組んでいるさなかにあって、議員自らが要請に背いた一連の行動は、市民の負託に応え、模範となるべき議員としての自覚と品位に著しく欠ける行為であり、本市議会の名誉を傷つけ、市民の信頼を大きく失墜させるものであります。
金沢市議会基本条例第26条では、「議員は主権者たる市民の厳粛な負託に応えるため、市民の代表として市政に携わる機能と責務を有することを深く認識するとともに、高い倫理観と品位を保持し、議員として誠実かつ公正に職務を遂行するものとする。」と定めています。これに反したことは、道義的、政治的に極めて責任は重く、議員辞職を求める市民の声が拡がっていることは、私たちも重く受け止めているところであります。
他方、懲罰としての議員辞職勧告は地方自治法上の定めがなく、本市議会においても、官工事の請負等に係る議員の関与の排除と不祥事件の再発防止を期して制定された金沢市議会議員政治倫理要綱に規定されているのみであります。また、地方自治法に基づき本市議会会議規則に定めのある懲戒は、議場の秩序を乱すことにより、議事機関としての議会を機能不全に陥らせる行為に適用されるものであり、議会外での個人的行為には適用してはならないとの最高裁判断が示されているものであります。即ち、組織としての議会は、市民に負託された議事権能に最大限の責任を負うものであり、個々の議員の身分の存否を求め、それを決する権限が与えられているものではありません。それでも、全国の地方議会において議員辞職勧告に至った先例では、違法行為が摘発、逮捕、起訴、判決に至った場合がそのほとんどを占めており、強制力を持たない辞職勧告決議といえども、議会としての則を踏まえ、見識をもって抑制的に行われてきたことが見て取れるのです。
これらは、議員の議席は、それぞれの選挙民の意思の反映であり、個々の議員は、他議員の議席の成立に何ら関与できないことからの当然の帰結であります。
私たちは、個々の議員の存在と組織としての議会の間に厳然として引かれたこの一線が、地方自治における代議制民主主義と選挙民の参政権を担保する重要な基本的原理であることを深く認識するものであります。世情高まるときこそ、議会は多面的かつ闊達に議論し、民主的機能を発揮して冷静で主体的な判断を下さねばなりません。歴史を紐解けば、それが損なわれた場合に、結果として全体主義や独裁が国民に惨害をもたらした痛苦の歴史的教訓を見出すことができます。私たち議会は、有権者の権利保障のしくみとそれに基づく議会の対処について市民に説明を尽くさねばなりません。
翻って、今般の松村理治議員の不適切極まりない行動については、もとより、法を侵さねば何事も許されると考えるものではありません。高まった批判に対して、その責任を果たすべく出処進退を明らかにするのは、松村理治議員自身以外にありません。適切に身を処し、選挙民の審判を仰ぐべきです。
よって、議会の意思を示すにあたり、私たちは、総意をもって問責することが最も相応しいと確信するものであります。各議員におかれては、松村理治議員に対する問責決議案の趣旨をご賢察いただき、ご賛同をお願いするものです。
以上をもって、提案理由説明といたします。
【みらい金沢提出 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の継続的な交付等を求める意見書】
全会一致採択