復帰後最初の6月定例月議会報告

復帰後最初の6月定例月議会報告

 報告事項
  一般質問
  意見書採択・請願採択について
  総務常任委員会

◪一般質問 6月26日(月)11:20頃より (初日午前の三番手として登壇)

【質問項目】(一問一答方式)
1.補正予算 集落営農活性化促進費等について
2.人権と多様性尊重の施策に関わって
   出入国管理及び難民認定法の改正
   性的少数者へ理解増進法成立を受けて
3.教科書採択の手続きについて
4.市民のつぶやきから 
   ワンストップ「お悔やみコーナー」設置を切望する声

【一般質問動画】

【一般質問と答弁の記録】

森 一敏議員:みらい金沢の一員として、以下、御質問させていただきます。
自治力の向上、そして、市民の皆様の多様性、個人の尊厳の尊重、そのためにみらい金沢は新人の3人のメンバーと共に4人で奮闘してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

1.それでは、まず、第1点目の御質問です。補正予算における集落営農活性化促進費等について御質問いたします。今次補正に、国の交付決定内示を受けて、大規模農家、集落営農、加賀野菜、特産果樹及び園芸作物の各生産者に対し、農業資機材の導入を支援する総額5,930万円が計上されました。本事業の具体的な内容をお尋ねするとともに、中でも集落営農活性化促進費に込めた農業施策上の期待についてお答えください。

山森健直農林水産局長:今補正予算に計上しました農業振興費でございますが、いずれも中核的な担い手となる農業形態や生産部会に対する農業機械や施設の導入を支援するものでございます。中心経営体等機械施設導入支援費につきましては大規模な農地の担い手の田植え機等の購入を、集落営農活性化促進費につきましては7つの集落営農組織の効率的な耕作に必要なコンバイン等の購入を、また、加賀野菜産地生産基盤強化費など3事業は、加賀太きゅうりやルビーロマン、スイカ、梨、花のストック等の生産拡大と品質向上を図るためのパイプハウス等の設置をそれぞれ支援するものでございます。

村山 卓市長:農業政策上の期待についてお答えいたします。農業者の高齢化の進展や担い手不足が進む中、地域農業の中心となる担い手を確保するため、本市では、JA等関係機関と協力しながら、これまでも認定農業者や地域の生産者で構成される集落営農組織を育成してきております。個別経営の小規模な農家については固定費が大きく、収益も少なくなりがちであるというのに対しまして、集落営農組織は担い手への農地の集積、機械などの共同利用による労働時間の短縮や生産コストの低減などによりまして所得向上を図ることができることから、今後も、安定的、かつ継続的な農業経営が期待されるものであります。現在、市内には36の集落営農組織がありますけれども、国の手厚い支援の対象となる法人化の推進も含めて、さらなる育成に努めてまいりたいと思います。

森 一敏議員:日本の農政は大きな転換点に差しかかっていると私も認識をしております。特に地球規模の気候変動への対策、脱炭素、また、食料自給率、その向上、あるいは安全な食材、今日的にはオーガニックというものへの大変な期待が高まってきているわけです。そうした持続可能な今後の農業の在り方、第一次産業の在り方、これについて、国はみどりの食料システム戦略、これを提唱しておりますし、金沢市も石川県と共同で基本計画を策定をしたということを伺っております。今日は時間がありませんので、今後、また、この金沢の農業政策の在り方につきましてぜひ議論をさせていただきたいと、そう思っております。

2.2点目に移ります。人権と多様性尊重の施策に関わって申し上げます。閉会した通常国会で人権と多様性尊重に逆行するとの懸念から、当事者や支援者が強く反対する中、出入国管理及び難民認定法の改正、性的少数者、LGBTなどへの理解増進法が成立しました。今日、紛争国地域、ウクライナ、アフガニスタンからの避難民が本市で生活をし、その支援にも理解を示してきた本市として、また、LGBTQの人権尊重を呼びかける市民活動の舞台ともなり、同性カップルのパートナーシップ宣誓制度をいち早く導入してきた本市として、これらの立法をどのように受け止めておられるか、村山市長の御所見をまず伺います。

村山 卓市長:この出入国管理及び難民認定法の改正の中では、国においては、法律の制定に当たって様々な議論があったということは認識しております。今後、国において個々の多様性を認め、人権を尊重した運用がなされるものと考えております。

森 一敏議員:様々な議論があったということは御理解をなさっておられると思います。その中で、この出入国管理法の問題でいうと、本国への強制送還の可能性が高まる。これは排除の論理が非常に強化をされた。そのように当時者や支援団体は大変懸念を表明しておられます。金沢市も多様性の尊重を掲げておりますので、排除の論理ではなくて包摂する、包み込む、そして、多様性を尊重しながらお互いが高め合っていく、支え合っていく、そういう中で、この在留の方々の共生の問題に取り組んでいくというのが金沢市の責務になっているんじゃないだろうか。その観点に私は立たねばと思います。
 同様に、性的少数者への理解増進法ですけれども、これは当初の立法の趣旨から逆行するような方向で残念ながら法が成立をした。このことは大変強い抗議が上げられている、御承知のとおりです。金沢にゆかりのある方も極めて強い懸念を表明をなさっておられます。個人の尊厳、ここから物事をスタートしていく。こういう人権尊重や個性の多様性尊重、そういう責務というのは自治体にさらに高まっていると思うんですけれども、この認識について、市長に改めて、もう一度、御認識を伺います。

村山 卓市長:今回、国において、こうした法制度が整えられたということについては、少なくとも一歩前進であるというように思います。各自治体の中では、その対応に差があるという中で、国が一定の基準を設けてきた。その中で、また、自治体によっての個別のその方々が生活する中での対応というものが求められるのであろうというように思っております。そういった意味では、制度化されたことの一つの前進とともに、また、自治体での独自の政策も求められるものであるというように思っています。

森 一敏議員:今おっしゃられました自治体の独自政策、これに関わって御質問を続けます。ダイバーシティ人権政策課と課名からも多様性ある社会の推進を標榜する本市は、性的少数者への理解増進法の成立によってマイナスの影響を受けることはないのか。また、パートナーシップ宣誓制度の拡充、さらには、その条例化や包括的に差別禁止の趣旨を持った条例制定の方向性についても併せてお考えを伺っておきます。

村山 卓市長:本市では、これまでも金沢市人権教育啓発行動計画に基づきまして、市民に対してパートナーシップ宣誓制度やLGBT相談を実施しておりますほか、市職員、あるいは教職員向けに多様な性への理解の促進と支援のためのハンドブックを作成するなど、性的マイノリティーへの取組を行ってきております。性の多様性に関する理解の増進について定めた今回の法律制定は、本市施策のさらなる推進につながるというようにも考えております。また、パートナーシップ宣誓制度の導入以来、既に15組が利用しているなど、スムーズな運用がなされているということから、御提案の条例の制定については考えておりませんけれども、今後、引き続き、他の自治体への事例調査、あるいは関係団体等への意見聴取を行うほか、宣誓制度の導入を目指す石川県の動向にも注視しながら、利用できるサービスの拡充について検討していきたいというように思っています。また、本市では、既に金沢市人権教育啓発行動計画に基づいて、障害のある方や特定の国の出身者などへの差別を禁止する法律に沿った取組を実施しております。包括的な差別禁止条例の制定については今のところ考えておりません。

森 一敏議員:15組のカップルの方々が宣誓制度を活用なさっておられるということですので、さらなるその拡大、これに向けては法をさらに背景として前進をさせていきたいと、そういう決意を述べられたものと受け止めておきたいと思います。他の様々な差別の解消に向けてのこの条例化、私は必要であるという考えを持っておりますが、その条例を制定することによって、共通した個人の尊厳というものについて、市民が共通の認識を深めていくことができるようにする。そのことに包括的な条例制定の意味があろうかと思いますので、これは引き続きまた議論をさせていただきたいと思います。
 ところで、金沢に各地から終結をした32人の外国籍の男女が入管難民法違反の容疑で一斉に摘発されたとの報道がありました。石川県警及び名古屋入管は、元技能実習生、留学生らに対し、不法残留や資格外活動の疑いで強制退去を視野に詳細を事情聴取するとしておりました。外国人技能実習制度は日本の技術移転による国際貢献を目的とする研修制度です。特定技能制度は入管難民法で労働力不足産業を特定して、労働力として受け入れる制度です。人手不足が深刻化する中、事業所の事実上の外国人労働者の受入れ数は増加をたどっております。北陸労働局の統計では、ハローワーク金沢管内で働く技能実習生は、昨年10月末で1,369人となっています。特定技能を含め専門的、技術的分野の在留資格者は1,138人です。それぞれ県内在留者の30%、24.9%が金沢管内です。ちなみに、管内の外国人労働者総数は39.9%、受入れ事業所の所在も47.9%を金沢管内が占めております。
 石川県で外国人在留者の支援に当たってきたNPO法人は、後を絶たたない不法滞在や失踪事件は本人に責任を求める風潮が強いが、本国からの送り出し時の借金、日本での低賃金、劣悪な労働環境、在留制度への本人、受入れ事業者、双方の認識不足、日本語の壁、日本社会での出身母国、文化への無理解などが背景にあるとした上で、人権を無視した人身売買かのように見えるようなこの制度を改めるとともに、日本社会における多文化理解とその共生の仕組みを整えれば、こうした事件は減らすことができる。意欲も高く、技術や生活能力を高めて地域に定着し、地域住民として永住もできるようになれば、地域の持続的な経済にも貢献できるようになる。そのための官民学連携による支援施策を充実させ、石川県や金沢市が外国人から選ばれるモデル地域となれたと思うとも語っておられます。そこで、お尋ねします。この法人によれば、県内で生活する技能実習生などから、月に100件近くもの相談が寄せられることもあるといいますが、労働政策課からは、これまでにこうした在留者からの労働相談実績はないとのことです。市長はこうした実績をどのように受け止められますか。また、国際交流課がNPO法人に委託する日本語習得支援事業の拡充やダイバーシティ人権政策、労働政策などとも部局横断した在留者支援施策の今日的な必要性に対する市長の御認識も併せて伺っておきます。

村山 卓市長:労働実績についてですが、ここ数年は労働政策課相談窓口への在留外国人からの相談実績はありませんでしたが、国における技能実習制度などの在り方の議論に加えまして、今般の本市での入管難民法違反の事案等を契機に相談が増えることも想定されると考えております。引き続き、在留外国人の労働相談につきまして、所管である石川労働局やハローワーク金沢との情報共有をはじめ、国際交流課など、庁内関係課とも連携を図りながら丁寧に対応していきたいというように思っております。
 また、在留外国人について、これから、特に労働力が不足していくという中にあって、国策としてどのように外国人を受け入れてくるかということも議論が始まってくるのではないかというように思っています。そういうような中で、日本語習得支援事業については非常に重要だというように思っています。
 これまで、外国人住民が多く居住している大桑地区と田上地区において日本語学習支援教室を開設しておりまして、参加する外国人住民の方からは、身近な地域での日本語の学習機会や日本人との交流の場として活用しているとお聞きしております。他方、教室の運営に当たりましては、地域団体や大学、ボランティアとの連携は欠かせないということから、今年度新たに関係者による連絡会議を開催するとともに、学生ボランティアの参加促進に向けたモデル事業の実施に取り組んでおります。日本語学習支援教室は、言葉による孤立を防ぐというだけではなくて、多文化共生のまちづくりにもつながるというように考えておりまして、モデル事業の効果を検証して、今後の施策の検討に生かしてまいりたいと考えております。
 また、部局横断の必要性についてであります。市民向けに外国人の人権に関する啓発のための講演会の開催、また、外国人住民向けには、日本語習得支援や多言語生活ガイドの発行に取り組んでいます。また、市が実施する助成相談や労働相談では、外国人からの相談も受けるなど、各それぞれの担当部署での専門性を生かして対応しております。先ほど申し上げたとおり、これからさらに国際化が進み、外国人住民の増加が予想されるということから、市民と外国人住民が互いの歴史、文化、習慣など、違いを理解し、互いを尊重し、共生していけるように、部局間は当然ですけれども、民間団体との連携もより深めていきたいというようにも検討していきたいと思います。

森 一敏議員:課題は大変多岐にわたっておりますので、金沢市の自治体としての総合力、これを国や県の機関とも連携をしながら、その力を発揮していく。そのことによって、この金沢市というのは人間らしく生活ができるし、幸せを地域の人たちと共有できる、そういう町だと。あるいは、そういう県だという、そういう情報が世界各地へ広がっていくということを私は夢見ておりまして、ぜひ、その総合力を持つ自治体としての下支えの事業というものをぜひ拡充をしていただきたいと、そのことを重ねてお願い申し上げておきたいと思います。

3.それでは、3点目、教科書採択の手続について御質問いたします。
 今年度、小学校で使われる教科書に対する採択手続が行われます。また、来年度は中学校です。これに先立ち、本年3月31日付で、文科省初等中等教育局長から通知が出されました。教科書採択における公正確保の徹底について、この通知の趣旨をどう捉えておられるのか、野口教育長にお尋ねします。

野口 弘教育長:今ほどお触れられました3月31日付の教科書採択における公正確保の徹底等についての通知におきましては、教科書採択は採択権者の判断と責任により、綿密な調査研究を踏まえた上で、公正性、透明性に疑念を生じさせることのないよう適切に行われることが必要であると示されております。この通知を踏まえ、本市の子どもたちの実情を考慮して、金沢市教育委員会が責任を持って本市の子どもたちに最もふさわしいと思われる教科書を採択することが必要であると考えております。

森 一敏議員:通知の趣旨、これについては異存のある者は恐らくないだろうということは思いますが、ここで述べられております、今御答弁にもありましたが、綿密な調査研究を踏まえるということ、そして、公正性、透明性に疑念を生じさせないようにすること、保護者や地域住民に対する説明責任、この3つ、これがキーワードになると思いますが、これらをどうやって担保していかれるか、お尋ねしたいと思います。

野口 弘教育長:大変大事な質問でありますので、少し長くなりますが、お聞きください。
 これまでもそうなんですが、本市の教科書採択につきましては、公平、かつ公正な教科書採択を行うため、まずは教育委員会は、金沢市立義務教育諸学校教科用図書取扱要綱に基づいて、教科用図書選定委員会を設置し、当該選定委員会に採択に係る意見の答申を諮問することにいたしております。次に、諮問を受けた選定委員会は、教科ごとに綿密な調査研究を行う教科用図書調査委員会及び各学校における教科用図書研究委員会の報告と、また、教科書展示会での市民の御意見や採択に係る要望書等を踏まえながら審議し、採択に係る意見を教育委員会に答申することになっております。答申を受けた教育委員会は、その答申内容を基に、全ての教科書を慎重に審議し、教育委員会の責任において採択を行っております。なお、これまでも開かれた採択の推進に向けて、採択の結果及びその理由、教育委員会議の議事録、選定委員会の議事録、調査委員会議の議事録、その他、教科用図書研究のために作成した資料を全て公開してきており、これらを通して、今回の採択におきましても、十分に採択権者としての判断と責任を果たしてまいりたいと考えております。以上です。

森 一敏議員:採択までの仕組み、これの御答弁がありました。その中で、私は特に重要だと思いますのは、選定委員会、ここでそれぞれの分野の教育内容、教科、それから教育手法、方法、様々な専門的な知見、経験を持っている。そういう方々によって答申が作成されるわけです。その答申が採択の教育委員会会議に提出をされるということなんですが、この答申というものの意味といいますか、なぜ、この答申という制度を設けているのか。このことについて、教育長、どうお考えなんでしょうか。

野口 弘教育長:教科書採択におきましては、あくまでも採択をする責任は教育委員会にあります。その教育委員の方々が審議をする際に対しまして、そのときの大事な御意見として、そのことを参考にするために答申を頂戴している。そんなふうに考えております。

森 一敏議員:その教育委員会議で採択を行っていくときに、この答申がどう斟酌されたか。それをどのように判断につなげていったか。ここが非常に疑問視されるような採択手続も一部にあるということは申し上げておかなければなりません。ここを透明化をしなければいけない。先ほどの御答弁の中で触れられていなかったのは、教育委員会会議が非公開でなされていること。そして、公表された様々な関係資料の中で、この採択の委員会会議における教育委員の発言の名前が伏せられていること。このことが触れられていないんです。この開かれた採択、透明性ある説明責任、この観点からして、この2つのことについて、教育長はどうお考えですか。

野口 弘教育長:いわゆる会議の公開、それから、議事録上への教育委員の氏名の公表、こういうことについてのお尋ねであったかと思っておりますけれども、教育委員会議等における教科書採択の審議経過につきましては、あくまでも意思形成過程であり、静ひつな採択環境の中で自由闊達に議論を行いたい。また、公平性、中立性を保つ必要がありますことから、会議の公開につきましてはこれまでも行っておりません。また、加えて、教育委員個々の、個々人の活動にその後の影響が出る懸念もありますことから、議事録の発言者の掲載についても行ってきておりません。こうしたこれまでの経緯と本年の3月31日付の教科書採択における公正確保の徹底等についてで記されております静ひつな審議環境の確保等の観点から検討を行い、会議の公開、非公開を適切に判断することや、また、同日付で通知が出ておりますが、令和6年度使用教科書の採択事務処理についてで、これも示されておりますけれども、公表の時期、方法等について、不断の改善を図る、このことを基にしながら、会議の公開や議事録への発言者の記載につきましては、今後、教育委員会で真摯に話し合ってまいりたいと考えております。

森 一敏議員:疑念を生じてはいけないということです。そのためにどうあるべきか。今の御答弁の中で、これからさらに真摯に話し合っていく。検討を加えていくという、そういう御答弁と私は理解をいたしますので、ぜひ、そうした立場に立って、より透明化を、より公正さを、説明責任を強化をする、そういう方向でぜひ検討していただきたいと、そのように受け止めておきたいと思います。
 ところで、金沢市採択区の教科書採択は、全国からその透明性と公正性をめぐって注目を浴びております。その理由は、記述内容が不適切なために、前回、2020年採択で、全国1%の採択率に落ち込んだ中学校歴史教科書が2015年度から連続採択されていることです。また、その採択が完全密室とも言うべき非公開で行われ、議事録でも発言した教育委員名が伏せられているため、採択を決する教育委員の判断が分からない。これは今申し上げたとおりです。このような教科書がどのような調査研究の結果を根拠として、いかなる議論と判断で採択に至ったのか、理解に苦しむ。こういう声があります。私もそう思っている一人です。この疑問に対して教育長はどうお答えになるか。再度の答弁に近いかもしれませんが、お答えいただきたいと思います。

野口 弘教育長:今の歴史教科書の採択ということについて絞られた御質問であったのではないかなと思っているんですけれども、前回の歴史教科書の採択のその時点で、今回我々が中学校で使用している教科書の採択率が1%、そんなことにつきましては、その段階で全く分かっておりませんでした。そして、その採択に当たられた教育委員の方々は、自分自身が金沢市の教育委員であるとの、大変自覚を大事にされている。そして、他の自治体の採択状況に左右されないで審議に臨まれていたと私は思っています。
 前回、初めて、自分は、地教行法が変わりましたので、1人の教育委員の立場ではなく全体を統括する立場で進行させていただきましたが、その中で、教育委員の発言はひしひしと感じさせていただいております。そして、私も意見を述べる立場にありますので、必ず子どもたちの学びの姿を思い浮かべながら、よく学校を訪問して、子どもたちの授業の様子を見させていただいていますけれども、そうした姿とか、各発行者の教科書について、自分なりに深く、いろんな観点をつくりながら研究を深め、そして、各教育委員と慎重に審議を行い、公正、かつ適正に判断させていただいたと今でも思っております。今ほど答弁させていただきましたけれども、これから、先ほどの2つの通知を通しながら、会議の公開とか、議事録への発言者の記載につきましては真摯に話し合ってまいりたいと思います。

森 一敏議員:これから真摯に話し合っていきたいと、教育委員さんたちとも協議をしていきたいと、こういう御趣旨かと思いますので、ぜひそうなさっていただきたいと思いますが、1点、申し上げておきたいのは、2020年ですか。2度目の採択の際、既に全国状況6%だったです。6%です。これは教育委員さんも御存じだったんじゃないかなということを思います。それは一体なぜなのかということ。今回、さらに1%ですから、さらになぜなのかということを、様々な情報を得る機会も活用していただいて、そのことも含めて、ぜひ適正な採択論議になるように併せて求めておきたいと思います。
 端折りますけれども、全国は公開、採択会議そのものを公開する趨勢です。テレビカメラが入る、そういう自治体まであるんです。県内でも既に会議そのものを公開している自治体が一つあります。何の問題もないと、こう言っています。教育委員には社会的責任がありますので、教育委員が一人の教育委員としてどう判断したかということを市民のどなたに問われても答える責務があるんです。これがこれまでの金沢の情報の非公開のやり方というものが、それを閉ざしてしまっているし、その責任を果たさなくても済むようにしている。ここは大いに見直していただかなきゃならないと、そう思います。そのことを申し上げて、次の質問に移ります。

4.4番目は、市民のつぶやきから、ワンストップ「お悔やみコーナー」設置を切望する声についてです。
 かけがえのない家族や親族を失ったときに、痛手を負った遺族の心に重くのしかかるのが死亡、相続に関する諸手続です。私の元にも、御高齢に達した市民から、御自身亡き後の手続で子どもに負担をかけたくない。この煩雑な手続に市役所や関係機関を何度も往復するようなこと、何とかなくせないものかと要望が寄せられております。この死亡、相続手続を市役所内でワンストップで行える、いわゆるおくやみコーナー設置の動向に注目が集まっております。
 国は、2020年5月に、おぃやみコーナー設置ガイドラインを自治体に示し、さらには対応ソフト、おくやみコーナー設置自治体支援ナビを提供し、その設置を促しております。国のモデル事業採択から本格設置に至る自治体の事例も報じられているところです。2022年度の年間死者数は全国で158万人と最多を数え、本市でも、2021年統計、これによりますと、4,824人と増加傾向をたどっております。死亡、相続手続のワンストップ化は多死社会における社会的なニーズになっているのではないでしょうか。そこで、お尋ねします。本市が設置するおくやみ手続案内窓口の業務内容についてお聞かせください。
 さらには、国が促すおくやみコーナーの到達目標に照らし、ワンストップ化への課題と展望をお聞かせいただきたいと思います。

紙谷 勉市民局長:本市では、市民課内に設置したおくやみ手続案内窓口におきまして、ハンドブックを活用した相談案内を行っておりますほか、必要に応じて職員が関係課へ御案内するなど、手続がスムーズに行えるよう努めているところでございます。また、昨年、死亡後の必要な手続を自宅にいながら確認できるよう、本市のホームページの行政情報自動案内システムにおくやみ手続に関する項目を拡充したところでございます。

村山 卓市長:国のほうの動向を踏まえてということでございます。死亡、相続手続のオンライン化によるワンストップ化に向けて、国のほうでは、現在、課題を整理しているというように承知をしております。お悔やみに関する行政手続のワンストップ化ですが、市役所以外にも法務局や年金事務所など多岐にわたります。おのおので手続の範囲も異なり、また、集約した窓口体制の構築やシステムの導入などに課題が多いというように承知をしておりますが、国の動向を注視するとともに、他の自治体の運用方法なども参考にしながら、こちらはなるべく御遺族の思いに寄り添った手続が行えるように、本市でのおくやみ手続案内窓口の在り方について検討してまいりたいと考えております。

森 一敏議員:前向きな御答弁をいただいたというふうに受け止めておきたいと思います。
 本市が発行している資料を改めて読みますと、多い方で、お1人20項目必要な手続があるわけです。全てこれをということではないにしても、最大で20、これは相当の数であると思います。そして、その資料の提出がなかなか1回で終わらないと。繰り返しやってこなければならないというようなことがそれぞれについて起こる可能性もあるということで、大変なやはり負担感、負担そのものが手続を行おうとする方にかかってくるという状況です。これを何とか少しでも軽くしようということで、先行自治体が様々な取組を今進めているという状況があると思います。これは、これもまた社会の趨勢ではないかと、こう思いますので、ぜひ、その具体的な調査、その上で、現行の金沢市に置けば、ワンストップ、一気にいけないかもしれないけれども、この部分を今よりも負担を軽くする。円滑に手続ができるようにサポートしようと、そういう具体的な検討をぜひやっていただきたいと思うわけですが、再度、御答弁をお願いしておきたいと思います。

村山 卓市長:このお悔やみの関係については、何回も手続をすることが慣れているという人はなかなかいらっしゃらない。初めてこの手続をしなければならない方が多い中で、さらに遺族となり、亡くした思いがある中で手続をしなければならない。そういったことから、遺族の方に寄り添って手続を進めていきたいというように思います。このことは、市役所のほうにとっても、手続を円滑化するというメリットもありますし、他自治体の動向も踏まえながら、より効率的な手続をしているところの例も勉強しながら検討してまいりたいと考えています。

森 一敏議員:市役所とは、市民のお役に立つところ。困ったときは、市役所に行ったら助けてもらえる。いろんな場面があると思いますけれども、この大切な人がお亡くなりになった、その直後、ぜひ、その思いに寄り添った、そういう手続ができるように、ぜひ、鋭意検討を進めていただきたいと、そのことを再度お願いをいたしまして、私の質問はこれで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。        (拍手)

  

◪意見書採択・請願採択について

1.みらい金沢から提出した国への意見書「少人数学級・教職員定数に係る意見書」は、他会派との調整の上、全会一致で採択されました。

2.市民団体こども☆未来☆教科書@かなざわから提出され、私が紹介議員となった「教科書採択会議を公開することを求める請願」は、所管の文教消防常任委員会で、賛成多数で採択すべきものと決しましたが、最終日の本会議で逆転少数否決となり、残念ながら不採択となりました。

 

以下に、私の採択を求める賛成討論を掲載します。

教科書採択会議を公開することを求める請願に賛成討論   2023年6月30日

 私は、みらい金沢を代表し、本定例月議会に、市民団体こども・未来・教科書@かなざわの代表者から提出され、文教消防常任委員会にて採択すべきものと決した請願第1号教科書採択会議を公開することを求める請願に賛成し、その採択を求めて討論いたします。
 言うまでもなく、学校教育における教科書は、子どもたちの未来を左右するものであり、ひいては未来の社会を形成する礎となるものです。その意味から、教科書採択は、子どもたちだけの問題ではなく、市民すべての問題ということができます。
 本年度、小学校で使われる教科書に対する採択手続きが、また、来年度は中学校で使用される教科書の採択が予定されていますが、この採択における本市の動向に注目が集まっています。その理由は、前回2020年度採択で全国1%の採択率に落ち込んだ中学校歴史教科書が2015年度から継続採択されており、その採択が非公開で行われ、議事録でも発言した教育委員名が伏せられているという密室性に疑問が向けられているためです。
 ところで、文科省は、令和3年8月に公表した教科書制度の概要において、「教科書採択に関しては、保護者をはじめ国民により開かれたものにしていくことが重要」と記しています。また、本年3月31日付の文科省初等中等教育局長通知「教科書採択における公正確保の徹底について」においては、「採択権者の判断と責任」による採択とは、綿密な調査研究を踏まえ、公正性・透明性に疑念を生じさせず、採択結果や理由について、保護者や地域住民に対する説明責任を果たすものである旨明記しています。
 先に述べた通知でも、静ひつな環境の確保を求めている採択会議について、その公開・非公開の適切な判断を求めており、採択時の教育委員会議の公開は否定されてはおりません。そのために、採択時の教育委員会議を公開する地方教育委員会が続々と増えています。例を挙げれば、横浜市教育委員会は、会議の事前周知の上で傍聴を受け入れ、定員を超えても受付会場にて審議の映像を視聴できるように取り計らっています。その際に、託児を受け付けて、子育て中の保護者への配慮まで行っています。藤沢市では、会場に入りきれない傍聴者のために、建物内のホールで音声傍聴ができるようにしています。大阪府内38採択区で傍聴を受け付けない採択区はありません。広島県内では、2017年から順次採択会議の公開が進んでいます。東京都、千葉県、長野県、滋賀県、埼玉県でも公開が通例となっています。本県においても、羽咋市教育委員会が会議を公開しており、それによる支障はないと答えています。
 このように、静ひつさと透明性を両立させ、教科書採択の公正性を担保しつつ、保護者や市民への説明責任を果たそうとする教育委員会が、今や全国の標準となっていることを認識しなければなりません。判断と責任を要請されている各教育委員におかれては、隠したいことがあるのかとの疑念を招くことがないよう、その職責の重さを十二分に理解され、公明正大に採択権者としての社会的な説明責任を果たされるよう期待いたします。
 よって、教科書採択会議を公開するよう求める請願に賛同すると共に、議員各位におかれては、文教消防常任委員会決定を尊重され、本請願にご賛同くださるよう重ねてお願いするものです。以上をもちまして、私の討論といたします。

◪総務常任委員会

総務常任委員会で宿泊税の見直し論議を開始

 本日の総務常任委員会は、物価高騰対策など6月補正予算案と税賦課徴収条例の一部改正について、工事請け負い契約締結について説明を受け、採決では一体議案としての補正予算案を考慮し、賛成議決に参加しました。
 報告事項では、日本銀行金沢支店跡地あり方検討懇話会について、本市としてのグランドデザインに位置づいた取得後の再整備方針はいつ示されるのか、見解を求めました。検討懇話会委員の外部有識者としての意見は多様でも、あくまでも意思決定は金沢市としての主体でなければなりません。そのデザインがまだ見えません。

 さて、金沢市宿泊税条例施行後の状況に関する調査検討会議の設置について、議論が沸騰しました。自民党会派委員からも、野党側委員からも税務課が報告した委員の人選、調査検討会議の調査スケジュールに対し、議会軽視との厳しい意見が集中しました。
 調査検討会議は7月5日に初回、2回目の会議8月3日には取りまとめし、9月には市長に報告となっていました。次回の総務常任委員会は取りまとめの翌日です。9月定例月議会は9月前半です。議決を要する条例改正を視野に入れず、現行制度を継続する既定路線か?!と私も食い下がりました。
Q:本年1月から2月に行われた観光4団体にヒアリングを行ったうちの一人、有識者ヒアリング4人のうち3人が委嘱されている。設置する調査検討会議の調査機能に独自性はあるのか? 
Q:今後の予定では、7月5日に第1回、8月3日に第2回(ここで意見のとりまとめ)、9月に市長へ報告となっている。このスケジュールで果たして、条例制度である宿泊税の検討を加えることができるのか疑問だ。拙速ではないか?
Q:条例の改正を要する制度見直しは、想定外か? 既定路線を敷いているのか?
Q:基礎資料とすると答弁のあった「金沢市宿泊税施行後の状況に関する調査」は施行後の状況を正確に反映しているのか疑問だ。

(1)アンケート調査の回答状況 
    宿泊事業者の141件55.1%の回収率しかない 
 日常の経営業務に追われる中小施設からどの程度回答があったかつかんでいるのか? その施設が宿泊税のマイナス影響を受けている可能性がある。その実態が反映していないことが非常に気になる。
(2)宿泊者へのヒアリング
    金沢駅、ひがし茶屋街、金沢城公園 
 したがって、1192人の回答者のほとんどは観光客と思われる。しかし、本市の宿泊者は皆観光客なのか?その認識は?
 郊外のボジネスホテルでは 通してほとんどが仕事宿泊者と聞く。そこでは宿泊税への抵抗感、苦言、宿替えなどのマイナスの影響を受けていると聞く。そこには、税徴収を義務付けられながら、宿泊税財源からの支援が全く受けられないラブホテルも含まれている。不公平だ。

 ある郊外のビジネスホテルでは、2020年~2022年9月 宿泊税を理由に宿替えした客延べ人数 1240人、615人、870人・・・2725人 通例連泊7日から30日間
 宿泊収入に換算すると約1700万円が消失したとの情報も受けている (宿泊税54万円のために) そうした実態が、調査報告書にはほとんど記載が見られない。
(3)昨年の調査報告書では、宿泊税は宿泊事業者には「ほとんど影響がなかった」との評価を導いているが、果たしてそう言い切れるのか? 
 宿泊税財源を使った誘客プロモーション事業や施設改修で利益を得ているまちなかの観光ホテルばかりではない。値下げ競争の下で厳しい経営努力を続けながら、宿泊税徴収により客離れや肩代わり負担を強いられている特別徴収義務者の犠牲の上で成り立つ課税制度は間違っている。  

 実態を反映させ、適正な制度検証を行うには、腰を据えた調査検証をやり直す必要がある。その上で、必要な見直し案を提示すべきだ。タイミテーブルをまず見直せ。いかがか?

 こうしたやり取りの末に、第1回会合でこの議論も報告し、そのあとのスケジュールも再検討したいとの総務局長答弁をうけて、その履行報告を求めて質疑を終えました。
 私は、地場の中小宿泊事業者からの切実な訴えにより、2019年4月からの宿泊税制度導入に一貫して反対しました。徴収が当局ではなく、立場の弱い宿泊事業者であること。観光と市民生活の調和を図るための税を宿泊施設に徴収させる仕組み。定額料金で連泊するビジネス客を中心に経営するビジネスホテル、厳しい立地規制を受けながら、郊外ゆえ、課税のない隣接市町に立地する施設に客が移りやすいラブホテル。ここに宿泊税課税による損失やひずみが集中しています。 

 低料金施設ほど税負担割合が逆進(2万円未満定額200円、それ以上500円)する不公平税制でもあります。抜本的な見直しをさらに求めていきます。